物品搬送装置
【課題】 多様な寸法形状の物品を自由な姿勢で投入しながら、概ね一定量ずつ排出するとともに、物品の重心を上位とするように整列して排出すること。
【解決手段】 物品搬送装置10であって、複数の固定床20のうち、最下流側に配置される床高固定床20Aの床面21Aを他の固定床20の床面21よりも高くし、該床高固定床20Aの下流に配置される急傾斜移動床30Aの床面31Aを他の移動床30の床面31よりも急傾斜にしてなるもの。
【解決手段】 物品搬送装置10であって、複数の固定床20のうち、最下流側に配置される床高固定床20Aの床面21Aを他の固定床20の床面21よりも高くし、該床高固定床20Aの下流に配置される急傾斜移動床30Aの床面31Aを他の移動床30の床面31よりも急傾斜にしてなるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品搬送装置として、特許文献1に記載の如く、複数の固定床の各個を搬送方向の下流側に向けて順に配置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返し、各固定床の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、各移動床の床面も搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させてなるものがある。
【0003】
この物品搬送装置にあっては、固定床と移動床が搬送方向に沿って交互に隣接配置され、しかも各固定床の床面と各移動床の床面のそれぞれが搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置されるものであり、物品の寸法形状や投入姿勢に関係なく、あらゆる物品を固定床の床面に載せ、移動床の床面により突き上げ、それらの物品に移動床の床面の傾斜に起因する搬送力を付与する。搬送力を付与された物品は、移動床の下降により、下流側の固定床の床面に移載され、固定床の床面の傾斜に載って更に下流側に滑る搬送動作を繰り返され、概ね一定量ずつ排出される。
【特許文献1】特開2008-150143
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の物品搬送装置にあっては、物品が移動床の床面により突き上げられて下流側への搬送力を付与され、固定床の床面に移載されるときに、物品はその重心を下位とするように転がる整列作用を付与される。これにより、搬送対象物品を例えば有天面のキャップとするとき、キャップは天面側(重心側)を下位とするように整列されて排出される。このキャップをキャップ締め機に供給するために、キャップの天面側を上向きにする必要がある場合には、キャップの上下反転装置を併設する必要がある。
【0005】
本発明の課題は、多様な寸法形状の物品を自由な姿勢で投入しながら、概ね一定量ずつ排出するとともに、物品の重心を上位とするように整列して排出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数の固定床の各個を搬送方向の下流側に向けて順に配置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返し、各固定床の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、各移動床の床面も搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させてなる物品搬送装置であって、最下流に配置される移動床を他の移動床の床面よりも急傾斜な床面である急傾斜移動床としてなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
物品搬送装置10は、図1〜図3に示す如く、架台11の一端側から他端側に向かう方向を物品搬送方向とし、その一端側に入口シュート12を設け、入口シュート12の裏面に搬送力を高めるためのバイブレータ13を装備してある。また、入口シュートは、後述する図24に示す如き自動供給装置付きのものとしても良い。
【0008】
物品搬送装置10は、架台11に設けた支持部材14に複数の固定床20を支持する。物品搬送装置10は、複数の固定床20の各個の床面21を互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度θ:例えば5〜35度)(下り方向配置)(図4)をなすように配置している。このとき、各固定床20の床面21は、それ自体でも、搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した斜面とされている。固定床20にバイブレータを装備し、搬送力を高めても良い。
【0009】
物品搬送装置10は、架台11に支持した昇降駆動装置15に左右のサイドガイド板16を連結し、架台11に支持したスライド軸17にサイドガイド板16に固定してあるスライド部18をスライド自在に嵌合している。また、架台11とスライド部18の間には、衝撃緩和ダンパ19を介装している。左右のサイドガイド板16は、入口シュート12と固定床20の巾方向の両側に配置されるとともに、複数の移動床30を挟んで備える。複数の移動床30の各個を各固定床20に対し搬送方向の側傍(本実施例では上流側の側傍)に隣接配置する。固定床20と移動床30は一定の隙間を介して搬送方向に沿って交互に配置されるものになる。物品搬送装置10は、昇降駆動装置15により、サイドガイド板16及び移動床30の昇降動作を繰り返す(移動床30を昇降駆動装置15に直に連結し、サイドガイド板16は必ずしも昇降させる必要はない)。即ち、各移動床30を同時にそれらの床面31が隣接する固定床20の床面21に対する上位(図4(A))と下位(図4(B))に位置付ける昇降動作を繰り返す。
【0010】
各移動床30の床面31は、上位において固定床20の床面21より上に突出し、下位において固定床20の床面21より下に没入する。本発明における「没入」とは、移動床30が固定床20の下方に位置することをいい、具体的には、移動床30全体が完全に固定床20の床面21より下方に位置する完全に没入した場合は勿論、移動床30の床面31が下位状態で固定床20の床面21とほぼ同一位置で停止した場合も含まれる。上位に位置付けられた各移動床30の床面31を互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度θ:例えば5〜35度)をなすように配置する。このとき、各移動床30の床面31は、それ自体でも、搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した斜面とされている(図4)。
【0011】
この移動床配置についての角度θ(θ1)は、固定床配置についての角度θ(θ2)とほぼ同一に一致させたほうが物品搬送時の物品挙動が安定して好ましい。θの値は、物品と固定床20や移動床30との摩擦状態によって適宜調整される。一例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS等の樹脂製キャップやアルミ製等の金属製キャップ等の物品を、(a)表面を一般的な機械加工にて仕上げたステンレス製やアルミ製等の金属製の固定床20や移動床30、(b)表面を一般的な機械加工にて仕上げたポリアセタールやポリ塩化ビニル等の樹脂製の固定床20や移動床30、(c)更にこれらの表面に滑り性の良いテープ材を貼った固定床20や移動床30にて搬送する場合の角度θは、好ましくは8〜25度、更に好ましくは12度〜20度にすると良い。尚、移動床配置についての角度θ1と、固定床配置についての角度θ2を異なるものとすれば、上流と下流での移動挙動を変化させることも可能である。
【0012】
移動床配置及び固定床配置が水平に対する角度θ、固定床20の床面21が水平に対する角度α、移動床30の床面31が水平に対する角度βの関係を図5に示す。
【0013】
固定床20の床面21が水平に対する角度αは、移動床配置についての角度θ1に対し、−5〜+15度程度と、ほぼ同等もしくは僅かに大きく設定される。これは、固定床20の床面21において物品を下流の移動床30の床面31へゆっくりと安定的に搬送させるためである。仮に物品が自ら滑ることのない角度であっても、上流からの他物品に押されて搬送される。次に、移動床30の床面31が水平に対する角度βは、固定床20の床面21が水平に対する角度αに対し、+5〜+25度程度と大きく設定される。これは、移動床30の床面31が突出中に、確実に物品を下流の固定床20の床面21へと搬送させるためである。
【0014】
物品を特にスムースに搬送させたいときには、固定床20の床面21が水平に対する角度αは、移動床配置についての角度θ1と概同一に設定される。更に、移動床30の床面31が水平に対する角度βも、移動床配置についての角度θ1と概同一に設定される。これは、移動床30の床面31が没入時に、物品をガタつかせることなくスムースに下流の固定床20の床面21へ確実に搬送させるためである。従って、移動床30の没入位置は、移動床30の床面31が固定床20の床面21に対して没入せず、固定床20の床面21と移動床30の床面31が概直線関係をなすことができる位置、もしくは移動床30の床面31が、0.5〜3mm程度極僅かに没入する位置(不図示)とすることが好ましい。
【0015】
昇降駆動装置15は、昇降速度や昇降ストロークを変更制御できる電動シリンダを用いることができる。昇降駆動装置15は、電動モータの回転を直線運動に変換する機構、又は空圧シリンダ等でも良い。
【0016】
このような物品搬送装置10にあっては、複数の固定床20の床面21を互いに下り勾配をなすように配置するとともに、複数の移動床30の床面31も互いに下り勾配をなすように配置したものであり、相隣る移動床30のピッチpより小寸法の物品1も、大寸法の物品1も、各移動床30の昇降動作の繰り返しにより搬送される。即ち、移動床30の上昇により、移動床30の床面31が固定床20の床面21上にある物品1を突き上げると、移動床30の床面31自体の傾斜が物品1に下流側への搬送力を付与する。搬送力を付与された物品1は、移動床30の下降により、下流側の搬送方向に沿って下り勾配をなす固定床20の床面21上に移載され、固定床20の床面21自体の傾斜、更には複数の互いに搬送方向に沿って下り勾配をなす固定床20の床面21相互の傾斜に載って滑り、下流側へと搬送される。固定床20の床面21の傾斜に載って滑る過程で、下流側の固定床20に引っ掛かっても、移動床30の次の上昇により固定床20から突き上げられ、下流側へと搬送される。
【0017】
従って、物品搬送装置10にあっては、固定床20と移動床30が搬送方向に沿って交互に隣接配置され、しかもそれらの床面21、31が互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置されるものであり、物品1の寸法形状や投入姿勢に関係なく、あらゆる物品1を固定床20の床面21に載せ、移動床30の床面31により突き上げ、上述(a)の搬送動作を行ない、概ね一定量ずつ排出できる。
【0018】
しかるに、物品搬送装置10にあっては、物品1の重心を上位とするように整列して排出可能にするため、以下の構成を具備する。
【0019】
物品搬送装置10は、複数の固定床20のうち、最下流側(最下流位置、又は最下流位置に近い位置)に配置される床高固定床20Aの床面21Aを、他の固定床20の床面21よりも高く(図5のK1)してある。複数の固定床20の各個の床面21が互いになす下り勾配の水平に対する角度θ(θ2)に沿って、各固定床20の床面21の頂点を互いに結ぶ線に対し、床高固定床20Aの床面21Aの頂点がなす高さをK1とする。K1は、好ましくは物品1の最小寸法aの1.0〜0.2倍、より好ましくは物品1の対象寸法aの0.3〜0.8倍である。K1をこの範囲とすることで、後述する如く、床高固定床20Aの高くした床面21Aにより、物品1にその天面を上流側に向ける反転力が十分なものとなる。また、K1がこの範囲より大きいと、移動床30の上昇距離が大きくなり、無駄時間が増加して生産性が低下する。
【0020】
物品搬送装置10は、床高固定床20Aの下流に配置される急傾斜移動床30Aの床面31Aを他の移動床30の床面31が水平に対する角度βよりも急傾斜(図5のβ1)にしてある。急傾斜移動床30Aの床面31Aが水平に対する角度をβ1とする。
【0021】
β1は、好ましくは移動床30の床面31が水平に対する角度βの+15〜45度、より好ましくはβの+20〜35度である。β1がこの範囲より大きいと、移動床30の上昇距離が大きくなり、無駄時間が増加して生産性が低下する。また、β1がこの範囲より小さいと、後述する如く、急傾斜移動床30Aの床面31Aが物品1を水平方向に押し出す効果が十分に得られなくなる。
【0022】
物品搬送装置10は、床高固定床20Aに対する急傾斜移動床30Aの昇降範囲を以下の如くに定める(図6)。急傾斜移動床30Aの床面31Aの頂点(最高位置)が床高固定床20Aの床面21Aの最低位置に対する上昇高さHa(図6(A))は、好ましくは物品1の底面の最小値の0.3〜2.0倍、より好ましくは物品1の底面の最小値の0.5〜1.5倍である。Haがこの範囲より大きいと、移動床30の上昇距離が大きくなり、無駄時間が増加して生産性が低下する。Haがこの範囲より小さいと、後述する如く、急傾斜移動床30Aにより物品1を確実に停止させることが困難となり、物品1に予定の上下反転動作を付与できない可能性が増す。急傾斜移動床30Aの床面31Aの頂点(最高位置)が床高固定床20Aの床面21Aの最低位置に対する下降高さHb(図6(B))は、好ましくは0〜8mm、より好ましくは0〜4mmである。Hbがこの範囲より小さいと、即ちマイナスの値では、急傾斜移動床30Aが下降時に床高固定床20Aより下がりきらず、物品1が急傾斜移動床30Aに引っかかり前進できない。Hbをこの範囲の上限以下とすることで、物品1が急傾斜移動床30Aの側へ移動するときに落下して動きが不安定となり、物品1の予定外の回転を生じてしまうことを防止できる。
【0023】
尚、物品搬送装置10にあっては、移動床30の床面長さXを、物品1の最小寸法aに対して、好ましくは0.3〜1.9倍とし、より好ましくは0.4〜1.5倍とする。Xを上記好適値とすることで、移動床30の上に物品1が2個以上直列に並ばず、物品1の上下反転が失敗することを防止でき、移動床30により物品1の上下反転を行なう際に、移動床30が物品1をうまく反転するための力を該物品1に確実に伝達することが可能になる。
【0024】
物品搬送装置10による搬送対象物品1は、例えば図8に示す円形キャップ、図9に示す楕円キャップであり、両キャップとも天面の側に重心がある。円形キャップの最小寸法aは高さhである。図9に示す楕円キャップでは高さより楕円短径eが小であるため、楕円キャップの最小寸法aは楕円短径eである。
【0025】
以下、物品搬送装置10による物品1(円形キャップ又は楕円キャップ等)の搬送工程について説明する(図10〜図17、図20)。図10〜図19における物品1はその向きが判るように断面図としており、円形キャップについては図8(断面図)が相当し、楕円キャップについては楕円短径に沿う断面を示す図9(断面図(b))が相当する。尚、図10(A)、図12(A)、図14(A)、図16(A)は、ともに、移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミングであり、図10(B)、図10(C)、図12(B)、図14(B)、図16(B)は、ともに、移動床30、30Aの上昇加速過程であり、図10(D)、図12(C)、図14(C)、図16(C)は、ともに、移動床30、30Aの上昇減速過程であり、図11(A)、図13(A)、図15(A)、図17は、ともに、移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミングであり、図11(B)、図13(B)、図15(B)は、ともに、下降加速過程であり、図11(C)、図13(C)、図15(C)は、ともに、下降減速過程である。
【0026】
(1)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図10(A)、図20(A))
天面(重心側)が上側を向いた物品1が移動床30の床面31上にある。
【0027】
(2)移動床30、30Aの上昇加速過程(図10(B)、(C))
移動床30の床面31上の物品1が、移動床30の上昇とともに上昇する(図10(B))。移動床30の床面31は、物品1に下流側上向きの力を付与する。
【0028】
移動床30の床面31上の物品1が、下流側の固定床20の床面21の頂点をこえて上昇すると、物品1の重心が天面、即ち上方側にあるため、物品1はその姿勢を安定させるべく、固定床20の床面21の頂点を回転中心として下流側へ回転開始する(図10(C))。
【0029】
(3)移動床30、30Aの上昇減速過程(図10(D))
物品1は固定床20の床面21上で更に回転を続ける。
【0030】
(4)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図11(A)、図20(B))
物品1が固定床20の床面21上でその天面側が下向きになるまで回転(反転)すると、その重心側たる天面が下側となり姿勢が安定して回転は終了し、下流側の移動床30の側面に当たって停止する。
【0031】
上述(1)〜(4)の物品1の反転動作は、物品搬送装置10の更に上流側で行なわれても良い。
【0032】
(5)移動床30、30Aの下降加速過程(図11(B))
移動床30が下降するとき、固定床20の床面21上の物品1は下流側の移動床30の側面に当たって停止している。
【0033】
(6)移動床30、30Aの下降減速過程(図11(C))
移動床30が更に下降し、固定床20の床面21上の物品1が当たっていた下流側の移動床30の側面がなくなると、物品1は下流側の移動床30の床面31上へ移動する。
【0034】
(7)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図12(A)、図20(A))
移動床30の床面31上の物品1は下流側の固定床20の側面に当たって停止する。
【0035】
(8)移動床30、30Aの上昇加速過程(図12(B))
移動床30の床面31上の物品1が、移動床30の上昇とともに上昇する。移動床30の床面31は、物品1に下流側上向きの力を付与する。
【0036】
好ましくは、この過程で移動床30、30Aの上昇を一時停止する。移動床30、30Aの上昇の一時停止により、物品1の姿勢が安定するため、物品1は次工程でより安定してその姿勢を維持できる。
【0037】
(9)移動床30、30Aの上昇減速過程(図12(C))
移動床30により上昇せしめられる物品1が下流側の固定床20の床面21の頂点をこえると、物品1は天面が下側、即ち下側に重心があるため、そのままの姿勢で下流側の固定床20の床面21上へ移動する。
【0038】
(10)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図13(A)、図20(B))
物品1は固定床20の床面21上を滑り、下流側の移動床30の側面に当たって停止する。
【0039】
(11)移動床30、30Aの下降加速過程(図13(B))
固定床20の床面21上の物品1は、下流側の下降中の移動床30の側面に当たって停止している。
【0040】
(12)移動床30、30Aの下降減速過程(図13(C))
移動床30が更に下降し、固定床20の床面21上の物品1が当たっていた下流側の移動床30の側面がなくなると、物品1は下流側の移動床30の床面31上へ移動する。
【0041】
(13)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図14(A)、図20(A))
移動床30の床面31上の物品1は下流側の床高固定床20Aの上流側の側面に当たって停止する。
【0042】
(14)移動床30、30Aの上昇加速過程(図14(B))
移動床30の床面31上の物品1が、移動床30の上昇とともに上昇する。移動床30の床面31は、物品1に下流側上向きの力を付与する。
【0043】
前述(8)に比し、物品1が接している床高固定床20Aは他の固定床20より高いため、移動床30の上昇時に、物品1は床高固定床20Aの上流側の側面との当接状態をより長く継続し、しかも床高固定床20Aとの当接点を移動床30から付与されている力の方向と概一致する直線上に位置させている。これにより、移動床30の床面31が物品1に付与する下流側上向きの力に対し、物品1と床高固定床20Aとの当接点が抵抗になり、物品1にはこの下流側上向きの力に基づく回転力が作用するものになる。
【0044】
このように、移動床30の上昇過程であって、床高固定床20Aの上流に配置される移動床30の床面31上に物品1が存在し、この物品1の一部が床高固定床20Aの上流側の側面に接するとき、移動床30の上昇を一時停止すると、物品1と床高固定床20Aとの当接点の抵抗が、動摩擦状態から静止摩擦状態になることから大きくなり、当接点が回転中心となり易く、物品1により強力な回転力が作用する。
【0045】
(15)移動床30、30Aの上昇減速過程(図14(C))
移動床30により上昇せしめられる物品1が下流側の床高固定床20Aの床面21Aの頂点をこえると、物品1に作用している回転力に対する抵抗が解放され、物品1は床高固定床20Aの床面21Aの頂点を中心に回転する。
【0046】
(16)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図15(A)、図20(B))
物品1は回転するものの、重心のある天面側を上方へ持ち上げる動きであり、完全に天面が下方へ向く位置までは至らない。
【0047】
(17)移動床30、30Aの下降加速過程(図15(B))
床高固定床20Aの床面21A上の物品1は、天面を上流側に向けるところまで回転し、下流側の下降中の急傾斜移動床30Aの上流側の側面に当たって停止する。
【0048】
(18)移動床30、30Aの下降減速過程(図15(C))
急傾斜移動床30Aが更に下降し、床高固定床20Aの床面21上の物品1が当たっていた下流側の急傾斜移動床30Aの側面がなくなると、物品1はそのままの姿勢で下流側の急傾斜移動床30Aの床面31上へ移動する。
【0049】
(19)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図16(A)、図20(A))
急傾斜移動床30Aの床面31上の物品1は下流側の固定床20の側面に当たって停止する。急傾斜移動床30Aの床面31Aが急傾斜であるから、物品1は通常の移動床30の床面31上における停止姿勢(図18(A))よりもその底面をより水平面に近づける。即ち、物品1の底面が急傾斜移動床30Aの床面31A上で水平面に対してなす角度a(図16(A))を、移動床30の床面31上で水平面に対してなす角度b(図18(A))より小とする。
【0050】
(20)移動床30、30Aの上昇加速過程(図16(B))
急傾斜移動床30Aが上昇して物品1を押し上げると、急傾斜移動床30Aの床面31Aが急傾斜であるため、急傾斜移動床30Aの床面31Aが物品1に付与する下流側上向きの力は水平方向成分をより大きくする。しかも、前述の如く角度aが小さいため、言い換えれば、物品1の底面が水平面に近いため、急傾斜移動床30Aの押し上げに伴う物品1への回転力が小さくなる。これにより、物品1が下流側の固定床20の床面21の頂点に達したとき、物品1は下流側水平方向に安定的に押し出される。
【0051】
このように、移動床30の上昇過程であって、急傾斜移動床30Aの床面31A上に物品1が存在するとき、移動床30Aの上昇を一時停止すると、物品1が一端停止して安定するため、物品1はより安定的に押し出される。
【0052】
(21)移動床30、30Aの上昇減速過程(図16(C))
急傾斜移動床30Aにより上昇せしめられる物品1が下流側の固定床20の床面21の頂点をこえると、物品1は底面を下方、天面を上方とする姿勢に整列されて下流側の固定床20の床面21上へ移動する。物品1は、前述(19)でその底面をより水平面に近づけていたから、底面を下方にできる。
【0053】
尚、前述(19)、(20)で急傾斜移動床30Aを採用しない場合(図18(B))には、上述(21)で、物品1は底面を下方、天面を上方として下流側の固定床20の床面21上へ移動するものもあれば、単に移動床30により押し上げられるだけで天面を上流側に向けたままの姿勢で下流側の固定床20の床面21上を移動するにすぎないものもある。
【0054】
(22)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図17、図20(B))
物品1は底面を下方、天面を上方とする整列姿勢(物品1の重心を上位とする整列姿勢)のまま、固定床20の床面21上を移動し、不図示の排出シュート経由で下工程へと排出される。この最終の固定床20を排出シュートとするものでも良い。
【0055】
尚、物品搬送装置10において、図19(A)に示す如く、床高固定床20Aとその上流に配置される移動床30との隙間P1を、他の固定床20とその上流に配置される移動床30との隙間P0よりも広くすることができる。P1の好ましい範囲は物品1の高さhの5〜40%、より好ましくは物品1の高さhの10〜25%である。これによれば、物品1と床高固定床20Aとの接触点と、物品1と該物品1を押し上げる移動床30との接触点とがなす距離L、即ち、物品1の回転中心と、物品回転のための力の作用点距離が長くなるため、前述(15)で物品1を上昇中に物品1が多少、下流上方へ移動しても、Lは充分な距離を有すことで大きな回転モーメントが発生し、物品1により強力な回転力を作用させることができる。従って、物品1を安定的に回転させて物品1の天面を上流側に向けるように姿勢変化させることができる。
【0056】
これに対し、図19(B)に示す如く、床高固定床20Aとその上流に配置される移動床30との隙間を、P1よりも狭いP0とするときには、物品1を上昇中に物品1が回転する前に、物品1が下流上方へ移動してしまうと、Lは充分な距離を有せず大きな回転モーメントを発生することができずに、物品1の回転が困難になり、物品1は姿勢変化せずに移動するだけとなるおそれがある。
【0057】
図21に示す物品搬送装置10Aは、図1〜図20に示した物品搬送装置10に比し、複数の固定床20の各個の床面21を互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置(水平方向配置)するとともに、複数の移動床30の各個の床面31を互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置した点だけを異にするものである。
【0058】
物品搬送装置10Aにあっても、物品搬送装置10と同様に、床高固定床20A、急傾斜移動床30Aを有し、(1)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図22(A))、(2)移動床30、30Aの上昇加速過程(図22(B))、(3)移動床30、30Aの上昇減速過程(図22(C))、(4)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図23(A))、(5)移動床30、30Aの下降加速過程(図23(B))、(6)移動床30、30Aの下降減速過程(図23(C))の各工程をくり返す搬送動作により、多様な寸法形状の物品1を自由な姿勢で投入しながら、概ね一定量ずつ排出するとともに、物品1の重心を上位とするように整列して排出する。
【0059】
図24に本発明の物品搬送装置10を用いた物品整列供給装置100を示す。この物品整列供給装置100は、キャップをキャップ締め機に供給したり、各種物品を自動組立機に供給することに用いられる。
【0060】
物品搬送装置10の上流には、物品をある一定量供給可能な自動供給装置101Aを付帯させた自動供給装置付きホッパー101が設けられている。自動供給装置付きホッパー101にあっては、物品有無検出部101Bにおいて、ある一定時間物品が無い状態が続くと、これを物品有無検出センサ101Cが検知し、その指令により自動供給装置101Aが作動し、物品が物品有無検出部101Bへと送られ、更に、物品搬送装置10へと供給される。自動供給装置としては、エアや電気駆動で一定の時間動作するコンベア装置等が用いられる。尚、自動供給装置付きホッパー101は単なる傾斜板を有するホッパーや、それに振動器を備えたものでも良い。
【0061】
物品搬送装置10は、キャップ等の物品を搬送して重心側を下向きにする物品整列部S(前述の固定床20、移動床30)と、その下流側で物品の上下反転を行なう物品上下反転部T(前述の床高固定床20A、急傾斜移動床30A)からなり、物品上下反転部Tの排出側に、物品シュート102、物品払出コンベア装置103を設置し、物品払出コンベア装置103には不良品排出リターン装置104を付帯させている。物品搬送装置10は、物品上下反転部Tの排出方向に対して物品払出コンベア装置103の払出方向を直交配置しているが、物品上下反転部Tの排出方向と物品払出コンベア装置103の払出方向を同一方向にし、これを1列に集約したり、複数列にしても良い。
【0062】
物品搬送装置10は、上述した如く、物品を一定の整列姿勢(例えばキャップの天面側を上位とする姿勢)に整列して、物品シュート102を経て、物品払出コンベア装置103に排出する。
【0063】
物品払出コンベア装置103は、物品上下反転部Tの排出側に設けられ、物品上下反転部Tの排出方向に直交配置されるベルトコンベア103Aで構成される。ベルトコンベア103Aは駆動部103Bにより駆動され、物品位置規制ガイド103C、最終渡りプレート103Dを備える。ベルトコンベア103は正逆方向に切替運転可能にされ、左右2方向に物品を排出することもできる。物品がキャップである場合、キャップの天面側を上位とする姿勢に整列されているため、次工程でキャップ締め作業を行なう際は、物品の上下を反転する装置は不要である。
【0064】
不良品排出リターン装置104は、不良品検出センサ104A、不良品排出装置104B、不良品排出シュート104C、リターン用桟付きコンベア104Dを有して構成される。不良品検出センサ104Aは物品払出コンベア装置103の例えばベルトコンベア103Aにより搬送中の物品の姿勢が目標整列姿勢にあるか否かを検出する。不良品検出センサ104Aは、例えばレーザ式高さ検出器にて構成できるが、画像センサ等を用いることもできる。不良品排出装置104Bは、不良品検出センサ104Aにより整列不良と認められた物品を物品払出コンベア装置103の側傍に備えられた下り斜面状の不良品排出シュート104Cに排出する。不良品排出装置104Bは高圧エア吹出し装置にて構成できるが、エアシリンダ等の機械式装置等を用いることもできる。不良品排出シュート104Cに排出された不良物品は更に滑り落ち、駆動部104Eによって作動するリターン用桟付きコンベア104Dにて上方へと移送され、払い落としプレート104Fにて自動供給装置付きホッパー101に戻される。リターン用桟付きコンベア104Dはエアによる輸送装置に代えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は物品搬送装置の移動床が没入している状態を示す斜視図である。
【図2】図2は物品搬送装置の移動床が突出している状態を示す斜視図である。
【図3】図3は物品搬送装置を示す正面図である。
【図4】図4は移動床の昇降動作を示す模式図である。
【図5】図5は床高固定床の床面高さと急傾斜移動床の床面角度を示す模式図である。
【図6】図6は床高固定床に対する急傾斜移動床の昇降範囲を示す模式図である。
【図7】図7は移動床の床面長さを示す模式図である。
【図8】図8は円形キャップを示す模式図である。
【図9】図9は楕円キャップを示す模式図である。
【図10】図10は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図11】図11は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図12】図12は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図13】図13は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図14】図14は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図15】図15は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図16】図16は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図17】図17は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図18】図18は急傾斜移動床を用いない物品搬送装置によるキャップの搬送状態を示す側面図である。
【図19】図19は床高固定床とその上流に配置される移動床との隙間がキャップの搬送動作に及ぼす影響を示す側面図と模式図である。
【図20】図20は物品搬送装置によるキャップの整列作用を示す模式図である。
【図21】図21は水平配置の物品搬送装置を示す斜視図である。
【図22】図22は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図23】図23は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図24】図24は物品整列供給装置を示す斜視図ある。
【符号の説明】
【0066】
1 物品
10 物品搬送装置
15 昇降駆動装置
20 固定床
20A 床高固定床
21、21A 床面
30 移動床
30A 急傾斜移動床
31、31A 床面
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品搬送装置として、特許文献1に記載の如く、複数の固定床の各個を搬送方向の下流側に向けて順に配置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返し、各固定床の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、各移動床の床面も搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させてなるものがある。
【0003】
この物品搬送装置にあっては、固定床と移動床が搬送方向に沿って交互に隣接配置され、しかも各固定床の床面と各移動床の床面のそれぞれが搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置されるものであり、物品の寸法形状や投入姿勢に関係なく、あらゆる物品を固定床の床面に載せ、移動床の床面により突き上げ、それらの物品に移動床の床面の傾斜に起因する搬送力を付与する。搬送力を付与された物品は、移動床の下降により、下流側の固定床の床面に移載され、固定床の床面の傾斜に載って更に下流側に滑る搬送動作を繰り返され、概ね一定量ずつ排出される。
【特許文献1】特開2008-150143
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の物品搬送装置にあっては、物品が移動床の床面により突き上げられて下流側への搬送力を付与され、固定床の床面に移載されるときに、物品はその重心を下位とするように転がる整列作用を付与される。これにより、搬送対象物品を例えば有天面のキャップとするとき、キャップは天面側(重心側)を下位とするように整列されて排出される。このキャップをキャップ締め機に供給するために、キャップの天面側を上向きにする必要がある場合には、キャップの上下反転装置を併設する必要がある。
【0005】
本発明の課題は、多様な寸法形状の物品を自由な姿勢で投入しながら、概ね一定量ずつ排出するとともに、物品の重心を上位とするように整列して排出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数の固定床の各個を搬送方向の下流側に向けて順に配置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返し、各固定床の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、各移動床の床面も搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させてなる物品搬送装置であって、最下流に配置される移動床を他の移動床の床面よりも急傾斜な床面である急傾斜移動床としてなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
物品搬送装置10は、図1〜図3に示す如く、架台11の一端側から他端側に向かう方向を物品搬送方向とし、その一端側に入口シュート12を設け、入口シュート12の裏面に搬送力を高めるためのバイブレータ13を装備してある。また、入口シュートは、後述する図24に示す如き自動供給装置付きのものとしても良い。
【0008】
物品搬送装置10は、架台11に設けた支持部材14に複数の固定床20を支持する。物品搬送装置10は、複数の固定床20の各個の床面21を互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度θ:例えば5〜35度)(下り方向配置)(図4)をなすように配置している。このとき、各固定床20の床面21は、それ自体でも、搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した斜面とされている。固定床20にバイブレータを装備し、搬送力を高めても良い。
【0009】
物品搬送装置10は、架台11に支持した昇降駆動装置15に左右のサイドガイド板16を連結し、架台11に支持したスライド軸17にサイドガイド板16に固定してあるスライド部18をスライド自在に嵌合している。また、架台11とスライド部18の間には、衝撃緩和ダンパ19を介装している。左右のサイドガイド板16は、入口シュート12と固定床20の巾方向の両側に配置されるとともに、複数の移動床30を挟んで備える。複数の移動床30の各個を各固定床20に対し搬送方向の側傍(本実施例では上流側の側傍)に隣接配置する。固定床20と移動床30は一定の隙間を介して搬送方向に沿って交互に配置されるものになる。物品搬送装置10は、昇降駆動装置15により、サイドガイド板16及び移動床30の昇降動作を繰り返す(移動床30を昇降駆動装置15に直に連結し、サイドガイド板16は必ずしも昇降させる必要はない)。即ち、各移動床30を同時にそれらの床面31が隣接する固定床20の床面21に対する上位(図4(A))と下位(図4(B))に位置付ける昇降動作を繰り返す。
【0010】
各移動床30の床面31は、上位において固定床20の床面21より上に突出し、下位において固定床20の床面21より下に没入する。本発明における「没入」とは、移動床30が固定床20の下方に位置することをいい、具体的には、移動床30全体が完全に固定床20の床面21より下方に位置する完全に没入した場合は勿論、移動床30の床面31が下位状態で固定床20の床面21とほぼ同一位置で停止した場合も含まれる。上位に位置付けられた各移動床30の床面31を互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度θ:例えば5〜35度)をなすように配置する。このとき、各移動床30の床面31は、それ自体でも、搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した斜面とされている(図4)。
【0011】
この移動床配置についての角度θ(θ1)は、固定床配置についての角度θ(θ2)とほぼ同一に一致させたほうが物品搬送時の物品挙動が安定して好ましい。θの値は、物品と固定床20や移動床30との摩擦状態によって適宜調整される。一例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS等の樹脂製キャップやアルミ製等の金属製キャップ等の物品を、(a)表面を一般的な機械加工にて仕上げたステンレス製やアルミ製等の金属製の固定床20や移動床30、(b)表面を一般的な機械加工にて仕上げたポリアセタールやポリ塩化ビニル等の樹脂製の固定床20や移動床30、(c)更にこれらの表面に滑り性の良いテープ材を貼った固定床20や移動床30にて搬送する場合の角度θは、好ましくは8〜25度、更に好ましくは12度〜20度にすると良い。尚、移動床配置についての角度θ1と、固定床配置についての角度θ2を異なるものとすれば、上流と下流での移動挙動を変化させることも可能である。
【0012】
移動床配置及び固定床配置が水平に対する角度θ、固定床20の床面21が水平に対する角度α、移動床30の床面31が水平に対する角度βの関係を図5に示す。
【0013】
固定床20の床面21が水平に対する角度αは、移動床配置についての角度θ1に対し、−5〜+15度程度と、ほぼ同等もしくは僅かに大きく設定される。これは、固定床20の床面21において物品を下流の移動床30の床面31へゆっくりと安定的に搬送させるためである。仮に物品が自ら滑ることのない角度であっても、上流からの他物品に押されて搬送される。次に、移動床30の床面31が水平に対する角度βは、固定床20の床面21が水平に対する角度αに対し、+5〜+25度程度と大きく設定される。これは、移動床30の床面31が突出中に、確実に物品を下流の固定床20の床面21へと搬送させるためである。
【0014】
物品を特にスムースに搬送させたいときには、固定床20の床面21が水平に対する角度αは、移動床配置についての角度θ1と概同一に設定される。更に、移動床30の床面31が水平に対する角度βも、移動床配置についての角度θ1と概同一に設定される。これは、移動床30の床面31が没入時に、物品をガタつかせることなくスムースに下流の固定床20の床面21へ確実に搬送させるためである。従って、移動床30の没入位置は、移動床30の床面31が固定床20の床面21に対して没入せず、固定床20の床面21と移動床30の床面31が概直線関係をなすことができる位置、もしくは移動床30の床面31が、0.5〜3mm程度極僅かに没入する位置(不図示)とすることが好ましい。
【0015】
昇降駆動装置15は、昇降速度や昇降ストロークを変更制御できる電動シリンダを用いることができる。昇降駆動装置15は、電動モータの回転を直線運動に変換する機構、又は空圧シリンダ等でも良い。
【0016】
このような物品搬送装置10にあっては、複数の固定床20の床面21を互いに下り勾配をなすように配置するとともに、複数の移動床30の床面31も互いに下り勾配をなすように配置したものであり、相隣る移動床30のピッチpより小寸法の物品1も、大寸法の物品1も、各移動床30の昇降動作の繰り返しにより搬送される。即ち、移動床30の上昇により、移動床30の床面31が固定床20の床面21上にある物品1を突き上げると、移動床30の床面31自体の傾斜が物品1に下流側への搬送力を付与する。搬送力を付与された物品1は、移動床30の下降により、下流側の搬送方向に沿って下り勾配をなす固定床20の床面21上に移載され、固定床20の床面21自体の傾斜、更には複数の互いに搬送方向に沿って下り勾配をなす固定床20の床面21相互の傾斜に載って滑り、下流側へと搬送される。固定床20の床面21の傾斜に載って滑る過程で、下流側の固定床20に引っ掛かっても、移動床30の次の上昇により固定床20から突き上げられ、下流側へと搬送される。
【0017】
従って、物品搬送装置10にあっては、固定床20と移動床30が搬送方向に沿って交互に隣接配置され、しかもそれらの床面21、31が互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置されるものであり、物品1の寸法形状や投入姿勢に関係なく、あらゆる物品1を固定床20の床面21に載せ、移動床30の床面31により突き上げ、上述(a)の搬送動作を行ない、概ね一定量ずつ排出できる。
【0018】
しかるに、物品搬送装置10にあっては、物品1の重心を上位とするように整列して排出可能にするため、以下の構成を具備する。
【0019】
物品搬送装置10は、複数の固定床20のうち、最下流側(最下流位置、又は最下流位置に近い位置)に配置される床高固定床20Aの床面21Aを、他の固定床20の床面21よりも高く(図5のK1)してある。複数の固定床20の各個の床面21が互いになす下り勾配の水平に対する角度θ(θ2)に沿って、各固定床20の床面21の頂点を互いに結ぶ線に対し、床高固定床20Aの床面21Aの頂点がなす高さをK1とする。K1は、好ましくは物品1の最小寸法aの1.0〜0.2倍、より好ましくは物品1の対象寸法aの0.3〜0.8倍である。K1をこの範囲とすることで、後述する如く、床高固定床20Aの高くした床面21Aにより、物品1にその天面を上流側に向ける反転力が十分なものとなる。また、K1がこの範囲より大きいと、移動床30の上昇距離が大きくなり、無駄時間が増加して生産性が低下する。
【0020】
物品搬送装置10は、床高固定床20Aの下流に配置される急傾斜移動床30Aの床面31Aを他の移動床30の床面31が水平に対する角度βよりも急傾斜(図5のβ1)にしてある。急傾斜移動床30Aの床面31Aが水平に対する角度をβ1とする。
【0021】
β1は、好ましくは移動床30の床面31が水平に対する角度βの+15〜45度、より好ましくはβの+20〜35度である。β1がこの範囲より大きいと、移動床30の上昇距離が大きくなり、無駄時間が増加して生産性が低下する。また、β1がこの範囲より小さいと、後述する如く、急傾斜移動床30Aの床面31Aが物品1を水平方向に押し出す効果が十分に得られなくなる。
【0022】
物品搬送装置10は、床高固定床20Aに対する急傾斜移動床30Aの昇降範囲を以下の如くに定める(図6)。急傾斜移動床30Aの床面31Aの頂点(最高位置)が床高固定床20Aの床面21Aの最低位置に対する上昇高さHa(図6(A))は、好ましくは物品1の底面の最小値の0.3〜2.0倍、より好ましくは物品1の底面の最小値の0.5〜1.5倍である。Haがこの範囲より大きいと、移動床30の上昇距離が大きくなり、無駄時間が増加して生産性が低下する。Haがこの範囲より小さいと、後述する如く、急傾斜移動床30Aにより物品1を確実に停止させることが困難となり、物品1に予定の上下反転動作を付与できない可能性が増す。急傾斜移動床30Aの床面31Aの頂点(最高位置)が床高固定床20Aの床面21Aの最低位置に対する下降高さHb(図6(B))は、好ましくは0〜8mm、より好ましくは0〜4mmである。Hbがこの範囲より小さいと、即ちマイナスの値では、急傾斜移動床30Aが下降時に床高固定床20Aより下がりきらず、物品1が急傾斜移動床30Aに引っかかり前進できない。Hbをこの範囲の上限以下とすることで、物品1が急傾斜移動床30Aの側へ移動するときに落下して動きが不安定となり、物品1の予定外の回転を生じてしまうことを防止できる。
【0023】
尚、物品搬送装置10にあっては、移動床30の床面長さXを、物品1の最小寸法aに対して、好ましくは0.3〜1.9倍とし、より好ましくは0.4〜1.5倍とする。Xを上記好適値とすることで、移動床30の上に物品1が2個以上直列に並ばず、物品1の上下反転が失敗することを防止でき、移動床30により物品1の上下反転を行なう際に、移動床30が物品1をうまく反転するための力を該物品1に確実に伝達することが可能になる。
【0024】
物品搬送装置10による搬送対象物品1は、例えば図8に示す円形キャップ、図9に示す楕円キャップであり、両キャップとも天面の側に重心がある。円形キャップの最小寸法aは高さhである。図9に示す楕円キャップでは高さより楕円短径eが小であるため、楕円キャップの最小寸法aは楕円短径eである。
【0025】
以下、物品搬送装置10による物品1(円形キャップ又は楕円キャップ等)の搬送工程について説明する(図10〜図17、図20)。図10〜図19における物品1はその向きが判るように断面図としており、円形キャップについては図8(断面図)が相当し、楕円キャップについては楕円短径に沿う断面を示す図9(断面図(b))が相当する。尚、図10(A)、図12(A)、図14(A)、図16(A)は、ともに、移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミングであり、図10(B)、図10(C)、図12(B)、図14(B)、図16(B)は、ともに、移動床30、30Aの上昇加速過程であり、図10(D)、図12(C)、図14(C)、図16(C)は、ともに、移動床30、30Aの上昇減速過程であり、図11(A)、図13(A)、図15(A)、図17は、ともに、移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミングであり、図11(B)、図13(B)、図15(B)は、ともに、下降加速過程であり、図11(C)、図13(C)、図15(C)は、ともに、下降減速過程である。
【0026】
(1)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図10(A)、図20(A))
天面(重心側)が上側を向いた物品1が移動床30の床面31上にある。
【0027】
(2)移動床30、30Aの上昇加速過程(図10(B)、(C))
移動床30の床面31上の物品1が、移動床30の上昇とともに上昇する(図10(B))。移動床30の床面31は、物品1に下流側上向きの力を付与する。
【0028】
移動床30の床面31上の物品1が、下流側の固定床20の床面21の頂点をこえて上昇すると、物品1の重心が天面、即ち上方側にあるため、物品1はその姿勢を安定させるべく、固定床20の床面21の頂点を回転中心として下流側へ回転開始する(図10(C))。
【0029】
(3)移動床30、30Aの上昇減速過程(図10(D))
物品1は固定床20の床面21上で更に回転を続ける。
【0030】
(4)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図11(A)、図20(B))
物品1が固定床20の床面21上でその天面側が下向きになるまで回転(反転)すると、その重心側たる天面が下側となり姿勢が安定して回転は終了し、下流側の移動床30の側面に当たって停止する。
【0031】
上述(1)〜(4)の物品1の反転動作は、物品搬送装置10の更に上流側で行なわれても良い。
【0032】
(5)移動床30、30Aの下降加速過程(図11(B))
移動床30が下降するとき、固定床20の床面21上の物品1は下流側の移動床30の側面に当たって停止している。
【0033】
(6)移動床30、30Aの下降減速過程(図11(C))
移動床30が更に下降し、固定床20の床面21上の物品1が当たっていた下流側の移動床30の側面がなくなると、物品1は下流側の移動床30の床面31上へ移動する。
【0034】
(7)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図12(A)、図20(A))
移動床30の床面31上の物品1は下流側の固定床20の側面に当たって停止する。
【0035】
(8)移動床30、30Aの上昇加速過程(図12(B))
移動床30の床面31上の物品1が、移動床30の上昇とともに上昇する。移動床30の床面31は、物品1に下流側上向きの力を付与する。
【0036】
好ましくは、この過程で移動床30、30Aの上昇を一時停止する。移動床30、30Aの上昇の一時停止により、物品1の姿勢が安定するため、物品1は次工程でより安定してその姿勢を維持できる。
【0037】
(9)移動床30、30Aの上昇減速過程(図12(C))
移動床30により上昇せしめられる物品1が下流側の固定床20の床面21の頂点をこえると、物品1は天面が下側、即ち下側に重心があるため、そのままの姿勢で下流側の固定床20の床面21上へ移動する。
【0038】
(10)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図13(A)、図20(B))
物品1は固定床20の床面21上を滑り、下流側の移動床30の側面に当たって停止する。
【0039】
(11)移動床30、30Aの下降加速過程(図13(B))
固定床20の床面21上の物品1は、下流側の下降中の移動床30の側面に当たって停止している。
【0040】
(12)移動床30、30Aの下降減速過程(図13(C))
移動床30が更に下降し、固定床20の床面21上の物品1が当たっていた下流側の移動床30の側面がなくなると、物品1は下流側の移動床30の床面31上へ移動する。
【0041】
(13)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図14(A)、図20(A))
移動床30の床面31上の物品1は下流側の床高固定床20Aの上流側の側面に当たって停止する。
【0042】
(14)移動床30、30Aの上昇加速過程(図14(B))
移動床30の床面31上の物品1が、移動床30の上昇とともに上昇する。移動床30の床面31は、物品1に下流側上向きの力を付与する。
【0043】
前述(8)に比し、物品1が接している床高固定床20Aは他の固定床20より高いため、移動床30の上昇時に、物品1は床高固定床20Aの上流側の側面との当接状態をより長く継続し、しかも床高固定床20Aとの当接点を移動床30から付与されている力の方向と概一致する直線上に位置させている。これにより、移動床30の床面31が物品1に付与する下流側上向きの力に対し、物品1と床高固定床20Aとの当接点が抵抗になり、物品1にはこの下流側上向きの力に基づく回転力が作用するものになる。
【0044】
このように、移動床30の上昇過程であって、床高固定床20Aの上流に配置される移動床30の床面31上に物品1が存在し、この物品1の一部が床高固定床20Aの上流側の側面に接するとき、移動床30の上昇を一時停止すると、物品1と床高固定床20Aとの当接点の抵抗が、動摩擦状態から静止摩擦状態になることから大きくなり、当接点が回転中心となり易く、物品1により強力な回転力が作用する。
【0045】
(15)移動床30、30Aの上昇減速過程(図14(C))
移動床30により上昇せしめられる物品1が下流側の床高固定床20Aの床面21Aの頂点をこえると、物品1に作用している回転力に対する抵抗が解放され、物品1は床高固定床20Aの床面21Aの頂点を中心に回転する。
【0046】
(16)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図15(A)、図20(B))
物品1は回転するものの、重心のある天面側を上方へ持ち上げる動きであり、完全に天面が下方へ向く位置までは至らない。
【0047】
(17)移動床30、30Aの下降加速過程(図15(B))
床高固定床20Aの床面21A上の物品1は、天面を上流側に向けるところまで回転し、下流側の下降中の急傾斜移動床30Aの上流側の側面に当たって停止する。
【0048】
(18)移動床30、30Aの下降減速過程(図15(C))
急傾斜移動床30Aが更に下降し、床高固定床20Aの床面21上の物品1が当たっていた下流側の急傾斜移動床30Aの側面がなくなると、物品1はそのままの姿勢で下流側の急傾斜移動床30Aの床面31上へ移動する。
【0049】
(19)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図16(A)、図20(A))
急傾斜移動床30Aの床面31上の物品1は下流側の固定床20の側面に当たって停止する。急傾斜移動床30Aの床面31Aが急傾斜であるから、物品1は通常の移動床30の床面31上における停止姿勢(図18(A))よりもその底面をより水平面に近づける。即ち、物品1の底面が急傾斜移動床30Aの床面31A上で水平面に対してなす角度a(図16(A))を、移動床30の床面31上で水平面に対してなす角度b(図18(A))より小とする。
【0050】
(20)移動床30、30Aの上昇加速過程(図16(B))
急傾斜移動床30Aが上昇して物品1を押し上げると、急傾斜移動床30Aの床面31Aが急傾斜であるため、急傾斜移動床30Aの床面31Aが物品1に付与する下流側上向きの力は水平方向成分をより大きくする。しかも、前述の如く角度aが小さいため、言い換えれば、物品1の底面が水平面に近いため、急傾斜移動床30Aの押し上げに伴う物品1への回転力が小さくなる。これにより、物品1が下流側の固定床20の床面21の頂点に達したとき、物品1は下流側水平方向に安定的に押し出される。
【0051】
このように、移動床30の上昇過程であって、急傾斜移動床30Aの床面31A上に物品1が存在するとき、移動床30Aの上昇を一時停止すると、物品1が一端停止して安定するため、物品1はより安定的に押し出される。
【0052】
(21)移動床30、30Aの上昇減速過程(図16(C))
急傾斜移動床30Aにより上昇せしめられる物品1が下流側の固定床20の床面21の頂点をこえると、物品1は底面を下方、天面を上方とする姿勢に整列されて下流側の固定床20の床面21上へ移動する。物品1は、前述(19)でその底面をより水平面に近づけていたから、底面を下方にできる。
【0053】
尚、前述(19)、(20)で急傾斜移動床30Aを採用しない場合(図18(B))には、上述(21)で、物品1は底面を下方、天面を上方として下流側の固定床20の床面21上へ移動するものもあれば、単に移動床30により押し上げられるだけで天面を上流側に向けたままの姿勢で下流側の固定床20の床面21上を移動するにすぎないものもある。
【0054】
(22)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図17、図20(B))
物品1は底面を下方、天面を上方とする整列姿勢(物品1の重心を上位とする整列姿勢)のまま、固定床20の床面21上を移動し、不図示の排出シュート経由で下工程へと排出される。この最終の固定床20を排出シュートとするものでも良い。
【0055】
尚、物品搬送装置10において、図19(A)に示す如く、床高固定床20Aとその上流に配置される移動床30との隙間P1を、他の固定床20とその上流に配置される移動床30との隙間P0よりも広くすることができる。P1の好ましい範囲は物品1の高さhの5〜40%、より好ましくは物品1の高さhの10〜25%である。これによれば、物品1と床高固定床20Aとの接触点と、物品1と該物品1を押し上げる移動床30との接触点とがなす距離L、即ち、物品1の回転中心と、物品回転のための力の作用点距離が長くなるため、前述(15)で物品1を上昇中に物品1が多少、下流上方へ移動しても、Lは充分な距離を有すことで大きな回転モーメントが発生し、物品1により強力な回転力を作用させることができる。従って、物品1を安定的に回転させて物品1の天面を上流側に向けるように姿勢変化させることができる。
【0056】
これに対し、図19(B)に示す如く、床高固定床20Aとその上流に配置される移動床30との隙間を、P1よりも狭いP0とするときには、物品1を上昇中に物品1が回転する前に、物品1が下流上方へ移動してしまうと、Lは充分な距離を有せず大きな回転モーメントを発生することができずに、物品1の回転が困難になり、物品1は姿勢変化せずに移動するだけとなるおそれがある。
【0057】
図21に示す物品搬送装置10Aは、図1〜図20に示した物品搬送装置10に比し、複数の固定床20の各個の床面21を互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置(水平方向配置)するとともに、複数の移動床30の各個の床面31を互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置した点だけを異にするものである。
【0058】
物品搬送装置10Aにあっても、物品搬送装置10と同様に、床高固定床20A、急傾斜移動床30Aを有し、(1)移動床30、30Aの下降完了、上昇開始タイミング(図22(A))、(2)移動床30、30Aの上昇加速過程(図22(B))、(3)移動床30、30Aの上昇減速過程(図22(C))、(4)移動床30、30Aの上昇完了、下降開始タイミング(図23(A))、(5)移動床30、30Aの下降加速過程(図23(B))、(6)移動床30、30Aの下降減速過程(図23(C))の各工程をくり返す搬送動作により、多様な寸法形状の物品1を自由な姿勢で投入しながら、概ね一定量ずつ排出するとともに、物品1の重心を上位とするように整列して排出する。
【0059】
図24に本発明の物品搬送装置10を用いた物品整列供給装置100を示す。この物品整列供給装置100は、キャップをキャップ締め機に供給したり、各種物品を自動組立機に供給することに用いられる。
【0060】
物品搬送装置10の上流には、物品をある一定量供給可能な自動供給装置101Aを付帯させた自動供給装置付きホッパー101が設けられている。自動供給装置付きホッパー101にあっては、物品有無検出部101Bにおいて、ある一定時間物品が無い状態が続くと、これを物品有無検出センサ101Cが検知し、その指令により自動供給装置101Aが作動し、物品が物品有無検出部101Bへと送られ、更に、物品搬送装置10へと供給される。自動供給装置としては、エアや電気駆動で一定の時間動作するコンベア装置等が用いられる。尚、自動供給装置付きホッパー101は単なる傾斜板を有するホッパーや、それに振動器を備えたものでも良い。
【0061】
物品搬送装置10は、キャップ等の物品を搬送して重心側を下向きにする物品整列部S(前述の固定床20、移動床30)と、その下流側で物品の上下反転を行なう物品上下反転部T(前述の床高固定床20A、急傾斜移動床30A)からなり、物品上下反転部Tの排出側に、物品シュート102、物品払出コンベア装置103を設置し、物品払出コンベア装置103には不良品排出リターン装置104を付帯させている。物品搬送装置10は、物品上下反転部Tの排出方向に対して物品払出コンベア装置103の払出方向を直交配置しているが、物品上下反転部Tの排出方向と物品払出コンベア装置103の払出方向を同一方向にし、これを1列に集約したり、複数列にしても良い。
【0062】
物品搬送装置10は、上述した如く、物品を一定の整列姿勢(例えばキャップの天面側を上位とする姿勢)に整列して、物品シュート102を経て、物品払出コンベア装置103に排出する。
【0063】
物品払出コンベア装置103は、物品上下反転部Tの排出側に設けられ、物品上下反転部Tの排出方向に直交配置されるベルトコンベア103Aで構成される。ベルトコンベア103Aは駆動部103Bにより駆動され、物品位置規制ガイド103C、最終渡りプレート103Dを備える。ベルトコンベア103は正逆方向に切替運転可能にされ、左右2方向に物品を排出することもできる。物品がキャップである場合、キャップの天面側を上位とする姿勢に整列されているため、次工程でキャップ締め作業を行なう際は、物品の上下を反転する装置は不要である。
【0064】
不良品排出リターン装置104は、不良品検出センサ104A、不良品排出装置104B、不良品排出シュート104C、リターン用桟付きコンベア104Dを有して構成される。不良品検出センサ104Aは物品払出コンベア装置103の例えばベルトコンベア103Aにより搬送中の物品の姿勢が目標整列姿勢にあるか否かを検出する。不良品検出センサ104Aは、例えばレーザ式高さ検出器にて構成できるが、画像センサ等を用いることもできる。不良品排出装置104Bは、不良品検出センサ104Aにより整列不良と認められた物品を物品払出コンベア装置103の側傍に備えられた下り斜面状の不良品排出シュート104Cに排出する。不良品排出装置104Bは高圧エア吹出し装置にて構成できるが、エアシリンダ等の機械式装置等を用いることもできる。不良品排出シュート104Cに排出された不良物品は更に滑り落ち、駆動部104Eによって作動するリターン用桟付きコンベア104Dにて上方へと移送され、払い落としプレート104Fにて自動供給装置付きホッパー101に戻される。リターン用桟付きコンベア104Dはエアによる輸送装置に代えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は物品搬送装置の移動床が没入している状態を示す斜視図である。
【図2】図2は物品搬送装置の移動床が突出している状態を示す斜視図である。
【図3】図3は物品搬送装置を示す正面図である。
【図4】図4は移動床の昇降動作を示す模式図である。
【図5】図5は床高固定床の床面高さと急傾斜移動床の床面角度を示す模式図である。
【図6】図6は床高固定床に対する急傾斜移動床の昇降範囲を示す模式図である。
【図7】図7は移動床の床面長さを示す模式図である。
【図8】図8は円形キャップを示す模式図である。
【図9】図9は楕円キャップを示す模式図である。
【図10】図10は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図11】図11は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図12】図12は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図13】図13は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図14】図14は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図15】図15は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図16】図16は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図17】図17は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図18】図18は急傾斜移動床を用いない物品搬送装置によるキャップの搬送状態を示す側面図である。
【図19】図19は床高固定床とその上流に配置される移動床との隙間がキャップの搬送動作に及ぼす影響を示す側面図と模式図である。
【図20】図20は物品搬送装置によるキャップの整列作用を示す模式図である。
【図21】図21は水平配置の物品搬送装置を示す斜視図である。
【図22】図22は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図23】図23は物品搬送装置の搬送動作を示す側面図である。
【図24】図24は物品整列供給装置を示す斜視図ある。
【符号の説明】
【0066】
1 物品
10 物品搬送装置
15 昇降駆動装置
20 固定床
20A 床高固定床
21、21A 床面
30 移動床
30A 急傾斜移動床
31、31A 床面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定床の各個を搬送方向の下流側に向けて順に配置し、
複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返し、
各固定床の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、各移動床の床面も搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させてなる物品搬送装置であって、
最下流に配置される移動床を他の移動床の床面よりも急傾斜の急傾斜移動床にしてなる物品搬送装置。
【請求項2】
複数の固定床のうち、前記急傾斜移動床に隣接する上流側に配置される固定床を他の固定床の床面よりも高い床高固定床としてなる請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記床高固定床とその上流に配置される移動床との隙間を、他の固定床とその上流に配置される移動床との隙間よりも広くしてなる請求項1又は2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記移動床の上昇過程であって、前記急傾斜移動床の床面上に物品が存在するとき、移動床の上昇を一時停止する請求項1〜3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記移動床の上昇過程であって、床高固定床の上流に配置される移動床の床面上に物品が存在し、この物品の一部が床高固定床の上流側の側面に接するとき、移動床の上昇を一時停止する請求項1〜3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項1】
複数の固定床の各個を搬送方向の下流側に向けて順に配置し、
複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返し、
各固定床の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、各移動床の床面も搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させてなる物品搬送装置であって、
最下流に配置される移動床を他の移動床の床面よりも急傾斜の急傾斜移動床にしてなる物品搬送装置。
【請求項2】
複数の固定床のうち、前記急傾斜移動床に隣接する上流側に配置される固定床を他の固定床の床面よりも高い床高固定床としてなる請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記床高固定床とその上流に配置される移動床との隙間を、他の固定床とその上流に配置される移動床との隙間よりも広くしてなる請求項1又は2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記移動床の上昇過程であって、前記急傾斜移動床の床面上に物品が存在するとき、移動床の上昇を一時停止する請求項1〜3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記移動床の上昇過程であって、床高固定床の上流に配置される移動床の床面上に物品が存在し、この物品の一部が床高固定床の上流側の側面に接するとき、移動床の上昇を一時停止する請求項1〜3のいずれかに記載の物品搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−76922(P2010−76922A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248888(P2008−248888)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
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