物品搬入訓練用家屋構造
【課題】簡単な構造で複数の幅の通路に対して物品搬入の訓練ができる物品搬入訓練用家屋構造を提供する。
【解決手段】通路としての玄関ホール1、一階廊下2、階段3および二階廊下4の側方を固定壁5a〜5jおよび可動壁6a〜6fで仕切り、そのうちの可動壁6a〜6fを壁移動機構により通路の幅方向に移動可能とすることにより、可動壁6a〜6fを移動させるだけで、種々の幅の通路に対して物品搬入の訓練を行えるようにしたのである。
【解決手段】通路としての玄関ホール1、一階廊下2、階段3および二階廊下4の側方を固定壁5a〜5jおよび可動壁6a〜6fで仕切り、そのうちの可動壁6a〜6fを壁移動機構により通路の幅方向に移動可能とすることにより、可動壁6a〜6fを移動させるだけで、種々の幅の通路に対して物品搬入の訓練を行えるようにしたのである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電製品等の物品を家屋内に搬入する作業の訓練を行うための家屋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家電製品や家具等の販売業界では、消費者が店舗や通信販売等で大型の商品を購入した場合、購入された商品を消費者の自宅へ配達するだけでなく、商品を家屋内に運び入れて消費者が指定する位置に設置するサービスが一般的に行われている。
【0003】
上記のような配達・設置サービスにおいては、商品を家屋内の所定場所まで運び入れる(搬入する)際に、商品と家屋の内装のいずれも傷つけたり汚したりしないことや、迅速かつ正確に搬入・設置作業を行うことが求められる。そこで、このようなサービスに従事するスタッフに搬入作業や設置作業の訓練を受けさせるために、訓練用の家屋構造を有する施設を作ることが考えられるようになってきている。
【0004】
上記訓練施設を作る場合、施設全体のコンパクト化および建設コストの抑制のために、一定のスペースで種々の間取りの家屋に対する訓練ができるようにしておくことが望ましい。この要求に対しては、一般の住宅用家屋について提案されているように部屋を仕切る間仕切り壁を移動可能とし、間仕切り壁で仕切られる両側の部屋の広さの割合を変える技術(例えば、特許文献1参照。)を適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4082017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1で提案されたように部屋の広さを可変とした訓練施設でも、狭い廊下や階段等の通路を通って物品を搬入する訓練を行えるようにするためには、幅の異なる多数の通路を設ける必要があり、それによる施設全体の大型化や建設コストの上昇は避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構造で複数の幅の通路に対して物品搬入の訓練ができる物品搬入訓練用家屋構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、物品を家屋内の通路を経由して所定場所まで運び入れる作業の訓練を行うための物品搬入訓練用家屋構造において、前記通路の側方を仕切る壁を、その壁が仕切る通路の幅方向に移動可能に設置した構成を採用した。
【0009】
すなわち、通路の側方を仕切る壁を通路幅方向に移動可能とすることにより、その壁を移動させるだけで通路の幅を変えて物品搬入の訓練ができるようにしたのである。
【0010】
上記の構成において、前記通路の両側の壁の対応する位置に、足場板が挿通される開口を設け、前記通路の両側の壁の外側に、前記開口から突出した足場板の端部を支持する支持部材を設けるようにすれば、人手で操作する壁移動機構を高い位置に設けていても、脚立等よりも安定した足場板に乗って安全かつ容易に壁の移動作業を行うことができる。
【0011】
また、本発明は、前記通路が階段である場合に、特に有効に適用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の物品搬入訓練用家屋構造は、上述したように、通路の側方を仕切る壁を通路幅方向に移動可能としたものであるから、その壁を移動させるだけで複数の幅の通路に対して物品搬入の訓練を行うことができる。したがって、この物品搬入訓練用家屋構造を用いた訓練施設は、幅の異なる多数の通路を設けた場合に比べて施設全体がコンパクトなものとなり、建設コストも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の物品搬入訓練用家屋構造の横断平面図
【図2】図1の家屋構造の要部の外観斜視図
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図1のV−V線に沿った断面図
【図6】図1の家屋構造の壁移動作業時の状態を示す図3に対応する断面図
【図7】図1の家屋構造の第1の壁移動機構の平面図
【図8】図7の壁移動機構の要部の外観斜視図(一部可動壁移動状態)
【図9】図7のIX−IX線に沿った要部の断面図
【図10】図9のX−X線に沿った断面図
【図11】図1の家屋構造の第2の壁移動機構の一部切欠き平面図
【図12】図1の家屋構造の可動壁を移動させた状態を示す横断平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。この物品搬入訓練用家屋構造は、物品を家屋内の通路を経由して所定場所まで運び入れる作業の訓練を行うためのものであって、図1乃至図5に示すように、通路としての玄関ホール1、一階廊下2、階段3および二階廊下4と、各通路の側方を仕切る複数の固定壁5a〜5jおよび可動壁6a〜6fと、各通路の両側の所定位置に立設された複数の柱7とを備えている。その階段3のコーナー部に立設された2本の柱7には、それぞれ隣接する可動壁6c、6d、6eとの間の隙間を塞ぐコーナー壁部材8が取り付けられている。なお、図2に示したように、階段3まわりの可動壁6b〜6eには、それぞれ手摺9が取り付けられている(図1および図3〜5では省略)。
【0015】
前記複数の固定壁のうち、玄関ホール1の外側を仕切る固定壁5aと、玄関ホール1と一階廊下2との間を仕切る2枚の固定壁5bには、それぞれ図示省略したドアを取り付けるための開口10、11が設けられている。
【0016】
また、階段3の螺旋部分を挟んで対向する固定壁5g、5iおよび可動壁6c、6eには、それぞれ互いに対応する位置に開口12、13が設けられ、これらの開口12、13に後述する壁移動作業時に用いられる足場板14が挿通されるようになっている(図3参照)。なお、可動壁6c、6eの開口13は、通常はその下縁部に開閉自在に取り付けられた蓋15で塞がれている。
【0017】
前記各可動壁6a〜6fは、図1および図3〜5中に矢印で示すように、それぞれが仕切る通路の幅方向に移動可能に設置されている。これらの各可動壁6a〜6fの移動を可能とする壁移動機構は、後述するように、その一部が各可動壁6a〜6fおよび柱7の上端部に設けられ、人手で操作するようになっている。
【0018】
このため、階段3まわりの可動壁6b〜6eを移動させるときには、図6に示すように、2枚の可動壁6c、6eの蓋15を開けて、これらの可動壁6c、6eの開口13とその外側の固定壁5g、5iの開口12に足場板14を挿通し、足場板14の両端部を固定壁5g、5iの開口12の下縁部で支持することにより、作業者が足場板14に乗って壁移動機構の一部を操作できるようにしている。このようにすれば、階段3上の空間に安定した状態で足場板14を差し渡せるので、脚立等を用いる場合よりも安全かつ容易に壁の移動作業を行うことができる。
【0019】
なお、この実施形態では、固定壁5g、5iが可動壁6c、6eの開口13から突出した足場板14の端部を支持する支持部材の役割を果たしているが、足場板の支持部材は固定壁と別に設けてもよい。
【0020】
次に前述の壁移動機構について説明する。図7乃至図10は、階段3の上り口から螺旋部分の途中までの側方を仕切る可動壁6b、6cを移動可能とする第1の壁移動機構を示す。この第1の壁移動機構は、2枚の可動壁6b、6cの間の柱7の上端部に固定された矩形の基板16と、各可動壁6b、6cの上端部に固定され、柱7側の基板16に対して階段3幅方向にスライド自在に係合するスライド部材17a、17bと、各可動壁6b、6cの表面の下端部に設けられ、ピン18を上下方向にスライド自在かつ係止可能に保持するピン保持部材19と、階段3の踏み面に設けられ、ピン18の先端部が挿入されるピン受け部材20と、各可動壁6b、6cの裏面の下端部に取り付けられたキャスター21とを備えている。
【0021】
図7および図8に示すように、前記基板16の両側面には、後述するように各スライド部材17a、17bの階段3幅方向へのスライドを案内する車輪22が取り付けられている。また、この基板16の上面の両側部には、階段3の幅方向に沿って並ぶ複数のピン穴23と、各スライド部材17a、17bの階段3側への脱出を阻止するストッパ24が設けられている。
【0022】
一方、前記各スライド部材17a、17bは、平面視L字状に形成され、基板16の側面に沿って水平に延びる部分に、基板16の車輪22に階段3幅方向へのスライドを案内されるレール25が取り付けられている。また、各スライド部材17a、17bの先端部は基板16の上面に重なるように配されており、環状頭部付きピン型金具26を各スライド部材17a、17bの先端部に通して基板16のピン穴23の一つに挿入することにより、基板16と各スライド部材17a、17bとが階段3幅方向の複数の位置で固定されるようになっている。
【0023】
図7および図9に示すように、前記ピン受け部材20とその下面に接する階段3の踏み面には、ピン保持部材19で保持されるピン18が挿入されるピン穴27が、階段3幅方向に沿って基板16のピン穴23と同じ間隔で設けられている。また、ピン保持部材19は、ピン18をピン受け部材20および階段3のピン穴27に挿入される位置と、そのピン穴27から出た位置で係止できるようになっている。
【0024】
図7、9および図10に示すように、前記キャスター21は、各可動壁6b、6cのピン保持部材19取付位置よりも中央側の裏面に設けられた取付部材28の下面に取り付けられている。このキャスター21は、図示は省略するが、各可動壁6b、6cに2つずつ取り付けられており、これによって各可動壁6b、6cが階段3の踏み面上でスムーズに移動できるように支持されている。
【0025】
第1の壁移動機構は、上述した構成であり、例えば図7に実線で示した状態から、可動壁6cの上端側で基板16およびスライド部材17bからピン型金具26を引き抜くとともに、下端側でピン18をピン穴27から出た位置で係止すれば、車輪22とレール25との係合により、可動壁6cを階段3の幅方向にスムーズに移動させることができる。なお、可動壁6cは、スライド部材17bがストッパ24に当接すると停止するので、設計以上に階段3側へ移動するおそれはない。そして、図7の一点鎖線および図8に示したように、可動壁6cを所望の位置まで移動させた後、ピン型金具26およびピン18をそれぞれピン穴23、27に挿入することにより、可動壁6cを移動した位置で保持することができる。
【0026】
図11は、階段3のコーナー部の間に設けられた可動壁6dを移動可能とする第2の壁移動機構を示す。この第2の壁移動機構は、第1の壁移動機構の基板16およびスライド部材17a、17bに代えて、コーナー壁部材8の上端部の裏面にピン29を水平方向にスライド自在かつ係止可能に保持するピン保持部材30を設けるとともに、可動壁6dの上端部の裏面にピン29の先端部が挿入されるピン受け部材31を設けている。
【0027】
前記ピン受け部材31には、ピン保持部材30で保持されるピン29が挿入されるピン穴32が階段3の幅方向に沿って複数設けられている。また、ピン保持部材30は、ピン29をピン受け部材31のピン穴32に挿入される位置と、そのピン穴32から出た位置で係止できるようになっている。その他の部分の構成は第1の壁移動機構と同じである。したがって、上下のピン29、18をそれぞれピン穴30、27から出た位置で係止することにより、可動壁6dを階段3幅方向に移動させることができる。
【0028】
また、例としてあげた3枚の可動壁6b、6c、6d以外の可動壁6a、6e、6fについても、上述した第1または第2の壁移動機構により、それぞれ通路の幅方向に移動可能となっている。なお、壁移動機構は、この実施形態で説明したものに限らず、通路の側方を仕切る壁を、その壁が仕切る通路の幅方向に移動可能とする機能を有するものであればよい。
【0029】
図12は、図1の状態からすべての可動壁6a〜6fを移動させて、通路の幅を狭めた状態を示す。ここで、どの可動壁を移動させるか、またその移動量(移動後の通路幅)をどのように設定するかは必要に応じて変更できる。すなわち、この物品搬入訓練用家屋構造では、簡単な構造で、可動壁を移動させるだけで種々の幅の通路に対して物品搬入の訓練を行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 玄関ホール
2 一階廊下
3 階段
4 二階廊下
5a〜5j 固定壁
6a〜6f 可動壁
7 柱
10〜13 開口
14 足場板
15 蓋
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電製品等の物品を家屋内に搬入する作業の訓練を行うための家屋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家電製品や家具等の販売業界では、消費者が店舗や通信販売等で大型の商品を購入した場合、購入された商品を消費者の自宅へ配達するだけでなく、商品を家屋内に運び入れて消費者が指定する位置に設置するサービスが一般的に行われている。
【0003】
上記のような配達・設置サービスにおいては、商品を家屋内の所定場所まで運び入れる(搬入する)際に、商品と家屋の内装のいずれも傷つけたり汚したりしないことや、迅速かつ正確に搬入・設置作業を行うことが求められる。そこで、このようなサービスに従事するスタッフに搬入作業や設置作業の訓練を受けさせるために、訓練用の家屋構造を有する施設を作ることが考えられるようになってきている。
【0004】
上記訓練施設を作る場合、施設全体のコンパクト化および建設コストの抑制のために、一定のスペースで種々の間取りの家屋に対する訓練ができるようにしておくことが望ましい。この要求に対しては、一般の住宅用家屋について提案されているように部屋を仕切る間仕切り壁を移動可能とし、間仕切り壁で仕切られる両側の部屋の広さの割合を変える技術(例えば、特許文献1参照。)を適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4082017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1で提案されたように部屋の広さを可変とした訓練施設でも、狭い廊下や階段等の通路を通って物品を搬入する訓練を行えるようにするためには、幅の異なる多数の通路を設ける必要があり、それによる施設全体の大型化や建設コストの上昇は避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構造で複数の幅の通路に対して物品搬入の訓練ができる物品搬入訓練用家屋構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、物品を家屋内の通路を経由して所定場所まで運び入れる作業の訓練を行うための物品搬入訓練用家屋構造において、前記通路の側方を仕切る壁を、その壁が仕切る通路の幅方向に移動可能に設置した構成を採用した。
【0009】
すなわち、通路の側方を仕切る壁を通路幅方向に移動可能とすることにより、その壁を移動させるだけで通路の幅を変えて物品搬入の訓練ができるようにしたのである。
【0010】
上記の構成において、前記通路の両側の壁の対応する位置に、足場板が挿通される開口を設け、前記通路の両側の壁の外側に、前記開口から突出した足場板の端部を支持する支持部材を設けるようにすれば、人手で操作する壁移動機構を高い位置に設けていても、脚立等よりも安定した足場板に乗って安全かつ容易に壁の移動作業を行うことができる。
【0011】
また、本発明は、前記通路が階段である場合に、特に有効に適用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の物品搬入訓練用家屋構造は、上述したように、通路の側方を仕切る壁を通路幅方向に移動可能としたものであるから、その壁を移動させるだけで複数の幅の通路に対して物品搬入の訓練を行うことができる。したがって、この物品搬入訓練用家屋構造を用いた訓練施設は、幅の異なる多数の通路を設けた場合に比べて施設全体がコンパクトなものとなり、建設コストも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の物品搬入訓練用家屋構造の横断平面図
【図2】図1の家屋構造の要部の外観斜視図
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図1のV−V線に沿った断面図
【図6】図1の家屋構造の壁移動作業時の状態を示す図3に対応する断面図
【図7】図1の家屋構造の第1の壁移動機構の平面図
【図8】図7の壁移動機構の要部の外観斜視図(一部可動壁移動状態)
【図9】図7のIX−IX線に沿った要部の断面図
【図10】図9のX−X線に沿った断面図
【図11】図1の家屋構造の第2の壁移動機構の一部切欠き平面図
【図12】図1の家屋構造の可動壁を移動させた状態を示す横断平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。この物品搬入訓練用家屋構造は、物品を家屋内の通路を経由して所定場所まで運び入れる作業の訓練を行うためのものであって、図1乃至図5に示すように、通路としての玄関ホール1、一階廊下2、階段3および二階廊下4と、各通路の側方を仕切る複数の固定壁5a〜5jおよび可動壁6a〜6fと、各通路の両側の所定位置に立設された複数の柱7とを備えている。その階段3のコーナー部に立設された2本の柱7には、それぞれ隣接する可動壁6c、6d、6eとの間の隙間を塞ぐコーナー壁部材8が取り付けられている。なお、図2に示したように、階段3まわりの可動壁6b〜6eには、それぞれ手摺9が取り付けられている(図1および図3〜5では省略)。
【0015】
前記複数の固定壁のうち、玄関ホール1の外側を仕切る固定壁5aと、玄関ホール1と一階廊下2との間を仕切る2枚の固定壁5bには、それぞれ図示省略したドアを取り付けるための開口10、11が設けられている。
【0016】
また、階段3の螺旋部分を挟んで対向する固定壁5g、5iおよび可動壁6c、6eには、それぞれ互いに対応する位置に開口12、13が設けられ、これらの開口12、13に後述する壁移動作業時に用いられる足場板14が挿通されるようになっている(図3参照)。なお、可動壁6c、6eの開口13は、通常はその下縁部に開閉自在に取り付けられた蓋15で塞がれている。
【0017】
前記各可動壁6a〜6fは、図1および図3〜5中に矢印で示すように、それぞれが仕切る通路の幅方向に移動可能に設置されている。これらの各可動壁6a〜6fの移動を可能とする壁移動機構は、後述するように、その一部が各可動壁6a〜6fおよび柱7の上端部に設けられ、人手で操作するようになっている。
【0018】
このため、階段3まわりの可動壁6b〜6eを移動させるときには、図6に示すように、2枚の可動壁6c、6eの蓋15を開けて、これらの可動壁6c、6eの開口13とその外側の固定壁5g、5iの開口12に足場板14を挿通し、足場板14の両端部を固定壁5g、5iの開口12の下縁部で支持することにより、作業者が足場板14に乗って壁移動機構の一部を操作できるようにしている。このようにすれば、階段3上の空間に安定した状態で足場板14を差し渡せるので、脚立等を用いる場合よりも安全かつ容易に壁の移動作業を行うことができる。
【0019】
なお、この実施形態では、固定壁5g、5iが可動壁6c、6eの開口13から突出した足場板14の端部を支持する支持部材の役割を果たしているが、足場板の支持部材は固定壁と別に設けてもよい。
【0020】
次に前述の壁移動機構について説明する。図7乃至図10は、階段3の上り口から螺旋部分の途中までの側方を仕切る可動壁6b、6cを移動可能とする第1の壁移動機構を示す。この第1の壁移動機構は、2枚の可動壁6b、6cの間の柱7の上端部に固定された矩形の基板16と、各可動壁6b、6cの上端部に固定され、柱7側の基板16に対して階段3幅方向にスライド自在に係合するスライド部材17a、17bと、各可動壁6b、6cの表面の下端部に設けられ、ピン18を上下方向にスライド自在かつ係止可能に保持するピン保持部材19と、階段3の踏み面に設けられ、ピン18の先端部が挿入されるピン受け部材20と、各可動壁6b、6cの裏面の下端部に取り付けられたキャスター21とを備えている。
【0021】
図7および図8に示すように、前記基板16の両側面には、後述するように各スライド部材17a、17bの階段3幅方向へのスライドを案内する車輪22が取り付けられている。また、この基板16の上面の両側部には、階段3の幅方向に沿って並ぶ複数のピン穴23と、各スライド部材17a、17bの階段3側への脱出を阻止するストッパ24が設けられている。
【0022】
一方、前記各スライド部材17a、17bは、平面視L字状に形成され、基板16の側面に沿って水平に延びる部分に、基板16の車輪22に階段3幅方向へのスライドを案内されるレール25が取り付けられている。また、各スライド部材17a、17bの先端部は基板16の上面に重なるように配されており、環状頭部付きピン型金具26を各スライド部材17a、17bの先端部に通して基板16のピン穴23の一つに挿入することにより、基板16と各スライド部材17a、17bとが階段3幅方向の複数の位置で固定されるようになっている。
【0023】
図7および図9に示すように、前記ピン受け部材20とその下面に接する階段3の踏み面には、ピン保持部材19で保持されるピン18が挿入されるピン穴27が、階段3幅方向に沿って基板16のピン穴23と同じ間隔で設けられている。また、ピン保持部材19は、ピン18をピン受け部材20および階段3のピン穴27に挿入される位置と、そのピン穴27から出た位置で係止できるようになっている。
【0024】
図7、9および図10に示すように、前記キャスター21は、各可動壁6b、6cのピン保持部材19取付位置よりも中央側の裏面に設けられた取付部材28の下面に取り付けられている。このキャスター21は、図示は省略するが、各可動壁6b、6cに2つずつ取り付けられており、これによって各可動壁6b、6cが階段3の踏み面上でスムーズに移動できるように支持されている。
【0025】
第1の壁移動機構は、上述した構成であり、例えば図7に実線で示した状態から、可動壁6cの上端側で基板16およびスライド部材17bからピン型金具26を引き抜くとともに、下端側でピン18をピン穴27から出た位置で係止すれば、車輪22とレール25との係合により、可動壁6cを階段3の幅方向にスムーズに移動させることができる。なお、可動壁6cは、スライド部材17bがストッパ24に当接すると停止するので、設計以上に階段3側へ移動するおそれはない。そして、図7の一点鎖線および図8に示したように、可動壁6cを所望の位置まで移動させた後、ピン型金具26およびピン18をそれぞれピン穴23、27に挿入することにより、可動壁6cを移動した位置で保持することができる。
【0026】
図11は、階段3のコーナー部の間に設けられた可動壁6dを移動可能とする第2の壁移動機構を示す。この第2の壁移動機構は、第1の壁移動機構の基板16およびスライド部材17a、17bに代えて、コーナー壁部材8の上端部の裏面にピン29を水平方向にスライド自在かつ係止可能に保持するピン保持部材30を設けるとともに、可動壁6dの上端部の裏面にピン29の先端部が挿入されるピン受け部材31を設けている。
【0027】
前記ピン受け部材31には、ピン保持部材30で保持されるピン29が挿入されるピン穴32が階段3の幅方向に沿って複数設けられている。また、ピン保持部材30は、ピン29をピン受け部材31のピン穴32に挿入される位置と、そのピン穴32から出た位置で係止できるようになっている。その他の部分の構成は第1の壁移動機構と同じである。したがって、上下のピン29、18をそれぞれピン穴30、27から出た位置で係止することにより、可動壁6dを階段3幅方向に移動させることができる。
【0028】
また、例としてあげた3枚の可動壁6b、6c、6d以外の可動壁6a、6e、6fについても、上述した第1または第2の壁移動機構により、それぞれ通路の幅方向に移動可能となっている。なお、壁移動機構は、この実施形態で説明したものに限らず、通路の側方を仕切る壁を、その壁が仕切る通路の幅方向に移動可能とする機能を有するものであればよい。
【0029】
図12は、図1の状態からすべての可動壁6a〜6fを移動させて、通路の幅を狭めた状態を示す。ここで、どの可動壁を移動させるか、またその移動量(移動後の通路幅)をどのように設定するかは必要に応じて変更できる。すなわち、この物品搬入訓練用家屋構造では、簡単な構造で、可動壁を移動させるだけで種々の幅の通路に対して物品搬入の訓練を行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 玄関ホール
2 一階廊下
3 階段
4 二階廊下
5a〜5j 固定壁
6a〜6f 可動壁
7 柱
10〜13 開口
14 足場板
15 蓋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を家屋内の通路を経由して所定場所まで運び入れる作業の訓練を行うための物品搬入訓練用家屋構造において、前記通路の側方を仕切る壁を、その壁が仕切る通路の幅方向に移動可能に設置したことを特徴とする物品搬入訓練用家屋構造。
【請求項2】
前記通路の両側の壁の対応する位置に、足場板が挿通される開口を設け、前記通路の両側の壁の外側に、前記開口から突出した足場板の端部を支持する支持部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品搬入訓練用家屋構造。
【請求項3】
前記通路が階段であることを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬入訓練用家屋構造。
【請求項1】
物品を家屋内の通路を経由して所定場所まで運び入れる作業の訓練を行うための物品搬入訓練用家屋構造において、前記通路の側方を仕切る壁を、その壁が仕切る通路の幅方向に移動可能に設置したことを特徴とする物品搬入訓練用家屋構造。
【請求項2】
前記通路の両側の壁の対応する位置に、足場板が挿通される開口を設け、前記通路の両側の壁の外側に、前記開口から突出した足場板の端部を支持する支持部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品搬入訓練用家屋構造。
【請求項3】
前記通路が階段であることを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬入訓練用家屋構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−80137(P2013−80137A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220632(P2011−220632)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【特許番号】特許第4970612号(P4970612)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(397022368)上新電機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【特許番号】特許第4970612号(P4970612)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(397022368)上新電機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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