説明

物品移送装置

【課題】物品が割れるのを抑制しつつ、シュートの内部に物品が詰まるのを防止する。
【解決手段】物品移送装置100は、上方から落下させた物品Bを下方に移送させる装置である。そして、物品移送装置100は、上下方向に延在する筒状のシュート400と、シュート400の側壁面に形成されるスリット430A〜430Dと、回転可能に支持され、当該回転に伴ってシュート400の外部からスリット430A〜430Dを通ってシュート400の内部に進入する詰まり防止部材520A〜520Dと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から落下する物品を下方に移送させる物品移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状のフィルムを下方に移送しながら筒状に形成すると共に、その筒状のフィルムの下端部をシールした後、当該筒状のフィルム内に物品を投入し、その後、筒状のフィルムの上端部をシールすることにより、包装袋を形成する包装装置が知られている。
【0003】
このような包装装置において、下端部がシールされた筒状のフィルム内にシュートを介して物品を投入する際、その物品の大きさ、形状、量、および、シュートの径によって物品がシュート内で詰まってしまう場合がある。そこで、シュート内に詰まった物品を強制的に袋内に落下させる押し込み部材を備えた包装装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示される包装装置における物品押し込み部材は、揺動することによりシュート内に突入して該シュート内で詰まった物品を包装袋に落下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−49104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、シュート内に詰まった物品を押し込み部材により強制的に押し込んでいるので、物品が割れてしまい、その割れた物品が包装袋内に収容されるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、物品が割れるのを抑制しつつ、シュートの内部に物品が詰まるのを防止することが可能な物品移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明に係る物品移送装置は、上方から落下する物品を下方に移送させる物品移送装置であって、上下方向に延在する筒状のシュートと、シュートの側壁面に形成されるスリットと、回転可能に支持され、当該回転に伴ってシュートの外部からスリットを通ってシュートの内部に進入する詰まり防止部材と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、詰まり防止部材がシュートの内部に進入して回転することによって、当該回転する詰まり防止部材によって物品が移送されるので、シュートの内部で物品が詰まるのを防止することができる。
また、詰まり防止部材がシュートの内部に進入することにより、シュートの内部の有効断面積の大きさ、断面形状、及び、断面の中心位置が変化するので、効果的に物品の詰まりを防止することができる。
また、上記構成によれば、シュートの内部における詰まり防止部材の回転方向と、物品の落下方向と、を略同方向にすることができるので、落下する物品と詰まり防止部材とが接触しても、当該物品が割れるのを抑制することができる。
また、上記構成によれば、回転する詰まり防止部材が、落下する物品に接触することにより、当該落下する物品を追加速することができる。
【0009】
(2)
上記した物品移送装置において、詰まり防止部材は、シュートの周囲に複数設けられており、複数の詰まり防止部材は、異なるタイミングでシュートの内部に進入する。
【0010】
上記構成によれば、詰まり防止部材が異なるタイミングでシュートの内部に進入するので、シュートの内部の有効断面積が極端に小さくなるのを防止することができる。その結果、シュートの内部において、物品が圧縮されて割れるのを抑制することができる。
また、詰まり防止部材が異なるタイミングでシュートの内部に進入することにより、シュートの内部の有効断面積の大きさ、断面形状、及び、断面の中心位置が多様に変化するので、効果的に物品の詰まりを防止することができる。特に、シュートの内径が小さい場合に、異なるタイミングで詰まり防止部材がシュートの内部に進入することにより、物品が通過するスペースが小さくなるのを防止することができる。
【0011】
(3)
上記した物品移送装置において、複数の詰まり防止部材は、シュートの周囲に等間隔で配置され、且つ、等間隔の位相差をもって回転する。
【0012】
上記構成によれば、複数の詰まり防止部材が互いに所定の位相差をもって回転するので、各詰まり防止部材の回転に起因する振動を相殺することができる。これにより、物品移送装置の振動の低減を図ることができる。
【0013】
(4)
上記した物品移送装置において、詰まり防止部材は、シュートの周囲に複数設けられており、複数の詰まり防止部材は、同じタイミングでシュートの内部に進入する。
【0014】
上記構成によれば、詰まり防止部材が同時にシュートの内部に進入するので、シュートの内径が間欠的に拡縮する。このシュートの内径の拡縮により、確実に物品を下方に送り出すことができる。特に、同時にシュートの内部に詰まり防止部材が進入しても、物品が通過するスペースが確保できる程度に内径が大きいシュートを有する物品移送装置において、上記のようにシュートの内径を拡縮させるのは、物品の詰まりを防止する観点で非常に有効である。
【0015】
(5)
上記した物品移送装置において、詰まり防止部材は、円板部、および、円板部の外周部から径方向外側に向かって突出する突出部を有するカム板であって、突出部は、カム板の回転に伴ってシュートの外側からスリットを通ってシュートの内部に進入する。
【0016】
上記構成によれば、特殊な輪郭形状を有するカム板を回転させることによって、シュートの内部の有効断面積、断面形状、および、断面の中心位置を任意に変化させることができる。その結果、効果的に物品の詰まりを防止することができる。
【0017】
(6)
上記した物品移送装置において、突出部は、カム板の回転方向の逆方向に向かうにつれて径方向外側への突出量が増大する。
【0018】
上記構成によれば、カム板の突出部がシュートの内部に進入するときに、当該突出部のシュートの内部への突出量がカム板の回転に伴って徐々に大きくなる。これにより、物品が突出部によって弾き飛ばされるのを抑制することができる。
【0019】
(7)
上記した物品移送装置において、円板部の周方向に沿って複数の突出部が所定間隔で形成される。
【0020】
上記構成によれば、カム板が1回転する間に複数の突出部が連続してシュートの内部に進入する。これにより、物品を連続的に落下させる高速の物品移送装置において、連続して落下される物品ごとに突出部をシュートの内部に進入させることができる。その結果、高速の物品移送装置において、物品がシュートの内部に詰まるのを防止することができる。
【0021】
(8)
上記した物品移送装置において、詰まり防止部材は、スリットの幅と略同一の厚みを有する板状部材である。
【0022】
上記構成によれば、シュートの内部に進入する詰まり防止部材によりスリットを幅方向にわたって塞ぐことができる。これにより、シュートの内部から外部に物品が漏れるのを防止することができる。
【0023】
(9)
上記した物品移送装置において、詰まり防止部材の回転速度は、シュートの内径が最小となる位置における物品の落下速度に基づいて決定される。
【0024】
上記構成によれば、詰まり防止部材の周速がシュートの内部における物品の落下速度と近似するので、物品と詰まり防止部材との接触により当該物品が割れるのを更に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物品移送装置を備えるシステムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る物品移送装置および包装装置の側面図である。
【図3】第1実施形態に係るカム板ユニットの平面図である。
【図4】第1実施形態に係るカム板の側面図である。
【図5】第1実施形態に係る4つのカム板の回転を説明するための図である。
【図6】本発明の第1変形例に係る物品移送装置の側面図である。
【図7】本発明の第2変形例に係る物品移送装置の側面図である。
【図8】本発明の第3変形例に係る物品移送装置の側面図である。
【図9】本発明の第4変形例に係る物品移送装置の集合シュートの側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る物品移送装置の側面図である。
【図11】第2実施形態に係るカム板の側面図である。
【図12】第2実施形態の変形例に係るカム板の側面図である。
【図13】第2実施形態の変形例に係るカム板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る物品移送装置について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(第1実施形態)
<物品移送装置の全体構成>
第1実施形態に係る物品移送装置100は、図1および図2に示すように、当該物品移送装置100の上方に配置される組合せ計量装置200により所定重量(例えば、55g)に計量された物品B(例えば、ポテトチップス等の菓子)を下方に移送させ、当該物品移送装置100の下方に配置される包装装置300により形成される筒状フィルムFmc内に当該物品Bを充填させる装置である。上記した組合せ計量装置200、物品移送装置100及び包装装置300により構成されるシステム1においては、1分あたり100個以上の製品が製造される。
【0028】
<組合せ計量装置>
物品移送装置100の上流側に配置される組合せ計量装置200は、図1に示すように、複数(例えば、14個)のホッパ210に収容される物品Bの重量を計量した後、これらの計量値が所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出する装置である。合計重量となった物品Bは、図2に示すように、物品移送装置100の集合シュート400に投下される。
【0029】
<包装装置>
物品移送装置100の下流側に配置される包装装置300は、図1および図2に示すように、帯状のフィルムFを袋状に成形する過程で筒状フィルムFmc内に物品Bを充填して密閉することによって、袋状の製品を連続して作成する装置である。筒状フィルムFmc内には、腐食や酸化を防止するために、窒素ガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスが封入される。包装装置300は、主として、帯状のフィルムFを供給するフィルム供給部310と、帯状で送られてくるフィルムFを筒状に成形するフォーマ320と、筒状のフィルムFmcを下方に搬送するプルダウンベルト機構330と、筒状フィルムFmcの重ね合わせ部分を縦にシールする縦シール機構340と、筒状フィルムFmcを横にシールする横シール機構350と、製品を排出するための排出シュート360と、を備えている。
【0030】
<物品移送装置>
本実施形態の物品移送装置100は、物品移送装置100の上流側に配置される組合せ計量装置200から投下される物品Bを集合させ且つ下方に移送させ、当該物品Bを物品移送装置100の下流側に配置された包装装置300に充填させる装置である。この物品移送装置100は、組合せ計量装置200から投下された物品Bを集合させる集合シュート400と、集合シュート400の内部に物品Bが詰まらないように当該集合シュート400の内部に第1カム板520A〜第4カム板520Dを進入させるカム板ユニット500と、を備えている。
【0031】
<集合シュート>
図2に示すように、集合シュート400は、円筒形状の部材であって、組合せ計量装置200の複数のホッパ210から投下された物品Bは、集合シュート400の内壁面を滑り落ちる。この集合シュート400は、上方から下方に向かって内径が小さくなる縮径部410と、当該縮径部410の下端から下方に向かって延びるストレート部420と、を有している。このストレート部420は、略同一径を有するストレート管である。そして、ストレート部420は、筒状フィルムFmcを垂直下方に搬送する役目を担うチューブ321(図5参照)に連結される。
【0032】
ここで、本実施形態では、図2および図3に示すように、集合シュート400の側壁には、平面視において90°間隔で4つのスリット430A〜430Dが設けられている。これらのスリット430A〜430Dは、後述する第1カム板520A〜第4カム板520Dを集合シュート400の内部に進入させる役目を担っている。スリット430A〜430Dは、上下方向(矢印Z方向)に沿って形成されている。そして、スリット430A〜430Dの幅W1は、3mmである。本実施形態では、スリット430A〜430Dは、縮径部410とストレート部420とが接続する位置Pに形成されている。言い換えれば、位置Pは、縮径部410の下端の位置、又は、ストレート部420の上端の位置と言える。この位置Pは、集合シュート400の内壁面の傾斜角が変化する位置であって、落下する物品が詰まり易い箇所の一つである。なお、縮径部410の上端には、物品Bが投入される投入口が設けられており、その口径は、直径が1000mm〜1500mmである。また、ストレート部420の内径R(図3参照)は、集合シュート400における最小の内径であって、その直径は、80mm〜200mmである。
【0033】
<カム板ユニット>
カム板ユニット500は、集合シュート400の内部に4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dを進退させることによって、上方から落下する物品Bが集合シュート400の内部で詰まらないようにしている。
【0034】
このカム板ユニット500は、図3に示すように、駆動源となるモータ510、4つの第1カム板520A〜第4カム板520D(以下、適宜、第1カム板520A,第2カム板520B,第3カム板520C,第4カム板520Dとする)と、第1カム板520A〜第4カム板520Dを回転させる4つの駆動部530A〜530D(以下、適宜、第1駆動部530A,第2駆動部530B,第3駆動部530C,第4駆動部530D)と、を有している。
【0035】
<カム板>
4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dは、それぞれ水平軸回りに回転可能に支持されている。図3に示すように、これら4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dは、平面的に見て集合シュート400の周囲に90°の等間隔で配置されている。そして、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dは、上記した位置Pに設けられている。また、本実施形態では、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dは、互いに90°の位相差で回転するように構成されている。4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dの動作の詳細については、後述する。なお、ここでは、第1カム板520A〜第4カム板520Dを位置Pに設けたが、この位置Pは、ストレート管420が下方において、内径が小さくなっている場合には、当該内径が小さくなっている箇所に第1カム板520A〜第4カム板520Dを設けることもできる。
【0036】
そして、図4に示すように、第1カム板520Aは、略円板形状の基礎円板部521Aと、基礎円板部521Aの外周部から径方向外側に向かって延在する突出部522Aと、を有している。また、第1カム板520Aには、貫通穴523Aが形成されている。この貫通穴523Aは、回転中心Cと突出部522Aとの間に形成されている。この領域に貫通穴523Aを形成することによって、突出部522Aを設けたことにより回転中心Cから突出部522A側にずれた重心を、回転中心Cに近づけることができる。なお、第2カム板520B〜第4カム板520Dの構成は、上記した第1カム板520Aと同様であるので、その説明を省略する。
【0037】
そして、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dの板厚W2は、図4に示すように、スリット430A〜430Dの幅W1と略同一であって、その大きさは、2mmである。また、基礎円板部521Aの半径r1は、45mmであり、回転中心Cから突出部522Aの先端までの半径r2は、60mmである。また、突出部522Aの先端から貫通穴523Aまでの長さr3は、15mmである。また、貫通穴523Aの直径r4は、30mmである。
【0038】
<モータ>
モータ510は、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dを回転させる駆動源として機能する。すなわち、本実施形態では、1つのモータ510により、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dが回転される。このモータ510は、図3に示すように、水平軸回りに回転する駆動軸511を有している。本実施形態では、モータ510の回転数nは、955rpmである。このモータ510の回転数nは、後述する第1カム板520A〜第4カム板520Dの基礎円板部521Aの半径r1(本実施形態では、45mm)により決定される。そして、基礎円板部521Aの周速V1は、次式(1)により算出される。
V1=2πnR…(1)
この基礎円板部521Aの周速V1は、集合シュート400の位置Pにおける物品Bの落下速度に近似する。
具体的には、上記式(1)のnに本実施形態における回転数n(955[rpm])を、上記式(1)のRに本実施形態における基礎円板部521の半径r1(45[mm])を代入すると、周速V1は、269883[mm/min]となる。そして、当該単位[mm/min]を[m/s]に変更すると、周速V1は、約4.5[m/s]となる。この周速V1(約4.5[m/s])は、集合シュート400の位置Pにおける物品Bの落下速度に近似する。すなわち、上記したモータ510の回転数n(955[rpm])は、基礎円板部521Aの周速V1が集合シュート400の位置Pにおける物品Bの落下速度に近似するように決定される。
【0039】
上記したように、基礎円板部521Aの周速V1を位置Pにおける物品Bの落下速度に近似させることによって、基礎円板部521Aより径方向外側に設けられる突出部522Aの周速V2は、当該落下速度(約4.5[m/s])より大きくなる。
【0040】
<駆動部>
図3に示すように、第1駆動部530Aは、モータ510の駆動軸511に取り付けられる第1シャフト531Aと、当該シャフト531Aの一方端部に取り付けられる第1かさ歯車532Aと、第1シャフト531Aの他方端部に取り付けられる第2かさ歯車533Aと、を有している。
第2駆動部530Bは、平面視において、第1シャフト531Aに直交するように配置される第2シャフト531Bと、当該第2シャフト531Bの一方端部に取り付けられる第3かさ歯車532Bと、第2シャフト531Bの他方端部に取り付けられる第4かさ歯車533Bと、を有している。
第3駆動部530Cは、平面視において、第2シャフト531Bに直交するように配置される第3シャフト531Cと、当該第3シャフト531Cの一方端部に取り付けられる第5かさ歯車532Cと、第3シャフト531Cの他方端部に取り付けられる第6かさ歯車533Cと、を有している。第1駆動部530Aの第1シャフト531Aと第3駆動部530Cの第3シャフト531Cとは、平行に配置される。
第4駆動部530Dは、平面視において、第3シャフト531Cに直交するように配置される第4シャフト531Dと、当該第4シャフト531Dの一方端部に取り付けられる第7かさ歯車532Dと、第4シャフト531Dの他方端部に取り付けられる第8かさ歯車533Dと、を有している。第4駆動部530Dの第4シャフト531Dと第2駆動部530Bの第2シャフト531Bとは、平行に配置される。
【0041】
そして、第1駆動部530Aの第2かさ歯車533Aは、第2駆動部530Bの第3かさ歯車532Bに噛み合う。また、第2駆動部530Bの第4かさ歯車533Bは、第3駆動部530Cの第5かさ歯車532Cに噛み合う。また、第3駆動部530Cの第6かさ歯車533Cは、第4駆動部530Dの第7かさ歯車532Dに噛み合う。また、第4駆動部530Dの第8かさ歯車533Dは、第1駆動部530Aの第1かさ歯車532Aに噛み合う。これにより、モータ510の駆動力が、第1シャフト531A〜第4シャフト531Dに伝達して、第1カム板520A〜第4カム板520Dが回転する。
【0042】
<4つのカム板の回転について>
図5を参照して、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dの回転について説明する。本実施形態では、4つのカム板が集合シュートの周囲に90°間隔で配置されると共に、それらの4つのカム板が互いに90°の位相差で回転する。図5では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが1回転するのに要する時間を1周期として、0/4周期、1/4周期、2/4周期、3/4周期、4/4周期(0/4周期と同様)の状態を示している。
【0043】
まず、0/4周期において、第1カム板520Aは、その突出部522Aが上方に向くように配置されている。その第1カム板520Aに隣接する第2カム板520Bは、第1カム板520Aに対して90°回転しており、その突出部522Bが集合シュート400の内部に進入している。また、第2カム板520Bに隣接し且つ第1カム板520Aに対向して配置される第3カム板520Cは、第1カム板520Aに対して180°回転しており、その突出部522Cが下方に向くように配置されている。また、第3カム板520Cに隣接し且つ第2カム板520Bに対抗して配置される第4カム板520Dは、第1カム板520Aに対して270°回転しており、その突出部522Dが集合シュート400の外側に向くように配置されている。
【0044】
そして、1/4周期において、第1カム板520Aは、90°回転して、その突出部522Aが集合シュート400の内部に進入している。また、第2カム板520Bも、90°回転して、その突出部522Bが下方に向くように配置されている。また、第3カム板520Cも、90°回転して、その突出部522Cが集合シュート400の外側に向くように配置されている。また、第4カム板520Dも、90°回転して、その突出部522Dが上方に向くように配置されている。
【0045】
そして、2/4周期において、第1カム板520Aは、さらに90°回転して、その突出部522Aが下方に向くように配置されている。また、第2カム板520Bも、さらに90°回転して、その突出部522Bが集合シュート400の外側に向くように配置されている。また、第3カム板520Cも、さらに90°回転して、その突出部522Cが上方に向くように配置されている。また、第4カム板520Dも、さらに90°回転して、その突出部522Dが集合シュート400の内部に進入している。
【0046】
そして、3/4周期において、第1カム板520Aは、さらに90°回転して、その突出部522Aが集合シュート400の外側に向くように配置されている。また、第2カム板520Bも、さらに90°回転して、その突出部522Bが上方に向くように配置されている。また、第3カム板520Cも、さらに90°回転して、その突出部522Cが集合シュート400の内部に進入している。また、第4カム板520Dも、さらに90°回転して、その突出部522Dが下方に向くように配置されている。
【0047】
そして、4/4周期において、第1カム板520A〜第4カム板520Dの各々は、さらに90°回転して、0/4周期の状態に戻る。
【0048】
上記したように、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dは、1周期の間に、順次集合シュート400の内部に進入する。0/4周期においては、第2カム板520Bが集合シュート400の内部に進入し、1/4周期においては、第1カム板520Aが集合シュート400の内部に進入し、2/4周期においては、第4カム板520Dが集合シュート400の内部に進入し、3/4周期においては、第3カム板520Cが集合シュート400の内部に進入する。
【0049】
<本実施形態における効果>
【0050】
上記第1実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の内部に進入して回転することによって、当該回転する第1カム板520A〜第4カム板520Dによって物品Bが移送されるので、集合シュート400の内部で物品Bが詰まるのを防止することができる。
【0051】
特に、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dの基礎円板部521A〜521Dの周速V1が集合シュート400の内部における物品Bの落下速度と近似するので、物品Bと第1カム板520A〜第4カム板520Dとの接触により当該物品Bが割れるのをより抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、物品Bが詰まり易い箇所の一つである位置Pにおいて、第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の内部に進入することによって、当該位置Pで物品Bが詰まるのを防止することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の内部に進入することにより、集合シュート400の内部の有効断面積の大きさが変化する。すなわち、集合シュート400の内部の有効断面積が拡大および縮小を繰り返す。これにより、効果的に物品Bの詰まりを防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の内部に進入することにより、集合シュート400の内部の断面形状が変化する。これにより、物品Bが通過する領域が経時的に変化する。これにより、効果的に物品Bの詰まりを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の内部に進入することにより、集合シュート400の内部の断面の中心位置が変化する。これにより、物品群(物品Bの集合体)の偏り中心が経時的に変化する。これにより、効果的に物品Bの詰まりを防止することができる。
【0056】
また、本実施形態では、集合シュート400の内部において、第1カム板520A〜第4カム板520Dの回転方向と、物品Bの落下方向(矢印Z方向)とが、共に上方から下方となっているので、落下する物品Bと第1カム板520A〜第4カム板520Dとが接触しても、当該物品Bが割れるのを抑制することができる。これにより、割れた物品の小片が筒状フィルムFmc内に収容されるのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の内部に異なるタイミング(90°の位相差)で進入するので、集合シュート400の内部の有効断面積が極端に小さくなるのを防止することができる。その結果、集合シュート400の内部において、物品Bが圧縮されて割れるのを抑制することができる。上記した「有効断面積」とは、物品が通過することができる空間の水平断面積である。
【0058】
また、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dが異なるタイミングで集合シュート400の内部に進入することにより、集合シュート400の内部の有効断面積の大きさ、断面形状、及び、断面の中心位置が多様に変化するので、効果的に物品Bの詰まりを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dが集合シュート400の周囲に90°間隔で配置され、且つ、互いに90°の位相差をもって回転することにより、第1カム板520A〜第4カム板520Dの回転に起因する振動を相殺することができる。これにより、物品移送装置100の振動の低減を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態では、図4に示すような特殊な輪郭形状を有する第1カム板520A〜第4カム板520Dを回転させることによって、集合シュート400の内部の有効断面積、断面形状、および、断面の中心位置を任意に変化させることができる。その結果、効果的に物品Bの詰まりを防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、4つの第1カム板520A〜第4カム板520Dが順次集合シュート400の内部に進入する。ここで、カム板が5枚以上になると、カム板が集合シュート400に進入する間隔を当配分したときに、集合シュートの内部に複数のカム板が進入することになり、集合シュートの内部の有効断面積が減少する時間が多くなる。その結果、集合シュートの内部に物品が詰まってしまうという逆効果を奏するおそれがある。
また、カム板が3枚や5枚の場合よりも、本実施形態のように4枚の方が、機械的構成が簡単になり、コストを抑えることが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、第1カム板520A〜第4カム板520Dの板厚と、スリット430A〜430Dの幅とが略同一なので、集合シュート400の内部に進入する第1カム板520A〜第4カム板520Dによりスリット430A〜430Dを幅方向(スリット430A〜430Dが形成される位置における集合シュート400の接線方向)にわたって塞ぐことができる。これにより、集合シュート400の内部から外部に物品Bが漏れるのを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、回転する第1カム板520A〜第4カム板520Dが、落下する物品Bに接触することにより、当該落下する物品Bを追加速することができる。特に、本実施形態では、基礎円板部521A〜521Dの周速V1を集合シュート400の内部における物品Bの落下速度と近似させることによって、第1カム板520A〜第4カム板520Dの突出部522A〜522Dの周速V2が物品Bの落下速度より大きくなる。これにより、上方から下方に移動する第1カム板520A〜第4カム板520Dにより落下する物品Bを追加速することができる。
【実施例】
【0064】
<詰まり率検証実験>
以下、上記した実施形態に係る物品移送装置100の技術的効果(物品の詰まり防止)を確認するために行った実験について説明する。本実験では、実施例1,2として、上記した物品移送装置(カム板ユニット500を備えた装置)100により移送された物品の詰まり率を調査した。これに対して、比較例1として、カム板ユニットを備えていない物品移送装置により移送された物品の詰まり率を調査した。なお、比較例に係る物品移送装置は、カム板ユニット以外は、実施例に係る物品移送装置と同様である。
【0065】
実施例1,2および比較例1では、56.6gを目標重量として、組合せ計量装置から物品移送装置100に物品を投下した。物品は、一辺が約70mmの略正三角形状であって厚みが約1.5mmのチップスを用いた。また、実施例1,2および比較例1における集合シュート400の内径の最小は、約140mmとした。
【0066】
(評価方法)
以下の実施例1、実施例2および比較例1では、物品が正常に包材内に充填された回数が20回になるまで、物品の詰まり回数をカウントした。そして、下記の式(2)により物品の詰まり率を算出することにより、実施例1、実施例2および比較例1に係る物品移送装置における物品の詰まり易さを評価した。
詰まり率[%]=(詰まり回数/試行回数)×100…(2)
【0067】
(実施例1)
実施例1に係る物品移送装置100では、4つのカム板520A〜520Dが90°の位相差をもって回転する。それらのカム板520A〜520Dの回転速度は、それぞれ1000rpmである。カム板の寸法は、図4に示す通りであり、r1(基礎円板部521Aの半径)=45mm、r2(回転中心Cから突出部522Aの先端までの半径)=60mm、r3(突出部522Aの先端から貫通穴523Aまでの長さ)=15mm、r4(貫通穴523Aの直径)=30mmである。
実施例1では、20回連続で物品が詰まることなく、正常に物品が包材内に充填された。すなわち、実施例1における物品の詰まり率は、上記式(2)により、0%((0/20)×100)であった。
【0068】
(実施例2)
実施例2に係る物品移送装置100では、4つのカム板520A〜520Dが90°の位相差をもって回転する。それらのカム板520A〜520Dの回転速度は、それぞれ1700rpmである。カム板の寸法は、図4に示す通りであり、r1(基礎円板部521Aの半径)=45mm、r2(回転中心Cから突出部522Aの先端までの半径)=60mm、r3(突出部522Aの先端から貫通穴523Aまでの長さ)=15mm、r4(貫通穴523Aの直径)=30mmである。
実施例2でも、20回連続で物品が詰まることなく、正常に物品が包材内に充填された。すなわち、実施例2における物品の詰まり率は、上記式(2)により、0%((0/20)×100)であった。
【0069】
(比較例1)
比較例1に係る物品移送装置では、上記した実施例1,2で用いたカム板ユニットを備えていない。
比較例1では、物品が正常に包材内に充填された回数が20回になるまで、25回物品を投入した。すなわち、合計25回物品を投入し、そのうちの5回に物品詰まりが発生した。従って、比較例1における物品の詰まり率は、上記式(1)により、20%((5/25)×100)であった。
【0070】
(まとめ)
集合シュート400の内部にカム板520A〜520Dが進入する実施例1及び実施例2では、いずれも物品の詰まりが発生することが無かった。これに対して、比較例1では、20%の確率で物品の詰まりが発生した。この結果から、カム板520A〜520Dを集合シュート400内に進入させることによって、集合シュート400の内径が最小となる位置Pにおける物品の詰まりを解消できることが確認できた。
これは、集合シュート400の内径が最小となる位置Pにおいて物品が架橋状態になったときに、当該位置にカム板520A〜520Dが進入することによって、当該物品の架橋状態が崩れるからだと考えられる。
【0071】
<物品割れ検証実験>
以下、上記した実施形態に係る物品移送装置100の技術的効果(物品の割れ防止)を確認するために行った実験について説明する。本実験では、実施例3として、上記した物品移送装置(カム板ユニットを備えた装置)100により移送された物品の割れ率を調査した。これに対して、比較例2として、カム板ユニットを備えていない物品移送装置により移送された物品の割れ率を調査した。なお、比較例2に係る物品移送装置は、カム板ユニット以外は、実施例3に係る物品移送装置と同様である。
【0072】
実施例3および比較例2では、63.3gを目標重量として、組合せ計量装置から物品移送装置に物品を投下した。物品は、一辺が約70mmの略正三角形状であって厚みが約1.5mmのチップスとした。また、実施例3および比較例2における集合シュートの最小径は、約140mmであった。
【0073】
(評価方法)
物品の割れの程度を目視により、(1)割れ無し、(2)先端欠け、(3)半分以上欠け、(4)先端部、の4つで評価した。「(1)割れ無し」は、略矩形状の物品が略そのままの形状を保っている物であり、「(2)先端欠け」は、元の形状の先端が欠けている物であって、物品の半分以上の部分が元の形状をとどめている物であり、「(3)半分以上欠け」は、元の形状の半分以上が欠けている物であり、物品の半分以上の部分が元の形状をとどめていない物であり、「(4)先端部」は、元の形状の先端部分のみが存在している物である。
【0074】
(実施例3)
実施例3に係る物品移送装置100では、4つのカム板520A〜520Dが互いに90°の位相差をもって回転する。それらのカム板520A〜520Dの回転速度は、それぞれ1000rpmである。カム板の寸法は、図4に示す通りであり、r1(基礎円板部521Aの半径)=45mm、r2(回転中心Cから突出部522Aの先端までの半径)=60mm、r3(突出部522Aの先端から貫通穴523Aまでの長さ)=15mm、r4(貫通穴523Aの直径)=30mmである。実施例3では、物品の投入を5回行い、各回について、物品の割れを評価した。結果は、以下の表1に示す通りである。
【0075】
【表1】

【0076】
(比較例2)
比較例2に係る物品移送装置では、上記した実施例3で用いたカム板ユニットを備えていない。比較例2では、物品の投入を5回行い、各回について、物品の割れを評価した。結果は、以下の表2に示す通りである。
【0077】
【表2】

【0078】
(実施例3についての割れ評価結果)
表1に示すように、実施例3に係る実験では、「(1)割れ無し」と評価された物品は、14枚〜20枚存在し、5回の平均が18枚であった。また、「(2)先端欠け」と評価された物品は、4枚〜10枚存在し、5回の平均が7枚であった。また、「(3)半分以上欠け」と評価された物品は、0枚〜3枚存在し、5回の平均が2枚であった。また、「(4)先端部」と評価された物品は、10枚〜22枚存在し、5回の平均が16枚であった。
【0079】
(比較例2についての割れ評価結果)
表2に示すように、比較例2に係る実験では、「(1)割れ無し」と評価された物品は、12枚〜17枚存在し、5回の平均が15枚であった。また、「(2)先端欠け」と評価された物品は、6枚〜9枚存在し、5回の平均が7枚であった。また、「(3)半分以上欠け」と評価された物品は、4枚〜10枚存在し、5回の平均が7枚であった。また、「(4)先端部」と評価された物品は、12枚〜27枚存在し、5回の平均が19枚であった。
【0080】
(まとめ)
半分以上原形を維持している物品、すなわち、「(1)割れ無し」または「(2)先端欠け」と評価された物品は、実施例3では、平均で25枚((1)割れ無し:平均18枚、(2)先端欠け:平均7枚)であって、比較例2では、平均で22枚((1)割れ無し:平均15枚、(2)先端欠け:平均7枚)であった。この結果から、上記したように複数のカム板を集合シュートの内部に進入可能にしても、物品の割れが増加しないことが確認できた。
これは、物品の落下方向とカム板の突出部の移動方向とが共に上方から下方に向かう方向であり、且つ、物品の落下速度と当該カム板の周速が略一致するので、カム板からの力が物品に伝達し難たかったからだと考えられる。
【0081】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、物品移送装置100が「物品移送装置」に相当し、包装装置300が「包装装置」に該当し、集合シュート400が「シュート」に相当し、第1カム板520A〜第4カム板520Dが「詰まり防止部材」および「カム板」に相当し、基礎円板部521A〜521Dが「円板部」に相当し、突出部522A〜522Dが「突出部」に相当する。
【0082】
(第2実施形態)
次に、図10及び図11を参照して、第2実施形態に係る物品移送装置100aについて説明する。この第2実施形態に係る物品移送装置100aは、カム板520aの形状を変更した以外は、第1実施形態に係る物品移送装置100と同様であるので、第1実施形態と同様の構成については、その説明を適宜省略する。
【0083】
第2実施形態の物品移送装置100aは、図10に示すように、集合シュート400aと、複数のカム板520aを有するカム板ユニット(図示せず)と、を備えている。複数のカム板520aを駆動させる駆動部は、上記第1実施形態のモータ510及び駆動部530A〜530Dと同様である。また、カム板520aは、第1実施形態と同様に、4つ設けられている。そして、本実施形態では、図11に示すように、カム板520aは、基礎円板部521a、および、基礎円板部521aの外周部から径方向外側(矢印r方向)に向かって突出する3つの突出部522aを有している。そして、各突出部522aは、カム板520aの回転に伴って集合シュート400aの外側からスリット430a(図10参照)を通って集合シュート400aの内部に進入する。
【0084】
本実施形態では、突出部522aの各々は、カム板520aの回転方向(矢印R1方向)の逆方向(矢印R2方向)に向かうにつれて径方向外側(矢印r方向)への突出量が増大する。具体的には、図11に示すように、突出部522aにおける矢印R2方向の上流側の径方向長さW1、中流側の径方向長さW2、および、下流側の径方向長さW3は、この順番に長くなっている。
【0085】
上記した3つの突出部522aは、円板部521aの周方向(矢印R1方向または矢印R2方向)に沿って約120°間隔で設けられている。これにより、カム板520aが1回転する間に、突出部522aが3回集合シュート400aの内部に進入する。
【0086】
<本実施形態における効果>
上記第2実施形態では、カム板520aの回転方向(矢印R1方向)の逆方向(矢印R2方向)に向かうにつれて径方向外側(矢印r方向)への突出量が増大することによって、カム板520aの突出部522aが集合シュート400aの内部に進入するときに、当該突出部522aの集合シュート400aの内部への突出量がカム板520aの回転に伴って徐々に大きくなる。これにより、物品Bが突出部522aによって弾き飛ばされるのを抑制することができる。
【0087】
また、第2実施形態では、円板部521aの周方向に沿って3つの突出部522aが120°間隔で形成されることによって、カム板520aが1回転する間に3つの突出部522aが連続して集合シュート400aの内部に進入する。これにより、物品Bを連続的に落下させる高速の物品移送装置において、落下される物品Bごとに突出部522aを連続的に集合シュート400aの内部に進入させることができる。その結果、連続して落下する物品Bが集合シュート400aの内部に詰まるのを防止することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態および実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0089】
例えば、上記第1実施形態では、基礎円板部521Aと突出部522Aとを有するカム板520Aを用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、図6に示した第1変形例に係るカム板620Aおよび620Bを用いることもできる。このカム板620Aは、略楕円形であって、略円板形状の基礎円板部621Aと、基礎円板部621Aの外周部から径方向外側に向かって延在する2つの突出部622Aとを有している。そして、突出部622Aは、カム板620Aの中心を挟んで対向して配置されている。カム板620Bは、カム板620Aと同様であるので、その説明を省略する。この第1変形例に係るカム板620Aと620Bとは、集合シュート400を挟んで対向して設けられており、それらのカム板620Aと620Bとは、180°の位相差で回転する。これにより、カム板620Aの突出部622Aと、カム板620Bの突出部622Bとが交互に集合シュート400の内部に進入する。
【0090】
また、上記第1及び第2実施形態では、詰まり防止部材の一例として第1カム板520A〜第4カム板520D及びカム板520aを用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、図7に示した第2変形例に係る詰まり防止部材720を用いることもできる。この詰まり防止部材720は、回転軸721と、回転軸721から放射状に延びる棒部材722とを有している。なお、この棒部材722は、剛性の大きい部材を用いることもでき、また、撓み変形する部材を用いることもできる。
【0091】
また、上記第1及び第2実施形態では、詰まり防止部材の一例として第1カム板520A〜第4カム板520D及びカム板520aを用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、図8に示した第3変形例に係る詰まり防止部材820を用いることもできる。この詰まり防止部材820は、円板形状であって、集合シュート400の内側に向かって(矢印I方向に)移動する。そして、第3変形例に係る詰まり防止部材820は、その一部が集合シュート400の内部に進入したとき(図8(b)参照)、スリットが形成される位置において当該スリットの上下方向の長さL1と略同一の長さL2を有する。
これにより、集合シュート400の内部に進入する詰まり防止部材820によりスリット430を上下方向にわたって塞ぐことができる。これにより、集合シュート400の内部から外部に物品Bが漏れるのを防止することができる。
【0092】
また、上記第1実施形態では、上方から下方に向かって内径が小さくなる縮径部410と、当該縮径部410の下端から下方に向かって延びるストレート部420と、を有する集合シュート400を用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、図9に示した第4変形例に係る集合シュート400Aを用いることもできる。第4変形例に係る集合シュート400Aは、上方から下方に向かって内径が小さくなる縮径部410Aと、当該縮径部410Aの下端から下方に向かって延びるストレート部420Aと、を有している。そして、縮径部410Aは、内壁面が直線的に傾斜する縮径部410と異なり、その内壁面411Aが曲線的に傾斜している。ここで、カム板520A〜520Dは、集合シュート400Aの内径が最小となる位置P1に配置される。この位置P1は、縮径部410Aとストレート部420Aとが接続する位置であって、傾斜が連続的に変化する縮径部410Aから傾斜の変化が一定となるストレート部420Aに至る位置である。
【0093】
また、上記実施形態では、突出部522Aの周速V2が落下速度(約4.5[m/s])より大きくなる例について説明したが、本発明はこれに限らず、突出部522Aの周速V2を落下速度より小さくすることができる。この場合、位置Pにおける物品Bの落下速度より突出部522Aの周速V2が小さくなるので、当該位置Pに物品Bが詰まったときに突出部522Aが作用し、物品Bの詰まりを解消することができる。
【0094】
また、上記第1実施形態では、異なるタイミングでカム板520A〜520Dが集合シュート400の内部に進入する例について説明したが、本発明はこれに限らず、カム板520A〜520Dが同時に集合シュート400の内部に進入することができる。集合シュート400の内径が小さい場合には、複数のカム板520A〜520Dが同時に集合シュート400の内部に進入すると有効断面積が極端に小さくなり物品Bの詰まりが発生するおそれがあるが、集合シュート400の内径が大きい場合には、カム板520A〜520Dが集合シュート400の内部に同時に進入することにより、集合シュート400の内径が間欠的に拡縮するので、確実に物品Bを下方に送り出すことができる。
【0095】
また、上記第2実施形態では、基礎円板部521aの外周部に3つの突出部522aを設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、4つ以上又は2つ以下の突出部を形成することが可能である。一例として、図12に示した変形例に係るカム板520Eは、基礎円板部521Eと、当該基礎円板部521Eの外周部に4つの突出部522Eとを有している。この4つの突出部522Eは、基礎円板部521Eの外周部に90°間隔で設けられている。
【0096】
また、上記第2実施形態では、突出部522aと、基礎円板部521aとの接合部分S(図11参照)が角部となっており、物品Bが詰まる可能性がある。そこで、図13に示した変形例に係るカム板520Fは、上記した角部が形成されないように、突出部522Fと基礎円板部521Fとを滑らかに連結している。
【符号の説明】
【0097】
100,100a 物品移送装置
200 組合せ計量装置
300 包装装置
400,400a,400A 集合シュート
520A〜520F,520a,620A,620B カム板
530A〜530D,430a スリット
521A〜521F,521a,621A,621B 基礎円板部
522A〜522F,522a,622A,622B 突出部
720,820 詰まり防止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から落下する物品を下方に移送させる物品移送装置であって、
上下方向に延在する筒状のシュートと、
前記シュートの側壁面に形成されるスリットと、
回転可能に支持され、当該回転に伴って前記シュートの外部から前記スリットを通って前記シュートの内部に進入する詰まり防止部材と、を備えることを特徴とする、物品移送装置。
【請求項2】
前記詰まり防止部材は、前記シュートの周囲に複数設けられており、
前記複数の詰まり防止部材は、異なるタイミングで前記シュートの内部に進入することを特徴とする、請求項1に記載の物品移送装置。
【請求項3】
前記複数の詰まり防止部材は、前記シュートの周囲に等間隔で配置され、且つ、等間隔の位相差をもって回転することを特徴とする、請求項2に記載の物品移送装置。
【請求項4】
前記詰まり防止部材は、前記シュートの周囲に複数設けられており、
前記複数の詰まり防止部材は、同じタイミングで前記シュートの内部に進入することを特徴とする、請求項1に記載の物品移送装置。
【請求項5】
前記詰まり防止部材は、円板部、および、前記円板部の外周部から径方向外側に向かって突出する突出部を有するカム板であって、
前記突出部は、前記カム板の回転に伴って前記シュートの外側から前記スリットを通って前記シュートの内部に進入することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品移送装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記カム板の回転方向の逆方向に向かうにつれて径方向外側への突出量が増大することを特徴とする、請求項5に記載の物品移送装置。
【請求項7】
前記円板部の周方向に沿って複数の前記突出部が所定間隔で形成されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の物品移送装置。
【請求項8】
前記詰まり防止部材は、前記スリットの幅と略同一の厚みを有する板状部材であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の物品移送装置。
【請求項9】
前記詰まり防止部材の回転速度は、前記シュートの内径が最小となる位置における前記物品の落下速度に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の物品移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−140243(P2012−140243A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9167(P2011−9167)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】