説明

物品方向変換装置

【課題】 多数個の小物品の方向変換を効率良くできるようにする。
【解決手段】 一方面の周縁に沿って複数個の物品の収納凹み部15が配置されてなり回転軸方向を水平として回転可能に配置される第1の円板体3と、周面に複数個の物品の収納凹み部16が配置されてなり回転軸方向を垂直として回転可能に配置される第2の円板体4とを備え、第1の円板体3に対して第2の円板体4が下側に、かつ、それぞれの周縁と周面とが互いに臨設する状態において同期回転するように配置され、同期回転に際して第1の円板体3のそれぞれの収納凹み部15内の物品40それぞれを第2の円板体4のそれぞれの収納凹み部16内に落とし込むことで物品40の方向を変換する物品方向変換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数個の小物品の方向を変換するための物品方向変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器等の組み立てには、ネジやそれを受けるように機器面に埋設されるネジ受け金具等の小物金具が多く用いられる。これら小物金具はそれ自体の製造後に不良品の検査がなされて出荷される。その不良品検査は、例えば、製造後に多数個の小物金具をパーツフィーダに通すことで整列させ、その整列されて移送する状態においてカメラを使用したり、また、目視することで行っている。
【発明の開示】
【0003】
しかしながら、上記のようにパーツフィーダにより小物金具それぞれを所定の方向に整列した場合、実際には小物金具の検査確認を必要とする箇所が見えにくくなる場合が生じて検査が十分に行えないことがあり、十分に検査を行うには小物金具をいちいち手に持つ等する必要があり、非常に作業効率が悪いものとなった。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上記の問題を解消するように行ったもので、多数個の小物品の方向変換を効率良くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明では、一方面の周縁に沿って複数個の物品の収納凹み部が配置されてなり回転軸方向を水平として回転可能に配置される第1の円板体と、周面に複数個の物品の収納凹み部が配置されてなり回転軸方向を垂直として回転可能に配置される第2の円板体とを備え、前記第1の円板体に対して前記第2の円板体が下側に、かつ、それぞれの前記周縁と前記周面とが互いに臨設する状態において同期回転するように配置され、前記同期回転に際して前記第1の円板体のそれぞれの前記収納凹み部内の物品それぞれを前記第2の円板体のそれぞれの前記収納凹み部内に落とし込むことで物品の方向を変換することを特徴とする物品方向変換装置を提供する。
【0006】
上記構成の物品方向変換装置によれば、水平方向の回転軸方向において回転される第1の円板体の収納凹み部それぞれから垂直方向の回転軸方向において回転される第2の収納凹み部それぞれに、回転板それぞれの同期回転に伴って物品が落とし込まれることで短時間に多数個の物品の方向が変換される。なお、第1、第2の円板体はその基本構造が円板形態であるもの全てを含み、その周面にカット面を持つもの等も円板体とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、多数個の小物品の方向変換を自動的に効率良くできるようになり、これにより、小物金具等の製造後の検査等が物品を所望の姿勢とする中で容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1はこの発明の物品方向変換装置の一方側外観斜視図、図2は同他方側斜視図である。物品方向変換装置1は全体が金属製で,ベース2上に第1の円板体3と第2の円板体4とが配置されて構成され、それら円板体3、4は略同径のものが用いられている。
【0009】
6はベベルギヤ機構を内蔵するギヤケースで、ベース2上に水平に突設される支持台8上に取り付けられ、そのギヤケース6から下方側に突出する軸棒10の下端が第2の円板体4の上面中央に連結固定され、上方側に突出する軸棒11の上端には駆動モータ側へのジョイント具9が取り付けられている。また、図に現れないが、ギヤケース6内において上記軸棒10、11とベベルギヤ機構により連動する水平方向の軸棒の先端が第1の円板体3の一方側面の中央に連結固定されている。
【0010】
このようにして第2の円板体4はベース2上に突出形成される円形台7上に水平方向に、第1の円板体3はベース2の側位置近傍に垂直方向に、それぞれの周面と周縁とが互いに臨設される状態において配置され、軸棒11の上端が駆動モータにより回転駆動されることでそれぞれの円板体3、4は同期回転するようになっている。
【0011】
上記第1の円板体3にはその他方側面の周縁に沿って形成される突出縁部5に同間隔に多数個の半円筒状の物品の収納凹み部15が設けられ、第2の円板体4にはその周面に同間隔に多数個の半円筒状の物品の収納凹み部16が設けられており、それらの数は同数で、かつ、図3に示すように、それぞれが同期回転に際して互いに相対するように位置決めされている。この実施形態においては、第1の円板体3の径は15cm、第2の円板体4の径は15.8cmで、収納凹み部15、16はそれぞれ24個形成され、第1の円板体3の収納凹み部15はその幅が6.5mm、長さが3mm、深さが6.25mmに形成され、第2の円板体4の収納凹み部16はその幅が9.5mm、長さが26.5mm、深さが8.75mmに形成されている。
【0012】
20は第1カバープレートでベース2上に立設される支持柱22に取り付けられ、第1の円板体3の他方側面の周縁の略半分を覆うように設けられ、また、支持柱22には第1の円板体3の周面の上記カバープレート20に対応する部分の一部に沿って設けられる湾曲状のカバー片24が取り付けられている。26は第2カバープレートでベース2の円形台7の周面に取り付けられ、湾曲形状で第2の円板体4の周面の略半分を覆うように設けられている。30は物品の排出部であり、ベース2上に排出ガイド溝32を備えるガイド部品34が取り付けられて構成されており、その排出ガイド溝32の底面は円形台7の上面に面一に連続している。
【0013】
以下、上記物品方向変換装置1の動作を図4を参照して説明する。この実施形態での物品としての小物金具40は機器内に埋設使用される筒状のネジ受け金具である。駆動モータの駆動により第1及び第2の円板体3、4が図3の矢印方向に同期回転される状態において、パーツフィーダ側から第1の円板体3のそれぞれの収納凹み部15に側方から図4の矢印方向において小物金具40のそれぞれが順次押し込まれるようにして供給される。すなわち、パーツフィーダの供給端に吊り下げ状態に連続して配置された小物金具40が円板体3の突出縁部5面に押圧される状態に配置され、その状態において円板体3が回転されることで小物金具40は順次収納凹み部15内に納められていく。
【0014】
その際、回転板3、4が、例えば1分間に30回転程度の高速で回転される中でも、収納凹み部15それぞれが回転方向の前段位置に傾斜状の嵌入案内面15aそれぞれを備え、さらに、小物金具40の全体を収納凹み部15内に納めることなくその一部を納めるようにしていることで、小物金具40は収納凹み部15内に確実に納められていく。また、その納められた状態においては、小物金具40はその太径の基部40aの周縁が収納凹み部15の端面開口縁に吊り下げ係止されるが、円板体3の周面に収納凹み部15それぞれに対応するカット平面15bそれぞれが形成されていることで、基部40aの周縁は面支持され、これにより、小物金具40は収納凹み部15内に安定保持される。
【0015】
次に、第1の円板体3の回転に伴って収納凹み部15内の小物金具40は上方から下方に回転変移され、略半周の回転により小物金具40は基部40aが下方となり、自重及び回転遠心力により収納凹み部15内から離脱して同期回転している第2の円板体4の収納凹み部16内にそれぞれの端面開口を通して順次落下していく。上記の第1の円板体3の回転に際しては、小物金具40は収納凹み部15が第1のカバープレート20でその側面開口が、カバー片24により端面開口が覆われることで収納凹み部15内から離脱することはない。
【0016】
図5は収納凹み部15内から収納凹み部16内への小物金具40の落下動作を説明する図である。上記したように、第2の円板体4の収納凹み部16の幅W1が第1の円板体3の収納凹み部15の幅W2より大きくされていることで、収納凹み部15から収納凹み部16内への小物金具40の高速回転中での落下移動がスムーズになされる。すなわち、収納凹み部15より収納凹み部16の幅を大きくしていることで、収納凹み部16が収納凹み部15の真下にくる前に落下移動が開始できるとともに収納凹み部16が収納凹み部15の真下を過ぎた位置まで落下移動が継続できるようにし、落下移動の時間を長く取れるようにして小物金具40のスムーズな落下移動を可能としている。カバー片24の下端部は上記落下移動動作の早い開始を妨げることがない位置にまで延出配置されている。
【0017】
図6は物品排出部30における小物金具40の排出動作を説明する図である。排出に際しても第2の回転板4が高速に回転されていることで小物金具40が収納凹み部16の開口縁に引っかかる恐れがあるが、第2の円板体4の収納凹み部16の一方側縁16aが傾斜を持って若干開いて(開き角度X度)形成されていることで、回転時にその一方側縁16aが排出ガイド溝32の排出方向に対してより長く直交方向を維持し、これにより小物金具40の排出ガイド溝32内への送り出しがスムーズになされる。
【0018】
上記のようにして、物品方向変換装置1はパーツフィーダ側から基部40aを上側として供給された小物金具40を基部40aを下側として検査ラインに送り出し、多数個の小物金具40の方向転換を短時間において自動的に行うものである。小物金具40であるネジ受け金具はそのネジ部分の検査が必要で、基部40aを下側としてネジ側が露呈する搬送状態においてカメラ等により検査が支障なく行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の物品方向変換装置の一方側外観斜視図
【図2】この発明の物品方向変換装置の他方側外観斜視図
【図3】この発明の物品方向変換装置の要部拡大斜視図
【図4】この発明の物品方向変換装置の要部拡大斜視図
【図5】この発明の物品方向変換装置の動作説明図
【図6】この発明の物品方向変換装置の動作説明図
【符号の説明】
1 物品方向変換装置
3 第1の円板体
4 第2の円板体
15 収納凹み部
16 収納凹み部
40 小物金具(物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面の周縁に沿って複数個の物品の収納凹み部が配置されてなり回転軸方向を水平として回転可能に配置される第1の円板体と、周面に複数個の物品の収納凹み部が配置されてなり回転軸方向を垂直として回転可能に配置される第2の円板体とを備え、
前記第1の円板体に対して前記第2の円板体が下側に、かつ、それぞれの前記周縁と前記周面とが互いに臨設する状態において同期回転するように配置され、
前記同期回転に際して前記第1の円板体のそれぞれの前記収納凹み部内の物品それぞれを前記第2の円板体のそれぞれの前記収納凹み部内に落とし込むことで物品の方向を変換することを特徴とする物品方向変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−314345(P2007−314345A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173102(P2006−173102)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(596000556)コーエイ機器産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】