説明

物品装飾装置

【課題】製造及び使用の両面で複雑化と高額化を軽減でき、要求に応じて印刷像の品質を極めて良好にすることのできる物品装飾装置を提供する。
【解決手段】搬送経路に沿って配列された複数の処理ステーション間を搬送手段で搬送される対象物品22に塗装や印刷によって装飾を施す装置。搬送手段は鉛直面内で周回可能な無端可撓ベルト12を備えると共にベルト外表面27には対象物品22のための複数の保持手段26が設けられている。保持手段26はベルト12に結合されたプラスチック材の複数の可撓部分からなり、ベルト12及び保持手段26には個々の保持手段26上で対象物品22に吸引圧力を作用させて固定保持するように減圧源に接続可能な少なくとも一つの開口部32,30a,30b,30c,30dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路の全長のうちの少なくとも一部の直線経路に沿って配列された複数の処理ステーション間を搬送手段で搬送される対象物品に塗装や印刷によって装飾を施すための物品装飾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の物品装飾装置は特許文献1に開示されており、そこでは装飾対象物品の搬送に送りネジ機構が用いられ、個々の対象物品はキャリッジ台車状の保持装置に載置されて特別な案内構造に沿って送りネジ機構により複数の処理ステーション間を搬送されるようになっている。この公知の装置は、各印刷機構に対する印刷対象物品の正確な位置合わせによって抜群に評価されており、それ故に多数の部分印刷像を順次重ねて合成印刷像を形成する多色印刷の場合にも極めて良好な印刷品質を得ることができる。
【特許文献1】米国特許第6082256号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、冒頭に記載した種類の装置において、一方で公知の装置よりも製造及び使用の両面で複雑化と高額化を際立って軽減でき、他方で要求に応じて印刷像の印刷品質を極めて良好にすることのできる物品装飾装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、本発明による装置は、搬送経路に沿って配列された複数の処理ステーション間を搬送手段で搬送される対象物品に塗装や印刷によって装飾を施す物品装飾装置において、搬送手段が鉛直面内で周回可能な無端可撓ベルトを備えると共にベルト外表面に装飾対象物品のための複数の保持手段が設けられ、該保持手段がベルトに結合されたプラスチック材の複数の可撓部分からなると共にベルト及び保持手段には個々の保持手段上で対象物品に吸引圧力が作用するように減圧源に接続可能な少なくとも一つの開口部が設けられていることを特徴とするものである。
【0005】
無端可撓ベルトはスチールベルトで構成することができるが、その他の適合する材料、例えば炭素繊維等の混在で補強された有機材又はプラスチック材又はゴムなどで構成することも可能である。
【発明の効果】
【0006】
無端可撓ベルトに例えばポリウレタンフィルム等のプラスチック材からなる複数の単純な軟質可撓部分の形態で保持手段を組み合わせた構造は、具体的に言えば特に従来技術で必要とされていた複雑且つ高額なキャリッジ台車状の保持装置が不要であるので移動すべき質量が大幅に減少すると言う格別な利点をもたらすことができる。この構造はまた、断続的な搬送の場合でも移動系メカニズムの円滑な動作を果たすことができ、摩耗量も実質的に少ない。装着部品の交換、即ち、特に保持手段の交換は安価な交換部品で短時間の内に行うことができる。総じて本発明によれば、精度と印刷品質の確保に過大なコストを要することなく装置の構造と動作の双方を相当に単純化することが可能である。
【0007】
従って本発明によれば、公知の装置に比べて複雑化及び高額化することなく塗装及び高品質の印刷像その他の装飾を施すことのできる物品装飾装置を得ることが可能である。
【0008】
処理すべき対象物品をベルト上に載せる搬入ステーションとベルト上から処理済みの対象物品を取り出す搬出ステーションとの間のベルト部分には吸引圧力のための平坦な吸気手段がベルトの下側から対面するように配置され、ベルトが搬送方向へ前進移動する間は少なくともこの吸気手段の複数箇所の上をベルトがスライドでき、また該吸気手段によってベルトを保持及び支持できるようになっているが、その他の部分はベルトの搬送移動中はベルトと同期して移動できるようにしておくことが好ましい。ベルトには貫通開口部を設けることができ、この開口部によって吸気手段と保持手段が配置されているベルト上面の複数の領域との連通が形成される。
【0009】
保持手段にも同様の目的の開口部を設けることができ、これは保持手段上に載置された平板状の対象物品の裏面における少なくとも複数の局所領域に吸引圧力が作用するように配置される。これらの開口部は保持手段の対象物品吸着保持部を形成するプラスチックフィルム面に単純な孔などの貫通開口部を設けることによって形成すればよい。但し、好適な形態としては、保持手段は複数の対象物品吸着保持部を備えていることが好ましく、これらの保持部は対象物品で被われることになる開口部を形成する溝形凹部等の間隙を残して互いに離隔配置され、これら保持部同士の間の各間隙にベルトの開口部を形成する少なくとも一つの孔がそれぞれ配置される。このような構成により、余分な複雑化や高額化を回避しつつ対象物品に広い領域に亘って減圧吸引圧力を作用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態を図示の実施例と共に詳述すれば以下の通りである。
【0011】
図示の実施例は、本発明を限定意図無くコンパクトディスク(CD)へのラベル装飾用 印刷機10に適用した例である。この印刷機に装備されている搬送手段は鉛直面内で周回可能な無端可撓ベルト12を備えており、この無端ベルトは、常法に従って一対のベルト周回ドラム14、16の間に掛け回され、両ドラム間の上下のベルト部分18、20が実質的に水平に延在するように配設されている。上部ベルト部分18には後述する複数の処理ステーションが互いに適切な間隔を開けて配列されている。
【0012】
表面に印刷が施される対象物品22は、ドラム14側の上部ベルト部分18の始端部に配置されている搬入ステーションAで上部ベルト部分18の上に載置され、上部ベルト部分18の始端部から終端部へ搬送される間に塗装その他の処理で表面に印刷及び/又は処理が施されたのち、ドラム16側の上部ベルト部分18の終端部に配置された搬出ステーションKで上部ベルト部分18の上から取り出される。従って上部ベルト部分18は矢印24で示す搬送方向へ移動する。
【0013】
ベルト12は、充分な可撓性を有する例えば厚さ0.4mmの無端スチールベルトでよい。勿論、ベルトを他の好適な材料で構成してもよく、例えば強度、可撓性及び形状安定性等の要求特性を満たすプラスチック材を例えば炭素繊維で補強したものからなる無端ベルトを採用してもよい。
【0014】
このベルトは、複数箇所の保持手段26によってそれぞれCDや類似形態の対象物品を保持するように構成されており、個々の保持手段は例えばポリウレタンフィルム等の軟質材料で構成された少なくとも一つの可撓部分からなり、この可撓部分は上部ベルト部分18においてベルト外表面27を構成する側のベルト上面に接着剤で固定されている。これは、保持手段26は両ベルト周回ドラム14、16と接触しないことを意味する。図示の実施例において、保持手段は印刷を施すべき対象物品に適合するようにほぼ円形状に設けられており、これに関連して各保持手段は全体として一つの保持手段を形成する複数の円形リング形状の保持部を備えていてもよい。但し、例えばクレジットカード等の各種矩形対象物品など、異なる形状の物品を対象とする場合にはそれに適合する円形以外の形状に設けられていてもよい。
【0015】
個々の保持手段26は五つの円形リング平板状の保持部28a、28b、28c、28d、28eを同心円状に平坦に配置してなり(図3)、隣り合う二つの保持部の間には例えば幅1mmの円形リング状間隙が設けられている。各保持部は、隣り合う保持手段26同士の間隔がベルト搬送方向に150mmとなるようにベルト12の外表面27上に接着剤で固定されている。個々の保持手段26において、周方向に延在する複数の円形溝状凹部30a、30b、30c、30d、30eの形態で開口部を形成する円形リング状間隙の部分ではベルト12の外表面27が露呈されている。内周側の溝状凹部30dの配置位置は、CDが保持手段26上に適正に載置された際にCDの非印刷対象面側に設けられているスペーサーリング31が溝状凹部30dに丁度嵌り込むように選ばれており、この理由で溝状凹部30dは他の溝状凹部よりもやや幅広に形成されている。尚、この場合にCDのスペーサーリングがベルト12の外表面に接触しないように保持部を構成しておくことが望ましく、従ってCDが保持部28a〜28eで形成された平らな保持手段の表面にによって専ら又は少なくとも大部分が支承されるようにするとよい。保持部28a〜28eで形成される保持手段の厚さはCD向けには0.36mmであるが、勿論、これ以外の厚さとすることも可能である。
【0016】
隣り合う保持部の間に画定されている各開口部30a、30b、30c、30d、30eの内部では、ベルト12側の小孔状の貫通開口部32がベルト外表面27に露呈して開口しており、この小孔は例えば直径1mm程度のものであって後述するように吸引圧力の減圧源に通じている。従ってこれらの円形溝状凹部30a、30b、30c、30d、30e内に生じた吸引圧力は、これら円形溝状凹部が保持手段上に載置された対象物品によって上部から被われて閉鎖されると対象物品のベルト側に向いた裏面に作用し、それによって対象物品が大気圧によってベルトに押し付けられ、以てベルト12に対して不動位置に保持されることになる。このような吸引圧力のための円形溝状凹部による開口部を含む軟質材フィルムの構成は先述の特許文献1に記載されている原理にほぼ対応しており、従ってこの原理に関する記載を本発明の説明に引用する。
【0017】
このような搬送ベルトにはよく採用される方式ではあるが、ベルト12は、二つのベルト周回ドラムの少なくとも一方を好ましくはトルクモータ等の電動機で駆動することによって移動させることができる。但し、図示の実施例においては、輪転印刷においてベルト12に担持された対象物品の直線移動と、この対象物品の直線移動速度に周速を一致させる必要のある印刷胴の回転運動とを容易に同期させることができるという理由でベルト12の駆動に電動リニアモータを採用している。リニアモータによる印刷機の駆動に関しては米国特許第6478485号明細書に記載されており、この記載も本発明の説明に引用する。但し、本発明でいうリニアモータは電動リニアモータに限られるものではなく、例えば油圧又は空圧シリンダピストン装置等の流体圧往復動アクチュエータを駆動源とする速度制御可能な同期往復動機構も包含するものである。また、リニアモータによってベルトを駆動する場合であっても、ベルトの前進、停止、後退の全ての期間に亘って特に上部ベルト部分に常に或る大きさの張力を作用させておく目的で、例えば入側のベルト周回ドラム14に図1に示す矢印とは逆方向の回転トルクを制御された大きさで常に付与しておく構成を採用してもよい。
【0018】
リニアモータの往復可動部によってベルトの断続的なステップ移動を行うことができ、この往復可動部は該可動部への給電線を省くことができるように永久磁石を備えている。非同期形のリニアモータの往復可動部には第1のグリップ機構として対構成の搬送グリップ36a、36bが設けられており、これら搬送グリップはベルトの両縁部に互いに向かい合わせに配置され、ベルト12を矢印24で示す前進方向へ移動させるときは両搬送グリップがベルトを連行するように上部ベルト部分の係合部と係合するように構成されている。ステップ移動の一回分の移動距離は隣り合う二つの保持手段26間の配置ピッチに相当し、一回分のステップ移動が終わると両搬送グリップはベルトとの係合を解かれ、次のステップ移動に備えてリニアモータの往復可動部により逆方向へ移動されて図1及び図2に示す初期位置に復帰する。
【0019】
各ステップ移動の開始時に徐々に増速する加速期間を設定し、また終了時には徐々に減速する減速期間を設定し、これらの加減速期間の間を定速搬送期間に設定してその間に輪転印刷が適正に行われるようにしてもよい。輪転印刷以外の処理操作、例えばスクリーン印刷による対象物品への印刷操作や対象物品の乾燥操作等は、ステップ移動とステップ移動の間の停止期間中に行うことができる。但し、例えば紫外線放射によって行う印刷インクの乾燥硬化処理は、搬送途中のベルト移動期間中又は停止期間中、或いはこれた双方の期間中に行うこともできる。また、スクリーン印刷による対象物品への印刷操作は移動期間中に行うこともでき、この場合、スクリーン印刷機構はベルト及びそれに担持された対象物品と同期して移動するように構成される。一方、輪転印刷による対象物品への印刷操作を停止期間中、即ちステップ移動とステップ移動の間に行うこともでき、この場合、輪転印刷機構自体が直線移動しながら印刷を行うように構成すればよい。
【0020】
図示の実施例からの発展形態として、ベルトを互いにオーバーラップする移動期間で交互に移動させる二つのリニアモータを用いて連続的なベルト移動を実現することも可能である。
【0021】
ステップ移動と対構成の搬送グリップ36a、36bを採用した図示の実施例は更に第2のグリップ機構として一対の保持グリップ38a、38bを備えており、これら保持グリップも、搬送グリップ36a、36bと同様に対構成で上部ベルト部分18の両縁部に互いに向かい合わせに配置され、移動ステップと移動ステップの間の停止期間中に亘ってベルト12の両縁部と係合することによりベルトを停止位置に保持する機能を果たすように構成されている。これによりベルト及びその上に担持された対象物品は停止期間中に亘って不動位置に維持される。従って保持グリップ38a、38bは、ベルトの搬送移動に関与しないという点では静置機構である。
【0022】
第1と第2のクリップ機構のそれぞれ一対ずつのグリップ36a、36b、38a、38bはそれぞれ上下のグリップ爪を有するが、これら上下のグリップ爪のうち、それぞれ下部グリップ爪だけがグリップ開閉のために昇降移動可能となっている。いずれにせよ上部グリップ爪はグリップ開閉の目的で移動することのない静止機構である。このような各グリップ機構に対してベルトはその両縁部の上面が上部グリップ爪の直近部に位置して上部グリップ爪でガイドされるように配置されており、これによりグリップ機構の開閉動作の影響でベルト両縁部が上下変位することを防止している。
【0023】
第1のグリップ機構を構成する搬送グリップ36a、36bは往復動キャリッジ40に取り付けられており、このキャリッジに図示されていないリニアモータの往復可動部が取り付けられ、このリニアモータがキャリッジ40の往復移動を生み出し、それに伴ってベルト12が搬送グリップで連行されて矢印24で示す搬送方向へ前進する。リニアモータの固定子構造は装置固定フレーム41に支持されている。キャリッジ40の往復移動範囲は装置固定フレーム41に固定された一対の当接ストッパで制限されており、そのうちの第1ストッパ42はキャリッジ40の搬送方向24の前進移動端を制限し、第2ストッパ44はキャリッジ40の逆方向の後退移動端を制限している。これに対応してキャリッジ40の前端部と後端部にはそれぞれ第1ストッパ42又は第2ストッパ44と衝合した際の衝撃を吸収するショックアブソーバ46と48が配置されている。尚、これらのストッパとショックアブソーバは単に補助的な機能を果たすだけのものであり、その理由は、少なくとも搬送方向24へのキャリッジの移動は印刷機構の移動、特に印刷胴の回転に従うように調整できるからであり、またこれに関連して機能面で印刷機構やその他の処理ステーションの動作に依存しない運動成分はコンピュータプログラムを利用して制御できるからである。従ってストッパ42、44は本質的に付加的な安全対策のためのものであり、更に言えばそれが機能するのは例えば装置の起動時など、装置各部が定常動作状態にない場合である。
【0024】
キャリッジ40はベースプレート50を備えており(図5参照)、一対の搬送グリップ36a、36bは、このベースプレート上に上部ベルト部分18とほぼ平行な面内でベルト両縁部に対して僅かな距離だけ搬送方向24の横断方向へ変位可能に離間配置されている。この目的で、ベルト横断方向に延在するガイドシュー52a、52bが搬送グリップ36a、36bに配設されている。これらのガイドシューにはそれぞれ短尺片54a、54bがガイドされており、搬送グリップ36a、36bはそれぞれ短尺片54a、54bに固定されている。このガイド機構は、搬送方向24の前方側における搬送グリップ36a、36bの側面に配置されている。別のガイド機構が搬送方向24の後方側における搬送グリップ36a、36bの側面にも配置されている。この別のガイド機構は主に支持機能を担うものであり、ガイドシュー52a、52bと同様にベースプレート50の上面に固定された支持スタンド58a、58bに支承されたローラ56a、56bをそれぞれ備えている。各搬送グリップ36a、36bは、搬送方向24の後方側に向いた端部に平行六面体形状の延長部60a、60bを備えており、この延長部の下向き境界面は対面するローラ56a、56bの周面の接線方向に向いていて該ローラ上に支承されている。ベルト長手方向を横断する方向への各搬送グリップの変位は僅かな範囲で充分であり、最大でも数mmであるので、各延長部は比較的細幅のものでよい。
【0025】
上述のように一対の搬送グリップをベルト横断方向へ位置調整可能としたのは、ベルトが搬送移動中に或る距離だけ横断方向へ変位することを考慮した結果である。勿論、このような横断方向へのベルトの変位については、位置調整可能に設置されている両側のベルト周回ドラムの少なくとも一方を適切に調整しておくことによって予め少なくしておくことが可能である。しかしながら、それにもかかわらず、ベルトと搬送グリップとの間には横断方向の位置偏差が僅かとはいえ依然として残る可能性があるので、この位置偏差が残る場合を考慮に入れて両搬送グリップをベルト横断方向へ位置調整可能に配置してある。必要であれば、この位置調整機構には、両搬送グリップがベルト横断方向へ移動可能に配置されていることによってベルト長手方向に伝搬するような過大な力が搬送グリップからベルトに作用しないように低摩擦の細工を施しておくことが望ましい。
【0026】
ベルト12の搬送移動を引き起こす両搬送グリップ36a、36bにはガイドローラ62がそれぞれ設けられている。このガイドローラ62は、装置固定フレームに取り付けられた固定ガイド64のガイド面を転動する。これらの配置関係は、例えば次の搬送ステップのためにキャリッジ40を搬送方向24の逆方向へ移動させてスタート位置に戻した際にガイドローラ62が固定ガイド64のガイド面に接触して搬送グリップ36a、36bをベルト横断方向の初期位置に復帰させ、いずれにせよキャリッジが次の搬送ステップの終端に達したときに生じる可能性のある横断方向へのグリップ変位がそれ以上の横断方向への移動を不可能とする幅方向両側の極限位置の間に収まるように選定されている。このようなガイドローラ62と固定ガイド64との連携動作の結果、いずれの側の搬送グリップも両側の極限位置間の中央位置へ向かって戻されつつベルト搬送方向を横断する方向へ位置調整され、従って次の搬送ステップでは必要に応じてベルト12の位置に応じて搬送グリップをベルト幅方向のいずれか一方へ移動させることが可能である。
【0027】
上部ベルト部分18の下には板状の支持構体68が配置されており、この板状支持構体は一方では上部ベルト部分の保持手段と減圧源との間に減圧吸引圧力を伝える減圧吸気手段として機能すると共に、他方ではその上面で上部ベルト部分18を支持案内する支持手段として機能する。
【0028】
搬送ベルト12は剛体ではなく可撓性のものであるので、上部ベルト部分18の少なくとも或る特定の範囲、即ち図示の実施例で言えば処理ステーションA〜Kに関連する範囲については上部ベルト部分を支持する必要があり、それによってベルト上に載置されている対象物品が個々の処理ステーションにおける処理に際して力の作用を受けてもこの力が支持構体によって支承され、以て係る力の作用下でもベルトの許容外の変形及びベルト上の対象物品の勝手な移動が防止されるようにしておくことが望ましい。
【0029】
図示の実施例において、上部ベルト部分18の直下に配置されている支持構体68はベルトの長手方向に連なって配置された三つの板状分割部材68a、68b、68cからなり、中間部に位置する分割部材68bは上部ベルト部分18の搬送方向24及びその逆方向へ水平に往復移動可能であるが、それ以外の両端の分割部材68a、68cは固定は位置されている(図1及び図6)。この板状支持構体68は、搬送方向24を横断する方向の幅が、ベルト上に搬送中の対象物品が存在する範囲内で上部ベルト部分18を実質的に支承する寸法のものであればよい。
【0030】
各分割部材68a〜68cの下部には、それぞれの分割部材68a〜68bに気密に接合された溝形部材70a、70b、70cが上部ベルト部分18の長手方向に延在しており、各溝形部材70a〜70cの内側に画定される減圧吸気通路71は図示しない減圧源に通じていると共に、その頂面は各分割部材68a〜68cで被われている(図4)。
【0031】
各分割部材は、上部ベルト部分18側の表面に平坦な被覆層69(図9及び図10)を備えており、この被覆層は摩擦係数の低い材料、例えばプラスチック材などからなる。被覆層69の頂面側には、上向きに開口した複数条の溝形凹部72a、72b、72c、72dが例えば研削又はモールド成形によって長手方向に延設されている。上部ベルト部分18は一連の分割部材68a〜68cの上に被さっており、従って各分割部材の被覆層69に設けられた各溝形凹部72a〜72dの頂面を被ってそれぞれ長手方向の連通路を形成している。
【0032】
溝形凹部72a〜72dは各分割部材68a〜68cの全長又はほぼ全長に亘って延在し、この場合、その両端部は個々の分割部材の端部近傍で閉鎖されている。但し、各溝形凹部72a〜72dは、上部ベルト部分18の長手方向に断続的に並んだ複数の断続溝部72a’、72b’、72c’、72d’の列で形成することが望ましい。全体としては、ベルトの長手方向へ延在する四列の溝形凹部、即ち開口部が設けられており、この場合、各保持手段26の中央開口34に対応して設けられたベルト12の中央線上の複数の開口35のベルト長手方向の列の両側には、上部ベルト部分18の中央線を対称軸線としてほぼ対称的に長手方向に延在する二列ずつの溝形凹部、即ち溝形の開口部が形成されている。断続溝部72a’、72b’、72c’、72d’の好適な配列の一例は特に図3、図9及び図10に示す通りである。中央線の各片側における二列の断続溝部は、支持構体68上に被さるベルトに設けられている減圧吸引圧力導入用の貫通開口部32の位置に留意して、ステーションAからステーションKまで搬送する間に、対象物品を担持する保持手段の全ての位置で個々の対象物品に例えばステーション内での処理時に作用する力など、それぞれの状態に適した減圧吸引圧力が確実に作用することを保証するように、そして対象物品がその保持手段上に適正な姿勢で不動保持された状態を確実に維持できるように、ベルト長手方向に関して相互にずれた位置関係で配置されている。
【0033】
断続溝部72a’、72b’、72c’、72d’の列の形態による溝形凹部は、更にこれら溝部で形成される吸気通路が各溝部を被うベルトによって良好に封止されるという利点を有し、また減圧吸引圧力によって生じる力は対象物品を介してベルト上に作用することからベルトと各分割部材との間の摩擦の強さを左右するが、この力の大きさは、例えば溝形凹部の各列の個々の断続溝部72a’〜72d’の長さ寸法と断続溝部相互間の間隔寸法を適切に選定することによって予め調整することが可能であるという利点も備えている。
【0034】
各分割部材68a〜68cには表裏を貫通する複数の通路74が設けられており、これらの通路74によって減圧吸気通路71の各部を個々の断続溝部72a’〜72d’に連通させている(図4)。これらの通路74は例えば直径1〜2mm貫通孔で形成することができる。これらの通路74は、各断続溝部に対応した位置に配置されることから、同様にベルト長手方向に沿った列状に配列されている。
【0035】
ベルト12には、減圧吸引圧力を導くための複数の貫通開口部32も設けられており、これらの貫通開口部は図3に符号33a、33b、33c、33dで示すように列状に配置されている。即ち、各列の貫通開口部32は各列の断続溝部72a’〜72d’と対応する位置関係で配列されており、各断続溝部内に生じる減圧吸引圧力がベルトを貫通してベルト上面の各各保持手段26における開口部30a〜30d内に達するように構成されている。個々の列内における断続溝部72a’〜72d’相互間の間隔部分では断続溝部とベルトの対応貫通開口部32との間の連通が遮断もしくは極度に絞られており、従って係る間隔部分については、既に述べたように対象物品の下面側に対する吸引圧力の作用が別の列の断続溝部72a’〜72d’及びそれに対応する貫通開口部32によって確保できるように留意して各列の断続溝部及び間隔部分の長手寸法と隣接列相互間におけるこれら断続溝部のベルト長手方向へ相互にずれた位置関係とを予め選定しておくことが望ましい。
【0036】
支持構体の中間部の分割部材68b並びにそれに担持されて減圧吸気通路71を形成する中間部の溝形部材70bはリニアモータによるキャリッジ40の往復移動に追従して往復移動を行い、この場合、少なくともベルトの搬送方向24への分割部材bの移動はベルトの移動に同期して行われるようになっている。これにより、特に対象物品を搬送しながらベルトと分割部材との間に相対移動を生じることなく回転印刷胴によって対象物品へ印刷を施すなど、分割部材68bによるステップ搬送動作と連繋した処理動作を行うステーションD〜Gにおけるベルト並びにそれに支持された対象物品の適正な支承を確実に保証するようにしてある。このように、ベルト搬送方向への分割部材68bの移動をベルトの搬送方向への移動と同期して行うことにより、搬送ステップ中の処理の最中に、各保持手段上に対象物品を固定保持するに必要な減圧吸引圧力を対象物の下面側に作用させるための分割部材68bの断続溝部72a’〜72d’と、ベルト12の貫通開口部32と、保持手段の開口部30a〜30dとの相対位置関係が不変に維持することができる。
【0037】
搬送方向24への上部ベルト部分18の移動と同期してキャリッジ40と共に分割部材68bを移動させるには、分割部材68bをキャリッジ40に連結して随伴移動させる単純な方式を採用することができる。このような連結を果たすため、ベースプレート50の頂面には牽引支柱76(図1)が取り付けられており、この支柱の上端部は、分割部材68bに担持されて幅方向中央部に減圧吸気通路71を形成する溝形部材70bの下面両側部に取り付けられている。牽引支柱76は、特に最下流位置で輪転印刷を行う処理ステーションGの直下領域に配置されていることが好ましい。これに関連して、牽引支柱の高さ寸法は、分割部材68bの頂面が該分割部材68bで上部ベルト部分18を支持できる高さとなるように定められている。
【0038】
図5においては、複雑化を避けるために支持構体68と牽引支柱76の図示が省略されている。但し、ベースプレート50の頂面には固定用キー78が現れており、このキーに牽引支柱76が固定されて適正位置に配置されることになる。
【0039】
支持構体の中間部の分割部材68bは、下流位置の輪転印刷処理ステーションGから搬送方向24とは逆方向に上流位置の輪転印刷処理ステーションDまで延在している。各輪転印刷処理ステーションD〜Fの直下部分では分割部材68bはそれぞれ個別に配置された支持スタンド78a、78b、78cによって支持され、これらの支持スタンドはそれぞれ頂部に支承沓80a、80b、80cを備えており、この支承沓の上に好ましくは低摩擦の介在部材を介して溝形部材70bの幅方向中央部が下面側から支承されている。このような支承構造により、各輪転印刷処理ステーションD〜Fの回転印刷胴によって対象物品に印加される力も支持スタンド78a〜78cを介して装置固定フレームへ直接伝達することができる。
【0040】
以上に述べたような中間部の可動分割部材68bに対して、その搬送方向の最上流側と最下流側の両端部に対向して配置された二つの固定分割部材68aと68cは、中間部の可動分割部材68bと同様にそれぞれの頂面に複数の断続溝部72a’、72b’、72c’、72d’を備え、これらの断続溝部の上向き開口部は上部ベルト部分18によって被われている。各固定分割部材の下部には同様に減圧吸気通路71がそれぞれ配置され、これらの通路も溝形部材によって適宜の構成で形成可能である。
【0041】
図6〜図8は中間部の可動分割部材68bと両端部の固定分割部材68a、68cとの関連動作機構を示している。二つの固定分割部材68aと68cは、それぞれ中間部の可動分割部材68b側に向いた端部に互いに平行な水平二又フォーク状細幅延長部82a、82bを備えており、これらの二又フォーク状細幅延長部は、対応して中間部の分割部材68bの両端にそれぞれ設けられた中央細幅延長部83と摺動可能な入れ子状に嵌り合っている。図6及び図7は、中間部の分割部材68bが図5に示したキャリッジ40のスタート位置に対応する位置にあるときの各分割部材の位置関係を示しており、この状態ではキャリッジ40はベルト周回ドラム14側のストローク端に位置している。これに対して、図8はキャリッジ40がベルト周回ドラム16側のストローク端に達した状態に対応する分割部材68bの搬送終端位置における固定分割部材68cとの端部同士の位置関係を示している。
【0042】
図7と図8に示すように、中間部の可動分割部材68bの両端部に設けられている各中央細幅延長部83がそれぞれ固定分割部材68a、68bの各二又フォーク状細幅延長部82a、82bと嵌り合う部分では、長手方向に配列された溝形凹部による減圧吸気通路が各延長部に延在しており、可動分割部材68bでは中央線寄りの二列の溝形凹部72bと72cが中央細幅延長部83にも延在配置され、また側縁寄りの二列の溝形凹部72aと72dが隣接する各固定分割部材の二又フォーク状細幅延長部の端部に近接対面する位置まで延在配置されている(図9も参照)。搬送方向24に移動するベルト上に載置されて搬送される対象物品は、各延長部83、82a、82bのオーバーラップ部分に達すると、各部が図7に示す位置関係にある状態では依然として四列全ての溝形凹部72a〜72dを介して導かれる減圧吸引圧力の作用を受けてベルト上に吸着されている。図7に示す位置から図8に示す位置への移動の途中では、図8に示す各部位置関係に到達するまでは対象物品下面の相対的に大面積となる幅方向中央部の領域だけが中央線寄りの二列の溝形凹部を通して導かれる減圧吸引圧力に曝される。この場合に生じる押付力の減少は、対象物品を保持手段26上に不動保持し続けることに影響を及ぼさない程度であるが、上部ベルト部分18に対する各処理ステーションの配置は、可動分割部材の両端部における減圧吸引圧力供給系の遷移領域では対象物品に対して一切の処理を行わないように、或いはUV放射装置による非接触乾燥など、対象物品に対して何ら押付力を作用させることのない処理しか行わないように設定しておくことが望ましい。
【0043】
分割部材の他の部分よりも細幅となる延長部83と82a及び82bとの領域では更に低圧に減圧された吸引圧力を導くようにすることも可能である。但し、一般的には上述の方式で入側及び出側の二カ所の遷移領域に更に低圧に減圧した吸引圧力を導入することを考慮に入れる必要はない。
【0044】
中間部の可動分割部材68bの両端部における中央細幅延長部83と、搬送方向の上流側及び下流側の各固定分割部材68a及び68cの各二つずつの二又フォーク状細幅延長部82a、82bとの各溝形凹部への減圧吸引圧力の導入は、これら延長部相互のオーバーラップ部分に延在しないように配置された溝形部材70a〜70cによる吸気通路に連通して各分割部材及びその各延長部に配設された複数の通路によって果たされる。
【0045】
一般的には、固定分割部材68a、68cの溝形凹部70a、70cのうちの少なくとも一方の減圧吸気通路71を減圧源に接続する必要があり、従ってこの場合は、各分割部材の溝形部材70a、70b、70cを連結管部86(図1、図7、図8)によって一連に連通させる。これらの連結管部は、例えば可動分割部材68bの両端部における中央細幅延長部83のの下部で溝形部材70bの両端部から突出するように固定配置され、それらの突出端部が、可動分割部材68bの往復移動のストローク範囲に亘って固定分割部材68a、68cの各溝形部材70a、70cの対向端面に設けられた嵌合穴に外部との気密を保った状態で相対移動可能に入れ子状に嵌合するようになっている。図9には可動分割部材68bに対面する側の固定分割部材68aの前端面89に減圧吸気通路71に連通する嵌合穴88が開口している様子が示されており、この嵌合穴88には、可動分割部材68bが搬送方向24へ移動を開始する前から移動後に停止した後も、可動分割部材68bの連結管部86が外部との気密を維持したまま相対摺動可能に嵌合して相互の減圧吸気通路同士の連通を維持している。尚、このような連結管部と嵌合穴とによる入れ子式の連通機構に代えて、対面する両分割部材の溝形部材同士の間を相対摺動部の無い例えば伸縮自在な蛇腹管によって連通させてもよい。
【0046】
図9は、更に固定分割部材68aが搬送方向の前方部に図10に示すような交換部品90と組み合わされることを示している。交換部品90の頂面は上部ベルト部分18を支承し、従ってこの頂面にも前述と同様の減圧吸引圧力の導入のための複数列の断続溝部72a’〜72d’が設けられている。図示の実施例において、この交換部品との組み合わせ構造は、固定分割部材における交換部品90で占められる領域にスクリーン印刷ステーションBが存在し、この印刷ステーションBでは印刷インクが固定分割部材上に落ちて減圧吸気通路として機能すべき凹部や開口部に流れ込む虞があることから或る時間毎に固定分割部材上のインクを洗浄によって除去する必要があることを念頭に置いて採用してある。この洗浄は、インクで汚れやすい固定分割部材の一部分を交換部品として着脱可能に構成しておくことにより極めて容易且つ効果的となる。
【0047】
図9及び図10を参照して、溝形凹部72a〜72dを通して導かれる減圧吸引圧力の効果を装置の仕様や状況に応じて調整可能とする更なる工夫を以下に説明する。即ち、図9と図10に示す二つの構成部品は、減圧吸引圧力が導かれる溝形凹部72a〜72dや断続溝部72a’〜72d’を有する低摩擦の被覆層69の上面に付加的な複数の空気導入路92を有している。これらの空気導入路92は、溝形凹部72a〜72dや断続溝部72a’〜72d’と同様に各分割部材上に被さるベルトによって頂部が覆われている。但し、減圧源に通じる溝形凹部72a〜72dとは対照的に、各空気導入路92は周囲の大気中に通じている。このためには、例えば図9に示されているように、各空気導入路を単純に周囲大気中に解放可能としておくだけで充分である。このような付加的な空気導入路は、例えばベルトと分割部材との間の摩擦を調整する目的で装置各部の要求仕様や適用状況に応じて他の部分の分割部材に設けることも可能である。
【0048】
付加的な空気導入路を配設することにより、対象物品を各保持手段上に固定するために減圧吸引圧力によって生じる力の及ぶ領域の広がりを調整することも可能である。即ち、図10に示すように、装着状態でスクリーン印刷ステーションに対置される交換部品90の中央領域には空気導入路が全く設けられておらず、従って係る中央領域の全域に減圧吸引圧力が作用して印刷工程中の対象物を完全に固定することができる。これに対して、中央領域に隣接する入側と出側の二領域は対象物品が上流側から搬入又は下流側へ搬出される領域であるので、上部ベルト部分18が固定分割部材68aに対して被覆層69の上面をスライド移動する必要がある。従ってこれら二領域に周囲からの空気導入路92を適宜配設しておくことにより、一方では保持手段上に載置された対象物品を減圧吸引圧力によって依然として充分に固定保持し、他方では対象物品の特に強力な固定保持が要求される実際に動作中の印刷その他の処理ステーションの外部ではベルトが空気導入路の存在しない領域ほどには被覆層69の表面に押し付けられないようにすることができる。
【0049】
従って、同様の空気導入路を支持構体68の適所にそれぞれ配置することにより、関連する保持手段上に対象物品を固定保持するに必要な力を装置の要求仕様に応じてベルトの前進移動に消費されるエネルギーを最小化するように調整することができる。このような空気導入路は、両側のベルト周回ドラム14と16の間の搬送経路上で付加的な力が対象物品に印加されることのない各所の領域に設けることが可能である。
【0050】
空気導入路が設けられていると、例えばベルトの下面側、即ち分割部材上面に対面する側のベルト裏面で減圧吸引圧力が分割部材の全幅に亘って作用するのを防止することができ、従って減圧吸引圧力が固定分割部材の領域におけるステップ移動中に過大な摩擦力の発生原因となって上部ベルト部分18の前進移動を妨げることもない。このことはベルトと同期してキャリッジ40により移動する中間部の可動分割部材68bの領域については無関係である。但し、可動分割部材68bはステップ移動とステップ移動の間でベルトが停止しているときにキャリッジ40によって元のスタート位置へ復帰移動され、この復帰移動はベルトと可動分割部材との間の摩擦力の作用に抗して果たされる必要があることには留意すべきである。
【0051】
図示のCD及び類似の情報記録媒体用印刷機の実施例の動作を説明すれば、先ず搬入ステーションAにおいて、印刷対象物品がステーションA内に位置する保持手段26上に載置される。この搬入操作は、CDをスタックから吸引グリップで取り出してそれぞれステーションA内に位置する保持手段上に個別配置し、同時にその配置位置を適正位置に合致させる公知の搬入装置によって行われる。保持手段に対するCDの位置合わせは公知の方式に従っており、昇降移動することによってベルト12の中央線上の開口35と保持手段26の中央開口34に進入することができるようにステーションAに配置されている棒状のスピンドルが用いられる。この位置合わせの手順は次の通りである。即ち、ベルト12による個々の搬送ステップが終了するたびに、直ちに図示しないスピンドルが作動位置に移動されて上記各開口35と34内に挿入される。吸引グリップで保持されたCDを保持手段上に載置する際には、CDがその中央開口37でスピンドルに案内されて落下することにより、保持手段上に着地した際にはCDは保持手段及びベルトに対して正確に位置合わせされており、これはその後にベルトと印刷機の位置合わせのために行われる全ての位置合わせの基準位置となる。このような保持手段上へのCDの載置時の位置合わせ及びその位置への最終位置決めは搬送ステップと次の搬送ステップとの間に行われ、従って保持手段においては対象物品を保持するための減圧吸引圧力は対象物品が保持手段上に平らに載置される時点から作用しているので、ベルト及びそれに随伴移動可能な部材の移動範囲外となる位置へ向けて次の搬送ステップが開始される前の好適な時点にスピンドルを元の位置へ復帰させることができる。尚、固定分割部材68aにもスピンドルが進入可能な位置決め穴98を設けておいてもよい。
【0052】
ベルト上に搬入されたCDは、上部ベルト部分で形成された直線的な搬送路に沿って二回の搬送ステップで中間処理ステーションを通過してスクリーン印刷ステーションBに進むが、途中の中間処理ステーションでも必要に応じて何らかの処理や検査を行うことができる。スクリーン印刷ステーションBでは、二回の搬送ステップの間の停止期間中にスクリーン印刷機によってプライマーやその他の塗料による印刷がCDに施される。図10に示す交換部品90は係るスクリーン印刷ステーションBへの配置に適合するように構成されている。更に搬送ステップを繰り返すうちに、CDは印刷ステーションDにおける例えばオフセット印刷による第1の輪転印刷の開始位置に到達する。このとき、上流側のスクリーン印刷ステーションBでCDに印刷されたインクは、先行する搬送ステップの途中、恐らくはステーションBとステーションDとの間に位置するステーションC内で既に乾燥を終えているようにすることが可能である。即ち、この乾燥は、必要に応じた回数の搬送ステップ中に終わらせることが可能である。
【0053】
ステーションD内で対象物品に印刷を施す動作は一回の搬送ステップ中に行われる。この間のCDとベルト12の直線移動は、印刷すべき印像を有する回転印刷胴91の印面の周速に等しい速度で行われる。同様にして、後続の各搬送ステップにおける移動中に下流側の複数の印刷ステーションE、F、Gで更に印像の印刷が重ねられる。かくして得られる合成印刷像の品質は、特に個々の部分印像相互間の正確な重なり精度、従って各輪転印刷機の回転印刷機構に対する対象物品の位置精度に依存する。個々の部分印刷像の印刷後に必要な印刷インクの乾燥は、それぞれ次の印刷ステーションへの搬送中に自然乾燥で済ませることができるが、必要に応じて隣り合う印刷ステーションの間に個別に配置した乾燥ステーションで強制的に済ませることも可能である。
【0054】
各輪転印刷ステーションD〜Gにおける印刷に際しては、可動分割部材68bはベルト及びその上に保持された対象物品と同期して前進移動し、対象物品を載せたベルトと可動分割部材とが相対変位を生じることはない。これは、すべての輪転印刷ステーションに適用されることである。
【0055】
最後の輪転印刷ステーションGを対象物品が通過した後、最終乾燥処理がステーションHで行われ、その次のステーションJで印刷像の品質検査が行われる。この品質検査は、通常は搬送ステップと搬送ステップとの間の停止期間中に行われる。搬送ラインの最下流位置、即ちベルト周回ドラム16の直前位置のステーションKでは、例えば吸引グリップ等の公知の手段を用いて印刷済CDがベルト上の保持手段から取り外され、通常はマガジン内へ集積される。この搬出のハンドリング操作も当業者のよく知るところであり、従ってこれ以上の詳述は不要である。搬出ステーションKには、例えばベルト上から対象物品を取り外し易くするために圧力調整可能としたエア吸引装置などの付加装置を配置してもよい。
【0056】
処理ステーションの配置数は、実際の設備に要求される事情に応じて図示の例よりも少なくしてもよく、或いは多くてしても差し支えない。究極的には、処理ステーションの数は搬送ベルトライン及び関連設備機器の設置長さを決定する要求仕様に依存する。また、リニアモータ関連の送り機構及び支持構体の可動分割部材は搬送ベルトラインの全長に亘って往復動可能に構成してもよい。
【0057】
搬送グリップ36a、36bは、搬送方向24にみて搬出ステーションの手前のいずれにせよ最終印刷ステーションより下流側の位置に配置されており(図1及び図2)、それにより搬送ステップの前進移動中には上部ベルト部分18の殆ど全長に亘って引張り牽引力が負荷されるように構成されている。搬送ステップと搬送ステップの間の期間中にベルトを停止状態に保持する保持グリップ38a、38bは、搬送方向24にみて搬出ステーションの直前位置、特に搬送グリップよりも下流側の位置に配置することが好ましい。
【0058】
ベルトの位置、従ってベルト上の各対象物品の位置を検知するために、ベルトには三角形の孔からなる複数のマーク93が設けられており、ベルト上におけるこれらマークは、ベルトの長手方向及びその横断方向に関して位置を特定できる向きと形状に形成されている。このマークを非接触検知するために上部ベルト部分の長手方向に沿って幾つかのセンサー94が配置されている。これにより、いずれにせよ装置の動作開始前にセンサー94と少なくとも一カ所のマーク93とを利用してベルト長を確認することができ、例えば温度の影響によるベルト長の変化を検出することができる。この検出結果に基づいて、コンピュータ装置により各搬送ステップの移動距離を決定しかつ精確に制御することが可能である。
【0059】
経験則から、周回する無端可撓ベルトは精密に直線走行することはなく、数mm程度の振幅で横揺れしながら走行することが知られている。この横揺れは、同様にコンピュータ装置による制御によってベルト周回ドラム14、16の一方又は双方の回転軸96の軸心方向の位置を動的に移動制御することによって極めて好適に補償することができる。印刷像の品質に関する厳格な要求を満たすには個々の印刷ステーションにおけり印刷機構に残存するあらゆる位置偏位を補償しておくことが好ましく、従って実施例では特に各輪転印刷ステーションの印刷機構(印刷胴)を水平面内でベルト幅へ変位調整可能に配置し、ベルト上の個々の対象物品(CD)の適正な位置合わせの後に印刷機構に対するベルト上の対象物品の相対位置合わせを確実に行えるようにしてある。この目的のために、係る精度が重要となる個々の印刷機構の近傍にそれぞれセンサー94を配置し、個々の印刷機構又は複数の印刷機構毎にその位置を識別できるようにしてある。但し、一般的には、通常の動作中に横揺れによって生じる上部ベルト部分の幅方向の位置偏位は搬送移動と共に上流側のステーションから下流側のステーションへと移行してゆくので、最上流位置の第1輪転印刷ステーション、即ち実施例では印刷ステーションDにおける印刷機構の上流側でベルトと対象物品の位置を検知すれば足り、この検知位置をコンピュータ装置内で基準位置と比較した結果に基づき、コンピュータ装置による制御のもとに下流側の各後続印刷ステーションにおける印刷機構の幅方向偏位をリアルタイムで逐次補償制御すれよい。図示の実施例では、輪転印刷ステーションよりも搬送方向24の上流側に配置されているスクリーン印刷ステーションBの入口近傍にもセンサー94が配置されている。この場合、通常の動作中にスクリーン印刷ステーションBの上流位置でベルト及び対象物品の位置を検知し、その後、上述の手順に従って後続の輪転印刷ステーションにおける印刷機構のベルト幅方向の位置決めを行うようにすることも可能である。この場合の個々の印刷機構と対象物品との間の相対位置合わせを果たす手順は、実際の装置に配備されている印刷機の仕様及び動作条件に応じて決定される。
【0060】
尚、以上の説明では、CD及びその類似物品、即ち一般に中央開口を有する円盤形の対象物品に印刷を施す場合について述べてきたが、本発明はこの種の対象物品に印刷を施すためのものに限定されるものではなく、他の対象物品、特に異なる形状寸法の対象物品に印刷、塗装又はその他の処理を種々の方式で施すためにも適用可能であり、また、対象物品の精密位置合わせは物品の輪郭を利用して行うことも可能である。この場合の物品の位置検出は非接触センサを用いて行うこともできるが、対象物品の外周やベルト上への載置のための部分で対象物品の位置を検知する種々の装置を用いて行うこともできる。
【0061】
同様の配慮は対象物品に印刷や塗装を施すための方法についても言えることであり、例えばスクリーン印刷やオフセット印刷など、前述以外の印刷法や塗装法を利用した場合も本発明の範疇に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の好適な実施例に係る装置構成の概略を示す模式側面図である。
【図2】図1に示す装置構成の模式平面図である。
【図3】図1に矢印IIIで示す部分の概略平面図である。
【図4】図3の矢視IV−IV線断面図である。
【図5】一部省略して示すベルト駆動機構の斜視図である。
【図6】保持手段と吸引圧力減圧源との連絡及びベルトの支持のためにベルト周回経路の上側ベルト下部に設けられる減圧吸気手段の関連機構の概略を示す模式平面図である。
【図7】図6に示す減圧吸気手段の関連機構の二つの分割部材の端部同士が互いに最も接近した第1の状態を拡大して示す部分平面図である。
【図8】図7に示す二つの分割部材の端部同士が互いに最も離れた第2の状態を拡大して示す部分平面図である。
【図9】印刷すべき対象物品をベルト上に載せる搬入ステーション向けに変形した図6の関連機構の要部を示す斜視図である。
【図10】図9の関連機構に組み合わされる減圧吸気手段の対応部品を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
10 :印刷機
12 :無担可撓ベルト
14、16 :ベルト周回ドラム
18 :上部ベルト部分
20 :下部ベルト部分
22 :対象物品
24 :搬送方向
26 :保持手段
27 :ベルト外表面
28a〜28e:保持部
30a〜30d:円形環状溝部
31 :対象物品のスペーサーリング
32 :ベルトの貫通開口部
33a〜33d:貫通開口部の列
34 :保持手段の中央開口
35 :ベルト中央線上の開口
36a、36b:搬送グリップ
37 :対象物品の中央開口
38a、38b:保持グリップ
40 :キャリッジ
41 :装置固定フレーム
42 :第1ストッパ
44 :第2ストッパ
46、48 :ショックアブソーバ
50 :ベースプレート
52a、52b:ガイドシュー
54a、54b:短尺片
56a、56b:ローラ
58a、58b:支持スタンド
60a、60b:搬送グリップ36a、36bの延長部
62 :ガイドローラ
64 :固定ガイド
68 :支持構体
68a〜68c:支持構体の分割部材
69 :被覆層
70a〜70c:溝形部材
71 :減圧吸気通路
72a〜72d:溝形凹部
72a’〜d’:断続溝部
74 :表裏貫通通路
76 :牽引支柱
78a〜78c:支持スタンド
80a〜80c:支承沓
82a、82b:二叉フォーク条細幅延長部
83 :中央細幅延長部
86 :連結管部
88 :嵌合穴
89 :分割部材の端面
90 :交換部品
91 :印刷胴
92 :空気導入路
93 :ベルト上の三角孔マーク
94 :センサー
96 :ベルト周回ドラムの回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って配列された複数の処理ステーション間を搬送手段で搬送される対象物品に塗装や印刷によって装飾を施す物品装飾装置において、搬送手段が鉛直面内で周回可能な無端可撓ベルト(12)を備えると共にベルト外表面(27)に装飾対象物品(22)のための複数の保持手段(26)が設けられ、該保持手段がベルトに結合されたプラスチック材の複数の可撓部分からなると共にベルト(12)及び保持手段(26)には個々の保持手段上で対象物品に吸引圧力が作用するように減圧源に接続可能な少なくとも一つの開口部(32;30a〜30d)が設けられていることを特徴とする物品装飾装置。
【請求項2】
ベルト(12)がスチールベルトからなることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項3】
ベルト(12)がプラスチック材からなることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項4】
保持手段(26)が該保持手段の開口部を形成する間隙(30a〜30d)を残して互いに離隔配置された複数の保持部(28a〜28e)を備え、これら保持部同士の間の各間隙にベルト(12)の開口部を形成する少なくとも一つの孔(32)がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項5】
保持手段(26)が同心状に配置された複数の保持部(28a〜28e)を備えていることを特徴とする請求項4に記載の物品装飾装置。
【請求項6】
少なくとも一つの保持手段(26)が接着剤によってベルトに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項7】
ベルトに少なくとも一つの電動リニアモータが組み合わされ、該リニアモータの往復可動部がベルト(12)の搬送方向(24)に移動可能であると共に少なくとも一つの搬送グリップ(36a、36b)に連結されており、該搬送グリップは、一方の搬送方向(24)へのリニアモータの移動によってベルトを同期的に連行するようにベルト(12)と係合可能であると共に逆方向へのリニアモータの往復可動部の移動中にはベルト(12)との係合が解かれることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項8】
ベルト(12)の搬送方向に互いに同期して移動可能な二つの搬送グリップ(36a、36b)が設けられ、これら搬送グリップが互いに向かい合わせの位置関係でベルト(12)の両側の長手縁部分の各々と係合可能であることを特徴とする請求項7に記載の物品装飾装置。
【請求項9】
リニアモータの往復可動部がキャリッジ(40)に担持されており、このキャリッジに少なくとも一つの搬送グリップ(36a、36b)が取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の物品装飾装置。
【請求項10】
停止したベルト(12)に対して該停止ベルトを停止位置に固定して位置変動を防止するように係合可能な少なくとも一つの保持グリップ(38a、38b)が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項11】
二つの保持グリップ(38a、38b)が設けられ、これら保持グリップが互いに向かい合わせの位置関係に配置されてベルトの両側の長手縁部分の各々に対して係合可能であることをを特徴とする請求項10に記載の物品装飾装置。
【請求項12】
ベルトに少なくとも一つの電動リニアモータが組み合わされ、該リニアモータの往復可動部がベルト(12)の搬送方向(24)に移動可能であると共に少なくとも一つの搬送グリップ(36a、36b)に連結されており、該搬送グリップは、一方の搬送方向(24)へのリニアモータの移動によってベルトを同期的に連行するようにベルト(12)と係合可能であると共に逆方向へのリニアモータの往復可動部の移動中にはベルト(12)との係合が解かれるものであり、ベルト(12)が常に搬送グリップと保持グリップとの二種のグリップ(36a、36b;38a、38b)の少なくとも一方と係合状態にあることを特徴とする請求項10に記載の物品装飾装置。
【請求項13】
対象物品(22)を担持しているベルト部分(18)の下部に吸引圧力のための減圧吸気手段(68)が配置され、保持手段上に載置されている対象物品(22)の保持手段側の面に減圧された吸引圧力を作用させるように前記減圧吸気手段が一方では減圧源に、他方ではベルト(12)と保持手段(26)の開口部(32;30a〜30d)に接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項14】
減圧吸気手段(68)が少なくとも二つの分割部材(68a〜68c)に分けられており、そのうちの少なくとも一つの分割部材はベルト(12)の長手方向へ往復移動可能に配置されると共に互いに隣接する少なくとも二つの分割部材は互いの隣接端部で相互にオーバーラップして、このオーバーラップ領域に配置された保持手段(26)が障害無しに減圧吸気手段の二つの分割部材(68a〜68c)のうちの少なくとも一方の吸気通路に連通されるようになっていることを特徴とする請求項13に記載の物品装飾装置。
【請求項15】
二つの分割部材(68a〜68c)の相互にオーバーラップする二つの隣接端部に長手方向へ延在する少なくとも一つの細幅延長部がそれぞれ設けられ、これら二つの細幅延長部同士が並置状態に配置され、各細幅延長部に吸引圧力のための少なくとも一つずつの吸気通路が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の物品装飾装置。
【請求項16】
二つの分割部材(68a〜68c)のうちの一方の端部が長手方向へ延在する中央細幅延長部を有すると共に他方の端部が長手方向へ延在する水平二又フォーク状細幅延長部(82a、82b)を有し、これら二又フォーク状細幅延長部の間に前記一方の端部の中央細幅延長部が入り込み、この中央細幅延長部と前記他方の端部の二又フォーク状細幅延長部がベルトの長手方向へ延在する少なくとも一つの減圧吸気通路を有することを特徴とする請求項15に記載の物品装飾装置。
【請求項17】
吸引圧力のための減圧吸気手段(68)がベルトによって被われる上面側にベルト(12)の搬送方向と平行に延在する複数の溝形凹部(72a〜72d)を備え、これら溝形凹部が減圧源に接続可能であると共に、各保持手段の領域内でベルトに設けられている各開口部(32)が前記溝形凹部の少なくとも一つと連通可能に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の物品装飾装置。
【請求項18】
少なくとも一つずつの長手方向へ延在する溝形凹部(72a〜72d)が保持手段(26)の幅方向中央線の両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項17に記載の物品装飾装置。
【請求項19】
長手方向へ延在する溝形凹部(72a〜72d)の各々が断続形態であって少なくとも二つずつの断続溝部(72a’〜72d’)を含む複数の長手方向の列を形成していることを特徴とする請求項18に記載の物品装飾装置。
【請求項20】
少なくとも二列の長手方向の列における複数の断続溝部(72a’〜72d’)が互いに長手方向にずれた位置に配置され、列相互間で断続溝部の長さ範囲が互いにオーバーラップしていることを特徴とする請求項19に記載の物品装飾装置。
【請求項21】
対象物品(22)を担持しているベルト部分(18)の下部に吸引圧力のための減圧吸気手段(68)が配置され、保持手段上に載置されている対象物品(22)の保持手段側の面に減圧された吸引圧力を作用させるように前記減圧吸気手段が一方では減圧源に、他方ではベルト(12)と保持手段(26)の開口部(32;30a〜30d)に接続可能であり、減圧吸気手段(68)が少なくとも二つの分割部材(68a〜68c)に分けられており、二つの分割部材(68a〜68c)のうちの一方の端部が長手方向へ延在する中央細幅延長部を有すると共に他方の端部が長手方向へ延在する水平二又フォーク状細幅延長部(82a、82b)を有し、保持手段(26)の中央線の両側にそれぞれ二列ずつの複数の溝部(72a’〜72d’)が配置され、これら四列の溝部のうちの中央寄りの二列が二つの分割部材のうちの一方の端部の中央細幅延長部(83)に延在し、外側の二列がそれぞれ二又フォーク状細幅延長部(82a、82b)の一つずつに延在していることを特徴とする請求項19に記載の物品装飾装置。
【請求項22】
減圧吸気手段(68)の少なくとも往復移動可能なほうの分割部材(68b)が対象物品(22)を載置したベルト(12)の支持手段を兼ねていることを特徴とする請求項14に記載の物品装飾装置。
【請求項23】
往復移動可能な分割部材(68b)が対象物品に対して有意の処理圧力を印加する複数の処理ステーション(A〜D)の範囲に亘って配置されていることを特徴とする請求項22に記載の物品装飾装置。
【請求項24】
減圧吸気手段(68)の往復移動可能なほうの分割部材(68b)がリニアーモータの往復可動部に連結されていることを特徴とする請求項14に記載の物品装飾装置。
【請求項25】
ベルト(12)がベルト自身の位置及び担持している対象物品(22)の位置を識別するためのマーク(93)を有し、該マークを検知するためのセンサー(94)と、該センサーで検知されたマークの位置を基準位置と比較するコンピュータ装置と、コンピュータ装置から出力される比較結果に基づいて少なくとも一つの処理ステーション(A〜D)に対するベルト(12)上の少なくとも一つの対象物品の相対位置を合わせる位置調整機構とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の物品装飾装置。
【請求項26】
マークがベルト(12)に設けられた孔(93)からなることを特徴とする請求項25に記載の物品装飾装置。
【請求項27】
位置調整機構が、ベルト(12)上の少なくとも一つの対象物品(22)に対する相対位置合わせをベルト自体の搬送方向及び/又はその逆方向への移動によってベルト長手方向に実行する機構を含むことを特徴とする請求項25に記載の物品装飾装置。
【請求項28】
位置調整機構が、ベルト(12)上の少なくとも一つの対象物品(22)に対する相対位置合わせをベルト(12)及び該ベルト上の対象物品(22)に対して少なくとも一つの処理ステーション(A〜D)を変位させてベルト(12)の長手方向を横切る方向に実行する機構を含むことを特徴とする請求項25に記載の物品装飾装置。
【請求項29】
位置調整機構が、ベルト搬送方向(24)に対するベルト(12)の横断方向の位置を前記比較結果に基づく少なくとも一つのベルト周回ドラム(12、14)の位置調整によって付加的に変更する機構を含むことを特徴とする請求項24に記載の物品装飾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−308308(P2007−308308A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129859(P2007−129859)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(592225238)ヴェルナー・カンマン・マシーネンファブリーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】