物品検査装置

【課題】本発明の目的は、検査対象物品を正確に検査することができる物品検査装置を提供することである。
【解決手段】物品検査装置10は、コンベア12と、吸入ヘッド13と、高圧空気供給源16と、キャリアガス管継手と、ガスセンサとを備える。コンベア12は、被検査物品Pを配置する検査領域Rを有する。吸入ヘッド13は、検査領域Rに配置された被検査物品Pの周囲の気体である検査気体を吸入する。高圧空気供給源16は、キャリアガスを供給する。キャリアガス管継手は、吸入ヘッド13に吸入された検査気体と、高圧空気供給源16によって供給されたキャリアガスと、を混合して、混合検査気体を生成する。ガスセンサは、混合検査気体を分析する。吸入ヘッド13は、検査領域Rの近傍に、高圧空気供給源16によって供給されたキャリアガスを吹き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品が発散するにおいに基づいて物品を検査する装置が用いられている。この装置は、検査対象である物品の周囲から空気を取り入れて、その空気をガスセンサによって分析する。ガスセンサは、分析対象の空気に含まれる化学物質の種類および濃度等を測定する。検査対象物品が発散するにおいの原因となる気体は、所定の種類の気体が所定の濃度で混ざり合った混合物である。そのため、ガスセンサの測定結果によって物品を検査することができる。
【0003】
このような装置の例が、特許文献1(特開平9−222405号公報)に開示されている。この装置では、検査対象物品の近傍に設置された空間を負圧の状態にすることで、その空間内に、検査対象物品の周囲の空気を導入する。導入された空気は、ガスセンサに送られて成分等が分析される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、検査対象物品の周囲から空気を取り入れるタイプの装置は、検査対象物品の周囲の空気以外の気体をも取り入れて分析してしまうことがある。そのため、このような装置を用いても、検査対象物品を正確に検査できない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、検査対象物品を正確に検査することができる物品検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物品のにおいを検知することにより被検査物品を検査する。この物品検査装置は、物品載置部と、吸入部と、キャリアガス供給部と、混合部と、分析部と、吹き付け部とを備える。物品載置部は、被検査物品を配置する検査領域を有する。吸入部は、検査領域に配置された被検査物品の周囲の気体である検査気体を吸入する。キャリアガス供給部は、キャリアガスを供給する。混合部は、吸入部に吸入された検査気体と、キャリアガス供給部によって供給されたキャリアガスと、を混合して、混合検査気体を生成する。分析部は、混合検査気体を分析する。吹き付け部は、検査領域の近傍に、キャリアガス供給部によって供給されたキャリアガスを吹き付ける。
【0007】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物品のにおい、すなわち、被検査物品から発散される揮発成分である化学物質を捕集および分析して、被検査物品を検査する。この物品検査装置では、被検査物品の周囲の空気を吸引して、吸引した空気とキャリアガスとを混合させて、分析対象である混合検査気体を生成する。そして、物品検査装置に内蔵されるガスセンサ等の分析装置を用いて、混合検査気体に含まれる化学物質の種類および濃度を測定する。そして、混合検査気体の測定結果に基づいて、被検査物品が予め定められた品質基準を満たしているか否かを検査する。
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物品の周囲の空気である検査気体を吸引すると同時に、被検査物品が配置された検査領域の近傍に、キャリアガスを吹き付ける。これにより、物品検査装置は、検査気体以外の物質、例えば、物品検査装置が設置された部屋内の空気および塵等が、被検査物品の周囲に浸入することを抑制する。すなわち、吸入部により検査領域の上方の空間から検査気体が吸入されると、吸入された検査気体と同量の気体が前記空間へ外部より流入することになるが、吹き付け部により検査領域の近傍にキャリアガスを吹き付けることで、検査領域の上方の空間にはキャリアガスのみが流入することとなる。そのため、この物品検査装置は、被検査物品から揮発した気体とキャリアガスとを効率的に分析部に導くことができる一方、それ以外の気体を捕集して分析することを抑制することができる。従って、本発明に係る物品検査装置は、検査対象物品を正確に検査することができる。
【0009】
また、本発明に係る物品検査装置では、吹き付け部は、吸入部に吸入される検査気体よりも多量のキャリアガスを吹き付けることが好ましい。この態様に係る物品検査装置では、吸入される検査気体よりも多量のキャリアガスを被検査物品の周囲に吹き付けることで、検査領域の上方の空間にキャリアガスのみを流入させると共に、検査領域の内部から外部へ向かうキャリアガスの気流を生成する。これにより、検査気体以外の物質、例えば、物品検査装置が設置された部屋内の空気および塵等が、被検査物品の周囲に浸入することをより効果的に抑制することができる。従って、この態様に係る物品検査装置は、検査対象物品を正確に検査することができる。
【0010】
また、本発明に係る物品検査装置では、物品載置部は、被検査物品を搬送し、かつ、吸入部は、物品載置部によって搬送されている被検査物品の周囲の検査気体を吸入することが好ましい。この態様に係る物品検査装置は、例えば、ベルトコンベアによって所定の方向に被検査物品を搬送しながら、被検査物品を検査することができる。
【0011】
また、本発明に係る物品検査装置では、吹き付け部は、被検査物品が搬送される方向において、検査領域の少なくとも上流側に前記キャリアガスを吹き付けることが好ましい。これにより、被検査物品の搬送に伴って、検査領域の上流側から周囲の空気や塵等が検査領域の上方の空間に侵入することを効果的に防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置では、吸入部は、複数の吸入口を有することが好ましい。この態様に係る物品検査装置は、被検査物品から検査気体を効率的に吸入することができる。
【0013】
また、本発明に係る物品検査装置では、吸入口は、被検査物品が搬送される方向に沿って配置されていることが好ましい。この態様に係る物品検査装置は、被検査物品から検査気体を効率的に吸入することができる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置では、吸入口は、略円錐形状の吸入空間を有することが好ましい。この態様に係る物品検査装置では、吸入口のノズルの内部空間の形状が略円錐形状であるので、被検査物品の周囲の検査気体は、吸入口にスムーズに吸引されて、混合部に送られる。
【0015】
また、本発明に係る物品検査装置では、キャリアガス加熱部をさらに備えることが好ましい。キャリアガス加熱部は、吹き付け部が吹き付けるキャリアガスを暖める。この態様に係る物品検査装置は、例えば、キャリアガスが流れる配管をヒータによって加熱することによって、キャリアガスに含まれる水分を気化させる。これにより、キャリアガスに含まれる水分が、被検査物品に付着することを抑制することができる。
【0016】
また、本発明に係る物品検査装置では、分析部は、混合部において検査気体が流れる方向の延長上に配置されていることが好ましい。この態様に係る物品検査装置では、被検査物品の周囲から吸引された検査気体は、その流路が曲げられることなく、キャリアガスと混合されて混合検査気体となり、分析部に供給される。従って、この態様に係る物品検査装置は、混合検査気体を分析部に安定的に供給することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る物品検査装置は、検査対象物品を正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る物品検査装置の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る物品検査装置のブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る物品検査装置の吸引ヘッドの近傍を、コンベアの搬送方向に沿って切断した断面の模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る物品検査装置の吸引ヘッドの近傍を、コンベアの搬送方向と直交する方向に沿って切断した断面の模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る物品検査装置の吸引ヘッドの上面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る物品検査装置の吸引ヘッドの下面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る物品検査装置の配管図である。
【図8】本発明の変形例Bに係る物品検査装置の吸引ヘッドの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
(1)物品検査装置の構成
本実施形態に係る物品検査装置10は、例えば、青果物等の食品に付着している農薬等の化学物質を検出する品質検査装置として用いられる。物品検査装置10は、検査対象である物品(以下、「被検査物品P」という。)のにおいを分析する。具体的には、物品検査装置10は、被検査物品Pから発散する揮発性の化学物質を捕集および分析して、被検査物品Pに付着している化学物質の種類および量を測定する。これにより、物品検査装置10は、例えば、出荷前の青果物に付着している農薬の残留量を測定して、測定値が国によって定められた基準値を下回っているか否かを検査することができる。
【0021】
物品検査装置10は、図1に示されるように、主として、ケーシング11と、コンベア12と、モニタ21とを備えている。ケーシング11の内部には、図2に示されるように、コンベア12と、吸引ヘッド13と、ピストンポンプ14と、バッファ15と、ガスセンサ17と、制御コンピュータ20と、各種のステンレス製ガス配管が格納されている。また、物品検査装置10は、外部の高圧空気供給源16と接続されている。
【0022】
物品検査装置10は、ベルトコンベア11によって被検査物品Pを搬送しながら、被検査物品Pから発散する揮発性の化学物質を捕集して、ガスセンサ17により分析することで、被検査物品Pを検査する。物品検査装置10によって検査された被検査物品Pは、下流のラインにおいて、検査結果に応じて良品と不良品とに振り分けられる。以下、物品検査装置10の各構成要素について説明する。
【0023】
(1−1)ケーシング
ケーシング11は、搬入口11aと、搬出口11bとを有している。上流のラインから物品検査装置10に搬送されてきた被検査物品Pは、搬入口11aからケーシング11の内部に搬入され、ケーシング11の内部で検査された後、搬出口11bからケーシング11の外部に搬出され、さらに下流のラインに搬送される。ケーシング11の正面上部には、タッチパネル機能付きの入力装置であるモニタ21が配置されている。ケーシング11の背面には、高圧空気供給源16から供給されるキャリアガスの取り込み口が配置されている。また、ケーシング11には、ネットワーク接続ポート、および、電源スイッチ等が配置されている。
【0024】
(1−2)コンベア
コンベア12は、ケーシング11の内部において、被検査物品Pを所定の方向に搬送するための装置である。コンベア12は、図3に示されるように、主として、搬送ベルト12aと、一対のプーリー12bと、コンベアモータ12cとを有している。コンベア12は、ケーシング11に対して取り外し可能な状態で取り付けられている。そのため、ケーシング11の内部を清潔に保つために、コンベア12を取り外して洗浄することができる。
【0025】
搬送ベルト12aは、その内側をプーリー12bによって支持されている輪状かつ幅広のベルトである。搬送ベルト12aは、コンベアモータ12cの駆動力を受けて回転することで、搬送ベルト12a上に載置された被検査物品Pを所定の方向(図3に示される矢印の方向)に搬送する。以下、被検査物品Pを載置することができる搬送ベルト12a上の領域を「検査領域R」という。搬送ベルト12aは、例えばウレタン製の平面状のベルトが用いられるが、においの吸着を防止するためにステンレス製のベルトであってもよい。
【0026】
プーリー12bは、回転軸に取り付けられる円筒状の部品である。搬送ベルト12aの両端部は、一対のプーリー12bの外周面に掛けられている。プーリー12bは、搬送ベルト12aの内側において、被検査物品Pの搬送方向に対して直交する方向に延びるように配置されている。
【0027】
コンベアモータ12cは、プーリー12bを軸回転させることで、搬送ベルト12aを駆動するモータである。なお、搬送ベルト12aの速度は、制御コンピュータ20がコンベアモータ12cをインバータ制御することによって、物品検査装置10の操作者が設定した速度になるように制御される。
【0028】
(1−3)吸引ヘッド
吸引ヘッド13は、ケーシング11の内部において、コンベア12の上方に配置されている。吸引ヘッド13は、コンベア12によって搬送されている被検査物品Pの周囲の空気を吸引し、かつ、被検査物品Pが載置されている搬送ベルト12a上の検査領域Rの周囲に、キャリアガスと呼ばれる気体を吹き付ける。キャリアガスは、高圧空気供給源16から供給される空気である。吸引ヘッド13は、その下端が、コンベア12によって搬送される被検査物品Pに接触しない高さ位置に配置される。
【0029】
図3は、コンベア12の搬送方向に切断した吸引ヘッド13の断面の模式図である。図4は、コンベア12の搬送方向に垂直な方向に切断した吸引ヘッド13の断面の模式図である。図5は、吸引ヘッド13の上面図である。図6は、吸引ヘッド13の下面図である。図5には、吸引ヘッド13を上面視した場合における、コンベア12の平面位置が示されている。吸引ヘッド13は、主として、フード13aと、案内板13bと、4つの吸引ノズル13cとを有している。
【0030】
フード13aは、正方形の第1天板13a1と、第1天板13a1の4辺から外側下方に向かって張り出している第1傾斜板13a2とを有する。図5に示されるように、第1傾斜板13a2を含めたフード13aの幅は、コンベア12の幅よりも小さい。第1天板13a1には、コンベア12の搬送方向に沿った中心線上に、4つの上部サンプルガス吸引孔13a3が形成されている。また、第1天板13a1の中央部には、キャリアガス供給孔13a4が形成されている。
【0031】
案内板13bは、正方形の第2天板13b1と、第2天板13b1の4辺から外側下方に向かって張り出している第2傾斜板13b2とを有する。図3および図4に示されるように、案内板13bは、フード13aの下方において、フード13aとの間に吹き出し空間13d1と呼ばれる隙間を形成するように配置されている。第2天板13b1には、コンベア12の搬送方向に沿った中心線上に、4つの下部サンプルガス吸引孔13b3が形成されている。フード13aの上部サンプルガス吸引孔13a3と、案内板13bの下部サンプルガス吸引孔13b3とは、吸引ヘッド13を上面視した場合において、同じ平面位置にくるように配置されている。
【0032】
吸引ノズル13cは、コンベア12の幅方向の中央部において、コンベア12の搬送方向に沿って配置されている。吸引ノズル13cは、円錐を底面に水平な面に沿って切断した形状の空間を形成する吸入空間形成部材13c1と、吸入空間形成部材13c1と連結する吸入流路形成部材13c2とを有している。吸入流路形成部材13c2の下端は、吸入空間形成部材13c1の上端と接続している。吸引ノズル13cは、吸入空間形成部材13c1の下端が、フード13aの第1傾斜板13a2の下端よりも上方に位置するように配置される。吸引ノズル13cは、吸入空間形成部材13c1の上端が案内板13bの下面と同じ高さ位置にくるように配置される。吸入流路形成部材13c2は、上部サンプルガス吸引孔13a3および下部サンプルガス吸引孔13b3を貫通した状態で、フード13aおよび案内板13bに固定して配置されている。吸入流路形成部材13c2の内部の空間は、吹き出し空間13d1と連通しない。コンベア12によって搬送されている被検査物品Pの周囲の空気は、サンプルガスとして、吸引ノズル13c内の空間に吸引される。
【0033】
図3に示されるように、吸引ヘッド13には、第1キャリアガス管19a1が、キャリアガス供給孔13a4に接続され、かつ、第1サンプルガス管19b1が、各吸引ノズル13cの吸入流路形成部材13c2に接続されている。吸引ノズル13c内に吸引されたサンプルガスは、第1サンプルガス管19b1に供給される。第1サンプルガス管19b1は、図5に示されるように、サンプルガス管継手19cを介して分岐して、各吸引ノズル13cの吸入流路形成部材13c2に接続されている。なお、図7は、物品検査装置10の内部の配管図である。物品検査装置10の内部の各配管内を流れる気体については後述する。
【0034】
(1−4)ピストンポンプ
ピストンポンプ14は、第1サンプルガス管19b1内のサンプルガスを吸入して、第2サンプルガス管19b2内に吐出する。第1サンプルガス管19b1は、吸引ヘッド13の吸引ノズル13cと、ピストンポンプ14の吸入口14aとを接続する配管である。第2サンプルガス管19b2は、ピストンポンプ14の吐出口14bと、バッファ15とを接続する配管である。本実施形態において、ピストンポンプ14の流量は、約20ml/minである。
【0035】
(1−5)バッファ
バッファ15は、第2サンプルガス管19b2内のサンプルガスを取り入れて一時的に貯留し、第3サンプルガス管19b3に送り出すための容器である。第3サンプルガス管19b3は、バッファ15と、ガスセンサ17とを接続する配管である。バッファ15は、第3サンプルガス管19b3に送り出されるサンプルガスの脈動を小さくして、第3サンプルガス管19b3へのサンプルガスの供給量を一定に保つ。本実施形態において、バッファ15の容積は、25〜120mlである。
【0036】
(1−6)高圧空気供給源
高圧空気供給源16は、例えば、工場等に配設されている、圧縮空気を供給するための配管設備である。図7に示されるように、高圧空気供給源16から吐出された空気は、フィルタ16aを通過して異物が除去された後、流量調整バルブ16bによって流量が調整される。流量調整バルブ16bを通過した空気は、キャリアガスとして、第1キャリアガス管19a1および第2キャリアガス管19a2の内部を流れる。第1キャリアガス管19a1内のキャリアガスは、吸引ヘッド13の吹き出し空間13d1に供給される。第2キャリアガス管19a2は、第3サンプルガス管19b3とキャリアガス管継手19dを介して接続されており、第2キャリアガス管19a2内のキャリアガスは、第3サンプルガス管19b3内に供給される。第3サンプルガス管19b3内を流れるサンプルガスは、第2キャリアガス管19a2内を流れるキャリアガスと混合され、混合検査気体として、ガスセンサ17に供給される。なお、図7に示されるように、第2キャリアガス管19a2は、キャリアガス管継手19dを介して、第3サンプルガス管19b3に対して直交した状態で接続されている。
【0037】
(1−7)ガスセンサ
ガスセンサ17は、第3サンプルガス管19b3から供給された混合検査気体(サンプルガスとキャリアガスとの混合ガス)を分析する装置である。ガスセンサ17は、気体状態の試料に含まれている化学物資を検出する装置であり、例えば、ガスクロマトグラフや質量分析計等である。ガスセンサ17は、混合検査気体に含まれている化学物質の種類および濃度等を検出することができる。
【0038】
(1−8)制御コンピュータ
制御コンピュータ20は、図2に示されるように、主として、制御部20aと、記憶部20bと、通信部20cとを搭載している。制御部20aと、記憶部20bと、通信部20cとは、アドレスバスやデータバス等を介して相互に接続されている。制御コンピュータ20は、コンベア12、ピストンポンプ14、高圧空気供給源16、および、ガスセンサ17等と接続されている。
【0039】
制御部20aは、CPU等の演算装置である。制御部20aは、記憶部20bに記憶されているプログラムを読み込んで実行して、コンベア12、ピストンポンプ14、高圧空気供給源16、および、ガスセンサ17等を制御する。制御部20aは、例えば、コンベア12の搬送速度、ピストンポンプ14の流量、および、高圧空気供給源16からのキャリアガスの供給量を制御する。また、制御部20aは、モニタ21のタッチパネルからの入力データを取り込み、かつ、ガスセンサ17による混合検査気体の分析結果等をモニタ21に表示する。
【0040】
記憶部20bは、RAM等の主記憶装置、および、HDDやUSBメモリ等の補助記憶装置である。記憶部20bは、制御部20aによって実行されるプログラム、および、通信部23によって送受信されるデータ等を記憶する。記憶部20bには、例えば、コンベア12上の検査領域Rの位置やサイズ、ピストンポンプ14の現在の流量、および、高圧空気供給源16からのキャリアガスの現在の供給量が記憶されている。
【0041】
通信部20cは、LANカードやモデム等の、通信回線の接続端子を有するネットワークインターフェイス機器である。通信部20cは、物品検査装置10の上流および下流のラインに配置される各設備機器、および、外部のPC等と、通信回線を介して接続される。通信回線は、LANケーブルやインターネット回線等である。通信部20cは、外部の設備機器およびPC等とデータを送受信する。
【0042】
(1−9)モニタ
モニタ21は、タッチパネルを介して物品検査装置10の管理者からの入力を受け付け、かつ、被検査物品Pの検査結果を画面上に表示する。また、モニタ21は、制御部20aによって処理されたデータ、記憶部20bに記憶されたデータ、および、通信部20cが送受信したデータ等を画面上に表示する。
【0043】
(2)物品検査装置の動作
物品検査装置10は、被検査物品Pの周囲の気体をサンプルガスとして吸引し、サンプルガスとキャリアガス(空気)とを混合して混合検査気体を生成し、混合検査気体をガスセンサで分析して、被検査物品Pを検査する。物品検査装置10が被検査物品Pを検査する工程は、主として、吹き付け工程と、吸引工程と、混合工程と、検査工程とからなる。吹き付け工程は、吸引工程と同時に行われる工程である。以下、各工程の詳細について説明する。
【0044】
(2−1)吹き付け工程
吹き付け工程は、コンベア12によって搬送されている被検査物品Pの近傍に、キャリアガスが吹き付けられる工程である。具体的には、吹き付け工程では、被検査物品Pが載置されるコンベア12上の検査領域Rの周囲に、キャリアガスを吹き付けて4つのキャリアガス流CFを生成する。キャリアガス流CFは、図3に示されるように、コンベア12の搬送方向と直交する方向に沿って生成される2つのキャリアガス流CFと、図4に示されるように、コンベア12の搬送方向に沿って生成される2つのキャリアガス流CFとからなる。
【0045】
高圧空気供給源16から吐出されたキャリアガスの一部は、第1キャリアガス管19a1を流れ、吸引ヘッド13のキャリアガス供給孔13a4を介して、吹き出し空間13d1に流入する。キャリアガスは、吹き出し空間13d1において、吸引ヘッド13を上面視した場合に、キャリアガス供給孔13a4が位置する吸引ヘッド13の中心部から、吸引ヘッド13の周縁部に向かって拡散するように流れる。そして、キャリアガスは、フード13aの各第1傾斜板13a2と案内板13bの各第2傾斜板13b2との間の空間であるキャリアガス流生成空間13d2を、鉛直方向に下向き、かつ、水平方向に吸引ヘッド13の中心部から周縁部に向かって流れる。4つのキャリアガス流生成空間13d2のそれぞれから、鉛直方向に下向き、かつ、水平方向に吸引ヘッド13の中心部から周縁部に向かって吐出されたキャリアガスは、4つのキャリアガス流CFとなって、コンベア12上の検査領域Rの周囲に向かって吹き付けられる。そして、図3および図4に示されるように、検査領域Rの近傍においてキャリアガス流CFが搬送ベルト12aに当たると、キャリアガスが跳ね返される。このとき、キャリアガスの大半は、検査領域Rの内部から外部に向かって流れ、かつ、キャリアガスの一部は、検査領域Rの外部から内部に向かって流れた後、吸引工程においてサンプルガスと共に吸引ノズル13cによって吸引される。
【0046】
(2−2)吸引工程
吸引工程は、被検査物品Pの周囲の空気であるサンプルガスを、吸引ヘッド13の吸引ノズル13cの内部に吸引する工程である。吸引ノズル13cは、第1サンプルガス管19b1を介してピストンポンプ14の吸入口14aに接続されている。そのため、ピストンポンプ14の運転動作によって、吸引ノズル13c内の空気は、ピストンポンプ14に向かって吸引される。これにより、キャリアガス流CFの内側の空間に存在する被検査物品Pの周囲の空気は、サンプルガスとして、吸引ノズル13cの内部に吸引される。同時に、吹き付け工程において検査領域Rの外側から内側に向かって流れてきたキャリアガスも、吸引ノズル13cの内部に吸引される。なお、吸引ノズル13cの下端は、フード13aの下端よりも上方に位置するので、コンベア12によって搬送される被検査物品Pが吸引ノズル13cと接触することはない。これにより、吸引ノズル13cの汚染による誤検知を防止して、確実な検査が可能となる。
【0047】
吸引ヘッド13の4つの吸引ノズル13cの内部に吸引されたサンプルガスは、第1サンプルガス管19b1を介してピストンポンプ14に吸引された後、第2サンプルガス管19b2内に吐出される。そして、第2サンプルガス管19b2内のサンプルガスは、バッファ15内に供給される。ピストンポンプ14から吐出されるサンプルガスの流量は一定ではないので、バッファ15内にサンプルガスを一時的に貯留した後に第3サンプルガス管19b3内にサンプルガスを送り出すことで、続く混合工程に供給されるサンプルガスの流量をほぼ一定にする。
【0048】
なお、制御コンピュータ20は、吹き付け工程において検査領域Rの周囲に吹き付けられるキャリアガスの流量が、吸引工程において被検査物品Pの周囲から吸引されるサンプルガスの流量よりも大きくなるように、ピストンポンプ14の流量、および、高圧空気供給源16からのキャリアガスの供給量を制御する。
【0049】
(2−3)混合工程
混合工程では、第3サンプルガス管19b3内を流れるサンプルガスと、第2キャリアガス管19a2内を流れるキャリアガスとを混合して、混合検査気体を生成する工程である。第2キャリアガス管19a2内を流れるキャリアガスは、高圧空気供給源16から吐出されたキャリアガスの一部である。本実施形態において、第3サンプルガス管19b3内のサンプルガスの流量は、約40ml/minであり、第2キャリアガス管19a2内のキャリアガスの流量は、約2000ml/minである。
【0050】
混合工程において生成された混合検査気体は、第3サンプルガス管19b3内を流れて、ガスセンサ17に送られる。
【0051】
(2−4)検査工程
検査工程は、ガスセンサ17が混合検査気体を分析する工程である。検査工程では、ガスセンサ17によって混合検査気体に含まれる化学物質の種類および濃度が測定される。制御コンピュータ20は、ガスセンサ17による測定結果をモニタ21に表示する。
【0052】
(3)物品検査装置の特徴
(3−1)
本実施形態に係る物品検査装置10は、被検査物品Pが配置されたコンベア12上の検査領域Rの周囲にキャリアガスを吹き付けてキャリアガス流CFを生成すると同時に、被検査物品Pの周囲の空気であるサンプルガスを吸引して分析する。検査領域Rの周囲に生成されたキャリアガス流CFは、検査領域Rの上方の空間に、空気や塵等が外部から流入して、サンプルガスと共に吸引ノズル13cの内部に吸引されることを抑制することができる。
【0053】
すなわち、吸引ノズル13cによって検査領域Rの上方の空間からサンプルガスが吸入されると、吸入されたサンプルガスと同量の気体が検査領域Rの外部より流入することになる。しかし、物品検査装置10では、検査領域Rの近傍にキャリアガスを吹き付けることでキャリアガス流CFが生成されるので、検査領域Rの上方の空間にはキャリアガスのみが流入する。これにより、物品検査装置10は、被検査物品Pの周囲の空気であるサンプルガスと、キャリアガスとを捕集して効率的に分析することができ、かつ、サンプルガスおよびキャリアガス以外の気体を捕集して分析することを抑制することができる。従って、物品検査装置10は、被検査物品Pを正確に検査することができる。
【0054】
(3−2)
本実施形態に係る物品検査装置10は、被検査物品Pの周囲から吸引されるサンプルガスの流量よりも多い流量のキャリアガスを、検査領域Rの周囲に吹き付ける。これにより、検査領域Rの上方の空間にはキャリアガスのみが流入すると共に、検査領域Rの内側から外側へ向かうキャリアガスの気流が生成されるので、検査領域Rの外側から内側へ向かう空気の流れが抑制される。そのため、物品検査装置10は、キャリアガス流CFの外側の空間に存在する物質が、キャリアガス流CFの内側の空間に流入して、サンプルガスと共に吸引ノズル13cの内部に吸引されることを抑制することができる。
【0055】
(3−3)
本実施形態に係る物品検査装置10は、コンベア12によって被検査物品Pを搬送すると同時に、被検査物品Pの周囲の空気を捕集して分析することができる。これにより、物品検査装置10は、被検査物品Pを効率的に検査することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る物品検査装置10では、吸引ヘッド13の4つの吸引ノズル13cが、コンベア12の搬送方向に沿って配置されている。そのため、物品検査装置10は、コンベア12によって搬送されている被検査物品Pの周囲の空気を効率的に吸引することができる。
【0057】
(3−4)
本実施形態に係る物品検査装置10では、第3サンプルガス管19b3は、曲がることなくガスセンサ17に接続されている。これにより、第3サンプルガス管19b3内を流れるサンプルガスは、その流路が曲げられることなく、第2キャリアガス管19a2内を流れるキャリアガスと混合され、混合検査気体としてガスセンサ17に供給される。そのため、物品検査装置10は、ガスセンサ17に混合検査気体を安定的に供給することができる。
【0058】
(4)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更可能である。次に、本実施形態に対する適用可能な変形例について説明する。
【0059】
(4−1)変形例A
本実施形態に係る物品検査装置10では、被検査物品Pが載置されるコンベア12上の検査領域Rの周囲に、4つのキャリアガス流生成空間13d2からキャリアガスが吹き付けられて、4つのキャリアガス流CFが生成される。しかし、コンベア12の搬送方向に対して最も上流側に位置しているキャリアガス流生成空間13d2のみからキャリアガスが吹き付けられることによって、1つのキャリアガス流CFのみが生成されてもよい。このキャリアガス流CFは、図3に示される右側のキャリアガス流CFである。この場合、吸引ヘッド13は、キャリアガスが吐出されるキャリアガス流生成空間13d2以外の3つのキャリアガス流生成空間13d2が塞がれている構造を有している。
【0060】
(4−2)変形例B
本実施形態に係る物品検査装置10では、吸引ヘッド13は、コンベア12の搬送方向に沿って配置された4つの吸引ノズル13cを有するが、吸引ノズル13cの数および配置パターンは、コンベア12の幅や被検査物品Pのサイズに応じて、適宜に変更してもよい。例えば、図8に示されるように、吸入ノズル13cは、コンベア12の搬送方向に沿って、各列3つずつ2列に配置されてもよい。
【0061】
(4−3)変形例C
本実施形態に係る物品検査装置10では、吸引ノズル13c内に吸入されたサンプルガスは、第1サンプルガス管19b1を流れて、ピストンポンプ14に吸入されるが、第1サンプルガス管19b1の途中に、サンプルガスに混入している塵等の固体状態の物質を除去するためのフィルタが取り付けられてもよい。このフィルタは、例えば、PTFE等のフッ素樹脂のエアフィルターである。これにより、物品検査装置10は、被検査物品Pのにおいに由来する気体状態の化学物質のみを捕集して分析することができるので、被検査物品Pをより正確に検査することができる。
【0062】
(4−4)変形例D
本実施形態に係る物品検査装置10では、第1キャリアガス管19a1内を流れるキャリアガスは、吸引ノズル13cの吹き出し空間13d1に送られてキャリアガス流CFを生成し、一方、第2キャリアガス管19a2内を流れるキャリアガスは、第3サンプルガス管19b3内のサンプルガスと混合されて混合検査気体を生成する。そして、第1キャリアガス管19a1および第2キャリアガス管19a2には、内部を流れるキャリアガスを加熱するためのヒータが取り付けられてもよい。これにより、第1キャリアガス管19a1および第2キャリアガス管19a2内のキャリアガスに含まれる水分が気化させるので、被検査物品Pに水が付着することを抑制することができ、また、混合検査気体に水が混入することを抑制することができる。
【0063】
(4−5)変形例E
本実施形態に係る物品検査装置10では、第1サンプルガス管19b1および第2サンプルガス管19b2には、内部を流れるサンプルガスを加熱するためのヒータが取り付けられてもよい。これにより、第1サンプルガス管19b1および第2サンプルガス管19b2の内壁面に付着している異物を除去することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 物品検査装置
12 コンベア(物品載置部)
13 吸入ヘッド(吸入部)
13 吸入ヘッド(吹き付け部)
13c 吸入口
16 高圧空気供給源(キャリアガス供給部)
17 ガスセンサ(分析部)
19d キャリアガス管継手(混合部)
P 被検査物品
R 検査領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開平9−222405号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物品のにおいを検知することにより前記被検査物品を検査する物品検査装置であって、
前記被検査物品を配置する検査領域を有する物品載置部と、
前記検査領域に配置された前記被検査物品の周囲の気体である検査気体を吸入する吸入部と、
キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、
前記吸入部に吸入された前記検査気体と、前記キャリアガス供給部によって供給された前記キャリアガスと、を混合して、混合検査気体を生成する混合部と、
前記混合検査気体を分析する分析部と、
前記検査領域の近傍に、前記キャリアガス供給部によって供給された前記キャリアガスを吹き付ける吹き付け部と、
を備える、物品検査装置。
【請求項2】
前記吹き付け部は、前記吸入部に吸入される前記検査気体よりも多量の前記キャリアガスを吹き付ける、
請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記物品載置部は、前記被検査物品を搬送し、
前記吸入部は、前記物品載置部によって搬送されている前記被検査物品の周囲の前記検査気体を吸入する、
請求項1または2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記吹き付け部は、前記被検査物品が搬送される方向において、前記検査領域の少なくとも上流側に前記キャリアガスを吹き付ける、
請求項3に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記吸入部は、複数の吸入口を有する、
請求項3または4に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記吸入口は、前記被検査物品が搬送される方向に沿って配置されている、
請求項5に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記吸入口は、略円錐形状の吸入空間を有する、
請求項5または6に記載の物品検査装置。
【請求項8】
前記吹き付け部が吹き付ける前記キャリアガスを暖めるキャリアガス加熱部をさらに備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項9】
前記分析部は、前記混合部において前記検査気体が流れる方向の延長上に配置されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−57510(P2013−57510A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194449(P2011−194449)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【出願人】(509339821)アトナープ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】