説明

物品受け渡し装置

【課題】 物品を円滑かつ能率的に連続搬送装置から間欠搬送装置へ受け渡す装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 定速連続回転体11の周囲部に周方向で所定間隔に複数の物品授受部12が設けられた連続搬送装置10と、間欠回転体21の周囲部に周方向で上記所定間隔と同じ間隔に複数の物品授受部22が設けられた間欠搬送装置20と、連続搬送装置10と間欠搬送装置10の間で物品を転送して物品の授受を行なわしめる中間接続装置30とを有する物品受け渡し装置において、中間接続装置30は、変速回転体31の周囲に複数の物品授受部32が設けられていると共に、物品授受部における周速が連続搬送装置10に同じ第一速度Vと物品授受時の間欠搬送装置20に同じ第二速度Vとを交互に周期的にもつ変速回転を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品受け渡し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品が複数の工程を経て加工あるいは処理を受けるとき、各工程に対応した搬送装置によりその工程へもたらされる。その搬送形態は、各工程の内容に対応して、複数の物品が次々と連続的に搬送されることや、あるいは間欠的に搬送されることもある。連続搬送装置から間欠搬送装置へ物品を授受するときには、従来、例えば、添付図面の図4に示す中間接続装置が用いられていた。
【0003】
図4において、連続搬送装置50と間欠搬送装置60は中間接続装置70を介して物品の授受を行なっている。連続搬送装置50は定速で回転していて周囲部に所定間隔で設けられたグリッパ等の保持部のそれぞれに物品Pを保持可能となっている。これに対して、間欠搬送装置60は、回転・停止を周期的に繰り返し、停止時に物品Pを中間接続装置70から受け取り、回転時に一間隔だけ搬送する。
【0004】
中間接続装置では、連続搬送装置50から排出された物品Pが列をなして載置され、後続物品Pが先行物品Pを前方へ押し出すようになっている。最前物品がストッパ71等により定位置で停止すると、該物品はプッシャー72により側方から押されて停止中の間欠搬送装置の所定保持部61へ引き渡される。
【0005】
連続搬送装置50から中間接続装置70へ、そして該中間接続装置から間欠搬送装置60への物品の授受は、図示していない各装置に設けられたグリッパの開放動作と把持動作により行なわれる。
【特許文献1】発見できず
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図4の公知装置にあっては、次の点で改善が求められていた。
【0007】
先ず、中間接続装置70では、連続搬送装置50から排出された物品Pが先行物品と衝突してこれを前方へ押し出すので、その際の物品間での衝撃により物品の外面を損傷したりする。又、その衝撃で物品が転倒したりすることもある。
【0008】
次に、上記連続搬送装置50から排出された物品は、一旦、中間接続装置70上にプールされることとなるが、上記連続搬送装置50からの単位時間当りの排出物品数と間欠搬送装置60への単位時間当りの物品受け渡し数とが一致していないとき、例えば、前者が後者よりも大きいときには増加して行くプール物品数に対応してスペースを大きく用意しなければならないし、前者が後者よりも小さいときには、物品の受け渡しが行なわれない時期が生じ、装置稼動率が低下する。
【0009】
これらの問題は、物品が中間接続装置にて、グリッパ等の保持部から一旦離れてしまうこと、両搬送装置の排出そして受け渡し数に不一致が生ずる場合があることに起因している。この不一致は、能力としては一致していても、グリッパから離れることにより、プッシャーで確実に受け渡しが行なわれない場合にも生ずる。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑み、グリッパからグリッパへ両搬送装置間の物品授受が対応してしかも衝撃を伴うことなく行なわれる物品受け渡し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る物品受け渡し装置は、定速連続回転体の周囲部に周方向で所定間隔に複数の物品授受部が設けられた連続搬送装置と、間欠回転体の周囲部に周方向で上記所定間隔と同じ間隔に複数の物品授受部が設けられた間欠搬送装置と、連続搬送装置と間欠搬送装置の間で物品を転送して物品の授受を行なわしめる中間接続装置とを有している。
【0012】
かかる物品受け渡し装置において、本発明では、中間接続装置は、変速回転体の周囲に複数の物品授受部が設けられていると共に、物品授受部における周速が連続搬送装置に同じ第一速度と物品授受時の間欠搬送装置に同じ第二速度とを交互に周期的にもつ変速回転を行なうことを特徴としている。
【0013】
このような構成の本発明装置では、中間接続装置が連続搬送装置と同じ周速の第一速度のときに、それらの物品授受部の間で物品の授受が行われ、中間接続装置が間欠搬送装置の物品授受時の第二速度と同じ第二速度のときに、それらの物品授受部の間で物品の授受が行われる。第一速度そして第二速度のいずれの速度においても物品授受時に、装置間の相対速度が零なので、物品に衝撃がなく、又、単位時間当りの物品授受数が一致し、物品のプールは必要なくなる。
【0014】
中間接続装置の変速回転体は、一対の楕円歯車を介して定速の駆動装置により駆動されている形態とすることにより、上記の第一速度と第二速度を得ることができる。
【0015】
本発明において、連続搬送装置と中間接続装置の両物品授受部、中間接続装置と間欠搬送装置の両物品授受部は、グリッパにより形成され、協働する両グリッパは物品授受時に物品把持の閉状態にあり、その前後にあっては一方が閉状態、他方が開状態となるようなものとすることができる。かかる形態とすれば、物品はグリッパから離れることがなく、物品は授受時に転倒したり落下することなく、確実に受け渡される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のごとく、連続搬送装置と同じ第一速度と、間欠搬送装置の授受時と同じ第二速度との間で変速回転を行なう中間接続装置を設け、第一速度時に連続搬送装置との間での物品授受、第二速度時に間欠搬送装置との間での物品授受を行なうこととしたので、物品を余分にプールすることなく授受部間で直接授受ができるので、プールのための大きなスペースを用意することなく、しかも確実に授受が行なわれ、その際に衝撃を伴うことがなくなる。その結果、物品の外面の損傷が防止され、又物品の転倒もなくなることから、例えば開封状態にある物品も扱えるようになる。さらには、本実施形態とは逆に、必要に応じて、間欠搬送装置から中間接続装置を経て連続搬送装置へ物品を受け渡すことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面の図1ないし図3にもとづいて本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態装置の概要構成図である。図1において、連続搬送装置10と間欠搬送装置20は中間連続装置30を介して物品の授受が可能となっている。
【0019】
連続搬送装置10は、一方向に定速で回転駆動を受けるテーブル(定速連続回転体)11の周部に、図2のごとく周方向に所定間隔をもって、物品Pを把持する開閉自在なグリッパ12が複数設けられていて物品授受部を構成している。間欠搬送装置20は、間欠的に回転駆動を受けるテーブル(間欠回転体)21の周部に、周方向に所定間隔をもって、物品Pを把持する開閉自在なグリッパ22が複数設けられていて物品授受部を構成している。上記連続搬送装置10と間欠搬送装置20を接続する中間接続装置30は、変速回転駆動を受けるテーブル(変速回転体)31の周部に、同様なグリッパ32が複数設けられていて物品授受部を構成している。物品を受け渡すときの対応する二つのグリッパは、瞬時には両グリッパは物品を把持しているが、その前後ではいずれか一方が把持、他方が解放される。
【0020】
本実施形態装置は、駆動源として共通のモータ40を有し、該モータ40に直結された軸41から、プーリ42,43,44を経て各装置10,20,30へ駆動力を伝達している。
【0021】
上記連続搬送装置10は上記テーブル11と同軸にギア13を有し、該ギア13には小径のギア14が噛合している。このギア14は、上記モータ側のプーリ42からベルト15により駆動力を受けるプーリ16を有している減速機17により減速駆動される。したがって、テーブル11は、減速機17、ギア14そしてギア13によって減速された設定回転速度で定速連続回転する。
【0022】
間欠搬送装置20は、間欠回転を行なう公知のインデックス装置23により間欠回転駆動を受けるテーブル21を有しており、上記インデックス装置23に取りつけられたプーリ24は、ベルト25によってモータ40側のプーリ44から回転駆動を受ける。
【0023】
中間接続装置30は、上記連続搬送装置10のテーブル11と上記間欠搬送装置20のテーブル21との中間に位置し、これらのテーブル11,21にほぼ外接するテーブル31を有している。該テーブル31は同軸にギア33を有し、該ギアには小径のギア34が噛合している。この小径のギア34は、上記プーリ43からベルト35によって駆動力を受けるプーリ36を有している減速機37と、一対の楕円歯車38,39を介して接続される。したがって、テーブル31は、減速機37,ギア34によって減速されて回転するが、上記一対の楕円歯車38,39が仲介して設けられているために、回転速度は第一速度と第二速度との間で周期的に変動する。
【0024】
かかる本実施形態装置では、上記連続搬送装置10、中間接続装置20そして間欠搬送装置30の回転速度の関係は図3のごとくである。図3は、各装置のテーブルに設けられているグリッパが位置する半径でのテーブルの周速の関係として示されている。
【0025】
連続搬送装置10のテーブル11の周速(既述のごとくグリッパが位置する半径での周速、以下同様)は図3にて太い実線で示されるごとく第一速度Vで一定である。間欠搬送装置20のテーブル21の周速は、図3にて一点鎖線の曲線で示されるように、所定期間の間、0とV以上の速度Vとの間で変動し、他の期間は0、すなわち回転停止である。一方、中間接続装置30のテーブル31の周速は、図3にて細い実線の曲線に見られるように、上記第一速度Vと、上記速度Vよりも大きい速度Vとの間で変動し、その変動回転時期は上記間欠搬送装置20のテーブル21の変動回転時期と同期しており、かつ、変動回転時期と次の変動回転時期との間の期間Tは第一速度Vで一定速度となっている。さらに、上記中間接続装置30のテーブル31の周速はその変動回転時期は、図3に見られるごとく、期間Tにおいて上記間欠搬送装置20のテーブル21の周速(第二速度V)と一致している。すなわち、上記期間Tにおいては、第二速度V自体は変動していても、中間接続装置30と間欠搬送装置20とは、両者のテーブルの周速は相対速度が0となっている。この相対速度が0の期間Tは長い方が好ましい。
【0026】
このように、本実施形態では、連続搬送装置10と中間連続装置30とは期間Tにて第一速度Vで、そして中間接続装置30と間欠搬送装置20とは期間Tにて第二速度Vで、それぞれテーブルの周速が一致しており、相対速度が0である。本実施形態装置では、これらの相対速度0の期間T,Tのときに物品の授受を行う。すなわち、期間Tのときに連続搬送装置10のグリッパ12から中間接続装置30のグリッパ32へ物品Pを受け渡し、期間Tのときに中間接続装置30のグリッパ32から間欠搬送装置20のグリッパ22へ物品Pを受け渡す。このような物品Pの受け渡しを、周期的に交互に行う。
【0027】
本発明は、図示された形態には限定されず変形が可能である。例えば、図3の速度線図は種々の形をとることができる。要は、物品の授受に必要な時間の期間T,Tにおいて、二つの装置間での相対速度が0となれば良い。中間接続装置の駆動も、楕円歯車を用いることなく、例えば、プログラムによりモータ自体を速度抑制させて期間Tにおける速度Vを設定してもよい。さらに各装置は、回転テーブルに物品授受部としてのグリッパに設けることなく、例えば、直線部分を有するチェーン等の無端走行体にグリッパを設け、この直線部分で、上記T,Tを設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態装置全体の概要構成図である。
【図2】図1装置の物品授受部の概要構成図である。
【図3】図1装置の速度関係図である。
【図4】従来装置の概要構成図である。
【符号の説明】
【0029】
10 連続搬送装置
11 定速連続回転体(テーブル)
12 物品授受部(グリッパ)
20 間欠搬送装置
21 間欠回転体(テーブル)
22 物品授受部(グリッパ)
30 中間接続装置
31 変速回転体
32 物品授受部(グリッパ)
38,39 楕円歯車
第一速度
第二速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定速連続回転体の周囲部に周方向で所定間隔に複数の物品授受部が設けられた連続搬送装置と、間欠回転体の周囲部に周方向で上記所定間隔と同じ間隔に複数の物品授受部が設けられた間欠搬送装置と、連続搬送装置と間欠搬送装置の間で物品を転送して物品の授受を行なわしめる中間接続装置とを有する物品受け渡し装置において、中間接続装置は、変速回転体の周囲に複数の物品授受部が設けられていると共に、物品授受部における周速が連続搬送装置に同じ第一速度と物品授受時の間欠搬送装置に同じ第二速度とを交互に周期的にもつ変速回転を行なうことを特徴とする物品受け渡し装置。
【請求項2】
変速回転体は、一対の楕円歯車を介して定速の駆動装置により駆動されていることとする請求項1に記載の物品受け渡し装置。
【請求項3】
連続搬送装置と中間接続装置の両物品授受部、中間接続装置と間欠搬送装置の両物品授受部は、グリッパにより形成され、協働する両グリッパは物品授受時に物品把持の閉状態にあり、その前後にあっては一方が閉状態、他方が開状態となることとする請求項1に記載の物品受け渡し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−96430(P2006−96430A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281166(P2004−281166)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】