説明

物品管理方法、及び、物品管理システム

【課題】 物品の流通経路を追跡する処理に掛かる時間を軽減させる。
【解決手段】 ある地点の端末が、所定の物品群の追跡指示を、当該物品群の流通に拘わる隣接地点の全ての上流側又は下流側端末の一方に送信するステップと、それを受けた第一の受信端末の各々が、指示端末に接続情報を送信すると共に、指示端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信する第一の受信端末ステップと、それを受けた端末の各々が、接続情報を送信すると共に、第一の受信端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信する第二の受信端末ステップと、第一及び第二の受信端末ステップを繰り返して実行する繰り返しステップと、指示端末が、収集された複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算するステップとを含んだ方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上流側端末が設置された上流地点から、それに隣接した、下流側端末が設置された下流地点に至る区間を連鎖的に接続した経路を移動する物品を管理する物品管理方法、及び、物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば農作物や食肉等を始めとする食料品の安全性や信頼性を確保するためにWebサーバや各物品に取り付けられたICタグ等に各流通段階の情報を蓄積してデータベース化し、それらを用いることによってその物品の流通経路履歴等のトレーサビリティ情報を消費者等に閲覧させることができるシステムが知られている(例えば特許文献1)。このシステムを用いると、管理対象物品が流通経路の途中で複数(例えば一つの枝肉が複数部位の部分肉)に分割される場合であってもそれに柔軟に対応できるため、複雑に分岐された経路で流通された物品の管理を容易に行うことができる。
【特許文献1】特開2004−213477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、上記特許文献1に示されたようなシステムを用いて例えば管理対象物品の流通経路を追跡する場合、一般に、追跡依頼元の端末が、全ての流通地点にある端末と相互通信して各流通段階の情報を受け取り(例えば依頼元端末が、全ての端末に対して照会情報を送信し、それに呼応した端末から送信された経路情報等を受信する)、それらの収集された情報を用いて流通経路履歴を取得する処理を行っていると考えられる。
【0004】
しかしながら上述の如き追跡処理を実行した場合、依頼元端末と各端末とが相互通信する必要があることから、依頼元端末に負荷が集中的に掛かる。従って追跡処理に時間が掛かるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、物品の流通経路を追跡する処理に掛かる時間を軽減させることができる物品管理方法、及び、物品管理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る物品管理方法は、上流側端末が設置された上流地点から、それに隣接した、下流側端末が設置された下流地点に至る区間を連鎖的に接続した経路を移動する物品を管理する方法であり、各地点の端末が、互いにネットワークで接続され、少なくとも一の物品から成る物品群であって、自身を経由した全ての物品群の各々に対して、それぞれ対応する物品群の流通に拘わる隣接地点とのリンクを確立させるための接続情報を関連付けて記憶しており、ある地点の端末が、所定の物品群の流通経路の追跡指示を、当該物品群の流通に拘わる隣接地点の全ての上流側端末又は全ての下流側端末の何れか一方に送信する追跡指示ステップと、該追跡指示を受けた第一の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、該追跡指示を送信した指示端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた対象物品群接続情報を送信すると共に、指示端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信する第一の受信端末ステップと、第一の受信端末から該追跡指示を受けた第二の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、指示端末に自身の持つ対象物品群接続情報を送信すると共に、第一の受信端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信する第二の受信端末ステップと、第一及び第二の受信端末ステップを繰り返して実行する繰り返しステップと、指示端末が、繰り返しステップを実行して収集した複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算する流通経路演算ステップとを含む方法である。
【0007】
なお、上記物品管理方法において、該追跡指示は、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、指示端末の宛先、及び、追跡指示送信先の端末に対して自身が上流地点又は下流地点の何れかに位置するかを示した位置情報を含んだものであっても良い。また、各端末に記憶された各物品群の該接続情報は、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方を含んだものであっても良い。この場合、第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該位置情報に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を指示端末に送信することができる。
【0008】
また、上記物品管理方法において、該追跡指示は、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、指示端末の宛先、及び、追跡方向を含んだものであっても良い。また、各端末に記憶された各物品群の該接続情報は、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方を含んだものであっても良い。この場合、第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該追跡方向に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を指示端末に送信することができる。
【0009】
また、上記物品管理方法において、該経路の少なくとも一の先端地点に設置された最上流端末の該接続情報は、地点情報として該出荷先地点情報のみを含んだものであっても良く、該経路の少なくとも一の末端地点に設置された最下流端末の該接続情報は、地点情報として該搬出元地点情報のみを含んだものであっても良く、先端地点及び末端地点以外に設置された、該経路の少なくとも一の中継端末の該接続情報は、地点情報として該出荷先地点情報及び該搬出元地点情報を含んだものであっても良い。
【0010】
また、上記物品管理方法において、追跡指示を受信した端末が、自身の階層情報とユニークな情報から成る第一のアドレスを生成し、当該第一のアドレスを、追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると同時に、該接続情報と共に指示端末に送信することができる。また、該第一のアドレスを受信した端末が、該第一のアドレスに対して自身の階層情報とユニークな情報を付加した第二のアドレスを生成し、当該第二のアドレスを、追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると同時に、該接続情報と共に指示端末に送信することもできる。また、指示端末が、受信した各アドレスに含まれている階層情報及びユニークな情報に基づいて各地点情報を配列して表示するもできる。表示された地点情報の何れかが選択されたとき、指示端末が、選択された地点に設置された端末にアクセスし、当該端末が有した所定の情報を取得することもできる。
【0011】
また、上記物品管理方法において、繰り返しステップが下流側端末から上流側端末に対して実行されている場合、最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、指示端末に対し、該接続情報に加え、繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信することができる。なお、このような上記物品管理方法は、最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信する逆追跡指示送信ステップと、該追跡指示を受けた第三の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信する第三の受信端末ステップと、第三の受信端末から該追跡指示を受信した第四の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信する第四の受信端末ステップと、第三及び第四の受信端末ステップを繰り返して実行する第二の繰り返しステップと、最上流端末が、第二の繰り返しステップを実行して収集した複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算する第二の流通経路演算ステップとを更に含む方法であっても良い。このとき、最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、最上流端末に対し、該接続情報に加え、第二の繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信することができる。
【0012】
また、上記物品管理方法において、繰り返しステップが上流側端末から下流側端末に対して実行されている場合、最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、指示端末に対し、該接続情報に加え、繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信することができる。なお、このような上記物品管理方法は、最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信する逆追跡指示送信ステップと、該追跡指示を受けた第五の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信する第五の受信端末ステップと、第五の受信端末から該追跡指示を受信した第六の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信する第六の受信端末ステップと、第五及び第六の受信端末ステップを繰り返して実行する第三の繰り返しステップと、最下流端末が、第三の繰り返しステップを実行して収集した複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算する第三の流通経路演算ステップとを更に含む方法であっても良い。このとき、最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、最下流端末に対し、該接続情報に加え、繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信することができる。
【0013】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る物品管理システムは、上流側端末が設置された上流地点から、それに隣接した、下流側端末が設置された下流地点に至る区間を連鎖的に接続した経路を移動する物品を管理するシステムであり、各地点の端末が、互いにネットワークで接続され、少なくとも一の物品から成る物品群であって、自身を経由した全ての物品群の各々に対して、それぞれ対応する物品群の流通に拘わる隣接地点とのリンクを確立させるための接続情報を関連付けて記憶しており、ある地点の端末が、所定の物品群の流通経路の追跡指示を、当該物品群の流通に拘わる隣接地点の全ての上流側端末又は全ての下流側端末の何れか一方に送信し、該追跡指示を受けた第一の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、該追跡指示を送信した指示端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた対象物品群接続情報を送信すると共に、指示端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信し、第一の受信端末から該追跡指示を受けた第二の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、指示端末に自身の持つ対象物品群接続情報を送信すると共に、第一の受信端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信し、第一及び第二の受信端末での処理が繰り返し実行されて指示端末に複数の該接続情報が収集されると、指示端末が、それらの該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算することを特徴とする。
【0014】
なお、上記物品管理システムにおいて、該追跡指示は、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、指示端末の宛先、及び、追跡指示送信先の端末に対して自身が上流地点又は下流地点の何れかに位置するかを示した位置情報を含んだものであっても良い。また、各端末に記憶された各物品群の該接続情報は、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方を含んだものであっても良い。この場合、第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該位置情報に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を指示端末に送信することができる。
【0015】
また、上記物品管理システムにおいて、該追跡指示は、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、指示端末の宛先、及び、追跡方向を含んだものであっても良い。また、各端末に記憶された各物品群の該接続情報は、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方を含んだものであっても良い。この場合、第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該追跡方向に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を指示端末に送信することができる。
【0016】
また、上記物品管理システムにおいて、該経路の少なくとも一の先端地点に設置された最上流端末の該接続情報は、地点情報として該出荷先地点情報のみを含んだものであっても良く、該経路の少なくとも一の末端地点に設置された最下流端末の該接続情報は、地点情報として該搬出元地点情報のみを含んだものであっても良く、先端地点及び末端地点以外に設置された、該経路の少なくとも一の中継端末の該接続情報は、地点情報として該出荷先地点情報及び該搬出元地点情報を含んだものであっても良い。
【0017】
また、上記物品管理システムにおいて、追跡指示を受信した端末が、自身の階層情報とユニークな情報から成る第一のアドレスを生成し、当該第一のアドレスを、追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると同時に、該接続情報と共に指示端末に送信することができる。また、該第一のアドレスを受信した端末が、該第一のアドレスに対して自身の階層情報とユニークな情報を付加した第二のアドレスを生成し、当該第二のアドレスを、追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると同時に、該接続情報と共に指示端末に送信することもできる。また、指示端末が、受信した各アドレスに含まれている階層情報及びユニークな情報に基づいて各地点情報を配列して表示するもできる。表示された地点情報の何れかが選択されたとき、指示端末が、選択された地点に設置された端末にアクセスし、当該端末が有した所定の情報を取得することもできる。
【0018】
また、上記物品管理システムにおいて、下流側端末から上流側端末に対して追跡指示が出されている場合、最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、指示端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信することができる。なお、このような上記物品管理システムでは、最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信し、該追跡指示を受けた第三の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信し、第三の受信端末から該追跡指示を受信した第四の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信し、第三及び第四の受信端末での処理が繰り返し実行されて最上流端末に複数の該接続情報が収集されると、最上流端末が、それらの該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算することができる。また、最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、最上流端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信することができる。
【0019】
また、上記物品管理システムにおいて、上流側端末から下流側端末に対して追跡指示が出されている場合、最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、指示端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信することができる。なお、このような上記物品管理システムでは、最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信し、該追跡指示を受けた第五の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信し、第五の受信端末から該追跡指示を受信した第六の受信端末が、該追跡指示に呼応して、最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信し、第五及び第六の受信端末での処理が繰り返し実行されて最下流端末に複数の該接続情報が収集されると、最下流端末が、それらの該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算することができる。また、最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、最下流端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の物品管理方法、及び、物品管理システムでは、追跡調査を依頼する業者の依頼元端末は、一つ上流又は下流に位置する業者の端末だけに照会情報を送信するだけで、追跡対象物品の流通に拘わる全ての端末から流通経路履歴等の情報を受け取ることができる。従って依頼元端末は、それぞれの業者の端末と相互通信する必要がなくなりその負荷が軽減される。この結果、追跡処理に掛かる時間が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による物品管理システムについて説明する。なお、本実施形態の物品管理システムは、牛等の食肉を管理するために用いられているが、このような食料品に限ることなく、工業製品や部品等を始めとする様々な物品を管理するためにも用いられ得る。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態の物品管理システムを利用する各業者を列挙した図である。ここに示されている各業者は、それぞれ、牧場で牛等を飼育している生産者A及びB、生産者から購入した牛等を例えば解体処理する処理業者C及びD、処理業者等によって解体された部分肉を大量に仕入れる卸売業者E及びF、卸売業者から購入した部分肉を小分けにパッキングして一般消費者に販売する小売業者G、及び、卸売業者から購入した部分肉を調理して一般消費者に提供する外食業者Hである。なお、本実施形態では説明を簡略化するため、物品管理システムを利用する業者の数を少なくして示しているが、このような業者の数は実際には図1に示されたものよりも多く、その業種も多様である。
【0023】
生産者A、B、処理業者C、D、卸売業者E、F、小売業者G、外食業者Hは、それぞれ、端末10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10Hを有している。これらの端末は、例えばデスク・トップ等の固定端末、又は、ハンディターミナル等の携帯型端末であり、ネットワーク網100により、有線或いは無線で互いに接続されている。以下、生産者Aが有している端末10Aの構成及び作用について説明する。なお、端末10B〜10Hは端末10Aと実質的に同一の構成を有しているため、端末10B〜10Hにおける端末10Aと同一の構成要素に対しては同様の符号を付し、ここでの端末10Aの説明をもって省略する。
【0024】
図2は、本実施形態の端末10Aの構成を示したブロック図である。端末10Aは、制御部11A、キーボード12A、ROM13A、RAM14A、バーコードリーダ15A、データベース16A、通信部17A、ディスプレイ18A、及び、プリンタ19Aを備えている。
【0025】
制御部11Aは端末10A全体を統括的に制御する。キーボード12Aは、生産者Aが端末10Aの操作を行う為の入力キーである。ROM13Aは、データベース用プログラムを始めとする各種プログラム及びデータを予め記憶している。ROM13Aに記憶されているデータには、例えば業種(例えば「生産業」)、業者名(例えば「A」)、ネットワーク上における自身、物品の仕入れ元及び出荷先業者のアドレス等が含まれる。RAM14Aは、上記プログラムの展開先であり、それに加えて様々なデータを一時的に格納することができる。バーコードリーダ15Aは、例えば牛に取り付けられたバーコード(他の端末10C〜10Hでは、例えば単数又は複数の部分肉を格納した箱やパック等に貼付されたバーコード)を読み取るときに使用される。
【0026】
データベース16Aは、単一のファイルに対して複数のフィールド・データを関連付けて保存する所謂リレーショナル方式のデータベースであり、例えばバーコードリーダ15Aで読み取られた情報をフィールド・データの一つとして保存する。フィールド・データには、例えば、自身の業者名(例えば“自業者名”)、ある物品の仕入れ元業者に関する情報(例えば“仕入れ元業者名”)、その物品の仕入れ元業者で割り当てられたコードであって、他との識別を果たすためのユニークなコード(以下、“仕入れコード”と称する)、その物品の出荷先業者に関する情報(例えば“出荷先業者名”)、その物品を出荷する際に割り当てられるコードであって、他との識別を果たすためのユニークなコード(以下、“出荷先コード”と称する)等が含まれる。
【0027】
通信部17Aは外部機器と通信するためのインターフェースであり、端末10Aは、当該通信部17Aを介して外部に構築されたネットワーク網100により、他の端末10B〜10Hと無線又は有線で通信できるよう接続されている。ディスプレイ18Aは、各種情報を表示することができる。
【0028】
制御部11Aは、ROM13Aに保存されたプログラムを読み出してRAM14Aの所定領域に展開させて実行させる。また、制御部11Aは、ディスプレイ18Aを制御して画像を表示させることにより、生産者Aに対して必要な情報を出力する。生産者Aがキーボード12Aに対して入力操作を行うと、制御部11Aは、当該入力操作を検知し、その検知結果に応じた制御を実行する。
【0029】
次に、図3を参照して、生産者Aから出荷された牛が各業者を経て小売業者Gに流通した際における各業者のデータベースに保存される情報について説明する。
【0030】
先ず、生産者Aは、例えば一頭の牛を処理業者Cに出荷する際に、キーボード12Aを操作して上記データベース用プログラムを起動させる。そして“自業者名”のフィールドが「A」となる新規ファイルを作成するようキーボード12Aを操作して、出荷先すなわち処理業者Cの情報(ここでは出荷先業者名「C」)を“出荷先業者名”のフィールドに入力する。これにより制御部11Aは、ユニークな“出荷コード”「C001」を割り当て、“自業者名”「A」に“出荷コード”「C001」と“出荷先業者名”「C」とを関連付けて単一のファイルFとしてデータベース16Aに保存すると同時に、ファイルFの各フィールド・データに含まれている情報を有したバーコードの画像を作成し、例えばRAM14Aや図示しないメモリに保存する。生産者Aは、プリンタ19Aを用いて上記画像を印刷し、それを出荷予定の牛に取り付けて処理業者Cに出荷する。
【0031】
なお、生産者Aは、ここでの流通経路に関しては最上流の一つに位置する。すなわち生産者Aの観点では牛に対する仕入れ元業者が存在しないため、ファイルFの“仕入れ元業者名”及び“仕入れコード”のフィールドには何のデータも含まれない。
【0032】
生産者Aから出荷された牛が入荷すると、処理業者Cは、端末10Cのバーコードリーダ15Cを使用して上記バーコードの読み取り作業を行う。ここでの読み取り処理がトリガーとなって上記データベース用プログラムが起動し、端末10Cの制御部11Cは、“自業者名”のフィールドが「C」となる新規ファイルを作成して、読み取った情報である「C001」を“仕入れコード”、「A」を“仕入れ元業者名”のフィールド・データとし、これらを関連付けて単一のファイルFとして端末10Cのデータベース16Cに保存する。
【0033】
本実施形態において処理業者Cは、牛を解体して複数の部分肉とし、卸売業者E出荷用の箱(以下、箱Eと略記)と卸売業者F出荷用の箱(以下、箱Fと略記)の各々に、これらの部分肉を要求された数量格納する。そして例えば卸売業者Eに箱Eを出荷する際に、端末10Cのキーボード12Cを操作して上記データベース用プログラムを起動させ、ファイルFを開いて編集できる状態にし、“出荷先業者名”のフィールドに「E」を入力する。これにより制御部11Cは、上記データベース用プログラムによってユニークな“出荷コード”「E001」を割り当て、ファイルFに対して当該“出荷コード”及び“出荷先業者名”「E」の情報を付加してデータベース16Cに保存する。すなわちファイルFは、“自業者名”として「C」、“仕入れコード”として「C001」、“仕入れ元業者名”として「A」、“出荷コード”として「E001」、“出荷先業者名”として「E」を有したデータとなる。また、上記保存処理と同時に制御部11Cは、“自業者名”「C」、“出荷コード”「E001」、及び、“出荷先業者名”「E」の情報を有したバーコードの画像を作成し、例えば端末10CのRAM14Cや図示しないメモリに保存する。処理業者Cは、端末10Cのプリンタ19Cを用いて上記画像を印刷し、それを出荷予定の箱Eに貼付して卸売業者Eに出荷する。
【0034】
また、処理業者Cは、例えば卸売業者Fに箱Fを出荷する際に、キーボード12Cを操作して上記データベース用プログラムを起動させ、ファイルFを開いて編集できる状態にする。ここで、本実施形態のデータベース用プログラムでは、単一のファイルの“仕入れ元業者名”及び“出荷先業者名”のフィールドに対し、複数のデータが入力できる形態となっている。従って処理業者Cは、ファイルFの“出荷先業者名”のフィールドに「F」を入力することができる。これにより制御部11Cは、上記データベース用プログラムによってユニークな“出荷コード”「F002」を割り当て、ファイルFに対して当該“出荷コード”及び“出荷先業者名”「F」の情報を付加してデータベース16Cに保存する。すなわちファイルFは、“自業者名”が「C」であり、“仕入れコード”「C001」及び“仕入れ元業者名”「A」に対し、“出荷コード”「E001」と“出荷先業者名”「E」とが関連付けられて、更に、“出荷コード”「F002」と“出荷先業者名”「F」とが関連付けられたデータとなる。また、上記保存処理と同時に制御部11Cは、“自業者名”「C」、“出荷コード”「F002」、及び、“出荷先業者名”「F」の情報を有したバーコードの画像を作成し、例えば端末10CのRAM14Cや図示しないメモリに保存する。処理業者Cは、プリンタ19Cを用いて上記画像を印刷し、それを出荷予定の箱Fに貼付して卸売業者Fに出荷する。
【0035】
処理業者Cから出荷された箱Eが入荷すると、卸売業者Eは、端末10Eのバーコードリーダ15Eを使用して箱Eのバーコードの読み取り作業を行う。ここでの読み取り処理がトリガーとなって上記データベース用プログラムが起動し、端末10Eの制御部11Eは、“自業者名”のフィールドが「E」となる新規ファイルを作成して、読み取った情報である「E001」を“仕入れコード”、「C」を“仕入れ元業者名”のフィールド・データとし、これらを関連付けて単一のファイルFとして端末10Eのデータベース16Eに保存する。
【0036】
また、卸売業者Eには処理業者Dからも部分肉が入荷する。卸売業者Eが上述と同様の作業を行うと、データベース16Eに、例えば、“自業者名”「E」、“仕入れコード”「E002」、“仕入れ元業者名”「D」を有したファイルF’が保存される。
【0037】
本実施形態において卸売業者Eは、処理業者C及びDからの部分肉を一つの箱に混在させて格納する。そして例えば小売業者Gに上記箱を出荷する際に、端末10Eのキーボード12Eを操作して上記データベース用プログラムを起動させ、ファイルFを開いて編集できる状態にし、“出荷先業者名”のフィールドに「G」を入力する。これにより制御部11Eは、上記データベース用プログラムによってユニークな“出荷コード”「G001」を割り当て、ファイルFに対して当該“出荷コード”及び“出荷先業者名”「G」の情報を付加してデータベース16Cに保存する。ここで、上記箱には処理業者C及びDからの部分肉すなわちファイルF及びF’に対応した物品が格納されており、卸売業者Eがその旨を示した情報を入力すると、ファイルF’のフィールド・データがファイルFに追加される。すなわちファイルFは、“自業者名”が「E」であり、“仕入れコード”「E001」及び“仕入れ元業者名”「C」、“仕入れコード”「E002」及び“仕入れ元業者名”「D」の各々に対し、“出荷コード”「G001」と“出荷先業者名”「G」とが関連付けられたデータとなる。また、上記保存処理と同時に制御部11Eは、“自業者名”「E」、“出荷コード”「G001」、及び、“出荷先業者名”「G」の情報を有したバーコードの画像を作成し、例えば端末10EのRAM14Eや図示しないメモリに保存する。卸売業者Eは、端末10Eのプリンタ19Eを用いて上記画像を印刷し、それを上記箱に貼付して小売業者Gに出荷する。
【0038】
卸売業者Eから出荷された牛が入荷すると、小売業者Gは、端末10Gのバーコードリーダ15Gを使用して上記バーコードの読み取り作業を行う。ここでの読み取り処理がトリガーとなって上記データベース用プログラムが起動し、端末10Gの制御部11Gは、“自業者名”のフィールドが「G」となる新規ファイルを作成して、読み取った情報である「G001」を“仕入れコード”、「E」を“仕入れ元業者名”のフィールド・データとし、これらを関連付けて単一のファイルFとして端末10Gのデータベース16Gに保存する。
【0039】
なお、小売業者Gは、ここでの流通経路に関しては最下流の一つに位置する。すなわち小売業者Gの観点では部分肉を出荷する出荷先業者が存在しないため、ファイルFには“出荷先業者名”及び“出荷コード”のフィールド・データが含まれない。しかしながら一般消費者が各業者と同様の設備を有し且つ物品管理システムを利用する場合には、当該一般消費者を出荷先業者とみなし、ファイルFの“出荷先業者名”のフィールド・データに当該一般消費者の情報を保存するようにしても良い。
【0040】
また、各業者の端末のデータベースのファイルには、物品(牛や部分肉等)に対する詳細情報が入力されるフィールドが含まれている。生産者AやBは、端末を操作し、例えば出荷すべき牛の性別や生年月日、出荷日、与えた餌、飼育方針、品質情報等をファイルFやF等の“詳細情報”のフィールドに保存する。また、処理業者CやDは、牛の入荷日や部分肉の出荷日、処理方法等をファイルFやF等の“詳細情報”のフィールドに保存する。
【0041】
次に、図4〜図8を参照して、本実施形態の物品管理システムを用いた流通経路履歴等のトレーサビリティ情報検索処理について説明する。
【0042】
図4は、本実施形態において小売業者GがファイルFに対応する物品の流通経路の追跡を依頼したときの各業者間のデータの流れを示した図である。また、図5は、所定物品の流通経路の追跡を依頼した業者で実行される依頼元業者処理を示したフローチャートである。また、図6は、依頼元業者以外で上記所定物品の流通に拘わった業者において実行される依頼受け側業者処理を示したフローチャートである。なお、図4において、実線矢印は照会情報(後述)の流れを示し、点線矢印は返信情報(後述)の流れを示す。
【0043】
本実施形態において、小売業者Gが通常複数ある物品の中からファイルFに対応する物品(以下、物品Fと略記)を指定してその流通経路の追跡調査をするよう端末10Gのキーボード12Gを操作すると、制御部11Gは、ファイルFの“仕入れ元業者名”のフィールドを参照してROM13Gを読み込み、物品Fに拘わる全ての仕入れ元業者(ここでは卸売業者Eの端末10E)のネットワーク上のアドレスを取得する(ステップ1、以下、ステップを「S」と略記)。また、今回の追跡処理だけで用いられる自身の暫定的でユニークなアドレス「1」を生成し(S2)、更に照会情報を作成し(S3)、それを上記S1の処理で取得されたアドレス宛すなわち卸売業者Eの端末10Eに送信する(S4)。照会情報送信後、何れかの業者から送信され得る信号を受信待機する(S5)。なお、ここで作成される照会情報には、ファイルFに保存されている“仕入れコード”「G001」、“仕入れ元業者名”「E」、依頼元業者すなわち小売業者Gの端末10Gのネットワーク上のアドレス、追跡方向、上記暫定アドレス「1」が含まれている。ここでの照会情報は小売業者Gに対して上流に位置する卸売業者Eに送信されるものであるため、上記追跡方向は、下流側から上流側に向かうことを示したものとなる。また、上記追跡方向を、小売業者Gが卸売業者Eに対して上流側又は下流側の何れに位置するかを示す位置情報に置き換えることもできる。
【0044】
図6に示されるように、依頼元業者すなわち小売業者G以外の業者(ここでは卸売業者Eの端末10Eとする)は、何れかの業者から送信され得る信号を受信待機している。ここで、S4の処理で送信された照会情報を端末10Eが受信した場合(S101:照会情報)、制御部11Eは、当該照会情報に含まれている暫定アドレス「1」に基づいて、自身の暫定アドレス「1−1」を生成する(S102)。「1−1」において、先頭の「1」は、小売業者Gの暫定アドレスそのものを示す。また、「−」は、依頼元業者である小売業者Gに対する自身の階層を示す。例えば暫定アドレスに含まれている「−」の数が一つの場合、その暫定アドレスに該当する業者が、依頼元業者の一つ上流側又は下流側に存在することを意味する。また、最後尾の「1」は、自身が位置する階層におけるユニークなアドレスである。
【0045】
暫定アドレス生成後、制御部11Eは、受信した照会情報に基づいて返信情報を作成して(S103)、当該照会情報に含まれている依頼元業者のアドレス宛(すなわち小売業者Gの端末10G)に送信する(S104)。説明を加えると、制御部11Eは、照会情報に含まれている“仕入れコード”「G001」に基づいてそれに一致する“出荷コード”を持つファイル(すなわちファイルF)を特定し、上記追跡方向又は位置情報に基づいて当該照会情報を送信した業者が上流側業者又は下流側業者の何れであるかを判断する。ここでは制御部11Eは、下流側業者と判断して、ファイルFの中から全ての“仕入れコード”「E001」及び「E002」、全ての“仕入れ元業者名”「C」及び「D」、及び、“出荷コード”「G001」を抽出する。なお、“仕入れコード”「E001」及び“仕入れ元業者名”「C」、“仕入れコード”「E002」及び“仕入れ元業者名”「D」は、それぞれ関連付けられた状態で抽出される。制御部11Eは、上記抽出データ、S102の処理で生成した暫定アドレス、ROM13Eから読み出された自身の業種、業者名、及び、ネットワーク上のアドレスを一つの返信情報として作成し、小売業者Gの端末10Gに送信する。
【0046】
なお、制御部11Eは、端末10Gからの照会情報に含まれているコードがファイルFの出荷コードと一致することに基づいて、追跡方向又は位置情報を参照することなく、当該照会情報を送信した業者が下流側業者であると判断することもできる。
【0047】
また、制御部11Eは、上記照会情報を送信した業者が下流側業者であることに基づいてファイルFの“仕入れ元業者名”のフィールドを参照してROM13Eを読み込み、ファイルFに対応する物品の仕入れ元となる全ての業者(すなわち処理業者C及びDの端末10C及び10D)のネットワーク上のアドレスを取得して(S105)各業者用の照会情報を作成し(S106)、それを上記取得アドレス宛すなわち端末10C、10Dの各々に送信して(S107)S101の信号受信待機処理に復帰する。なお、ここで作成される照会情報は、図5のS3の処理で作成されたものと同様のものである。処理業者C宛の照会情報には、ファイルFに保存されている“仕入れコード”「E001」、“仕入れ元業者名”「C」、依頼元業者である小売業者Gの端末10Gのネットワーク上のアドレス、追跡方向、上記暫定アドレス「1−1」が含まれている。また、処理業者D宛の照会情報には、ファイルFに保存されている“仕入れコード”「E002」、“仕入れ元業者名”「D」、依頼元業者である小売業者Gの端末10Gのネットワーク上のアドレス、追跡方向、上記暫定アドレス「1−1」が含まれている。
【0048】
ここで、図5のフローチャートの説明に一旦戻る。S5の受信待機中、S104の処理で送信された返信情報を端末10Gが受信した場合(S5:返信情報)、制御部11Gは、当該返信情報をRAM14Gや図示しないメモリに保存し(S6)、当該返信情報に完了通知信号(後述)が含まれているか否かを判定する(S7)。返信情報に完了通知信号が含まれていないと判定した場合(S7:NO)、S5の処理に戻って受信待機処理に復帰する。以下に、完了通知信号について説明する。
【0049】
卸売業者Eからの照会情報を受信した処理業者C、Dの端末10C、10Dは、図6のS101〜S107と同様の処理を行い、自身で作成した返信情報を小売業者Gの端末10Gに送信すると共に、自身で作成した照会情報を生産者A、Bの端末10A、10Bにそれぞれ送信する。なお、端末10Cで作成される暫定アドレスは「1−1−1」であり、端末10Dで作成される暫定アドレスは「1−1−2」である。
【0050】
端末10A、10Bは、それぞれ、上述したように本実施形態の流通経路の最上流の一つに位置し、追跡対象物品に対する仕入れ元業者が存在しないため、当該物品のファイルの“仕入れ元業者名”及び“仕入れコード”のフィールドに何のデータも有していない。従って端末10A、10Bは、端末10C、10Dからの照会情報に呼応して、自身で作成した返信情報を小売業者Gの端末10Gに送信するが、何れの業者の端末に対しても照会情報を送信しない。すなわちS101〜S104と同様の処理を実行後、S101の受信待機処理に復帰する。ここで、端末10A、10Bが作成する返信情報には、追跡対象物品の出荷データ、暫定アドレス、業種、業者名、ネットワーク上のアドレス、及び、完了通知信号が含まれている。端末10A及び10Bは、追跡対象物品のファイルの“仕入れ元業者名”及び“仕入れコード”のフィールドに何のデータも含まれていないことに基づいて対象物品の追跡が完了したと判断し、それを通知する完了通知信号を生成して返信情報に含めている。
【0051】
図7は、図5のS8の処理を実行したときに端末10Gのディスプレイ18Gに表示される画像を示した図である。図5のS7の処理において、受信した返信情報に完了通知信号が含まれていると判定した場合(S7:YES)、制御部11Gは、各業者からの返信情報に含まれている暫定アドレスを参照し、各業者を階層的に配列した画像を作成してディスプレイ18Gに表示させる(S8)。ここで作成される画像は、追跡調査依頼元の業者を最上位の階層とし、流通経路最上流に位置する業者を最下位の階層としたツリーであり、追跡対象物品の流通経路や、当該物品の混在処理を行った業者等を、小売業者Gに視覚的且つ感覚的に把握させ得るものとなっている。
【0052】
小売業者Gがキーボード12Gを操作して図7に示された画面における何れかのノード(すなわち業者)を指定すると(S9:YES)、制御部11Gは、指定された業者の端末(例えば生産者Aの端末10A)に対し、追跡対象物品の“詳細情報”のフィールドに含まれたデータを要求する詳細情報要求信号を送信し(S10)、S5の受信待機処理に復帰する。
【0053】
図6のフローチャートの説明に再び戻る。S10の処理で送信された詳細情報要求信号を例えば端末10Aが受信した場合(S101:詳細情報要求)、制御部11Aは、追跡対象物品のファイルFの“詳細情報”のフィールドに含まれたデータ(例えば牛の品質情報等)を抽出して(S108)依頼元業者(要求元)である小売業者Gの端末10Gに送信し(S109)、S101の受信待機処理に復帰する。
【0054】
S109の処理で送信された詳細情報を受信すると(S5:詳細情報)、端末10Gは、当該詳細情報をディスプレイ18Gに表示させた状態で(S11)、S9のノード指定待機処理に移行する。なお、各業者は、他の業者に公開可能な詳細情報を自由に設定し、例えば守秘義務のあるような情報を保護することができる。
【0055】
ここで、各業者は、自身が保有する端末を設定することにより、上述した処理において追跡対象であった物品に対する逆流方向への追跡調査を行うことができる。例えば生産者Aは、上述した処理において、完了通知信号を含んだ返信情報を端末10Gに送信すると同時に、追跡対象であった物品(すなわちファイルFに対応する物品)を出荷した全ての業者の端末宛に照会情報を送信することができる。
【0056】
図8に、生産者AがファイルFに対応する物品の流通経路の追跡を依頼したときの各業者間のデータの流れを示す。図8において、実線矢印は照会情報(後述)の流れを示し、点線矢印は返信情報(後述)の流れを示す。端末10Aは、S1〜S4と同様の処理を実行し、処理業者Cの端末10Cに照会情報を送信する。なお、ここで作成されて送信される照会情報には、ファイルFに保存されている“出荷コード”「C001」、“出荷先業者名”「C」、依頼元業者すなわち生産者Aの端末10Aのネットワーク上のアドレス、追跡方向、暫定アドレスが含まれている。
【0057】
端末10Cは、S101〜S107と同様の処理を実行し、卸売業者E及びFの端末10E及び10Fに照会情報を送信すると共に、端末10Aに返信情報を送信する。なお、端末10Cは、端末10Aからの照会情報に含まれている追跡方向又は位置情報に基づいて、生産者Aが上流側業者又は下流側業者の何れであるかを判断する。ここでは制御部11Cは、上流側業者と判断して、ファイルFの中から“仕入れコード”「C001」、全ての“出荷先業者名”「E」及び「F」、全ての“出荷コード”「E001」及び「F002」を抽出する。なお、“出荷コード”「E001」及び“出荷先業者名”「E」、“出荷コード”「F002」及び“出荷先業者名”「F」は、それぞれ関連付けられた状態で抽出される。制御部11Cは、上記抽出データ、暫定アドレス、ROM13Cから読み出された自身の業種、業者名、及び、ネットワーク上のアドレスを一つの返信情報として作成し、生産者Aの端末10Aに送信する。
【0058】
端末10E、10Fもそれぞれ、S101〜S107と同様の処理を実行し、小売業者Gの端末10G、外食業者Hの端末10Hに照会情報を送信すると共に、端末10Aに返信情報を送信する。
【0059】
端末10G、10Hは、上述したように本実施形態の流通経路の最下流の一つに位置し、追跡対象物品に対する出荷先業者が存在しないため、当該物品のファイルの“出荷先業者名”及び“出荷コード”のフィールドに何のデータも有していない。従って端末10G、10Hは、それぞれ、端末10E、10Fからの照会情報に呼応して、自身で作成した返信情報を生産者Aの端末10Aに送信するが、何れの業者の端末に対しても照会情報を送信しない。すなわちS101〜S104と同様の処理を実行後、S101の受信待機処理に復帰する。ここで、端末10G、10Hが作成する返信情報には、追跡対象物品の仕入れデータ、暫定アドレス、業種、業者名、ネットワーク上のアドレス、及び、完了通知信号が含まれている。端末10G及び10Hは、追跡対象物品のファイルの“出荷先業者名”及び“出荷コード”のフィールドに何のデータも含まれていないことに基づいて対象物品の追跡が完了したと判断し、それを通知する完了通知信号を生成して返信情報に含めている。
【0060】
以上説明されたように、追跡調査を依頼する業者の依頼元端末は、一つ上流又は下流に位置する業者の端末だけに照会情報を送信するだけで、追跡対象物品の流通に拘わる全ての端末から流通経路履歴等の情報を受け取ることができる。従って依頼元端末は、それぞれの業者の端末と相互通信する必要がなくなりその負荷が軽減される。この結果、追跡処理に掛かる時間が軽減される。
【0061】
また、各業者が共通のデータベースを必ずしも持つ必要がなく、独自に小規模なシステムを導入することもできるため、システム構築費や運営費を抑えることができる。各業者が備えている既存のシステムをネットワーク網に接続するだけで本実施形態の如きシステムを構築することも考えられる。使用しているシステムが業者毎に異なる場合、全業者で同一システムを使用している場合と比較して、各業者間における情報保護等のセキュリティーが向上し、又、システムの仕様変更にも柔軟に対応可能であり、更には、一部の業者のシステムに異常が発生したときに起こり得る、システム全体が停止する等の問題が発生し難くなる。また、各業者がそれぞれ別個にデータベースを有しているため、一部の業者の端末に対するデータの一極集中が回避され、システム動作時の負荷が各業者の端末に分散される。
【0062】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0063】
なお、一般消費者は、例えば本実施形態の物品管理システムの運営業者が提供する端末であって、小売店や外食店に設置された端末、或いは、自宅にある端末や携帯電話等を操作して、各業者と同様に流通経路履歴等を閲覧することができる。この場合、一般消費者が上記端末等を操作して運営業者が有しているWebサーバ(不図示)にアクセスし、例えば小売業者Gで購入した牛肉パックに付されたバーコードの読み取りや番号を入力すると、Webサーバは、各業者の端末にアクセスして図5に示された処理を実行し、流通経路履歴等を取得して一般消費者に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態の物品管理システムを利用する各業者を列挙した図である。
【図2】本発明の実施の形態で用いられている端末の構成を示したブロック図である。
【図3】各業者のデータベースに保存される情報を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態において小売業者が所定物品の流通経路の追跡を依頼したときの各業者間のデータの流れを示した図である。
【図5】所定物品の流通経路の追跡を依頼した業者で実行される依頼元業者処理を示したフローチャートである。
【図6】依頼元業者以外で上記所定物品の流通に拘わった業者において実行される依頼受け側業者処理を示したフローチャートである。
【図7】図5のS8の処理を実行したときにディスプレイに表示される画像を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態において生産者が所定物品の流通経路の追跡を依頼したときの各業者間のデータの流れを示した図である。
【符号の説明】
【0065】
10A〜10H 端末
11A〜11H 制御部
12A〜12H キーボード
13A〜13H ROM
14A〜14H RAM
15A〜15H バーコードリーダ
16A〜16H データベース
17A〜17H 通信部
18A〜18H ディスプレイ
19A〜19H プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側端末が設置された上流地点から、それに隣接した、下流側端末が設置された下流地点に至る区間を連鎖的に接続した経路を移動する物品を管理する物品管理方法において、
各地点の端末が、互いにネットワークで接続され、少なくとも一の物品から成る物品群であって、自身を経由した全ての物品群の各々に対して、それぞれ対応する物品群の流通に拘わる隣接地点とのリンクを確立させるための接続情報を関連付けて記憶しており、
ある地点の端末が、所定の物品群の流通経路の追跡指示を、当該物品群の流通に拘わる隣接地点の全ての上流側端末又は全ての下流側端末の何れか一方に送信する追跡指示ステップと、
該追跡指示を受けた第一の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、該追跡指示を送信した指示端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた対象物品群接続情報を送信すると共に、前記指示端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信する第一の受信端末ステップと、
前記第一の受信端末から該追跡指示を受けた第二の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、前記指示端末に自身の持つ対象物品群接続情報を送信すると共に、前記第一の受信端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信する第二の受信端末ステップと、
前記第一及び第二の受信端末ステップを繰り返して実行する繰り返しステップと、
前記指示端末が、前記繰り返しステップを実行して収集した複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算する流通経路演算ステップと、を含む、物品管理方法。
【請求項2】
該追跡指示には、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、前記指示端末の宛先、及び、追跡指示送信先の端末に対して自身が上流地点又は下流地点の何れかに位置するかを示した位置情報が含まれており、
各端末に記憶された各物品群の該接続情報には、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方が含まれており、
前記第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該位置情報に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を前記指示端末に送信する、請求項1に記載の物品管理方法。
【請求項3】
該追跡指示には、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、前記指示端末の宛先、及び、追跡方向が含まれており、
各端末に記憶された各物品群の該接続情報には、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方が含まれており、
前記第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該追跡方向に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を前記指示端末に送信する、請求項1に記載の物品管理方法。
【請求項4】
該経路の少なくとも一の先端地点に設置された最上流端末の該接続情報には、地点情報として該出荷先地点情報のみが含まれており、
該経路の少なくとも一の末端地点に設置された最下流端末の該接続情報には、地点情報として該搬出元地点情報のみが含まれており、
先端地点及び末端地点以外に設置された、該経路の少なくとも一の中継端末の該接続情報には、地点情報として該出荷先地点情報及び該搬出元地点情報が含まれている、請求項2又は請求項3の何れかに記載の物品管理方法。
【請求項5】
追跡指示を受信した端末が、自身の階層情報とユニークな情報から成る第一のアドレスを生成し、当該第一のアドレスを、追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると同時に、該接続情報と共に前記指示端末に送信する、請求項1から請求項4の何れかに記載の物品管理方法。
【請求項6】
該第一のアドレスを受信した端末が、該第一のアドレスに対して自身の階層情報とユニークな情報を付加した第二のアドレスを生成し、当該第二のアドレスを、追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると同時に、該接続情報と共に前記指示端末に送信する、請求項5に記載の物品管理方法。
【請求項7】
前記指示端末が、受信した各アドレスに含まれている階層情報及びユニークな情報に基づいて各地点情報を配列して表示する、請求項5又は請求項6の何れかに記載の物品管理方法。
【請求項8】
表示された地点情報の何れかが選択されたとき、前記指示端末が、選択された地点に設置された端末にアクセスし、当該端末が有した所定の情報を取得する、請求項7に記載の物品管理方法。
【請求項9】
前記繰り返しステップが前記下流側端末から前記上流側端末に対して実行されている場合、前記最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記指示端末に対し、該接続情報に加え、前記繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信する、請求項4に記載の物品管理方法。
【請求項10】
前記最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信する逆追跡指示送信ステップと、
該追跡指示を受けた第三の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信する第三の受信端末ステップと、
前記第三の受信端末から該追跡指示を受信した第四の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信する第四の受信端末ステップと、
前記第三及び第四の受信端末ステップを繰り返して実行する第二の繰り返しステップと、
前記最上流端末が、前記第二の繰り返しステップを実行して収集した複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算する第二の流通経路演算ステップと、を更に含む、請求項9に記載の物品管理方法。
【請求項11】
前記最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記最上流端末に対し、該接続情報に加え、前記第二の繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信する、請求項10に記載の物品管理方法。
【請求項12】
前記繰り返しステップが前記上流側端末から前記下流側端末に対して実行されている場合、前記最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記指示端末に対し、該接続情報に加え、前記繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信する、請求項4に記載の物品管理方法。
【請求項13】
前記最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信する逆追跡指示送信ステップと、
該追跡指示を受けた第五の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信する第五の受信端末ステップと、
前記第五の受信端末から該追跡指示を受信した第六の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信する第六の受信端末ステップと、
前記第五及び第六の受信端末ステップを繰り返して実行する第三の繰り返しステップと、
前記最下流端末が、前記第三の繰り返しステップを実行して収集した複数の該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算する第三の流通経路演算ステップと、を更に含む、請求項12に記載の物品管理方法。
【請求項14】
前記最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記最下流端末に対し、該接続情報に加え、前記繰り返しステップが完了したことを通知する信号を送信する、請求項13に記載の物品管理方法。
【請求項15】
上流側端末が設置された上流地点から、それに隣接した、下流側端末が設置された下流地点に至る区間を連鎖的に接続した経路を移動する物品を管理する物品管理システムにおいて、
各地点の端末が、互いにネットワークで接続され、少なくとも一の物品から成る物品群であって、自身を経由した全ての物品群の各々に対して、それぞれ対応する物品群の流通に拘わる隣接地点とのリンクを確立させるための接続情報を関連付けて記憶しており、
ある地点の端末が、所定の物品群の流通経路の追跡指示を、当該物品群の流通に拘わる隣接地点の全ての上流側端末又は全ての下流側端末の何れか一方に送信し、
該追跡指示を受けた第一の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、該追跡指示を送信した指示端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた対象物品群接続情報を送信すると共に、前記指示端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信し、
前記第一の受信端末から該追跡指示を受けた第二の受信端末の各々が、該追跡指示に呼応して、前記指示端末に自身の持つ対象物品群接続情報を送信すると共に、前記第一の受信端末と逆流側の隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての端末に追跡指示を送信し、
前記第一及び第二の受信端末での処理が繰り返し実行されて前記指示端末に複数の該接続情報が収集されると、前記指示端末が、それらの該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算すること、を特徴とする物品管理システム。
【請求項16】
該追跡指示には、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、前記指示端末の宛先、及び、追跡指示送信先の端末に対して自身が上流地点又は下流地点の何れかに位置するかを示した位置情報が含まれており、
各端末に記憶された各物品群の該接続情報には、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方が含まれており、
前記第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該位置情報に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を前記指示端末に送信すること、を特徴とする請求項15に記載の物品管理システム。
【請求項17】
該追跡指示には、少なくとも、追跡対象物品群の識別情報、前記指示端末の宛先、及び、追跡方向が含まれており、
各端末に記憶された各物品群の該接続情報には、少なくとも、自身の地点情報及び該物品群の識別情報に加え、隣接地点に設置された、該物品群に拘わる全ての搬出元地点情報、又は、全ての出荷先地点情報の何れか一方が含まれており、
前記第一又は第二の受信端末が、該追跡指示の識別情報に基づいて対象物品群接続情報を特定し、該追跡方向に基づいて当該対象物品群接続情報に含まれている搬出元地点情報又は出荷先地点情報の一方を特定し、特定先地点に設置された端末に該追跡指示を送信すると共に該宛先に基づいて該接続情報を前記指示端末に送信すること、を特徴とする請求項15に記載の物品管理システム。
【請求項18】
該経路の少なくとも一の先端地点に設置された最上流端末の該接続情報には、地点情報として該出荷先地点情報のみが含まれており、
該経路の少なくとも一の末端地点に設置された最下流端末の該接続情報には、地点情報として該搬出元地点情報のみが含まれており、
先端地点及び末端地点以外に設置された、該経路の少なくとも一の中継端末の該接続情報には、地点情報として該出荷先地点情報及び該搬出元地点情報が含まれていること、を特徴とする請求項16又は請求項17の何れかに記載の物品管理システム。
【請求項19】
追跡指示を受信した端末が、自身の階層情報とユニークな情報から成る第一のアドレスを生成し、それを追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると共に、該接続情報と該第一のアドレスを前記指示端末に送信すること、を特徴とする請求項15から請求項18の何れかに記載の物品管理システム。
【請求項20】
該第一のアドレスを受信した端末が、該第一のアドレスに対して自身の階層情報とユニークな情報を付加した第二のアドレスを生成し、それを追跡指示と共に上流又は下流側端末に送信すると共に、該接続情報と該第二のアドレスを前記指示端末に送信すること、を特徴とする請求項19に記載の物品管理システム。
【請求項21】
前記指示端末が、受信した各アドレスに含まれている階層情報及びユニークな情報に基づいて各地点情報を配列して表示すること、を特徴とする請求項19又は請求項20の何れかに記載の物品管理システム。
【請求項22】
表示された地点情報の何れかが選択されたとき、前記指示端末が、選択された地点に設置された端末にアクセスし、当該端末が有した所定の情報を取得すること、を特徴とする請求項21に記載の物品管理システム。
【請求項23】
前記下流側端末から前記上流側端末に対して追跡指示が出されている場合、前記最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記指示端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信すること、を特徴とする請求項18に記載の物品管理システム。
【請求項24】
前記最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信し、
該追跡指示を受けた第三の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信し、
前記第三の受信端末から該追跡指示を受信した第四の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最上流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての下流側端末に追跡指示を送信し、
前記第三及び第四の受信端末での処理が繰り返し実行されて前記最上流端末に複数の該接続情報が収集されると、前記最上流端末が、それらの該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算すること、を特徴とする請求項23に記載の物品管理システム。
【請求項25】
前記最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記最上流端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信すること、を特徴とする請求項24に記載の物品管理システム。
【請求項26】
前記上流側端末から前記下流側端末に対して追跡指示が出されている場合、前記最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記指示端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信すること、を特徴とする請求項18に記載の物品管理システム。
【請求項27】
前記最下流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、隣接地点に設置された、追跡対象物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に、当該物品群の流通経路の追跡指示を送信し、
該追跡指示を受けた第五の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信し、
前記第五の受信端末から該追跡指示を受信した第六の受信端末が、該追跡指示に呼応して、前記最下流端末に自身の持つ追跡対象物品群に関連付けられた該接続情報を送信すると共に、隣接地点に設置された、当該物品群の流通に拘わる全ての上流側端末に追跡指示を送信し、
前記第五及び第六の受信端末での処理が繰り返し実行されて前記最下流端末に複数の該接続情報が収集されると、前記最下流端末が、それらの該接続情報に基づいて追跡対象物品群の流通経路を演算すること、を特徴とする請求項26に記載の物品管理システム。
【請求項28】
前記最上流端末が、受信した該追跡指示に呼応して、前記最下流端末に対し、該接続情報に加え、追跡指示を出すべき端末がなくなったことを通知する信号を送信すること、を特徴とする請求項27に記載の物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−315771(P2006−315771A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136886(P2005−136886)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)