説明

物品搬送装置のガイド機構、及び、それを備える物品搬送装置

【課題】高速で物品が搬送される物品搬送装置について好適なガイド機構を提案する。
【解決手段】物品としての缶2を載置して移動させるためのコンベア3と、コンベア3の幅方向両側に配置されるサイドガイド4・4と、コンベア3の上方に配置されるアッパーガイド5と、を有し、前記コンベア3の載置面、サイドガイド4・4の内側部、アッパーガイド5の下側部にて囲まれる空間6を形成し、缶2を搬送する方向に前記空間6を長く形成することで一連の搬送経路7が形成される、物品搬送装置1のガイド機構10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアにて搬送される物品をガイドするためのガイド機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、缶などの物品をコンベアにて搬送する物品搬送装置において、物品がコンベア上から落下しないようにするために、コンベアの幅方向の両側にサイドガイドを設け、このサイドガイド(ガイド部材)の間にて物品を通過させる構成が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0003】
例えば、特許文献1では、供給コンベアにより複数の物品を本体コンベア上へ順次供給するものであり、本体コンベアの両側をサイドガイドにより案内して物品を溜めながら振分けガイドにより振分けて、下流へ供給する物品の供給装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、連続して供給されてくる胴部が円筒状の物品を、整列コンベアで搬送させながら、上方から見てその先端部が山型に突出した整列ガイドにより、整列コンベア上で余分に集合整列させる形態について開示がされている。
【0005】
また、特許文献3では、容器ガイド部材を複数列設け、各容器ガイド部材の間に形成する容器通路において、容器を一列に整列させて搬送する形態の物品搬送装置であって、容器通路幅を調整する構成について開示がされている。
【特許文献1】特開平8−151120号公報
【特許文献2】特開平10−114415号公報
【特許文献3】特開2004−99282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1や特許文献2に開示される技術は、多量の物品が幅方向に並んだ状態で運ばれる搬送工程に適用されるものである。ここで、製造ラインの全体の搬送工程を考えた場合、このような多量の物品を幅方向に並べて搬送する搬送工程のコンベアの移動速度は、例えば、物品を一列などの少数列で搬送する搬送工程と比較すると遅いものとなる。
【0007】
このため、特許文献1や特許文献2で開示される搬送工程においては、仮に、何らかの理由でコンベアに上下方向の振動が発生するようなことがあっても、コンベアの移動速度が遅いため、物品が搬送方向に大きく傾くことや、コンベアの載置面から大きく跳ね上がってしまう不具合は発生し難いものであったといえる。
【0008】
これに対し、一列などの少数列にて搬送する工程における搬送速度は、例えば、2.0メートル/秒〜3.5メートル/秒のように高速となる。これは、多量の物品を幅方向に並べて搬送する搬送工程から引き継がれる物品を、滞留させることなく搬送する必要があるためである。そして、このような高速の搬送工程の場合では、仮に、コンベアに上下方向の僅かな振動が発生した場合であっても、高速で移動する慣性をもった物品が搬送方向に大きく傾くことや、コンベアの載置面から大きく跳ね上がる不具合の発生が懸念される。そして、このように物品が搬送方向に大きく傾いたり、跳ね上がることになると、物品が搬送方向に傾倒して搬送ラインが詰まる不具合や、さらには、物品がサイドガイドを乗り越えて脱落する不具合が発生することも懸念される。
【0009】
一方、特許文献3においては、一列に整列させて容器を搬送する搬送工程に適用する技術について開示がされているが、この技術においても、コンベアの載置面から容器が跳ね上がることについての課題は解決できないものである。なお、特許文献3に開示されるような技術は、専ら、箱詰機の容器整列集積装置として適用されるものであり、容器が連続的に搬送される工程に採用されるものではない。つまり、容器が高速で搬送される物品搬送装置の類には入らないものである。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑み、高速で物品が搬送される物品搬送装置について好適なガイド機構を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1に記載のごとく、
物品を載置して移動させるためのコンベアと、
前記コンベアの幅方向両側に配置されるサイドガイドと、
前記コンベアの上方に配置されるアッパーガイドと、を有し、
前記コンベア、前記サイドガイド、前記アッパーガイドにて囲まれる空間を形成し、
前記物品を搬送する方向に前記空間を長く形成することで一連の搬送経路が形成される、
物品搬送装置のガイド機構とするものである。
【0013】
また、請求項2に記載のごとく、
前記アッパーガイドと連結される上下可動部材と、
前記上下可動部材を上下方向に貫通させる筒状回動部材と、を有し、
前記上下可動部材には、前記上下可動部材から側方にカムフォロア部が突設され、
前記筒状回動部材には、前記カムフォロア部が載置される螺旋状のカム面が形成され、
前記筒状回動部材が前記上下可動部材を回動中心として回動されると、
前記カム面に沿って前記カムフォロア部が上下移動されることにより、
前記上下可動部材が上下移動される構成とする、物品搬送装置のガイド機構とするものである。
【0014】
また、請求項3に記載のごとく、
前記上下可動部材の上部には、
前記アッパーガイドを支持するとともに、
前記アッパーガイドが前記物品の上方にある位置から、前記アッパーガイドを前記物品の上方から側方へずれた位置へと移動させ、前記空間の上方を開放する状態とするための開閉支持機構が設けられることとするものである。
【0015】
また、請求項4に記載のごとく、
前記ガイド高さ切替機構は、前記物品の搬送方向の複数箇所に配置され、
前記各ガイド高さ切替機構の前記開閉支持機構は、連結バーにて連結されることとするものである。
【0016】
また、請求項5に記載のごとく、
前記筒状回動部材の回動操作を規制することで、前記アッパーガイドの高さ位置を固定するためのロック機構が設けられることとするものである。
【0017】
また、請求項6に記載のごとく、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のガイド機構を備える物品搬送装置とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
物品は周囲を囲まれた空間内を通過することになり、空間を形成するコンベア、サイドガイド、アッパーガイドによって、物品が傾くことが防止され、高速での安定した物品の搬送が実現可能となる。特に、アッパーガイドでは、コンベアの上方へ向けて物品が大きく移動する(跳ね上がる)ことを規制することができ、物品の傾きの発生を効果的に防止できることになる。また、アッパーガイドとコンベアにて上下位置を規定できるため、後工程における規定の上下位置に合わせて正確に引継ぐことが可能となり、特に、後工程において、物品の上下位置の精度が求められる場合、例えば、物品の上面に処理を施す場合などでは、有効なものとなる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明においては、
高さの高い物品を搬送する状態から、高さの低い物品を搬送する工程に切り替える際、又は、高さの低い物品を搬送する状態から、高さの高い物品を搬送する工程に切り替える際においては、上下可動部材を回動操作するワンアクションにより、速やかにアッパーガイドの高さ位置の切替を完了することができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明においては、
搬送経路において物品が詰まるなどの不具合が発生した場合においては、アッパーガイドを上方へ向けて回動操作するワンアクションにより、その詰まりを取り除いて直ちに復旧することが可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明においては、
複数箇所にガイド高さ切替機構を設けることで、アッパーガイドを複数箇所で吊設支持することができ、アッパーガイドに傾きなどを生じさせることなく、確実に水平状態で支持することが可能となる。また、連結バーにて開閉支持機構を連結することで、開閉支持機構を連動して上下動させて、アッパーガイドを上下方向に移動させることができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明においては、
アッパーガイドの高さ位置を切替した後において、アッパーガイドをその高さ位置に固定することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明においては、
物品は周囲を囲まれた空間内を通過することになり、空間を形成するコンベア、サイドガイド、アッパーガイドによって、物品が傾くことが防止され、高速での安定した物品の搬送が実現可能となる。特に、アッパーガイドでは、コンベアの上方へ向けて物品が大きく移動する(跳ね上がる)ことを規制することができ、物品の傾きの発生を効果的に防止できることになる。また、アッパーガイドとコンベアにて上下位置を規定できるため、後工程における規定の上下位置に合わせて正確に引継ぐことが可能となり、特に、後工程において、物品の上下位置の精度が求められる場合、例えば、物品の上面に処理を施す場合などでは、有効なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる物品搬送装置1について示すものである。
この物品搬送装置1は、物品である缶2・2を一列に高速(例えば、2.0メートル/秒〜3.5メートル/秒)で搬送する搬送工程に適用されるものであり、各缶2・2が物品搬送装置1のコンベア3によって図面において左側から右側へと搬送されるようになっている。
【0026】
また、図1に示すごとく、物品搬送装置1のガイド機構10は、各缶2・2を載置した状態で移動するコンベア3と、コンベア3の幅方向両側に配置されるサイドガイド4・4と、コンベア3の上方に配置されるアッパーガイド5と、を有して構成されており、図2に示すごとく、これらコンベア3の載置面3a、サイドガイド4・4の内側部4a・4a、アッパーガイド5の下側部5aで囲まれる空間6が形成されるようになっている。そして、図1に示すごとく、缶2を搬送する方向にこの空間6を長く形成することで一連の搬送経路7が形成される。以上のようにして、缶2・2が搬送経路7に沿って連続的に移動されるように構成される。
【0027】
また、図2に示すごとく、缶2がコンベア3の幅方向Wにずれるような場合には、サイドガイド4・4の内側部4a・4aに缶2の側部2aが接触することで、コンベア3の幅方向Wにおいて缶2が大きく移動することや、同じく、コンベア3の幅方向Wにおいて傾くことを抑制できるようになっている。ここで、両サイドガイド4・4の内側部4a・4aと缶2の側部2aとの間には、例えば、1mm程度の隙間S1を確保するように設定されることが、缶2の傾きの防止、及び、擦り傷の発生の防止の観点から好ましい。
【0028】
また、図2に示すごとく、缶2が搬送方向に大きく傾こうとしたり、コンベアの載置面3aから大きく跳ね上がろうとした場合には、アッパーガイド5の下側部5aに缶2の上部2bが接触することで、コンベア3の上方(矢印Hの方向)へ向けて缶2が大きく移動する(跳ね上がる)ことや、コンベア3の幅方向W、及び、移動方向(缶2の搬送方向)に傾くことを抑制できるようになっている。ここで、アッパーガイド5の下側部5aと缶2の上部2bとの間には、例えば、1mm程度の隙間S2を確保するように設定されることが、缶2の傾きの防止、及び、擦り傷の発生の防止の観点から好ましい。
【0029】
以上のように、図1及び図2に示すごとく、物品としての缶2を載置して移動させるためのコンベア3と、コンベア3の幅方向両側に配置されるサイドガイド4・4と、コンベア3の上方に配置されるアッパーガイド5と、を有し、前記コンベア3の載置面3a、サイドガイド4・4の内側部4a・4a、アッパーガイド5の下側部5aにて囲まれる空間6を形成し、缶2を搬送する方向に前記空間6を長く形成することで一連の搬送経路7が形成される、物品搬送装置1のガイド機構10とするものである。
【0030】
そして、以上のように構成するガイド機構10によれば、物品(缶2)は周囲を囲まれた空間6内を通過することになり、空間6を形成するコンベア3、サイドガイド4・4、アッパーガイド5によって、物品が傾くことが防止され、高速での安定した物品の搬送が実現可能となる。特に、アッパーガイド5では、コンベア3の上方へ向けて物品が大きく移動する(跳ね上がる)ことを規制することができ、物品の傾きの発生を効果的に防止できることになる。また、アッパーガイド5とコンベア3にて上下位置を規定できるため、後工程における規定の上下位置に合わせて正確に引継ぐことが可能となり、特に、後工程において、物品の上下位置の精度が求められる場合、例えば、物品の上面に処理を施す場合などでは、有効なものとなる。なお、図に示される構成では、サイドガイド4・4、及び、アッパーガイド5については、板状の部材にて構成されるが、棒状の部材にて構成してもよい。
【0031】
次に、図3(a)(b)に示すごとく、高さの異なる物品が搬送される際に、アッパーガイド5の高さ位置の切替を可能とするガイド高さ切替機構20の構成について説明する。
このガイド高さ切替機構20において、図3(a)では、高さの高い缶2を搬送する場合の設定を示し、図3(b)では、高さの低い缶8を搬送する場合の設定を示しており、アッパーガイド5のコンベア3からの高さを二つの異なる位置に設定できるようになっている。
【0032】
また、図3(a)(b)、及び、図4(a)(b)に示すごとく、ガイド高さ切替機構20は、アッパーガイド5と連結される上下可動部材21と、前記上下可動部材21を上下方向に貫通させる筒状回動部材22と、を有し、前記上下可動部材21には、前記上下可動部材21から側方にカムフォロア部23が突設され、前記筒状回動部材22には、前記カムフォロア部23が載置される螺旋状のカム面24が形成され、前記筒状回動部材22が前記上下可動部材21を回動中心として回動されると、前記カム面24に沿ってカムフォロア部23が上下移動されることにより、前記上下可動部材21が上下移動される構成としている。
【0033】
以下詳述すると、図3(a)、及び、図4(a)に示すごとく、ガイド高さ切替機構20には、上下方向に軸部材からなる上下可動部材21が設けられている。この上下可動部材21の上部には、アッパーガイド5の開閉支持機構30を支持するための板状の支持部25が設けられている。また、図4(a)に示すごとく、上下可動部材21の上下方向中途部には、側方に向けて軸状のカムフォロア部23(図4(a)参照)が突設されている。
【0034】
また、図3(a)に示すごとく、一方のサイドガイド4の外側表面4bには、側方に延びるブラケット部26が突設されており、図4(a)に示すごとく、このブラケット部26の上部には、筒状回動部材22が回動自在に載置される。また、ブラケット部26の下部には、筒軸部27が下側から固定される。そして、ブラケット部26に上下方向の貫通孔26a、筒状回動部材22に上下方向の貫通孔22a、筒軸部27に上下方向の貫通孔27aがそれぞれ形設され、これら貫通孔26a・22a・27aに対して上下可動部材21が上下方向に貫装されるようになっている。
【0035】
また、図4(a)に示すごとく、筒状回動部材22には側方に向けて操作ハンドル22bが設けられており、この操作ハンドル22bを掴んで筒状回動部材22を回動操作できるようになっている。
【0036】
また、図4(a)に示すごとく、筒軸部27は、下側からブラケット部26に対してボルト26b・26bにて固定されている。また、筒軸部27の貫通孔27aには、筒状の樹脂製カラー28が挿入されており、この樹脂製カラー28の内部に上下可動部材21が挿入されるようになっている。このように、樹脂製カラー28を筒軸部27に設けることで、上下可動部材21と筒軸部27の間での直接的な接触をなくし、樹脂製カラー28によって上下可動部材21が上下方向に移動されるようにガイドしつつ、その上下方向の移動がスムーズに行われるようにしている。
【0037】
また、図5に示すごとく、筒状回動部材22には、勾配を有する螺旋状のカム面24が形設されている。このカム面24は、平面視において、筒状回動部材22のリング状の上面を構成する略180度の範囲に構成されており、最低部24aから最高部24bに向かって高くなる勾配を有する、連続的な螺旋状の傾斜面を構成するようになっている。
【0038】
また、図5に示すごとく、このカム面24には、上下可動部材21に突設されるカムフォロア部23が載置されるようになっている。また、カム面24における最低部24aには、筒状回動部材22に形設される上下方向の壁面24cが配置されるようになっており、この壁面24cがカムフォロア部23に当接することで、筒状回動部材22の回動が規制されるようになっている。また、カム面24における最高部24bには、カムフォロア部23が落とし込まれて嵌合される断面視半円状の溝部24dが形設されており、カムフォロア部23が溝部24dに嵌合することで、筒状回動部材22の回動が規制されるようになっている。なお、この説明からも解るように、上下可動部材21はその軸中心を中心として回転はせず、カムフォロア部23は単に上下方向に移動するものである。
【0039】
そして、図4(a)に示す状態では、溝部24dにカムフォロア部23が載置され、両者が嵌合した状態となっており、この場合では、図3(a)に示すごとく、上下可動部材21が上側位置に配置され、アッパーガイド5も上側位置に配置されて、高さの高い缶2をガイドできる設定となる。
【0040】
そして、図4(a)に示す状態から操作ハンドル22bを紙面手前に引き寄せるように筒状回動部材22を回動させると、カム面24の傾斜勾配に従って、カムフォロア部23が下方に移動し、図4(b)の状態のように、最低部24aにおける壁面24cにカムフォロア部23が当接することで筒状回動部材22の回動が規制される。このカムフォロア部23の下方への移動に伴って、上下可動部材21が下方へ移動して下側位置に配置され、これにより、図3(b)に示すごとく、アッパーガイド5も下側位置に配置されて、高さの低い缶8をガイドできる設定となる。
【0041】
以上のようにして、図3(a)の状態から図3(b)の状態に切替することができ、高さの高い缶2を搬送する状態から、高さの低い缶8を搬送する工程に切り替える際には、上下可動部材21を回動操作するワンアクションにより、速やかにアッパーガイド5の高さ位置の切替を完了することができる。
【0042】
逆に、図3(b)の状態から図3(a)の状態に切替する場合には、操作ハンドル22bを上述の場合と逆の方向に操作することで行うことができる。この場合、図4(a)(b)に示すごとく、カムフォロア部23がカム面24によって押し上げられるようにして上方に移動することで、上下可動部材21が上方へと移動されて上側位置に配置される。また、この際、カムフォロア部23が溝部24dに嵌合されることで、筒状回動部材22の回動が規制されて、図4(a)の状態を形成することができる。なお、この溝部24dの深さによって、アッパーガイド5の高さ位置を規定できることとなる。
【0043】
また、図4(a)に示すごとく、前記ブラケット部26には、その外側面26cから貫通孔26a内に向かって、貫通孔26aの半径方向に、ロック機構29のボルト部29aが螺挿されるようになっており、このロック機構29のボルト部29aの先端により、上下可動部材21の周面21aを押圧できるようになっている。そして、このロック機構29のボルト部29aの先端を上下可動部材21の周面21aに押圧させることで、上下可動部材21の上下方向の移動を規制することが可能となる。これによって、カムフォロア部23の上下移動が規制され、筒状回動部材22の回動操作を規制することができる。つまりは、筒状回動部材22の回動操作を規制することで、アッパーガイド5(図2参照)の高さ位置を固定するためのロック機構29が設けられる。また、ボルト部29aの先端には、樹脂などの弾性部材を付設するなどして、上下可動部材21の周面21aの損傷を防止することが望ましい。
【0044】
このように、ロック機構29を設けることで、図4(a)と図4(b)の状態の切り替え後において、ロック機構29によるロック操作を行い、操作ハンドル22bの回動を規制することで、アッパーガイド5の高さ位置をその高さ位置に固定することができる。また、図4(a)と図4(b)の状態の切り替え前においては、ロック機構29によるロックを解除し、操作ハンドル22bの回動を許容することで、アッパーガイド5の高さ位置を切替することができる。
【0045】
なお、図4(a)の状態から図4(b)の状態への切替の際には、カムフォロア部23の上下移動が規制されることで、カムフォロア部23が溝部24dから抜け出ないこととなって、筒状回動部材22の回動が規制されることになり、逆に、図4(b)の状態から図4(a)の状態への切替の際には、カム面24によるカムフォロア部23の押上げができなくなることで、筒状回動部材22の回動が規制されることになる。
【0046】
また、図6(a)(b)に示すごとく、前記ガイド高さ切替機構20・20は、前記物品(缶2)の搬送方向7の2箇所に配置され、前記各ガイド高さ切替機構20・20の前記開閉支持機構30・30は、連結バー40にて連結される構成としてもよい。このように2箇所にガイド高さ切替機構20・20を設けることで、アッパーガイド5を複数箇所で吊設支持することができ、アッパーガイド5に傾きなどを生じさせることなく、確実に水平状態で支持することが可能となる。また、この場合では、連結バー40にて開閉支持機構30・30(アーム部33・33)を連結することで、開閉支持機構30・30を連動して上下動させて、アッパーガイド5を上下方向に移動させることができる。
【0047】
なお、図6の(a)と(b)の状態を切り替える際には、2箇所のガイド高さ切替機構20・20の操作ハンドル22b・22bをそれぞれ左手、右手で掴んで同時に操作することで、アッパーガイド5を速やかに上下動させることができる。また、本実施形態では2個所であるが、一つのアッパーガイド5に対し、より多くの箇所にガイド高さ切替機構20を設けることとしてもよい。また、アッパーガイド5が搬送方向において短く、一つのガイド高さ切替機構20でも十分にアッパーガイド5の重量を支え、アッパーガイド5を水平に保つことができる場合には、ガイド高さ切替機構20は一つであってもよい。また、アッパーガイド5は直線状として搬送経路7(図1参照)の直線部に配置される他、円弧状として搬送経路の円弧状のコーナー部(不図示)などに配置されることも可能である。
【0048】
また、図2に示すごとく、ガイド高さ切替機構20において、上下可動部材21の上部には、アッパーガイド5を支持するとともに、アッパーガイド5が物品(缶2)の上方にある位置から、アッパーガイド5を物品(缶2)の上方から側方へずれた位置へと移動させ、前記空間6の上方を開放する状態とするための開閉支持機構30が設けられる構成としている。
【0049】
具体的な構成としては、図2に示すごとく、開閉支持機構30には、ガイド高さ切替機構20の上下可動部材21(支持部25)によって支持されるベース部31が設けられており、このベース部31に対し、ヒンジ部32を介してアーム部33が回動自在に固定されている。また、アーム部33の回動方向は、アッパーガイド5を吊設支持する先端部33a(ヒンジ部32と反対側の部位)が上下方向に移動できる方向としている。また、アーム部33は、ベース部31の上側板面に重ねられた状態で、アッパーガイド5が閉じた状態、即ち、通常の状態に設定される。そして、この状態から、ヒンジ部32を回動支点として、先端部33aを上方に持ち上げることで、アッパーガイド5が開かれた状態に設定される。
【0050】
また、図2に示すごとく、アーム部33の先端部33aには、アッパーガイド5を吊り下げた状態で連結固定するための上下連結機構34が設けられている。この上下連結機構34は、アッパーガイド5から上方に突出させた棒状軸5bのネジの山に対し、ナット35a・35bを締結固定させる構成としており、このナット35a・35bを調整することによって、アッパーガイド5の高さ位置を微調整できるようになっている。
【0051】
また、図1に示すごとく、開閉支持機構30は、2箇所に配置されるガイド高さ切替機構20・20にそれぞれ設けられており、アッパーガイド5を介して各開閉支持機構30・30のアーム部33・33が連結されるようになっている。そして、図2に示すごとく、アッパーガイド5を開閉操作する際には、図1に示される各開閉支持機構30・30のアーム部33・33が連動して動作するようになっている。
【0052】
以上の構成とすることで、図1及び図2に示すごとく、例えば、搬送経路7において缶2が詰まるなどの不具合が発生した場合においては、作業者はアッパーガイド5を上方へ向けて回動操作するワンアクションにより、その詰まりを取り除いて直ちに復旧することが可能となる。なお、このように、アッパーガイド5を回動可能な構成(開閉可能な構成)とする場合には、アッパーガイド5についてバタつきが生じないように、アッパーガイド5に十分な重量を持たせることが好ましい。
【0053】
また、図1に示す実施形態のように、特に、飲料を充填した缶2などの容器を搬送する物品搬送装置1は、殺菌処理のために高温環境に設置されることや、熱水による洗浄が行われることになる。このため、ガイド高さ切替機構20においては、モーターや制御用の電磁弁などの電力を使用する機器を不要とする構成とすることが、長期間の耐久性を確保できる点で望ましい。この観点から、図5に示される本実施形態のガイド高さ切替機構20のように、カム面24とカムフォロア部23の組合せによる、いわゆる、機械式の構造は、優れた耐久性を実現できる構造となる。また、ガイド高さ切替機構20を構成する上下可動部材21などの材質については特に限定されるものではないが、ステンレスなど、防錆性のある金属素材を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、コンベアにて物品を搬送する物品搬送装置のガイド機構として幅広く適用可能であり、特に、ガイド高さ切替機構を備えることにより、搬送する物品の高さが異なることになった場合に、速やかにアッパーガイドの高さを切替することが可能となる。また、例えば、飲料の製造ラインにおいて、飲料の充填される容器やペットボトルなどを搬送する搬送装置について、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例に係る物品搬送装置の構成を示す斜視図。
【図2】ガイド機構、及び、ガイド高さ切替機構について示す図。
【図3】(a)は高さの高い物品を搬送する際のガイド機構の状態について示す図。(b)は高さの低い物品を搬送する際のガイド機構の状態について示す図。
【図4】(a)は上下可動部材が上側位置に配置された際のガイド高さ切替機構の状態について示す図。(b)は上下可動部材が下側位置に配置された際のガイド高さ切替機構の状態について示す図。
【図5】ガイド高さ切替機構のカム面とカムフォロア部の関係について説明する斜視図。
【図6】(a)はアッパーガイドを上側位置に配置した状態について示す図。(b)はアッパーガイドを下側位置に配置した状態について示す図。
【符号の説明】
【0056】
1 物品搬送装置
2 缶
3 コンベア
4 サイドガイド
5 アッパーガイド
6 空間
7 搬送経路
8 缶
10 ガイド機構
20 ガイド高さ切替機構
21 上下可動部材
22 筒状回動部材
23 カムフォロア部
24 カム面
29 ロック機構
30 開閉支持機構
40 連結バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置して移動させるためのコンベアと、
前記コンベアの幅方向両側に配置されるサイドガイドと、
前記コンベアの上方に配置されるアッパーガイドと、を有し、
前記コンベア、前記サイドガイド、前記アッパーガイドにて囲まれる空間を形成し、
前記物品を搬送する方向に前記空間を長く形成することで一連の搬送経路が形成される、
物品搬送装置のガイド機構。
【請求項2】
前記アッパーガイドと連結される上下可動部材と、
前記上下可動部材を上下方向に貫通させる筒状回動部材と、を有し、
前記上下可動部材には、前記上下可動部材から側方にカムフォロア部が突設され、
前記筒状回動部材には、前記カムフォロア部が載置される螺旋状のカム面が形成され、
前記筒状回動部材が前記上下可動部材を回動中心として回動されると、
前記カム面に沿って前記カムフォロア部が上下移動されることにより、
前記上下可動部材が上下移動される構成とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の物品搬送装置のガイド機構。
【請求項3】
前記上下可動部材の上部には、
前記アッパーガイドを支持するとともに、
前記アッパーガイドが前記物品の上方にある位置から、前記アッパーガイドを前記物品の上方から側方へずれた位置へと移動させ、前記空間の上方を開放する状態とするための開閉支持機構が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の物品搬送装置のガイド機構。
【請求項4】
前記ガイド高さ切替機構は、前記物品の搬送方向の複数箇所に配置され、
前記各ガイド高さ切替機構の前記開閉支持機構は、連結バーにて連結される、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3に記載の物品搬送装置のガイド機構。
【請求項5】
前記筒状回動部材の回動操作を規制することで、前記アッパーガイドの高さ位置を固定するためのロック機構が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4に記載の物品搬送装置のガイド機構。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のガイド機構を備える物品搬送装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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