説明

物品投入設備および物品投入方法

【課題】集品容器を搬送する搬送装置の加速中または減速中であっても、投入装置により、搬送される集品容器に間違いなく物品を投入することができる物品投入設備および物品投入方法を提供する。
【解決手段】搬送装置14の集品容器12を搬送する速度を加速中または減速中の場合において、集品容器12の現在位置と、投入装置15の動作時間Tnの経過後に集品容器12が現在位置Eから移動する予測距離Fを加算した投入目標位置E+Fを求め、投入目標位置E+Fが投入装置15による物品の投入位置Gに達したときに、投入装置15による物品の投入動作を開始させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される集品容器へ投入装置によって自動的に物品の投入を行う物品投入設備および物品投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品投入設備が特許文献1に開示されている。
この特許文献1に記載された物品投入設備は、物品が投入される上方開口部を有する集品容器を搬送装置により搬送し、搬送装置による集品容器の搬送経路に沿って配置された投入装置によって、搬送される集品容器に物品を自動的に上方から投入する設備である。
搬送装置は、通常、一定速度で集品容器を搬送している。また投入装置が物品の投入動作を開始してからその動作を完了するまでには一定の動作時間を要するため、この動作時間を考慮して、集品容器が投入装置よりも搬送装置の上流側に位置するときに投入装置による物品の投入動作が開始される。
【0003】
このような物品収納設備では、投入装置により投入されるべき物品が投入の失敗により集品容器から零れて落下した場合、集品容器に対する物品の集品漏れ等の種々の問題が発生する。このため、これらの問題の発生を未然に防止すべく、集品容器を搬送する搬送装置を減速または一旦停止して落下物品の処理を行い、落下物品の処理が完了すると、搬送装置を加速して再び一定速度で集品容器を搬送し、投入装置による物品の投入を再開するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−222328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の物品投入設備では、投入装置は、搬送装置が集品容器を搬送する速度が一定であるという前提のもとに物品の投入動作を開始していた。このため、例えば緊急時等における搬送装置の加速中または減速中に、投入装置が投入開始の命令を受けた場合、集品容器が投入装置による投入完了位置に到達する前に投入装置の物品の投入動作が完了し、集品容器外に物品が零れ落ちる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、集品容器を搬送する搬送装置の加速中または減速中であっても、投入装置により、搬送される集品容器に間違いなく物品を投入することができる物品投入設備および物品投入方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載の如く、物品の出し入れが可能な上方開口部を有する集品容器を搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、搬送装置の搬送経路に沿って配置され、動作を開始してから一定の動作時間の経過後に、集品容器に対する物品の投入位置において、上方から集品容器の上方開口部へと物品の投入を行う投入装置と、搬送装置による集品容器の搬送速度が定速または加速中または減速中の場合において、集品容器の現在の搬送位置から、前記投入装置の動作時間の経過後に集品容器が現在位置から移動する予測距離を隔てた、予測位置を求め、この予測位置が、現在の搬送装置の速度の状況に応じて前記投入位置に合致すると見込まれたときに、前記投入装置による物品の投入動作を開始させる制御装置と、を備えたことを特徴とする。したがって本発明によれば、予測位置が、現在の搬送装置の速度の状況に応じて前記投入位置に合致すると見込まれたときに、前記投入装置による物品の投入動作を開始することにより、搬送装置が定速の場合はもちろん、搬送装置が加速中又は減速中であっても、投入装置によって正確に集品容器に物品を投入することが可能とされる。
【0008】
また本発明は、請求項4に記載の如く、物品の出し入れが可能な上方開口部を有する集品容器を搬送経路に沿って搬送し、搬送装置の搬送経路に沿って配置された投入装置によって、この投入装置が動作を開始してから一定の動作時間の経過後に、集品容器に対する物品の投入位置において、上方から集品容器の上方開口部へと物品の投入を行うに際し、搬送装置による集品容器の搬送速度が定速または加速中または減速中の場合において、集品容器の現在の搬送位置から、投入装置の動作時間の経過後に集品容器が現在位置から移動する予測距離を隔てた、予測位置を求め、この予測位置が、現在の搬送装置の速度の状況に応じて前記投入位置に合致すると見込まれたときに、前記投入装置による物品の投入動作を開始することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、請求項2に記載の如く、搬送装置による集品容器の搬送速度が加速中の場合、搬送装置による集品容器の現在の搬送速度が増加するほど予測距離が大きくなる構成としたことが好適である。このような構成によれば、搬送装置による集品容器の搬送速度が加速中の場合に、物品を外に零すことなく、投入装置から集品容器内に確実に投入することが可能とされる。
また本発明は、請求項3に記載の如く、搬送装置による集品容器の搬送速度が減速中の場合、搬送装置による集品容器の現在の搬送速度が減少するほど予測距離が小さくなる構成としたことが好適である。このような構成によれば、搬送装置による集品容器の搬送速度が加速中の場合に、物品を外に零すことなく、投入装置から集品容器内に確実に投入することが可能とされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の物品投入設備および物品投入方法によれば、搬送装置による集品容器の搬送速度が定速または加速中または減速中の場合において、集品容器の現在の搬送位置から、投入装置の動作時間の経過後に集品容器が現在位置から移動する予測距離を隔てた予測位置を求め、この予測位置が、現在の搬送装置の速度の状況に応じて前記投入位置に合致すると見込まれたときに、前記投入装置による物品の投入動作を開始することにより、搬送装置が定速の場合はもちろん、搬送装置が加速中又は減速中であっても、投入装置によって正確に集品容器に物品を投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における物品投入設備の全体構成を示す平面図である。
【図2】同物品投入設備における投入装置の投入動作の説明図である。
【図3】同物品投入設備において、搬送装置の搬送速度の状態に応じて、投入装置の動作時間中に集品容器が移動される距離を説明する図であり、(a)は搬送速度が一定の場合、(b)は加速中の場合、(c)は加速中に一定速度に達する場合、(d)は減速中の場合、(e)は減速中に速度がゼロになる場合を示す。
【図4】同物品投入設備において、搬送装置の搬送速度の状態に応じて、投入装置の動作時間中に集品容器が移動される距離の変化を示す模式平面図であり、(a)は搬送速度がゼロの状態、(b)は加速中を始めた状態、(c)は加速中若しくは一定速度において目標投入位置に到達した状態、(d)は減速を始めた状態、(e)は減速中に目標投入位置に到達した状態、(f)は減速中に速度がゼロになった状態を示す。
【図5】同物品投入設備における投入装置についての制御構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、集品容器12に物品13を自動的に投入するための物品投入設備11の全体構成を示す平面図である。
この物品投入設備11は、ベルトコンベヤ装置等から構成される搬送装置14により複数の集品容器12を搬送経路に沿って搬送し、搬送経路に沿って配置された投入装置15により、物品12の出し入れが可能な上方開口部を有する集品容器12に自動的に物品13を上方から投入することで、集品容器12に対する物品13の集品を行う設備である。
【0013】
搬送装置14は、原則として、一定速度により集品容器14を搬送する。各集品容器12には、集品容器12毎に異なる独立した識別情報を有する、例えば、識別ラベルが付与されており、投入装置15より上流位置には、集品容器12の識別情報を読み取るための読取装置18が配置されている。搬送装置14には、搬送装置14の回転部の動作に基づいてパルス信号を出力するエンコーダ19が備えられている。また投入装置15による物品13の投入動作を開始するタイミングを制御し、投入装置15に投入開始信号を出力する制御装置20(図5)が備えられている。
【0014】
図1において、読取装置18より下流位置には、作業者(図示せず)が作業を担当する作業領域Z(ゾーンともいう)が、搬送装置14の搬送方向に沿って複数配置されている。
作業領域Zには、種類毎の物品13を保管する物品保管手段30と、作業者によって物品保管手段30から取り出された物品13を搬送装置14により搬送される集品容器12に自動的に投入する複数の投入装置15とが備えられている。
【0015】
各作業領域Zの作業者は、自分の担当する作業領域Zの物品保管手段30から物品13を取り出して、投入装置15の内部に載置する。投入装置15は、対象の集品容器12が搬送されてくると、所定のタイミングにより、内部に載置された物品13を集品容器12の上方開口部に落下させて投入する。
【0016】
投入装置には、種々の形式のものがあるが、ここでは、一例として、図2に、投入ベルト16を用いる形式の投入装置15を挙げ、その投入動作について説明する。この投入装置15は、物品13が載置された投入ベルト16を循環駆動して、投入ベルト16を対象の集品容器12の上方に垂らし、投入ベルト16上の物品13を集品容器12に投入するものである。
【0017】
まず、図2(a)に示すように、始端側および終端側が保持固定された投入ベルト16上に物品13を載置する。次に、図2(b)に示すように、投入ベルト16の終端側を下方に送り、その終端を下方に垂らす。次に、図2(c)に示すように、投入ベルト16の終端を解放して完全に垂らし、搬送装置14によって搬送されている集品容器12に投入ベルト16を進入させて、物品13を穏やかに投入する。次に、図2(d)に示すように、投入ベルト16の始端を循環駆動することにより、物品13から投入ベルト16の終端を引き抜き、物品13を集品容器12内に投入する。そして、投入ベルト16の始端をさらに循環駆動することにより、再び図2(a)に示す状態に戻る。
このように行われる投入装置15による物品13の投入動作は、一定の動作時間で行われる。特に、図2(b)に示すように投入ベルト16の終端側を下方に送る動作を開始してから、図2(d)に示すように集品容器12への物品13の投入を完了するまでの動作時間が存在する。対象の集品容器12は、投入装置15の動作時間が経過する間、図2(a)〜(d)に示すように、搬送装置14により下流に搬送されて移動する。
【0018】
なお、他の投入装置であっても、同様の動作時間が存在する。例えば、下方に開放可能な観音開きの扉部を備えたものがある。これは、物品13を扉部に載置し、対象の集品容器12が搬送されてくると、扉部を開放して物品13を下方に落下させる形式である。この場合は、投入ベルト16を用いる形式の投入装置15よりも動作時間は短いが、動作時間が経過する間、対象の集品容器が下流に搬送されて移動する点は同じである。
【0019】
投入装置15の動作時間は、搬送装置14の搬送速度によらず一定とされる。
投入装置15の動作時間は1種類で足りるが、必要に応じて、複数の長さの異なる動作時間の中から適切な動作時間を選択できるようにしてもよい。例えば、投入ベルト16を用いる形式の投入装置15では、投入ベルト16を下方に垂らす距離を変更することにより、投入装置15が物品13を投入する動作時間を変更することができる。例えば、集品容器12の大きさ(物品13を収納するための空間の深さ)が小さくなった場合や、集品容器12内の収納深さに対して集品容器12内に既に物品13が所定の高さ分だけ収納されている場合等に、投入ベルト16を垂らす距離を短くして、より集品容器12から物品13が零れにくくする場合である。この場合、投入装置15の動作時間は、投入ベルト16を通常距離だけ垂らす場合よりも短くなる。
【0020】
集品容器12外に投入すべき物品13が落下する等して投入装置15による集品容器12への物品13の投入が失敗したときの緊急時等には、作業者が押圧スイッチ等を操作する等して、落下した物品13を投入予定であった集品容器12へ投入し直す処理等を行うために、搬送装置14を一旦停止する。そして、落下した物品13の処理等が完了すると、再び、作業者が押圧スイッチ等を操作する等して、搬送装置14による集品容器12の搬送を再開する。この際、搬送装置14は、所定の減速度(負の加速度)により、所定時間を掛けて一定速度からゼロの速度まで下げられて一旦停止され、再駆動する際は、所定の加速度(正の加速度)により、所定時間を掛けてゼロの速度から一定速度まで上げられる。
【0021】
以下に、図3および図4を用いて、搬送装置14が一定速度の場合,搬送装置14が加速中の場合,搬送装置14が減速中の場合のそれぞれに関し、投入装置15による物品13の投入動作を開始するタイミングについて説明する。ここで、説明にあたり、符号を次のように定義する。
Vmax:搬送装置14が集品容器12を搬送する一定速度。
V0:搬送装置14が集品容器12を搬送している現在の速度(投入装置15が投入動作を開始したときに搬送装置14が集品容器12を搬送している速度)。
Tn:投入装置15が投入を開始してから投入を完了するまでに要する動作時間。
Tmax:投入装置15が投入動作を開始してから搬送装置14の速度がVmaxに達する(あるいはゼロになる)までに要する時間。
Ta:搬送装置14の速度がゼロからVmaxに達するまでに要する加速時間。
Td:搬送装置14の速度がVmaxからゼロになるまでに要する減速時間。
α:加速比であり、α=Tn/Taである。
β:減速比であり、β=Tn/Tdである。
E:集品容器12の現在位置。
F:Tn経過後に集品容器12が現在位置から移動する予測距離。
G:投入位置。
なお、EとGは、任意の位置を共通の基準位置として、その基準位置からの距離によってそれぞれ表すこともできる。例えば、作業領域Zの開始位置を基準位置としてもよいし、読取装置18の設置位置を基準位置としてもよい。
【0022】
以下に、搬送装置14の搬送速度がVmaxで一定の場合、搬送装置14を加速中の場合、搬送装置14を減速中の場合について、それぞれ説明する。
以下の各場合において、E、Gを基準位置からの距離で表して、G≦E+Fとなったときに投入装置15は投入動作を開始する点は共通である。上式において、E+Fで表される位置を「投入目標位置」と称する。
【0023】
1.搬送装置14の搬送速度がVmaxで一定の場合
この場合、図3(a)に示すように、
F=Vmax × Tn
すなわち、予測距離Fは、一辺が搬送速度Vmax、他辺が動作時間Tnである四辺形の面積によって表される。なお、図3において、横軸は時間を表し、縦軸は速度を表す。
したがって、予測距離Fは、投入装置15が投入を開始してから投入を完了するまでに要する動作時間Tnの間は変化せずに常に一定である。この様子を図4(a)の模式平面図に示す。図4(a)において、E+F、すなわちFを表示する矢印の左端の位置が投入目標位置を示している。
この図4(a)に示す状態から、搬送装置14が集品容器12を搬送することで、投入目標位置であるE+F(Fを表示する矢印の左端の位置)が投入位置G(図4(a)においてGを表示する矢印の左端の位置)に達すると、投入装置15による物品13の投入動作が開始される。このとき、集品容器12は、投入位置Gよりも予測距離Fだけ手前に位置している。そして、それから動作時間Tnの経過後に、投入装置15による集品容器12への物品13(図2)の実際の投入動作が行われる。このとき、集品容器12は位置Gに到達している。これにより、外に零すことなく、物品13を投入装置15から集品容器12内に確実に投入することができる。
【0024】
2.搬送装置14が等加速度で加速中の場合
この場合、投入装置15が投入を開始してから投入を完了するまでに要する動作時間Tnと、投入装置15が投入動作を開始してから搬送装置14の速度がVmaxに達するまでに要する時間Tmaxとの大小関係によって、予測距離Fの求め方が異なる。すなわち、Tn<Tmaxの場合と、Tn≧Tmaxの場合とで、Fの求め方が異なる。
(1)Tn<Tmaxの場合
この場合、図3(b)に示すように、
F=1/2 × {V0+(V0−Vmax×α)} × Tn
すなわち、予測距離Fは、(V0−Vmax×α)を上底、V0を下底、Tnを高さとする台形の面積によって表される。
したがって、図4(b),(c)に示すように、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が増加するほど予測距離Fが大きくなり、加えて、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が増加する間に集品容器12が下流へ搬送されて現在位置Eの値も大きくなる。EにFを加算した投入予測位置E+Fが投入目標位置Gに達すると、その時点で投入装置15の投入動作が開始され、それから動作時間Tnの経過後に投入装置15による投入が行われ、そのときに集品容器12は投入位置Gに到達している。これにより、外に零すことなく、物品13を投入装置15から集品容器12内に確実に投入することができる。
【0025】
(2)Tn≧Tmaxの場合
この場合、図3(c)に示すように、
F=1/2 × (V0+Vmax)×Tmax +(Tn−Tmax)×Vmax
となる。
よって、図4(b),(c)に示すように、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が増加するほど予測距離Fが大きくなり、動作時間Tnが経過するまでに搬送速度がVmaxに達し、加えて、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が増加する間に集品容器12は下流へ搬送されてその現在位置Eも大きくなる。EにFを加算した投入予測位置E+Fが投入位置Gに達すると、その時点で投入装置15の投入動作が開始され、それから動作時間Tnの経過後に投入装置15による投入が行われ、そのときに集品容器12は投入位置Gに到達している。これにより、外に零すことなく、物品13を投入装置15から集品容器12内に確実に投入することができる。
【0026】
3.搬送装置14が等加速度で減速中の場合
この場合も、投入装置15が投入を開始してから投入を完了するまでに要する動作時間Tnと、投入装置15が投入動作を開始してから搬送装置14の速度がゼロになるまでに要する時間Tmaxとの大小関係によって、予測距離Fの求め方が異なる。すなわち、Tn<Tmaxの場合と、Tn≧Tmaxの場合とで、Fの求め方が異なる。
(1)Tn<Tmaxの場合
この場合、図3(d)に示すように、
F=1/2 × {V0+(V0−Vmax×β)} × Tn
となる。すなわち、予測距離Fは、(V0−Vmax×β)を上底、V0を下底、Tnを高さとする台形の面積によって表される。
したがって、図4(d),(e)に示すように、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が減少するほど予測距離Fが小さくなるものの、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が減少する間に集品容器12は下流へ搬送されてその現在位置Eも大きくなる。EにFを加算した投入予測位置E+Fが投入位置Gに達すると、その時点で投入装置15の投入動作が開始され、それから動作時間Tnの経過後に投入装置15による投入が行われ、そのときに集品容器12は投入位置Gに到達している。これにより、外に零すことなく、物品13を投入装置15から集品容器12内に確実に投入することができる。
【0027】
(2)Tn≧Tmaxの場合
この場合、図3(e)に示すように、
F=1/2 × V0 ×Tmax
となる。
よって、図4(d),(e)に示すように、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が減少するほど予測距離Fが小さくなるものの、搬送装置14による集品容器12の現在の搬送速度V0が減少する間に集品容器12は下流へ搬送されてその現在位置Eも大きくなる。EにFを加算した投入予測位置E+Fが投入位置Gに達すると、その時点で投入装置15の投入動作が開始され、それから動作時間Tnの経過後に投入装置15による投入が行われ、そのときに集品容器12は投入位置Gに到達している。これにより、外に零すことなく、物品13を投入装置15から集品容器12内に確実に投入することができる。
【0028】
また、EにFを加算した投入予測位置E+Fが投入位置Gに達しないままV0がゼロになった場合は、図4(f)に示すように、投入装置15による投入動作は開始されない。この場合、投入装置15による対象の集品容器12への物品13の投入は、搬送装置14を再駆動した後、上述の搬送装置14の加速中における動作により行われる。
【0029】
このように、集品容器12を搬送する搬送装置14の加速中または減速中において、集品容器12の現在位置Eと投入装置15による投入動作時間Tnの経過後に集品容器12が現在位置Eから移動する予測距離Fを加算した投入予測位置E+Fが、投入装置15による投入位置Gに達したときに、投入装置15による物品の投入動作を開始させるように構成したことにより、搬送装置14によって搬送される集品容器12に対して零さずに物品13を投入することができる。
【0030】
以下に、投入装置15の投入動作を開始するタイミングを制御する制御装置の構造について説明する。
図1に示す物品投入設備11には、図5に示す制御装置20が備えられている。制御装置20は、集品容器12の搬送位置を求める追跡部21と、予め設定されたパラメータを保存している記憶部23と、投入装置15の投入動作を開始させるときの集品容器12の位置を計算する演算部24と、投入装置15に投入開始信号を出力する指令部25とを有している。
【0031】
追跡部21は、読取装置18から入力する識別情報およびエンコーダ19から入力するパルス信号に基づいて、基準位置からみた各集品容器12の現在位置E(距離にて表したもの)を演算し記憶している。
記憶部23は、各種パラメータを記憶しており、搬送装置14が集品容器12を搬送する一定速度Vmax、投入装置15が投入開始から投入完了までに要する動作時間Tn、投入装置15が投入動作を開始してから搬送装置14の速度が一定速度Vmaxに達する(あるいはゼロになる)までに要する時間Tmax、搬送装置14の速度がゼロから一定速度Vmaxに達するまでに要する加速時間Ta、搬送装置14の速度が一定速度Vmaxからゼロになるまでに要する減速時間Td、加速比α、減速比βを記憶している。
【0032】
演算部24は、予測距離Fと投入目標位置E+Fとを演算するものであり、信号発生器26から投入準備信号を入力すると、集品容器12の現在位置Eを追跡部21より取得し、取得した集品容器12の現在位置Eの時間変化から搬送装置14が集品容器12を搬送する現在の速度V0を求める。そして、演算部24は、記憶部23から各種パラメータを取得して、上述の計算式による予測距離Fと、投入目標位置E+Fとを演算し、指令部25に出力する。
【0033】
指令部25は、演算部24より投入目標位置E+Fを入力すると、記憶部23から投入装置15による投入位置Gを取得し、演算部24より入力する投入目標位置E+Fが、投入装置15による投入位置Gに達すると、投入装置15に投入開始信号を出力する。これにより、投入装置15の投入動作が開始される。
【0034】
以上のように、本実施の形態では、信号発生器26により投入装置15の投入準備信号が入力されると、搬送装置14が集品容器12を搬送する速度およびその加減速の状況に応じて、投入装置15による投入の動作時間Tn中に搬送装置14により集品容器12が移動される予測距離Fが求められ、投入装置15による投入位置Gよりも予測距離Fだけ手前の位置に集品容器12が到達したときに、投入装置15の投入動作が開始される構成としたことにより、搬送装置14の加減速を行う場合であっても、集品容器12外に物品13が落下することを防止でき、投入装置15から集品容器12内に間違いなく物品13を投入することができる。
【符号の説明】
【0035】
Z 作業領域
11 物品投入設備
12 集品容器
13 物品
14 搬送装置
15 投入装置
16 投入ベルト
18 読取装置
19 エンコーダ
20 制御装置
21 追跡部
23 記憶部
24 演算部
25 指令部
26 信号発生器
30 物品保管手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の出し入れが可能な上方開口部を有する集品容器を搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、
搬送装置の搬送経路に沿って配置され、動作を開始してから一定の動作時間の経過後に、集品容器が搬送経路における物品の投入位置に達したときに、上方から集品容器の上方開口部へと物品の投入を行う投入装置と、
搬送装置による集品容器の搬送速度が定速または加速中または減速中の場合において、集品容器の現在の搬送位置から、前記投入装置の動作時間の経過後に集品容器が現在位置から移動する予測距離を隔てた、目標位置を求め、この目標位置が、現在の搬送装置の速度の状況に応じて前記投入位置に合致すると見込まれたときに、前記投入装置による物品の投入動作を開始させる制御装置と、
を備えたことを特徴とする物品投入設備。
【請求項2】
搬送装置による集品容器の搬送速度が加速中の場合、搬送装置による集品容器の現在の搬送速度が増加するほど予測距離が大きくなる構成としたこと
を特徴とする請求項1に記載の物品投入設備。
【請求項3】
搬送装置による集品容器の搬送速度が減速中の場合、搬送装置による集品容器の現在の搬送速度が減少するほど予測距離が小さくなる構成としたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の物品投入設備。
【請求項4】
物品の出し入れが可能な上方開口部を有する集品容器を搬送経路に沿って搬送し、
搬送装置の搬送経路に沿って配置された投入装置によって、この投入装置が動作を開始してから一定の動作時間の経過後に、集品容器が搬送経路における物品の投入位置に達したときに、上方から集品容器の上方開口部へ物品の投入を行うに際し、
搬送装置による集品容器の搬送速度が定速または加速中または減速中の場合において、集品容器の現在の搬送位置から、投入装置の動作時間の経過後に集品容器が現在位置から移動する予測距離を隔てた、目標位置を求め、
この目標位置が、現在の搬送装置の速度の状況に応じて前記投入位置に合致すると見込まれたときに、前記投入装置による物品の投入動作を開始すること
を特徴とする物品投入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−95588(P2013−95588A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242958(P2011−242958)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】