説明

物品案内装置並びにそれを用いた計量装置及び包装装置

【課題】本発明は、筒状部材内において物品が架橋状態となるのを防止することにより、上方から落下する物品を下方に確実に案内することができる物品案内装置、並びにそれを用いた計量装置及び包装装置を提供する。
【解決手段】ばね用ステンレス薄板でなり、上下に円形に開口する逆円錐台状とされたシュート21において、内部の物品落下経路の断面形状を変更する形状変更ユニットを備える。この形状変更ユニットは、前記シュート21を外側側方から同期して押圧する一対の押圧部材63,63を備え、押圧と押圧解除とを間欠的に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から落下する物品を下方に案内する物品案内装置、並びにそれを用いた計量装置及び包装装置に関し、物品搬送の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の計量機に供給された食品等の物品を計量して目標重量に組み合わせる組合せ計量装置において、目標重量に計量された物品を下方に案内する筒状の物品案内装置が備えられることがある。また、筒状に成形したフィルムを搬送しつつ縦横方向にシールして物品を個々の袋に包装する製袋包装機において、上方から供給された物品を案内する筒状の物品案内装置が用いられることがある。
【0003】
このような物品案内装置においては、特に短時間で所定量の物品を落下させるようにした際に、落下する物品が筒内で架橋状に詰まることがあり、この場合、前記組合せ計量装置や製袋包装機の一時停止を余儀なくされて、生産効率が低下するという問題が生じることになる。
【0004】
この問題を解消するものとして、例えば特許文献1に開示の物品案内装置がある。この物品案内装置は、製袋包装機の上部に設置される漏斗状の筒状部材を有しており、バイブレータにより惹起される筒状部材の振動や筒状部材自体の揺動により、架橋状態が崩されるように構成されている。さらに、前記筒状部材の下部を回転構造とすることにより、架橋状態が瞬時に解消されるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】実開昭58−161805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したような物品案内装置では、図14に示すように、外部の筒状部材Aと内部の架橋状態の物品X,Xとを一体に振動、揺動、あるいは回転させて、架橋状態を切り崩すための物品X,Xの移動を引き起こすものであるから、偶然に依存する要素が多くて確実性に欠け、例えば筒状部材A内にピーナッツのような硬い物品が一旦強固に詰まると、振動を付加しても架橋状態が容易には崩れないという問題が生じることがある。特に筒状部材が逆円錐台状の場合には、一旦架橋状態が崩れても、下方の狭い空間箇所でかえって強固に詰ることがある。
【0007】
そこで、本発明は、筒状部材内において物品が架橋状態となるのを防止することにより、上方から落下する物品を下方に確実に案内することができる物品案内装置、並びにそれを用いた計量装置及び包装装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上下に開口する筒状部材を有し、上方から落下する物品を下方に案内する物品案内装置であって、前記筒状部材における物品落下経路の断面形状を変更する形状変更手段が備えられていることを特徴とする。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の物品案内装置において、前記筒状部材は、逆円錐台状であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の物品案内装置において、前記物品落下経路の断面形状は、変更前において略円形であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の物品案内装置において、前記物品落下経路の断面形状は、変更前において楕円形または長円形であって、前記形状変更手段は、該断面形状を長軸が短縮するように変更することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品案内装置において、前記筒状部材は、弾性を有する材料で構成されており、前記形状変更手段は、前記筒状部材を側方から押圧する押圧部材を備え、該押圧部材で前記筒状部材を側方から押圧することにより前記断面形状を変更することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の物品案内装置において、前記弾性を有する材料は、ばね用材料であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項5または請求項6に記載の物品案内装置において、前記押圧部材は、前記筒状部材を外側側方から押圧することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項5から請求項7のいずれかに記載の物品案内装置において、前記押圧部材は、前記筒状部材における物品落下経路の下方側を押圧することを特徴とする。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、前記請求項5から請求項8のいずれかに記載の物品案内装置において、前記押圧部材は、前記筒状部材の押圧と押圧解除とを間欠的に繰り返すことを特徴とする。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、前記請求項9に記載の物品案内装置において、前記押圧部材は、押圧解除時にも前記筒状部材に当接していることを特徴とする。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品案内装置において、前記筒状部材は、上下方向の面で分割され、かつ、隣接する側部同士がオーバーラップする複数の分割部材で構成されており、前記形状変更手段は、これら分割部材を側部同士がオーバーラップする状態を維持しながら互いに近接離反させることにより前記断面形状を変更することを特徴とする。
【0020】
一方、請求項12に記載の発明は、供給された物品を計量したのち下方の装置に受け渡す計量装置であって、下方への物品受渡部に前記請求項1から請求項11のいずれかに記載の物品案内装置が備えられていることを特徴とする。
【0021】
そして、請求項13に記載の発明は、上方から供給された物品を受け入れて包装する包装装置であって、上方からの物品受入部に前記請求項1から請求項11のいずれかに記載の物品案内装置が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
まず、請求項1に記載の発明によれば、形状変更手段により筒状部材における物品落下経路の断面形状が変更される。したがって、従来のように筒状部材と内部の架橋状態の物品とを一体に振動させたり揺動させたりするものとは異なり、筒状部材内において物品が架橋状態となるのを確実に防止して、上方から落下する物品を下方に確実に案内することができる。
【0023】
次に、請求項2に記載の発明によれば、円筒部材は逆円錐台状であるので、上方から供給される物品を密度を高めて集合する機能を担保した上で、物品の架橋状態が発生し易い逆円錐台状の筒状部材においても、物品が架橋状態となるのを防止することができる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明によれば、筒状部材における物品落下経路の断面形状は、変形前には略円形であるので、物品はスムーズに落下することになり、架橋状態となるのを一層防止することができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、筒状部材における物品落下経路の断面形状が楕円形または長円形の場合、この断面形状を長軸が短縮するように、つまり断面形状が円形に近づくように変更することによって物品落下経路の断面積が大きくなり、架橋状態発生の防止と物品のスムーズな落下とを両立させることができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明によれば、弾性を有する筒状部材を弾性範囲内で押圧部材により押圧して、物品落下経路の断面形状を例えば円形から楕円形に変更することができる。この場合には、筒状部材を一体的に形成することができることから、構成の簡素化が図られる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明によれば、筒状部材をばね用部材で構成するので、その優れた変形復元力を利用することができる。その結果、押圧部材は筒状部材を一方向から押圧すればよく、さらなる構成の簡素化が図られる。
【0028】
ところで、押圧部材を筒状部材の内部つまり物品落下経路に備えると、物品の落下を阻害して架橋状態となるのを助長することになるが、請求項7に記載の発明によれば、押圧部材は筒状部材を外側側方から押圧するので、前述した問題は生じない。
【0029】
また、請求項8に記載の発明によれば、押圧部材は筒状部材における物品落下経路の下方側を押圧するので、下部で物品が架橋状態となり易い逆円錐台状の筒状部材においても、架橋状態となるのを効果的に防止することができる。
【0030】
また、請求項9に記載の発明によれば、押圧部材による筒状部材の押圧と押圧解除とを間欠的に繰り返すことにより物品落下経路の断面形状を繰り返して変更するので、架橋状態となるのを一層効果的に防止することができる。
【0031】
ところで、筒状部材が金属製である場合に、押圧部材が筒状部材に対して当接離反を繰り返すと、両者の当接時に騒音が発生して問題となることがあるが、請求項10に記載の発明によれば、押圧部材は、押圧時にはもちろんのこと押圧解除時にも筒状部材に当接しているので、前記騒音問題を解消することができる。
【0032】
また、請求項11に記載の発明によれば、筒状部材を複数の分割部材で構成し、これらの分割部材を互いに近接離反させることで、物品落下経路の断面形状を変更することができる。この場合には、物品落下経路の断面形状を大きく変更することが可能となり、案内する物品の寸法的な多様化に好ましく対応することができる。さらに、前記断面形状の変更に際して、分割部材は、隣接する側部同士がオーバーラップする状態を維持しながら近接離反するので、内部の物品が不用意に外部にこぼれ出るおそれはない。
【0033】
そして、請求項12及び請求項13に記載の発明によれば、計量装置及び包装装置において、前記請求項1から請求項11に記載の発明におけると同様の作用効果が得られる。すなわち、計量装置では、計量した物品を、物品受渡部に備えられた物品案内装置を介して下方の装置に確実に受け渡すことができ、一方、包装装置では、上方から供給された物品を、物品受入部に備えられた物品案内装置を介して確実に受け入れて包装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る物品案内装置を備えた製袋包装機について説明すると、図1に示すように、この製袋包装機1は、スナック菓子等の物品を連続的に袋状に包装するもので、機台1aに、上方からの物品受入部P1に備えられて、上方から落下する物品を下方に案内する物品案内装置11と、チューブ部材12aとセーラ部材12bとを有し、図示しない繰出装置により繰り出されたシート状フィルムFの左右両縁部を重ね合わせて筒状に成形するフォーマ12と、チューブ部材12aの正面視で左右両側に配置されて、フィルムFをこのチューブ部材12aの左右両側面に押し付けながら下方に搬送する図示しない一対のプルダウンベルト装置と、前記チューブ部材12aの前面に配置されて、前記重ね合わせ部を縦方向にシールして筒状に成形する図示しない縦シール装置と、前記チューブ部材12aの下方に配置されて、前記物品案内装置11からこのチューブ部材12aに投入された物品が収容された筒状フィルムFを横方向にシールすると共に図示しない内蔵したカッタにより横シール部の中央で切断する横シール装置13とが組み付けられている。
【0036】
本発明の特徴部分である物品案内装置11は、上下に開口して内部を物品が落下する筒状のシュート21と、このシュート21の物品落下経路の断面形状を変更する形状変形ユニット22とを有している。
【0037】
図2及び図3に示すように、シュート21は、ばね用ステンレス薄板を外形が逆円錐台状となるように成形したもので、変形前にはそれぞれ平面視円形の上部開口21aと下部開口21bとを有し、内部は物品落下経路Yとされている。
【0038】
また、シュート21の上部の外側面に、物品落下経路Yを挟んで対向配置された水平方向に延びる一対の連結部材31,31が固設されている。そして、各連結部材31の先端部近傍に切欠部31aが設けられている。
【0039】
図4及び図5に示すように、形状変形ユニット22は、機台1aに設けられた支持台41上の支持プレート42に支持されており、ほぼ全体がカバー43で覆われている。そして、カバー43の前方両側から、前記シュート21の両側側方に一対の支持部材44,44が延びており、図2〜5に示すように、これら支持部材44,44と前記シュート21に設けられた連結部材31,31とが、これら連結部材31,31の切欠部31a,31aを介してボルト45,45で連結されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、形状変形ユニット22は、前記シュート21方向に水平に延びるレバープレート51を有している。また、レバープレート51の前後下方に、左右一対のサイドフレーム52,52間に架設されたシャフト53,53に回転自在に支持されて、このレバープレート51を下方から支持すると共に左右方向へのいたずらな移動を規制する左右一対の鍔付きローラ54…54が設けられている。そして、レバープレート51の前後上方に、前記サイドフレーム52,52間に架設されたシャフト55,55に回転自在に支持されて、このレバープレート51を上方から押えるローラ56,56が設けられている。
【0041】
レバープレート51の前端部には、左右一対のリンク部材61,61の一方の端部が連結されている。各リンク部材61の他方の端部は、支軸62aを中心に揺動する平面視く字状のアーム部材62の後端部に連結されている。そして、各アーム部材62の前端部に、前記シュート21を外側側方から押圧する押圧部材63が備えられている。
【0042】
図2に示すように、押圧部材63は、シュート21の比較的下方側に設けられて、このシュート21を矢印a方向に押圧するもので、シュート21方向に延びるねじ部63aと、このねじ部63a先端のゴム部63bとを有している。そして、この押圧部材63は、前記アーム部材62の前端部に、正面視L字状のブラケット64を介してボルト65で取り付けられている。なお、前記ゴム部63bは、シュート21に対してなじみの良い当接状態を実現すると共に騒音対策となり得るものである。
【0043】
再び図4及び図5に示すように、レバープレート51の後方下方には、モータ71が支持プレート42に支持されている。そして、このモータ71の出力軸71aの先端に、偏心して回転するディスク72が取り付けられている。また、レバープレート51の後端部とレバープレート51の後方の支持プレート42との間に、このレバープレート51を常時後方に付勢して前記ディスク72に当接させる左右一対のばね73,73が張設されている。
【0044】
こうすることにより、モータ71の駆動により偏心ディスク72が矢印b方向に回転すると、このディスク72に常時当接すると共に下方の鍔付きローラ54…54と上方のローラ56,56とで安定的に支持されたレバープレート51は、ばね73,73の付勢力に抗して矢印cで示すように前方に押しやられる。これに伴ない、両リンク部材61,61は矢印d方向に揺動し、両アーム部材62,62は支軸62a,62aを中心に矢印eで示すように揺動し、その結果、両アーム部材62,62の前端部に備えられた押圧部材63,63は、同期してシュート21を押圧する。
【0045】
そして、さらに前記ディスク72が矢印b方向に回転すると、レバープレート51は、ばね73,73の付勢力により後方に引き戻され、前記両リンク部材61,61と両アーム部材62,62とは前述した方向とは逆方向に揺動し、両押圧部材63,63は、同期してシュート21の押圧を解除する。以上の動作が繰り返されて押圧と押圧解除とが間欠的に行なわれるが、押圧部材63,63は、押圧解除時にも、ゴム部63b,63bを介してシュート21に当接するように設定されている。
【0046】
次に、この製袋包装機1の作用について説明する。
【0047】
まず、シート状フィルムFがセーラ部材12bを介してチューブ部材12aの周囲に巻き付けられて筒状に形成され、プルダウンベルト装置により下方へ搬送中に、縦シール装置により縦方向にシールされたのち、上方からチューブ部材12aに物品が供給されると、横シール装置13により横方向にシール及び切断されて、物品が充填された袋が一個ずつ連続的に製造される。
【0048】
その場合、上方から落下する物品を前記チューブ部材12aに案内するシュート21の物品落下経路Yは、形状変更ユニット22により断面形状が間欠的に繰り返して変更される。
【0049】
すなわち、モータ71の駆動により、その動力は偏心ディスク72を介してレバープレート51、リンク部材61,61、及びアーム部材62,62を介して一対の押圧部材63,63に伝達されて、これら押圧部材63,63はシュート21を押圧する。
【0050】
一例として図2及び図3に示すように、下部開口21bは、形状変更前は実線で示すように円形で図例の寸法D1であるのに対し、形状変更後は二点鎖線で示すように楕円形とされ、図例の寸法D1′は、前記寸法D1より小さくなる。なお、形状変更前後で、上部開口21aの寸法は概ね不変である。
【0051】
以上のように構成したことにより、まず、形状変更ユニット22によりシュート21における物品落下経路Yの断面形状が変更される。したがって、従来のように筒状部材と内部の架橋状態の物品とを一体に振動させたり揺動させたりするものとは異なり、シュート21内において物品が架橋状態となるのを確実に防止して、上方から落下する物品を下方に確実に案内することができる。
【0052】
次に、シュート21は逆円錐台状であるので、上方から供給される物品を密度を高めて集合する機能を担保した上で、物品の架橋状態が発生し易い形状である逆円錐台状のシュート21においても、物品が架橋状態となるのを防止することができる。
【0053】
また、シュート21における物品落下経路Yの断面形状は、変形前には円形であるので、物品はスムーズに落下することになり、架橋状態となるのを一層防止することができる。
【0054】
また、シュート21をばね用ステンレス薄板で構成するので、これを押圧して、物品落下経路Yの断面形状を円形から楕円形に変更することができる。この場合には、シュート21を一体的に形成することができることから、構成の簡素化が図られる。さらに、シュート21をばね用ステンレス薄板で構成するので、その優れた変形復元力を利用することができることから、押圧部材63はシュート21を一方向から押圧すればよく、さらなる構成の簡素化が図られる。
【0055】
ところで、押圧部材63をシュート21の内部つまり物品落下経路Yに備えると、物品の落下を阻害して架橋状態となるのを助長することになるが、この実施の形態では、押圧部材63はシュート21を外側側方から押圧するので、前述した問題は生じない。
【0056】
また、押圧部材63はシュート21における物品落下経路Yの下方側を押圧するので、下部で物品が架橋状態となり易い逆円錐台状のシュート21においても、架橋状態となるのを効果的に防止することができる。
【0057】
また、押圧部材63によるシュート21の押圧と押圧解除とを間欠的に繰り返すことにより物品落下経路Yの断面形状を繰り返して変更するので、架橋状態となるのを一層効果的に防止することができる。
【0058】
ところで、シュートが金属製である場合に、押圧部材がシュートに対して当接離反を繰り返すと、両者の当接時に騒音が発生して問題となることがあるが、この実施の形態では、押圧部材63は、押圧時にはもちろんのこと押圧解除時にもシュート21に当接しているので、前記騒音問題を解消することができる。
【0059】
そして、この製袋包装機1では、上方から供給された物品を、物品受入部P1に備えられた物品案内装置11を介して確実に受け入れて包装することができる。
【0060】
次に、前記第1の実施の形態に係る物品案内装置11を、組合せ計量装置における下方への物品受渡部に備えた場合について説明する。
【0061】
図6に示すように、この場合の組合せ計量装置2は、複数の計量ホッパに収容した物品の重量を計量すると共にこれらの計量値に基づいて組合せ演算を行ない、その組合せ重量が所定範囲内で目標に最も近い重量となる組合せを選択し、その選択した計量ホッパのみから物品を排出することにより、目標重量に計量された物品を得るように構成されている。そして、前記排出された物品を集合する集合シュート2a直下の下方への物品受渡部P2に、前述したと同様のシュート21と形状変更ユニット22とを有する物品案内装置11が備えられている。
【0062】
以上のように構成したことにより、計量した物品を、物品受渡部P2に備えられた物品案内装置11を介して下方の例えば製袋包装機等に確実に受け渡すことができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以降の第3及び第4の実施の形態も含め、前記第1の実施の形態における構成要素と共通あるいは類似するものについては、混乱を招かない限り同じ符号を用いることにする。
【0064】
図7に示すように、この場合の上部及び下部開口21a′,21b′を有する筒状のシュート21′は、ばね用ステンレス薄板を物品落下経路Yの断面形状が楕円形となるように成形したものである。
【0065】
また、前記物品落下経路Yの断面形状を変更する形状変更ユニット22は、前記第1の実施の形態のものと同様の構成であるので、詳細な説明は省略するが、シュート21′は、上部開口21a′近傍で、左右一対の支持部材44,44に連結された連結部材31,31に結合され、シュート21′は、前記カバー43ひいては前記プレート42に支持される。
【0066】
そして、前記レバープレート51に連結された左右一対のアーム部材62,62の前端部に、前記シュート21′の比較的下方側を外側側方から押圧する前記押圧部材63,63が備えられている。その場合、一対の押圧部材63,63は、シュート21′の平面視長軸方向の両側に配置され、前記形状変更ユニット22は、この物品落下経路Yの断面形状を長軸が短縮するように作動する。
【0067】
以上のように構成したことにより、図8(a)に示すように、物品落下経路Yの断面形状が楕円形のシュート21′において、ある断面における形状変更前の短軸が寸法D1、長軸が寸法D2であったところ、図8(b)に示すように、矢印a1で示す長軸方向から押圧することにより、形状変更後の短軸は前記寸法D1より大きい寸法D1′、長軸は前記寸法D2より小さい寸法D2′となり、このシュート21′の物品落下経路Yの断面形状は円形に近づく。その結果、物品が架橋状態となるのを確実に防止した上で、物品落下経路Yの断面積が形状変更前より大きくなるため、物品の落下が一層スムーズになる。また、説明は省略するが、このような作用効果は、物品落下経路Yの断面形状が長円形の場合にも得られる。
【0068】
そして、参考までに図9に示すように、前記シュート21′を矢印a2で示す短軸方向から押圧すると、形状変更後の短軸は前記寸法D1より小さい寸法D1″、長軸は前記寸法D2より大きい寸法D2″となり、物品落下経路Yの断面形状は円形からさらに遠ざかる方向に向かう。その結果、形状変更により物品が架橋状態となるのを防止することはできるが、物品落下経路Yの断面積が形状変更前より小さくなるため、物品のスムーズな落下を阻害する可能性がある。
【0069】
なお、前記第1及び第2の実施の形態に共通して、例えば、図10に示す物品落下経路Yの断面形状が円形の長いシュート21の場合、押圧箇所の設定が重要である。すなわち、所定量の物品がシュート21の内部で図例のように落下していると、矢印fで示す下部開口21b近傍の箇所でシュート21を押圧すると、下部開口21b近傍の物品落下経路Yの形状変更に留まり勝ちとなるので、架橋状態発生の防止に効果はあるものの、上方において物品のスムーズな落下が幾分阻害される可能性がある。
【0070】
一方、矢印gで示す上部開口21a近傍の箇所でシュート21を押圧すると、物品を下方に追いやる効果があり、物品のスムーズな落下が実現されるものの、物品落下経路Yの形状変更効果は下部開口21bに及び難くなるので、架橋状態発生の防止が幾分阻害される可能性がある。したがって、押圧箇所を図示する適正押圧領域L、つまり落下する物品の上端部近傍に設定すれば、物品落下経路Yの形状変更効果による架橋状態発生の防止と上方から下方への追いやり効果による物品のスムーズな落下とを両立させることができる。
【0071】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0072】
この場合、図11に示すように、物品落下経路Yの断面形状が円形の長いシュート21が用いられており、かつ、左右一対の押圧部材63,63を、このシュート21の上部から下部にわたって適宜の手段で同期させて図中一点鎖線及び矢印で示す経路を移動させている。
【0073】
こうすることにより、シュート21の長手方向の広い範囲にわたり、物品落下経路Yの形状変更効果による架橋状態発生の防止と上方から下方への追いやり効果による物品のスムーズな落下とを両立させることができる。また、説明は省略するが、この第3の実施の形態は、物品落下経路Yの断面形状が楕円形や長円形とされた長いシュートにも適用される。
【0074】
次に、第4の実施の形態に係る物品案内装置について説明する。
【0075】
図12に示すように、この場合のシュート121は、上下方向の面で図例上左右2つに分割され、かつ、隣接する側部同士が矢印Zで示すようにオーバーラップする分割部材121L,121Rで構成されている。そして、このシュート121は、全体として変形前にはそれぞれ平面視略円形の上下の開口121a,121bを有し、内部は物品落下経路Yとされている。その場合、シュート121における物品落下経路Yの下端部つまり下部開口121bは、図例の寸法D1である。なお、ここで用いられる形状変更ユニット22は、前述したものと同じものである。
【0076】
また、シュート121の上下方向中間部の外側面に、物品落下経路Yを挟んで対向配置された水平方向に延びる一対の連結部材131,131が固設されている。そして、各連結部材131の先端部近傍に長穴131aが設けられており、シュート121は、各連結部材131を介して前記形状変形ユニット22に連結される。すなわち、この形状変形ユニット22のアーム部材62,62の前端部と前記シュート121を構成する分割部材121L,121Rに設けられた連結部材131,131とが、これら連結部材131,131の長穴131a,131aを介してボルト165,165で連結されている。
【0077】
そして、形状変更ユニット22は、前記分割部材121L,121Rを側部同士がオーバーラップする状態を維持しながら互いに近接離反させることにより、物品落下経路Yの断面形状を変更する。すなわち、図12に示した状態から、図13に示すように、両アーム部材62,62の前端部が矢印aで示すように互いに近接すると、両分割部材121L,121Rは、側部同士が矢印Zで示すオーバーラップする状態を維持しながら近接し、例えば、シュート121における物品落下経路Yの下端部つまり下部開口121bは、前述した形状変更前の寸法D1より小さい図例の寸法D1′とされる。なお、この場合には、上部開口121aも前記下部開口121bにおけると同じ寸法だけ小さくなる。
【0078】
以上のように構成したことにより、シュート121を2つの分割部材121L,121Rで構成し、これらの分割部材121L,121Rを互いに近接離反させることで、物品落下経路Yの断面形状を変更することができる。この場合には、物品落下経路Yの断面形状を大きく変更することが可能となり、案内する物品の寸法的な多様化に好ましく対応することができる。さらに、前記断面形状の変更に際して、分割部材121L,121Rは、隣接する側部同士がオーバーラップする状態を維持しながら近接離反するので、内部の物品が不用意に外部にこぼれ出るおそれはない。
【0079】
そして、前述した構成を、短軸に沿って上下方向に分割してなる一対の分割部材で物品落下経路Yの断面形状を楕円形または長円形に形成した場合にも適用することができる。この場合には、楕円形または長円形の長軸が短縮するように、前記形状変更ユニット22を作動させればよい。
【0080】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0081】
例えば、前記第1の実施の形態では、シュート21,21′をばね用ステンレス薄板で構成したが、弾性を有する金属材料や樹脂材料等を適用してもよい。その場合にも、シュートを弾性範囲内で押圧部材により押圧して、物品落下経路の断面形状を例えば円形から楕円形に変更することができ、そして、シュートを一体的に形成することができることから、構成の簡素化が図られる。
【0082】
例えば、前記第1及び第2の実施の形態では、形状変更ユニット22において、モータ71、レバープレート51、リンク部材61,61、アーム部材62,62を介して、押圧部材63,63や分割部材121L,121Rを近接離反させたが、これら各部材63,63,121L,121Rを、ソレノイド等で個別に作動するように構成してもよい。
【0083】
また、前記第1及び第2の実施の形態では、一対の押圧部材63,63はいずれも可動であったが、一方を可動、他方を固定としてもよい。同様に、前記第4の実施の形態でも、一対の分割部材121L,121Rのうちの一方を可動、他方を固定としてもよい。
【0084】
また、物品がピーナッツのように硬いものの場合、物品落下経路Yの断面形状変更速度を速めることで、つまり押圧と押圧解除との繰り返しを高速化することで、シュート21,21′,121内部で物品が架橋状態となるのを防止するのに効果的である。おそらく、物品とシュート21,21′,121内面との接触時間が短くなることが理由と思われる。
【0085】
また、物品がシュート21,21′,121に供給される前から形状変更ユニット22を作動開始させ、通過期間中も作動させると、架橋状態発生の防止に一層寄与する。
【0086】
また、本発明を適用する上で、生産性を損なわない範囲内で、例えば上流側の組合せ計量装置2の各計量ホッパから物品を排出するタイミングを相互にずらせたり、タイミングホッパが備えられている場合にはタイミングホッパから物品を緩慢に排出したりすることにより、シュート21,21′,121へ供給される所定量の物品の落下長さを長めに設定すれば、物品が架橋状態となるのをさらに効果的に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明によれば、筒状部材内において物品が架橋状態となるのを防止することにより、上方から落下する物品を下方に確実に案内することができる物品案内装置、並びにそれを用いた計量装置及び包装装置が提供される。すなわち、本発明は、物品搬送の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る物品案内装置を備えた製袋包装機の概略側面図である。
【図2】シュートの正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】物品案内装置の一部を破断した側面図である。
【図5】同じく平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る物品案内装置を備えた組合せ計量装置の概略側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る物品案内装置の要部断面図である。
【図8】物品落下経路の断面形状が楕円形とされたシュートにおいて、押圧方向が適正である場合について説明するための断面図で、(a)は形状変更前の状態、(b)は形状変更後の状態を示す。
【図9】参考のため、押圧方向が適正でない場合について説明するための断面図で、形状変更後の状態を示す。
【図10】長いシュートにおける適正な押圧位置を説明するための正面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る物品案内装置の要部正面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る物品案内装置におけるシュートの平面図で、形状変更前の状態を示す。
【図13】同じく形状変更後の状態を示す。
【図14】従来の物品案内装置における問題を説明するための要部断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 製袋包装機(包装装置)
2 組合せ計量装置(計量装置)
11 物品案内装置
21,21′,121 シュート(筒状部材)
22 形状変更ユニット(形状変更手段)
63 押圧部材
121L,121R 分割部材
Y 物品落下経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に開口する筒状部材を有し、上方から落下する物品を下方に案内する物品案内装置であって、
前記筒状部材における物品落下経路の断面形状を変更する形状変更手段が備えられていることを特徴とする物品案内装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の物品案内装置において、
前記筒状部材は、逆円錐台状であることを特徴とする物品案内装置。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の物品案内装置において、
前記物品落下経路の断面形状は、変更前において略円形であることを特徴とする物品案内装置。
【請求項4】
前記請求項1または請求項2に記載の物品案内装置において、
前記物品落下経路の断面形状は、変更前において楕円形または長円形であって、
前記形状変更手段は、該断面形状を長軸が短縮するように変更することを特徴とする物品案内装置。
【請求項5】
前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品案内装置において、
前記筒状部材は、弾性を有する材料で構成されており、
前記形状変更手段は、前記筒状部材を側方から押圧する押圧部材を備え、該押圧部材で前記筒状部材を側方から押圧することにより前記断面形状を変更することを特徴とする物品案内装置。
【請求項6】
前記請求項5に記載の物品案内装置において、
前記弾性を有する材料は、ばね用材料であることを特徴とする物品案内装置。
【請求項7】
前記請求項5または請求項6に記載の物品案内装置において、
前記押圧部材は、前記筒状部材を外側側方から押圧することを特徴とする物品案内装置。
【請求項8】
前記請求項5から請求項7のいずれかに記載の物品案内装置において、
前記押圧部材は、前記筒状部材における物品落下経路の下方側を押圧することを特徴とする物品案内装置。
【請求項9】
前記請求項5から請求項8のいずれかに記載の物品案内装置において、
前記押圧部材は、前記筒状部材の押圧と押圧解除とを間欠的に繰り返すことを特徴とする物品案内装置。
【請求項10】
前記請求項9に記載の物品案内装置において、
前記押圧部材は、押圧解除時にも前記筒状部材に当接していることを特徴とする物品案内装置。
【請求項11】
前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品案内装置において、
前記筒状部材は、上下方向の面で分割され、かつ、隣接する側部同士がオーバーラップする複数の分割部材で構成されており、
前記形状変更手段は、これらの分割部材を側部同士がオーバーラップする状態を維持しながら互いに近接離反させることにより前記断面形状を変更することを特徴とする物品案内装置。
【請求項12】
供給された物品を計量したのち下方の装置に受け渡す計量装置であって、
下方への物品受渡部に前記請求項1から請求項11のいずれかに記載の物品案内装置が備えられていることを特徴とする計量装置。
【請求項13】
上方から供給された物品を受け入れて包装する包装装置であって、
上方からの物品受入部に前記請求項1から請求項11のいずれかに記載の物品案内装置が備えられていることを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−284145(P2007−284145A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61710(P2007−61710)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】