説明

物品管理システム、及びプログラム

【課題】物品に添付されていた物品管理用の電子タグが、物品から剥がされ、物品のみが欠損し、物品管理用の電子タグとは通信できてしまう状況においても、物品の欠損を検知することができる物品管理システムを提供する。
【解決手段】同じ無線通信条件にて、物品の欠損のない状態における物品管理用の電子タグとの通信結果をあらかじめ取得しておき、入出荷検品や棚卸時において、再度同じ無線通信条件で物品管理用の電子タグと無線通信し、あらかじめ取得しておいた電子タグとの通信結果と比較する。比較結果に差異があった場合は、物品が欠損する等の異常が発生している可能性があると判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流倉庫や小売店等における入出荷時の検品や棚卸のための物品管理システム及びプログラムに関し、例えば電子タグを用いた物品管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流倉庫や小売店等における入出荷時の検品や棚卸において、精度の向上、時間短縮、作業コストの低減といった目的で、物品のシリアル番号のデータを記憶可能なICチップと無線通信するためのアンテナから構成される電子タグと、この電子タグと無線により非接触で通信することができるリーダ・ライタを用いた物品管理システムが提案されている。
【0003】
例えば、電子タグを用いた物品管理システムとして、商品を格納した梱包箱に、梱包箱内の商品データが記録された電子タグを取り付け、また、この梱包箱内の商品にも、商品に関連するデータが記録された電子タグを取り付け、リーダ・ライタにより梱包箱に添付された電子タグのデータを読取るとともに、梱包箱内の商品に添付された電子タグのデータを読取り、双方のデータの整合性を比較することにより、梱包箱を開梱することなく梱包箱内の商品を検品することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、スマートシェルフとも呼ばれるが、商品が陳列される商品棚にリーダ・ライタを設置し、一方、この商品棚に陳列される各商品にも商品データが記録された電子タグを添付し、リーダ・ライタが各商品に添付された電子タグと随時通信することにより、リアルタイムに棚卸することもできる。このスマートシェルフは、リアルタイムに棚卸するだけでなく、随時電子タグ数を確認し、商品棚から商品が取り出されると、電子タグ数の変化を検知し、警告を発することにより、事前に万引きを防止することもできる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−37413号公報
【特許文献2】特開2007−79615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2で代表される従来技術に基づく物品管理システムでは、物品に添付された電子タグと無線通信し、この電子タグのID、あるいは、電子タグに記録された商品情報を、電子タグからリーダ・ライタが受信できたことを物品管理システムが確認することで検品や棚卸を行う。このため、盗難等により物品に添付された電子タグが物品から分離され、物品のみが取り除かれた場合は、リーダ・ライタが残された電子タグと通信でき、この電子タグのID、あるいは、電子タグに記録された商品情報をリーダ・ライタが取得できてしまうため、このような場合においては物品の欠損が検知できないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、物品に添付されていた電子タグが物品から剥がされ、物品のみが欠損し、物品に紐付く電子タグとは通信できてしまう場合においても、物品の欠損を検知することが可能な物品管理を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による電子タグを用いた物品管理システムは、物品を特定するデータを格納した電子タグを、対応する物品に添付し、あらかじめ、この電子タグとリーダ・ライタ間で通信しておく。この際、電子タグとリーダ・ライタとの通信条件であるリーダ・ライタのアンテナから放射される電磁波の出力や、リーダ・ライタのアンテナと電子タグの相対的な角度や位置を変更し、各通信条件における、リーダ・ライタと電子タグ間で複数回無線通信した際の通信成功率である読取率や、リーダ・ライタが受信した電子タグからの応答信号の受信強度、に関する情報を含む通信結果を、基準の通信結果として保存しておく。
【0009】
同様に、入出荷検品時や棚卸時に、検品のためにリーダ・ライタと物品に添付された電子タグ間で無線通信する際においても、前記記載の基準の通信結果を取得したときと同じ通信条件にて、リーダ・ライタと電子タグ間での読取率や、リーダ・ライタが受信した電子タグからの応答信号の受信強度、に関する情報を含む通信結果を取得する。
【0010】
物品の検品時においては、入出荷検品時や棚卸時にリーダ・ライタと電子タグとの無線通信で取得した、物品に添付された電子タグのID、あるいは、電子タグに記録された商品情報の欠損の有無を確認するだけでなく、リーダ・ライタと電子タグ間での読取率や、リーダ・ライタが受信した電子タグからの応答信号の受信強度に関する情報から成る、入出荷検品時や棚卸時の通信結果と、予め取得し保存しておいた基準の通信結果とを比較する。
【0011】
物品の欠損等により前記比較結果に差異が生じた場合は、物品に添付された電子タグと通信により電子タグのID、あるいは、電子タグに記録された商品情報が欠損なく取得できた場合においても、物品が欠損する等の異常が発生している可能性があると判別し、警告を発する。このようにして、物品に紐付く電子タグと通信できる状況においても、物品の欠損等の異常を検知することができる。
【0012】
即ち、本発明による物品管理システムは、管理対象の物品に、無線通信可能な物品管理用の電子タグを添付し、この電子タグと通信することで物品の管理を行う物品管理システムであって、電子タグと無線通信を行い、電子タグの情報を取得するリーダ・ライタと、電子タグとの無線通信の基準の通信状態情報を記憶する基準通信状態情報記憶部(例えば、物品管理システム制御サーバ1内のメモリによって構成される)と、検品時に、管理対象の物品における電子タグとリーダ・ライタとの無線通信の結果と、基準の通信状態情報を比較し、この比較結果に基づいて、管理対象の物品の状態を判定する処理部(例えば、物品管理システム制御サーバ1内の制御部によって構成される)と、を備える。ここで、基準の通信状態情報は、リーダ・ライタに関する所定の通信条件において、電子タグと前記リーダ・ライタとで予め無線通信して得られた、リーダ・ライタと電子タグ間で複数回無線通信した際の通信成功率である読取率と、リーダ・ライタが受信した電子タグからの応答信号の受信強度のうち、少なくとも1つを含む情報である。
【0013】
より具体的には、処理部は、基準の通信状態情報を取得したときと同じ通信条件下で管理対象の物品と電子タグを無線通信することにより得られた通信結果と、基準の通信状態情報を比較する。さらに詳細には、処理部は、所定の通信条件下において、基準状態における読取率と物品の検品時に取得した読取率との積、及び、基準状態における応答信号の受信強度と物品の検品時に取得した応答信号の受信強度との積の少なくともいずれか1つから算出される相関関数の値により、管理対象の物品の状態を判定するようにしている。また、処理部は、通信結果と前記基準の通信状態情報との差が所定閾値以上ある場合には、管理対象の物品に異常が発生したと判定する。処理部は、管理対象の物品の状態を表示部に表示する。
【0014】
なお、リーダ・ライタに関する所定の通信条件は、リーダ・ライタのアンテナと、リーダ・ライタのアンテナ設置位置と、リーダ・ライタのアンテナ角度と、リーダ・ライタのアンテナ主軸方向と、リーダ・ライタから放射される電磁波の強度のうち何れか1つを含んでいる。
【0015】
また、処理部は、まず、管理対象の物品における前記電子タグより当該物品のIDを取得し、取得できた場合に、基準の通信状態情報との比較処理を実行する。
【0016】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、物品のみが欠損し、物品に紐付く電子タグとは通信できる状況においても、物品の欠損を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による物品管理システムは、電子タグのID或いはそれに記録された商品情報だけでなく、電子タグの情報の読み取り動作における通信状態(例えば、読取率、応答信号の受信強度等)が基準の通信状態に比べてどの程度変化しているかに基づいて、物品の異常を検知するものである。
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0020】
<物品管理システムの構成>
図1は、本発明の実施形態による電子タグを用いた物品管理システムの概略構成を示す図である。当該物品管理システムは、例えば、入出荷にあたり物品を検品するときに使用することを想定している。
【0021】
図1において、物品管理システム制御サーバ1は、リーダ・ライタと電子タグとの通信結果等を表示するための物品管理システム制御サーバ用モニタ2と、図示しないが内部にシステム全体の動作を制御する制御部(CPUやMPU)を備えている。また、物品管理システム制御サーバ1は、物品管理システム制御サーバ−リーダ・ライタ接続用信号線20によりリーダ・ライタ10と接続されている。物品管理システム制御サーバ1は、この物品管理システム制御サーバ−リーダ・ライタ接続用信号線20を通して、リーダ・ライタ10を制御することができる。
【0022】
リーダ・ライタ10は、リーダ・ライタ用アンテナケーブル30及び31より、リーダ・ライタ用アンテナ40及び41と接続され、これらのリーダ・ライタ用アンテナより無線信号を送受信することにより、電子タグと通信することができる。なお、リーダ・ライタ10は、物品管理システム制御サーバ1と一体に構成されていても、物理的に分離されて配置されていてもよい。
【0023】
電磁波遮蔽箱50は、遮蔽箱外界からのノイズとなる電磁波を遮断するものであり、例えば金属体から構成されるものである。当該電磁波遮蔽箱50内においては、電磁波遮蔽箱50の周辺環境に依存せずに無線通信することができる。また、リーダ・ライタ用アンテナ40及び41は、図1のとおり、電磁波遮蔽箱50内に設置されている。電子タグが添付された物品を検品する際は、この電磁波遮蔽箱50内に設置するものとする。なお、電磁波遮蔽箱50内は、金属だけでなく、電磁波を吸収する電波吸収体によって構成されていても良い。
【0024】
梱包箱60は、商品を梱包するものであり、梱包箱を特定するための固有のIDが記録された梱包箱管理用電子タグ300が添付されている。当該梱包箱60内にある、各商品(100、101、102、103、104、105)には、各商品を特定するための固有のIDが記録された商品管理用電子タグ(200、201、202、203、204、205)がそれぞれ添付されている。なお、本実施形態においては、梱包箱60と梱包箱60内の商品との紐付け(関連付け)は、物品管理システム制御サーバ1で行うものとする。
【0025】
物品管理システム制御サーバ1での梱包箱60と梱包箱60内の商品との紐付け方法は、以下のとおりである。図2の梱包箱管理用テーブル400は、物品管理システム制御サーバ1の記録装置に格納される梱包箱と梱包箱内の商品とを紐付けするための情報が格納されるテーブルであり、梱包箱毎に存在し管理されるテーブルである。梱包箱管理用テーブル400は、梱包箱管理用電子タグのICチップ300にも記録されている梱包箱を特定するための梱包箱IDと、梱包箱内に梱包されている全ての商品にそれぞれ添付されている商品管理用電子タグのICチップ200乃至205に記録されている、商品を特定するための商品IDと、その他梱包箱のサイズ情報等からなるレコードの集合体となっている。
【0026】
物品管理システム制御サーバ1は、リーダ・ライタ10を制御し、リーダ・ライタ10と梱包箱管理用電子タグ300を無線通信させ、リーダ・ライタ10を通して梱包箱管理用電子タグ300の梱包箱IDを取得する。物品管理システム制御サーバ1は、この取得した梱包箱IDに関する梱包箱管理用テーブル400を参照し、梱包箱管理用テーブル400の商品IDの一覧を確認することで、梱包箱内にどの商品IDの商品が梱包されているかを確認することができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、梱包箱管理用テーブル400は、物品管理システム制御サーバ1の記録装置内に記録されるとしたが、梱包箱管理用電子タグ300のICチップ内に記録し、物品管理システム制御サーバ1は、梱包箱管理用電子タグ300から商品IDの一覧を取得しても良い。
【0028】
図3の商品管理用テーブル401は、物品管理システム制御サーバ1の記録装置に格納される商品IDと商品の内容を紐付けするための情報が格納されるテーブルであり、商品毎に存在し管理されるテーブルである。商品管理用テーブル401は、商品管理用電子タグのICチップ200乃至205に記録されている商品を特定するための商品IDと、商品コード、メーカコードといった、各商品に関するレコードの集合体である。物品管理システム制御サーバ1は、リーダ・ライタ10を制御して、リーダ・ライタ10と商品管理用電子タグを無線通信させ、リーダ・ライタ10を通して商品管理用電子タグの商品IDを取得する。物品管理システム制御サーバ1は、この取得した商品IDに関する商品管理用テーブル401を参照することで、どのような商品かを確認することができる。なお、本実施形態においては、商品IDと梱包箱IDは、最上位桁の数値が異なる等の方法により、両者を区別できるコード体系になっているものとする。また、本実施形態においては、商品管理用テーブル401は、物品管理システム制御サーバ1の記録装置内に記録されるとしたが、商品管理用タグのICチップ内に記録し、物品管理システム制御サーバ1は、商品管理用タグから商品情報を取得しても良い。
【0029】
<物品管理システムの動作>
次に、物品に添付されていた電子タグが物品から剥がれ、物品のみが欠損し、物品に紐付く電子タグとはリーダ・ライタと通信できてしまう状況においても、物品の欠損を検知する方法について説明する。
【0030】
1)全体動作(概要)
図4は、本実施形態の商品管理用電子タグ通信状態を取得するための処理(全体)を説明するためのフローチャートである。ここで、本実施形態における商品管理用電子タグ通信状態とは、商品管理用電子タグと通信する際のリーダ・ライタの通信パラメータを可変させ、各通信パラメータにおいて梱包箱内の全ての商品管理用電子タグと通信を試みたときの、商品管理用電子タグ毎の読取率に関する情報全体を意味する。また、ここで、読取率とは、リーダ・ライタと電子タグ間で無線通信する際、リーダ・ライタが電子タグ制御用コマンドを電子タグに複数回発行したときに、各コマンドに対する電子タグの応答を、リーダ・ライタが受信成功した割合をいう。
【0031】
本実施形態においては、リーダ・ライタの通信パラメータとは、リーダ・ライタ用アンテナが複数ある場合は、使用するリーダ・ライタ用アンテナの番号と、そのリーダ・ライタ用アンテナの設置角度とリーダ・ライタが無線通信する際の電磁波の出力(強度)である。また、本実施形態において商品管理用電子タグ毎の読取率とは、リーダ・ライタから商品ID応答コマンドを通信対象となっている商品管理用電子タグに複数回送信したときのリーダ・ライタが通信対象となっている商品管理用電子タグからの応答受信に成功した割合である。
【0032】
なお、商品ID応答コマンドを発行する前に、リーダ・ライタから商品管理用電子タグ選択コマンドを発行し、商品IDをフィルタ用のマスク値として、複数の商品管理用電子タグの中からこのマスク値と一致した商品IDをもつ商品管理用電子タグのみと通信できる状態にした上で、商品ID応答コマンドを発行するものとする。
【0033】
図4において、リーダ・ライタと各電子タグとの通信環境を一定とするため、電磁波遮蔽箱60内の規定の位置に梱包箱60が設置され、物品管理システム制御サーバ内の制御部(CPU)が梱包箱60の設置を検知する(ステップS001)。規定の位置に設定する方法としては、電磁波遮蔽箱60の中心と梱包箱60の中心が一致し、梱包箱管理用電子タグ300がリーダ・ライタ用アンテナ41側となるように設置すればよい。また、検知の方法は、センサを用いても良いし、利用者が設置し電磁波遮蔽箱の蓋を閉めた後に検品スタートをシステムに指示し、その指示信号を制御部が受信することにより検知してもよい。
【0034】
梱包箱60を規定の位置に設置後、制御部は、リーダ・ライタの通信パラメータであるリーダ・ライタ用アンテナと、リーダ・ライタ用アンテナの設置角度と、リーダ・ライタの電磁波の出力を規定の初期値に設定する(ステップS002)。本実施形態においては、初期値に関しては、リーダ・ライタ用アンテナ40及び41の設置角度を0度とし、リーダ・ライタの電磁波の出力を28dBmとする。ここで、リーダ・ライタの通信パラメータの1つである、リーダ・ライタ用アンテナの設置角度は、本システムの上面図である図5の時計回りの方向を正の向きとし、リーダ・ライタ用アンテナ40とリーダ・ライタ用アンテナ41が向かいあった状態を0度とする。本実施形態においては、各リーダ・ライタ用アンテナともに、−60度から60度まで、30度ごとに変更できるものとする。また、もう1つのリーダ・ライタの通信パラメータである電磁波の出力については、28dBmから4dBmまで、3dBmずつ変化させるものとする。
【0035】
通信パラメータを初期値に設定後、詳細は後述するが、制御部は、商品ID確認処理を行う(ステップS003)。そして、制御部は、梱包箱管理用電子タグ300の梱包箱IDに対応する梱包箱管理用テーブル400を参照し、梱包箱60内の商品管理用電子タグの商品IDを全て取得できたことを確認する(ステップS004)。
【0036】
全ての商品IDが取得できた場合は、詳細は後述するが、制御部は、商品管理用電子タグ通信状態取得処理を行ない、商品管理用電子タグの通信状態を取得する(ステップS005)。一方、全ての商品IDが取得できなかった場合は、制御部は、物品管理システム制御サーバ用モニタ2に警告を表示する(ステップS006)。
【0037】
2)商品ID確認処理の詳細
続いて、商品ID確認処理(ステップS003)の詳細について説明する。図6は、商品ID確認処理を説明するためのフローチャートである。リーダ・ライタの通信パラメータを初期値の設定で、リーダ・ライタ10は、梱包箱管理用電子タグ300と無線通信し、梱包箱管理用電子タグ300の梱包箱IDを取得する(ステップS101)。そして、物品管理システム制御サーバ1内の制御部は、取得した梱包箱IDを参照キーとして、梱包箱IDに対応する梱包箱管理用テーブル400を参照し、このテーブル内に記録されている梱包箱内の全ての商品に関する商品IDを取得する(ステップS102)。この段階では、まだ実際に各電子タグは読み取られておらず、各商品の情報は取得されていない。
【0038】
制御部は、梱包箱60内の商品に付与されている電子タグの商品IDから商品情報を全て取得したか判断する(ステップS103)。全て取得できている場合には処理は終了し、全て取得できていない場合には処理はステップS104に移行する。
【0039】
制御部は、梱包箱管理用テーブルから梱包箱内のすべての商品IDを取得後、取得した商品IDの中からまだリーダ・ライタ10と商品管理用電子タグとで無線通信していない商品管理用電子タグの商品IDを選択する。この選択した商品IDの値をフィルタリング用のマスク値として、複数の商品管理用電子タグの中からこの選択した商品IDの値を持つ商品管理用電子タグのみと、リーダ・ライタ10とを無線通信させ、この電子タグから商品IDに対応する商品情報を取得する(ステップS104、S105)。そして、商品ID取得後、梱包箱管理用テーブルから取得した商品IDの中で、リーダ・ライタ10と商品管理用電子タグとで無線通信していない商品IDがなくなるまで、上記処理(S104、S105)を繰り返し行ない、梱包箱60内の全ての商品に関する商品IDから商品情報を取得する。
【0040】
なお、図6に示される処理においては、フィルタリングにより商品管理用電子タグを1つずつ選択して、商品管理用電子タグから商品IDを取得したが、アンチコリジョンにより一括して商品管理用電子タグと無線通信し、一括して商品IDを取得しても良い。
【0041】
3)商品管理用電子タグ通信状態取得処理の詳細
次に、商品管理用電子タグ通信状態取得処理(ステップS005)の詳細について説明する。図7は、商品管理用電子タグ通信状態取得処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0042】
まず、物品管理システム制御サーバ1内の制御部は、未使用(未設定)のリーダ・ライタ用のアンテナがあるか否か、及び未使用(未設定)のアンテナの角度パターンがあるか否かについて判断する(ステップS301)。全てのアンテナ及びアンテナ角度パターンについて計測実行済の場合には、処理は終了する。
【0043】
未使用のアンテナ、アンテナ角度がある場合には、制御部は、リーダ・ライタ10に対して、未使用のリーダ・ライタ用アンテナ、リーダ・ライタ用アンテナの設置角度、及び、無線通信時にリーダ・ライタから放射される電磁波の出力値を、通信パラメータとして設定するように指示(制御)する(ステップS302)。なお、リーダ・ライタ用アンテナの設置角度については、アンテナの設置角度を変更する替わりに、電気的にアンテナ主軸方向を変更しても良い。
【0044】
そして、制御部は、設定されているアンテナ角度において、全ての出力パターンで測定を実施したか否かを判断する(ステップS303)全て実施済の場合には処理はステップS301に移行し、実施済でない場合には処理はステップS304に移行する。
【0045】
ステップS304では、制御部は、未設定のリーダ・ライタの出力値に設定するようにリーダ・ライタ2に対して指示する。
【0046】
通信パラメータ設定後、リーダ・ライタ10は、梱包箱内の全ての商品管理用電子タグに関する読取率を取得する。リーダ・ライタ10は、制御部による制御に従って、梱包箱管理用テーブルから取得した商品IDの中で、まだ読取率を取得していない商品IDを1つ選択し、この商品IDの値をフィルタリング用のマスク値として、複数の商品管理用電子タグの中から、この選択した商品IDの値を持つ商品管理用電子タグのみと無線通信する。リーダ・ライタ10は、制御部による制御に従って、通信対象となっている商品管理用電子タグに、商品ID応答コマンドを複数回送信して、この商品管理用電子タグの読取率を取得する(ステップS306、S307)。取得した読取率は、商品管理用電子タグの通信状態保管テーブル500に記録し保管する(ステップS308)。
【0047】
なお、上記読取率取得に関する処理においては、フィルタリングにより商品管理用電子タグを1つずつ選択して商品管理用電子タグの読取率を取得したが、アンチコリジョンにより一括して商品管理用電子タグと無線通信し、一括して読取率を取得しても良い。
【0048】
設定したリーダ・ライタ10の通信パラメータの条件で、上記読取率取得処理と同様にして、梱包箱管理用テーブルから取得した商品IDの中で、読取率を取得していない商品IDの商品管理用電子タグがなくなるまで、制御部は、上記処理(ステップS306、S307及びS308)を繰り返し行う。
【0049】
制御部は、設定したリーダ・ライタ10の通信パラメータの条件で、梱包箱60内の全ての商品管理用電子タグに関する読取率を取得後、未使用のリーダ・ライタ用アンテナ、リーダ・ライタ用アンテナの設置角度、及び、無線通信時におけるリーダ・ライタの電磁波の出力値に、リーダ・ライタ10の通信パラメータを変更する。また、制御部は、リーダ・ライタ10の通信パラメータ変更後、再度、梱包箱60内の全ての商品管理用電子タグに関する読取率を取得し、未使用のリーダ・ライタの通信パラメータが無くなるまで、上記処理(ステップS305、S306、S307及びS308)を繰り返す。
【0050】
4)通信状態の具体例
図8は、商品管理用電子タグの通信状態の具体例を示すテーブル図である。通信状態保管テーブル500は、各リーダ・ライタの通信パラメータにおいて、各商品管理用電子タグの読取率を格納したテーブルである。例えば、商品管理用電子タグの通信状態保管テーブルの左から2列目は、リーダ・ライタ用アンテナ40を使用し、アンテナ設置角度を−60度とし、リーダ・ライタから放射される電磁波の出力を28dBmとしたときの、各商品管理用電子タグの読取り率であり、例えば、商品ID0001の商品管理用電子タグの読取率は90%、商品ID0002の商品管理用電子タグの読取率は73%となっている。
以上が、本実施形態の商品管理用電子タグ通信状態を取得するための処理手順例である。
【0051】
5)物品の異常検知の方法
続いて、商品管理用電子タグ通信状態を比較することにより、物品に紐付く電子タグと通信できる状況においても、物品の欠損等の異常を検知する方法について説明する。
【0052】
本実施形態においては、商品の欠損がなく、かつ、全ての商品に商品管理用電子タグが添付されている状態を基準状態とする。図1の状態は、梱包箱60内の全ての商品に、商品管理用電子タグが添付されている状態のため、本実施形態における基準の状態に相当する。
【0053】
物品管理システム制御サーバ1内の制御部は、リーダ・ライタ10を制御して、あらかじめこの基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態を取得し、基準の通信状態を保管するための商品管理用電子タグの通信状態保管テーブルに記録しておく。
【0054】
一方、図9の状態は、商品102に添付されていた商品管理用電子タグ202が、商品102から剥がれ、商品102のみ梱包箱60から取り除かれた状態である。図9の状態では、梱包箱60内に商品102は存在しないが商品管理用電子タグ202が梱包箱60内にあるため、この電子タグと通信できる状態である。このため、商品管理用電子タグ202の応答の有無による商品の有無を判別する方法では、商品102が梱包箱60内に存在すると誤認してしまう。
【0055】
しかし、本発明においては、このような場合であっても、商品管理用電子タグ通信状態の差異により検知するため、商品の有無を判別することができる。具体的には、以下の通りである。
【0056】
図9の状態においても、梱包箱60内に商品管理用電子タグ202が存在するので、商品管理用電子タグの読取率は0%にはならない。しかし、図9の状態においては商品管理用電子タグ202が添付されていた商品102が梱包箱60内に存在しないため、商品管理用電子タグの指向性や電子タグのICチップと電子タグのアンテナ間でのインピーダンスといった商品管理用電子タグの通信特性が変化する。また、梱包箱60内から商品102が存在しないことにより、電磁波遮蔽箱50内の電波特性が、図1の状態から変化する。これらの結果として、図9の状態における商品管理用電子タグ202の読取率は、図1の状態における読取率とは異なる値になる。同様に、その他の商品管理用電子タグの読取率も、図1から変化する。したがって、図9の状態での商品管理用電子タグの通信状態は、図1の状態での商品管理用電子タグの通信状態、すなわち、基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態と異なる。
【0057】
図10と図11は、商品管理用電子タグの通信状態が異なる一例である。図10は、商品管理用電子タグ202に関する基準の通信状態記録用の通信状態保管テーブル501を示している。当該テーブル501は、基準の通信状態を格納している商品管理用電子タグの通信状態保管テーブルにおいて、商品管理用電子タグ202に関するデータのみを抜粋したテーブルである。一方、図11は、商品のみ梱包箱から抜き取られたときの商品管理用電子タグ202に関する通信状態保管テーブル502を示している。当該テーブル502は、梱包箱から商品のみ抜き取られたときの商品管理用電子タグの通信状態を格納する商品管理用電子タグの通信状態保管テーブルにおいて、商品管理用電子タグ202に関するデータのみを抜粋したテーブルである。
【0058】
図10の通信状態保管テーブル501における、リーダ・ライタ10の各通信パラメータに対応する商品管理用電子タグ202の読取率と、通信状態保管テーブル502における、リーダ・ライタ10の各通信パラメータに対応する商品管理用電子タグ202の読取率は、商品管理用電子タグ周りの電波特性が変化したため、異なる値になっている。
【0059】
したがって、商品のみが欠損し商品管理用電子タグが梱包箱60内に残っている状況においても、商品管理用電子タグ周りの電波特性の変化による商品管理用電子タグの読取率の変化を検知することにより、商品の欠損を検知することができる。
【0060】
以上が本実施形態における物品の欠損等の異常を検知する方法であるが、図12を用いて物品の欠損等の異常を検知するための具体的処理について説明する。
【0061】
まず、入出荷検品や棚卸の商品の検査時に、物品管理システム制御サーバ1内の制御部の制御により、リーダ・ライタ10は、商品管理用電子タグと無線通信し、商品管理用電子タグの通信状態を取得する(ステップS401)。
【0062】
続いて、制御部は、入出荷検品や棚卸の商品の検査時に取得した商品管理用電子タグの通信状態と、あらかじめ取得し記録しておいた基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態から相関関数Rを算出する(ステップS402)。相関関数Rは、基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態と、比較対照の商品管理用電子タグの通信状態との類似度を定量的に示す数値である。
【0063】
【数1】

【0064】
式1は、相関関数Rの算出するための演算式である。式1において、fは基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態の要素である。すなわち、基準の状態における、リーダ・ライタの各種通信パラメータ毎の各商品管理用電子タグの読取率である。また、gは商品検品時における商品管理用電子タグの通信状態の要素である。すなわち、商品検品時における、リーダ・ライタの各種通信パラメータ毎の各商品管理用電子タグの読取率である。式1における添え字i、j、k、lは、それぞれ、リーダ・ライタ用アンテナの番号、リーダ・ライタ用アンテナの設置角度、リーダ・ライタからの電磁波の出力値、商品管理用電子タグの商品IDに関するパラメータである。式1で定義される相関関数Rは、0から1の範囲の値をとり、基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態と商品検品時の電子タグの通信状態が類似するほど1の値に近づく。基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態と、商品検品時の商品管理用電子タグの通信状態が完全に一致した場合、相関関数Rは1の値になる。
【0065】
以上のことから、商品検品時に商品の欠損がない場合は、商品検品時の商品管理用電子タグの通信状態が、基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態と一致し、相関関数Rは1(理想状態)となる。このことを利用して、本実施形態においては、相関関数Rが所定の閾値以上の場合、商品検品時の商品管理用電子タグの通信状態が、基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態から変化していないことを意味するので、制御部は、商品の欠損等がない正常の状態であると判断する(ステップS403、S404)。
【0066】
一方、相関関数Rがある閾値以下の場合、商品検品時の商品管理用電子タグの通信状態が、基準となる通信状態から変化していることを意味するので、制御部は、商品の欠損等の異常が発生していると判断し、物品管理システム制御サーバ用モニタ2に警告を表示する(ステップS405)。
【0067】
なお、相関関数Rの閾値として1を選択しない理由は、実際の電子タグを用いた物品管理システムの利用においては、商品の位置ずれ等がわずかに発生するため、物品の欠損がない場合であっても相関関数が1にならないことがあるからである。
【0068】
また、相関関数Rについては、商品検品時における商品管理用電子タグの通信状態の要素を、離散コサイン変換したものでも良い。また、計算を簡略化するため、商品検品時における商品管理用電子タグの通信状態の要素を主成分分析し、上位の主成分のみを扱っても良い。
【0069】
<実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、商品に添付されていた商品管理用電子タグが商品から剥がれ、商品のみが欠損し、商品管理用電子タグとリーダ・ライタが通信できてしまう状況においても、商品の欠損等の異常を検知することができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態保管テーブルは、物品管理システム制御サーバ1の記録装置内に記録されるとしたが、梱包箱管理用電子タグのICチップ内に記録し、物品管理システム制御サーバ1は、梱包箱管理用電子タグから基準の状態における商品管理用電子タグの通信状態を取得しても良い。
【0071】
また、本実施形態においては、遮蔽箱外界からのノイズとなる電磁波を遮断するため、電磁波遮蔽箱50を設置する構成としたが、電磁波遮蔽箱50は無くても良い。
【0072】
また、本実施形態においては、商品管理用電子タグ周りの電波特性の変化による商品管理用電子タグの読取率の変化を検知することにより商品の欠損を検知したが、電子タグの読取率の変化ではなく、リーダ・ライタが受信した電子タグからの応答信号の受信強度の変化を検知することにより、商品の欠損を検知する方法でも良い。
【0073】
読取率と同様、商品管理用電子タグ周りの電波特性の変化により、リーダ・ライタが発行する電子タグ制御用コマンドに対する電子タグの応答信号の強度が変化する。そのため、読取率の替わりに、電子タグと無線通信するリーダ・ライタに関する各種通信条件における応答信号の受信強度を取得し、この受信強度に関する情報を電子タグの通信状態とした場合においても、読取率に関する通信状態と同様の方法で、電子タグの応答信号の受信強度に関する通信状態の相関関数を算出し、この値を判定することで通信状態の変化を検知し、商品に添付されていた商品管理用電子タグが商品から剥がれ、商品のみが欠損し、商品管理用電子タグとリーダ・ライタが通信できてしまう状況においても、商品の欠損等の異常を検知することができる。
【0074】
なお、通信状態を、電子タグと無線通信するリーダ・ライタに関する各種通信条件毎における読取率と電子タグの応答信号の受信強度から構成させ、この通信状態の変化を検知することにより商品の欠損等の異常を検知しても良い。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0076】
例えば、物品の流通経路における各物流拠点において、各拠点にて物品構成を変更しながら物品が流通する場合や、盗難等によって途中経路で物品構成が変更された場合であっても、流通を継続する場合は、基準の状態における物品に紐づく電子タグの通信状態を、物品構成変更時に随時修正しても良い。
【0077】
また、本発明の特徴は、物品の欠損等の変化を、物品管理用の電子タグ周辺の電波特性の変化による電子タグの読取率の変化として検知することである。よって、消費者が棚から商品を取ったが、すぐに商品を棚に戻した、などの一連の消費者活動を記録することが期待されるスマートシェルフといった、随時商品の状況を監視することが目的とされる用途においても、本発明は適用可能である。具体的な例で、スマートシェルフの場合においては、随時、各商品に添付された電子タグとリーダ・ライタで無線通信し、各電子タグの読取率を記録する。読取率が変化した電子タグに紐づく商品に関しては、商品が棚から一時的に移動したと判定する。このようにして、棚上の商品の状況を随時監視することができる。なお、スマートシェルフ等の随時商品を監視する用途においては、基準の状態における物品に紐づく電子タグの通信状態を設定しなくても良く、単に電子タグの通信状態を定期的に取得し、通信状態に変化が発生したときに警告を発しても良い。
【0078】
なお、本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0079】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0080】
また、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明による実施形態の電子タグを用いた物品管理システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態の梱包箱管理用テーブル例を示す図である。
【図3】本実施形態の商品管理用テーブル例を示す図である。
【図4】本実施形態の商品管理用電子タグ通信状態を取得する処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態の電子タグを用いた物品管理システムの上面図である。
【図6】本実施形態の商品ID確認処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施形態の商品管理用電子タグ通信状態取得処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態の商品管理用電子タグの通信状態保管テーブル例を示す図である。
【図9】本実施形態の商品のみ梱包箱から抜き取られたときの電子タグを用いた物品管理システムの概観図である。
【図10】本実施形態における基準の通信状態保管テーブルの商品管理用電子タグ202に関するデータの抜粋図である。
【図11】本実施形態の商品のみ梱包箱から抜き取られたときの通信状態保管テーブルの商品管理用電子タグ202に関するデータの抜粋図である。
【図12】本実施形態における物品の欠損等による異常を検知するための処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1…物品管理システム制御サーバ
2…物品管理システム制御サーバ用モニタ
10…リーダ・ライタ
20…物品管理システム制御サーバ−リーダ・ライタ接続用信号線
30、31…リーダ・ライタ用アンテナケーブル
40、41…リーダ・ライタ用アンテナ
50…電磁波遮蔽箱
60…梱包箱
100、101、102、103、104、105…商品
200、201、202、203、204、205…商品管理用電子タグ
300…梱包箱管理用電子タグ
400…梱包箱管理用テーブル
401…商品管理用テーブル
500…商品管理用電子タグの通信状態保管テーブル
501…基準の商品管理用電子タグ202に関する通信状態保管テーブル
502…商品のみ梱包箱から抜き取られたときの商品管理用電子タグ202に関する通信状態保管テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の物品に、無線通信可能な物品管理用の電子タグを添付し、この電子タグと通信することで物品の管理を行う物品管理システムであって、
電子タグと無線通信を行い、前記電子タグの情報を取得するリーダ・ライタと、
前記電子タグとの無線通信の基準の通信状態情報を記憶する基準通信状態情報記憶部と、
検品時に、管理対象の物品における電子タグと前記リーダ・ライタとの無線通信の結果と、前記基準の通信状態情報を比較し、この比較結果に基づいて、前記管理対象の物品の状態を判定する処理部と、を備え、
前記基準の通信状態情報は、前記リーダ・ライタに関する所定の通信条件において、前記電子タグと前記リーダ・ライタとで予め無線通信して得られた、前記リーダ・ライタと前記電子タグ間で複数回無線通信した際の通信成功率である読取率と、前記リーダ・ライタが受信した前記電子タグからの応答信号の受信強度のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記基準の通信状態情報を取得したときと同じ通信条件下で前記管理対象の物品と前記電子タグを無線通信することにより得られた通信結果と、前記基準の通信状態情報を比較することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記通信結果と前記基準の通信状態情報との差が所定閾値以上ある場合には、前記管理対象の物品に異常が発生したと判定することを特徴とする請求項2に記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記管理対象の物品の状態を表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項5】
前記リーダ・ライタに関する所定の通信条件は、前記リーダ・ライタのアンテナと、前記リーダ・ライタのアンテナ設置位置と、前記リーダ・ライタのアンテナ角度と、前記リーダ・ライタのアンテナ主軸方向と、前記リーダ・ライタから放射される電磁波の強度のうち何れか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記管理対象の物品における前記電子タグより当該物品のIDを取得した場合に、前記基準の通信状態情報との比較処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項7】
前記処理部は、前記所定の通信条件下において、基準状態における前記読取率と前記物品の検品時に取得した前記読取率との積、及び、基準状態における前記応答信号の受信強度と前記物品の検品時に取得した前記応答信号の受信強度との積の少なくともいずれか1つから算出される相関関数の値により、前記管理対象の物品の状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1に記載の物品管理システムとして機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−37075(P2010−37075A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203572(P2008−203572)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】