説明

物品排出装置およびこれを備えた計量装置

【課題】ホッパの内側において物品が詰まりやすい場合でも、所望のタイミングで確実に物品を下流側へ排出することが可能な物品排出装置およびこれを備えた計量装置を提供する。
【解決手段】組合せ計量装置では、プールホッパ11a〜11g、計量ホッパ12a〜12g、ブースタホッパ13a〜13gにおいて、各種ホッパ11a〜13gのゲート部31,41,51は、被計量物Pを排出する際に閉状態から開状態に移行すると、閉状態において被計量物Pと接触していた側壁部32,42,52が、ゲート部31,41,51の回動に連動して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に搭載されており、ゲート部分を開閉して物品を下流側へ排出する計量ホッパ、ブースタホッパ、プールホッパ等の物品排出装置およびこれを備えた計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下流側のプールホッパ等に計量した物品を貯留しておき、所望のタイミングで排出する各種ホッパ(物品排出装置)を搭載した計量装置(組合せ計量装置)が用いられている。
【0003】
このような計量装置では、計量済みの物品を複数のプールホッパに貯留しておき、所望のタイミングで所望のプールホッパのゲートを開閉することで、下流側に特定範囲内の重量、個数の物品を排出する。
【0004】
例えば、特許文献1には、組合せ計量装置に搭載され、所望のタイミングで2つのゲートを開閉して下流側へ物品を供給する振分けホッパについて開示されている。この振分けホッパは、正面板、背面版、2枚の側板からなる筒体の下部に2つのゲートを有し、2つのゲートの何れか一方を開閉することにより、物品の振り分けを行う。
【特許文献1】実登録2561407号公報(平成9年10月17日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のホッパでは、以下に示すような問題点を有している。
【0006】
すなわち、ホッパに対して供給される物品が複数の場合には、ホッパ内において物品同士が自重によって少しずつ移動しながら排出されるまで待機している。このため、筒体の内部に供給された複数の物品が、排出されるまでに筒体の内壁の間(例えば、前板の内壁と後板の内壁との間)に挟まって詰まってしまうことがある。
【0007】
上記公報に開示された振り分けホッパでは、ゲートの開閉を行う際に、ゲートの前板と後板とが筒体の外側で移動する(特許文献1の図3参照)。このため、ゲートを開閉しても筒体内における物品の詰まりは解消しない。よって、筒体内で発生した物品の詰まりによって、所望のタイミングで物品を排出することができなくなり、計量不良等の問題が発生する。なお、このような物品の詰まりは、例えばミニトマトのように、形状が不均一で、ある程度の弾性を有している物品について特に発生しやすい。
【0008】
本発明の課題は、ホッパの内側において物品が詰まりやすい場合でも、所望のタイミングで確実に物品を下流側へ排出することが可能な物品排出装置およびこれを備えた計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る物品排出装置は、貯留している物品を所定のタイミングで下流側へ排出する物品排出装置であって、ゲート部と、連動部とを備えている。ゲート部は、物品を貯留する閉状態と物品を下流側へ排出する開状態とを切り換える際に開閉駆動される。連動部は、閉状態においては物品と接触しており、閉状態から開状態に切り換わる際にゲート部とともに移動する。
【0010】
ここでは、物品を貯留している間物品と接触する連動部を、物品を貯留する閉状態と下流側へ排出する開状態とを切り換える際に開閉駆動されるゲート部とともに移動させる。
【0011】
従来の物品排出装置は、上流側および下流側に開口を有するケーシングと、ケーシングの下流側の開口を覆うように取り付けられており開閉駆動されることで物品を下流側へ排出するゲート部と、を備えている。ここで、ケーシング内に供給された物品が、大きさが不均一であって、かつある程度の弾性を有する物品(例えば、ミニトマト)である場合には、貯留中の物品がケーシングの内壁の間に挟まった状態で保持され、ゲート部を開閉してもケーシング内から物品が排出されない場合がある。例えば、計量装置のホッパとして搭載されている場合には、このような物品の詰まりは計量不良の原因となる。
【0012】
そこで、本発明の物品排出装置では、ゲート部が閉状態では物品と接触しており、ゲート部を開閉する際にゲート部と連動して駆動される連動部を設けている。
【0013】
これにより、ゲート部が閉状態の際に物品が内壁の間に挟まって保持されている場合でも、物品に接触している連動部がゲート部の開状態への移行とともに移動するため、連動部の移動によって内壁間に挟まった物品の詰まりを解消して下流側へ物品を確実に排出することができる。この結果、貯留している物品を所望のタイミングで下流側へ排出することができるため、計量装置のホッパとして用いた場合でも、計量不良等の発生を回避することができる。
【0014】
第2の発明に係る物品排出装置は、第1の発明に係る物品排出装置であって、上流側と下流側とにそれぞれ開口を有し、下流側の開口を覆うように前記ゲート部が取り付けられたケーシングをさらに備えており、連動部は、閉状態においてケーシングの内側に位置する。
【0015】
ここでは、上流側の開口から物品を供給されて下流側の開口を覆うようにゲート部が取り付けられたケーシングをさらに備えている。そして、ゲート部の開閉に連動して移動する連動部は、ゲート部が閉状態においてケーシングの内側に位置している。
【0016】
これにより、ゲート部が閉状態において連動部がケーシング内の物品と接触するような状態を形成することができる。よって、ゲート部の開状態への移行に伴って物品に接触している連動部も移動するため、所望の排出タイミングに合わせてケーシング内の物品の詰まりを解消して物品を確実に排出することができる。
【0017】
第3の発明に係る物品排出装置は、第1または第2の発明に係る物品排出装置であって、連動部は、ゲート部の開閉方向に直交する方向に垂直な面を有する側壁である。
【0018】
ここでは、連動部として、ゲート部の開閉方向に直交する方向に垂直な面を有する側壁を用いている。
【0019】
これにより、ゲート部の開閉方向に直交する方向に有する面が、ゲート部の開閉時に連動して移動することで、貯留中に生じた物品の詰まりを解消して所望のタイミングで下流側へ物品を排出することができる。
【0020】
第4の発明に係る物品排出装置は、第3の発明に係る物品排出装置であって、側壁は、開閉方向に直交する方向におけるゲート部の両端に設けられている。
【0021】
ここでは、連動部として設けられた側壁を、ゲート部の開閉方向に直交する方向におけるゲート部の両端に設けている。
【0022】
これにより、貯留されている物品はゲート部の両端に設けられた側壁に接触した状態となるが、側壁はゲート部の開状態への移行とともに移動するため、ゲート部が開状態に移行する際に物品の詰まりを解消して所望のタイミングで物品を下流側へ排出することができる。
【0023】
第5の発明に係る物品排出装置は、第1または第2の発明に係る物品排出装置であって、連動部は、ゲート部を構成する物品を貯留する側の面から突出した突出部である。
【0024】
ここでは、連動部として、ゲート部の物品貯留側(裏面側)の面から突出した突出部を設けている。
【0025】
これにより、物品はゲート部の裏面側に設けられた突出部に接触した状態で貯留されているため、ゲート部の開状態への移行とともに突出部も移動することで、貯留中に生じた物品の詰まりを解消して所望のタイミングで物品を下流側へ排出することができる。
【0026】
第6の発明に係る物品排出装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る物品排出装置であって、物品は、略球形状である。
【0027】
ここでは、略球形状の物品を貯留しながら所望のタイミングで下流側へ排出する。通常、このような球に近い形状の物品を内部に貯留している場合には、排出されるまでに自重やゲート開閉の振動によって物品が内部で詰まり易い。
【0028】
本発明の物品排出装置では、内部で発生した詰まりをゲート部の移動とともに解消することができるため、球に近い形状の物品を扱う場合でも、物品の詰まりによる不具合の発生を回避することができる。
【0029】
第7の発明に係る物品排出装置は、第6の発明に係る物品排出装置であって、連動部は、ゲート部と連結された部分からの高さが略球形状の物品の半径よりも大きい。
【0030】
ここでは、ゲート部の開閉とともに移動する側壁等の連動部が、ゲート部との連結部分からの高さが略球形状の物品の半径よりも大きくなるように形成されている。
【0031】
これにより、ゲートの開閉時には略球形状の物品における球の中心を通る高さの詰まり部分に直接的に連動部を接触させることができる。よって、詰まり易い球に近い形状の物品を扱う場合でも、ゲート部の開閉に伴って確実に物品の詰まりを解消して下流側へ排出することができる。
【0032】
第8の発明に係る計量装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る物品排出装置と、物品排出装置において貯留される物品の重量を測定する計量部と、を備えている。
【0033】
ここでは、上述した物品排出装置を、例えば、計量ホッパ、プールホッパ等として、計量部を備えた計量装置に搭載している。
【0034】
これにより、被計量物として大きさが不均一で、ある程度の弾性を有する物品を扱う場合でも、物品排出装置において物品の詰まりによる排出不良を防止することができる。このため、ホッパ等に相当する物品排出装置からの排出不良に起因する計量装置における不具合の発生を回避することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の物品排出装置によれば、ゲート部の開閉によって貯留している物品を所望のタイミングで確実に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の一実施形態に係る物品排出装置をプールホッパとして搭載した組合せ計量装置(計量装置)について、図1〜図9(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
【0037】
なお、本実施形態において使用されている「上流側」、「下流側」は、全て被計量物(物品)Pの搬送方向における向きを示しているものとする。
【0038】
[組合せ計量装置全体の構成]
本実施形態に係る各種ホッパ(物品排出装置)11a〜13gを搭載した組合せ計量装置(計量装置)10は、図1〜図3に示すように、被計量物P(図2参照)が供給される方向に交差する向きで3段階に配置された複数のプールホッパ11a〜11g,計量ホッパ12a〜12g,ブースタホッパ13a〜13gを備えている直線タイプの組合せ計量装置である。なお、本実施形態では、被計量物Pとしてミニトマトの計量を行う。ミニトマトは、略球形状であって、比較的弾性があり大きさが不均一という特質がある。
【0039】
また、本実施形態の組合せ計量装置10は、図2および図3に示すように、複数のプールホッパ11a〜11g、計量ホッパ12a〜12g、ブースタホッパ13a〜13g、集合シュート14、バケットコンベア(供給部)20、および搬送部21を備えている。
【0040】
プールホッパ11a〜11gは、振動フィーダ16a〜16gと1対1で対応するようにその直下流側に配置されている。そして、プールホッパ11a〜11gは、鉛直上向きに開口を有しており、搬送部21から供給される被計量物Pを開口を介して受け取り、被計量物Pを一時的に貯留する。
【0041】
計量ホッパ12a〜12gは、上流側に配置されたプールホッパ11a〜11gと1対1で対応するように、その直下流側に配置されている。また、計量ホッパ12a〜12gは、上部が開口しており、上流側のプールホッパ11a〜11gから開口に投入される被計量物Pの計量を行う。そして、被計量物Pに対応する計量結果を制御部(図示せず)に対して送信し、ブースタホッパ13a〜13gに対して被計量物Pを排出する。
【0042】
ブースタホッパ13a〜13gは、上流側に配置された計量ホッパ12a〜12gと1対1で対応するように、その直下流側に配置されている。また、ブースタホッパ13a〜13gは、上部が開口しており、計量ホッパ12a〜12gから開口に投入される計量済みの被計量物Pを計量結果と対応させた状態で、組合せ計量において選択されるまで貯留する。つまり、ブースタホッパ13a〜13gにおいて貯留されているそれぞれの被計量物Pの重量は、制御部(図示せず)において記憶されており、これらの重量値を用いて組合せ計量が行われる。組合せ計量は、基本的に7つのブースタホッパ13a〜13gにおいて貯留されている被計量物Pの重量を用いて行われるが、例えば、ブースタホッパ13cに貯留されている被計量物Pが組合せ計量に参加する場合には、その上流の計量ホッパ12cも組合せ計量に参加させることができる。
【0043】
なお、これらの各種ホッパ11a〜13gは、ほぼ同一の構成を有しており、その詳細な構成については後段にて説明する。
【0044】
集合シュート14は、ブースタホッパ13a〜13gの直下流側に配置されており、上下に開口を有する漏斗形状の部材である。そして、集合シュート14は、ブースタホッパ13a〜13g(計量ホッパ12a〜12g)に供給された被計量物Pの重量データを用いて行われた組合せ計量の結果に基づいて、所望のブースタホッパ13a〜13g(計量ホッパ12a〜12g)から排出された被計量物Pを集合させ、直下に設けられた容器等に排出する。
【0045】
バケットコンベア20は、図3に示すように、コンベアに対して取り付けられたバケット20aを備え、チャージホッパ15の直上から被計量物Pを供給するための搬送装置である。
【0046】
バケット20aは、上部が開口した幅400mm、奥行き200mmの大きさの容器である。バケット20aは、チャージホッパ15の直上まで搬送された後、被計量物Pの供給方向に向かって開口部が下になる位置までコンベアが回転することで、チャージホッパ15に対して被計量物Pを排出する。
【0047】
搬送部21は、バケットコンベア20から排出された被計量物Pを、プールホッパ11a〜11gまで搬送する搬送機構である。そして、搬送部21は、チャージホッパ15と振動フィーダ16a〜16gとを備えている。
【0048】
チャージホッパ15は、上下に開口を有するステンレス製の部材であって、バケットコンベア20の排出位置の直下に配置されている。そして、バケットコンベア20から排出された被計量物Pを、図3に矢印として示すように、チャージホッパ15の直下に設けられた振動フィーダ16a〜16gまで搬送する。
【0049】
振動フィーダ16a〜16gは、チャージホッパ15から搬送された被計量物Pを受けて、プールホッパ11a〜11gまで搬送する。振動フィーダ16a〜16gは、各プールホッパ11a〜11gに対応するように設けられており、図示しない電磁機構によって振動が与えられる。これにより、トラフ60(図9(a)等を参照)上に載置された被計量物Pをプールホッパ11a〜11gの方向へ搬送して、プールホッパ11a〜11gの上部から被計量物Pを落下させることができる。また、振動フィーダ16a〜16gは、図9(a)および図9(b)に示すように、被計量物Pの搬送方向における下流側の端部に壁62を設け、側板61の面に被計量物Pの落とし口61aを形成している。これにより、振動フィーダ16a〜16gの振幅方向とは直交する方向に形成された落とし口61aから被計量物Pをプールホッパ11a〜11gに対して投入することになる。ここで、従来の開放された端部から被計量物Pを落下させる構成では、トラフの振幅を停止させても先端部から惰性によって被計量物Pが落下することがある。特に、被計量物Pがミニトマトのように小さく丸い物体である場合には、このような振幅停止後の惰性による落下が顕著になる。これに対し、本実施形態では、振動フィーダ16a〜16gのトラフ60の振幅方向と直交する方向に被計量物Pを落下させるため、振幅停止時における惰性による被計量物Pの落下を防止することができる。この結果、振動フィーダ16a〜16gからプールホッパ11a〜11gに対する想定外タイミングでの被計量物Pの供給を防止することができる。
【0050】
[プールホッパ11a〜11g]
プールホッパ11a〜11gは、搬送部21(振動フィーダ16a〜16g)から供給された被計量物Pを、計量ホッパ12a〜12gへ投入する前に一旦貯留して所望のタイミングで排出するホッパである。そして、プールホッパ11a〜11gは、振動フィーダ16a〜16gの下流側の先端部分の下流側であって、図4に示すように、3段に配置された各種ホッパ11a〜11g,12a〜12g,13a〜13gの最上段となる計量ホッパ12a〜12gの上流側に配置されている。また、プールホッパ11a〜11gは、振動フィーダ16a〜16gと1対1で対応するように(振動フィーダ16aはプールホッパ11aに、振動フィーダ16bはプールホッパ11bに、・・・)、被計量物Pが供給される方向に直交する向きで一直線上に配置されている。なお、プールホッパ11a〜11gの配置は、被計量物Pの供給方向に直交する方向に限定されるのもではなく、被計量物Pの供給方向に交差する方向であればよい。
【0051】
プールホッパ11a〜11gは、図4および図5(a)および図5(b)に示すように、ゲート部31、側壁部(連動部、側壁)32、駆動機構33、駆動モータ34および本体部(ケーシング)35を備えている。
【0052】
ゲート部31は、図5(a)に示すように、プールホッパ11a〜11gの下流側の開口を覆うように取り付けられており、被計量物Pを排出しないで貯留する際には、プールホッパ11a〜11gの閉状態を形成する。また、ゲート部31は、駆動機構33によって回動し、例えば、被計量物Pを排出する際には、図5(b)に示すように、プールホッパ11a〜11gの開状態を構成する。このように、駆動機構33によって穴32a(図6(a)参照)を中心としてゲート部31を回動させることで、プールホッパ11a〜11gにおける閉状態と開状態とを切り換えることができる。
【0053】
側壁部32は、図6(a)に示すように、ゲート部31の両側の端部にゲート部31と一体的に成形されており、ゲート部31の面に対して垂直な面を有している。また、側壁部32は、ゲート部31の開閉方向に対して交差する向きに配置されており、図5(a)および図5(b)に示すように、ゲート部31の開閉動作とともに連動して移動する。このため、図5(a)および図5(b)に示すように、ゲート部31が閉状態と開状態との間を移行すると、側壁部32は本体部35の側壁35bの内側で移動する。また、側壁部32は、図5(a)および図7に示すように、ゲート部31が閉状態においては、本体部35の側壁35bよりも内側にあるため、貯留している被計量物Pに対して接触している。そして、ゲート部31が開状態へ移行する際には、側壁部32は、被計量物Pと接触しながら被計量物Pの排出方向へ移動する。さらに、側壁部32は、図5(a)に示すように、ゲート部31との連結部分から略球形状の被計量物Pの最大半径rよりも大きい高さhを有している。このため、図8に示すように、略球形状の被計量物Pがプールホッパ11a〜11gの内部(側壁部32の間)で詰まってしまった場合でも、図5(a)に示すゲート部31の閉状態において、側壁部32を被計量物Pに対して確実に接触させることができる。このため、ゲート部31を図5(b)に示す開状態へ移行させる際には、被計量物Pに対して接触している側壁部32も連動して移動するため、被計量物Pの詰まりを解消しつつ、下流側へ被計量物Pを排出することができる。
【0054】
本体部35は、図7に示すように、ゲート部31および側壁部32とともにプールホッパ11a〜11gにおける被計量物Pを貯留するための容器の部分を構成する。また、本体部35は、図6(b)および図7に示すように、底部35aと側壁35bとを備えている。底部35aは、プールホッパ11a〜11gに対して投入された被計量物Pを受け止める。また、底部35aは、搬送方向前方側に向かって下方傾斜するように配置されている。このように、投入された被計量物Pを斜めの面で受け止めることで、ミニトマトのような比較的軟らかい被計量物Pに対して投入時に加えられる衝撃が大きくなって被計量物Pにキズが入らないようにしている。側壁35bは、底部35aに対して垂直な面であって、図7に示すように、側壁部32の外側に配置されている。
【0055】
なお、後段にて説明する計量ホッパ12a〜12gおよびブースタホッパ13a〜13gについても、ゲート部41,51や側壁部(連動部、側壁)42,52の構成等はプールホッパ11a〜11gの構成とほぼ同じものとする。
【0056】
[計量ホッパ12a〜12g]
計量ホッパ12a〜12gは、組合せ計量の演算に使用する被計量物Pの重量値を得るために被計量物Pの計量を行い所望のタイミングで排出するホッパであって、3段構成で配置された各種ホッパ11a〜13gの真ん中の段に配置されている。そして、1対1で対応するように配置された上流側のプールホッパ11a〜11gから排出された被計量物Pをそれぞれ受け取って貯留する。また、計量ホッパ12a〜12gは、下部に設けられたロードセル(図示せず)によって、プールホッパ11a〜11gから投入された被計量物Pの重量を測定する。そして、計量ホッパ12a〜12gは、この計量結果を組合せ計量の演算を行う制御部(図示せず)に対して送信する。
【0057】
また、計量ホッパ12a〜12gは、ゲート部41を開閉することで、1対1に対応するように配置された下流側のブースタホッパ13a〜13gに対して計量済みの被計量物Pを排出する。
【0058】
計量ホッパ12a〜12gについても、図4に示すように、プールホッパ11a〜11gと同様に、ゲート部41,側壁部42,駆動機構43および駆動モータ44を備えている。これらの構成については、上述したプールホッパ11a〜11gの構成とほぼ同様であるため、その説明は省略する。
【0059】
なお、上述したように、組合せ計量は、基本的にブースタホッパ13a〜13gに貯留されている被計量物Pを用いて行われる。しかし、その下流側に配置されたブースタホッパ13a〜13gに貯留された被計量物Pが組合せ計量に参加して、例えばブースタホッパ13cから被計量物Pが排出された場合には、その上流の計量ホッパ12cも組合せ計量に参加することもある。このため、計量ホッパ12a〜12gでは、組合せ計量で貯留している被計量物Pが選択されるまで被計量物Pを貯留したままで待機する。
【0060】
[ブースタホッパ13a〜13g]
ブースタホッパ13a〜13gは、組合せ計量に参加する直前の計量済みの被計量物Pを貯留して所望のタイミングで排出するホッパであって、3段に配置された各種ホッパ11a〜13gの最下段に配置されている。ブースタホッパ13a〜13gは、1対1で対応するように上流側に配置された計量ホッパ12a〜12gから計量済みの被計量物Pを受け取って、組合せ計量の演算結果に基づく排出指示があるまで被計量物Pを入れたまま待機する。そして、組合せ計量の演算結果に基づいて排出指示があると、組合せ計量に参加するブースタホッパ13a〜13gのゲート部51を開閉して被計量物Pを排出する。
【0061】
これにより、ブースタホッパ13a〜13g(および計量ホッパ12a〜12g)のそれぞれに貯留されている被計量物Pに対応する複数の重量データを用いて組合せ計量を行うことができる。
【0062】
ブースタホッパ13a〜13gについても、図4に示すように、プールホッパ11a〜11gおよび計量ホッパ12a〜12gと同様に、ゲート部51,側壁部52,駆動機構53を備えている。これらの構成については、上述したプールホッパ11a〜11gの構成とほぼ同様であるため、その説明は省略する。
【0063】
[本組合せ計量装置10の特徴]
(1)
本実施形態の組合せ計量装置10では、図5(a)および図5(b)に示すように、プールホッパ11a〜11g、計量ホッパ12a〜12g、ブースタホッパ13a〜13gにおいて、各種ホッパ11a〜13gのゲート部31,41,51は、被計量物Pを排出する際に閉状態から開状態に移行すると、閉状態において被計量物Pと接触していた側壁部32,42,52が、ゲート部31,41,51の回動に連動して移動する。
【0064】
通常、ミニトマトのように略球形状で弾性があり、大きさが不均一の被計量物Pは、ホッパ内において、投入時や装置の振動等によって排出方向に対して直交する向きに詰まってしまうことがある。この場合、ゲート部を開閉しても詰まりは解消されないため、所望のタイミングで下流側へ被計量物を排出することができなくなる。この結果、組合せ計量装置においては、ホッパからの適切なタイミングでの被計量物Pの排出が行われなくなって、組合せ計量ができなくなるという不具合が発生するおそれがある。
【0065】
本実施形態の組合せ計量装置10によれば、上記の構成により、各種ホッパ11a〜13g内において被計量物Pが詰まってしまった場合でも、ゲート部31,41,51の開状態への移行に伴う側壁部32,42,52の移動によって、被計量物Pの詰まりを解消することができる。つまり、ゲート部31,41,51は図5(a)に示す閉状態において被計量物Pと接触している。このため、図5(b)に示す閉状態へ移行する際には、側壁部32,42,52が被計量物Pの位置をずらしながら移動するため、ホッパ11a〜13g内における被計量物Pの詰まりを容易に解消することができる。この結果、組合せ計量装置10において適切なタイミングで所望のホッパ11a〜13gから被計量物Pを排出することができる。よって、ホッパ11a〜13gからの排出不良による運転停止を防止して、運転効率の向上が図れる。
【0066】
(2)
本実施形態の組合せ計量装置10では、図6(a)および図6(b)に示すように、プールホッパ11a〜11gを構成するゲート部31、側壁部32と、本体部35とを備えている。そして、側壁部32は、図7に示すように、ゲート部31が閉状態のときには本体部35の側壁35bの内側に配置されている。
【0067】
これにより、ゲート部31の閉状態においては側壁部32がプールホッパ11a〜11gの最も内側にあるため、プールホッパ11a〜11g内に貯留された被計量物Pに対して側壁部32を容易に接触させることができる。よって、ゲート部31を閉状態から開状態へ移行させる際には側壁部32によって被計量物Pの詰まりを解消することができる。
【0068】
なお、計量ホッパ12a〜12gおよびブースタホッパ13a〜13gにおいても、ゲート部41,51や側壁部42,52等を用いて同様の効果を得ることができる。
【0069】
(3)
本実施形態の組合せ計量装置10では、プールホッパ11a〜11gにおいて、図5(a)に示す閉状態から図5(b)に示す開状態への移行時にゲート部31の回動に連動して移動する連動部として、ゲート部31の開閉方向に直交する向きに面を有する側壁部32を用いている。
【0070】
これにより、ゲート部31の閉状態では側壁部32をプールホッパ11a〜11gの奥まで挿入することができるため、閉状態における側壁部32の面を被計量物Pへ容易に接触させることができる。よって、側壁部32の面によって、開状態への移行時において被計量物Pの詰まりを解消することができる。
【0071】
なお、計量ホッパ12a〜12gおよびブースタホッパ13a〜13gにおいても、ゲート部41,51や側壁部42,52等を用いて同様の効果を得ることができる。
【0072】
(4)
本実施形態の組合せ計量装置10では、プールホッパ11a〜11gにおいて、被計量物Pの詰まりを解消するための側壁部32が、ゲート部31における開閉方向に直交する方向における両側の端部に設けられている。
【0073】
これにより、被計量物Pの詰まりを詰まり方向の両端側に位置する側壁部32がゲート部31の開状態への移行時に連動して移動するため、容易に被計量物Pの詰まりを解消することができる。よって、プールホッパ11a〜11gから所望のタイミングで被計量物Pを排出することができる。
【0074】
なお、計量ホッパ12a〜12gおよびブースタホッパ13a〜13gにおいても、ゲート部41,51や側壁部42,52等を用いて同様の効果を得ることができる。
【0075】
(5)
本実施形態の組合せ計量装置10では、被計量物Pとして略球形状のミニトマトを用いている。
【0076】
これにより、このように各種ホッパ11a〜13g内において詰まりやすい略球形状の被計量物Pを取り扱う場合でも、被計量物Pの詰まりによる不具合の発生を予防することができる。
【0077】
(6)
本実施形態の組合せ計量装置10では、プールホッパ11a〜11gにおいて、図5(a)に示すように、側壁部32のゲート部31との連結部分からの高さhが、略球形状の被計量物Pの半径rよりも大きくなるように、側壁部32を形成している。
【0078】
これにより、略球形状の被計量物Pの詰まりが発生する球の中心を通る部分まで側壁部32を確実に届かせて、ゲート部31の開状態への移行時には確実に被計量物Pの詰まりを解消することができる。
【0079】
なお、計量ホッパ12a〜12gおよびブースタホッパ13a〜13gにおいても、ゲート部41,51や側壁部42,52等を用いて同様の効果を得ることができる。
【0080】
(7)
本実施形態の組合せ計量装置10では、以上のように、各種ホッパ11a〜13gにおいて、ホッパ内における被計量物Pの詰まりを解消して被計量物Pを所望のタイミングで下流側へ排出することができることから、計量不良や排出不良といった不具合の発生を抑制することが可能になる。
【0081】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
(A)
上記実施形態では、各種ホッパ11a〜13gのゲート部31,41,51と連動して移動する連動部として、側壁部32,42,52を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、図10に示すように、側壁部32,42,52の替わりに、ゲート部31,41,51の内壁側から突出した突出部32bを連動部として用いることもできる。この場合でも、側壁部32,42,52を用いた場合と同様に、ゲート部31,41,51の開状態への移行によって、物品の詰まりを解消することができる。
【0084】
(B)
上記実施形態では、図6に示すように、ゲート部31,41,51と側壁部32,42,52とが一体的に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、ゲート部31,41,51の開閉動作に伴って側壁部も移動するように互いに連結されていれば、ゲート部31,41,51と側壁部32,42,52とが別部材として形成されていてもよい。
【0086】
(C)
上記実施形態では、図6に示すように、側壁部32(,42,52)がゲート部31(,41,51)の開閉方向に直交する方向における両側にそれぞれ配置されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
例えば、ゲート部31(,41,51)の開閉方向に直交する方向におけるいずれか一方の端部に側壁部32(,42,52)が設けられていてもよい。この場合でも、ゲート部31(,41,51)の開閉時において被計量物Pに接触しながら詰まりを解消することができるため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(D)
上記実施形態では、3段階で配置されたプールホッパ11a〜11g、計量ホッパ12a〜12gおよびブースタホッパ13a〜13gの全てに対して、本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0089】
例えば、上記3段階に配置された各種ホッパのうち、何れか1つあるいは2つのホッパのみに対して本発明を適用した計量装置であってもよい。
【0090】
ただし、上記実施形態のように、組合せ計量装置10に搭載されている全てのホッパ11a〜13gに対して本発明を適用するは、いずれかのホッパ内において被計量物Pが詰まった場合でも、ゲートの開閉と同時にこれを解消し、所望のタイミングで被計量物Pを排出することが可能になる点でより好ましい。
【0091】
(E)
上記実施形態では、側壁部32,42,52の高さが、被計量物Pの半径よりも大きい例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0092】
例えば、被計量物Pが球形状ではなく立方体や直方体等である場合には、これらの形状に応じて詰まりを解消できる適当な高さであればよい。
【0093】
但し、上記実施形態のように、略球形状の物品を扱う場合には、詰まりが発生するのは球の中心位置を通る平面上であるため、その位置まで側壁部32,42,52が届くように形成されていることがより好ましい。
【0094】
(F)
上記実施形態では、取り扱う被計量物Pとして、ほぼ球に近い形状のミニトマトを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
例えば、ミニトマト以外の他の食品を用いることもできるし、他の工業製品等を用いることもできる。
【0096】
(G)
上記実施形態では、本発明に係る物品排出装置(各種ホッパ11a〜13g)を組合せ計量装置10に搭載した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
例えば、本発明の物品排出装置を計量装置のホッパとして搭載してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の物品排出装置は、貯留している物品を所望のタイミングで確実に排出することができるという効果を奏することから、ゲートの開閉によって内部に貯留した物品を排出する各種装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態に係る計量ホッパ等の物品排出装置を搭載した組合せ計量装置を示す斜視図。
【図2】図1の組合せ計量装置の平面図。
【図3】図1の組合せ計量装置の側面図。
【図4】図1の組合せ計量装置が搭載している各種ホッパの拡大図。
【図5】(a)は図4に示すプールホッパの閉状態を示す側面図。(b)は図4に示すプールホッパの開状態を示す側面図。
【図6】(a)は図5(a)等のゲート部と側壁部とを示す斜視図。(b)は図5(a)等の本体部を示す斜視図。
【図7】図6(a)のゲート部および側壁部と図6(b)の本体部とを組み合わせて構成されるプールホッパを示す斜視図。
【図8】図1の組合せ計量装置が搭載している各種ホッパに被計量物が詰まった状態を示す正面図。
【図9】(a)は、図1の組合せ計量装置が備えている振動フィーダの構成を示す側面図。(b)は、その平面図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る物品排出装置の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0100】
10 組合せ計量装置(計量装置)
11a〜11g 計量ホッパ(物品排出装置)
12a〜12g プールホッパ(物品排出装置)
13a〜13g ホッパ(物品排出装置)
14 集合シュート
15 チャージホッパ
15a 傾斜面
16 振動フィーダ
16a〜16g トラフ
17a〜17g 容器
20 バケットコンベア(供給部)
20a バケット
21 搬送部
31 ゲート部
32 側壁部(連動部、側壁)
32a 穴(回転軸)
32b 突出部(連動部)
33 駆動機構
34 駆動モータ
35 本体部(ケーシング)
35a 底部
35b 側壁
41 ゲート部
42 側壁部(連動部、側壁)
43 駆動機構
44 駆動モータ
51 ゲート部
52 側壁部(連動部、側壁)
53 駆動機構
P 被計量物(物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留している物品を所定のタイミングで下流側へ排出する物品排出装置であって、
前記物品を貯留する閉状態と前記物品を下流側へ排出する開状態とを切り換える際に開閉駆動されるゲート部と、
前記閉状態においては前記物品と接触しており、前記閉状態から前記開状態に切り換わる際に前記ゲート部とともに移動する連動部と、
を備えている物品排出装置。
【請求項2】
上流側と下流側とにそれぞれ開口を有し、下流側の開口を覆うように前記ゲート部が取り付けられたケーシングをさらに備えており、
前記連動部は、前記閉状態において前記ケーシングの内側に位置する、
請求項1に記載の物品排出装置。
【請求項3】
前記連動部は、前記ゲート部の開閉方向に直交する方向に垂直な面を有する側壁である、
請求項1または2に記載の物品排出装置。
【請求項4】
前記側壁は、前記開閉方向に直交する方向における前記ゲート部の両端に設けられている、
請求項3に記載の物品排出装置。
【請求項5】
前記連動部は、前記ゲート部を構成する前記物品を貯留する側の面から突出した突出部である、
請求項1または2に記載の物品排出装置。
【請求項6】
前記物品は、略球形状である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の物品排出装置。
【請求項7】
前記連動部は、前記ゲート部と連結された部分からの高さが前記略球形状の物品の半径よりも大きい、
請求項6に記載の物品排出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の物品排出装置と、
前記物品排出装置において貯留される前記物品の重量を測定する計量部と、
を備えた計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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