説明

物品等の収容ケース

【課題】製造が容易で物品を詰め易く、コストを低く抑えることが出来、物品の消費後も飾りとして再利用することが可能な、物品等の収容ケースを提供する。
【解決手段】前壁10と背壁11と、前壁または背壁の好ましくは下部に設けられた折り込み片19とから成り、折り込み片を折り込むと前壁と背壁との間が折り込み片の幅だけ筒のように広がって自立出来るようになると共に、この折り込み片の上方に菓子等の物品を収容する空間が形成されるように構成した。折り込み部に開いた窓から物品を容易に納めることが出来、またこの窓を通して外部から物品を見ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、菓子等の物品を内部に納める作業が楽であり、そのままディスプレーとして使うことが出来、購入後や物品の消費後に思い出として飾って置くことが可能な、全く目新しい収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より菓子箱などの物品の収容ケースをとして一般的なものは、紙製の容器部と蓋部とから成るものである。容器部内に仕切りを入れることがある。この一例として実用新案登録第3041177号の菓子包装用容器を上げる。また蓋部の一部を切り欠いたりここに透明フィルムを貼り付けたりして中身が見えるようにすることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3041177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような収容ケースの問題点は、極めて在り来たりであること、菓子などを詰めたり包装したりの作業が容易ではないこと、菓子などを外から見せるには製造に手間が掛かること、この結果コストが高くなること、また菓子などを消費した後は廃棄されてしまうのが常であることなどが上げられる。
【0005】
そこでこの発明は、製造が容易で物品を詰め易くコストを低く抑えることが出来、物品の消費後も飾りとして再利用することが可能な、そうした物品等の収容ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の発明によれば、両側部で繋げられた前壁部と背壁部と、前記前壁部または前記背壁部に設けられた折り込み部とから成り、この折り込み部を折り込むと前壁部と背壁部との間が折り込み部の幅だけ広がって自立出来ると共にこの折り込み部の上方に菓子等の物品を収容する空間が形成されるように成すことによって解決される。また上記課題は、請求項2の発明によれば、前壁部とこの背面に両端部で取り付けられた背壁部と、前記前壁部または前記背壁部に設けられた折り込み部とから成り、この折り込み部を折り込むと前壁部と背壁部との間が折り込み部の幅だけ広がって自立出来ると共にこの折り込み部の上方に菓子等の物品を収容する空間が形成されるように成すことにより解決される。なお折り込み部は前壁部または背壁部の、上部、中部、下部のどの位置に設けても良いのであるが、物品を収納した際の重心位置を下に置くことをより重要視するのであれば、中部さらには下部に設けることが好ましい。なお後述する実施例2では折り込み部を上部に設けることはあまり意味がない。
【0007】
前壁部と背壁部とが両側部で繋げられていると言う場合、前壁部と背壁部とが別体でありそれ等が重合されて両側部で接着や蝶番止めが為されているもの、2つ折りにより前壁部と背壁部とが形成され両端部が接着されているもの、円筒を平らに潰して両側の折り目から前壁部と背壁部とが形成されているもの等を上げることが出来る。前壁部や背壁部の素材は任意であり、厚紙、合成樹脂シート、皮革などを必要に応じて選択したり混用することが可能である。またこれ等の表面にステッカーを貼ったり美麗な写真印刷などを施すことが出来る。
【0008】
紙製の円筒などでは両側から均一に圧力が加えられると平面状に潰れることが知られている。この加圧方向とは直角の両側部方向からの圧力によって元の円筒に近い形状に復元させることが出来る。この原理を応用して、前記平面状のものの上下端部を外側に突出する円弧状に成形し、この円弧状の突出片をやはり円弧状の折り線を付けるようにして内側へ折り込むことによって全体を脹らませることが出来る。
【0009】
前記折り込み部は、前壁部または背壁部に折り込み片が形作られるように、その周囲に切り込みを設けて成るものであり、こうして形成された折り込み片が相対する側の壁部を押すために、前壁部と背壁部との間隔がこの折り込み片の分だけ開いて結果的に膨らみ、立体化して自立可能な状態と成る。この膨らみが円に近くなるほど剛性が大きくなるわけである。また折り込み片の数を増やして例えば上下の2箇所に設けるなどすることによって、上記立体が上下共に膨らむようになるが、折り込み部を少なくとも上方部には設けないようにすることで(上方部に関してはスペーサとしての折り込み片を備えない)、前壁部と背壁部との間隔が開かず立体化されず、前壁部は比較的に平面状に近い状態を保つようにすることが可能である。従ってこの平面状の部位は写真印刷を施したりするのにより適していると言うことが出来る。なお前記折り込み部の折り目と成る部位をミシン目としと構成することが出来る。
【0010】
折り込み片が相対する側の壁部を押すと、前壁部と背壁部との間隔がこの折り込み片の分だけ開いて膨らみここに空間が形成される。また折り込み片は相対する側の壁部を突っ張っているため、ここを棚とすることが出来る。すると折り込み片とこの上の空間はほぼ同じような大きさの物品を収納することが出来る。ここにこの発明の最大の特長があるのである。こうして収納された物品は、この状態で展示したり販売することが可能である。目新しく人目を惹き付けるものとなっている。また購入後も物品の消費後も、思い出などとして卓上に飾り続けることが出来る。
【0011】
さて、前壁部とこの背面に両端部で取り付けられた背壁部とから成ると言う場合、前記取り付け部分は例えばのりしろ部であったり掛合部であったり任意の設計が可能である。例えばのりしろ部の場合であるが、のりしろ部が前壁部と背壁部の両方に設けられており各々内側に折り込まれた状態で接着されるようになるため、厚紙の切断端部が見えることなく折り込みのアール形状が重なった状態で表われており、内側に折り込まれたのりしろ部同士が接着されているために、のりしろ部が表面に出てしまうようなことがなく、全体として実に体裁の良い構造物であると言うことが出来る。また例えば前記接合部が掛合部である場合では、前壁部と背壁部の掛合部同士が内側に折り込まれた状態で掛合されて、上記同様の作用を現ずる。
【0012】
なお前記折り込み片が底部に対して設けられている場合では、物品の収容ケースは下方が広く上方が細く成る傾向があるが、更に天部あるいは中間部分に設けることにより物品の収容ケースの全体を筒状と為すことが可能である。前壁部と背壁部との間をどのくらい脹らますかは前記立体化し得る手段の構成如何である。なお筒状体は上下に細長く形成することも、太く低く形成することも可能である。
【0013】
この構成の場合も、折り込み片が相対する側の壁部に突っ張って、前壁部と背壁部との間隔がこの折り込み片の分だけ開いて膨らみここに空間が形成されると共に、折り込み片が棚の役割を担うことが出来るから、ここが物品の収納場所となるのである。
【0014】
次に、前記前壁部または前記背壁部に手提げ部が設けられているものとすることが出来る。手提げ部の一例として前壁部と背壁部の同じ位置に設けた開口部を上げる。これによりこの開口部を手で持って提げることが出来る。この他、手提げ紐を付けるなど任意設計が可能である。
【0015】
次に、外側に透明袋(外包装袋)を被せて成るものとすることが出来る。収納する物品に埃が付いたり汚れたりするのを嫌うのであれば、折り込み片の上に置く物品そのものを包装してしまえば良いが、包装せずに置いたとしても外側に透明袋を被せてしまえば収容ケース共々埃や汚れから守ることが出来る。袋は透明であるから、外から内部を透視することが可能である。なおこの収容ケースは筒状を呈するものであるため、上方から被せた透明袋の口を収容ケースの底部から収容ケースの内部に詰めるようにして袋を止めることが可能であり、これもこの発明の優れた点であると言うことが出来る。
【0016】
前記前壁部または前記背壁部の底部が、船底に形成されているものとすることが出来る。この発明は物品の消費後も飾りとして再利用することが可能なエコな収容ケースである。底部が船底に形成されていると揺すって遊ぶことが出来る。商品ディスプレーとして用いる場合にも好適である。
【0017】
次に、折り込み部の上方に菓子等の物品を詰めるための袋を備えているものとすることが出来る。この袋に詰められた菓子等の物品が折り込み片の上にあって折り込み部に開いた窓から見ることが出来るようになる。なお袋が透明であればこの袋に詰められた物品を透視することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
この発明は前壁部と背壁部と、前壁部または背壁部の好ましくは下部に設けられた折り込み部とから成り、折り込み部を折り込むと前壁部と背壁部との間が折り込み片の幅だけ広がって自立出来ると共に、この折り込み片の上方に菓子等の物品を収容する空間が形成されるように成したものである。これにより、従来の菓子箱などと比較して製造が容易で物品を詰め易く、コストを低く抑えることが出来、物品の消費後も飾りとして再利用することが可能になる、と言う優れた効果を奏するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 実施例1を組み立てた状態を表す説明図である。
【図2】 折り込み片19周りを上から見た説明図である。
【図3】 実施例2を組み立てた状態を表す説明図である。
【図4】 折り込み片29周りを下から見た説明図である。
【図5】 実施例3を組み立てた状態を表す説明図である。
【図6】 実施例3を反対側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下3つの実施例を図面に基づいて説明するが、この発明はこれ等の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1および図2でこの実施例の菓子ケース1を表す。型抜きした厚紙を折り返し部12で折り返して前壁10と後壁11とに分け、前壁10の上記折り返し部12とは反対側にあるのりしろ片13を以て、後壁11の上記折り返し部12とは反対側の縁部に接着すると、筒を形成する準備が整う。前壁10には下側の折り返し線18(ここはミシン目であると後々折り返しやすい)とこれに続く切り込み17とが設けられており、この切り込み17の内部は折り込み片19になるわけであるが、これを内側に押すようにして上記折り返し線18から押すと、折り込み片19が後壁11に突っ張って前壁10と後壁11との間を拡げ、筒状体を作り出すことが出来る。なお後壁11の上方には延設部14が延設されており、前壁10の上縁部の下方に形成された折り返し線100から上方を折り返すと折り込み片101が形成され、この折り込み片101は後壁11の上記延設部14を押してこの部位の前壁10と後壁11との間を拡げるため、菓子ケース1の上側までも筒状を形成することになる。なお菓子ケース1の下縁は筒状の底部16となっている。この他、上記延設部14には手提げ部15が設けられている。この手提げ部15は折り返し線とこれに続くサークル状の切り込みとから成り、この切り込みを破ることで手指を挿し入れるための孔が開くようになっている。
【0022】
折り込み片19および折り込み片101が内側に折り込まれると、前壁10と後壁11との間が折り込み片19の幅だけ広がって自立出来るようになる。と同時にこの折り込み片19の上方に菓子を詰めた包装Pを収容するための空間が形成される。この折り込み片19は棚の役割を担うものであり、ここが菓子の包装Pの収納場所となる。なお前壁10と後壁11とに美麗な印刷を施すことでディスプレーや置物としての価値が高まる。
【実施例2】
【0023】
図3および図4でこの実施例の化粧品ケース2を表す。着色透明の合成樹脂フィルムを用いて前壁20と後壁21とが型抜きされている。前壁20の両側縁にはのりしろ片22が、また後壁21の両側縁にはのりしろ片23が形成されており、内側に折り込んだ上記のりしろ片22,23同士を合わせて接着することで筒を形成し得るようになる。ここで前壁20には下側の折り返し線28とこれに続く切り込み27とが設けられており、この切り込み27の内部すなわち折り込み片29を内側に押すようにして上記折り返し線28から押すことにより、折り込み片29が後壁21に突っ張り前壁20と後壁21との間を拡げるので、化粧品ケース2は自立出来るようになる。なお自立はするものの、ケースの下縁は船底26となるように形成されているため、棚である折り込み片29に載置された化粧品の包装Pを左右に揺らせて見せることが可能である。
【0024】
上記折り込み片29の辺りは筒状を呈するのであるが、前壁20と後壁21との上縁は接着部24で接着されて閉じられているため、この部位は筒状と言うよりは平面状を呈しており、この部位は表示面25とするのに都合が良い箇所となっている。
【0025】
なお、図3および図4で鎖線Qで表したものは、この化粧品ケース2を外側から覆うための透明な外包装袋である。化粧品ケース2に上から外包装袋Qを被せて、外包装袋Qの口は船底26から折り込み片29の下の空間に押し込むようにするだけで簡易包装が実現する。これには例えば長さサイズの異なる幾つかの化粧品ケース2に対して、1種の外包装袋Qで対応することが出来ると言う効果もある。
【実施例3】
【0026】
図5および図6でこの実施例のタオルケース3を表す。型抜きした着色透明の合成樹脂フィルムを用い、折り返し部32で折り返して前壁30と後壁31とに分け、前壁30の上記折り返し部32とは反対側にあるのりしろ片33を以て、後壁31の上記折り返し部32とは反対側の縁部に接着すると筒を形成し得るようになる。前壁30の半分から下側には下側の折り返し線37とこれに続く切り込み36とが設けられており、この切り込み36の内部は折り込み片38になるわけであるが、これを内側に押すようにして上記折り返し線37から押すと、折り込み片38が後壁31に突っ張って前壁30と後壁31との間を拡げ、この部位で筒状体を作り出すことが出来る(図5)。
【0027】
一方で、後壁31の半分から上側には、下側の折り返し線300とこれに続く切り込み39とが設けられており、この切り込み39の内部は折り込み片301になるわけであるが、これを内側に押すようにして上記折り返し線300から押すと、折り込み片301が前壁30に突っ張って前壁30と後壁31との間を拡げ、この部位で筒状体を作り出すことになる(図6)。なお符号34はタオルケース3の底部を、符号35はタオルケース3の天部を指している。
【0028】
従ってこの実施例のタオルケース3は、表側にも裏側にもタオルを載置する棚が設けられていることになる。図5の状態は前壁30側が正面に見えている状態であるが、これを反転させると図6の後壁31側が正面に見える状態となる。
【0029】
なおこの発明は上述した実施例に限定されないから、例えば前壁部と背壁部とが両側部で繋げられていると言う場合、両側部が単なる折り線のこともあれば、両側部が側壁であって、この側壁を介して繋がる構成も十分あり得る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明の素材としては厚紙や合成樹脂フィルム以外にも、例えば薄い人造皮革などが使用可能である。収容ケース全体の大きさや形状は任意であり、収容ケースはそれ単体で提供しても良いし、中にぬいぐるみなどの商品を入れて提供しても良く、その用途は全く自由である。ディスプレーとしては内部にLEDライトを装置して収容した物品をライトアップさせることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 菓子ケース 10 前壁 11 後壁
12 折り返し部 13 のりしろ片 14 延設部
15 手提げ部 16 底部 17 切り込み
18 折り返し線 19 折り込み片 100 折り返し線
101 折り込み片 2 化粧品ケース 20 前壁
21 後壁 22 のりしろ片 23 のりしろ片
24 接着部 25 表示面 26 船底
27 切り込み 28 折り返し線 29 折り込み片
3 タオルケース 30 前壁 31 後壁
32 折り返し部 33 のりしろ片 34 底部
35 天部 36 切り込み 37 折り返し線
38 折り込み片 39 切り込み 300 折り返し線
301 折り込み片 P 包装 Q 外包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側部で繋げられた前壁部と背壁部と、前記前壁部または前記背壁部に設けられた折り込み部とから成り、この折り込み部を折り込むと前壁部と背壁部との間が折り込み部の幅だけ広がって自立出来ると共にこの折り込み部の上方に菓子等の物品を収容する空間が形成されるように成した、物品等の収容ケース。
【請求項2】
前壁部とこの背面に両端部で取り付けられた背壁部と、前記前壁部または前記背壁部に設けられた折り込み部とから成り、この折り込み部を折り込むと前壁部と背壁部との間が折り込み部の幅だけ広がって自立出来ると共にこの折り込み部の上方に菓子等の物品を収容する空間が形成されるように成した、物品等の収容ケース。
【請求項3】
菓子等の物品を収容する前記空間の上方の、前記前壁部または前記背壁部に、この収容ケースの全体を筒状にするためのスペーサーとしての折り込み部を設けて成る、請求項1または請求項2に記載の物品等の収容ケース。
【請求項4】
前記前壁部または前記背壁部に手提げ部が設けられている、請求項1または請求項2に記載の物品等の収容ケース。
【請求項5】
外側に透明袋を被せて成る、請求項1または請求項2に記載の物品等の収容ケース。
【請求項6】
前記前壁部または前記背壁部の底部が船底に形成されている、請求項1または請求項2に記載の物品等の収容ケース。
【請求項7】
菓子等の物品を詰めるための袋を備えている、請求項1または請求項2に記載の物品等の収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47115(P2013−47115A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199961(P2011−199961)
【出願日】平成23年8月27日(2011.8.27)
【出願人】(393030774)株式会社エーモン (14)