説明

物品搬送装置

【課題】回生電力を蓄電手段に蓄電する回路構成を簡素化して低コストで物品搬送装置を製造でき、かつ回生電力の回収時にエネルギーの損失を低減できる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】台車ユニット4は、台車ユニット4を走行させる走行駆動手段17と、走行駆動手段17に電力を供給する走行用蓄電手段5と、搬送物支持部材12を昇降させる昇降駆動手段30と、を有し、電源手段6が、走行用蓄電手段5と昇降駆動手段30とに分岐される電力線55を介して接続され、電力線55の走行用蓄電手段5に接続される分岐線55’に整流器53が設けられ、整流器53によって、走行用蓄電手段5に向かって一方向に直流電流が流されるとともに、昇降駆動手段30から発生する回生電力E’が走行用蓄電手段5に向かって流されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降可能な搬送物支持部材を吊り下げた状態で搬送経路に沿って走行可能な台車ユニットを備え、物品を前記搬送物支持部材に積載して搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬車が坂道を降りるときに、電動モータにより発生する回生電力を、電源回生コンバータを用いてバッテリに蓄電している(例えば、特許文献1参照)。また、負荷より戻る回生電力を電気2重層キャパシタからなるキャパシタバンクが充電可能な電圧まで降圧してキャパシタバンクへ充電し、キャパシタバンクに充電された電力を電源ラインの電圧より高く昇圧して負荷へ供給する双方向昇圧・降圧コンバータを備える電源設備がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−355911号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特開2010−16964号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の装置にあっては、回生電力をバッテリ等に充電するためにコンバータやインバータ及びこれらを制御する制御装置を用いなければならず、回路構成が高価になるばかりか、その制御が複雑なものとなり、かつコンバータやインバータなどの複雑な回路中を回生電力が流れる際には、エネルギーの損失が生じてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、回生電力を蓄電手段に蓄電する回路構成を簡素化して低コストで物品搬送装置を製造でき、かつ回生電力の回収時にエネルギーの損失を低減できる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、
昇降可能な搬送物支持部材を吊り下げた状態で搬送経路に沿って走行可能な台車ユニットを備え、物品を前記搬送物支持部材に積載して搬送する物品搬送装置において、
前記台車ユニットは、該台車ユニットを走行させる走行駆動手段と、該走行駆動手段に電力を供給する走行用蓄電手段と、前記搬送物支持部材を昇降させる昇降駆動手段と、を有し、かつ前記搬送経路の一部には、前記走行用蓄電手段及び前記昇降駆動手段に直流電流を供給する電源手段が配置されており、該電源手段が、前記走行用蓄電手段と前記昇降駆動手段とに分岐される電力線を介して接続され、該電力線の前記走行用蓄電手段に接続される分岐線に整流器が設けられ、該整流器によって、前記走行用蓄電手段に向かって一方向に直流電流が流されるとともに、前記昇降駆動手段から発生する回生電力が前記走行用蓄電手段に向かって流されるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、電力線の走行用蓄電手段に接続される分岐線に設けられる整流器によって、走行用蓄電手段に向かう直流電流が昇降駆動手段に向かって逆流することを防ぎ、かつ搬送物支持部材が降下されたときに、昇降駆動手段から発生する回生電力を走行用蓄電手段に向かって流すことができ、回生電力を走行用蓄電手段に蓄電する回路構成を簡素化して低コストで物品搬送装置を製造でき、かつ回生電力の回収時にエネルギーの損失を低減できる。
【0007】
本発明の物品搬送装置は、
前記整流器は、前記昇降駆動手段から発生する回生電力により前記電力線と前記走行用蓄電手段との間に電位差が生じることによって、前記走行用蓄電手段に向かって一方向に直流電流を流すようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、回生電力により生じる電力線と走行用蓄電手段との間の電位差の変動という自然現象を用いて、回生電力を走行用蓄電手段に充電する直流電流の流れに自動的に切り換えることができ、直流電流の流れを切り換える制御装置等の構成を省略できる。
【0008】
本発明の物品搬送装置は、
前記整流器は、ダイオードで構成され、該ダイオードの順方向バイアスが所定値以上になったときに、前記走行用蓄電手段に向かって一方向に直流電流を流すようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、昇降駆動手段の駆動時には、電源手段から供給された直流電流が昇降駆動手段により消費されて、電力線と走行用蓄電手段との間に電位差が小さくなり、電源手段から供給される直流電流を昇降駆動手段の駆動に用いることができ、昇降駆動手段から回生電力が発生した時には、電力線と走行用蓄電手段との間に電位差が大きくなり、走行用蓄電手段に直流電流を供給して充電することができ、電源手段から昇降駆動手段に対する直流電流の供給を積極的に行い、昇降駆動手段が発生させる回生電力を走行用蓄電手段により回収することができる。
【0009】
本発明の物品搬送装置は、
前記走行用蓄電手段は、電力を静電エネルギーとして蓄えるキャパシタ装置により構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、電源手段が配置された搬送経路の一部において、台車ユニットが停止時または減速時に、短時間で充電作業を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例における物品搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】台車ユニットを示す側面図である。
【図3】台車ユニットを示す背面図である。
【図4】物品搬送装置の構成を示す概念図である。
【図5】キャリアの昇降動作時の電圧・電流の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る物品搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
実施例に係る物品搬送装置につき、図1から図5を参照して説明する。以下、図2及び図4の紙面左側を物品搬送装置の正面側(前方側)として説明する。図1の符号1は、例えば、自動車等を製造する工場内で、自動車の部品が収納された本発明における物品としてのコンテナ2(図2参照)を搬送するための本発明の適用された物品搬送装置である。
【0013】
図1及び図2に示すように、物品搬送装置1においては、搬送経路に沿って配置された2本の走行レール3と、走行レール3を平面視で反時計回りに走行可能な複数の台車ユニット4と、から主に構成されている。尚、本実施例では、7台の台車ユニット4が設けられている。走行レール3は工場内の天井近傍の所定の高さ位置に掛け渡されている。また、台車ユニット4は、自動車の部品が収納されているコンテナ2を搬送経路に沿って搬送するようになっている。
【0014】
2本の走行レール3は、その上面が水平面として形成された、アルミやスチール等の金属材によって形成されており、工場内の搬送経路に沿って工場内の天井から吊り下げされた状態で設けられている。また、走行レール3は、複数の直線路と曲線路とが組み合わされて無端状に形成されており、外周の搬送経路を形成する走行レール3である本線レール3dから分岐及び合流する走行レール3e,3f,3gが設けられている。
【0015】
ここで、図1における紙面上側において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3eとし、紙面中央において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3fとし、紙面下側において本線レール3dから内側に分岐する走行レール3を分岐レール3gとする。
【0016】
分岐レール3eには、台車ユニット4にコンテナ2を積み込むための積込ステーションC1が設けられ、分岐レール3gには、台車ユニット4からコンテナ2を降ろすための荷降ろしステーションC2が設けられ、分岐レール3fには、台車ユニット4を待機させる待機ステーションC3が設けられている。
【0017】
また、これらステーションC1〜C3以外に本線レール3dから分岐レール3e,3f,3gに分岐する箇所には分岐ステーションC4が設けられ、分岐レール3e,3f,3gから本線レール3dに合流する箇所には、合流ステーションC5が設けられている。各ステーションC1〜C5は、いずれも同様の構成からなり台車ユニット4に設けられた走行用バッテリ5(走行用蓄電手段)への充電を行うための充電ステーションCとなっている(図4参照)。また、本実施例の走行用バッテリ5は、電力を静電エネルギーとして蓄える電気2重層キャパシタ等よりなるキャパシタ装置により構成されている。
【0018】
尚、物品搬送装置1には、台車ユニット4や充電ステーションCを統括管理する主制御装置20が設けられている(図4参照)。この主制御装置20は、走行レール3以外の床面等の地上部に設けられている。この主制御装置20が台車ユニット4や充電ステーションCと情報通信を行い、充電ステーションCにおける後述する充電装置6(電源手段)や昇降モータ30等の制御を行うようになっている。
【0019】
図2に示すように、台車ユニット4には、走行レール3を走行する前後2台の走行台車8,9と、前側の走行台車8の前方を走行する先行台車10と、後側の走行台車9の後方を走行する後続台車11と、が設けられている。
【0020】
尚、先行台車10と前側の走行台車8とが連結杆材13によって連結され、後側の走行台車9と後続台車11とが連結杆材14によって連結されている。これらの台車8,9,10,11は、直列に配置されて走行レール3の上面を走行するようになっている。また、前後の走行台車8,9にそれぞれ取り付けられた吊下棒15によって、走行ユニット31が吊り下げられている。
【0021】
そして、図3に示すように、台車ユニット4には、コンテナ2を保持するキャリア12(搬送物支持部材)と、このキャリア12を昇降させる昇降ユニット32と、が設けられている。この昇降ユニット32は、走行ユニット31の下方に吊り下げられている。キャリア12は、昇降ユニット32からワイヤーロープ33によって吊り下げられており、このキャリア12は、昇降ユニット32の内部に設けられた昇降モータ30(昇降駆動手段)及びプーリー34によって昇降されるようになっている。
【0022】
図4に示すように、前側の走行台車8は、台車ユニット4を走行させるための走行モータ17(走行駆動手段)を有しており、この走行モータ17が駆動されることにより台車ユニット4が走行レール3を走行するようになっている。また、走行ユニット31内には、前側の走行台車8の走行モータ17を駆動させるための走行用バッテリ5と、走行モータ17の回転速度の制御やブレーキ制御を行う台者用制御装置29と、が設けられている。台車用制御装置29は、前述した走行台車8の走行モータ17に接続されて、この走行モータ17のシーケンス制御を行う制御回路としてのPLC(Programmable Logic Controller)を有している。
【0023】
尚、走行モータ17及び台者用制御装置29は、走行用バッテリ5から電力の供給を受けており、走行レール3における所定箇所(搬送経路の一部)に設けられた複数の充電ステーションCにおいて走行用バッテリ5に充電が行われるようになっている(図1参照)。また、積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2では、台車ユニット4の走行を停止させ、かつキャリア12を昇降させて作業員がコンテナ2の移載作業を行うようになっている。
【0024】
また、図4に示すように、先行台車10には、前方にある他の台車ユニット4の存在を光学的に検出する前方検出センサ48が設けられている。また、台車ユニット4の後続台車11の後端には、前方検出センサ48から照射される光を反射する反射板35が取り付けられている。この前方検出センサ48は、発光素子(図示略)と受光素子(図示略)が設けられた反射型光電センサとなっており、発光素子から前方に照射される光(赤外線等)が前方の物体(被検出体)に反射されて受光素子が受光することで前方の物体を検出できるようになっている。
【0025】
このように台車ユニット4は、前方検出センサ48によって前方にある他の台車ユニット4の存在を検出することができ、この検出に基づいて台者用制御装置29が速度制御等を行うようになっている。
【0026】
また、台車ユニット4の後続台車11の後端には、板状をなすドグ44が突出されており、先行台車10の先端には、他の台車ユニット4のドグ44’を検出する停止検出センサ51が設けられている。この停止検出センサ51は、内蔵されているマグネットが磁力により鉄材等の磁性材料で形成されたドグ44の近接及び接触を検出するマグネットスイッチとなっている。
【0027】
この停止検出センサ51に他の台車ユニット4のドグ44’が近接されると、台者用制御装置29が台車ユニット4の走行を停止させる制御を行うようになっている。尚、この停止検出センサ51は、他の台車ユニット4のドグ44’のみならず、台車ユニット4を停止させるために、充電ステーションC等に設けられるストッパー装置(図示略)が有するドグ(図示略)も検出するようになっている。
【0028】
また、各充電ステーションC1〜C5は、台車ユニット4の走行用バッテリ5を充電するための充電装置6が設置されている。そして、充電装置6は充電プラグ52(給電部)を有している。この充電装置6は、電力網により工場に供給される商用電源(AC100V)の電力をパワーサプライ54を介して直流電流に変換して台車ユニット4に供給し、走行用バッテリ5に対する充電作業が行われる。
【0029】
更に、充電プラグ52が接続される接続器24(被給電部)が、台車ユニット4の後側の走行台車9に設けられている。各充電ステーションC1〜C5において、停止した台車ユニット4の接続器24に充電装置6の充電プラグ52が接続(接触)されて走行用バッテリ5に電力を供給するようになっている。
【0030】
更に、昇降ユニット32には、昇降モータ30の回転数を検出するロータリーエンコーダ38と、上昇されるキャリア12が上限位置にあることを検出する上限リミットスイッチ39と、が設けられている。そして、台者用制御装置29は、昇降モータ30、ロータリーエンコーダ38、及び上限リミットスイッチ39に接続されている。
【0031】
また、積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2には、降下されるキャリア12が載置される載置台21が設けられている。この載置台21には、降下されるキャリア12が下限位置にあることを検出する下限リミットスイッチ40が設けられている。この下限リミットスイッチ40が主制御装置20に対して有線ラインにより接続されている。そして、主制御装置20には、下限リミットスイッチ40の検出信号を台者用制御装置29に送信するようになっている。そして、昇降ユニット32の昇降モータ30は、台車用制御装置29によって制御されるようになっている。
【0032】
図4に示すように、充電装置6の充電プラグ52が接続される接続器24は、直流電流用の1系統の電力線55を介して走行用バッテリ5と昇降モータ30とに接続されている。そして、この1系統の配線が走行ユニット31内で分岐されて、走行用バッテリ5及び昇降モータ30に接続される。尚、走行バッテリ5に接続される分岐線55’には、走行バッテリ5の電力が昇降モータ30へ流れることを防止する整流器53が設けられている。
【0033】
また、整流器53は、ダイオードで構成され、このダイオードの順方向バイアス(順方向電圧降下)が所定値以上(本実施例では0.7V以上)になったときに、走行バッテリ5に向かって一方向に直流電流を流すようになっている。本実施例では、電力線55の電圧と走行バッテリ5の電圧との電位差が所定値以上になったときに、整流器53が走行バッテリ5に向かって一方向に直流電流を流すようになっている。そのため、接続器24に充電装置6が接続された際に、電力線55の電圧が加わった状態で、かつ走行バッテリ5の蓄電容量に空きがある場合であっても、電力線55の電圧と走行バッテリ5の電圧との電位差が所定値以下ならば、走行バッテリ5に電流が流れず、昇降モータ30に積極的に電流を流すことができる(図4中の白矢印E参照)。
【0034】
そして、積込ステーションC1及び荷降ろしステーションC2においてキャリア12を昇降させる際に、昇降モータ30は、接続器24を介して充電装置6から電力を供給されるようになっている。また、昇降モータ30は、キャリア12を上昇させる際に、充電装置6から供給される電力を消費するようになっている。そして、昇降モータ30は、キャリア12を降下させる際に、キャリア12及びコンテナ2が有する位置エネルギーを利用して回生電力を発生させるようになっている。
【0035】
また、昇降モータ30から発生した回生電力は、電力線55に流れ込んで、電力線55内の電圧を上昇させる。そして、電力線55の電圧と走行バッテリ5の電圧との電位差が所定値以上になり、走行バッテリ5に接続される分岐線55’に設けられた整流器53によって、走行バッテリ5に向かって一方向に直流電流が流されて、昇降モータ30から発生する回生電力が走行バッテリ5に蓄電されるようになる(図4中の白矢印E’参照)。尚、昇降モータ30は、直流モータとなっており、1系統の電力線55を流れる直流電流は、充電装置6から電力が供給される場合も、昇降モータ30から回生電力が供給される場合も、その極性は同じになっている。
【0036】
図5のグラフを用いて詳述する。台車ユニット4の接続器24に充電プラグ52が接続される前には、走行バッテリ5に所定の電圧α(約23.5V)の蓄電がなされている。台車ユニット4の接続器24に充電プラグ52が接続されると、電力線55の電圧γが急激に上昇される。しかしながら、台車ユニット4の接続器24に充電プラグ52が接続された状態では、電力線55の電圧と走行バッテリ5の電圧との電位差が所定値以下であり、走行バッテリ5に電流が流れないようになっている。
【0037】
そして、昇降モータ30がキャリア12を降下させると、昇降モータ30から回生電力が発生する(グラフβ参照)。この回生電力が電力線55に流れ込んで、電力線55内の電圧を上昇させる。そして、電力線55の電圧と走行バッテリ5の電圧との電位差Dが所定値以上(本実施例では0.7V以上)になり、整流器53によって、走行バッテリ5に向かって一方向に直流電流が流されて、回生電力が走行バッテリ5に蓄電されるようになる。この蓄電後には、走行バッテリ5に電圧α(約24V)が若干上昇されていることが分かる。
【0038】
尚、昇降モータ30がキャリア12を上昇させる際には、充電装置6から供給される電力を消費するようになっている。そして、台車ユニット4の接続器24から充電プラグ52が分離されると、電力線55の電圧が降下するようになっている。このように、電力線55の電圧が降下されても、整流器53によって走行バッテリ5の電力が昇降モータ30へ流れることが防止される。
【0039】
以上、本実施例における物品搬送装置1では、充電装置6が、走行用バッテリ5と昇降モータ30とに分岐される電力線55を介して接続され、電力線55の走行用バッテリ5に接続される分岐線55’に整流器53が設けられ、整流器53によって、走行用バッテリ5に向かって一方向に直流電流が流されるとともに、昇降モータ30から発生する回生電力が走行用バッテリ5に向かって流されるようになっていることで、電力線55の走行用バッテリ5に接続される分岐線55’に設けられる整流器53によって、走行用バッテリ5に向かう直流電流が昇降モータ30に向かって逆流することを防ぎ、かつキャリア12が降下されたときに、昇降モータ30から発生する回生電力を走行用バッテリ5に向かって流すことができ、回生電力を走行用バッテリ5に蓄電する回路構成を簡素化して低コストで物品搬送装置1を製造でき、かつ回生電力の回収時にエネルギーの損失を低減できる。
【0040】
また、整流器53は、昇降モータ30から発生する回生電力により電力線55と走行用バッテリ5との間に電位差が生じることによって、走行用バッテリ5に向かって一方向に直流電流を流すようになっていることで、回生電力により生じる電力線55と走行用バッテリ5との間の電位差の変動という自然現象を用いて、回生電力を走行用バッテリ5に充電する直流電流の流れに自動的に切り換えることができ、直流電流の流れを切り換える制御装置等の構成を省略できる。
【0041】
また、整流器53は、ダイオードで構成され、このダイオードの順方向バイアスが所定値以上になったときに、走行用バッテリ5に向かって一方向に直流電流を流すようになっていることで、昇降モータ30の駆動時には、充電装置6から供給された直流電流が昇降モータ30により消費されて、電力線55と走行用バッテリ5との間に電位差が小さくなり、充電装置6から供給される直流電流を昇降モータ30の駆動に用いることができ、昇降モータ30から回生電力が発生した時には、電力線55と走行用バッテリ5との間に電位差が大きくなり、走行用バッテリ5に直流電流を供給して充電することができ、充電装置6から昇降モータ30に対する直流電流の供給を積極的に行い、昇降モータ30が発生させる回生電力を走行用バッテリ5により回収することができる。
【0042】
また、走行用バッテリ5は、電力を静電エネルギーとして蓄えるキャパシタ装置により構成されることで、充電装置6が配置された搬送経路の一部において、台車ユニット4が停止時または減速時に、短時間で充電作業を完了することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例では、本発明がキャリア12を吊り下げた状態で走行レール3に沿って走行可能な台車ユニット4を備える物品搬送装置1に適用されているが、本発明は他の形式による搬送台車などにも適用することができる。
【0045】
また、前記実施例では、各充電ステーションC1〜C5において、停止した台車ユニット4の接続器24に充電装置6の充電プラグ52が接続(接触)されて走行用バッテリ5に電力を供給するようになっているが、各充電ステーションC1〜C5において完全に台車ユニット4が停止しなくても、キャリア12が昇降できるまで充分に減速された状態で、充電装置6の充電プラグ52が接続(接触)されて走行用バッテリ5に電力を供給する構成にしてもよい。その場合、充電装置6の充電プラグ52をトロリ線の形式にするとよい。
【符号の説明】
【0046】
1 物品搬送装置
2 コンテナ(物品)
4 台車ユニット
5 走行用バッテリ(走行用蓄電手段)
6 充電装置(電源手段)
12 キャリア(搬送物支持部材)
17 走行モータ(走行駆動手段)
30 昇降モータ(昇降駆動手段)
53 整流器
55 電力線
55’ 分岐線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な搬送物支持部材を吊り下げた状態で搬送経路に沿って走行可能な台車ユニットを備え、物品を前記搬送物支持部材に積載して搬送する物品搬送装置において、
前記台車ユニットは、該台車ユニットを走行させる走行駆動手段と、該走行駆動手段に電力を供給する走行用蓄電手段と、前記搬送物支持部材を昇降させる昇降駆動手段と、を有し、かつ前記搬送経路の一部には、前記走行用蓄電手段及び前記昇降駆動手段に直流電流を供給する電源手段が配置されており、該電源手段が、前記走行用蓄電手段と前記昇降駆動手段とに分岐される電力線を介して接続され、該電力線の前記走行用蓄電手段に接続される分岐線に整流器が設けられ、該整流器によって、前記走行用蓄電手段に向かって一方向に直流電流が流されるとともに、前記昇降駆動手段から発生する回生電力が前記走行用蓄電手段に向かって流されるようになっていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記整流器は、前記昇降駆動手段から発生する回生電力により前記電力線と前記走行用蓄電手段との間に電位差が生じることによって、前記走行用蓄電手段に向かって一方向に直流電流を流すようになっていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記整流器は、ダイオードで構成され、該ダイオードの順方向バイアスが所定値以上になったときに、前記走行用蓄電手段に向かって一方向に直流電流を流すようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記走行用蓄電手段は、電力を静電エネルギーとして蓄えるキャパシタ装置により構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の物品搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−10633(P2013−10633A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146001(P2011−146001)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】