説明

物品整列搬送装置

【課題】 単純でコンパクトな物品整列搬送装置により、縦長物品を所望の方向に整列させること。
【解決手段】 物品整列搬送装置100であって、縦長物品1の長手方向で細首部を備える一端部と、太径部を備える他端部のそれぞれを支持する、物品搬送方向視でL字断面状をなす面状部材22を両側に起立させた床面21を備え、かつ該縦長物品1を物品搬送方向に沿う下流に移動させる傾斜面を該面状部材22のL字断面の段差面22Aに備えて上下動する上下移動床20を有し、上下移動床20の物品搬送方向に沿う上流に、縦長物品1の長手方向を物品搬送方向と直角方向に位置規制する固定物品投入部10を有し、上下移動床20の物品搬送方向に沿う下流に、排出シュート30を有し、排出シュート30は、縦長物品1をその長手方向における太径側を先行させて排出するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品整列搬送装置として、振動式パーツフィーダー(特許文献1)や回転式パーツフィーダー(特許文献2)やベルト起立式ボトル整列装置(特許文献3)がある。
【0003】
特許文献1に記載の物品整列搬送装置は、複数の棒状物品を上側開口部より受け入れる短筒状の本体部、及びこの本体部の下側開口部を開閉するためのゲートを有する充填ホッパと、この充填ホッパ内に供給されたそれぞれの棒状物品が互いに隣合う状態で起立するように上記充填ホッパを振動させる駆動部と、を備える充填装置において、上記充填ホッパ内に供給されて一方の端部が上記ゲートの上面に当接する棒状物品を、この棒状物品の中心軸線が鉛直方向に対して45°以下の角度をなす範囲内で起立させた状態で保持する仕切り部材を上記本体部内に設けたものである。棒状物品の長さや充填量に拘わらず、充填ホッパ内に棒状物品を互いに隣合う状態で綺麗に起立させることができ、この整列させた状態で容器等に充填できる。
【0004】
特許文献2に記載の物品整列搬送装置は、物品を受け入れ可能なターンテーブルと、前記ターンテーブルに置かれた前記物品の姿勢を検知できる位置に配備したセンサと、前記センサの出力より前記物品の表裏姿勢を判定し表裏姿勢に応じて前記ターンテーブルを予め設定した停止位置に回転させる制御部と、前記物品を移動させる押し出し部と、前記押し出し部により移動された前記物品を掛止する受部材とを有するものである。
【0005】
特許文献3に記載の物品整列搬送装置は、ボトル供給装置と、ボトルを移送ラインに沿って揃えた状態で1本ずつに分離し水平方向に送り出すボトル分離装置と、投入部内から移送部出口まで水平に1列に延びる複数のベルトコンベヤからなる移送装置を備えており、ボトル移送中にボトル口の向きを揃え、起立させるボトル起立装置とからなるボトル整列装置である。
【特許文献1】特開2001-261006
【特許文献2】特開平9-104520
【特許文献3】特開2000-355419
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の如くの従来の物品整列搬送装置では、物品の重心側が下側になるように起立させて整列させるものが大部分である。しかしながら、物品が縦長形状の場合には、確率的に物品が起立するものは数少なくなるため整列成功率も低下し、その結果、処理能力が低下してしまうことがある。また、物品の重心側の面が、尖っていたり、丸みを帯びていたりすると、重心側の面を下側とすること自体に困難があり、整列不可能になることがある。また、振動式や回転式のパーツフィーダーは取扱い物品に対して装置サイズが大きくなる傾向がある。従って、広い設置スペースが必要で、しかも取扱い物品が変更になった際の型替えでは、その交換部品も大きくなり、作業者の負担が大きい。
【0007】
特許文献3に記載の物品整列搬送装置は、比較的コンパクトで整列成功率は高いものの、ボトルがベルトで挟まりながら起立されるため、その際の摩擦によってボトル表面にキズが発生したり、フィルム巻きボトルの場合にはそのフィルムにシワが発生したりすることがある。また、ボトルの底面と上部の径が大きく異なるものでは、起立時にボトルがベルトから外れ、搬送力が失われてしまう。
【0008】
本発明の課題は、単純でコンパクトな物品整列搬送装置により、縦長物品を所望の方向に整列させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、縦長物品の長手方向で細首部を備える一端部と、太径部を備える他端部のそれぞれを支持する、物品搬送方向視でL字断面状をなす面状部材を両側に起立させた床面を備え、かつ該物品を物品搬送方向に沿う下流に移動させる傾斜面を該面状部材のL字断面の段差面に備えて上下動する上下移動床を有し、上下移動床の物品搬送方向に沿う上流に、縦長物品の長手方向が物品搬送方向と直角方向になるよう物品の方向を揃えると共に、物品の位置を物品搬送方向と直角方向において位置規制する固定物品投入部を有し、上下移動床の物品搬送方向に沿う下流に、排出シュートを有し、排出シュートは、縦長物品をその長手方向における太径側を先行させて排出するようにしたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記固定物品投入部が縦長物品の中央寄せ部材を備えるようにしたものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記排出シュートが縦長物品の位置を制限することで方向を揃える方向規制部材を備えるようにしたものである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、複数の中央寄せ部材を備える固定物品投入部と、複数の面状部材を備える上下移動床と、複数の方向規制部材を備える排出シュートとを有するようにしたものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において更に、前記固定物品投入部の上流に物品供給装置が配置され、物品供給装置は、複数の固定床の各個を搬送方向に沿って並置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返すことで物品を下流に供給するようにしたものである。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、前記排出シュートの下流に、縦長物品を起立させる方向変更板を有するようにしたものである。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において更に、前記縦長物品がボトルであるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1)
(a)固定物品投入部により長手方向の位置を物品搬送方向と直角方向において規制された縦長物品が上下移動床の両側面状部材の間に投入され、該物品の長手方向で細首部を備える一端部と、他端部のそれぞれがL字断面状面状部材の傾斜段差面に支持されると、縦長物品は上下移動床の上昇の過程で長手方向における太径側を先頭側にして排出シュートへ移送されて整列され、その整列姿勢で排出シュートから排出される。これにより、単純でコンパクトな物品整列搬送装置により、縦長物品を所望の方向に整列させることができる。
【0017】
(請求項2)
(b)固定物品投入部が縦長物品の中央寄せ部材を備えることにより、確実に、縦長物品の長手方向を物品搬送方向と直角方向に位置規制できる。
【0018】
(請求項3)
(c)排出シュートが縦長物品の位置を規制することで方向を揃える規制部材を備えることにより、確実に、縦長物品の長手方向を物品搬送方向と並行方向に配列できる。
【0019】
(請求項4)
(d)複数の中央寄せ部材を備える固定物品投入部と、複数の面状部材を備える上下移動床と、複数の方向規制部材を備える排出シュートとを有する。これにより、複数の縦長物品を並行して整列させることができる。
【0020】
(請求項5)
(e)固定物品投入部の上流に配置される物品供給装置が、複数の固定床の各個を搬送方向に沿って並置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返すことで物品を下流に供給する。従って、縦長物品の寸法形状や搬入姿勢に関係なく、該物品を概ね一定量ずつ固定物品投入部に供給できる。
【0021】
(請求項6)
(f)排出シュートから排出される縦長物品は、方向変更板に衝突して起立され、正立状態になる。
【0022】
(請求項7)
(g)ボトルを整列対象物品とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
物品整列搬送装置100は、図1〜図4に示す如く、物品搬送方向の上流側から順に、固定物品投入部10、上下移動床20、排出シュート30を有する。
【0024】
物品整列搬送装置100は、縦長物品1の細首部を備える長手方向の一端部と、太径部を備える長手方向の他端部のそれぞれを支持する面状部材22を両側に起立させた床面21を備える上下動する上下移動床20を有する。物品搬送方向視で段差面22Aと幅規制部22BとでL字断面状をなす面状部材22を両側に起立させた床面21は、物品1を物品搬送方向下流に移動させる傾斜面を面状部材22の段差面22Aに備える。物品整列搬送装置100は、上下移動床20の物品搬送方向上流に、縦長物品1の長手方向を物品搬送方向と直角方向において位置規制する固定物品投入部10を有し、上下移動床20の物品搬送方向に沿う下流に、排出シュート30を有し、排出シュート30は、縦長物品1をその長手方向における一方側を先行させて排出する。
【0025】
固定物品投入部10は、縦長物品1の両端部のそれぞれに接して縦長物品1の長手方向を物品搬送方向と直角方向において位置規制するための中央寄せ部材12を、傾斜床面11の両側に起立させて備える。床面11は物品搬送方向に向けて水平に対する角度αの下り勾配をなし(図4)、αの好適値は5〜50度、より好適値は7〜30度である。中央寄せ部材12は物品搬送方向視で、例えば上端に頂部を有する三角形を断面とする上に凸の三角柱状をなし、両側中央寄せ部材12の三角柱の頂部間隔a1の好適値は縦長物品1の高さhの1.1〜1.7倍であり、両側中央寄せ部材12の三角柱の底部間隔a2の好適値は縦長物品1の高さhの0.7〜1.0倍である(図3)。中央寄せ部材12のその他の形状としては、単なる直方体や、物品1と接触する側が三角柱の如く傾斜した断面が台形状の四角柱などでも良いが、傾斜突起23をうまく物品1の中央部に作用させるには、物品1と接触する側が傾斜しているほうが好ましい(不図示)。
【0026】
上下移動床20は、固定物品投入部10から投入された縦長物品1の一端細首部と他端太径部のそれぞれを支持する、物品搬送方向視でL字断面状をなす面状部材22を床面21の両側に起立させて備え、かつ物品1を物品搬送方向に沿う下流に移動させる下り勾配の傾斜面を面状部材22の段差面22Aに備えるとともに、エアシリンダ、又はサーボモータやステッピングモータのモータからなる上下駆動部24を備える。上下駆動部24は、床面21を固定物品投入部10の床面11、排出シュート30の床面31より下位に位置付ける下降端(図1)と、床面21を固定物品投入部10の床面11、排出シュート30の床面31より上位に位置付ける上昇端(図2)の間で、上下移動床20を上下動する。上下移動床20は、縦長物品1の一端細首部と他端太径部のそれぞれを両側の面状部材22の傾斜段差面22Aのそれぞれに支持する上昇の過程で後述する如く、縦長物品1の長手方向の太径側を先頭側にして、該物品1を排出シュート30へ移送する。面状部材22の段差面22Aは物品搬送方向に向かい水平に対する角度βの下り勾配をなし(図4)、βの好適値は5〜40度、より好適値は7〜25度である。両側面状部材22の段差面22Aから上方に立ち上がる垂直壁間隔b1の好適値は物品1の全高h1(図6)の1.1〜1.3倍が好ましい。b1がこの範囲より小さいとボトルが両側の面状部材22の間で詰まることがある。b1がこの範囲より大きいとボトル首部が面状部材22の段差面22Aに乗らない。面状部材22の段差面22Aの段深さb2は、物品1の首部高さh2(図6)の0.5〜1.5倍が好ましい。b2がこの範囲より小さいとボトル首部が面状部材22の段差面22Aに乗らないことがある。b2がこの範囲より大きいとボトル肩部が面状部材22の段差面22Aに乗り上げ、ボトルの太径底部が後述する如くに斜め上方を向かない。ボトル外径をd1、首部直径をd2とするとき(図6、ボトル形状が円形でないときd1はボトル外径の最小径とする)、面状部材22の段差面22Aの段高さb3は、(d1−d2)/2の1.2〜2.0倍が好ましい。b3がこの範囲より小さいとボトル肩部が床面21に接し、十分にボトルの太径底部が斜め上方を向かない。b3がこの範囲より大きいと上下移動床20の上下ストロークを大きくする必要があり、その移動時間が無駄時間となって生産性が低下する。面状部材22の段差面22Aの斜面に沿う段幅b4は、d1の1.05〜1.8倍が好ましい。b4がこの範囲より小さいとボトルが上下移動床20の下降時に落ち込まず、首部が面状部材22の段差面22Aに乗らない。b4がこの範囲より大きいと装置サイズが無駄に大型化してしまう。尚、このb4の制約条件においては、ボトル形状が円形でないときは、ボトルの径が高さ方向に変化しているときには、d1はボトル外径の最大径とする。上下移動床20を挟む固定物品投入部10と排出シュート30の設置間隔b5の好適値はd1の1.05〜2.0倍である。
【0027】
図8は上下移動床20の変形例を示すものである。上下移動床20は、図8(A)に示す如く、床面21の構成部分と、面状部材22の幅規制部22B(垂直壁)の構成部分と、面状部材22の段差面22Aの構成部分を別部材化しても良く、これによれば、b2の寸法測定が容易になり、加工も容易になる。上下移動床20は、図8(B)に示す如く、面状部材22の段差面22Aを角棒材でなく丸棒材にて構成し、段差面22Aの曲面で物品1と接するようにしても良い。上下移動床20は、図8(C)に示す如く、面状部材22の段差面22Aを垂直壁の構成部分から離した板材で構成し、段差面22Aの狭い面で物品1と接触するようにしても良い。上下移動床20は、図8(D)に示す如く、面状部材22の段差面22Aを三角柱材にて形成し、段差面22Aと物品1が三角柱の稜線で線接触するように構成しても良い。
【0028】
排出シュート30は、単なる板状部材や、雨樋状部材などとしても良いが(不図示)、より物品1の搬送を安定させるには、上下移動床20から移送された縦長物品1の両側部のそれぞれに作用して物品1の長手方向を物品搬送方向と並行方向に揃える、言い換えると物品の搬送方向と直交する方向における位置を制限することで方向と位置を整えるための方向規制部材32を、傾斜床面31の両側に起立させて備えると良い。床面31は物品搬送方向に向かい水平に対する角度δの下り勾配をなし(図4)、δの好適値は5〜50度、より好適値は7〜30度である。方向規制部材32は、図3に示す如く、物品搬送方向において上下移動床20に臨む物品第1規制面32Aと、床面31の両側で上向きに拡開する物品第2規制面32Bを備え、上下移動床20から移送される物品1の入側に物品第1規制面32Aと物品第2規制面32Bの交線部32Cを備える。方向規制部材32は物品搬送方向に向かい水平に対する角度γをなし(図4)、γの好適値は−20〜30度、より好適値は−10〜20度である。勾配は物品搬送方向に向かい上り又は下り勾配となる。γのプラスの値は上り勾配であり、γのマイナスの値は下り勾配である。物品第1規制面32Aと物品第2規制面32Bの互いの交線部32Cは、曲面でつなぐか、緩い角度で交差するようにし、0度が最鋭角、180度が平行とすると、好適角度は120〜175度であり、これによって上下移動床20から移送されてくる物品1の向きをスムースに物品搬送方向と並行する方向に変えることができる(図3)。両側方向規制部材32の物品第2規制面32Bの頂部間隔c1の好適値は物品1の高さhの0.5〜1.2倍であり、両側方向規制部材32の物品第2規制面32Bの底部間隔c2の好適値は物品1の高さhの0.7〜1.5倍である(図3)。但し、方向規制部材32は単なる角棒材、丸棒材からなるものでも良い。
【0029】
以下、上下移動床20が上昇の過程で、縦長物品1の長手方向の特定の太径側を先頭側にして該物品1を上下移動床20から排出シュート30へ移送する作用について説明する。
【0030】
上下移動床20は床面21の両側にL字断面状の面状部材22を設けた。縦長物品1の一端細首部が一方の面状部材22の段差面22Aに乗り、該物品1の他端太径底部が他方の面状部材22の段差面22Aに乗り、縦長物品1の太径底部が斜め上向きになる(図7)。上下移動床20が上昇すると、物品1の斜め上を向いている太径底部が先ず下流構造物である排出シュート30から解放され、排出シュート30の側に転がり又は滑り、物品1は太径底部を先頭側に整列されて排出される。物品1は太径底部を先頭にするため、後述する方向変更板50等でこれをベルトコンベヤ40上にて容易に起立させることができる。
【0031】
物品1がベルトコンベヤ40に安定的に載置することが困難である際には、コンベヤ40上に、物品1に適合した形状の袴やカップのような形状のものを複数個備え、ここに物品1を投入できるような最適位置に袴が来るようにコンベヤ40を間欠運転すると良い(不図示)。これにより、物品1の排出時先頭側がどのような形状であっても(例えば尖っていたり、丸みを帯びていたりしても)整列することが可能となる。
【0032】
上下移動床20により整列できる整列対象物品(ボトル)は、d2が、d1の0.9倍以下、好ましくは0.8倍以下であるものとする。d2がこれを超えると物品1の首部が面状部材22の段差面22Aに乗っても、ボトルの太径底部が斜め上を向く角度が小さ過ぎて、ボトルの太径底部からの排出が困難になる。尚、ボトル形状が円形でないとき、d1はボトル外径の最小径とする。
【0033】
図9、図10に示した各種形状の縦長物品1(ボトル)において、(1)〜(6)の全ての物品1が図51に示す如くに、太径底部側を先頭側とする整列姿勢を付与される。(2)の楕円形ボトルでは、面状部材22の段差面22Aに物品1の長径部と短径部のいずれが乗っても、太径底部側が斜め上向きになる。(6)の扁平ボトルでは、物品1の扁平面が面状部材22の段差面22Aに乗った物品1の横向き状態で安定する。
【0034】
以下、物品整列搬送装置100による縦長物品1の整列動作について説明する(図12〜図15)
(A)縦長物品1を一端側に細首部と、他端側に太径底部を備えるボトルとし、排出シュート30の下流側にベルトコンベヤ40を配置し、ベルトコンベヤ40における排出シュート30と反対側の側傍に、物品1を起立させる方向変更板50を立設した物品整列搬送装置100の例。
【0035】
(整列工程1)(図12(A))
投入された物品1は、固定物品投入部10の中央寄せ部材11で、床面11上のほぼ中央へと寄せられる。物品1は長手方向を物品搬送方向と直角方向に位置規制される。
【0036】
(整列工程2)(図12(B))
物品1は固定物品投入部10の床面11上を転がり、又は滑り降り、固定物品投入部10と排出シュート30の間の上下移動床20に落ち込む。物品1は上下移動床20の両側面状部材22によりほぼ中央に保たれる。物品1は長手方向を物品搬送方向と直角方向に保たれる。
【0037】
(整列工程3)(図13(A))
上下移動床20が上昇する。物品1は一端細首部と他端太径底部のそれぞれが上側面状部材22の段差面22Aのそれぞれに乗り、太径底部が上向きの状態になる。
【0038】
(整列工程4)(図13(B))
上下移動床20が更に上昇し、物品1の上向きになった太径底部が排出シュート30の最上端よりも高くなると、物品1は上下移動床20上での滑りや転がりによって底面側が先頭となるよう向きを変える。
【0039】
(整列工程5)(図14(A))
上下移動床20が更に上昇を続けると、物品1は更に向きを変え、物品1の底側を先頭側にして排出シュート30の両側の方向規制部材32の間の床面31上に落ち込んでいく。物品1は排出シュート30の両側の方向規制部材32に挟まれ、底側を先頭側にし、長手方向を物品搬送方向と並行する方向に整列される。
【0040】
(整列工程6)(図14(B))
物品1は排出シュート30の両側の方向規制部材32の間の床面31上に完全に落ち込み、底側を先頭側とする方向整列が完了する。
【0041】
(整列工程7)(図15(A))
物品1は排出シュート30の床面31上を滑り落ち、ベルトコンベヤ40の反対側に位置する方向変更板50に衝突する。
【0042】
(整列工程8)(図15(B))
物品1は、方向変更板50に衝突して向きを鉛直方向に変え、その底面をベルトコンベヤ40上に待機する整列状態となる。ベルトコンベヤ40を連続又は間欠運転して物品1を次工程へと移送する。
【0043】
結果として、物品1を直接把持したり、抑えつけたり、高速で動かしたりはせず、転がりや滑りの作用によって整列できるため、物品1には強い力や摩擦力が加わることがなく、傷つけたり、損傷させることがない。
【0044】
物品整列搬送装置100は、固定物品投入部10の上流に、物品1を間欠的に供給できる、コンベヤ又は切欠装置等の物品供給装置を配置できる。固定物品投入部10に供給された物品1の上下移動床20への投入方向は、物品1の長手方向が物品搬送方向と直角方向(上下移動床20の床面21の床幅b3に直交する方向)であれば、物品1の固定物品投入部10から上下移動床20への投入は最も安定する(図16(A))。物品1の長手方向が物品搬送方向に対する直角方向からずれ50度程度以内(図16(B)、(C))であれば、物品1は、上下移動床20が下降しているときに、固定物品投入部10と排出シュート30に挟まれて規制され、物品1の長手方向が物品搬送方向と直角方向をなすように矯正され安定となる。
【0045】
図17の物品整列搬送装置100は、固定物品投入部10が4個の中央寄せ部材12により区画される3個の床面11を有し、上下移動床20が6個の面状部材22(尚、両端の2個のL字状面状部材22に挟まれる中央の4個の(L字状)面状部材22のうち、相隣る2個の(L字状)面状部材22は互いに背中合せで一体とされて見かけ上は逆T字断面状をなし)により区画される3組の段差面22Aを有し、排出シュート30が4個の方向規制部材32により区画される3個の床面31を有し、結果として3個の縦長物品1を3列同時並行で整列できる。
【0046】
図18の物品整列搬送装置100は、固定物品投入部10の上流に縦長物品1を前述したと同様の物品供給装置200を配置した。
【0047】
物品供給装置200は、図18に示す如く、架台211の一端側から他端側に向かう方向を物品供給方向とし、その一端側に入口シュート212を設け、入口シュート212の裏面に供給力を高めるためのバイブレータ213を装備してある。
【0048】
物品供給装置200は、架台211に設けた支持部材214により複数の固定床220を支持する。物品供給装置200は、複数の固定床220の各個の床面221を互いに供給方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度θ:例えば5〜35度)をなすように配置している。このとき、各固定床220の床面221は、それ自体でも、供給方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した斜面とされている。固定床220にバイブレータを装備し、供給力を高めても良い。
【0049】
物品供給装置200は、架台211に支持した昇降駆動装置215に左右のサイドガイド板216を連結し、架台211に支持したスライド軸217にサイドガイド板216に固定してあるスライド部218(不図示)をスライド自在に嵌合している。また、架台211とスライド部218の間には、衝撃緩和ダンパ(不図示)を介装している。左右のサイドガイド板216は、入口シュート212と固定床220の巾方向の両側に配置されるとともに、複数の移動床230をその間に挟んで備える。複数の移動床230の各個を各固定床220に対し供給方向の側傍(本実施例では上流側の側傍)に隣接配置する。結果、固定床220と移動床230は一定の間隔を介して供給方向に沿って交互に配置されるものになる。物品供給装置200は、昇降駆動装置215により、サイドガイド板216及び移動床230の昇降動作を繰り返す(移動床230を昇降駆動装置215に直に連結し、サイドガイド板216は必ずしも昇降させる必要はない)。即ち、各移動床230を同時にそれらの床面231が隣接する固定床220の床面221に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返す。
【0050】
各移動床230の床面231は、上位において固定床220の床面221より上に突出し、下位において固定床220の床面221より下に没入する。
【0051】
上位に位置付けられた各移動床230の床面231を互いに供給方向の下流側に向かい下り勾配(水平に対する角度θ:例えば5〜35度)をなすように配置する。このとき、各移動床230の床面231は、それ自体で、供給方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した斜面とされている。
【0052】
従って、物品供給装置200にあっては、固定床220と移動床230が供給方向に沿って交互に隣接配置され、しかもそれらの床面221、231が互いに供給方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置されるものであり、縦長物品1の寸法形状や投入姿勢に関係なく、あらゆる縦長物品1を固定床220の床面221に乗せ、移動床230の床面231により突き上げ、概ね一定量ずつ排出できる。
【0053】
尚、物品供給装置200にあっては、複数の固定床220の各個の床面221を互いに供給方向の下流側に向けて水平をなすように配置し、或いは複数の移動床230の各個の床面231を互いに供給方向の下流側に向けて水平をなすように配置しても良い。
【0054】
更に、この実施例の変形として、固定物品投入部10の上流に配置した物品供給装置200の途中工程にて、固定床220に替えて複数の中央寄せ部材12を備える固定物品投入部10を設置し、その下流に隣接する移動床230に替えて複数の面状部材22を備える上下移動床20を設置する。このような交換設置を1箇所又は2箇所以上の複数箇所に行なう。これによって、物品供給装置200の途中工程でも一部の物品を物品搬送方向と並行方向に位置規制し搬送することで、特に大量に縦長物品1の処理が必要な場合、一層整列を容易に行なうことが可能となる(不図示)。
【0055】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)固定物品投入部10により長手方向の位置を物品搬送方向と直角方向において位置規制された縦長物品1が上下移動床20の両側面状部材22の間に投入され、該物品の長手方向で細首部を備える一端部と、他端部のそれぞれがL字断面状面状部材22の傾斜段差面22Aに支持されると、縦長物品1は上下移動床20の上昇の過程で長手方向における太径側を先頭側にして排出シュート30へ移送されて整列され、その整列姿勢で排出シュート30から排出される。これにより、単純でコンパクトな物品整列搬送装置100により、縦長物品1を所望の方向に整列させることができる。
【0056】
(b)固定物品投入部10が縦長物品1の中央寄せ部材12を備えることにより、確実に、縦長物品1の長手方向を物品搬送方向と直角方向に位置規制できる。
【0057】
(c)排出シュート30が縦長物品1の位置を規制することで方向を揃える方向規制部材32を備えることにより、確実に、縦長物品1の長手方向を物品搬送方向と並行方向に位置規制できる。
【0058】
(d)複数の中央寄せ部材12を備える固定物品投入部10と、複数の面状部材22を備える上下移動床20と、複数の方向規制部材32を備える排出シュート30とを有する。これにより、複数の縦長物品1を並行して整列させることができる。
【0059】
(e)固定物品投入部10の上流に配置される物品供給装置200が、複数の固定床220の各個を搬送方向に沿って並置し、複数の移動床230の各個を各固定床220に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床230を同時にそれらの床面231が隣接する固定床220の床面221に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返すことで物品を下流に供給する。従って、縦長物品1の寸法形状や搬入姿勢に関係なく、該物品を概ね一定量ずつ固定物品投入部10に供給できる。
【0060】
(f)排出シュート30から排出される縦長物品1は、方向変更板50に衝突して起立され、正立状態になる。
【0061】
(g)ボトルを整列対象物品1とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は物品整列搬送装置の上下移動床が下降した状態を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【図2】図2は物品整列搬送装置の上下移動床が上昇した状態を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【図3】図3は物品整列搬送装置を詳細に示す平面図である。
【図4】図4は物品整列搬送装置を詳細に示す側面図である。
【図5】図5は上下移動床を示す斜視図である。
【図6】図6は物品(ボトル)を示す模式図である。
【図7】図7は物品(ボトル)の転がり状態を示し、(A)は例1を示す正面図、(B)は例2を示す正面図である。
【図8】図8は上下移動床の変形例を示し、(A)は変形例1を示す斜視図、(B)は変形例2を示す斜視図、(C)は変形例3を示す斜視図、(D)は変形例4を示す斜視図である。
【図9】図9はボトルの例を示す模式図である。
【図10】図10はボトルの例を示す模式図である。
【図11】図11は上下移動床と物品(ボトル)を示す模式図である。
【図12】図12は物品整列搬送装置の整列動作を示し、(A)は整列工程1を示す模式図、(B)は整列工程2を示す模式図である。
【図13】図13は物品整列搬送装置の整列動作を示し、(A)は整列工程3を示す模式図、(B)は整列工程4を示す模式図である。
【図14】図14は物品整列搬送装置の整列動作を示し、(A)は整列工程5を示す模式図、(B)は整列工程6を示す模式図である。
【図15】図15は物品整列搬送装置の整列動作を示し、(A)は整列工程7を示す模式図、(B)は整列工程8を示す模式図である。
【図16】図16は物品の投入姿勢を示し、(A)はずれなし姿勢を示す模式図、(B)は30度ずれ姿勢を示す模式図、(C)は50度ずれ姿勢を示す模式図である。
【図17】図17は複連式物品整列搬送装置を示す斜視図である。
【図18】図18は物品供給装置を備えた物品整列搬送装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 縦長物品
10 固定物品投入部
11 床面
12 中央寄せ部材
20 上下移動床
21 床面
22 面状部材
22A 傾斜段差面
23 傾斜突起
30 排出シュート
31 床面
32 方向規制部材
50 方向変更板
60 フック
100 物品整列搬送装置
200 物品供給装置
220 固定床
221 床面
230 移動床
231 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長物品の長手方向で細首部を備える一端部と、太径部を備える他端部のそれぞれを支持する、物品搬送方向視でL字断面状をなす面状部材を両側に起立させた床面を備え、かつ該物品を物品搬送方向に沿う下流に移動させる傾斜面を該面状部材のL字断面の段差面に備えて上下動する上下移動床を有し、
上下移動床の物品搬送方向に沿う上流に、縦長物品の長手方向が物品搬送方向と直角方向になるよう物品の方向を揃えると共に、物品の位置を物品搬送方向と直角方向において位置規制する固定物品投入部を有し、
上下移動床の物品搬送方向に沿う下流に、排出シュートを有し、
排出シュートは、縦長物品をその長手方向における太径側を先行させて排出する物品整列搬送装置。
【請求項2】
前記固定物品投入部が縦長物品の中央寄せ部材を備える請求項1に記載の物品整列搬送装置。
【請求項3】
前記排出シュートが縦長物品の位置を制限することで方向を揃える方向規制部材を備える請求項1又は2に記載の物品整列搬送装置。
【請求項4】
複数の中央寄せ部材を備える固定物品投入部と、複数の面状部材を備える上下移動床と、複数の方向規制部材を備える排出シュートとを有する請求項3に記載の物品整列搬送装置。
【請求項5】
前記固定物品投入部の上流に物品供給装置が配置され、
物品供給装置は、複数の固定床の各個を搬送方向に沿って並置し、複数の移動床の各個を各固定床に対し搬送方向の側傍に隣接配置するとともに、各移動床を同時にそれらの床面が隣接する固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返すことで物品を下流に供給する請求項1〜4のいずれかに記載の物品整列搬送装置。
【請求項6】
前記排出シュートの下流に、縦長物品を起立させる方向変更板を有する請求項1〜5のいずれかに記載の物品整列搬送装置。
【請求項7】
前記縦長物品がボトルである請求項1〜6のいずれかに記載の物品整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−143700(P2009−143700A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323895(P2007−323895)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】