説明

物品挿入ユニット

【課題】台紙付きフィルム包装体の製造を自動化すべく、台紙付きフィルムに物品を自動挿入することができる物品挿入ユニットを提供する。
【解決手段】物品供給位置γに設置された、物品Gを寝かせた状態で載置する物品載置台41と、位置決めガイド32によって物品挿入位置δに位置決めされた包材MFを吸引保持する吸引パッド34と、吸引パッド34によって吸引保持されている包材MFの筒状シュリンクフィルムFを予備的に開口する予備開口手段42と、予備開口手段42によって予備的に開口した筒状シュリンクフィルムFの開口端に下側固定ガイド44a及び閉じた上側可動ガイド44bを挿入し、上側可動ガイド44bを開くことによって、筒状シュリンクフィルムFを物品Gの挿入端部(頭部)より大きく拡開する拡開手段43と、拡開手段43によって開口端が拡開された筒状シュリンクフィルムFに物品Gを押し込むプッシャ49とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台紙に固着された筒状のフィルムに物品を挿入するための物品挿入ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
箱詰め包装等に比べて製造コストが安く、購入者は商品を見て選べる等の利点があるため、プラスチックシートを真空成形することによって物品収容凹部を形成し、この物品収容凹部に物品を収容した状態で、プラスチックシートにおける物品収容凹部の外側部分を厚紙等からなる台紙に固着してなる、所謂、ブリスターパックと呼ばれる包装形態が従来から採用されているが、近年では、さらにコストダウンを図るために、筒状のシュリンクフィルム等によってオーバーラップ包装を施した物品が台紙に接着固定された新たな包装形態が採用されるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−244832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こういった台紙付きフィルム包装体を製造するには、例えば、筒状のシュリンクフィルムを台紙に固着してなる台紙付きフィルムを予め製造しておき、この台紙付きフィルムにおける筒状のシュリンクフィルムに物品を手作業で挿入した後、シュリンクフィルムを加熱収縮させることによってシュリンクフィルムを物品に密着させることになるが、物品を手作業で筒状のシュリンクフィルムに挿入していたのでは、生産性が悪く、製造コストが高くなるといった問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、台紙付きフィルム包装体の製造を自動化すべく、台紙付きフィルムに物品を自動挿入することができる物品挿入ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、台紙に筒状フィルムが固着された包材における筒状フィルムに物品を挿入するための物品挿入ユニットであって、物品を寝かせた状態で載置する載置台と、包材を、その筒状フィルムの開口端が前記載置台に載置された物品の挿入端と対向するように、その台紙部分を保持する保持手段と、前記保持手段によって包材を保持した状態で、筒状フィルムを予備的に開口する予備開口手段と、前記予備開口手段によって予備的に開口した筒状フィルムの開口端を物品の挿入端部より大きく拡開する拡開手段と、前記拡開手段によって開口端が拡開された筒状フィルムに物品を押し込む物品押込手段とを備え、前記拡開手段は、相対的に開閉可能な複数のガイド体を有し、予備開口された筒状フィルムの開口端に、閉じた状態の前記ガイド体を挿入し、そのガイド体を開くことによって筒状フィルムを拡開するようにしたことを特徴とする物品挿入ユニットを提供するものである。なお、ここにいう「台紙」は、厚紙等の紙製のものに限定されるものではなく、プラスチックシート等からなる合成樹脂製のものも含まれる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の物品挿入ユニットにおいて、前記ガイド体は、筒状フィルムの開口端を通過する物品の断面形状に応じて、開閉するようになっていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の物品挿入ユニットにおいて、物品の挿入端が筒状フィルムの開口端に挿入されると、前記ガイド体は筒状フィルムの外側に待避するようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、請求項1に係る発明の物品挿入ユニットでは、保持手段が、筒状フィルムの開口端が載置台に載置された物品の挿入端部と対向するように、保持手段が包材の台紙部分を保持した状態で、予備開口手段が筒状フィルムを予備的に開口した後、拡開手段を構成している閉じた状態のガイド体を筒状フィルムの開口端に挿入して開くことによって筒状フィルムを拡開し、その状態で、物品押込手段が物品を筒状フィルム内に押し込むことで、包材の筒状フィルムに物品を自動挿入することができるので、この物品挿入ユニットを搭載することによって、台紙付きフィルム包装体の製造を自動化することができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明の物品挿入ユニットでは、ガイド体が、筒状フィルムの開口端を通過する物品の断面形状に応じて、開閉するようになっているので、包装しようとしている物品が、全長に渡って断面形状が大きく変化するチューブ容器等のようなものであっても、物品における筒状フィルムの開口端を通過する部分の形状に合わせて筒状フィルムの開口端を拡開することができ、物品を筒状フィルムに円滑に挿入することができる。
【0011】
また、請求項3に係る発明の物品挿入ユニットでは、物品の挿入端が筒状フィルムの開口端に挿入されると、ガイド体が筒状フィルムの外側に待避するようになっているので、包装しようとしている物品が、全長に渡って断面形状が大きく変化するチューブ容器等のようなものであっても、筒状フィルム自体が物品に沿うように変形しながら、物品が筒状フィルムに挿入されていくことになり、請求項2に係る発明の物品挿入ユニットと同様に、物品を筒状フィルムに円滑に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る物品挿入ユニットが搭載された台紙付きフィルム包装体の製造装置の一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】同上の製造装置を構成している包材供給ユニットを示す概略側面図である。
【図3】(a)は同上の包材供給ユニットを構成しているストッカを示す平面図、(b)は同上の包材供給ユニットを構成している包材載置台部分を示す平面図である。
【図4】同上の包材供給ユニットの包材載置台部分を示す部分拡大縦断面図である。
【図5】同上の製造装置を構成している開口・挿入ユニットを示す平面図である。
【図6】同上の開口・挿入ユニットを示す側面図である。
【図7】(a)は同上の開口・挿入ユニットを構成している拡開手段における上側可動ガイドが閉じた状態を示す概略正面図、(b)は同上の拡開手段における上側可動ガイドが開いた状態を示す概略正面図である。
【図8】(a)〜(j)は同上の開口・挿入ユニットの動作を説明するための動作説明図である。
【図9】(a)〜(c)は同上の拡開手段による筒状シュリンクフィルムの拡開動作を説明するための動作説明図である。
【図10】同上の製造装置を構成している中間包装体搬出ユニットを示す概略側面図である。
【図11】(a)〜(c)は他の実施形態である製造装置における拡開手段の動作を説明するための動作説明図である。
【図12】(a)〜(d)は同上の拡開手段による筒状シュリンクフィルムの拡開動作を説明するための動作説明図である。
【図13】(a)〜(g)は同上の台紙付きフィルム包装体の異なる製造方法を示す工程図である。
【図14】(a)〜(g)は同上の台紙付きフィルム包装体の異なる製造方法を示す工程図である。
【図15】(a)〜(f)は同上の台紙付きフィルム包装体の異なる製造方法を示す工程図である。
【図16】(a)は同上の台紙付きフィルム包装体を示す正面図、(b)は同上の台紙付きフィルム包装体を示す側面図である。
【図17】(a)は同上の台紙付きフィルム包装体の製造に使用する包材を示す正面図、(b)は同上の包材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、図16(a)、(b)及び図17(a)、(b)に示すように、厚紙やプラスチックシート等からなる台紙Mにシート状に折り畳まれた状態の筒状シュリンクフィルムFが固着された包材MFにおける筒状シュリンクフィルムF内にボトルタイプの物品Gを挿入し、台紙Mの一端と物品Gの一端(底面)とが一致するように位置決めした状態で筒状シュリンクフィルムFを加熱収縮させた、自立性を有する台紙付きフィルム包装体PGを製造するための製造装置1を示しており、この製造装置1には、本発明に係る物品挿入ユニットの一実施形態である開口・挿入ユニットが搭載されている。なお、包材MFにおける筒状シュリンクフィルムF内に物品Gを挿入したものを、以下、中間包装体RPという。
【0014】
この台紙付きフィルム包装体PGの製造装置1は、同図に示すように、包材MFを包材供給位置αに順次供給する包材供給ユニット10と、包装しようとする物品Gを、物品受渡位置βを介して、物品供給位置γに順次供給する物品供給ユニット20と、前記包材供給ユニット10によって包材供給位置αに供給された包材MFを物品挿入位置δに順次搬送する包材・中間包装体搬送ユニット30と、この包材・中間包装体搬送ユニット30によって物品挿入位置δに搬送されてきた包材MFにおける筒状シュリンクフィルムFを開口し、物品供給ユニット20によって物品供給位置γに供給される物品Gを、開口された筒状シュリンクフィルムF内に挿入することで中間包装体RPを形成する開口・挿入ユニット40と、この開口・挿入ユニット40によって、包材MFにおける筒状シュリンクフィルムF内に物品Gが挿入された中間包装体RPを搬出する中間包装体搬出ユニット50とを備えており、前記包材・中間包装体搬送ユニット30は、物品挿入位置δにおいて、包材MFにおける筒状シュリンクフィルムF内に物品Gが挿入された中間包装体RPを中間包装体搬出位置εまで搬送するようになっている。なお、前記中間包装体搬出ユニット50によって搬出される中間包装体RPは、図示しない加熱ユニットによって加熱され、筒状シュリンクフィルムFが熱収縮することにより、筒状シュリンクフィルムFが物品Gに密着した台紙付きフィルム包装体PGが製造される。
【0015】
前記包材供給ユニット10は、図2〜図4に示すように、多数の包材MFを集積するストッカ11と、このストッカ11に集積された多数の包材MFから最下位の包材MFを取り出す、ストッカ11の下方側で昇降する吸引パッド12aを有する包材取出手段12と、この包材取出手段12によって、ストッカ11から取り出された包材MFを載置する包材載置台13と、この包材載置台13に載置された包材MFを包材供給位置αに押し出すプッシャ14とを備えている。
【0016】
前記ストッカ11は、その下端開口部に包材MFにおける幅方向の両側縁をそれぞれ係止する係止爪11aを有しており、この係止爪11aに係止されている最下位の包材MFの下面を吸引パッド12aによって吸引保持した状態で、その吸引パッド12aが降下することにより、最下位の包材MFが係止爪11aから外れてストッカ11から取り出されるようになっている。
【0017】
前記物品供給ユニット20は、図1に示すように、物品を物品受渡位置βに順次搬送するバケットコンベア21と、バケットコンベア21によって物品受渡位置βに供給された物品を物品供給位置γに順次押し出すプッシャ22とを備えている。
【0018】
前記包材・中間包装体搬送ユニット30は、図1、図3(b)及び図4に示すように、同心円上に設定された包材供給位置α、物品挿入位置δ及び中間包装体搬出位置εを含む略円盤状の回転テーブル31と、包材供給位置α、物品挿入位置δ及び中間包装体搬出位置εに対応するように、90度の割出角度で回転テーブル31上に設けられた、包材MFが嵌り込んで位置決めされる位置決めガイド32と、位置決めガイド32によって位置決めされた包材MFにおける台紙Mを下方側から吸引保持する吸引パッド34とを備えており、回転テーブル31は、図示しない駆動手段によって、90度の回転角度で間欠的に回転駆動するようになっている。
【0019】
前記位置決めガイド32は、回転テーブル31の周縁側が開放されており、回転テーブル31の外側から、包材供給位置αに位置している位置決めガイド32内に包材MFを供給したり、中間包装体搬出位置εに位置している位置決めガイド32内に嵌り込んでいる中間包装体RPを回転テーブル31の外側に排出したりすることができるようになっている。
【0020】
また、位置決めガイド32には、回転テーブル31の回転中心側の辺部内縁に後述する中間包装体搬出ユニット50の掛止爪54が侵入可能な切欠部32aが形成されており、中間包装体RPを位置決めした状態で、掛止爪54を中間包装体RPにおける台紙Mの端縁に掛止することができるようになっている。
【0021】
また、回転テーブル31の外周縁には、図1に示すように、各ガイドフレーム32の開放端を開閉する開閉機構33が設けられており、中間包装体RPを物品挿入位置δから中間包装体搬出位置εまで搬送する間に、回転テーブル31の回転に伴う遠心力によって、包材MFの筒状シュリンクフィルムFから物品Gが飛び出さないように、各位置決めガイド32が物品挿入位置δから中間包装体搬出位置εまで移動する間は、その位置決めガイド32に対応する開閉機構33がその位置決めガイド32の開放端を閉塞するようになっている。
【0022】
前記開口・挿入ユニット40は、図5〜図7(a)、(b)に示すように、物品供給位置γに設置された、物品Gを寝かせた状態で載置する物品載置台41と、位置決めガイド32によって物品挿入位置δに位置決めされた包材MFを吸引保持する吸引パッド34と、物品挿入位置δに位置決めされた状態で、吸引パッド34によって吸引保持されている包材MFの筒状シュリンクフィルムFを予備的に開口する予備開口手段42と、この予備開口手段42によって予備的に開口した筒状シュリンクフィルムFの開口端を物品Gの挿入端部(頭部)より大きく拡開する拡開手段43と、この拡開手段43によって開口端が拡開された筒状シュリンクフィルムFに物品Gを押し込むプッシャ49とを備えており、物品載置台41は、物品挿入位置δ側に対して進退可能に支持され、駆動シリンダによって進退駆動されるようになっている。なお、物品載置台41は、必ずしも、駆動シリンダによって進退駆動させる必要はなく、例えば、カム機構や他の駆動手段によって進退させることも可能である。
【0023】
前記予備開口手段42は、物品挿入位置δにおいて、位置決めガイド32によって位置決めされた包材MFの台紙Mを吸引保持する、上述した包材・中間包装体搬送ユニット30の構成要素である吸引パッド34と、包材MFの上方側で昇降する、包材MFにおける筒状シュリンクフィルムFの上面を吸引保持する上側吸引パッド42aとから構成されており、図8(a)〜(c)に示すように、折り畳まれた状態で台紙Mに固着されている筒状シュリンクフィルムFをこの上側吸引パッド42aによって台紙Mとの間に挟み込んで筒状シュリンクフィルムFを吸引保持した後、上側吸引パッド42aを上昇させることで、図9(a)に示すように、筒状シュリンクフィルムFを予備的に開口するようになっている。
【0024】
前記拡開手段43は、物品載置台41の前端面に固定設置された、回転テーブル31側に張り出す下側固定ガイド44aと、物品載置台41の前端部に回動可能に支持された左右一対の回動アーム45の先端に、回転テーブル31側に張り出すように、それぞれ取り付けられた左右一対の上側可動ガイド44bと、回動アーム45と一体的に動くように、回動アーム45が固定されている回転軸に固定された左右一対の開閉操作レバー46と、この開閉操作レバー46の先端に取り付けられたカムフォロア47a及びこのカムフォロア47aに当接するカム面を有し、相互に接近離反する左右一対の操作部材47bからなるカム機構と、左右一対の開閉操作レバー46の先端部をそれぞれ外側に付勢するコイルばね48とを備えており、図8(d)〜(g)に示すように、左右一対の上側可動ガイド44aを閉じた状態で、物品載置台41を前進させることにより、図9(b)に示すように、下側固定ガイド44a及び上側可動ガイド44bが予備開口された筒状シュリンクフィルムFに挿入され、左右一対の操作部材47bを接近させることによって左右一対の開閉操作レバー46を回動させると、同図(c)に示すように、左右一対の上側可動ガイド44bが開いて、筒状シュリンクフィルムFの開口端を物品Gの挿入端よりも大きく拡開させるようになっている。
【0025】
前記プッシャ49は、物品供給ユニット20のプッシャ22と同期が取られており、図8(h)に示すように、拡開手段43によって、筒状シュリンクフィルムFの開口端を物品Gの挿入端部(頭部)より大きく拡開した状態で、プッシャ49が物品Gを押し込むと、図9(c)に示すように、物品Gが下側固定ガイド44a及び上側可動ガイド44bの内側を通って筒状シュリンクフィルムFに挿入されると同時に、バケットコンベア21によって物品受渡位置βに供給された物品Gがプッシャ22によって物品供給位置γに押し出されるようになっている。
【0026】
物品Gが筒状シュリンクフィルムFに完全に挿入されると、図8(i)に示すように、物品載置台41が初期位置に後退することで、下側固定ガイド44a及び上側可動ガイド44bが筒状シュリンクフィルムFから引き抜かれ、同図(j)に示すように、開閉機構33が位置決めガイド32の開放端を閉塞すると共に、上側可動ガイド44bが閉じることによって、初期状態に戻るようになっている。
【0027】
前記中間包装体搬出ユニット50は、図10に示すように、中間包装体RPの排出方向に延びるスライドレール51と、このスライドレール51に沿って進退するスライドガイド52と、このスライドガイド52に固定設置された昇降シリンダ53と、この昇降シリンダ53のピストンロッドに固定された掛止爪54と、スライドガイド52に固定設置された、下端部が中間包装体RPの物品Gの一端側(頭部)に当接する固定アーム55と、スライドガイド52に固定設置された進退シリンダ56と、中間部がスライドガイド52に回転可能に支持されると共に進退シリンダ56のピストンロッドに一端部が回動可能に連結されたリンク58の他端部に固定されることで、進退シリンダ56のピストンロッドの出退に伴い回動し、進退シリンダ56のピストンロッドが突き出したときに先端部が物品Gの他端側(底部)に当接して固定アーム55との間に物品Gを挟み込むことで台紙Mに対する物品Gの位置決めを行う回動アーム57と、中間包装体RPの排出方向に延びるベルトコンベア59とを備えており、台紙Mに対して物品Gを位置決めした状態では、物品Gの他端(底面)と台紙Mの一方の端縁とが一致するようになっている。
【0028】
従って、中間包装体RPが位置決めガイド32によって位置決めされた状態で中間包装体搬出位置εに搬送されてくると、まず、掛止爪54が降下して位置決めガイド32に形成された切欠部32aに侵入した後、スライドガイド52が前進し始め、掛止爪54が中間包装体RPの台紙Mの端縁に掛止されると共に、固定アーム55の下端部が中間包装体RPの物品Gの一端側(頭部)に当接し、回動アーム57が下方側に回動して固定アーム55との間に物品Gを挟み込むことで台紙Mに対して物品Gを位置決めした状態で、中間包装体RPがベルトコンベア59のベルト上に押し出され、最後に回動アーム57が斜め上方側に回動して物品Gの他端側(底部)から離反するので、台紙Mに対して物品Gが位置決めされた状態で、中間包装体RPがベルトコンベア59によって排出され、図示しない加熱ユニットに送られる。なお、加熱ユニットに送られた中間包装体RPは、加熱されることによって、筒状シュリンクフィルムFが熱収縮し、筒状シュリンクフィルムFが物品Gに密着した台紙付きフィルム包装体PGが出来上がる。
【0029】
このように、この中間包装体搬出ユニット50は、中間包装体RPを加熱ユニットに送る際、物品Gの他端(底面)と台紙Mの一方の端縁とが一致するように、台紙Mに対して物品Gを位置決めするようになっているので、出来上がった台紙付きフィルム包装体PGは全て適正な自立性を有しており、自立性の悪い台紙付きフィルム包装体PGが製造されることがない。
【0030】
以上のように、上述した開口・挿入ユニット40は、吸引パッド34が、筒状シュリンクフィルムFの開口端が物品載置台41に載置された物品Gの挿入端部と対向するように、包材MFの台紙M部分を吸引保持した状態で、予備開口手段42が筒状シュリンクフィルムFを予備的に開口した後、拡開手段43を構成している下側固定ガイド44a及び閉じた状態の上側可動ガイド44bを筒状シュリンクフィルムFの開口端に挿入し、上側可動ガイド44bを開くことによって筒状シュリンクフィルムFを拡開した状態で、プッシャ49が物品Gを筒状シュリンクフィルムF内に押し込むことで、包材MFの筒状シュリンクフィルムFに物品Gを自動挿入することができるので、この開口・挿入ユニット40を搭載した製造装置1によって、台紙付きフィルム包装体PGの製造を自動化することが可能となり、従来のように、筒状シュリンクフィルムが台紙に固着された包材の筒状シュリンクフィルムに物品を手作業で挿入する場合に比べて、台紙付きフィルム包装体を効率よく、低コストで製造することができる。
【0031】
図11(a)〜(c)は、チューブタイプの物品Gを、その扁平な胴部先端側から包材MFの筒状シュリンクフィルムFに挿入するための開口・挿入ユニットに搭載された拡開手段60を示している。この拡開手段60は、同図に示すように、物品載置台41の前端面に固定設置された、回転テーブル31側に張り出す固定ガイド61と、左右方向に接近離反可能に物品載置台41の前端部に支持された左右一対のアーム63にそれぞれ取り付けられた、固定ガイド61の上側に近接した状態で回転テーブル31側に張り出す細長い左右一対の可動ガイド62と、先端側が上を向くように、物品載置台41の前端部に回動可能に支持された、先端部にカムフォロア65がそれぞれ取り付けられた左右一対の上側操作レバー64と、先端側が下を向くように、物品載置台41の前端部に回動可能に支持された、先端部にカムフォロア67がそれぞれ取り付けられた左右一対の下側操作レバー66と、左右一対のアーム63にそれぞれ取り付けられた、上側操作レバー64のカムフォロア65が当接するカム面を有するブロック68と、左右一対の可動ガイド62が相互に離反する方向に左右一対のアーム63を付勢するコイルばね69と、下側操作レバー66の先端に取り付けられたカムフォロア67及びこのカムフォロア67に当接するカム面を有し、相互に接近離反する左右一対の操作部材70からなるカム機構と、左右一対の下側操作レバー66の先端部をそれぞれ外側に付勢するコイルばね71とを備えており、上側操作レバー64と下側操作レバー66とは、同一回転軸に固定されることで、一体的に回動するようになっている。
【0032】
以下、チューブタイプの物品Gの筒状シュリンクフィルムFへの挿入動作について説明する。まず、図12(a)に示すように、予備開口手段42(上側吸引パッド42a)が筒状シュリンクフィルムFを予備的に開口した後、図11(a)に示すように、左右一対の操作部材70を最も離反させることによって、左右一対の可動ガイド62を閉じた状態で、図12(b)に示すように、固定ガイド61及び可動ガイド62が予備開口された筒状シュリンクフィルムFに挿入される。
【0033】
続いて、図11(b)に示すように、左右一対の操作部材70を相互に接近させることによって、左右一対の下側操作レバー66の先端部を相互に接近させると、これに伴って、左右一対の上側操作レバー64の先端部が相互に離反するので、コイルばね69の付勢力によって可動ガイド62も離反し、図12(c)に示すように、この可動ガイド62によって筒状シュリンクフィルムFの開口端が左右方向に広げられ、この状態で、物品Gが、その扁平な胴部先端側から筒状シュリンクフィルムF内に挿入される。
【0034】
チューブタイプの物品Gの場合、扁平な先端側から略円形のキャップ側に向かって、胴部形状が変化していくので、物品Gの扁平な胴部先端が筒状シュリンクフィルムF内に挿入された後は、その挿入量が大きくなるに従って、筒状シュリンクフィルムFの断面形状が円形状に近づいていき、図11(c)及び図12(d)に示すように、左右一対の可動ガイド62が筒状シュリンクフィルムFに押されて相互に接近しながら、物品Gが挿入されることになる。
【0035】
以上のように、こういった拡開手段60を搭載した開口・挿入ユニットでは、左右一対の可動ガイド62が、筒状シュリンクフィルムFの開口端を通過する物品Gの断面形状に応じて、開閉するようになっているので、包装しようとしている物品Gが、全長に渡って断面形状が大きく変化するチューブ容器等のようなものであっても、物品Gにおける筒状シュリンクフィルムFの開口端を通過する部分の形状に合わせて筒状シュリンクフィルムFの開口端を拡開することができ、物品Gを筒状シュリンクフィルムFに円滑に挿入することができる。
【0036】
なお、上述した各実施形態では、物品Gの筒状シュリンクフィルムFへの挿入開始から挿入完了までの間、下側固定ガイド44a及び上側可動ガイド44bや固定ガイド61及び可動ガイド62を、常時、筒状シュリンクフィルムF内に挿入しているが、これに限定されるものではなく、物品Gの挿入端部を筒状シュリンクフィルムFに挿入した後は、側固定ガイド44a及び上側可動ガイド44bや固定ガイド61及び可動ガイド62を筒状シュリンクフィルムFの外側に待避させるようにしてもよい。このように、物品Gの挿入端部が筒状シュリンクフィルムFに挿入された後、側固定ガイド44a及び上側可動ガイド44bや固定ガイド61及び可動ガイド62を筒状シュリンクフィルムFから待避させるようにしておくと、全長に渡って断面形状が大きく変化するチューブ容器等のようなものであっても、筒状シュリンクフィルムF自体が物品Gに沿うように変形しながら、物品Gが筒状シュリンクフィルムF内に挿入されていくことになり、物品Gを筒状シュリンクフィルムFに円滑に挿入することができる。
【0037】
また、上述した各実施形態では、台紙Mに対して筒状シュリンクフィルムFを傾けずに真っ直ぐな姿勢で固着した包材MFを使用しているが、例えば、台紙Mに対して筒状シュリンクフィルムFを傾けた状態で固着した包材を使用する場合は、各位置決めガイド32を旋回可能に回転テーブル31に取り付け、筒状シュリンクフィルムFの長手方向が物品Gの押出方向を向くように、旋回機構によって、位置決めガイド32を旋回させることで、台紙Mを傾けた状態で物品挿入位置にセットすればよい。また、物品挿入位置δにおいて筒状シュリンクフィルムFの長手方向が物品Gの押出方向を向くように、回転テーブル31に対して、各位置決めガイド32を傾けた状態で取り付けておき、包材MFを傾けた状態で供給するようにしてもよい。
【0038】
また、上述した各実施形態では、包材MFを、回転テーブル31によって、間欠的に物品供給位置γに供給し、包材MFを停止させた状態で筒状シュリンクフィルムFへの物品Gの挿入作業を行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、物品Gと包材MFとを、相互に対向させた状態で共に搬送しながら、筒状シュリンクフィルムFの開口作業及び筒状シュリンクフィルムFへの物品Gの挿入作業を行うことで、高速運転に対応することが可能になる。具体的には、包材MFにおける筒状シュリンクフィルムFの開口端と物品Gの挿入端部とが対向した状態で共に搬送されるように、物品供給ユニットと包材・中間包装体搬送ユニットとを対向配置すると共に、物品供給ユニットを構成しているバケットコンベアの各バケット毎に開口・挿入ユニットを搭載することになる。この場合、包材・中間包装体搬送ユニットが中間包装体搬出ユニットを兼用することになるので、中間包装体搬出ユニットを別途設ける必要はない。
【0039】
また、上述した各実施形態では、台紙Mに筒状シュリンクフィルムFが予め固着された包材MFを使用して台紙付きフィルム包装体PGを製造しているが、例えば、図13(a)〜(g)に示すように、台紙Mに固着しない状態で、筒状シュリンクフィルムF内に物品Gを挿入した後、この中間包装体を台紙Mに固着し、これを加熱することによって、筒状シュリンクフィルムFを熱収縮させるようにしてもよく、また、図14(a)〜(g)に示すように、台紙Mに固着しない状態で、筒状シュリンクフィルムF内に物品Gを挿入した後、この中間包装体を先に加熱することで、筒状シュリンクフィルムFを熱収縮させたフィルム包装体を形成し、このフィルム包装体を台紙Mに固着するようにしてもよい。特に、後者の製造方法を採用すると、台紙Mに対するフィルム包装体の取付姿勢を任意に設定することができるので、製造可能な台紙付きフィルム包装体PGのバリエーションが広がるという効果が得られる。なお、図13及び図14における符号SPは筒状シュリンクフィルムFを予備開口する吸引パッドを、符号NFは筒状シュリンクフィルムFを拡開するガイド体をそれぞれ示している。
【0040】
また、上述した各実施形態では、台紙Mと筒状シュリンクフィルムFとからなる包材を使用して台紙付きフィルム包装体PGを製造しているが、筒状シュリンクフィルムに代えて筒状ストレッチフィルムを使用することも可能である。その場合は、例えば、図15(a)〜(f)に示すように、台紙Mに固着しない状態で、物品Gに筒状ストレッチフィルムSを装着した後、このフィルム包装体を台紙Mに固着すればよい。なお、図15における符号SPは筒状ストレッチフィルムSを予備開口する吸引パッドを、符号NFは筒状ストレッチフィルムSを拡開するガイド体をそれぞれ示している。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、物品をフィルムによって包装したフィルム包装体を台紙に固着した台紙付きフィルム包装体の製造を自動化する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 台紙付きフィルム包装体の製造装置
10 包材供給ユニット
11 ストッカ
11a 係止爪
12 包材取出手段
12a 吸引パッド
13 包材載置台
14 プッシャ
20 物品供給ユニット
21 バケットコンベア
22 プッシャ
30 包材・中間包装体搬送ユニット
31 回転テーブル
32 位置決めガイド
32a 切欠部
33 開閉機構
34 吸引パッド
40 開口・挿入ユニット(物品挿入ユニット)
41 物品載置台(載置台)
42 予備開口手段
42a 上側吸引パッド
43 拡開手段
44a 下側固定ガイド(ガイド体)
44b 上側可動ガイド(ガイド体)
45 回動アーム
46 開閉操作レバー
47a カムフォロア
47b 操作部材
48 コイルばね
49 プッシャ(物品押込手段)
50 中間包装体搬出ユニット
51 スライドレール
52 スライドガイド
53 昇降シリンダ
54 掛止爪
55 固定アーム
56 進退シリンダ
57 回動アーム
58 リンク
59 ベルトコンベア
60 拡開手段
61 固定ガイド
62 可動ガイド
63 アーム
64 上側操作レバー
65 カムフォロア
66 下側操作レバー
67 カムフォロア
68 ブロック
69 コイルばね
70 操作部材
71 コイルばね
F 筒状シュリンクフィルム
S 筒状ストレッチフィルム
G 物品
M 台紙
MF 包材
PG 台紙付きフィルム包装体
RP 中間包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙に筒状フィルムが固着された包材における筒状フィルムに物品を挿入するための物品挿入ユニットであって、
物品を寝かせた状態で載置する載置台と、
包材を、その筒状フィルムの開口端が前記載置台に載置された物品の挿入端部と対向するように、その台紙部分を保持する保持手段と、
前記保持手段によって包材を保持した状態で、筒状フィルムを予備的に開口する予備開口手段と、
前記予備開口手段によって予備的に開口した筒状フィルムの開口端を物品の挿入端部より大きく拡開する拡開手段と、
前記拡開手段によって開口端が拡開された筒状フィルムに物品を押し込む物品押込手段とを備え、
前記拡開手段は、相対的に開閉可能な複数のガイド体を有し、予備開口された筒状フィルムの開口端に、閉じた状態の前記ガイド体を挿入し、そのガイド体を開くことによって筒状フィルムを拡開するようにしたことを特徴とする物品挿入ユニット。
【請求項2】
前記ガイド体は、筒状フィルムの開口端を通過する物品の断面形状に応じて、開閉するようになっている請求項1に記載の物品挿入ユニット。
【請求項3】
物品の挿入端が筒状フィルムの開口端に挿入されると、前記ガイド体は筒状フィルムの外側に待避するようになっている請求項1に記載の物品挿入ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−232751(P2012−232751A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100553(P2011−100553)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)