説明

物品揃え装置

【課題】コンパクトで且つ製品長が異なる物品に対しても容易に対応することができる物品揃え装置を提供する。
【解決手段】乾麺は後方規制部材7で後方への移動が規制されつつ搬送されるもので、乾麺Nの前方において搬送方向に往復移動する前方規制部材16を設け、前方規制部材16はサーボモーターMにより駆動して、後方規制部材7に対し乾麺Nの長さに相当する距離まで接近可能とし、さらに前方規制部材16は搬送方向と直交する方向に往復移動させて、後方規制部材7の前方に位置する規制位置と後方規制部材7に干渉しない待機位置とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合物品を搬送しながら前後を揃える物品揃え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品揃え装置として、例えば、うどんやそば等の棒状乾麺を複数本集めた集合物品を搬送しながら前後端面を揃える端面揃え装置が公知となっている(例えば、特許文献1(第6図)参照)。当該装置は、乾麺の搬送方向に離間して設けられている一対の回転アームと、回転アームのそれぞれに対して回転可能に連結されている回転動作体と、回転動作体の中間部に垂下された状態で取り付けられているプレートとから構成されている。一対の回転アームが回転すると回転動作体が公転し、それに伴ってプレートも公転するようになっており、プレートは公転中において、速度を落としながら乾麺の直前位置に下降し、プレートよりも速い速度で搬送されてくる乾麺の前端を当接させることで端面を揃える。その後、速度を上げつつ上昇して乾麺から離反し、後続の乾麺に備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平1−48724号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記装置は一対の回転アームが縦方向に回転する構造であるため、搬送装置の上方に広いスペースを必要とする。また、製品長が異なる乾麺を処理する場合には、回転動作体に対するプレートの位置を変更する等の手作業による組み換え作業が必要になる。
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、コンパクトで且つ製品長が異なる物品に対しても容易に対応することができる物品揃え装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、集合物品を搬送しながらその前後を揃える物品揃え装置において、前記集合物品は後方規制部材が後方に位置した状態で搬送されるものであって、前記集合物品の前方において当該集合物品の搬送方向に往復移動する前方規制部材を備え、当該前方規制部材はサーボモーターにより駆動され、前記後方規制部材に対し物品長に相当する距離まで接近可能であり、さらに前記前方規制部材は前記搬送方向と直交する方向に往復移動することで、前記後方規制部材の前方に位置する規制位置と前記後方規制部材に干渉しない待機位置とが切り替わることを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る物品揃え装置を前提とし、前記前方規制部材の前記直交する方向の往復移動を別のサーボモーターの駆動により行うことを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る物品揃え装置を前提とし、前記前方規制部材の前記直交する方向の往復移動をシリンダー駆動により行うことを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の物品揃え装置を前提とし、前記前方規制部材は前記後方規制部材と同一方向に移動しつつ接近すること特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の物品揃え装置を前提とし、前記前方規制部材が搬送方向に複数配置されていること特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の物品揃え装置を前提とし、前記前方規制部材はバネ弾性力によって上流側に付勢されていることを特徴としている。
【0012】
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る物品揃え装置によれば、省スペース化を図ることができるとともに、長さが異なる物品の変更に対しても手作業による調整が不要で、運転員の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る物品揃え装置を搭載したプレートコンベとプレートコンベアに続く包装機を示す平面図。
【図2】プレートコンベアの搬送面を示す平面図。
【図3】図1におけるA−A矢視断面図。
【図4】(a)プレートコンベアのサイドガイドの平面図、(b)側面図、(c)正面図。
【図5】(a)本実施形態の物品揃え装置の側面図、(b)駆動機構の概念図。
【図6】(a)待機状態の物品揃え装置の側面図、(b)後方規制部材を規制位置に下降した物品揃え装置の側面図、(c)スライダーを搬送方向に移動させた物品揃え装置の側面図。
【図7】(a)物品揃えが完了した物品揃え装置の側面図、(b)前方規制部材を待機位置に上昇させた物品揃え装置の側面図、(c)待機状態に戻った物品揃え装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る物品揃え装置の実施形態について説明を行う。
図1は本実施形態に係る物品揃え装置を装備したプレートコンベア及びそれに続く包装機の平面図を示している。図中の符号1はプレートコンベア、符号2は包装機、符号3は物品揃え装置、符号4は供給部を示している。プレートコンベアは図2に示すように、平行に配置した一対の無端状ローラーチェーン5に対して、搬送面を構成する横長のプレート部材6が複数枚跨って取り付けられるとともに、一定間隔おきに後方規制部材7が取り付けられている。後方規制部材7は板材をL型に折り曲げて形成したもので、垂直部7aを搬送面8から突出させ且つ水平部7bを上流側に向けた状態で両ローラーチェーン5に跨って取り付けられている。後方規制部材7はローラーチェーン5に軸7cを介して連結されており、包装機2に接近すると上流側に回転して倒伏し、図示しない製袋器と干渉しないようになっている。そして、後方規制部材7とその上流側の一つ目のプレート部材6とは距離を設けた配置になっており、後方規制部材7とプレート部材6との間には隙間Sが設けられている。この隙間Sにおいて後述する物品揃えが行われる。
【0016】
図3、4に示すように、搬送面8の両側には物品の幅方向を規制するサイドガイド9が配置されている。各サイドガイド9は幅方向に厚みを有する矩形状のガイド板10を縦向きに配置し、このガイド板10を搬送方向に順次並べることによって構成されている。これらのガイド板10は、搬送方向に離間して配置された一対のスプロケット11,11´(12,12´)間に懸回されて(図1)水平面内で回転するローラーチェーン13に対し、片持ち状態で連結されたステー部材14の先端部において、下端面をプレート部材6の上面(搬送面8)に当接させた状態で支持されている。サイドガイド9のローラーチェーン13はプレート部材6のローラーチェーン5と同期が取られ、ガイド板10をプレート部材6と同一速度で移動させることができる。
【0017】
また、スプロケット11,11´(12,12´)は幅方向に移動可能であるため、サイドガイド9の間隔を調整することができる。しかも、後方規制部材7の側方や隙間Sが設けられている範囲にはガイド板10を配置していないため、サイドガイド9の間隔を後方規制部材7の幅よりも狭く設定することができる。
【0018】
このように構成されているプレートコンベア1に対して物品揃え装置3は、図5(a)に示すように、包装機2に近い位置でプレートコンベア1の搬送面8の上方に配置されている。物品揃え装置3は、プレートコンベア1の搬送方向に沿って往復移動可能なスライダー15と、スライダー15に保持されている前方規制部材16とを備えている。スライダー15は上下に平行に配置されたガイドレール17に跨って摺動可能に取り付けられており、クランク機構18を介してサーボモーターMと連結されている。また、スライダー15にはL型の断面形状を有する一対のブラケット19が、水平部19aを下流側に向けるとともに搬送方向に離間させ片持ち状態で取り付けられており、各ブラケット19の水平部19aにピストンロッド20aを下向きにしたエアシリンダー20が固定されている。
【0019】
一方、前方規制部材16は逆L型の断面形状を有し、水平部16aを下流側に向けた状態で水平部16aの下流側端部においてピストンロッド20aの先端部と連結され、水平部16aの上流側端部にはガイドレール21が縦向きに固定されている。ガイドレール21はブラケット19の垂直部19bの外面に配設されたガイドブロック22に、上下方向に摺動可能な状態で案内されている。
【0020】
この物品揃え装置3は、図5(b)に示すように、クランク機構18によってスライダー15が駆動される。即ち、サーボモーターMの出力軸に連結された原動節Bが点bにおいて従動節Cと回り対偶により連結され、従動節Cは点cにおいてスライダー15と連結されている。これにより、サーボモーターMをX方向に駆動して原動節Bを回転させることで従動節Cが揺動し、スライダー15が搬送方向に往復運動を行う。また、スライダー15に配設されているエアシリンダー20のピストンロッド20aを伸縮させることで、前方規制部材16の昇降を行うことができる。前方規制部材16はピストンロッド20aを短縮すれば後方規制部材7に干渉しない待機位置まで上昇させることができ、伸長すれば垂直部16bの下端が搬送面8より下に位置する規制位置まで下降させることができる。規制位置の前方規制部材16は、物品前方の全範囲を確実にカバーするため、小径の物品であっても前方規制部材16の下を通り抜けることがない。
【0021】
次に、物品揃え装置3の作用について乾麺Nを例に挙げて説明する。なお、本物品揃え装置3は前方規制部材16を二セット備えているため、前後二箇所で同時に処理を行うことが可能であるが、説明の重複を避けるため、一方の前方規制部材16についてのみ説明を行う場合もある。
【0022】
本実施例では、バラの状態の棒状乾麺Nを、複数本の集合体(集合物品)のかたちにして包装機2でピロー包装を行っている。プレートコンベア1への乾麺Nの供給は、上流側の供給部4において手作業又は自動供給により行われ、供給された乾麺Nはプレート部材6の上に落下し、その後はプレート部材6に載せられた状態で後方規制部材7により後方への移動を規制されつつ搬送される。この際、後方規制部材7の垂直部7aから前方の隙間Sの直前に位置するプレート部材6の下流端までの距離に比べ乾麺Nの長さの方が長いため、乾麺Nの先端部が隙間Sの直前のプレート部材6から隙間Sにはみ出した状態になる。なお、プレートコンベア1のサイドガイド9は後方規制部材7の幅よりも狭く設定され、後方規制部材7とサイド板10との間に乾麺Nが侵入し上流側にこぼれることを防いでいる。
【0023】
次に、図6及び図7を参照しつつ物品揃え装置3の動作について説明を行う。図6(a)は待機状態の物品揃え装置3を示していろ。乾麺Nが物品揃え装置3の位置まで搬送されてきたことを検知すると、ピストンロッド20aを伸長して前方規制部材16を規制位置に配置する(図6(b))。次に、スライダー15を下流方向へスライドし、前方規制部材16を乾麺Nの搬送速度よりもやや遅い速度で移動させる(図6(c))。すると、他よりも前方に飛び出している乾麺Nは前方規制部材16に当接して減速され、後方規制部材7が前方規制部材16に接近することによって乾麺Nの前後が徐々に揃えられる(図7(a))。前方規制部材16は後方規制部材7との距離が乾麺Nの長さになる直前にピストンロッド20aを短縮して、待機位置まで上昇させた状態にし(図7(b))、スライダー15を上流側に復帰させ次の処理に備える(図7(c))。このようにして前後が揃えられた乾麺Nの集合体が、続く包装機2においてフィルムに供給されてピロー包装される。この際、乾麺Nの前後が揃っているため、横シールでの噛み込みが抑制される。
【0024】
別の実施形態として、前方規制部材16を規制位置から待機位置に上昇させる際、スライダー15を搬送速度よりも速く移動させ、前方規制部材16を物品から離反させた状態で行うことにより、物品が前方規制部材16に引っ掛かることを確実に防止することができる。このような理由から、前方規制部材16は滑り性のあるものが好ましい。また、前方規制部材16の昇降をシリンダー20に替えてサーボモーター等で行うこともできる。それから、垂直部16bをバネ弾性力により上流側に付勢し、下流側に跳ね上げ可能な構成にすることで、後方規制部材7に接触したときの破損を回避することができる。
【0025】
上記実施形態では、クランク機構18を用いてサーボモーターMの動力をスライダー15に伝達しているが、ボールねじやラックピニオン等の他の機構を用いることもできる。ボールねじやラックピニオンを用いると、クランク機構を用いた場合に比べて装置をコンパクトにすることができる。
【0026】
前方規制部材16は物品の前端を規制する際に、物品の搬送方向に移動させつつ規制を行っているが、搬送方向と逆方向に移動させて規制する制御を行うこともできる。即ち、前方規制部材16を物品の前方に位置させた後に上流側へ移動させ、押送板との距離が物品長さになる直前で上昇させる。この制御によれば、物品揃えに要する時間を短縮することができ、処理の高速化を図ることができる。また、前方規制部材16は搬送方向に往復させつつ徐々に揃えるようにしても良い。なお、前方規制部材16を上流側に移動させる際には当然ながらサーボモーターMを逆転させる制御を行う。
【0027】
下降した前方規制部材16の下端は、必ずしも搬送面8より下に位置させる必要はなく、搬送面8に対して物品が通り抜けない程度まで接近させることができれば、搬送面8の隙間Sを省略することも可能である。
【0028】
集合物品の搬送装置としては、プレートコンベアの他に横棧付きベルトコンベアや後方規制部材によって搬送面上を滑らせて押送する搬送装置なども用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 プレートコンベア
2 包装機
3 物品揃え装置
4 供給部
5 ローラーチェーン
6 プレート部材
7 後方規制部材
7a 垂直部
7b 水平部
7c 軸
8 搬送面
9 サイドガイド
10 ガイド板
11、11´ スプロケット
12、12´ スプロケット
13 ローラーチェーン
14 ステー部材
15 スライダー
16 前方規制部材
16a
17 ガイドレール
18 クランク機構
19 ブラケット
19a 水平部
19b 垂直部
20 エアシリンダー
20a ピストンロッド
21 ガイドレール
22 ガイドブロック
N 乾麺
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合物品を搬送しながらその前後を揃える物品揃え装置において、
前記集合物品は後方規制部材が後方に位置した状態で搬送されるものであって、前記集合物品の前方において当該集合物品の搬送方向に往復移動する前方規制部材を備え、当該前方規制部材はサーボモーターにより駆動され、前記後方規制部材に対し物品長に相当する距離まで接近可能であり、さらに前記前方規制部材は前記搬送方向と直交する方向に往復移動することで、前記後方規制部材の前方に位置する規制位置と前記後方規制部材に干渉しない待機位置とが切り替わることを特徴する物品揃え装置。
【請求項2】
前記前方規制部材の前記直交する方向の往復移動を別のサーボモーターの駆動により行うことを特徴とする請求項1記載の物品揃え装置。
【請求項3】
前記前方規制部材の前記直交する方向の往復移動をシリンダー駆動により行うことを特徴とする請求項1記載の物品揃え装置。
【請求項4】
前記前方規制部材は前記後方規制部材と同一方向に移動しつつ接近することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の物品揃え装置。
【請求項5】
前記前方規制部材が搬送方向に複数配置されていること特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物品揃え装置。
【請求項6】
前記前方規制部材はバネ弾性力によって上流側に付勢されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の物品揃え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71985(P2012−71985A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231975(P2010−231975)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】