説明

物品情報取得装置及びその方法

【課題】簡単な構成で、しかも被検出物に関する詳細な情報を容易に取得できる物品情報取得装置及びその方法を提供する。
【解決手段】物品情報取得装置は、送信コイル1と受信コイル2の間に被検出物10が存在するか否かを検出する制御部3を備える。被検出物10は、予め設定されたパターンに従って配置された1つまたは複数の遮蔽部11a〜11nを備える。制御部3は、遮蔽部11a〜11nの配置パターンと、それが意味する情報とを対応付けたパターン定義部8を備える。配置パターン検出部7は、遮蔽部11a〜11nが遮蔽した受信コイル2の位置に基づいて遮蔽部の配置パターンを検出する。配置パターン検出部7が検出した遮蔽部11a〜11nの配置パターンと、パターン定義部8によって定義された情報とを対応付けて、被検出物10に関する情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物に所定のパターンを有する遮蔽部を設け、この遮蔽部のパターンを送信コイルと受信コイルとによって検出することで、被検出物に関する情報を取得する物品情報取得装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードやIDタグ等といった移動可能な応答器が広く実用化されており、リーダライタとの間で誘導磁界による無線通信を行うことにより、応答器のメモリに記録された各種情報をリーダライタとの間で交換するシステムが実現されている。
【0003】
例えば、クレジットカード等とほぼ同様な大きさのカード基板にマイクロコンピュータチップとメモリチップ等を埋設して構成したICカードは、金融、流通、交通、医療等の種々な分野において実用化が図られている。このようなICカードを用いたICカードシステムでは、例えば、「リーダライタからICカードに対して電磁誘導により電力を電送供給し、ICカードは当該ICカードに記憶されているデータを電磁誘導により送信し、リーダライタが受信することでICカードの情報を得る」というように、リーダライタとICカードとの間で非接触な無線通信により情報通信がなされるものである。
【0004】
このようなシステムでは、ユーザ情報を記憶したICカードを備えた移動端末が任意の席に着いた場合に、端末保持者の入力作業を必要とすることなく、任意の席に着いた移動端末の位置情報を取得して管理することができる。ファーストフード等の店舗の場合は、トレイ等に内蔵されたICカードに注文時間を記憶させ、利用者がトレイを持って席に座った場合に、トレイ等に内蔵されたICカードの情報をそれぞれの席に設置してあるリーダライタが受信することで、利用者がどの席についたかを検出することができる。さらには、それぞれの席のリーダライタ端末をイーサーネットや無線LANに接続させることで、管理側の端末にてデータを収集して管理することも可能である(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、ICカードやIDタグは高価であり、全てのトレイに設置させるのは困難である。したがって、従来ではLEDの光の反射を検出してトレイを検出するフォトリフレクタや、テーブルの内部にトレイの重さを検出するリミットスイッチや圧電センサを配置する方法が一般的である(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−88465号公報
【特許文献2】特開2008−217200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フォトリフレクタは、LEDから出た光をトレイの裏面に配置した反射体で反射させ、その反射した光を受光体で検出するものである。そのため、周囲の光の影響を受けやすく、反射体や受光体が汚れていると正確に判定することができなくなるという問題点があった。
【0007】
一方、テーブルの内部にリミットスイッチや圧力センサを設置する方法では、テーブル上に置かれたものがトレイであるのか、荷物などの他の物であるかの判定ができないという問題点があった。また、リミットスイッチは、スイッチのオン・オフの機構がテーブルから露出し、利用者に違和感を与えてしまう場合があった。また、メカニカルな構造であるため永年劣化や利用者が接触するなどの原因により故障の問題もあった。
【0008】
更に、リミットスイッチや圧力センサなどの装置では、トレイの有無は検出できても、前記のICタグなどでは可能であった詳細な情報、例えば、トレイやそれに載せられた物品の種類、内容、状態、出荷時間などの情報を知ることはできなかった。しかも、このような問題点は、トレイの検出に限らず他の被検出物においても同様であり、ICタグのような複雑で高価な機器を使用することなく、被検出物に関する情報を容易に取得することのできる装置や方法の実現が望まれていた。
【0009】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決した物品情報取得装置及びその方法を提供することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、ICタグのような複雑な構成の機器を使用することなく、簡単な構成で、しかも被検出物に関する詳細な情報を容易に取得できる物品情報取得装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の物品情報取得装置は、送信コイルと、この送信コイルとの間で無線通信を行う受信コイルと、この受信コイルが受信した無線信号に基づいて前記受信コイルと送信コイル間に遮蔽物が存在するか否かを検出する検出部とを備え、被検出物が、その送信コイルとの対向面に、予め設定されたパターンに従って配置された1つまたは複数の遮蔽部を有する遮蔽物を備え、前記検出部は、前記遮蔽物における前記遮蔽部の配置パターンと、それが意味する情報とを対応付けたパターン定義を保存するパターン定義部と、前記遮蔽物が遮蔽した前記受信コイルの位置に基づいて、前記遮蔽部の配置パターンを検出する配置パターン検出部と、この配置パターン検出部が検出した遮蔽部の配置パターンと、前記パターン定義部に保存された配置パターンとを照合して、前記被検出物に関する情報を、その被検出物が備える遮蔽物の遮蔽部の配置パターンから判定する情報判定部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様においては、物品情報取得装置は、前記複数の受信コイルが縦横の行列状に配置され、前記遮蔽部の配置パターンが受信コイルと同じピッチで縦横の行列状に配置された遮蔽部と開口部とから構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様においては、物品情報取得装置は、縦横の行列状に配置された複数の受信コイルが、同じピッチで縦横の行列状に配置された遮蔽部の配置パターンよりも、その縦横の行列数がより多く設けられ、1つの遮蔽部が1個または複数個の受信コイルを遮蔽するものであることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様においては、物品情報取得装置は、前記被検出物がトレイであって、遮蔽物がトレイに設けられた金属材料から構成され、前記送信コイルと受信コイルがテーブルに設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様においては、物品情報取得装置は、前記複数の受信コイルが直線状の1列に配置され、前記遮蔽部の配置パターンが、受信コイルと同じ列数で、縦横の行列状に配置された遮蔽部と開口部とから構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様においては、物品情報取得装置は、被検出物の移動手段を備え、この移動手段によって移動する被検出物の移動経路の近傍に複数の受信コイルが配置されていることを特徴とする。
【0016】
更に、前記のような構成を有する物品情報取得装置を制御する方法も本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無線通信の遮蔽物として金属シートのような単純な構成の部材を使用することが可能になり、リーダライタ端末とICカードを用いたシステムのICカードに比べて、構造を大幅に簡略化することができるため、安価にタグを作ることが可能になる。しかも、遮蔽部の配置パターンは、被検出物に関する情報の量に合わせて遮蔽部の数を適切に選択することで自由に増減できるので、従来のリミットスイッチやセンサを利用した装置や方法に比較して、被検出物に関する詳細な情報を取得することができる。
【0018】
また、本発明は、配置パターンを送信コイルと受信コイルで検出するものであり、LEDの光等の目の見える手段で検出する方法でないために、利用者から完全に見えない構造とすることが必要な場所にでも設置することができる。さらに、本発明に使用する受信コイルや送信コイルはテーブル内に埋設することもできるので、利用者が接触するおそれがなく、可動部分のない永年劣化が発生しない構造とすることができるため、信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[物品情報取得装置]
以下、本発明の実施形態の構成について、図1,2に従って具体的に説明する。
図1は、本実施形態における物品情報取得装置の構成を示す図である。
【0020】
図1においては、1はRF信号を出力する送信コイル、2はRF信号を受信する受信コイルであり、これら送信コイル1と受信コイル2は、制御部3に接続されている。制御部3にはRF信号発信部4が設けられ、このRF信号発信部4からの指示で、前記送信コイル1がRF信号を出力する。一方、受信コイル2の出力端子は信号増幅用の受信アンプ5に接続され、この受信アンプ5の出力側はA/Dコンバータ6を介して前記制御部3に設けられた配置パターン検出部7に接続されている。
【0021】
この場合、送信コイル1は、受信コイル2で均一な強さのRF信号を受信できるように、受信コイル2よりも同じかそれ以上の大きさを持っている。また、送信コイル1の設置位置は、受信コイル2との間でRF信号を授受することができる位置であれば、特に限定されるものではない。例えば、図3に示すような、テーブル12に受信コイル2を埋設した場合には、その周囲に送信コイル1を埋設することができる。また、受信コイル2を埋設したテーブル12の上方(天井部分)に送信コイル1を設置しても良い。
【0022】
受信コイル2は、同じピッチで縦横の行列状に複数個設置され(例えば、縦4個×横5個)、各受信コイル2の出力端子は、送信コイル1と各受信コイル2の間に遮蔽物11が存在するか否かを検出する配置パターン検出部7に接続される。配置パターン検出部7は、送信コイル1と各受信コイル2の間に遮蔽物11が存在した場合に、遮蔽物11の有する遮蔽部11a〜11nの配置パターンを検出する。配置パターン検出部7の出力側には、パターン定義部8と接続している情報判定部9が接続されている。
【0023】
すなわち、被検出物10には、予め設定されたパターンに従って配置された遮蔽部11a〜11nが、受信コイル2と同じピッチで縦横の行列状に複数個設置されている(例えば、縦4個×横5個)。この遮蔽部11a〜11nは、被検出物10の表面または内部に設けられた金属シートや金属板などの金属材料のような送信コイル1と受信コイル2間の通信を遮蔽或いは減衰させるものである。
【0024】
前記パターン定義部8は、この遮蔽物11における前記遮蔽部11a〜11nの種々の配置パターンと、各配置パターンが意味する情報とを対応付けたものである。このパターン定義部8は、本実施形態の装置の利用者が、自由に定義し、書き換えすることが可能なものである。前記情報判定部9は、このパターン定義部8の定義した配置パターンの種類と、被検出物の種類、内容、材質、製造年月日、出荷先などの情報とを、対応付けるものである。
【0025】
このような構成を有する本実施形態において、図2のように、予め設定されたパターンに従って配置された遮蔽部11a〜11nを有する被検出物10が所定の位置に置かれると、受信コイル2には、遮蔽部11a〜11nにより遮蔽される部分とされない部分ができる。遮蔽部11a〜11nは、金属材料で作製されているために、送信コイル1からのRF信号が受信コイル2へ到達しなくなる(若しくは減衰される)。このため、遮蔽されている部分は遮蔽されていない部分に比べて、RFの受信レベルが大きく低下することになる。
【0026】
この受信レベルの変化しない部分と低下した部分の配置パターンは、配置パターン検出部7で検出される。検出された配置パターンは、情報判定部9により、パターン定義部8に予め記憶しておいた各種の配置パターンと比較され、パターン定義部8において同一のパターンが発見された場合には、その配置パターンが意味する情報と受信コイル2で得られた遮蔽部11a〜11nの対応付けが行われる。これにより、被検出物10に設けた遮蔽部11a〜11nの配置パターンに基づいて、被検出物10に関する情報を取得することができる。
【0027】
[物品情報取得装置を使用したテーブル]
図3は、前記のような物品情報取得装置した利用状況を検出するテーブル12の図である。すなわち、図3において、符号12は図1の実施形態で説明した物品情報取得装置を備えたテーブルであり、このテーブル12内部には受信コイル2が設置されている。テーブル12は複数でもよく、有線または無線により制御部3に接続し、受信コイル2の出力結果が入力される。また、縦横の行列時用に配置された複数の受信コイル2は、テーブル11の利用者の着席位置(椅子15の位置)に合わせて、4組設けられている。
【0028】
本実施形態では、被検出物10として遮蔽部11a〜11nを備えたトレイ13を使用する。このトレイ13が送信コイル1と受信コイル2との間に配置されることにより、遮蔽部11a〜11nの配置パターンを読み取る。この場合、トレイ13には、トレイの種類、或いはトレイに乗せる食品、料理などの種類、消費期限、価格帯、さらにはトレイの利用開始時間などに応じて、異なる配置パターンの遮蔽部11a〜11nを有する遮蔽物11を設けておく。
【0029】
前記のような構成を有するテーブルの利用状況検出システムでは、トレイ13がテーブル12に置かれた場合は、トレイ13の内部にある遮蔽部11a〜11nにより、送信コイル1から出力されるRF信号を阻害するために、受信コイル2で受信するRF信号の入力値が低下する。このRF信号の低下により、テーブル12が利用されていることが判る。また、遮蔽部11a〜11nの配置パターンにより、利用者の料理の内容や利用開始時間などを知ることができる。
【0030】
[物品情報取得装置を使用したテーブルの利用状況検出システム]
図4は、前記のような物品情報取得装置を備えたテーブルと後述する椅子の着席検出装置とを組み合わせて、テーブルの利用状況を検出するシステムの機能ブロック図である。
【0031】
すなわち、図4において、符号11は図3の実施形態で説明した物品情報取得装置を備えたテーブルであり、このテーブル12には送信コイル1と受信コイル2が設置されている。各テーブル12と前記制御部3は、有線または無線により接続されており、各テーブル12の利用状況が制御部3に対して出力される。この制御部3は、次のような部分を有している。
【0032】
(a)テーブル利用検出部17
各テーブル12から出力されるトレイ13の有無に基づき、各テーブルの利用状況を検出する。
(b)表示制御部18
テーブル利用検出部17が検出した各テーブルの利用状況を、制御部3に備え付けられているディスプレイ19や通信機器20に対して出力させる指令を出す。
(c)通信機器20
各テーブルの利用状況を表示制御部18の指令に基づきの外部に設けられたセンタのサーバ21や情報掲示板22や移動端末23に対して出力する。
【0033】
本実施形態では、テーブル12の利用状況の検出データにより、各テーブルの利用状況をディスプレイ19に表示することができる。すなわち、制御部3のテーブル利用検出部17では、各テーブル12より転送された情報により、各テーブル12の利用状況を検出することができる。テーブル利用検出部17で検出した情報は、現在の情報として表示制御部18により、制御部3に附属のディスプレイ19に表示される。また、通信機器20を介してセンタのサーバ21や店内の情報掲示板22や従業員が所持する移動端末23に対して転送することもできる。
【0034】
以上の通り、本実施形態のシステムによれば、受信コイル2で受信するRF信号の変化により、テーブル12の上にトレイ13の有無や料理の内容などを判定し、トレイ13がある場合は、各テーブルが利用されていると判定する。この判定結果を情報掲示板22や移動端末23に出力し、この情報に基づき、各テーブルへの誘導を行うことで、利用者のスムースな誘導を行うことが可能になる。
【0035】
また、各テーブルの利用の状況についてのデータをセンタのサーバ21で管理することにより、入場者の人数や利用時間を管理することが可能になる。また、センタのサーバ21で各テーブルの利用状況と開始時間を共に記憶することにより、長時間テーブルを占有する利用者を判定することができる。長時間テーブルを占有されることにより、店舗のイメージの悪化や他の利用者の利便性が損なわれることを防止することができる。
【0036】
[他の実施形態]
本発明は、前記の実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態に記載したテーブル12、送信コイル1、受信コイル2の数は例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。以下のような他の実施形態も包含する。
【0037】
(a)前記実施形態は、送信コイル1と受信コイル2間の無線通信としてRF信号を使用したが、無線信号の種類にはこれに限定されるもではない。例えば、前記テーブルのトレイ載置位置に合わせて受信コイルを配置すると共に、この受信コイルが受信することのできる磁界を発生する送信コイルを設け、前記受信コイルが受信した磁界の強度変化を受信アンプで検出することにより、トレイに設けた遮蔽部11a〜11nの配置パターンを検出することもできる。
【0038】
(b)本実施形態では、テーブル12に埋め込んだ送信コイル1からRF信号を出力し受信コイル2で受信することにより、被検出物10に備える遮蔽部11a〜11nの配置パターンを検出するものであるが、被検出物は、金属製の遮蔽部9を備える物であればよい。例えば、本のカバーに金属製のフイルムを利用することで、図書館等のテーブルの利用状況の把握をすることができる。すなわち、本発明では、被検出物10は、食器を乗せるトレイ、ランチョンマット、食器、本のカバー等の、非金属の物質であればどんなものでも良い。
【0039】
また、被検出物10を受信コイル2の真上に配置できるように、ガイドを設けることもできる。ガイドの種類として、テーブル12に溝を被検出物10に突起を設けたものなどが使用できる。
【0040】
(c)受信コイル2の配置は、同じピッチで縦横の行列状に配置された遮蔽部の配置パターンよりも、その縦横の行列数がより多く設けられ、1つの遮蔽部が1個または複数個の受信コイルを遮蔽するものでも良い。すなわち、図5に示すように、1つの遮蔽部が1個または複数個の受信コイル2を遮蔽するように、受信コイル2と遮蔽部の大きさの比率または個数を定めることができる。1つの遮蔽部が1個または複数個の受信コイル2を遮蔽するものであると、被検出物10が定位置に配置されなくても、複数の受信コイル2の情報を複合することにより、遮蔽部11a〜11nの配置パターンの配置パターンを検出することができる。
【0041】
(d)受信コイル2の配置は、同じピッチで縦横の行列状に複数個設置されて無くてもよい。例えば、受信コイルを直線状の1列に配置し、遮蔽部11a〜11nの配置パターンを受信コイルと同じ列数で縦横の行列状に配置してもよい。このように、遮蔽部の配置パターンを2次元配列として、被検出物を受信コイルと相対的に移動させながら2次元の配置パターンを直線状の1列の受信コイルで受信すると、受信コイルの個数を削減することができる。
【0042】
例えば、図6に示すように、ベルトコンベア33のルート上にスキャナ34として、直線状の1列に配置した受信コイル2を複数個コンベア33の走行方向と直角に設置する。トレイや荷物などの被検出物10がスキャナ34上に移動すると、被検出物10の2次元配列とした遮蔽部11a〜11nが直線状の1列に配置した受信コイル2上を順次通過する。それにより、被検出物10の遮蔽部11a〜11nの配置パターンを検出することができる。これにより、ベルトコンベア33上を移動する被検出物10の内容判定などを行うことができる。
【0043】
また、ベルトコンベアなどで被検出物10を移動させるのではなく、受信コイル2を複数個設置した持ち運び可能なスキャナ34を使用することもできる。このとき、スキャナ34に設置する受信コイル2の配置は、直線状の1列に限定されるものではなく、被検出物10の遮蔽部11a〜11nの配置パターンに合わせて、縦横の行列状の配置に配置することもできる。スキャナ34を持ち運び可能とすることにより、被検出物10を移動させること無く、内容判定などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の物品情報取得装置の一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】図1の実施形態において、受信コイル2と遮蔽部11a〜11nの対応関係を示す平面図。
【図3】図1の物品情報取得装置を使用したテーブルの平面図。
【図4】図3のテーブルと椅子の着席検出装置とを組み合わせた、テーブルの利用状況を検出するシステムの機能ブロック図。
【図5】本発明における受信コイル2の他の配置例を示す平面図。
【図6】本発明をベルトコンベヤに組み込んだ実施形態を示す平面図。
【符号の説明】
【0045】
1…送信コイル
2…受信コイル
3…制御部
4…RF信号発信部
5…受信アンプ
6…A/Dコンバータ
7…配置パターン検出部
8…パターン定義部
9…情報判定部
10…被検出物
11…遮蔽物
11a〜11n…遮蔽部
12…テーブル
13…トレイ
15…椅子
17…テーブル利用検出部
18…表示制御部
19…ディスプレイ
20…通信機器
21…センタのサーバ
22…情報掲示板
33…ベルトコンベア
34…スキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信コイルと、この送信コイルとの間で無線通信を行う受信コイルと、この受信コイルが受信した無線信号に基づいて前記受信コイルと送信コイル間に遮蔽物が存在するか否かを検出する検出部とを備え、
被検出物が、その送信コイルとの対向面に、予め設定されたパターンに従って配置された1つまたは複数の遮蔽部を有する遮蔽物を備え、
前記検出部は、前記遮蔽物における前記遮蔽部の配置パターンとそれが意味する情報とを対応付けたパターン定義を保存するパターン定義部と、
前記遮蔽物が遮蔽した前記受信コイルの位置に基づいて、前記遮蔽部の配置パターンを検出する配置パターン検出部と、
この配置パターン検出部が検出した遮蔽部の配置パターンと、前記パターン定義部に保存された配置パターンとを照合して、前記被検出物に関する情報を、その被検出物が備える遮蔽物の遮蔽部の配置パターンから判定する情報判定部と、
を備えていることを特徴とする物品情報取得装置。
【請求項2】
前記複数の受信コイルが縦横の行列状に配置され、前記遮蔽部の配置パターンが受信コイルと同じピッチで縦横の行列状に配置された遮蔽部と開口部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品情報取得装置。
【請求項3】
縦横の行列状に配置された複数の受信コイルが、同じピッチで縦横の行列状に配置された遮蔽部の配置パターンよりも、その縦横の行列数がより多く設けられ、1つの遮蔽部が1個または複数個の受信コイルを遮蔽するものであることを特徴とする請求項2に記載の物品情報取得装置。
【請求項4】
前記被検出物がトレイであって、遮蔽物がトレイに設けられた金属材料から構成され、前記送信コイルと受信コイルがテーブルに設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品情報取得装置。
【請求項5】
前記複数の受信コイルが直線状の1列に配置され、前記遮蔽部の配置パターンが、受信コイルと同じ列数で、縦横の行列状に配置された遮蔽部と開口部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品情報取得装置。
【請求項6】
被検出物の移動手段を備え、この移動手段によって移動する被検出物の移動経路の近傍に複数の受信コイルが配置されていることを特徴とする請求項5に記載の物品情報取得装置。
【請求項7】
送信コイルと、この送信コイルとの間で無線通信を行う受信コイルと、この受信コイルが受信した無線信号に基づいて前記受信コイルと送信コイル間に遮蔽物が存在するか否かを検出するステップとを備え、
被検出物が、その送信コイルとの対向面に、予め設定されたパターンに従って配置された1つまたは複数の遮蔽部を有する遮蔽物を備え、
前記遮蔽物が遮蔽した前記受信コイルの位置に基づいて、前記遮蔽部の配置パターンを検出するステップと、
前記遮蔽物の配置パターンとそれが意味する情報とを対応付けたパターン定義を用いて、検出した遮蔽部の配置パターンと前記パターン定義によって定義された配置パターンとを照合して、前記被検出物に関する情報を、その被検出物が備える遮蔽物の遮蔽部の配置パターンから判定するステップと、
を備えていることを特徴とする物品情報取得方法。
【請求項8】
前記複数の受信コイルが縦横の行列状に配置され、前記遮蔽部の配置パターンが受信コイルと同じピッチで縦横の行列状に配置された遮蔽部と開口部と構成されていることを特徴とする請求項7に記載の物品情報取得方法。
【請求項9】
前記被検出物がトレイであって、遮蔽物がトレイに設けられた金属材料から構成され、前記送信コイルと受信コイルがテーブルに設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の物品情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−102555(P2010−102555A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274211(P2008−274211)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】