説明

物品貸出システム

【課題】物品の紛失、盗難を未然に防止することができる物品貸出システムを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブ貸出システム50は、ゴルフクラブ(貸出物品)10を収納し且つゴルフクラブ10の取り出しを規制するロック装置(取出し規制手段)8、ゴルフクラブ10に関する情報を記録したRFIDタグ(物品側記録媒体)20を読み取るクラブ情報リーダ(物品情報リーダ)11、ゴルフクラブ10の利用者が所持するICカード(利用者情報記録媒体)5の記録情報を読み取るICカードリーダ(利用者情報リーダ)6を備えたゴルフクラブスタンド(物品収納手段)2と、ゴルフクラブ10に関する情報並びに利用者情報の管理を行うサーバ1と、利用者のチェックイン及びチェックアウトを管理するクライアントPC3と、ゴルフクラブスタンド3、サーバ1、及びクライアントPC3を接続するLAN(ネットワーク)4と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品貸出システムに関し、さらに詳しくは、取出し規制手段を備えた物品収納手段に収納した物品を自動的に管理して利用者に貸し出す、物品貸出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフ練習場では、自分のゴルフクラブを持参して練習する利用者以外に、ゴルフ練習場に備えた貸しクラブを利用して練習する利用者が増加している。また、自分のゴルフクラブをゴルフ練習場に預けておき、それを使用する利用者もいる。いずれにしても、練習の都度ゴルフクラブを持参しないで、練習場にあるゴルフクラブを使用して身軽に練習場に来たいと言う要望があり、練習場側では、貸しクラブを備えておくことが他の練習場との差別化を行う手段となっている。しかし、貸しクラブの管理は従業員が行わなければならないため、ゴルフクラブの返却や貸し出しの管理が十分でない場合には、ゴルフクラブを紛失したり、盗難に遭うといった問題が発生する。
尚、特許文献1には、ゴルフクラブに、非接触ICタグを内蔵し、非接触ICタグに識別情報を登録しておき、ゴルフクラブの陳列スタンド、キャディバッグ、ゴルフカート、店舗やゴルフ倶楽部の倶楽部ハウスの出入り口に設けたゲートに、タグデータの読取り手段を設け、識別情報を検出してゴルフクラブの存否を判断し、ゴルフクラブの紛失、盗難防止を目的としたゴルフクラブ管理装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167195公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、ゴルフクラブ格納装置(例えば陳列スタンド、或いはゴルフバッグ等)にアンテナを備えて、ゴルフクラブに備えられた非接触ICタグの識別情報を読み取って紛失、盗難を防止するシステムであるが、盗難に遭った場合に相手を確実に特定できず、本来の目的を達成できないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、物品を収納する物品収納手段に、物品の取出しを規制する取出し規制手段、認証された利用者が所持する利用者カードのIDを読み取る利用者情報リーダ、及び各物品に備えられた物品情報を読み取る物品情報リーダを備え、認証された利用者のみに取出し規制手段による物品のロック状態を解除して物品の貸し出しを許可して、各利用者毎の貸し出し、返却の履歴情報を管理することにより、物品の紛失、盗難を未然に防止することができる物品貸出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、貸出物品を収納し且つ該貸出物品の取り出しを規制する取出し規制手段、前記貸出物品に関する情報を記録した物品側記録媒体を読み取る物品情報リーダ、該貸出物品の利用者が所持する利用者情報記録媒体の記録情報を読み取る利用者情報リーダを備えた物品収納手段と、前記貸出物品に関する情報並びに利用者情報の管理を行うサーバと、前記利用者のチェックイン及びチェックアウトを管理するクライアントPCと、前記物品収納手段、前記サーバ、及び前記クライアントPCを接続するネットワークと、を備えたことを特徴とする。
本発明の物品貸出システムは、物品の貸出、返却を無人化して、確実に物品の貸出及び返却の管理を行い、その結果、物品の紛失及び盗難を防止するものである。そのために、物品の取出しを規制する取出し規制手段と、誰に物品の貸出を行ったかを確認するための利用者情報リーダと、どの物品が貸し出されたかを確認する物品情報リーダと、を備えた物品収納手段を用いている。そして、物品収納手段はネットワークによりサーバと接続され、各リーダから読み取られた情報に基づいて誰が、何時、どの物品を借りて、何時に返却したかを自動的に管理する。更に、貸し出された物品の課金管理を行うためのクライアントPCを備える。これにより、物品の貸出及び返却を自動的に行うと共に、貸出物品の課金処理を確実に行うことができる。
【0006】
請求項2は、前記サーバは、前記物品収納手段、及び前記クライアントPCとの通信制御、前記貸出物品に係る課金制御、及び該貸出物品に関する情報並びに前記利用者情報の管理を行い、前記物品収納手段から送信された前記貸出物品に関する情報、並びに前記利用者情報に基づいて、前記取出し規制手段を制御すると共に、利用者毎の物品の貸し出し、及び返却を管理して該結果を前記クライアントPCに送信し、前記クライアントPCは、該結果に基づいて前記利用者の課金処理を行うことを特徴とする。
各利用者毎の物品の貸出及び返却情報は、リアルタイムにネットワークを介してサーバに通知される必要がある。従って、サーバは物品収納手段と常時、通信を行って情報の変化を検知する必要がある。また、サーバは、利用者のチェックイン及びチェックアウトの度に、その利用者に必要な情報をクライアントPCに送信する必要がある。また、サーバは、利用者に貸し出した物品ごとの貸出料を計算して、課金情報としてクライアントPCに提供する必要がある。更に、各利用者ごとの物品の貸出、返却の履歴情報を正確に管理する必要がある。これにより、クライアントPCからの要求に応じて即座に正確な情報を提供することができる。
【0007】
請求項3は、前記貸出物品はゴルフクラブであり、前記物品収納手段は複数本の該ゴルフクラブを収納するゴルフクラブ収納手段であり、該各ゴルフクラブ個別のゴルフクラブ情報を記録した非接触記録媒体を備え、前記ゴルフクラブ収納手段は、収納された各ゴルフクラブに夫々付された前記物品側記録媒体と対応する位置に配置された前記物品情報リーダと、該物品情報リーダ、及び前記利用者情報リーダにより夫々読み取った情報を前記サーバに送信するとともに、前記サーバから受信した駆動信号又は解除信号に基づいて前記取出し規制手段を制御する制御手段と、を備え、前記サーバは、前記利用者情報リーダにより読み取られたIDに基づいて前記制御手段に対して前記駆動信号又は解除信号を送信するとともに、前記利用者毎の前記ゴルフクラブの貸出、及び返却をリアルタイムに管理して該結果を前記クライアントPCに送信することを特徴とする。
本発明のゴルフクラブ収納手段には、利用者情報リーダの他に、各ゴルフクラブに付された物品側記録媒体の情報を読み取る物品情報リーダが備えられている。従って、利用者がゴルフクラブ収納手段からゴルフクラブを取り出すと、そのゴルフクラブは貸し出されたものと判断し、ゴルフクラブを収納すると、返却されたと判断する。また、ゴルフクラブの取り出しを規制する取出し規制手段を駆動する制御手段が備えられ、制御手段に対してサーバは規制か解除かを判断してそれらの信号を送信する。これにより、ゴルフクラブ収納手段とサーバとはリアルタイムに情報の授受が可能となり、最小限の制御手段を備えることで本システムを構築することができる。
【0008】
請求項4は、前記サーバは、前記利用者情報リーダにより読み取られた前記IDが正規の会員であることを認証すると、前記ゴルフクラブ収納手段に備えられた前記取出し規制手段のロック状態を解除し、前記利用者情報リーダから該利用者情報記録媒体が取り除かれたことにより前記取出し規制手段を駆動してゴルフクラブをロック状態とし、前記物品情報リーダにより読み取られた前記非接触記録媒体の情報の変化を検出して前記ゴルフクラブが貸し出されたか、或いは返却されたかの履歴情報を作成することを特徴とする。
サーバが取出し規制手段のロック状態を解除するか否かは、利用者情報リーダにより読み取られたIDが正規の会員であるか否かによって決定する。また、取出し規制手段のロック状態への移行は、利用者情報リーダから利用者情報記録媒体が取り除かれたことにより無条件に行う。また、サーバは物品情報リーダにより読み取られた情報に基づいて各利用者ごと(IDごと)に履歴情報を作成する。これにより、サーバが全てのゴルフクラブを一元的に管理することができる。
【0009】
請求項5は、前記ゴルフクラブ収納手段に、利用者が近接したことを検知する人感センサを備え、前記制御手段は、前記人感センサにより利用者を検知しないときに、前記利用者情報リーダに前記利用者情報記録媒体がセットされていた場合、該利用者情報記録媒体が置き忘れた旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
利用者は、ゴルフクラブの貸出と返却を行うときには、必ず利用者情報リーダに利用者情報記録媒体をセットする必要がある。しかし、利用者はゴルフクラブの貸出又は返却の操作を終了した後、利用者情報記録媒体を取り出す操作を忘れることがある。この状態で利用者がゴルフクラブ収納手段から離れると、取出し規制手段のロック状態が解除のままとなり、他人がゴルフクラブを持ち出しても正規の利用者が借りたものと見做されてしまう。そこで本発明では、ゴルフクラブ収納手段に、利用者が近接したことを検知する人感センサを備え、人感センサにより利用者を検知しないときに、利用者情報リーダに利用者情報記録媒体がセットされていた場合、利用者情報記録媒体が置き忘れた旨を報知する。これにより、他人による不正な貸出を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品収納手段はネットワークによりサーバと接続され、各リーダから読み取られた情報に基づいて誰が、何時、どの物品を借りて、何時に返却したかを自動的に管理する。更に、貸し出された物品の課金管理を行うためのクライアントPCを備えるので、物品の貸出及び返却を自動的に行うと共に、貸出物品の課金処理を確実に行うことができる。
また、サーバは物品収納手段と常時通信を行って情報の変化を検知し、利用者のチェックイン及びチェックアウトの度に、その利用者に必要な情報をクライアントPCに送信し、利用者に貸し出した物品ごとの貸出料を計算して課金情報としてクライアントPCに提供し、各利用者ごとの物品の貸出、返却の履歴情報を正確に管理するので、クライアントPCからの要求に応じて即座に正確な情報を提供することができる。
また、ゴルフクラブ収納手段には、利用者情報リーダの他に各ゴルフクラブに付された物品側記録媒体の情報を読み取る物品情報リーダと、ゴルフクラブの取り出しを規制する取出し規制手段を駆動する制御手段とが備えられ、制御手段に対して、サーバは規制か解除かを判断してそれらの信号を送信するので、ゴルフクラブ収納手段とサーバとはリアルタイムに情報の授受が可能となり、最小限の制御手段を備えることで本システムを構築することができる。
【0011】
また、サーバが取出し規制手段のロック状態を解除するか否かは、利用者情報リーダにより読み取られたIDが正規の会員であるか否かによって決定する。また、取出し規制手段のロック状態は、利用者情報リーダから利用者情報記録媒体が取り除かれたことにより無条件に行う。また、サーバは物品情報リーダにより読み取られた情報に基づいて各利用者ごと(IDごと)に履歴情報を作成するので、サーバが全てのゴルフクラブを一元的に管理することができる。
また、ゴルフクラブ収納手段に、利用者が近接したことを検知する人感センサを備え、人感センサにより利用者を検知しないときに、利用者情報リーダに利用者情報記録媒体がセットされていた場合、利用者情報記録媒体が置き忘れた旨を報知するので、他人による不正な貸出を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るゴルフクラブ貸出システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】(A)は本発明のゴルフクラブスタンドの構成を示す斜視図であり、(B)はゴルフクラブを挿入する穴部に設けたロック機構を説明する図である。
【図3】ゴルフクラブのグリップ先端に取り付けられたRFIDタグの構成を示す部分拡大図である。
【図4】本発明のゴルフクラブ貸出システムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】1つのゴルフスタンドに複数の会員がゴルフクラブの貸し出しと返却を行った1日の様子をサーバ内のメモリの変化で説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るゴルフクラブ貸出システムの構成例を示すブロック図である。本発明のゴルフクラブ貸出システム50は、ゴルフクラブ(貸出物品)10を収納し且つゴルフクラブ10の取り出しを規制するロック装置(取出し規制手段)8、ゴルフクラブ10に関する情報を記録したRFIDタグ(物品側記録媒体)20を読み取るクラブ情報リーダ(物品情報リーダ)11、ゴルフクラブ10の利用者が所持するICカード(利用者情報記録媒体)5の記録情報を読み取るICカードリーダ(利用者情報リーダ)6を備えたゴルフクラブスタンド(物品収納手段)2と、ゴルフクラブ10に関する情報並びに利用者情報の管理を行うサーバ1と、利用者のチェックイン及びチェックアウトを管理するクライアントPC3と、ゴルフクラブスタンド3、サーバ1、及びクライアントPC3を接続するLAN(ネットワーク)4と、を備えて構成されている。
【0015】
また、サーバ1は、ゴルフクラブスタンド2、及びクライアントPC3との通信制御、ゴルフクラブ10に係る課金制御、及びゴルフクラブ10に関する情報並びに利用者情報の管理を行い、ゴルフクラブスタンド2から送信された貸出ゴルフクラブ10に関する情報、並びに利用者情報に基づいて、ロック装置8を制御すると共に、利用者毎のゴルフクラブ10の貸し出し、及び返却を管理してこの結果をクライアントPC3に送信し、クライアントPC3は、この結果に基づいて利用者の課金処理を行う。
即ち、本実施形態のゴルフクラブ貸出システム50は、ゴルフクラブ10の貸出を無人化して、確実にゴルフクラブ10の貸出及び返却の管理を行い、その結果、ゴルフクラブ10の紛失及び盗難を防止するものである。そのためには、ゴルフクラブ10の取出しを規制するロック装置8と、誰に物品の貸出を行ったかを確認するためのICカードリーダ6と、どのゴルフクラブ10が貸し出されたかを確認するクラブ情報リーダ11と、を備えたゴルフクラブスタンド2がある。そして、ゴルフクラブスタンド2はLAN4によりサーバ1と接続され、各リーダ6、11から読み取られた情報に基づいて誰が、何時、どのゴルフクラブを借りて、何時返却したかを自動的に管理する。更に、貸し出されたゴルフクラブの課金管理を行うための、クライアントPC3を備える。これにより、ゴルフクラブの貸出及び返却を自動的に行うと共に、貸出ゴルフクラブの課金処理を確実に行うことができる。
【0016】
また、各利用者毎のゴルフクラブの貸出及び返却情報は、リアルタイムにLAN4を介してサーバ1に通知される必要がある。従って、サーバ1はゴルフクラブスタンド2と常時、通信を行って情報の変化を検知する必要がある。また、サーバ1は、利用者のチェックイン及びチェックアウトの度に、その利用者に必要な情報をクライアントPC3に送信する必要がある。また、サーバ1は、利用者に貸し出したゴルフクラブごとの貸出料金を計算して、課金情報としてクライアントPC3に提供する必要がある。更に、各利用者ごとのゴルフクラブの貸出、返却の履歴情報を正確に管理する必要がある。これにより、クライアントPC3からの要求に応じて即座に正確な情報を提供することができる。
【0017】
図2(A)は本発明のゴルフクラブスタンドの構成を示す斜視図であり、図2(B)はゴルフクラブを挿入する穴部に設けたロック機構を説明する図である。図2(A)の本発明のゴルフクラブスタンド2は、複数本のゴルフクラブ10を収納するゴルフクラブ収納手段であり、各ゴルフクラブ10は個別のゴルフクラブ情報を記録したRFIDタグ(非接触記録媒体)20を備え、ゴルフクラブスタンド2は、収納された各ゴルフクラブに夫々付されたRFIDタグ20と対応する位置(本実施形態では底面)に配置されたクラブ情報リーダ11と、クラブ情報リーダ11、及び利用者情報リーダ6により夫々読み取った情報をサーバ1に送信するとともに、サーバ1から受信した駆動信号又は解除信号に基づいてロック装置8を制御する制御手段12と、を備え、サーバ1は、利用者情報リーダ6により読み取られたIDに基づいて制御手段12に対して駆動信号又は解除信号を送信するとともに、利用者毎のゴルフクラブの貸出、及び返却をリアルタイムに管理して、この結果をクライアントPC3に送信する。尚、本実施形態に係るゴルフクラブスタンド2は、ゴルフクラブ10を立てて収納しているが、特にこの構成に限定するものではなく、ゴルフクラブを横に収容する形態でも構わない。
【0018】
また、ICカードリーダ6はゴルフクラブスタンド2の上部に備えら、ゴルフクラブスタンド2に利用者が近接したことを検知する人感センサ13と、人感センサ13により利用者を検知しないときに、ICカードリーダ6にICカード5がセットされていた場合、ICカード5を置き忘れた旨を報知する報知手段14が備えられている。
また、サーバ1は、利用者情報リーダ6により読み取られたIDが正規の会員であることを認証すると、ゴルフクラブスタンド2に備えられたロック装置8のロック状態を解除し、利用者情報リーダ6からICカード5が取り除かれたことによりロック装置8を駆動してゴルフクラブ10をロック状態とし、クラブ情報リーダ11により読み取られたRFIDタグ20の情報の変化を検出してゴルフクラブ10が貸し出されたか、或いは返却されたかの履歴情報を作成する。
【0019】
即ち、本実施形態のゴルフクラブスタンド2には、利用者情報リーダ6の他に、各ゴルフクラブに付されたRFIDタグ20の情報を読み取るクラブ情報リーダ11が備えられている。従って、利用者がゴルフクラブスタンド2からゴルフクラブを取り出すと、そのゴルフクラブは貸し出されたと判断し、ゴルフクラブを収納すると、返却されたと判断する。また、ゴルフクラブの取り出しを規制するロック装置8を駆動する制御手段12が備えられ、制御手段12に対して、サーバ1は規制か解除かを判断してそれらの信号を送信する。これにより、ゴルフクラブスタンド2とサーバ1とはリアルタイムに情報の授受が可能となり、最小限の制御手段12を備えることで本システムを構築することができる。
【0020】
また、サーバ1がロック装置8のロック状態を解除するか否かは、利用者情報リーダ6により読み取られたIDが正規の会員であるか否かによって決定する。また、ロック装置8のロック状態は、利用者情報リーダ6からICカード5が取り除かれたことにより無条件に行う。また、サーバ1はクラブ情報リーダ11により読み取られた情報に基づいて各利用者ごと(IDごと)に履歴情報を作成する。これにより、サーバ1が全てのゴルフクラブを一元的に管理することができる。
また、利用者は、ゴルフクラブの貸出と返却を行うときには、必ず利用者情報リーダ6にICカード5をセットする必要がある。しかし、利用者はゴルフクラブの貸出又は返却の操作を終了した後、ICカード5を取り出すのを忘れることがある。この状態で利用者がゴルフクラブスタンド2から離れると、ロック装置8のロック状態が解除のままとなり、他人がゴルフクラブを持ち出しても、正規の利用者が借りたものと見做されてしまう。そこで本実施形態では、ゴルフクラブスタンド2に、利用者が近接したことを検知する人感センサ13を備え、人感センサ13により利用者を検知しないときに、利用者情報リーダ6にICカード5がセットされていた場合、ICカード5が置き忘れた旨を報知する報知手段14を備える。これにより、他人による不正な貸出を未然に防止することができる。
【0021】
図2(B)はロック機構の一例を示すものであり、穴部9の径と略等しい穴を有し、左右に可動自在のロック板9aを備え、図示しない駆動装置によりロック板9aを左右に移動する構成である。図2(B)−(a)は、ロック板9aを左側に移動して、ゴルフクラブ10のシャフトと同じ径とすることにより、ゴルフクラブを穴部9から抜こうとすると、ゴルフクラブのグリップ10aに引っかかって抜くことはできない。一般に、ゴルフクラブの径はグリップ方向に向かって徐々に太くなっているためである。また、図2(B)−(b)のように、ロック装置が解除されると、ロック板9aが右側に移動して、穴部9と略重なってゴルフクラブ10を引き抜くことができる。
【0022】
図3はゴルフクラブのグリップ先端に取り付けられたRFIDタグの構成を示す部分拡大図である。ゴルフクラブ10のグリップ10aには、先端にグリップ交換時にシャフト内の空気を抜くための穴23が設けられている。本発明では、ゴルフクラブ10のグリップ上部に形成された穴23に挿通可能な凸部22を備え、且つグリップ径と略等しい径の台座21にRFIDタグ20を取り付け、凸部22を穴23に挿通して接着剤により固定する。
【0023】
図4は本発明のゴルフクラブ貸出システムの動作を説明するフローチャートである。まず会員は予めゴルフ練習場に会員となるための手続きをして登録しておく。そして、認証されると各会員特有のIDが付されたICカード(会員カード)5が発行される。会員カードを発行された会員は、自分が使用したいゴルフクラブが収納されているゴルフクラブスタンドに行き、ICカードリーダ6にICカード5をセットする(S1)。それによりICカード5に記録されているID情報がLAN4を介してサーバ1に送信される。サーバ1では、受信したIDが正規の会員であるか否かをチェックして(S2)、正規の会員でない場合(登録されていない)正規の会員でない旨を報知手段14から報知する(S12)。ステップS2で正規の会員であることが認証されると、現在のゴルフクラブスタンド2にセットされているゴルフクラブ情報をクラブ情報リーダ11により読み取ってサーバ1のメモリに記憶する(S3)。
【0024】
その後、サーバ1は制御手段12に対してロック装置8のロックを解除する信号を送信する。これによりロック装置8がロックを解除する(S4)。それを確認した利用者は、ゴルフクラブスタンド2から必要なゴルフクラブを引き抜く。尚、ロック解除が解かれてロックするタイミングは、ICカードリーダ6からICカード5が取り除かれて、ID情報が読み取れなくなったときである。従って、利用者はその間に必要なゴルフクラブを引き抜くことができる。そして、ゴルフクラブの選択が終了すると、利用者はICカードリーダ6からICカード5を取り除く(S5でY)。その結果、サーバ1は制御手段12に対してロック信号を送信してロック装置8がロックされる(S6)。
次にサーバは一人の利用者の貸し出しが完了したと判断して、最初に記憶したゴルフクラブと現在のゴルフクラブを比較して(S7)、この場合は、貸し出しなのでゴルフクラブの本数は減少しているので(S8でN)、ゴルフクラブが貸し出されたと判断し(S13)、利用者ごとに貸し出したゴルフクラブのリストを作成する(S14)。一方、ステップS8でゴルフクラブが増加している場合は(S8でY)、ゴルフクラブが返却されたと判断して(S9)、貸し出されたゴルフクラブが全て返却された否かをチェックする(S10)。全てのゴルフクラブが返却されていない場合は(S10でN)、返却されていないゴルフクラブが何であるかを利用者に報知する(S11)。このとき、報知を無視してチェックアウトしようとすると、出口のクライアントPC3にその内容が表示され、ゴルフクラブを無断で持ち出すことを未然に防止することができる。
【0025】
図5は1つのゴルフスタンドに複数の会員がゴルフクラブの貸し出しと返却を行った1日の様子をサーバ内のメモリの変化で説明する図である。
この例では、ゴルフクラブスタンドAを使用し、メモリの横軸にはゴルフクラブスタンドAに収納されているゴルフクラブの種類、D(ドライバ)〜8U(8番ユーティリティ)までが記録され、縦軸に1日の時刻の経過を記している。また、会員のIDは、A30〜D30の4人の会員が貸し出し、及び返却を行った場合について記載している。
【0026】
例えば、10月1日の8:00の時点では、全てのゴルフクラブがゴルフクラブスタンドAに収納されている(○はゴルフクラブが存在する場合を示す)。
8:30の時点で、会員A30がD、5W、5I、7I、9Uを貸し出したことを示している。
8:50の時点で、会員B30が4I、9I、PW、7Uを貸し出したことを示している。
9:10の時点で、会員C30が3W、8I、SWを貸し出したことを示している。
9:45の時点で、会員A30がD、5W、5I、7Iが返却されたことを示している。しかし、9Uが返却もれのためメモリには9Uの欄に会員A30が残っている。この状態で、ICカード5をICカードリーダ6から取り去ると報知手段14から9Uのゴルフクラブが返却されていない旨が報知される。
10:00の時点で、会員B30が4I、9I、PW、7Uが返却されたことを示している。
11:00の時点で、会員D30がD、5I、PW、8Uを貸し出したことを示している。
11:15の時点で、会員C30が3W、8I、SWが返却されたことを示している。
14:00の時点で、会員D30がD、5I、PW、8Uが返却されたことを示している。
【0027】
そして、時間が経過して営業終了時間24:00の時点で、正常であれば全てのゴルフクラブが返却されているはずである。しかし、会員A30が報知されているにも関わらず練習場を抜けた場合でも、メモリには会員A30がゴルフクラブ9Uを返却していないことが記録に残っているので、後日、会員A30に連絡してその旨を伝えることができる。基本的には、チェックアウト時にゴルフクラブ9Uが返却されていないことが判明するので、外部に持ち出すことはできない。
【符号の説明】
【0028】
1 サーバ、2 ゴルフクラブスタンド、3 クライアントPC、4 LAN、5 ICカード、6 ICカードリーダ、7 スタンド本体、8 ロック装置、9 穴部、10 ゴルフクラブ、11 クラブ情報リーダ、12 制御手段、13 人感センサ、14 報知手段、20 RFIDタグ、21 台座、22 凸部、23 穴、50 ゴルフクラブ貸出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸出物品を収納し且つ該貸出物品の取り出しを規制する取出し規制手段、前記貸出物品に関する情報を記録した物品側記録媒体を読み取る物品情報リーダ、該貸出物品の利用者が所持する利用者情報記録媒体の記録情報を読み取る利用者情報リーダを備えた物品収納手段と、
前記貸出物品に関する情報並びに利用者情報の管理を行うサーバと、
前記利用者のチェックイン及びチェックアウトを管理するクライアントPCと、
前記物品収納手段、前記サーバ、及び前記クライアントPCを接続するネットワークと、を備えたことを特徴とする物品貸出システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記物品収納手段、及び前記クライアントPCとの通信制御、前記貸出物品に係る課金制御、及び該貸出物品に関する情報並びに前記利用者情報の管理を行い、前記物品収納手段から送信された前記貸出物品に関する情報、並びに前記利用者情報に基づいて前記取出し規制手段を制御すると共に、利用者毎の物品の貸し出し、及び返却を管理して該結果を前記クライアントPCに送信し、
前記クライアントPCは、該結果に基づいて前記利用者の課金処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の物品貸出システム。
【請求項3】
前記貸出物品はゴルフクラブであり、前記物品収納手段は複数本の該ゴルフクラブを収納するゴルフクラブ収納手段であり、該各ゴルフクラブは個別のゴルフクラブ情報を記録した非接触記録媒体を備え、
前記ゴルフクラブ収納手段は、収納された各ゴルフクラブに夫々付された前記物品側記録媒体と対応する位置に配置された前記物品情報リーダと、該物品情報リーダ、及び前記利用者情報リーダにより夫々読み取った情報を前記サーバに送信するとともに、前記サーバから受信した駆動信号又は解除信号に基づいて前記取出し規制手段を制御する制御手段と、を備え、
前記サーバは、前記利用者情報リーダにより読み取られたIDに基づいて前記制御手段に対して前記駆動信号又は解除信号を送信するとともに、前記利用者毎の前記ゴルフクラブの貸出、及び返却をリアルタイムに管理して該結果を前記クライアントPCに送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の物品貸出システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記利用者情報リーダにより読み取られた前記IDが正規の会員であることを認証すると前記ゴルフクラブ収納手段に備えられた前記取出し規制手段のロック状態を解除し、前記利用者情報リーダから該利用者情報記録媒体が取り除かれたことにより前記取出し規制手段を駆動してゴルフクラブをロック状態とし、前記物品情報リーダにより読み取られた前記非接触記録媒体の情報の変化を検出して前記ゴルフクラブが貸し出されたか、或いは返却されたかの履歴情報を作成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の物品貸出システム。
【請求項5】
前記ゴルフクラブ収納手段に、利用者が近接したことを検知する人感センサを備え、前記制御手段は、前記人感センサにより利用者を検知しないときに前記利用者情報リーダに前記利用者情報記録媒体がセットされていた場合、該利用者情報記録媒体が置き忘れた旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の物品貸出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−89062(P2012−89062A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237394(P2010−237394)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)