説明

物品搬送設備

【課題】物品保管部の設置箇所に制限を受けることなく、物品保管部の構成の簡素化を図り、入庫作業と出庫作業とを連続して行う場合にその作業にかかる時間の短縮化を図る。
【解決手段】第1授受位置J1と物品保管部6の内部との間で物品3を搬送する第1搬送コンベヤ37と、第2授受位置J2と物品保管部6の内部との間で物品3を搬送する第2搬送コンベヤ38とが備えられ、物品搬送車2は、走行レール1の経路上の授受用停止位置に停止した状態で、把持部4の昇降を行って第1授受位置J1及び第2授受位置J2の一方との間で物品3を移載自在であり、且つ、授受用停止位置に停止した状態で、把持部4のスライド移動を行って第1授受位置J1及び第2授受位置J2の他方との間で物品3を移載自在に構成され、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38の一方が入庫部7として構成され、他方が出庫部8として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側に設けられた走行レールを走行自在な物品搬送車と、その物品搬送車にて搬送される物品を収納自在な収納部が上下方向に複数並んで備えられた物品保管部とが備えられ、その物品保管部は、前記走行レールの側脇に配置されて、前記収納部に収納する物品を入庫部にて前記物品搬送車から受け取り自在で、且つ、前記収納部から出庫する物品を出庫部にて前記物品搬送車に受け渡し自在に構成されている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送設備では、例えば、複数の物品処理部を経由する状態で天井側に走行レールが備えられており、物品搬送車に物品を把持する把持部が昇降自在に備えられている。そして、物品搬送車が天井側に設けられた走行レールを走行して把持部を昇降することで、複数の物品処理部の間で物品を搬送している。また、物品搬送車にて搬送される物品の一時的な保管等のために、収納部が上下方向に複数並んで備えられた物品保管部が備えられている。この物品保管部には、物品搬送車から収納部に収納する物品を受け取る入庫部と、収納部に収納されている物品を物品搬送車に受け渡す出庫部とが備えられ、この入庫部及び出庫部にて物品搬送車と物品保管部との間での物品の授受を行うようにしている。
【0003】
従来の物品搬送設備として、物品保管部の外部であって走行レールの下部に位置する授受位置と物品保管部の内部の内部位置との間で物品を搬送自在な搬送コンベヤが2つ備えられ、それら2つの搬送コンベヤが入庫部及び出庫部として構成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の設備では、物品搬送車が把持部を昇降させることで、走行レールの下部に位置する搬送コンベヤの授受位置に物品を移載自在に構成されており、物品搬送車と搬送コンベヤとの間での物品の授受を搬送コンベヤの授受位置にて行うようにしている。そして、搬送コンベヤは、走行レールの走行方向において並ぶ状態で2つ備えられ、一方の搬送コンベヤが、その授受位置にて物品搬送車から物品を受け取る入庫部用の搬送コンベヤとして備えられ、他方の搬送コンベヤが、その授受位置にて物品搬送車に物品を受け渡す出庫部用の搬送コンベヤとして備えられている。
【0004】
また、別の従来の物品搬送設備では、上述のような搬送コンベヤを設けずに、物品保管部の収納部を入庫部及び出庫部として利用しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載の設備では、物品搬送車が、把持部を昇降自在に備えるだけでなく、その把持部を走行レールの横幅方向にスライド移動自在に備えている。物品搬送車は、把持部を昇降させることで、走行レールの下方に位置する移載箇所との間で物品を移載できるとともに、把持部を走行レールの横幅方向にスライド移動させた状態でその把持部を昇降させることで、走行レールの側脇に位置する移載箇所との間で物品を移載できるようになっている。そこで、例えば、走行レールの側脇等、走行レールに近接する箇所に配置される物品保管部の最上部に位置する収納部が出庫部(又は入庫部)として構成されている。また、物品保管部の最上部よりも1つ下方側に位置する収納部が、物品保管部の外部であって走行レールの下部に相当する授受位置と物品保管部の内部の収納位置とに水平移動自在に備えられ、この物品保管部の最上部よりも1つ下方側に位置する収納部が入庫部(又は出庫部)として構成されている。これにより、物品搬送車は、把持部を昇降させることで、物品保管部の最上部よりも1つ下方側に位置する入庫部としての収納部に物品を移載しており、把持部を走行レールの横幅方向にスライド移動させた状態でその把持部を昇降させることで、物品保管部の最上部に位置する出庫部としての収納部に物品を移載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−10250号公報
【特許文献2】特開2009−173396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
物品搬送車と物品保管部との間での物品の授受として、物品搬送車が、入庫部に物品を移載する入庫作業と出庫部から物品を移載する出庫作業とを連続して行う場合がある。上記特許文献1に記載の設備では、まず、物品搬送車が入庫部用の搬送コンベヤに対応する停止位置に移動して把持部を昇降することで、入庫部用の搬送コンベヤの授受位置に物品を移載して入庫作業を行う。次に、物品搬送車が出庫部用の搬送コンベヤに対応する停止位置に移動して把持部を昇降することで、出庫部用の搬送コンベヤの授受位置から物品を移載する出庫作業を行う。このように、上記特許文献1に記載の設備では、入庫部用の搬送コンベヤと出庫部用の搬送コンベヤとが走行レールの走行方向に並ぶ状態で備えられているので、物品搬送車が入庫作業を行った後、物品搬送車が出庫部用の搬送コンベヤに対応する停止位置まで移動しなければならず、その移動に要する時間がかかることになり、搬送効率の低下を招くものとなっていた。
【0007】
上記特許文献2に記載の設備では、物品保管部の収納部を入庫部及び出庫部として利用しており、入庫部としての収納部と出庫部としての収納部とが、上下方向に重なるように配設されている。これにより、物品搬送車が入庫部としての収納部に対して物品を移載する位置と出庫部としての収納部に対して物品を移載する位置とが走行レールの走行方向で同一位置となっている。したがって、物品搬送車が入庫作業を行った後、物品搬送車が移動せずにそのまま出庫作業を行うことができるので、上述のような搬送効率の低下を招くという問題の発生を防止できる。
しかしながら、上記特許文献2に記載の設備では、物品保管部の収納部を出庫部(入庫部)として利用していることから、物品保管部の設置箇所が走行レールの側脇等の走行レールに近接する箇所に制限されてしまう。つまり、上記特許文献2に記載の設備では、把持部を走行レールの横幅方向にスライド移動させることで、出庫部(入庫部)としての物品保管部の収納部に対して物品の移載を行っている。よって、物品保管部の設置箇所としては、走行レールの横幅方向において走行レールから把持部のスライド移動可能な範囲内に制限されることになり、走行レールから離れた位置に物品保管部を設置することができない。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の設備では、物品保管部の最上部に位置する収納部及びその最上部よりも1つ下方側に位置する収納部を、入庫部及び出庫部として利用しているので、入庫部及び出庫部の上下方向での配設位置が物品保管部の高い位置となっている。よって、例えば、入庫部及び出庫部として利用している収納部について、メンテナンス作業を行う場合には、高い位置に位置する入庫部及び出庫部に対して、作業者がメンテナンス作業を行わなければならず、メンテナンス作業を行い難いものとなる。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、物品保管部の設置箇所に制限を受けることなく、物品保管部を自由な箇所に設置できながら、入庫部に物品を移載する入庫作業と出庫部から物品を移載する出庫作業とを連続して行う場合にも、その作業にかかる時間の短縮化を図り、搬送効率の向上を図ることができる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明に係る物品搬送設備の第1特徴構成は、天井側に設けられた走行レールを走行自在な物品搬送車と、その物品搬送車にて搬送される物品を収納自在な収納部が上下方向に複数並んで備えられた物品保管部とが備えられ、その物品保管部は、前記走行レールの側脇に配置されて、前記収納部に収納する物品を入庫部にて前記物品搬送車から受け取り自在で、且つ、前記収納部から出庫する物品を出庫部にて前記物品搬送車に受け渡し自在に構成されている物品搬送設備において、
前記物品保管部の外部の第1授受位置と前記物品保管部の内部との間で物品を搬送する第1搬送コンベヤと、その第1搬送コンベヤよりも上下方向の上方側に配設されて、前記物品保管部の外部で平面視にて前記第1授受位置よりも前記物品保管部に接近する側の第2授受位置と前記物品保管部の内部との間で物品を搬送する第2搬送コンベヤとが備えられ、前記物品搬送車は、物品を把持する把持部を昇降自在に且つその把持部を前記走行レールの横幅方向にスライド移動自在に備えて、前記走行レールの経路上の授受用停止位置に停止した状態で、前記把持部の昇降を行って前記第1授受位置及び前記第2授受位置の一方との間で物品を移載自在であり、且つ、前記授受用停止位置に停止した状態で、前記把持部のスライド移動を行って前記第1授受位置及び前記第2授受位置の他方との間で物品を移載自在に構成され、前記第1搬送コンベヤと前記第2搬送コンベヤの一方が前記入庫部として構成され、他方が前記出庫部として構成されている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、物品搬送車は、走行レールの経路上の授受用停止位置に停止した状態で、把持部の昇降を行って第1搬送コンベヤの第1授受位置及び第2搬送コンベヤの第2授受位置の一方との間で物品を移載自在であるので、例えば、物品搬送車から第1搬送コンベヤの第1授受位置に物品を移載することができる。そして、第1搬送コンベヤは、その物品を第1授受位置から物品保管部の内部に搬送することができる。これにより、例えば、第1搬送コンベヤを入庫部として構成することができる。
また、物品搬送車は、走行レールの経路上の授受用停止位置に停止した状態で、把持部のスライド移動を行って第1搬送コンベヤの第1授受位置及び第2搬送コンベヤの第2授受位置の他方との間で物品を移載自在であるので、例えば、第2搬送コンベヤにて物品保管部の内部から第2授受位置に物品を搬送しておくことで、その第2授受位置にて第2搬送コンベヤから物品搬送車に物品を移載することができる。これにより、例えば、第2搬送コンベヤを出庫部として構成することができる。
そして、第1搬送コンベヤを入庫部とし且つ第2搬送コンベヤを出庫部とできるだけでなく、逆に、第1搬送コンベヤを出庫部とし且つ第2搬送コンベヤを入庫部とすることもできる。
【0012】
このように、第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤの一方を入庫部として構成し、他方を出庫部として構成しているので、例えば、物品保管部を走行レールの横幅方向に走行レールから離れた位置に設置しても、第1授受位置と物品保管部の内部とを繋ぐように第1搬送コンベヤを備えるとともに、第2授受位置と物品保管部の内部とを繋ぐように第2搬送コンベヤを備えることができる。したがって、物品保管部の設置箇所に制限を受けることなく、物品保管部を自由な箇所に設置しても、入庫部及び出庫部としての第1搬送コンベヤ及び第2搬送コンベヤを備えることで、物品搬送車と物品保管部との間での物品の授受を行うことができる。しかも、例えば、第1搬送コンベヤ及び第2搬送コンベヤを上下方向の低い位置に設置することも可能であり、このように設置することで、作業者がメンテナンス作業を行い易いものとなる。
【0013】
そして、物品搬送車は、走行レールの経路上の授受用停止位置の同一位置に停止した状態で、第1搬送コンベヤの第1授受位置及び第2搬送コンベヤの第2授受位置の両者に対して物品の移載を行うことができる。したがって、入庫部に物品を移載する入庫作業と出庫部から物品を移載する出庫作業とを連続して行う場合に、物品搬送車が入庫作業を行った後、物品搬送車が移動せずにそのまま出庫作業を行うことができ、その作業にかかる時間の短縮化を図り、搬送効率の向上を図ることができる。
【0014】
本発明に係る物品搬送設備の第2特徴構成は、前記第1搬送コンベヤと前記第2搬送コンベヤのうち、前記第1授受位置及び前記第2授受位置の授受位置が前記走行レールの下方側に位置する一方が前記出庫部として構成され、他方が前記入庫部として構成されている点にある。
【0015】
本特徴構成によれば、例えば、第1搬送コンベヤの第1授受位置が走行レールの下方側に位置する場合には、その第1搬送コンベヤが出庫部として構成され、第2搬送コンベヤが入庫部として構成されている。これにより、出庫作業を行う場合には、物品搬送車が把持部を昇降させるだけで、第1搬送コンベヤの第1授受位置にて物品を移載する出庫作業を行うことができる。物品保管部には、複数の物品が保管されているので、その保管されている物品を連続的に出庫する場合がある。このような場合に、上述の如く、把持部を昇降させるだけで出庫作業を行うことができれば、その出庫作業を迅速に行うことができる。その結果、複数台の物品搬送車にて連続的に出庫作業を行うことができ、搬送効率を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る物品搬送設備の第3特徴構成は、前記物品保管部は、その上端部が上下方向で前記物品搬送車よりも上方側又は前記物品搬送車と略同一位置となるように構成されている点にある。
【0017】
本特徴構成によれば、物品保管部の上端部が上下方向で物品搬送車よりも上方側又は物品搬送車と略同一位置となるように構成されているので、収納部をより高い位置まで配置させることができ、走行レールの側脇の空間を有効に活用して、物品保管部の高さを極力高くして収納効率を向上することができる。
【0018】
本発明に係る物品搬送設備の第4特徴構成は、前記物品保管部の上下方向でその中間部位において前記第1搬送コンベヤと前記第2搬送コンベヤとが上下方向に隣接して並ぶ状態で配設されている点にある。
【0019】
本特徴構成によれば、第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとが上下方向に隣接して並ぶ状態で、物品保管部の上下方向の中間部位に配設されているので、天井側からの距離が長くなるのを抑えつつ、床面側に第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとを配置することができる。したがって、物品搬送車が把持部を昇降させて物品の移載を行う際に要する作業時間が長くなるのを抑制でき、第1搬送コンベヤの第1授受位置及び第2搬送コンベヤの第2授受位置に対して物品搬送車が物品の移載を比較的迅速に行うことができながら、その第1搬送コンベヤ及び第2搬送コンベヤに対して作業者がメンテナンス作業を行い易いものとなる。したがって、物品搬送車の入庫部及び出庫部に対する物品移載にかかる時間の長期化を防止することができながら、メンテナンス作業性の向上を図ることもできる。
【0020】
本発明に係る物品搬送設備の第5特徴構成は、前記第1搬送コンベヤにて前記物品保管部に搬送される第1搬送位置、前記第2搬送コンベヤにて前記物品保管部に搬送される第2搬送位置、及び、複数の前記収納部の間で物品を搬送する物品保管部用搬送装置が備えられている点にある。
【0021】
本特徴構成によれば、物品保管部用搬送装置が、第1搬送コンベヤの第1搬送位置、第2搬送コンベヤの第2搬送位置、及び、複数の収納部の間で物品を搬送するので、例えば、第1搬送コンベヤにて第1搬送位置に搬送された物品を複数の収納部のいずれかに収納することができるとともに、収納部に収納されている物品を第2搬送位置に取り出して第2搬送コンベヤにて第2授受位置に搬送することができる。よって、例えば、第1搬送コンベヤを入庫部とし且つ第2搬送コンベヤを出庫部とした場合に、第1授受位置にて物品搬送車から受け取った物品を適切に収納部に収納することができるとともに、収納部に収納されている物品を適切に第2授受位置に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】物品搬送車及び物品保管部の断面を示す図
【図2】物品搬送車及び物品保管部を示す側面図
【図3】物品搬送車の側面図
【図4】物品搬送車の正面図
【図5】第2実施形態における物品搬送車及び物品保管部の断面を示す図
【図6】別実施形態における物品搬送車及び物品保管部
【図7】別実施形態における物品搬送車及び物品保管部
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この物品搬送設備では、図1及び図2に示すように、天井側に設けられた走行レール1を走行自在な物品搬送車2が備えられており、この物品搬送車2が、床面側に設けられた複数の物品処理部(図示省略)の間で物品3を搬送している。図1は、走行レール1の走行方向視(図2中Y方向視)での物品搬送設備の要部を示すものであり、図2は、走行レール1の横幅方向視(図1中X方向視)での物品搬送設備の要部を示すものである。この物品搬送設備では、半導体基板を収納した容器を物品3としており、物品処理部にて各種の処理を行うようにしている。図示は省略するが、複数の物品処理部を経由する状態で走行レール1が備えられており、物品搬送車2が走行レール1を走行して物品3を把持する把持部4を昇降することで、複数の物品処理部の間で物品3を搬送している。
【0024】
物品搬送車2にて物品処理部に物品3を搬送するわけであるが、物品処理部では物品3に対する処理中である等、搬送するタイミングによっては物品処理部にて物品3を受け入れることができない場合がある。そこで、図1及び図2に示すように、物品搬送車2にて搬送される物品3の一時的な保管等のために、収納部5が上下方向に複数並んで備えられた物品保管部6が設けられている。この物品保管部6は、走行レール1の側脇に配置されて、収納部5に収納する物品3を入庫部7にて物品搬送車2から受け取り自在で、且つ、収納部5から出庫する物品3を出庫部8にて物品搬送車2に受け渡し自在に構成されている。
【0025】
走行レール1は、吊り下げ支持具9により天井部に固定状態で設置されている。物品搬送車2は、物品3を吊り下げ状態で把持する把持部4を昇降自在に且つその把持部4を走行レール1の横幅方向(図1中X方向)にスライド移動自在に備えている。把持部4は、物品搬送車2が停止した状態において、ベルト10(ベルトに限らず、例えばワイヤを適応することも可能である)を巻き取り又は繰り出すことにより昇降自在に設けられている。
【0026】
(物品搬送車)
物品搬送車2は、図3及び図4に示すように、走行レール1上を走行する走行駆動部11と、走行レール1の下方に位置するように走行駆動部11に吊り下げ支持された物品支持部12とを備えて構成されている。図3は、走行レール1の横幅方向視(図4中X方向視)での物品搬送車2の側面図を示している。図4は、走行レール1の走行方向視(図3中Y方向視)での物品搬送車2の正面図を示しており、把持部4を平面視で走行レール1の側脇にスライド移動させた状態を実線にて示しており、把持部4を平面視で走行レール1と重なる位置に位置させた状態を点線にて示している。以下、図4中X方向である走行レール1の横幅方向を「横幅方向」と略称し、図3中Y方向である走行レール1の走行方向を「走行方向」と略称する。
【0027】
走行レール1は、横幅方向(図4中X方向)に間隔を隔てて左右一対設けられており、走行駆動部11には、駆動モータ13にて回転駆動されて左右一対の走行レール1夫々の水平面に沿う上面を転動する走行輪14と、左右一対の走行レール1夫々の対向する上下方向に沿う側面に接当する回転自在な走行案内輪15とが設けられている。そして、走行輪14が駆動モータ13にて物品搬送車2の横幅方向に沿う軸心周りで回転駆動し、上下軸心周りで回転自在な走行案内輪15が左右一対の走行レール1にて当接案内されることにより、物品搬送車2が走行レール1に案内されて走行するように構成されている。
【0028】
走行輪14は、物品搬送車2の横幅方向の両端部に左右一対配設されており、その左右一対の走行輪14が、物品搬送車2の前後方向に間隔を隔てて2つ設けられており、合計4つの走行輪14が設けられている。走行案内輪15は、物品搬送車2の横幅方向の両端部に2つずつ設けられており、それら2つずつの走行案内輪15が、物品搬送車2の前後方向に間隔を隔てて2つ設けられており、合計8つの走行案内輪15が設けられている。
【0029】
物品支持部12は、走行方向(図3中Y方向)に延びてその前端部位及び後端部位が下方側に延出された側面視で凹状のカバー16を備えており、そのカバー16の前端部位と後端部位との間の空間に把持部4が配置されている。物品支持部12では、カバー16の下方側が開放されており、その開放空間を通して把持部4を昇降させるとともに、カバー16の横幅方向(図4中X方向)の両側も開放されており、その開放空間を通して把持部4を横幅方向(図4中X方向)にスライド移動させるようにしている。物品支持部12は、把持部4を昇降させる昇降操作機構17と、把持部4及び昇降操作機構17を横幅方向(図4中X方向)にスライド移動させるスライド移動操作機構18とを備えている。
【0030】
把持部4は、物品3を把持する把持姿勢と把持を解除する把持解除姿勢とに把持用モータ19により切換操作自在な把持具20を備えている。昇降操作機構17は、ベルト10を巻回して昇降用モータ21にて回転駆動される回転ドラム22を備えている。昇降操作機構17は、昇降用モータ21にて回転ドラム22を回転駆動させることにより、把持部4及びそれにて把持された物品3を昇降移動させ、把持用モータ19にて把持具20を切換操作することにより物品3を把持する又は物品3に対する把持を解除するように構成されている。
【0031】
把持部4及び昇降操作機構17は、スライド移動体23に備えられており、そのスライド移動体23とカバー16との間に、中間スライド移動体24を介在させて、その中間スライド移動体24をカバー16に対して横幅方向(図4中X方向)にスライド移動自在に設けている。これにより、把持部4及び昇降操作機構17がカバー16に対して横幅方向(図4中X方向)にスライド移動自在に備えられている。図3に示すように、中間スライド移動体24は、カバー16に備えられた第1スライドレール25と中間スライド移動体24の上面部に備えられた第2スライドレール26とにより、カバー16に対して横幅方向(図4中X方向)にスライド移動自在に支持されている。スライド移動体23は、中間スライド移動体24の下面部に備えられた第3スライドレール27とスライド移動体23に備えられた第4スライドレール28とにより、中間スライド移動体24に対して横幅方向(図4中X方向)にスライド移動自在に支持されている。
【0032】
スライド移動操作機構18は、横幅方向(図4中X方向)に間隔を隔てて配置された一対の回転プーリ29(図4では、一方の回転プーリ29のみ図示しており、他方の回転プーリ29の図示は省略している)に掛け渡された無端ベルト30と、回転プーリ29を回転させて無端ベルト30を回転駆動させる図外のスライド用モータとを備えている。そして、無端ベルト30において一対の回転プーリ29の間の中間部位の一方側がカバー16側に連結されており、中間部位の他方側がスライド移動体23側に連結されている。これにより、無端ベルト30を回転駆動させると、カバー16側に連結された無端ベルト30の中間部位と、スライド移動体23側に連結された無端ベルト30の中間部位とが、横幅方向(図4中X方向)で逆方向に移動することになる。よって、横幅方向(図4中X方向)において、中間スライド移動体24を中心にして、カバー16側とスライド移動体23側とが逆方向にスライド移動することになるので、カバー16に対して中間スライド移動体24がスライド移動する方向と、中間スライド移動体24に対してスライド移動体23がスライド移動する方向とが同一方向となる。これにより、スライド移動操作機構18は、図外のスライド用モータにて無端ベルト30を回転駆動することにより、カバー16に対して中間スライド移動体24をスライド移動させるとともに、中間スライド移動体24に対してスライド移動体23をスライド移動させて、カバー16に対して把持部4及び昇降操作機構17をスライド移動させている。そして、スライド移動操作機構18は、図外のスライド用モータにて無端ベルト30を正逆に回転駆動することにより、平面視で走行レール1と重なる位置(図4中点線参照)と、平面視で走行レール1の側脇に外れた位置(図4中実線参照)との間で把持部4及び昇降操作機構17をスライド移動させるように構成されている。
【0033】
物品搬送車2には、物品搬送車2の前後方向及び横幅方向の中央部に受電コイル31が配設されており、この受電コイル31より給電線32からの駆動用電力の給電を受けるように構成されている。給電線32は、走行レール1に支持される状態で左右一対備えられており、左右一対の給電線32が、物品搬送車2の横幅方向に間隔を隔てた状態で左右一対の走行レール1の間に位置するように配線されている。そして、給電線32に交流電流を通電することで磁界を発生させ、この磁界により駆動用電力を受電コイル31に発生させて、非接触状態で物品搬送車2への駆動用電力の給電を行うように構成されている。給電線32から受電コイル31に駆動用電力を給電することで、物品搬送車2がその駆動用電力により走行駆動部11の走行及び把持部4の昇降等を行うようになっている。
【0034】
(物品保管部)
物品保管部6は、走行レール1の側脇等の走行レール1に近接する箇所よりも走行レール1から離れた箇所に設置されている。つまり、図1に示すように、横幅方向(図1中X方向)において走行レール1から把持部4のスライド移動可能な範囲よりも走行レール1から離れた箇所に物品保管部6が設置されている。
物品保管部6は、図1及び図2に示すように、区画体33により側部及び上部の周囲が囲まれた箱状の空間に形成されており、区画体33により物品保管部6の内部と外部とに区画されている。このように、区画体33により物品保管部6の内部と外部とに区画することで、物品保管部6の外部から内部への塵や埃の移動を極力防止して、物品保管部6の内部の清浄度を維持するようにしている。
【0035】
物品保管部6は、その上端部が上下方向で物品搬送車2の物品支持部12及び走行レール1よりも上方側となるように構成されている。これにより、物品保管部6は、走行レール1の側脇の空間を有効に活用してより高い位置まで収納部5を配置させており、より多くの物品3を収納自在に構成されている。又は、物品保管部6の上端部が物品搬送車2と略同一位置となるように構成することもできる。物品保管部6は、複数の収納部5を上下方向に並べた列を横幅方向(図1中X方向)に間隔を隔てて2列備え、その列を走行方向(図2中Y方向)に複数並べるように備えている、物品保管部6では、区画体33の側部から横幅方向(図1中X方向)に延びる状態で載置支持体34が上下方向で間隔を隔てて複数設けられている。そして、収納部5は、載置支持体34にて物品3を載置支持する状態で物品3を収納するように構成されている。載置支持体34には、複数の位置決めピン35が設けられており、位置決めピン35を物品3の底部に備えられた孔部に嵌合させることにより、収納部5が物品3を位置決めした状態で収納するように構成されている。
【0036】
物品保管部6には、第1授受位置J1と物品保管部6の内部の第1搬送位置N1との間で物品3を搬送する第1搬送コンベヤ37と、物品保管部6の外部であり走行レール1の側脇に位置して平面視にて第1授受位置J1よりも物品保管部6に接近する側の第2授受位置J2と物品保管部6の内部の第2搬送位置N2との間で物品3を搬送する第2搬送コンベヤ38とが備えられている。第1授受位置J1は、物品保管部6の外部であり、走行レール1の下方側の位置となっている。第2授受位置J2は、物品保管部6の外部であり、走行レール1の側脇に位置して平面視にて第1授受位置J1よりも物品保管部6に接近する側の位置となっている。
【0037】
第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38は、搬送方向の長さが異なるだけで同様に構成されている。図示は省略するが、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38は、例えば、物品3の横幅方向の両端部を載置支持する一対の駆動ローラを搬送方向に並べたローラコンベヤにて構成されている。そして、例えば、第1授受位置J1、第2授受位置J2、第1搬送位置N1、及び、第2搬送位置N2の夫々には、一対の駆動ローラの間において昇降自在な昇降台が備えられ、その昇降台を昇降させることで、駆動ローラにて物品3を載置支持する載置位置と駆動ローラから物品3を浮かせた浮上位置とに物品3を昇降自在に構成されている。昇降台には、物品3の底部の複数の溝部に嵌合自在なピンが複数備えられており、それら複数のピンが物品3の底部の複数の溝部の夫々に嵌合することで、物品3を位置決めした状態で載置支持するようにしている。
【0038】
第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38とは、走行方向(図2中Y方向)で同一位置であり、且つ、上下方向で第2搬送コンベヤ38が第1搬送コンベヤ37よりも上方側に位置するように配設されている。また、物品保管部6の上下方向でその中間部位において第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38とが上下方向に隣接して並ぶ状態で配設されている。このように、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38とを上下方向で物品保管部6の中間部位に配置することで、物品搬送車が把持部を昇降させて物品の移載を行う際に要する作業時間が長くなるのを抑制できながら、脚立等を用いることで、その第1搬送コンベヤ37及び第2搬送コンベヤ38に対して作業者がメンテナンス作業を行い易いものとなる。
【0039】
第1搬送コンベヤ37は、区画体33の側部に形成された第1開口部39を通して水平方向に第1授受位置J1と第1搬送位置N1とに亘って延びるように配置されている。第2搬送コンベヤ38は、区画体33の側部に形成された第2開口部40を通して水平方向に第2授受位置J2と第2搬送位置N2とに亘って延びるように配置されている。ちなみに、図示は省略するが、第1開口部39及び第2開口部40については、開閉自在な開閉体が備えられており、第1搬送コンベヤ37及び第2搬送コンベヤ38にて物品3を搬送しない場合は、開閉体にて第1開口部39及び第2開口部40を閉塞するようにしている。
【0040】
このように、物品保管部6には、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38との2つの搬送コンベヤが備えられており、第1搬送コンベヤ37が、収納部5から出庫する物品3を物品搬送車2に受け渡し自在な出庫部8として構成され、第2搬送コンベヤ38が、収納部5に収納する物品3を物品搬送車2から受け取り自在な入庫部7として構成されている。つまり、図1に示すように、物品搬送車2は、把持部4を昇降させることで、第1搬送コンベヤ37における第1授受位置J1との間で物品3を移載自在に構成されており、この物品搬送車2の物品移載により、収納部5から出庫する物品3を物品搬送車2に受け渡すようにしている。また、物品搬送車2は、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させた状態でその把持部4を昇降させることで、第2搬送コンベヤ38における第2授受位置J2との間で物品3を移載自在に構成されており、この物品搬送車2の物品移載により、収納部5に収納する物品3を物品搬送車2から受け取るようにしている。そして、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38とは、走行方向(図2中Y方向)で同一位置であり、且つ、上下方向で第2搬送コンベヤ38が第1搬送コンベヤ37よりも上方側に位置するように配設されているので、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1との間で物品3を移載する場合も、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2との間で物品3を移載する場合も、物品搬送車2は、走行レール1の経路上の授受用停止位置の同一位置に停止して物品移載を行うようにしている。
【0041】
図1に示すように、物品保管部6には、第1搬送コンベヤ37の第1搬送位置N1に対する停止位置、第2搬送コンベヤ38の第2搬送位置N2に対する停止位置、及び、各収納部5に対する停止位置に移動自在であり、且つ、第1搬送コンベヤ37の第1搬送位置N1、第2搬送コンベヤ38の第2搬送位置N2、及び、収納部5との間で物品3を移載自在な物品保管部用搬送装置36が備えられている。物品保管部用搬送装置36は、走行方向(図2中Y方向)に走行自在な走行台車44と、その走行台車44に上下方向に延びる状態で立設された昇降案内マスト41に沿って昇降自在な昇降台42と、その昇降台42に備えられた移載装置43とを備えている。物品保管部用搬送装置36は、走行台車44を走行させるとともに、昇降台42を昇降させることで、第1搬送コンベヤ37の第1搬送位置N1に対する停止位置、第2搬送コンベヤ38の第2搬送位置N2に対する停止位置、及び、各収納部5に対する停止位置に移動自在となっている。物品保管部用搬送装置36は、各停止位置に昇降台42を停止させた状態で移載装置43を作動させることで、第1搬送コンベヤ37の第1搬送位置N1、第2搬送コンベヤ38の第2搬送位置N2、及び、収納部5との間で物品3を移載している。
【0042】
(物品搬送車と物品保管部との間での物品の授受)
以下、物品搬送車2と物品保管部6との間で物品3を授受する場合の動作について説明する。
物品搬送車2が入庫部7に物品3を移載する入庫作業を行う場合には、図1中白抜き矢印の(1)にて示すように、物品搬送車2が、把持部4にて物品3を把持した状態で、走行レール1の経路上の授受用停止位置まで走行して停止する。そして、物品搬送車2は、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させ、その把持部4を昇降させて把持具20の切換操作を行い、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2に物品3を移載する。第2搬送コンベヤ38は、第2授受位置J2にて物品搬送車2から物品3を受け取ると、その物品3を第2授受位置J2から第2搬送位置N2に搬送させる。このようにして、第2搬送コンベヤ38にて物品3が第2搬送位置N2に搬送されると、物品保管部用搬送装置36は、第2搬送位置N2から物品3を受け取り、その受け取った物品3を複数の収納部5の何れかに収納させる。ちなみに、第2授受位置J2において物品搬送車2と第2搬送コンベヤ38との間での物品3の授受、及び、第2搬送位置N2において第2搬送コンベヤ38と物品保管部用搬送装置36との間での物品3の授受を行う場合には、昇降台を浮上位置に上昇させている。
【0043】
物品搬送車2が出庫部8から物品3を移載する出庫作業を行う場合には、それよりも以前に、物品保管部用搬送装置36及び第1搬送コンベヤ37によって、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1に出庫対象の物品3が搬送されている。つまり、物品保管部用搬送装置36が、収納部5に収納されている出庫対象の物品3をその収納部5から第1搬送コンベヤ37の第1搬送位置N1に取り出している。そして、第1搬送コンベヤ37が、物品保管部用搬送装置36にて取り出された物品3を第1搬送位置N1から第1授受位置J1に搬送している。
そして、図1中白抜き矢印の(2)にて示すように、物品搬送車2が、走行レール1の経路上の授受用停止位置まで走行して停止する。そして、物品搬送車2は、把持部4を昇降させて把持具20の切換操作を行い、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1から物品3を移載する。このようにして、出庫部8から物品3を受け取ると、物品搬送車2は、その物品3を搬送する対象の物品処理装置等に向けて走行していく。
【0044】
上述の入庫作業と出庫作業とを連続して行う場合もある。この場合には、まず、上述の入庫作業を行い、次に、出庫作業を行うことになる。ここで、上述の如く、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38とは、走行方向(図2中Y方向)で同一位置であり、且つ、上下方向で第2搬送コンベヤ38が第1搬送コンベヤ37よりも上方側に位置するように配設されている。したがって、第1授受位置J1に対する授受用停止位置と第2授受位置J2に対する授受用停止位置とが、走行レール1の経路上の同一位置となっているので、入庫作業を行った後、物品搬送車2が移動することなく、出庫作業を行うことができる。
【0045】
つまり、図1中白抜き矢印の(1)にて示すように、物品搬送車2が、把持部4にて物品3を把持した状態で、走行レール1の経路上の授受用停止位置まで走行して停止する。物品搬送車2は、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させ、その把持部4を昇降させて把持具20の切換操作を行い、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2に物品3を移載して入庫作業を行う。そして、物品搬送車2は、把持部4を昇降及びスライド移動させて把持部4を元の位置に戻したのち、移動することなく、走行レール1の経路上の授受用停止位置に停止したまま、図1中白抜き矢印の(2)にて示すように、把持部4を昇降させて把持具20の切換操作を行い、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1から物品3を移載して出庫作業を行う。このようにして、物品搬送車2が入庫作業を行った後、物品搬送車2が移動せずにそのまま出庫作業を行うことができるので、その作業にかかる時間の短縮化を図り、搬送効率の向上を図ることができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、上記第1実施形態における入庫部7及び出庫部8の別実施形態であり、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。そこで、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0047】
上記第1実施形態では、第1搬送コンベヤ37が出庫部8として構成され、第2搬送コンベヤ38が入庫部7として構成されている。それに対して、逆に、第2実施形態では、図5に示すように、第1搬送コンベヤ37が入庫部7として構成され、第2搬送コンベヤ38が出庫部8として構成されている。
【0048】
この第2実施形態において、物品搬送車2が入庫部7に物品3を移載する入庫作業を行う場合には、図5中白抜き矢印の(1)にて示すように、物品搬送車2が、把持部4にて物品3を把持した状態で、走行レール1の経路上の授受用停止位置まで走行して停止する。そして、物品搬送車2は、把持部4を昇降させて把持具20の切換操作を行い、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1に物品3を移載する。第1搬送コンベヤ37は、第1授受位置J1にて物品搬送車2から物品3を受け取ると、その物品3を第1授受位置J1から第1搬送位置N1に搬送する。このようにして、第1搬送コンベヤ37にて物品3が第1搬送位置N1に搬送されると、物品保管部用搬送装置36は、第1搬送位置N1から物品3を受け取り、その受け取った物品3を複数の収納部5の何れかに収納する。
【0049】
物品搬送車2が出庫部8から物品3を移載する出庫作業を行う場合には、上記第1実施形態と同様に、それよりも以前に、物品保管部用搬送装置36及び第2搬送コンベヤ38によって、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2に出庫対象の物品3が搬送されている。そして、図5中白抜き矢印の(2)にて示すように、物品搬送車2が、走行レール1の経路上の授受用停止位置まで走行して停止する。そして、物品搬送車2は、把持部4を横幅方向(図5中X方向)にスライド移動させ、その把持部4を昇降させて把持具20の切換操作を行い、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2から物品3を移載する。このようにして、出庫部8から物品3を受け取ると、物品搬送車2は、その物品3を搬送する対象の物品処理装置等に向けて走行していく。
【0050】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、第1搬送コンベヤ37と第2搬送コンベヤ38とは、走行方向(図2中Y方向)で同一位置であり、且つ、上下方向で第2搬送コンベヤ38が第1搬送コンベヤ37よりも上方側に位置するように配設されている。したがって、第1授受位置J1に対する授受用停止位置と第2授受位置J2に対する授受用停止位置とが、走行レール1の経路上の同一位置となっているので、入庫作業を行った後、物品搬送車2が移動することなく、出庫作業を行うことができる。
【0051】
〔別実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態において、図6及び図7に示すように、走行レール1を走行レール1の横幅方向(図中X方向)に隣接する状態で2組備え、それら2組の夫々の走行レール1を物品搬送車2が走行するように構成することもできる。この場合には、図6に示すように、図中X方向の左側に位置する走行レール1の下方側の位置が第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1となっており、図中X方向の右側に位置する走行レール1の下方側の位置が第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2となっている。これにより、図中X方向の左側に位置する走行レール1を走行する物品搬送車2が、把持部4を昇降することで、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1との間で物品3を移載することができるとともに、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させた状態でその把持部4を昇降させることで、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2との間で物品3を移載することができる。また、図7に示すように、図中X方向の左側に位置する走行レール1を走行する物品搬送車2が、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させた状態でその把持部4を昇降させることで、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1との間で物品3を移載することができるとともに、把持部4を昇降することで、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2との間で物品3を移載することができる。
この場合にも、第1搬送コンベヤ37を出庫部8とし、第2搬送コンベヤ38を入庫部7として構成することができる。また、逆に、第1搬送コンベヤ37を入庫部7とし、第2搬送コンベヤ38を出庫部8として構成することができる。
【0052】
(2)上記第1及び第2実施形態では、図1及び図5に示すように、走行レール1の横幅方向(図1及び図5中X方向)での走行レール1の配置位置を第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2よりも物品保管部6から離れる側として、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1が走行レール1の下方側の位置とし、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2が走行レール1の側脇の位置としている。これに代えて、走行レール1の横幅方向(図1及び図5中X方向)での走行レール1の配置位置を第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2の上方側の位置である物品保管部6に接近する側として、第1搬送コンベヤ37の第1授受位置J1が走行レール1の側脇の位置とし、第2搬送コンベヤ38の第2授受位置J2が走行レール1の下方側の位置とすることもできる。例えば、図6及び図7において、図中X方向の右側に位置する走行レール1だけを設け、その走行レール1を走行するように物品搬送車2を備える。
【0053】
(3)上記第1及び第2実施形態では、物品搬送車2が、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させた状態でその把持部4を昇降させることで、第2搬送コンベヤ38における第2授受位置J2との間で物品3を移載自在に構成されている。これに代えて、物品搬送車2が、把持部4を横幅方向(図1中X方向)にスライド移動させるだけで、第2搬送コンベヤ38における第2授受位置J2との間で物品3を移載自在に構成することもできる。
【0054】
(4)物品保管部6の設置箇所については、上記第1及び第2実施形態にて例示したものに限らず、自由に変更することができる。そして、物品保管部6の設置箇所を変更した場合も、第1搬送コンベヤ37及び第2搬送コンベヤ38の長さや搬送方向等を適宜変更することで対応することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 走行レール
2 物品搬送車
3 物品
4 把持部
5 収納部
6 物品保管部
7 入庫部
8 出庫部
36 物品保管部用搬送装置
37 第1搬送コンベヤ
38 第2搬送コンベヤ
J1 第1授受位置
J2 第2授受位置
N1 第1搬送位置
N2 第2搬送位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に設けられた走行レールを走行自在な物品搬送車と、その物品搬送車にて搬送される物品を収納自在な収納部が上下方向に複数並んで備えられた物品保管部とが備えられ、その物品保管部は、前記走行レールの側脇に配置されて、前記収納部に収納する物品を入庫部にて前記物品搬送車から受け取り自在で、且つ、前記収納部から出庫する物品を出庫部にて前記物品搬送車に受け渡し自在に構成されている物品搬送設備であって、
前記物品保管部の外部の第1授受位置と前記物品保管部の内部との間で物品を搬送する第1搬送コンベヤと、その第1搬送コンベヤよりも上下方向の上方側に配設されて、前記物品保管部の外部で平面視にて前記第1授受位置よりも前記物品保管部に接近する側の第2授受位置と前記物品保管部の内部との間で物品を搬送する第2搬送コンベヤとが備えられ、前記物品搬送車は、物品を把持する把持部を昇降自在に且つその把持部を前記走行レールの横幅方向にスライド移動自在に備えて、前記走行レールの経路上の授受用停止位置に停止した状態で、前記把持部の昇降を行って前記第1授受位置及び前記第2授受位置の一方との間で物品を移載自在であり、且つ、前記授受用停止位置に停止した状態で、前記把持部のスライド移動を行って前記第1授受位置及び前記第2授受位置の他方との間で物品を移載自在に構成され、前記第1搬送コンベヤと前記第2搬送コンベヤの一方が前記入庫部として構成され、他方が前記出庫部として構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記第1搬送コンベヤと前記第2搬送コンベヤのうち、前記第1授受位置及び前記第2授受位置の授受位置が前記走行レールの下方側に位置する一方が前記出庫部として構成され、他方が前記入庫部として構成されている請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記物品保管部は、その上端部が上下方向で前記物品搬送車よりも上方側又は前記物品搬送車と略同一位置となるように構成されている請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記物品保管部の上下方向でその中間部位において前記第1搬送コンベヤと前記第2搬送コンベヤとが上下方向に隣接して並ぶ状態で配設されている請求項1〜3の何れか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記第1搬送コンベヤにて前記物品保管部に搬送される第1搬送位置、前記第2搬送コンベヤにて前記物品保管部に搬送される第2搬送位置、及び、複数の前記収納部の間で物品を搬送する物品保管部用搬送装置が備えられている請求項1〜4の何れか1項に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39985(P2013−39985A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176184(P2011−176184)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】