説明

物品等の収容ケース

【課題】 所要のボリューム感を有するも封筒に納める際には薄くすることが出来るような、新規な構造を備えた物品等の収容ケースを提供する。
【解決手段】 2個の、三方に側壁と該側壁から延設した端フラップとを有すると共に、一方に側壁と該側壁から延設した蓋フラップとを有する、箱が、互いの蓋フラップで接続することによって互いに相手の蓋となるように構成する。2個の箱は各々三方の側壁と該側壁から延設した端フラップとによりケース本体が形成され、このケース本体は残りの一方の側壁から延設した蓋フラップにより閉じられるが、この蓋フラップはまたもう一方のケース本体の蓋フラップに接続されており、2個の箱は互いに自身のケース本体が相手の蓋になることが出来る点に特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は2個の箱が互いの蓋フラップで接続することによって互いに相手の蓋となるように構成されている、新規な構造を備えた物品等の収容ケースに係り、従来の同型同大のケースと比較して、同じような収容量でありながら郵送等運送時にはおよそ半分の厚さにすることが可能な収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より外観意匠に優れた紙函が多種提案されている。例えば特開2004−314996号は組み立てや分解を容易にしたハート型を呈する菓子函に関するものである。
【0003】
名刺を収容する箱で一般的なものは、身と蓋とから成るセパレートタイプのものや蓋が一側に開くB式箱のような、紙製または合成樹脂製の箱である。セパレートタイプの名刺箱の一例として特開2002−225854号の紙製名刺箱を上げる。またB式箱の一例として特開2003−182279号の名刺入れ容器を上げる。この他、所謂キャラメル箱なども良く用いられているが、このいずれも名刺100枚を収容するものでは箱の高さ(厚さ)が2〜3センチメートル程度になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−314996号公報
【特許文献2】特開2002−225854号公報
【特許文献3】特開2003−182279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特開2004−314996号のものは、確かに外観は美しいのであるが直方体や立方体のものに比べて包装し難いと言う問題がある。プレゼントで郵送したい場合でも、市販の封筒にうまく収まらないことがままある。上掲の名刺箱は特開2004−314996号のものに比べれば封筒に入れ易いように思われるが、実際にはやや厚い立方体であるため、小さな封筒では送れない、大きな封筒でも箱の角で破いてしまう虞がある、と言うような問題がある。とは言ってもただ封筒に入れたいがために薄く作るのでは芸がない。やはりそれなりのボリュームが感じられるものでなくてはいけない。
【0006】
なお印刷店では名刺が刷り上がると引き取りのために客に来店してもらっている。もしも郵送等運送が可能であれば、そのような面倒や時間の無駄を客に掛けなくて済む。なお長形3号の封筒を用いることが出来れば最低運賃で送ることが出来て経済的である。
【0007】
そこでこの発明は、所要のボリューム感を有するも封筒に納める際には薄くすることが出来るような、新規な構造を備えた物品等の収容ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は請求項1の発明によれば、2個の、三方に側壁と該側壁から延設した端フラップとを有すると共に、一方に側壁と該側壁から延設した蓋フラップとを有する、箱が、互いの蓋フラップで接続することによって互いに相手の蓋となるように構成することにより解決される。2個の箱は、各々三方の側壁と該側壁から延設した端フラップとによってケース本体が形成され、このケース本体を残りの一方の側壁から延設した蓋フラップにより閉じるのであるが、この蓋フラップはまたもう一方のケース本体の蓋フラップに接続されており、2個の箱は互いに自身のケース本体が相手の蓋になると言う構成を取っている点に特徴を有する。
【0009】
このようにして互いのケース本体同士を合わせることで蓋を閉じることが出来、これにより一つの纏まりのある物品等の収容ケースを得る。次にこの収容ケースを封筒に納めたいとする場合には、蓋を開くようにすることで、蓋フラップで繋がったおよそ半分の薄さのものになるのである。従って小さな封筒でも送れるようになり、例えばチョコレートであればバレンタインデーのプレゼントとして活用することが出来る。また例えば収容物が名刺であれば、刷り上がった名刺を客に引き取りに来てもらう手間を省くことが出来るから、面倒をなくして時間を節約するものとなる。これらは開封してから蓋を閉じるようにすると、再び一つの纏まりのあるボリューム感を有するものに戻る。
【0010】
次に隣り合う前記端フラップ同士が、一方に設けた差し込み片を他方に設けた切り込み部に差し込み得るように設けられて、組み立てや展開が自在であるものとすることが出来る。一方のフラップの差し込み片を他方のフラップの切り込み部に差し込むことでケース本体を組み立てるのである。従って運搬時や在庫時には平らに展開した状態で場所を取らないようにすることが出来、必要に応じて組み立てて収容ケースとすることが出来る。
【0011】
次に2個の前記箱を閉じた時に閉じた状態を固定すべく、双方の前記端フラップ同士が着脱自在と成るような着脱手段が前記端フラップに設けられているものとすることが出来る。双方の端フラップを着脱手段で固定すると、収容ケースの閉じた状態を固定して不本意には開かなくすることが出来る。またこの場合、前記着脱手段が、一方の箱の前記端フラップに設けた差し込み片と該差し込み片を差し込むために他方の箱の前記端フラップに設けた切り込み部と、から成るものとしても良い。この構成により差し込み片を切り込み部に差し込むことで閉じた状態を固定することが出来る。
【0012】
次に2個の前記箱を開いて双方の背を近接させて立て掛けるべく、この近接状態を保つためのブリッジが設けられているものとすることが出来る。上記の2個の前記箱を閉じた状態とは逆の、開き切った状態をブリッジにより固定することにより、2個の箱が互いに脚部の役割を担い合い双方で支え合って立つことが出来るようになる。従って箱を開放して収容物を取り出せる状態で立てておくことが出来るから、収容物が例えばチョコレートであれば取り出して食べやすいように置くことが可能となる。また商品ディスプレーとしても有効である。
【0013】
次に名刺ケースとして使用するものとすることが可能である。上述したように蓋を開いた状態では蓋フラップで繋がったおよそ半分の薄さのものになるので、封筒に納めることが出来るように成る。また例えば上述したような背側にブリッジを設けたものであれば、2個の箱を開き切った状態でフリッジにより固定して来客が取りやすいような形態の名刺ケースとすることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば2個の箱を互いの蓋フラップで接続することによって互いに相手の蓋となるように構成したので、従来の同型同大のケースと比較して同じような収容量でありながら、郵送等運送時には蓋を開くようにすることでおよそ半分の厚さになり封筒に納めることが出来るようになると共に、元に戻せば所要のボリューム感を出すことが出来る、と言う効果を奏して所期の目的が達成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 実施例1を組み立てた状態を表す説明図である。
【図2】 展開図で表した説明図である。
【図3】 側面視した状態を表す説明図である。
【図4】 実施例2を平面視した状態を表す説明図である。
【図5】 実施例3を背面視した状態を表す説明図である。
【図6】 使用の状態を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下3つの実施例を図面に基づいて説明するが、この発明はこれ等の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図3でこの実施例の物品等の収容ケースを表す。この収容ケースは、個包装のチョコレート菓子を入れる合成樹脂箱であって、箱1と箱2とが蓋フラップ18,28で接続しており、この蓋フラップ18の幅は後述する側壁15とまた蓋フラップ28の幅は後述する側壁25と、ほぼ同じである。従って箱1,2は互いに相手の箱の蓋となる。
【0018】
箱1は、図2で表すように、背壁10に付いて三方に側壁11,11,15を有する。側壁11,11は端フラップ13,13を、側壁15は端フラップ16を有する。この端フラップ16は箱1の前壁となる。またこの端フラップ16の両角には差し込み片17,17が設けられておりこの差し込み片17,17を差し込むための切り込み部14,14が対応する端フラップ13,13に設けられている。なお側壁11,11の側壁15側の辺は各々内側へ折り込むための折り込み片12を備えている。箱2は、図1とは対称的に描いているが、背壁20に側壁21,21,25を有し、側壁21は端フラップ23を、側壁25は端フラップ26を有する。端フラップ26は箱2の前壁となるものである。端フラップ26の両角は差し込み片27,27を有する。端フラップ23は前記差し込み片27を差し込むための切り込み部24を有する。側壁21の側壁25側の辺には折り込み片22が設けられている。
【0019】
そこで、側壁11,21、折り込み片12,22、端フラップ13,23、側壁15,25、端フラップ16,26を各々の境で谷折りして、差し込み片17を切り込み部14に、差し込み片27を切り込み部24に、各々差し込むことで、箱1と箱2とが形成される。この時箱1と箱2とは蓋フラップ18,28で一繋がりである。そして背壁10と蓋フラップ18との間及び背壁20と蓋フラップ28との境で谷折りすると、図3で表すように、箱1が箱2のまた箱2が箱1の蓋になり、端フラップ16と端フラップ26とが密着して、2個の箱1,2が閉じられることになる。なおこの閉じた状態で箱1,2にスリーブを被せるようにしても良い。
【0020】
前記閉じた状態の箱1,2は、これにて一つの纏まりのある所要のボリューム感が得られるものであるが、封筒に入れて送ろうとする時には、このままでは小さな封筒では送れず大きな封筒でも箱の角で破いてしまう虞がある。そこで図1のように開くことでおよそ半分の厚さになり封筒に納めることが出来るようになる。なお開いた状態で被せることが可能なスリーブを備えるようにしても良い。
【0021】
なお実施例1の箱1,2は、差し込み片17,27と切り込み部14、24とによって組み立てや展開が自在であるものとしているが、初めから組み上がったものとして提供することが出来る。また差し込み片17,27や切り込み部14,24の構成を有せず、端フラップ13,13と端フラップ16とを、また端フラップ23,23と端フラップ26とを、接着して成るものとして提供することが可能である。この実施例の場合には展開は行えない。
【実施例2】
【0022】
図4で表す実施例は、実施例1で2個の箱1,2を閉じて端フラップ16と端フラップ26とを密着させた図3の状態を固定するための着脱手段を追加したものに関する。すなわち箱1側の端フラップ16の中央部で側壁15に近い箇所にU字形状の切り込み部19を設けて、折り線100から山折り(外方に折る)した時に差し込み片101が形成されるようにして、この差し込み片101が差し込み可能な切り込み部29を箱2側の端フラップ26に設けて成る。
【0023】
そこで箱1,2を閉じた時に、差し込み片101を起こして切り込み部29に差し込むようにすると、この閉じた状態が固定されて不本意には開かなくなる。なお開く場合には差し込み片101を切り込み部29から抜き出すようにする。
【実施例3】
【0024】
図5及び図6で表す実施例は、名刺ケースとして実施例1と同じ構成の紙製の2個の箱1,2を開いて双方の背壁10,20を近接させて立て掛けるべく、この近接状態を保つためのブリッジとなる差し込み片104を設けて成る物品等の収容ケースを表す。すなわち箱1側の背壁10の中央部で側壁15に近い箇所に舌形状の切り込み部102を設けて折り線103から山折り(外方に折る)した時に差し込み片104が形成されるようにして、この差し込み片104を差し込み可能な切り込み部200を箱2側の背壁20に設けて成る。
【0025】
図6で表すように、2個の箱1,2が開き切った状態を差し込み片104によって固定すると、箱1,2が互いに支え合って立つことが出来る。箱1は50枚分の名刺束M1を収めることが出来、箱2は50枚分の名刺束M2を収めることが出来る。これを封筒に入れる時には図1で表すように平に開いておくのであるが、これを展示する時には更に開いて差し込み片104を切り込み部200に差し込んで立てるようにするのである。名刺は端フラップ16,26の蓋フラップ18,28に近い側から取り出すことが出来る。なおこの実施例のり収容ケースは名刺ケースとして構成されたものであり、名刺束M1,M2は収容物であってこの発明の必須要件ではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は宣伝用のフライヤーや商品サンプルをあるいは絵はがきを収納するケースなどとして活用することが可能であり、これ等もまたこの発明の権利範囲内のものである。
【符号の説明】
【0027】
1 箱1 10 背壁 11 側壁
12 折り込み片 13 端フラップ 14 切り込み部
15 側壁 16 端フラップ 17 差し込み片
18 蓋フラップ 19 切り込み部 100 折り線
101 差し込み片 102 切り込み部 103 折り線
104 差し込み片 2 箱2 20 背壁
21 側壁 22 折り込み片 23 端フラップ
24 切り込み部 25 側壁 26 端フラップ
27 差し込み片 28 蓋フラップ 29 切り込み部
200 切り込み部 M1 名刺束 M2 名刺束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の、三方に側壁と該側壁から延設した端フラップとを有すると共に、一方に側壁と該側壁から延設した蓋フラップとを有する、箱が、互いの蓋フラップで接続することによって互いに相手の蓋となるように構成されている、物品等の収容ケース。
【請求項2】
隣り合う前記端フラップ同士が、一方に設けた差し込み片を他方に設けた切り込み部に差し込み得るように設けられて、組み立てや展開が自在である、請求項1に記載の物品等の収容ケース。
【請求項3】
2個の前記箱を閉じた時に閉じた状態を固定すべく、双方の前記端フラップ同士が着脱自在と成るような着脱手段が前記端フラップに設けられている、請求項1に記載の物品等の収容ケース。
【請求項4】
前記着脱手段が、一方の箱の前記端フラップに設けた差し込み片と該差し込み片を差し込むために他方の箱の前記端フラップに設けた切り込み部と、から成る請求項3に記載の物品等の収容ケース。
【請求項5】
2個の前記箱を開いて双方の背を近接させて立て掛けるべく、この近接状態を保つためのブリッジが設けられている、請求項1に記載の物品等の収容ケース。
【請求項6】
名刺ケースとして使用する請求項1に記載の物品等の収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192974(P2012−192974A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84038(P2011−84038)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(393030774)株式会社エーモン (14)
【Fターム(参考)】