説明

物品検索装置、物品検索方法及び物品検索システム

【課題】検索対象とする物品を容易に検索できるようにする。
【解決手段】製品情報提供システム1は、保守作業者に機能が明示されたパーツTを複数組み合わせて入力機能概略図LIを入力させ、当該入力機能概略図LIを構成する各パーツTの機能及び位置等から類似度が高い機能概略図Lを検索し、その製品5の画像Pを候補画像PCとして検索結果表示画面C2に表示させる。さらに製品情報提供システム1は、保守作業者にいずれかの候補画像PCを選択させ、選択された候補画像PCが表す製品5のドキュメントを表示する。この結果製品情報提供システム1では、対象製品5Tとの類似度が高い製品5を高精度に検索することができ、そのドキュメントを保守作業者に提示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品検索装置、物品検索方法及び物品検索システムに関し、例えば製品ごとの保守作業に必要な情報を検索して提供する製品情報提供システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、WWW(World Wide Web)やインターネットの普及等に伴い、コンピュータや各種電子機器等を用いることにより、様々な情報を容易に取得できるようになりつつある。
【0003】
このような情報を提供するサーバ等のなかには、膨大な情報のなかから所望の情報を探し出すべく、検索処理を行い得るようになされたもの、すなわち検索装置として機能するようになされたものがある。またインターネットには、当該インターネット上で取得し得る情報の中から所望の情報を検索する検索処理専用のサーバ等も接続されている。
【0004】
これらの検索装置等は、検索処理を行う際、一般に検索キーとなるキーワードをユーザに指定させ、当該キーワードと一致する情報、当該キーワードや当該キーワードに類似した語が含まれる情報等を探し出すようになされている。
【0005】
また近年では、画像の類似度合いに基づいた画像検索処理等を行う検索装置も提案されている。かかる画像検索処理では、完全に一致する画像に限らず、ある程度類似した画像を検索できることが望ましいため、例えば画像から特徴点を抽出し、当該特徴点を用いて類似した画像を検索する検索処理が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−225692公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで近年では、製品を製造・販売する企業が各製品の取扱説明書や保守に関する情報等をインターネット上で公開することがある。
【0008】
この場合、製品のユーザや保守担当者は、例えば当該企業のホームページにアクセスし、製品の型番を頼りに自ら情報を探し出すか、或いは当該型番等をキーワードとして、検索装置が提供する検索処理を利用することにより、当該製品の情報を得ることができる。
【0009】
しかしながら、製品の汚損や破損等により型番を読み取れない場合、或いは言語の異なる外国等において型番を表す文字をユーザや保守担当者が認識できない場合等、ユーザや保守担当者が型番を特定できない場合には、適切なキーワードを設定することが難しく、検索装置による検索処理では所望の情報を得ることが極めて困難となる。
【0010】
また当該企業が、上述した画像検索処理を行い得る検索システムや検索装置により製品を検索した上で当該製品の情報等を提供することも考えられる。
【0011】
しかしながら、例えば製品の設置環境等の問題により、必ずしも正面から適切に撮像した画像を用意できず、斜めから撮像した画像を用いる場合等がある。このように適切な撮像条件で撮像されていない画像に基づいた検索処理が行われた場合、検索精度が低下し所望の検索結果を得ることができない可能性が高く、また撮像装置を用意できない等の理由で検索したい製品の画像を作成できない場合、検索処理そのものを行うことができない。
【0012】
このような場合、ユーザや保守担当者は、例えば製品の属する分野や有する機能、外観上の特徴等を頼りに、企業のホームページを順次閲覧して探し出すといった煩雑な手間を要する。この結果、ユーザや保守担当者は、製品の情報を容易に得ることができない、という問題があった。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、検索対象とする物品を容易に検索し得る物品検索装置、物品検索方法及び物品検索システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため本発明の物品検索装置においては、物品を識別する物品識別情報と、当該物品の外観を概略化して表すと共に当該物品の外観に現れる各部分の機能をそれぞれ特定した機能概略図とを対応付けて当該物品ごとに記憶する記憶部と、検索対象とする物品の機能概略図をユーザに入力させ入力機能概略図とする入力部と、記憶部に記憶された機能概略図と入力機能概略図との各部分の機能を比較する検索処理により、当該入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を抽出する検索部と、抽出された機能概略図と対応付けられている物品識別情報を出力する検索結果出力部とを設けるようにした。
【0015】
これにより本発明の物品検索装置は、検索対象とする物品に対するユーザの認識に応じて入力された部分ごとの機能を基に検索処理を行うことができるので、入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を適切に抽出することができる。
【0016】
また本発明の物品検索方法においては、所定の入力部により、検索対象とする物品の外観を概略化して表すと共に当該物品の外観に現れる各部分の機能をそれぞれ特定した機能概略図をユーザに入力させ入力機能概略図とする入力ステップと、複数の物品をそれぞれ識別する物品識別情報とそれぞれ対応付けて所定の記憶部に記憶された複数の機能概略図と入力機能概略図との各部分における機能を所定の検索部によって比較する検索処理により、当該入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を抽出する検索ステップと、所定の検索結果出力部により、抽出された機能概略図と対応付けられている物品識別情報を出力する検索結果出力ステップとを設けるようにした。
【0017】
これにより本発明の物品検索方法では、検索対象とする物品に対するユーザの認識に応じて入力された部分ごとの機能を基に検索処理を行うことができるので、入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を適切に抽出することができる。
【0018】
さらに本発明の物品検索システムにおいては、少なくともユーザが操作する端末装置とサーバ装置とが所定のネットワークを介して接続された物品検索システムであって、端末装置は、検索対象とする物品の外観を概略化して表すと共に部分ごとの機能を特定した機能概略図をユーザに入力させ入力機能概略図とする入力部を設け、サーバ装置は、物品を識別する物品識別情報と、当該物品の機能概略図とを対応付けて当該物品ごとに記憶する記憶部と、記憶部に記憶された機能概略図と入力機能概略図との各部分における機能を比較する検索処理により、当該入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を抽出する検索部と、抽出された機能概略図と対応付けられている物品識別情報を、端末装置を介して出力する検索結果出力部とを設けるようにした。
【0019】
これにより本発明の物品検索システムは、検索対象とする物品に対するユーザの認識に応じて入力された部分ごとの機能を基に検索処理を行うことができるので、入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を適切に抽出することができる。
できる。
【0020】
また本発明の物品検索装置においては、上記記憶部は、上記機能概略図を構成する各部分の機能に加えてその色彩を表す色彩情報を記憶し、上記入力部は、上記検索対象とする物品の上記部分ごとに上記ユーザに上記機能を特定させると共に上記色彩を付させることにより上記機能概略図を入力させ、上記検索部は、上記検索処理において上記入力機能概略図における各部分の機能及び色彩を比較するものである。
【0021】
さらに本発明の物品検索装置においては、上記検索部は、上記検索処理において、上記入力機能概略図及び上記機能概略図の間で互いに対応する部分の機能が同一である場合に当該機能概略図についての上記類似度を高め、且つ当該互いに対応する部分の色彩の近似度合いの高さに応じて上記類似度をさらに高めるものである。
【0022】
また本発明の物品検索装置においては、上記記憶部は、上記物品の外観を表す画像を上記物品識別情報と対応付けて記憶し、上記検索部は、類似度の高い上記機能概略図を抽出し、上記検索結果出力部は、上記抽出された上記機能概略図とそれぞれ対応付けられている上記画像を所定の表示部に表示し、当該表示部に表示された複数の画像のうち上記ユーザに選択された画像と対応付けられている上記物品識別情報を出力するものである。
【0023】
さらに本発明の物品検索装置においては、上記記憶部は、上記物品について提供すべき提供情報を上記物品識別情報と対応付けて記憶し、上記検索結果出力部は、上記抽出された上記機能概略図と対応付けられている上記提供情報を上記ユーザに提供するものである。
【0024】
また本発明の物品検索装置においては、上記入力部は、上記物品の上記部分を表し上記機能が特定された複数の部品図を上記ユーザに提示し、上記検索対象とする物品の各部分に対応する上記部品図を上記ユーザに選択させると共に配置させることにより上記入力機能概略図を入力させるものである。
【0025】
さらに本発明の物品検索装置においては、上記入力部は、上記物品の各記部分について、当該部分に対応する機能が特定された描画子を介して当該部分の概略図を上記ユーザに描画させることにより上記入力機能概略図を入力させるものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、検索対象とする物品に対するユーザの認識に応じて入力された部分ごとの機能を基に検索処理を行うことができるので、入力機能概略図との類似度が高い機能概略図を適切に抽出することができる。かくして本発明は、検索対象とする物品を容易に検索し得る物品検索装置、物品検索方法及び物品検索システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】製品情報提供システムの全体構成を示す略線図である。
【図2】サーバ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態による製品の画像及び機能概略図(1)を示す略線図である。
【図5】第1の実施の形態による製品の画像及び機能概略図(2)を示す略線図である。
【図6】第1の実施の形態による製品情報データベースの構成を示す略線図である。
【図7】第1の実施の形態における機能構成を示すブロック図である。
【図8】第1の実施の形態による入力画面(1)を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態による入力画面(2)を示す略線図である。
【図10】第1の実施の形態による検索結果表示画面を示す略線図である。
【図11】第1の実施の形態による製品情報提供処理シーケンスを示すシーケンスチャートである。
【図12】第2の実施の形態による検索装置の回路構成を示すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態による製品の画像及び機能概略図(1)を示す略線図である。
【図14】第2の実施の形態による製品の画像及び機能概略図(2)を示す略線図である。
【図15】第2の実施の形態による製品情報データベースの構成を示す略線図である。
【図16】第2の実施の形態における機能構成を示すブロック図である。
【図17】第2の実施の形態による入力画面(1)を示す略線図である。
【図18】第2の実施の形態による入力画面(2)を示す略線図である。
【図19】第2の実施の形態による入力画面(3)を示す略線図である。
【図20】第2の実施の形態による検索結果表示画面を示す略線図である。
【図21】第2の実施の形態による製品情報提供処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0029】
(1)第1の実施の形態
(1−1)製品情報提供システムの構成
図1に示すように、第1の実施の形態による製品情報提供システム1は、サーバ装置2と端末装置3とがインターネット4を介して互いに接続された構成となっている。
【0030】
サーバ装置2は、例えば医療機器等でなる複数の製品5に関し提供すべき情報(以下これを提供情報と呼ぶ)が格納されると共に、端末装置3等からの要求に応じて当該提供情報を提供するようになされている。
【0031】
因みにサーバ装置2は、例えば製品5の製造及び販売を行っている会社が管理しており、その運用や提供情報の整備等が行われるようになされている。
【0032】
端末装置3は、例えば保守作業者が検索対象とする製品5(以下これを対象製品5Tと呼ぶ)の保守作業を行う際に当該保守作業者により使用され、当該保守作業者の操作指示に従い、サーバ装置2から当該対象製品5Tの提供情報を取得するようになされている。
【0033】
サーバ装置2は、図2に示すように、一般的なコンピュータやサーバ装置等と同様、全体を統括制御する制御部11、各種情報を記憶する記憶部12及び外部との通信処理を行う通信部15がバス18を介して互いに接続されている。
【0034】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成され、図示しないRAM(Random Access Memory)をワークエリアとして用いながら、記憶部12や図示しないROM(Read Only Memory)等から読み出した各種プログラムを実行するようになされている。
【0035】
記憶部12は、例えばハードディスクドライブ等により構成されており、各種プログラムや後述する製品情報データベース等の情報を記憶し、制御部11からの要求に応じて当該情報を読み出し供給するようになされている。
【0036】
通信部15は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3ab等の規格に準拠したネットワークインタフェースでなり、制御部11の通信制御に従い、インターネット4(図1)を介して各種情報通信機器との間で通信処理を行うようになされている。
【0037】
端末装置3は、図3に示すように、一般的なコンピュータ装置と同様、全体を統括制御する制御部11、各種情報を記憶する記憶部12、保守作業者の操作を受け付ける操作部23、各種表示画面を表示する表示部24及び外部との通信処理を行う通信部25がバス28を介して互いに接続されている。
【0038】
制御部21は、サーバ装置2の制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成され、図示しないRAMをワークエリアとして用いながら、記憶部22や図示しないROM等から読み出した各種プログラムを実行するようになされている。また制御部21は、サーバ装置2から受信した各種プログラムについても実行するようになされている。
【0039】
記憶部22は、サーバ装置2の記憶部12と同様、例えばハードディスクドライブ等により構成されており、各種プログラムや各種データ等を記憶するようになされている。
【0040】
操作部23は、例えばキーボード、マウスやトラックパッド等でなり、保守作業者による入力指示を受け付け、これを制御部21へ供給するようになされている。
【0041】
表示部24は、例えば液晶パネル等でなり、制御部21の表示制御に従い、各種表示画面を表示することによりその内容を保守作業者に提示するようになされている。
【0042】
通信部25は、サーバ装置2の通信部15と同様のネットワークインタフェースでなり、制御部21の通信制御に従い、インターネット4(図1)を介して各種情報通信機器との間で通信処理を行うようになされている。
【0043】
(1−2)製品の機能概略図
ところでサーバ装置2の記憶部12(図2)には、例えば図4(A)に画像P1を示すような外観の製品5に対し、図4(B)に示すような機能概略図L1が対応付けて記憶されている。
【0044】
機能概略図L1は、比較的簡易な形状でなるパーツT(パーツT1〜T16)の組み合わせにより製品5の外観を表している。また各パーツT1〜T16については、それぞれの機能及び位置が特定されている。
【0045】
例えばパーツT1には「外装」が、パーツT2〜T4には「表示器」が、パーツT5〜T16には「ボタン」が、それぞれの機能として特定されている。
【0046】
またパーツT1〜T16は、機能概略図L1における基準点、例えばパーツT1における左上の頂点を基準とした相対座標により、それぞれの位置が特定されている。
【0047】
すなわち機能概略図L1は、製品5の外観上の特徴として、各パーツTの機能及び配置を表した図となっている。
【0048】
さらに、例えば図5(A)に画像P2を示すような外観の製品5に対しては、図5(B)に示すような機能概略図L2が対応付けて記憶されている。機能概略図L2は、複数のパーツT21〜T33の組み合わせにより構成されている。
【0049】
機能概略図L2の場合、パーツT21には「外装」が、パーツT22〜T23には「表示器」が、パーツT24〜T33には「ボタン」が、それぞれの機能として特定されている。
【0050】
その他にも、記憶部12には、検索処理において検索範囲に含める他の種々の製品5について、同様に画像P及び機能概略図Lがそれぞれ対応付けて記憶されている。
【0051】
このようにサーバ装置2の記憶部12には、製品5ごとに、外観を表す画像Pと、機能及び位置が特定されたパーツTの組み合わせにより表された機能概略図Lとが対応付けて記憶されるようになされている。
【0052】
(1−3)製品情報データベースの構成
サーバ装置2の記憶部12には、製品5に関する情報をデータベース化した製品情報データベースDB1が構築されている。この製品情報データベースDB1には、製品5ごとに、画像P、機能概略図L及び提供情報のような種々の情報が格納されている。
【0053】
この製品情報データベースDB1は、図6に示すように、製品情報テーブルTM、画像テーブルTP、概略図テーブルTR、パーツテーブルTT及びドキュメントテーブルTDといった複数のテーブルの組み合わせにより構成されている。
【0054】
製品情報テーブルTMは、製品5ごとに当該製品5に関する情報が格納されるようになされている。この製品情報テーブルTMには、当該製品5を識別するべく一意に割り当てられた製品ID(Identifier)を示す項目「製品ID」及び当該製品5の名称を示す項目「製品名」の項目が設けられている。
【0055】
なお製品情報テーブルTMには、その他にも、例えば製品5の分類を表す「分類」や販売された時期を表す「販売時期」、質量を表す「質量」等のように、製品5を検索する際に利用し得る種々の情報を格納するための項目を設けるようにしても良い。
【0056】
画像テーブルTPは、製品5の画像Pに関する情報が格納されるようになされており、製品情報テーブルTMと対応する項目「製品ID」及び当該製品5の画像Pを示す項目「製品画像」が設けられている。
【0057】
因みに画像Pについては、例えばJPEG形式やGIF形式等のファイル形式でなる画像データが製品情報データベースDB1と同一の記憶部12(図2)に記憶されると共に、当該画像データのファイル名が項目「製品画像」に格納されるようになされている。
【0058】
概略図テーブルTLは、製品5の機能概略図Lに関する情報が格納されるようになされており、製品情報テーブルと対応する項目「製品ID」及び項目「パーツID」が設けられている。
【0059】
パーツIDは、機能概略図Lを構成する各パーツT(図4(B)及び図5(B))にそれぞれ一意に割り当てられており、各パーツTをそれぞれ識別し得るようになされている。また概略図テーブルTRでは、1の製品IDに対し複数のパーツIDを格納することにより、各パーツIDを介して、1の機能概略図Lを構成する全てのパーツTを対応付け得るようになされている。
【0060】
パーツテーブルTTは、パーツTに関する情報が格納されるようになされており、概略図テーブルTLと対応する項目「パーツID」、パーツTの機能を表す項目「機能」、パーツTの相対位置を表す項目「位置」が設けられている。
【0061】
項目「機能」には、各パーツTの機能である「外装」、「表示部」又は「ボタン」等が格納されるようになされている。また項目「位置」には、各パーツTの相対位置を表す相対座標が格納されるようになされている。
【0062】
このように製品情報データベースDB1には、製品5の画像P並びに機能概略図L及び各パーツTに関する種々の情報が複数のテーブルに渡って格納されるようになされている。
【0063】
(1−4)製品情報提供処理
次に、製品情報提供システム1において、保守作業者の操作に基づき、端末装置3からサーバ装置2にアクセスして対象製品5Tを検索し、その提供情報を取得して提示するまでの一連の処理(以下、これを製品情報提供処理と呼ぶ)について説明する。
【0064】
サーバ装置2の制御部11は、所定の製品情報提供プログラムを記憶部12から読み出して実行することにより、図7に示すように、入力部31、検索部32、検索結果出力部33、選択部34及び情報提供部35として機能するようになされている。
【0065】
また端末装置3の制御部21は、記憶部22に記憶しているブラウザプログラム及びサーバ装置2から供給される所定のプログラムをそれぞれ実行することにより、機能概略図入力処理部41、検索結果表示処理部43、選択情報生成部44及び情報表示処理部45として機能するようになされている。
【0066】
さらに記憶部12には、製品5ごとに、機能概略図L、画像P及び提供情報Nが対応付けて記憶されている。因みに記憶部12では、機能概略図Lを概略図テーブルTL及びパーツテーブルTTにより、画像Pを画像テーブルTPにより、提供情報NをドキュメントテーブルTD及び各ドキュメントファイルにより、それぞれ記憶している。
【0067】
入力部31は、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)により記述される入力画面データを生成し、これを端末装置3へ供給する。これに応じて端末装置3の機能概略図入力処理部41は、図8に示すような入力画面C1を表示部24(図3)に表示させる。
【0068】
入力画面C1は、いわゆるウェブブラウザにより表示されており、画面右側部分でなるパーツ選択領域AP、画面中央から右側に渡る広い範囲を占める機能概略図領域AL、画面右下部分でなるボタン領域ABにより構成されている。
【0069】
パーツ選択領域APには、複数のパーツTが、「外装」、「ボタン」及び「表示部」といった機能ごとに分類され表示されている。また各パーツTは、それぞれ簡易な図形により表示されている。一方機能概略図領域ALには、初期状態では何も表示されていない。
【0070】
機能概略図入力処理部41(図7)は、保守作業者によりパーツ選択領域APの各パーツTを選択して機能概略図領域AL内へ移動させる操作(いわゆるドラッグ操作)がなされると、当該機能概略図領域AL内における移動後の箇所に、当該パーツTの複製を表示するようになされている。
【0071】
また機能概略図入力処理部41(図7)は、複製されたパーツTについてドラッグ操作がなされた場合、機能概略図領域AL内における当該パーツTの位置を移動させるようになされている。さらに機能概略図入力処理部41は、所定の操作により、機能概略図領域AL内に配置された各パーツTの大きさについても変更できるようになされている。
【0072】
このとき入力画面C1では、図9に示すように、保守作業者が対象製品5T(図1)を目視しながら各部分の機能に対応したパーツTを適宜選択して配置する、といった入力操作が行われる。これにより機能概略図領域AL内には、保守作業者の主観により対象製品5Tの外観を表すものとされる概略図が構成される。以下では、このように保守作業者の入力操作により構成された概略図を入力機能概略図LIと呼ぶ。
【0073】
ここで入力画面C1に表示された各パーツTには、予めそれぞれの機能が割り当てられている。このため入力機能概略図LIは、製品5の外観上における特徴的な形状や配置を表すのみでなく、各パーツTにより、保守作業者の認識に基いた各部分の機能をも表した概略図となる。
【0074】
ボタン領域AB(図9)には、入力中の入力機能概略図LIについてやり直しを指示するクリアボタンBC及び入力完了を指示する検索ボタンBSが設けられている。
【0075】
機能概略図入力処理部41(図7)は、保守作業者の操作によりクリアボタンBCがクリックされると、機能概略図領域AL内の全てのパーツTを消去して初期状態(図8)に戻すようになされている。
【0076】
また機能概略図入力処理部41(図7)は、保守作業者の操作により検索ボタンBSがクリックされると、入力機能概略図LIを確定すると共に、後述する検索処理を開始するべく、当該入力機能概略図LIを表す検索情報をサーバ装置2の入力部31へ送出する。入力部31は、機能概略図入力処理部41から取得した検索情報を検索部32へ供給する。
【0077】
この検索情報には、入力機能概略図LIを構成する各パーツTについて、パーツID及び各パーツTの相対的な位置を表す位置情報がそれぞれ含まれている。
【0078】
検索部32は、検索情報に含まれる各パーツTについて、パーツテーブルTT(図6)を参照してその機能を認識した上で、当該機能と位置情報とを検索キーとした検索処理を行う。すなわち検索部32は、記憶部12に記憶している複数の機能概略図Lのうち、検索情報が表す入力機能概略図LIと類似したものを抽出する。
【0079】
具体的に検索部32は、入力概略図データD1を構成する各パーツTの機能及び位置情報を用いて、製品情報データベースDB1(図6)における概略図テーブルTLに対応付けられたパーツテーブルTTの機能及び位置の情報と比較し、所定の類似判断処理により類似の度合い(以下これを類似度と呼ぶ)を算出する。
【0080】
このとき検索部32(図7)は、類似判断処理において、機能が一致すれば類似度を高め、また位置の近さに応じて類似度を高めるようになされている。さらに検索部32は、この類似判断処理において、表示部やボタン等の数が比較的近い値であれば、すなわち各パーツTの機能に着目したときの組み合わせが近ければ類似度をある程度高め、一致すれば類似度をより高めるようになされている。
【0081】
そして検索部32は、得られた類似度が所定の閾値以上となる機能概略図Lを選択し、その製品IDを介して当該機能概略図Lとそれぞれ対応付けられている製品名や画像テーブルTPの画像P等を読み出して、当該製品IDと共に検索結果出力部33へ供給する。また検索部32は、検索処理において選択した機能概略図Lの数についても検索結果出力部33へ供給するようになされている。
【0082】
検索結果出力部33は、検索部32から供給された複数の画像Pを用いてHTMLによる検索結果表示画面データを生成し、これを端末装置3へ供給する。これに応じて端末装置3の検索結果表示処理部43は、図10に示すような検索結果表示画面C2を表示部24(図3)に表示させる。
【0083】
検索結果表示画面C2は、画面左側から中央に渡る広い範囲に候補画像表示部AAが設けられると共に、画面右側に検索情報表示部ASが設けられている。
【0084】
検索情報表示部ASには、上部に入力機能概略図LIが表示されると共に、その下方に再入力ボタンBRが設けられている。また再入力ボタンBRの下方には、「検索結果情報」として、検索処理の結果選択された機能概略図Lの数が表示される。
【0085】
候補画像表示部AAは、複数の領域(例えば6個の領域)に分割されており、検索部32から供給された画像Pが各領域にそれぞれ候補画像PC(PC1〜PC4)として表示されている。また各候補画像PCの下方には、それぞれの候補画像PCが表す製品5の製品名が文字により表示されている。
【0086】
このように候補画像表示部AAに表示された各候補画像PCは、保守作業者が入力した入力機能概略図LIに対し、サーバ装置2により各パーツTの機能を踏まえて類似度が高いと判断された製品5を、その画像Pによりそれぞれ表している。
【0087】
また候補画像表示部AAでは、保守作業者が製品情報の取得を希望する製品5を最終的に選択するための選択肢として各候補画像PCを表示しており、各候補画像PCに対するクリック操作を行い得るようになされている。
【0088】
選択情報生成部44は、保守作業者によっていずれかの候補画像PCのクリック操作がなされると、当該クリック操作がなされた候補画像PCと対応付けられた製品IDを選択情報として選択部34へ送信する。
【0089】
この場合、クリック操作された候補画像PCは、保守作業者の目視判断により、対象製品5Tを表す画像Pとして選択されたことになる。
【0090】
選択部34は、選択情報生成部44から選択情報を受信すると、記憶部12から提供情報Nを読み出し、すなわち製品情報データベースDB1(図6)においてその製品IDと対応付けられているドキュメントを読み出して、これを情報提供部35へ供給する。
【0091】
情報提供部35は、選択部34から取得したドキュメントを端末装置3へ供給する。これに応じて端末装置3の情報表示処理部45は、表示部24(図3)に当該ドキュメントの内容を表示することにより保守作業者に提示する。
【0092】
一方、選択情報生成部44は、検索結果表示画面C2(図10)において検索情報表示部ASの再入力ボタンBRがクリック操作されると、保守作業者により候補画像PCの中に対象製品5Tを表した画像Pが含まれていないと判断され、入力機能概略図LIを再度入力し直す意思が表されたと認識する。
【0093】
このとき選択情報生成部44は、制御を機能概略図入力処理部41へ戻すことにより、入力画面C1(図8)を再度表示して保守作業者に入力機能概略図LIを再入力させるようになされている。
【0094】
このように製品情報提供システム1では、保守作業者が入力した入力機能概略図LIを基に、当該入力機能概略図LIに対する類似度が高い機能概略図Lが登録された製品5、すなわち当該入力機能概略図LIによりその外観及び各パーツTの機能が良く表された製品5に関するドキュメントを提供するようになされている。
【0095】
(1−5)製品情報提供処理シーケンス
次に、製品情報提供システム1による製品情報提供処理における製品情報提供処理シーケンスを、図11のシーケンスチャートを用いて説明する。
【0096】
サーバ装置2の制御部11は、起動後に製品情報提供プログラムの実行が指示されることによりルーチンRT1を開始し、ステップSP1へ移る。ステップSP1においてサーバ装置2の制御部11は、インターネット4を介した端末装置3からの接続を待ち受ける。
【0097】
一方、端末装置3の制御部21は、保守作業者の操作指示に従ってルーチンRT2を開始し、ステップSP11へ移る。ステップSP11において端末装置3の制御部21は、所定のウェブブラウザプログラムを起動してサーバ装置2へ接続する。
【0098】
これに応じてサーバ装置2の制御部11は、ステップSP2へ移って入力画面データを生成し、これを端末装置3へ送信する。
【0099】
これに応じて端末装置3の制御部21は、ステップSP12へ移り、受信した入力画面データに基づき入力画面C1(図8)を表示部24に表示し、次のステップSP13へ移る。
【0100】
ステップSP13において端末装置3の制御部21は、保守作業者に入力機能概略図LIを入力させた上で検索ボタンBSがクリック操作されると、当該入力機能概略図LIを構成するパーツTのパーツIDや位置情報等を含む検索情報をサーバ装置2へ送信する。
【0101】
これに応じてサーバ装置2の制御部11は、ステップSP3へ移り、検索情報を検索キーとした検索処理を行い、入力機能概略図LIとの類似度が高い機能概略図Lを抽出して次のステップSP4へ移る。
【0102】
ステップSP4においてサーバ装置2の制御部11は、抽出した機能概略図Lと対応付けられている画像Pを読み出し、当該画像Pを候補画像PCとして含む検索結果表示画面データを生成し、これを端末装置3へ送信する。
【0103】
これに応じて端末装置3の制御部21は、ステップSP14へ移り、受信した選択画面データに基づき検索結果表示画面C2(図10)を表示部24に表示し、次のステップSP15へ移る。
【0104】
ステップSP15において端末装置3の制御部21は、保守作業者によりいずれかの候補画像PCがクリック操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、端末装置3の制御部21は次のステップSP16へ移り、再入力ボタンBRがクリックされたか否かを判定する。
【0105】
ここで肯定結果が得られると、このことは保守作業者が検索条件としての入力機能概略図LIを再入力する意思を有していることを表している。このため端末装置3の制御部21はステップSP13へ戻り、入力機能概略図LIを再度入力させ一連の処理を繰り返す。
【0106】
またステップSP16において否定結果が得られると、このことは未だ保守作業者によってクリック操作がなされていないことを表しており、このとき端末装置3の制御部21はステップSP15へ戻り、いずれかの候補画像PC又は再入力ボタンBRのクリック操作を待ち受ける。
【0107】
一方、ステップSP15において肯定結果が得られると、このことは、保守作業者により対象製品5Tを表す画像Pとして当該候補画像PCがクリック操作されたことを表しており、このとき端末装置3の制御部21は、次のステップSP17へ移る。
【0108】
ステップSP17において端末装置3の制御部21は、選択された候補画像PCに対応付けられている製品IDを選択情報としてサーバ装置2へ送信する。
【0109】
これに応じてサーバ装置2の制御部11は、ステップSP5へ移り、端末装置3からの選択情報を受信し、次のステップSP6へ移る。
【0110】
ステップSP6においてサーバ装置2の制御部11は、製品情報データベースDB1から、選択情報に含まれる製品IDに対応づけられている提供情報(すなわちドキュメント)を読み出し、提供装置3へ送信する。その後サーバ装置2の制御部11は、再びステップSP1へ戻って端末装置3からの接続を待ち受ける。
【0111】
これに応じて端末装置3の制御部21は、ステップSP18へ移り、サーバ装置2から受信した提供情報(ドキュメント)を表示部24に表示した後、次のステップSP19へ移って一連の処理を終了する。
【0112】
(1−6)動作及び効果
以上の構成において、第1の実施の形態による製品情報提供システム1は、予め製品情報データベースDB1(図6)内に、製品5ごとに、画像P並びに機能概略図L及び各パーツTに関する機能や位置等種々の情報を複数のテーブルに渡って格納する。
【0113】
端末装置3は、保守作業者の操作指示に基づきインターネット4を介してサーバ装置2に接続し、入力画面C1(図8)を表示部24に表示する。ここで端末装置3は、保守作業者の操作により複数のパーツTが選択及び配置されて検索ボタンBSがクリック操作されると、入力機能概略図LIを確定すると共に当該入力機能概略図LIに関する情報を検索情報としてサーバ装置2へ送信する。
【0114】
サーバ装置2は、検索情報の各パーツTに関する機能及び位置等の情報を検索キーとした検索処理を行い、製品情報データベースDB1に登録された機能概略図Lのうち入力機能概略図LIと類似度が高いものを抽出する。そしてサーバ装置2は、抽出した機能概略図Lと対応する画像Pを配置した検索結果表示画面C2(図10)を生成して、これを端末装置3の表示部24に表示させる。
【0115】
端末装置3は、保守作業者によりいずれかの候補画像PCが選択されると、当該候補画像PCと対応する製品IDを選択情報としてサーバ装置2へ送信する。サーバ装置2は、選択情報の製品IDに対応する提供情報(ドキュメント)を製品情報データベースDB1から読み出して端末装置3へ送信し、表示部24に表示させる。
【0116】
従って製品情報提供システム1では、保守作業者に対し、機能が明示されたパーツTを組み合わせて入力機能概略図LIを入力させることにより、その後の検索処理において、当該入力機能概略図LIとの類似度が高い複数の製品5に絞り込むことができる。
【0117】
このときサーバ装置2は、パーツTごとの機能が特定された入力機能概略図LIを用い、同様にパーツTごとの機能が特定された機能概略図Lと比較する検索処理を行う。このためサーバ装置2は、外形や画像のみに基づく一般的な画像検索処理等を行う場合と比較して、その精度を大幅に高めることができる。
【0118】
特にサーバ装置2は、検索処理において、形状に関する詳細な構成には影響されることなく、パーツTにより表された各部分の機能及び相対的な位置に基づいて類似度を判断する。このためサーバ装置2は、保守作業者に対し、入力機能概略図LIを必ずしも厳密に作成させる必要はなく、機能を適切に選択した上で、少なくとも各部分の大まかな形状を表す程度に作成させれば良い。
【0119】
また製品情報提供システム1では、入力機能概略図LIを構成するパーツTに関する情報を基に検索処理を行い、言語を用いた一般的な検索処理を行わないため、検索キーを言語により指定する必要がない。
【0120】
特に言語(文字)を用いた一般的な検索処理では、検索キーを適切に設定するには、その言語やその製品に関する十分な知識が要求される。これに対し本願発明の検索処理では、対象製品5Tの各部分の形状や外観から判断できる程度の機能を保守作業者に認識させ、入力画面C1上でこれが再現されていれば良い。このため製品情報提供システム1では、保守作業者の使用可能な言語の種類に関わらず、検索処理を有効に行うことができる。
【0121】
また、一般に画像処理等を用いた場合、製品5の画像P(図4(A))を基に、各部分の機能を適切に判断することは必ずしも容易ではない。
【0122】
この点において製品5は、医療機器等であるため、医師や看護師等に操作され、また視認されることを想定した構成となっている。このため当該製品5を目視した保守作業者は、医療に関する専門知識を有していなかったとしても、その外観に現れる各部分について、少なくとも操作用のボタンや視認用の表示部等といった大まかな機能については容易に判断することができる。
【0123】
すなわち製品情報提供システム1では、保守作業者に入力機能概略図LIを入力させる際、製品5を目視したときに一般的な知識に基づき各部の機能について簡易な判断をさせるだけで、いずれのパーツTを選択すべきか把握させることができる。
【0124】
さらに製品情報提供システム1では、入力画面C1(図8)において、予め形状及び機能が特定されたパーツTをパーツ選択領域APに表示している。このため製品情報提供システム1では、保守作業者に対し、当該パーツTを選択し配置するといった容易な作業を行わせるだけで、検索処理において検索キーとして用い得る入力機能概略図LIを完成させることができる。
【0125】
また製品情報提供システム1では、検索結果表示画面C2において、入力機能概略図LIに対する類似度が高いと判断された機能概略図Lが登録されている製品5について、当該機能概略図Lではなく画像Pを候補画像PCとして表示する。
【0126】
このため製品情報提供システム1では、保守作業者に目前の対象製品5Tと各候補画像PCとを見比べさせた上で、当該対象製品5Tを表す候補画像PCを適切に選択させることができる。
【0127】
以上の構成によれば、製品情報提供システム1は、保守作業者に機能が明示されたパーツTを複数組み合わせて入力機能概略図LIを入力させる。そして製品情報提供システム1は、入力機能概略図LIを構成する各パーツTの機能及び位置等から類似度が高い機能概略図Lを検索し、その製品5の画像Pを候補画像PCとして検索結果表示画面C2に表示させる。さらに製品情報提供システム1は、保守作業者にいずれかの候補画像PCを選択させ、選択された候補画像PCが表す製品5のドキュメントを表示する。この結果製品情報提供システム1では、対象製品5Tとの類似度が高い製品5を高精度に検索することができ、そのドキュメントを保守作業者に提示することができる。
【0128】
(2)第2の実施の形態
(2−1)製品情報提供装置の構成
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、1台の製品情報提供装置101により製品情報提供処理を行うようになされている。この製品情報提供装置101は、第1の実施の形態による端末装置3(図1)と同様の外観構成を有している。
【0129】
製品情報提供装置101は、図3と対応する図12に示すように、端末装置3と同様の操作部23、表示部24及びバス28に加えて、制御部21及び記憶部22とそれぞれ対応する制御部111及び記憶部112を有している。
【0130】
制御部111は、第1の実施の形態におけるサーバ装置2の制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成され、図示しないRAMをワークエリアとして用いながら、記憶部112や図示しないROM等から読み出した各種プログラムを実行するようになされている。
【0131】
記憶部112は、サーバ装置2の記憶部12と同様、例えばハードディスクドライブ等により構成されており、各種プログラムや製品情報データベース等の情報を記憶し、制御部111からの要求に応じて当該情報を読み出し供給するようになされている。
【0132】
また記憶部112には、第1の実施の形態における製品情報データベースDB1(図4)と一部相違する製品情報データベースDB2が格納されている。
【0133】
(2−2)製品の機能概略図
ところで製品情報提供装置101の記憶部112(図12)には、例えば図13(A)に示すように図4(A)と同一の製品5に対し、図4(B)と対応する図13(B)に示すような機能概略図L11が画像P1と対応付けて記憶されている。
【0134】
この機能概略図L11は、機能概略図L1(図4(B))と比較して、各パーツTについて、それぞれの機能に加えて色彩も設定されている点が相違している。
【0135】
すなわち機能概略図L11は、製品5における外観上の特徴として、各パーツTの配置、機能及び色彩を表した図となっている。
【0136】
これと同様に記憶部112には、図14(A)に示すように図5(A)と同一の製品5に対し、図5(B)と対応する図14(B)に示すような機能概略図L12が画像P2と対応付けて記憶されている。
【0137】
このように製品情報提供装置101の記憶部112には、製品5ごとに、外観を表す画像Pと、機能及び色彩が対応付けられたパーツTの組み合わせにより表された機能概略図Lとが対応付けて記憶されるようになされている。
【0138】
(2−3)データベースの構成
製品情報データベースDB2には、第1の実施の形態による製品情報データベースDB1と同様に、製品5ごとに、画像P並びに機能概略図L及び各パーツTに関する種々の情報が複数のテーブルに渡って格納されている。
【0139】
製品情報データベースDB2は、図6と対応する図15に示すように、製品情報データベースDB1と同様の製品情報テーブルTM、画像テーブルTP、概略図テーブルTR及びパーツテーブルTTが設けられている。
【0140】
しかしながら製品情報テーブルTMには、製品5ごとに、製品ID及び製品名等に加えて、画像Pを識別するための画像ID、機能概略図Lを識別するための概略図ID及びドキュメントを識別するためのドキュメントIDといった複数種類のIDが格納されている。
【0141】
また画像テーブルTP、概略図テーブルTP及びドキュメントテーブルTDには、製品IDではなく、対応する製品5の製品テーブルTMに格納されているものと同一の画像ID、概略図ID及びドキュメントIDがそれぞれ格納されている。
【0142】
すなわち製品情報データベースDB2では、製品IDに代えて、画像ID、概略図ID及びドキュメントIDといった複数種類のIDを用いることにより、各製品5と各種情報とを対応付けるようになされている。
【0143】
さらに製品情報データベースDB2では、各パーツTの色彩に関する情報も格納されている。具体的にパーツテーブルTTには、各パーツTの色彩を表す項目「色彩」が設けられている。
【0144】
この項目「色彩」では、一般的な画像の各画素を表す画素値等と同様、各色彩を光の3原色である赤(R)、緑(G)及び青(B)の組み合わせにより表しており、各原色ごとの強さが0から255までの256段階の数値により表されている。
【0145】
また製品情報データベースDB2は、上述した各テーブルに加えて、ユーザテーブルTU及び検索履歴テーブルTHが設けられている。
【0146】
ユーザテーブルTUには、ユーザを識別するための項目「ユーザID」やユーザの氏名を表す項目「ユーザ名」等、ユーザがログオンする際に本人確認用に入力するパスワード(図示せず)等が設けられている。
【0147】
さらにユーザテーブルTUには、ドキュメントの閲覧の可否を数値により表した項目「閲覧レベル」が設けられている。これと対応して、ドキュメントテーブルTDにも、同様の「閲覧レベル」が設けられている。
【0148】
これらの項目「閲覧レベル」は、例えば「1」〜「5」までの5段階の数値が格納されるようになされている。この「閲覧レベル」は、ユーザに設定されている「閲覧レベル」の数値が、各ドキュメントに設定されている「閲覧レベル」の数値以上である場合に、当該ドキュメントを利用できることを表している。これを換言すれば、各ユーザは、自らに登録されている閲覧レベル以下の閲覧レベルが設定されているドキュメントのみを利用することができる。
【0149】
例えばユーザの閲覧レベルが「3」であれば、当該ユーザは、閲覧レベルが「1」〜「3」のドキュメントについては利用することができるものの、閲覧レベルが「4」又は「5」のドキュメントについては利用することができない。
【0150】
また製品情報データベースDB2には、ユーザが過去に製品の検索を行った際の履歴を格納する検索履歴テーブルTHが設けられている。
【0151】
検索履歴テーブルTHには、あるユーザが過去に検索処理を行った際に入力した入力機能概略図LIをそれぞれ格納する項目「入力機能概略図1」、「入力機能概略図2」、…が設けられ、また一連の履歴を識別するための検索履歴IDが登録されるようになされている。これと対応して、ユーザテーブルTUにも検索履歴IDが登録されるようになされている。
【0152】
このように製品情報データベースDB2には、製品5の画像P並びに機能概略図L及び各パーツTに関する機能、位置及び色彩といった種々の情報が、複数のテーブルに渡って格納されるようになされている。
【0153】
また製品情報データベースDB2には、ユーザに関する情報及び各ユーザの検索履歴に関する情報についても、それぞれ格納されるようになされている。
【0154】
(2−4)製品情報提供処理
次に、製品情報提供装置101において、保守作業者の操作に基づいて対象製品5Tを検索し、その提供情報を取得するまでの一連の製品情報提供処理について説明する。
【0155】
製品情報提供装置101の制御部111は、所定の製品情報提供プログラムを記憶部12から読み出して実行することにより、図7と対応する図16に示すように、入力処理部131、検索部132、検索結果表示処理部133、選択情報生成部134、選択部135及び情報表示処理部136として機能するようになされている。
【0156】
またに記憶部112には、記憶部12と同様、製品5ごとに、機能概略図L、画像P及び提供情報Nが対応付けて記憶されている。
【0157】
まず入力処理部131は、所定のログオン画面(図示せず)を表示して保守作業者にユーザ名及びパスワードを入力させることにより、当該保守作業者を識別した後、図8と対応する図17に示すような入力画面C11を表示部24(図12)に表示する。
【0158】
入力画面C11は、入力画面C1(図8)と同様、いわゆるウェブブラウザにより表示されており、入力画面C1と同様の、画面右側における中央寄りの部分でなるパーツ選択領域AP及び画面中央から右側に渡る広い範囲を占める機能概略図領域ALを有している。
【0159】
また入力画面C11は、入力画面C1と一部異なるボタン領域ABに加えて、パーツ選択領域APの右側部分でなる描画ペン選択領域AD及び画面下部の中央から左側に渡る部分でなる色彩選択領域ACを有している。
【0160】
パーツ選択領域AP及び機能概略図領域ALは、いずれも入力画面C1(図8)の場合と同様に表示されており、それぞれ同様の機能を有している。
【0161】
描画ペン選択領域ADには、その上側半分の領域に「外装」、「ボタン」及び「表示部」といった機能がそれぞれ特定された描画子としての描画ペンを表すアイコンIC1、IC2及びIC3がそれぞれ表示されている。
【0162】
これらの描画ペンは、選択された状態で、機能概略図領域AL内において例えばクリックしながらポインタを移動させることにより、その軌跡に沿った線が描画されるようになされている。このとき描画された線(すなわち図形)は、その描画ペンの機能が対応付けられたパーツTとして取り扱われるようになされている。
【0163】
実際上、これらの描画ペンは、保守作業者が対象製品5T(図1)を表すのに適切なパーツTをパーツ選択領域APから見つけられないときに、機能を適切に選択した上で、実際の対象製品5Tを構成する各部分の形状を模して描画することを想定している。
【0164】
また描画ペン選択領域ADには、その下側半分の領域に「その他」として複数のアイコンが表示されている。これらのアイコンは、そのとき選択されている描画ペンにより、例えば矩形や楕円等といった図形を描画してパーツTとするようになされている。
【0165】
色彩選択領域ACは、いわゆるカラーパレットと同様に構成されており、それぞれ小さな矩形状でなる複数の領域(以下これらを色彩領域ACLと呼ぶ)が設けられている。各色彩領域ACLには、それぞれ種々の色彩が付されている。
【0166】
因みにこの色彩は、製品情報提供装置101の内部処理において、パーツテーブルTT(図15)の「色彩」項目と同様、各色彩を赤(R)、緑(G)及び青(B)について0から255までの256段階の数値により表すようになされている。
【0167】
入力処理部131は、いずれかの色彩領域ACLが選択された状態で機能概略図領域AL内のパーツTが選択され、または機能概略図領域AL内のパーツTが選択された状態でいずれかの色彩領域ACLが選択されると、当該パーツTに当該色彩領域ACLの色彩を付すようになされている。
【0168】
すなわち入力画面C11では、図18に示すように、保守作業者が対象製品5T(図1)を目視しながら各部分の機能に対応したパーツTを適宜選択して配置し、さらに各パーツTの色彩を指定する、といった入力操作が行われたことになる。
【0169】
これにより機能概略図領域AL内には、保守作業者の主観により対象製品5Tの外観を表すものとされる概略図(入力機能概略図LI)が構成される。
【0170】
ここで入力画面C11に表示された各パーツTは、パーツ選択領域APから選択されたパーツTまたは描画ペン選択領域ADの描画ペンを用いて描画されたパーツTのいずれであっても、それぞれの機能が割り当てられている。
【0171】
このため第2の実施の形態における入力機能概略図LIは、各パーツTにより、保守作業者の認識に基いた対象製品5Tにおける各部分の機能を表すと共に、当該対象製品5Tの外観上における特徴的な形状、配置や色彩を表す概略図となっている。
【0172】
ところでボタン領域ABには、入力画面C1(図8)の場合と同様のクリアボタンBC及び検索ボタンBSに加えて、履歴ボタンBHが設けられている。
【0173】
入力処理部131(図16)は、保守作業者の操作により履歴ボタンBHがクリックされると、製品情報データベースDB2のユーザテーブルUT及び検索履歴テーブルTHを参照し、当該保守作業者に対応付けて格納されている入力機能概略図LIを読み出して、図19に示すような検索履歴選択画面C12を表示する。
【0174】
検索履歴選択画面C12は、機能概略図領域AL内に、当該保守作業者が過去に入力した入力機能概略図LI(以下これを履歴機能概略図LHと呼ぶ)を複数表示しており、また各履歴機能概略図LHをクリックさせ得るようになされている。
【0175】
入力処理部131(図16)は、保守作業者に操作によりいずれかの履歴機能概略図LHがクリックされると、入力画面C11に戻ると共に、クリックされた履歴機能概略図LHを機能概略図領域AL内に入力機能概略図LIとして表示するようになされている。
【0176】
すなわち入力処理部131は、保守作業者が過去に入力した入力機能概略図LI(すなわち履歴機能概略図LH)を読み出し、これを現在の入力機能概略図LIとして利用し得るようになされている。
【0177】
これにより入力処理部131は、保守作業者に対し、過去の入力機能概略図LIを基にパーツTの追加、変更または削除等を行わせることができ、当該入力機能概略図LIの入力作業を省力化させ得るようになされている。
【0178】
また入力処理部131(図16)は、保守作業者の操作によりクリアボタンBCがクリックされると、第1の実施の形態と同様、機能概略図領域AL内の全てのパーツTを消去して初期状態に戻す。
【0179】
さらに入力処理部131は、保守作業者の操作により検索ボタンBSがクリックされると、入力機能概略図LIを確定すると共に、後述する検索処理を開始するべく、当該入力機能概略図LIを表す検索情報を検索部132へ供給する。
【0180】
この検索情報には、入力機能概略図LIを構成する各パーツTについて、パーツID、各パーツTの相対的な位置を表す位置情報、及び各パーツTの色彩を表す色彩情報がそれぞれ含まれている。
【0181】
検索部132は、検索情報に含まれる各パーツTについて、パーツテーブルTT(図15)を参照してその機能を認識した上で、当該機能の種類、位置情報及び色彩情報を検索キーとした検索処理を行う。すなわち検索部132は、記憶部112に記憶している複数の機能概略図Lのうち、入力概略図データD1が表す入力機能概略図LIと類似したものを抽出する。
【0182】
具体的に検索部132は、入力概略図データD1を構成する各パーツTの機能、位置情報及び色彩情報を用いて、製品情報データベースDB1(図15)における概略図テーブルTLに対応付けられたパーツテーブルTTの機能、位置及び色彩の情報と比較し、所定の類似判断処理により類似度を算出する。
【0183】
このとき検索部132(図16)は、類似判断処理において、機能が一致すれば類似度を高め、また位置の近さに応じて類似度を高めるようになされている。さらに検索部132は、この類似判断処理において、表示部やボタン等の数が比較的近い値であれば、すなわち機能概略図Lを構成する各パーツTの組み合わせが近ければ類似度をある程度高め、一致すれば類似度をより高めるようになされている。
【0184】
また検索部132は、この類似判断処理において、色彩を表す値の近似の度合いの高さに応じて、例えば赤(R)、緑(G)及び青(B)をそれぞれ軸とした色彩空間内において各色彩を表す座標間の距離の小ささに応じて類似度をある程度高め、当該色彩が一致すれば類似度をより高めるようになされている。
【0185】
そして検索部132は、得られた類似度が所定の閾値以上となる機能概略図Lを選択し、当該機能概略図Lとそれぞれ対応付けられている製品名や画像テーブルTPの画像P等を読み出して、その製品IDと共に検索結果表示処理部133へ供給する。また検索部132は、検索処理において選択した機能概略図Lの数についても検索結果表示処理部133へ供給するようになされている。
【0186】
検索結果表示処理部133は、検索部132から供給された複数の画像Pを用いて、図10と対応する図20に示すような検索結果表示画面C13を表示部24(図3)に表示させる。
【0187】
このとき検索結果表示画面C13に表示された各候補画像PCは、保守作業者が入力した入力機能概略図LIに対し、検索部132により各パーツTの機能及び色彩を踏まえて類似度が高いと判断された製品5を、その画像Pによりそれぞれ表している。
【0188】
選択情報生成部134は、保守作業者によっていずれかの候補画像PCのクリック操作がなされると、当該クリック操作がなされた候補画像PCと対応付けられた製品IDを選択情報として選択部135へ供給する。
【0189】
この場合、クリック操作された候補画像PCは、保守作業者の目視判断により対象製品5Tを表す画像Pとして選択されたことになる。
【0190】
選択部135は、選択情報生成部134から選択情報を取得すると、記憶部112から提供情報N(すなわちドキュメント)を読み出す。
【0191】
このとき選択部135は、まず製品情報データベースDB2(図15)において保守作業者について登録されている閲覧レベルを読み出し、続いてその製品IDと対応付けられているドキュメントのうち、その閲覧レベルが保守作業者の閲覧レベル以下であるものを読み出して、これを情報表示処理部136へ供給する。
【0192】
情報表示処理部136は、選択部135から取得したドキュメントの内容を表示部24(図3)に表示することにより保守作業者に提示する。
【0193】
一方、選択情報生成部134は、検索結果表示画面C13(図20)において検索情報表示部ASの再入力ボタンBRがクリック操作されると、保守作業者により候補画像PCの中に対象製品5Tを表した画像Pが含まれていないと判断され、入力機能概略図LIを再度入力し直す意思が表されたと認識する。
【0194】
このとき選択情報生成部134は、制御を入力処理部131へ戻すことにより、入力画面C11(図17)を再度表示して保守作業者に入力機能概略図LIを再入力させるようになされている。
【0195】
このように製品情報提供装置101は、保守作業者が入力した入力機能概略図LIを基に、当該入力機能概略図LIに対する類似度が高い機能概略図Lが登録された製品5、すなわち当該入力機能概略図LIによりその外観並びに各パーツTの機能及び色彩が良く表された製品5に関するドキュメントを提供することができる。
【0196】
(2−5)製品情報提供処理シーケンス
次に、製品情報提供装置101による製品情報提供処理における製品情報提供処理手順を、図21のフローチャートを用いて説明する。
【0197】
製品情報提供装置101の制御部111は、起動後に製品情報提供プログラムの実行が指示されることによりルーチンRT3を開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31において制御部111は、所定のウェブブラウザプログラムを起動して入力画面C11(図17)を表示部24に表示し、次のステップSP32へ移る。
【0198】
ステップSP32において制御部111は、入力画面C11の履歴ボタンBHがクリックされたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは保守作業者が履歴機能概略図LHを利用して新たな入力機能概略図LIを入力する意思を有していることを表しており、このとき制御部111は次のステップSP33へ移る。
【0199】
ステップSP33において制御部111は、検索履歴選択画面C12(図19)を表示部24に表示していずれかの履歴機能概略図LHを選択させ、選択された履歴機能概略図LHを現在の入力機能概略図LIとして、次のステップSP34へ移る。
【0200】
一方、ステップSP32において否定結果が得られると、このことは保守作業者に履歴機能概略図LHを利用する意思がないことを表しており、このとき制御部111はステップSP34へ移る。
【0201】
ステップSP32において制御部111は、保守作業者に入力機能概略図LIを入力させた上で検索ボタンBSがクリック操作されると、当該入力機能概略図LIを構成するパーツTのパーツID、位置情報及び色彩情報等を含む検索情報を生成し、次のステップSP35へ移る。
【0202】
ステップSP35において制御部111は、検索情報を検索キーとした検索処理を行い、入力機能概略図LIとの類似度が高い機能概略図Lを抽出して次のステップSP36へ移る。
【0203】
ステップSP36において制御部111は、抽出した機能概略図Lと対応付けられている画像Pを読み出し、当該画像Pを候補画像PCとして含む検索結果表示画面C13(図20)を表示部24に表示し、次のステップSP37へ移る。
【0204】
ステップSP37において制御部111は、保守作業者によりいずれかの候補画像PCがクリック操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部111は次のステップSP38へ移り、再入力ボタンBRがクリックされたか否かを判定する。
【0205】
ここで肯定結果が得られると、このことは保守作業者が検索条件としての入力機能概略図LIを再入力する意思を有していることを表している。このため制御部111はステップSP32へ戻り、入力機能概略図LIを再度入力させ一連の処理を繰り返す。
【0206】
またステップSP38において否定結果が得られると、このことは未だ保守作業者によってクリック操作がなされていないことを表しており、このとき制御部111はステップSP37へ戻り、いずれかの候補画像PC又は再入力ボタンBRのクリック操作を待ち受ける。
【0207】
一方、ステップSP37において肯定結果が得られると、このことは、保守作業者により対象製品5Tを表す画像Pとして当該候補画像PCがクリック操作されたことを表しており、このとき制御部111は次のステップSP39へ移る。
【0208】
ステップSP39において制御部111は、選択された候補画像PCが表す製品5の提供情報(すなわちドキュメント)のうち、保守作業者の閲覧レベル以下のものを読み出して表示部24に表示した後、次のステップSP40へ移って一連の処理を終了する。
【0209】
(2−6)動作及び効果
以上の構成において、第2の実施の形態による製品情報提供装置101は、予め製品情報データベースDB2(図15)内に、製品5ごとに、画像P並びに概略図L及び各パーツTに関する機能や色彩等種々の情報を複数のテーブルに渡って格納する。
【0210】
製品情報提供装置101は、入力画面C11(図17)において複数のパーツTが選択・配置され又は描画され、さらに各パーツTの色彩が選択された状態で検索ボタンBSがクリック操作されると、このときの入力機能概略図LIに関する情報を検索情報とする。
【0211】
続いて製品情報提供装置101は、検索情報の各パーツTに関する機能、位置及び色彩等の情報を検索キーとした検索処理を行い、製品情報データベースDB2に登録された機能概略図Lのうち入力機能概略図LIと類似度が高いものを抽出する。そして製品情報提供装置101は、抽出した機能概略図Lと対応する画像Pを用いた検索結果表示画面C2(図10)を表示部24に表示する。
【0212】
製品情報提供装置101は、保守作業者によりいずれかの候補画像PCが選択されると、当該候補画像PCが表す製品5の提供情報(ドキュメント)を製品情報データベースDB1から読み出して表示部24に表示する。
【0213】
従って製品情報提供装置101では、保守作業者に対し、機能が明示されたパーツTを組み合わせて入力機能概略図LIを入力させることにより、当該入力機能概略図LIとの類似度が高いと判断された複数の製品5に絞り込むことができる。
【0214】
このとき製品情報提供装置101は、パーツTごとの機能が特定された入力機能概略図LIを用い、同様にパーツTごとの機能が特定された機能概略図Lと比較する検索処理を行う。このため製品情報提供装置101は、外形や画像のみに基づく一般的な画像検索処理等を行う場合と比較して、その精度を大幅に高めることができる。
【0215】
また製品情報提供装置101は、各パーツTの色彩についても類似度の判断材料とするため、第1の実施の形態と比較して、当該類似度の精度を格段に高めることができる。例えば製品情報提供装置101は、保守作業者が対象製品5Tを目視した際にボタンが存在することに気づかなかったとしても、当該ボタンに付された色彩については入力機能概略図LIに再現していたような場合に、当該色彩に基づいて類似度の高い機能概略図Lを検索することが可能となる。
【0216】
さらに製品情報提供装置101は、保守作業者に対し、パーツ選択領域AP(図17)に表示されたパーツTを選択させるのみでなく、描画ペン選択領域ADのアイコンIC1〜IC3を選択して描画ペンにより各パーツTを描画させることもできる。このため製品情報提供装置101は、保守作業者がパーツ選択領域APから適切なパーツTを発見できなかったとしても、自ら視認した内容に基づいた形状のパーツTを作成することにより、対象製品5Tをより良好に再現した入力機能概略図LIを入力させることが可能となる。
【0217】
そのうえ製品情報提供装置101は、入力画面C11(図17)の履歴ボタンBHがクリックされることにより、保守作業者が過去に入力した履歴機能概略図LHを読み出して再利用させることができるので、作業効率を格段に高めることが可能となる。
【0218】
また製品情報提供装置101は、保守作業者について登録された閲覧レベル以下の閲覧レベルが設定されているドキュメントのみを当該保守作業者に提供することができる。このため製品情報提供装置101は、例えば一般の保守作業者に対しては一般的な内容のドキュメントのみを提供し、秘密保持契約を締結した特定の保守作業者や技術力が高いと認められる保守作業者に対してのみ高度な内容のドキュメントをも提供することができる。
【0219】
さらに製品情報提供装置101は、第1の実施の形態と異なり、ネットワークを介して他のサーバ装置等に接続することなく、単体の製品情報提供装置101のみにより、提供情報を検索して保守作業者に提示することができる。
【0220】
その他の点についても、製品情報提供装置101は、第1の実施の形態による製品情報提供システム1と同様の作用効果を奏し得る。
【0221】
以上の構成によれば、製品情報提供装置101は、保守作業者に機能が明示されたパーツTを複数組み合わせて、又は当該パーツTを描画させ、さらにその色彩を指定させて入力機能概略図LIを入力させる。そして製品情報提供装置101は、入力機能概略図LIを構成する各パーツTの機能、位置及び色彩等から類似度が高い機能概略図Lを検索し、その製品5の画像Pを候補画像PCとして検索結果表示画面C2に表示させる。さらに製品情報提供装置101は、保守作業者にいずれかの候補画像PCを選択させ、選択された候補画像PCが表す製品5のドキュメントを表示する。この結果製品情報提供装置101では、対象製品5Tとの類似度が高い製品5を高精度に検索することができ、そのドキュメントを保守作業者に提示することができる。
【0222】
(3)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、入力機能概略図LIを構成する各パーツTの機能及び位置を基に、類似度が高い機能概略図Lを検索するようにした場合について述べた。
【0223】
本発明はこれに限らず、例えば各パーツTの位置については考慮せず、各パーツTの機能を基に類似度が高い機能概略図Lを検索するようにしても良い。これにより、例えば機能の種類が極めて多い場合に、当該機能の種類またはその組み合わせのみにより機能概略図Lを特定することが可能となる。
【0224】
また各パーツTの機能同士の間に類似性があると考えられる場合には、検索処理において、当該機能同士の類似性の高さに応じて類似度を高めるようにしても良い。
【0225】
また上述した第1の実施の形態においては、検索処理により入力機能概略図LIとの類似度が高い複数の機能概略図Lを選択し、その画像Pを製品名と共に検索結果表示画面C2(図10)に表示するようにした場合について述べた。
【0226】
本発明はこれに限らず、例えば検索結果表示画面C2に画像P又は製品名のいずれかのみを表示するようにしても良い。また、例えば検索処理により類似度が極めて高い機能概略図Lを抽出した場合には、検索結果表示画面C2の表示を省略して直ちに当該機能概略図Lと対応付けられた製品5の提供情報(ドキュメント)を表示部24に表示するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0227】
さらに上述した第1の実施の形態においては、検索結果表示画面C2において複数の候補画像PCを表示し、選択された候補画像PCが表す製品5の提供情報を提供するようにした場合について述べた。
【0228】
本発明はこれに限らず、例えば製品5の検索処理のみを行い、検索結果としてその製品IDや製品名、或いは型番等を出力する検索システムに適用するようにしても良い。
【0229】
或いは、選択された候補画像PCが表す製品5に関連する消耗部品や保守部品の在庫状況を提示するようにし、さらには当該製品5の追加購入や修理の申し込み等の各種手続を行い得るようにしても良い。
【0230】
要は、保守作業者や製品5の使用者等のようなユーザにより入力された入力機能概略図LIを基に対象製品5Tの検索処理を行い、少なくともその検索結果を文字や画像により提示できれば良い。また、この検索結果を基に当該対象製品5Tに関連する種々の情報やサービス等を提供するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0231】
さらに上述した第1の実施の形態においては、製品情報データベースDB1に医療機器でなる製品5に関する種々の情報を登録しておき、対象製品5Tについて検索するようにした場合について述べた。
【0232】
本発明はこれに限らず、家庭用電気製品や業務用機器といった他の種々の機器でなる製品や、各種物品等に関する種々の情報を登録しておき、検索対象とする物品について検索するようにしても良い。この場合、物品の種類に応じて、その外観に現れるパーツTの機能を適宜変更すれば良く、例えば音響機器であればつまみやスピーカ等を設け、照明機器であれば発光部を設ける等しても良い。
【0233】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ネットワーク4を介してサーバ装置2及び端末装置3を接続して製品情報提供システム1を構成し、第2の実施の形態においては、単体の製品情報提供装置101において、各パーツTについて色彩を選択し、また各パーツTを描画ペンにより描画し得るようにした場合について述べた。
【0234】
本発明はこれに限らず、例えば製品情報提供システム1において各パーツTについて色彩を選択できるようにし、或いは製品情報提供装置101において全てのパーツTを描画ペンにより描画するのみとする等、適宜組み合わせることにより種々の構成とするようにしても良い。
【0235】
さらに上述した第1の実施の形態においては、製品情報データベースDB1を製品情報テーブルTM、画像テーブルTP、概略図テーブルTR、パーツテーブルTT及びドキュメントテーブルTDといった複数のテーブルの組み合わせにより構成する場合について述べた。
【0236】
本発明はこれに限らず、例えば画像テーブルTP及び概略図テーブルTRを省略すると共に製品情報テーブルTMに機能概略図L及び画像Pを格納する等、種々のテーブル等の組み合わせにより製品情報データベースDB1を構成するようにしても良い。また各テーブルは1台のサーバ装置2に格納されていなくても良く、複数のサーバ装置に分散して格納されるようにしても良い。
【0237】
さらに上述した第1の実施の形態においては、各製品5に製品IDを割り当て、当該製品IDを用いて製品情報データベースDB1内の各テーブルを対応付けるようにした場合について述べた。
【0238】
本発明はこれに限らず、例えば各製品5に対し一意の型番や製品名が付されておりこれらにより各製品5を識別可能な場合には、製品IDに代えて当該型番や製品名をそのまま用いるようにしても良い。
【0239】
さらに上述した第2の実施の形態においては、色彩情報を赤(R)、緑(G)及び青(B)といった3原色の値を256段階の数値により表す場合について述べた。
【0240】
本発明はこれに限らず、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色をそれぞれ任意段階数の数値により表すようにしても良く、さらにはL*a*b*表色系やマンセル表色系(色相、明度及び彩度)等の種々の表色法により表すようにしても良い。
【0241】
さらに上述した第2の実施の形態においては、保守作業者にユーザ名及びパスワードを入力させるログオン操作をさせ、その検索履歴を製品情報データベースDB2の検索履歴テーブルTHに記録するようにした場合について述べた。
【0242】
本発明はこれに限らず、例えばログオン操作を省略するゲストモードを設けるようにしても良い。この場合、予め登録されていないユーザであっても検索処理を利用することが可能となる。またこの場合、例えばブラウザのクッキー機能を利用して過去の入力機能概略図LIを記憶するようにしても良い。この場合、ブラウザに過去の入力機能概略図LIが記憶されている限り、これを再利用することが可能となる。
【0243】
さらに上述した第2の実施の形態においては、ユーザごとに閲覧レベルを設定し、当該閲覧レベル以下の閲覧レベルが設定されているドキュメントのみを当該ユーザに提供するようにした場合について述べた。
【0244】
本発明はこれに限らず、例えばユーザ及びドキュメントのいずれにも閲覧レベルを特に設定せず、ログオン操作したユーザに対し各ドキュメントを無条件に提供するようにしても良い。
【0245】
さらに上述した第1の実施の形態においては、サーバ装置2及びインターネット4に加えて、一般のコンピュータ装置と同様に構成された端末装置3により製品情報提供システム検索システム1を構成するようにした場合について述べた。
【0246】
本発明はこれに限らず、例えば端末装置3に代えて、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等のネットワーク接続可能でありウェブブラウザを実行可能な種々の電子機器を用いるようにしても良い。また、インターネット4に代えて、他の種々のネットワークを用いても良い。
【0247】
さらに上述した第1の実施の形態においては、サーバ装置2が実行する製品情報提供プログラムを予め記憶部12に記憶させておく場合について述べた。
【0248】
本発明はこれに限らず、当該製品情報提供プログラムをネットワーク経由で他の機器から取得するようにし、或いはCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体を介してインストールして実行するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0249】
さらに上述した第1の実施の形態においては、端末装置3がウェブブラウザプログラムを実行し、サーバ装置2から取得したHTMLデータに従って入力画面表示処理等の種々の機能を実現するようにした場合について述べた。
【0250】
本発明はこれに限らず、他の種々の言語で記述されたプログラムをサーバ装置2から取得し、或いは記憶部22等から読み出して実行することにより、入力画面表示処理等の種々の機能を実現するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0251】
さらに上述した実施の形態においては、記憶部としての記憶部12と、入力部としての入力部31及び機能概略図入力処理部41と、検索部としての検索部32と、検索結果出力部としての検索結果出力部33及び検索結果表示処理部43とによって物品検索装置としての製品情報提供システム1を構成する場合について述べた。
【0252】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記憶部と、入力部と、検索部と、検索結果出力部とによって物品検索装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0253】
本発明は、医療機器の他、種々の電子機器や各種製品について提供される提供情報を検索して提示する種々の製品情報提供システムでも利用できる。
【符号の説明】
【0254】
1……製品情報提供システム、2……サーバ装置、3……端末装置、4……インターネット、5……製品、5T……対象製品、11、21、111……制御部、12、22、112……記憶部、15、25……通信部、23……操作部、24……表示部、31……入力部、32、132……検索部、33……検索結果出力部、34……選択部、35……情報提供部、41……機能概略図入力処理部、43……検索結果表示処理部、44……選択情報生成部、45……情報表示処理部、131……入力処理部、132……検索部、133……検索結果表示処理部、134……選択情報生成部、135……選択部、136……情報表示処理部、DB1、DB2……製品情報データベース、L……機能概略図、LI……入力機能概略図、LH……履歴機能概略図、T……パーツ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を識別する物品識別情報と、当該物品の外観を概略化して表すと共に当該物品の外観に現れる各部分の機能をそれぞれ特定した機能概略図とを対応付けて当該物品ごとに記憶する記憶部と、
検索対象とする物品の上記機能概略図をユーザに入力させ入力機能概略図とする入力部と、
上記記憶部に記憶された上記機能概略図と上記入力機能概略図との各部分の機能を比較する検索処理により、当該入力機能概略図との類似度が高い上記機能概略図を抽出する検索部と、
上記抽出された上記機能概略図と対応付けられている上記物品識別情報を出力する検索結果出力部と
を有する物品検索装置。
【請求項2】
上記検索部は、
上記検索処理において、上記入力機能概略図及び上記機能概略図の間で互いに対応する部分の機能が同一である場合に、当該機能概略図についての上記類似度を高める
請求項1に記載の物品検索装置。
【請求項3】
上記記憶部は、
上記機能概略図を構成する各部分の機能に加えて位置を記憶し、
上記検索部は、
上記検索処理において上記入力機能概略図における各部分の機能及び位置を比較する
請求項1に記載の物品検索装置。
【請求項4】
上記検索部は、
上記検索処理において、上記入力機能概略図及び上記機能概略図の間で互いに対応する部分の機能が同一である場合に当該機能概略図についての上記類似度を高め、且つ当該互いに対応する部分の位置の近さに応じて上記類似度をさらに高める
請求項3に記載の物品検索装置。
【請求項5】
所定の入力部により、検索対象とする物品の外観を概略化して表すと共に当該物品の外観に現れる各部分の機能をそれぞれ特定した機能概略図をユーザに入力させ入力機能概略図とする入力ステップと、
複数の物品をそれぞれ識別する物品識別情報とそれぞれ対応付けて所定の記憶部に記憶された複数の上記機能概略図と上記入力機能概略図との各部分における機能を所定の検索部によって比較する検索処理により、当該入力機能概略図との類似度が高い上記機能概略図を抽出する検索ステップと、
所定の検索結果出力部により、上記抽出された上記機能概略図と対応付けられている上記物品識別情報を出力する検索結果出力ステップと
を有する物品検索方法。
【請求項6】
少なくともユーザが操作する端末装置とサーバ装置とが所定のネットワークを介して接続された物品検索システムであって、
上記端末装置は、
検索対象とする物品の外観を概略化して表すと共に部分ごとの機能を特定した機能概略図をユーザに入力させ入力機能概略図とする入力部
を有し、
上記サーバ装置は、
物品を識別する物品識別情報と、当該物品の上記機能概略図とを対応付けて当該物品ごとに記憶する記憶部と、
上記記憶部に記憶された上記機能概略図と上記入力機能概略図との各部分における機能を比較する検索処理により、当該入力機能概略図との類似度が高い上記機能概略図を抽出する検索部と、
上記抽出された上記機能概略図と対応付けられている上記物品識別情報を、上記端末装置を介して出力する検索結果出力部と
を有する物品検索システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図21】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−187025(P2011−187025A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54748(P2010−54748)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】