説明

物品載置棚及びそれを備えた物品収納設備

【課題】物品支持部の基台部に対する変位距離を制限でき、変位距離を制限する機構の破損時に補修が容易な物品載置棚及びそれを備えた物品収納設備を提供する。
【解決手段】索状体52を付勢力によって本体部51に巻き取り収納する巻取り状態と、索状体52を付勢力に抗して本体部51から引き出す引き出し状態とに切換え自在な索状体巻取装置が、取付け対象部に装着及び取り外し自在で、かつ、本体部51又は索状体52の先端部の一方を取付け対象部としての基台部30に装着し、他方を取付け対象部としての物品支持部40に装着するように構成され、索状体52の本体部51からの最大引出し長さが、索状体巻取装置を取付け対象部に装着していないときに物品支持部40が案内部に案内されて移動可能な最大距離よりも短く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置支持自在でかつ水平方向に沿う一方向に移動自在な物品支持部と、前記物品支持部の移動を案内する案内部を有する基台部とを備え、前記物品支持部が、前記案内部に案内される状態で、人為操作によって、前記基台部に対する定常位置と前記定常位置から前記一方向に変位した突出位置との間で出退移動自在に構成されている物品載置棚、及び、それを備えた物品収納設備に関する。
【0002】
かかる物品収納設備として、例えば、物品を収納する収納部を複数並べて備えた物品収納棚と、その物品収納棚の前面側を移動自在な物品搬送装置としてのスタッカークレーンを備え、スタッカークレーンが、物品を収納部と自己との間で移載自在な移載装置を備えて構成され、最下段の収納部の一部又は全部に、物品載置棚が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、物品載置棚の基台部は物品収納棚にて構成されている。
【0003】
上記物品載置棚における物品支持部は、物品を載置した状態で、作業者による人為操作で物品収納棚背面側に引き出し操作される。作業者が、物品支持部を引き出し操作して突出位置に移動させることで、作業者は、当該物品支持部に載置支持されている物品に積みつけられた荷を取り出す(ピッキングを行う)作業を、作業スペースが確保できる状態で的確に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−270618
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1における物品載置棚は、案内部としての案内レールを基台部に一体に備え、その案内レールに案内されて出退自在な被案内レールを物品支持部に一体に備えた、いわゆるスライドレール式に構成されており、被案内レールが案内レールに案内されることにより、物品支持部が基台部に対する定常位置にある状態と、定常位置から一方向に変位した突出位置にある状態とに人為操作(引出し又は押し込み操作)にて切換えられるように構成されている。
【0006】
ところで、上記のような案内レールと被案内レールとによるスライドレール式の案内機構は、一般に、案内レールと被案内レールとを互いに摺動移動可能に係合させて構成されているが、被案内レールを案内レールに対して一定の距離以上引出し操作すると被案内レールが案内レールから脱落してしまうため、案内レールと被案内レールとの夫々に当て止め式のストッパブロックをネジ止め等により取り付けて、被案内レールが案内レールに対して一定の距離まで移動操作された場合には、案内レールに取り付けられたストッパブロックと被案内レールに取り付けられたストッパブロックとが当接して、それ以上移動操作されることを制限するように構成されている。
【0007】
このようなストッパブロックは、被案内レールが引き出される速度が速い場合等における衝突の衝撃に耐えられるように、たとえば高硬度の金属やセラミックにて形成されることが多いが、長期の使用による経年劣化や破壊強度以上の力の印加等により破損することがある。ストッパブロックが破損した場合、破損したストッパブロックを交換する必要があるが、ストッパブロックの取り付け位置は、案内レールと被案内レールとに挟まれる箇所となるため、ストッパブロックを交換するには、案内レールと被案内レールとを互いに取り外した状態にしなければならず、その交換作業に手間がかかるため、設備を復旧させるまでに時間を要するものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品支持部が案内部から脱落することを防止でき、しかも、その物品支持部の基台部に対する変位距離を制限する機構が破損したときに極力迅速に復旧させることができる物品載置棚、及び、その物品載置棚を備えた物品収納設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る物品載置棚の第1特徴構成は、物品を載置支持自在でかつ水平方向に沿う一方向に移動自在な物品支持部と、前記物品支持部の移動を案内する案内部を有する基台部とを備え、前記物品支持部が、前記案内部に案内される状態で、人為操作によって、前記基台部に対する定常位置と前記定常位置から前記一方向に変位した突出位置との間で出退移動自在に構成されている物品載置棚であって、
索状体を付勢力によって本体部に巻き取り収納する巻取り状態と、前記索状体を付勢力に抗して前記本体部から引き出す引き出し状態とに切換え自在な索状体巻取装置が設けられ、前記索状体巻取装置が、取付け対象部に装着及び取り外し自在に構成され、かつ、前記本体部又は前記索状体の先端部の一方を前記取付け対象部としての前記基台部に装着し、他方を前記取付け対象部としての前記物品支持部に装着するように構成され、前記索状体が前記本体部から引き出される最大の引出し長さが、前記索状体巻取装置を前記取付け対象部に装着していないと仮定したときに前記物品支持部が前記案内部に案内されて移動可能な最大距離よりも短い長さに設定されている点にある。
【0010】
すなわち、索状体を索状体巻取り装置から引き出した状態における索状体の最大の引出し長さが、索状体巻取装置を前記取付け対象部に取付けていないと仮定したときに物品支持部が案内部に案内されて移動可能な最大距離よりも短い長さに設定されているので、物品支持部は、索状体巻取装置を取付け対象部に装着していないと仮定したときに物品支持部が案内部に案内されて移動可能な最大距離よりも短い距離までしか移動操作されないため、物品支持部の基台部に対する変位距離を制限でき、さらに、物品支持部が案内部から脱落することが防止される。
【0011】
また、索状体巻取り装置は、取付け対象部に装着及び取り外し自在なものであるので、当該索状体巻取り装置が破損した場合にも、交換を行うことが容易となり、復旧が迅速に行える。
【0012】
説明を加えると、案内部が、例えば案内レールと被案内レールとによって構成される場合には、被案内レールが案内レールから脱落することを防止するために、案内レールと被案内レールとの双方の内方側位置にストッパブロック等の脱落防止機構を取り付ける必要があるが、このようなストッパブロックが、長期の使用による経年劣化や破壊強度以上の力の印加等により破損すると、その交換作業を行うには案内レールと被案内レールとを互いに取り外した状態にしなければならず、交換作業に時間がかかるものとなる。
これに対して、索状体巻取り装置は、基台部における突出位置と逆側の端部の適当な箇所と、物品支持部の突出位置側端部の適当な位置に装着(例えば、ボルト留めする、或いは、フックに対して係合させる等)すればよいので、交換作業を行うにしても、案内レールと被案内レールとを互いに取り外した状態とする必要がなく、交換作業を容易に行えるため、復旧が迅速に行えるものとなる。
【0013】
要するに、第1特徴構成によれば、物品支持部が案内部から脱落することを防止でき、しかも、その物品支持部の基台部に対する変位距離を制限する機構が破損したときに極力迅速に復旧させることができる物品載置棚を提供することができる。
【0014】
本発明に係る物品載置棚の第2特徴構成は、上記物品載置棚の第1特徴構成に加えて、前記索状体巻取装置が前記索状体を前記本体部に巻き取り収納するときにおける付勢力が、前記物品支持部を突出位置に移動操作した状態においてその物品支持部を定常位置に戻すことが可能な強さに設定されている点にある。
【0015】
すなわち、物品支持部を突出位置に移動操作したときに、当該物品支持部に、物品支持部を定常位置に戻すことが可能な強さの付勢力が働くので、物品支持部を突出位置に移動させて、載置される物品に対する処理が終了した後、物品支持部を付勢力によって自動的に定常位置に移動させる(定常位置に戻す)ことができ、物品支持部が突出位置に位置したままの状態となるのを抑制できる。また、作業者が手動で物品支持部を定常位置に移動させるにしても、作業者が物品支持部を移動させるために必要な力を上記付勢力が補助することになるので、作業者の負荷を低減させることができる。
【0016】
なお、例えば、索状体巻取装置にラッチストッパ機構(索状体を物品支持部が突出位置に位置する状態に相当する距離だけ引出したときに、巻き取り付勢力が索状体に働くことを抑止するブレーキ機構が作用し、さらに索状体を一定距離引き出すと、上記ブレーキ機構の作用が解除されて巻き取り付勢力が索状体に働くようにした機構)を備えたり、又は、索状体巻取装置によって索状体を巻取り方向に付勢する付勢力を物品支持部が突出位置から定常位置に戻るときの初速が小さい状態となる強さに設定しておけば、作業者が当該物品支持部に載置支持されている物品に対する処理(例えば、積みつけられた荷を取り出す作業)を行っている間、その処理を行うのに十分な時間の間物品支持部を突出位置又はその近傍に位置させることができるものとなり、作業を適切に行うことが出来るものとなる。
【0017】
このように、物品載置棚の第2特徴構成によれば、物品支持部が突出位置に位置したままの状態となるのを抑制できるとともに、物品支持部を定常位置に位置する状態に戻すときの作業者の負荷を軽減することができる。
【0018】
本発明に係る物品収納設備の第1特徴構成は、物品を収納する収納部を複数並べて備えた物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側を移動自在な物品搬送装置とを備え、前記物品搬送装置が、物品を前記収納部と自己との間で移載自在な移載装置を備えて構成されたものであって、
上記物品載置棚の第1又は第2特徴構成に記載の物品載置棚が、前記物品支持部の突出位置が前記物品収納棚背面側となる状態で、前記収納部として設けられている点にある。
【0019】
すなわち、上記第1特徴構成又は第2特徴構成に記載の構成を備えた物品載置棚が、物品を収納する収納部として、物品支持部の突出位置が前記物品収納棚背面側となる状態で物品収納棚に設けられるものであるから、物品載置棚以外の収納部に収納されていた物品を物品搬送装置によって物品載置棚に移載し、物品支持部に物品が載置支持された状態で物品支持部を定常位置から突出位置に移動させることによって、物品収納棚に収納されていた物品をその物品収納棚の背面側から取り出す(又は、その物品に積みつけられている荷のピッキングを行う)ことができるものとなる。
【0020】
しかも、物品載置棚は、上記物品載置棚の第1特徴構成を備えるものであるから、物品支持部が案内部から脱落することを防止でき、しかも、その物品支持部の基台部に対する変位距離を制限する機構が破損した場合に、その機構を極力迅速に復旧させることができる。これにより、物品支持部の基台部に対する変位距離を制限する機構が破損した場合にも、設備の処理能力が低下する状態を迅速に復旧することが可能な物品収納設備を提供できる。
また、物品載置棚が上記物品載置棚の第2特徴構成を備える場合には、上記物品載置棚の第1特徴構成を備える場合に加えて、物品支持部が突出位置に位置したままの状態となるのを抑制できるとともに、物品支持部を定常位置に位置する状態に戻すときの作業者の負担を軽減することができるものとなる。これにより、作業者にとって使い勝手のよい物品収納設備を提供することができる。
【0021】
本発明に係る物品収納設備の第2特徴構成は、上記物品収納設備の第1特徴構成に加えて、前記移載装置が、前記収納部に突入する突入状態と、前記物品搬送装置上に位置する引退状態とに切換え自在で、かつ、物品の底面に当接する状態で物品を載置支持する移載用支持体を出退自在に備えて構成され、
前記物品支持部が、前記案内部による案内移動方向に直交する左右方向両端部に物品を載置する左右枠部を有し、かつ、前記突入状態において前記移載用支持体を当該物品支持部の下方側位置と上方側位置とに亘って昇降自在とする形状に形成されている点にある。
【0022】
すなわち、物品支持部が突入状態において移載用支持体を当該物品支持部の下方側位置と上方側位置とに亘って昇降自在とする形状に形成されているから、移載用支持体にて載置支持されている物品を物品支持部に卸す場合には、物品支持部を定常位置に位置させ、かつ、移載用支持体を物品支持部よりも上方に位置する状態で突入状態とし、続いて、移載用支持体を物品支持部よりも下方に位置する状態となるまで下降移動させることができる。これにより、移載用支持体に載置支持される物品の左右方向両端の底部を物品支持部の左右枠部に載置支持させることができ、物品は、物品支持部に安定して支持されることになる。
また、物品支持部にて載置支持されている物品を移載用支持体にて掬う場合には、物品支持部を定常位置に位置させ、かつ、移載用支持体を物品支持部よりも下方に位置する状態で突入状態とし、続いて、移載用支持体を物品支持部よりも上方に位置する状態となるまで上昇移動させることができる。これにより、物品支持部の左右枠部に載置支持される物品の底部を移載用支持体に載置支持させる状態で、物品を適切に物品支持部から掬うことができることになる。
【0023】
このように、物品収納設備の第2特徴構成によれば、上記物品収納設備の第1特徴構成による作用効果に加えて、物品支持部に物品を安定して載置支持した状態で、当該物品支持部を定常位置と突出位置との間で移動操作することができ、しかも、物品支持部が定常位置に位置した状態のままで物品を移載用支持体によって移載することができるものとなる。
また、移載用支持体が、物品の底面に当接する状態で物品を載置支持するものであるから、パレットの差込孔部にフォークを差し込む方式のものに較べて、移載が容易に行えるものになる。
【0024】
本発明に係る物品収納設備の第3特徴構成は、上記物品収納設備の第2特徴構成に加えて、前記索状体巻取り装置が、平面視で前記左右枠部における左右方向内方側の端部よりも外方側に位置する状態で左右一対設けられ、前記左右一対の索状体巻取り装置の夫々が、前記本体部用の取付け対象部と前記索状体の先端部用の取付け対象部とが同じ高さとなる状態で、かつ、前記索状体が前記案内部の案内移動方向に沿う姿勢となる状態で、前記取付け対象部に装着されている点にある。
【0025】
すなわち、索状体巻取り装置が、平面視で前記左右枠部における左右方向内方側の端部よりも外方側に位置する状態で左右一対設けられるものであるから、移載用支持体によって物品を物品支持部に卸すとき、及び、移載用支持体によって物品を物品支持部から掬うときに、索状体が移載用支持体に干渉することがなく、適切に移載用支持体と物品支持部との間で物品を移載することができ、しかも、索状体巻取り装置が左右一対設けられるから、索状体巻取り装置にかかる負荷が分散されて、索状体巻取り装置を小型化することができる。
【0026】
また、左右一対の索状体巻取り装置の夫々が、本体部用の取付け対象部と索状体の先端部用の取付け対象部とが同じ高さとなる状態で、かつ、索状体が案内部の案内移動方向に沿う姿勢となる状態で取付け対象部に装着されているものであるから、物品支持部が突出位置に移動操作された状態における索状体の付勢力(物品支持部を定常位置に戻す力)における、案内部の案内移動方向に沿う方向の成分が大きいものとなり、索状体巻取り装置の復帰付勢力を、物品支持部を定常位置に戻すために有効に利用することができるから、索状体巻取り装置を小型化することができるものとなる。
【0027】
要するに、物品収納設備の第3特徴構成によれば、索状体巻取り装置を小型化することが可能となり、索状体巻取り装置の設置スペースの小型化ができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】物品収納設備の構成を示す立面図
【図2】物品載置棚の斜視図
【図3】物品載置棚の側面図
【図4】物品載置棚の平面図
【図5】索状体巻取り装置の装着箇所を示す平面図
【0029】
本発明に係る物品載置棚が備えられる物品収納設備について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の物品収納設備Jの立面図である。物品収納設備Jは、物品を収納する収納部Sを複数並べて備え、前面側を対向させる状態で設けられた物品収納棚T1及び物品収納棚T2と、上記物品収納棚T1及び物品収納棚T2の前面側に設けられた下部レールRKとガイドレールRJに案内されて移動自在な物品搬送装置としてのスタッカークレーン10とを備えて構成されている。
図1においては、物品収納棚T1における左右一対及び前後一対の支柱T1hと、前後一対の支柱T1hに亘って設けられる腕木T1uとに囲まれた領域が収納部Sとなり、同様に、物品収納棚T2における左右一対及び前後一対の支柱T2hと、前後一対の支柱T2hに亘って設けられる腕木T2uとに囲まれた領域が収納部Sとなる。これら収納部Sは、図1においては上下方向に複数並べた状態が示されているが、物品収納棚T1及び物品収納棚T2は、収納部Sを、図1における奥行き方向、すなわち左右方向にも、複数並べて構成されている。
【0030】
スタッカークレーン10は、下部レールRK上を走行する走行台車11と、その走行台車11に立設される前後一対の支柱13と、一対の支柱の上端を接続し、ガイドレールRJと係合する上部枠12とを備え、さらに、前後一対の支柱13に案内されて昇降移動自在な昇降台20を備えている。また、昇降台20には、物品Bを収納部Sと自己との間で移載自在な移載装置Eを備えている。
移載装置Eは、収納部Sに突入する突入状態と、スタッカークレーン10に備える昇降台上に位置する引退状態とに切換え自在で、かつ、物品Bの底面に当接する状態で物品Bを載置支持する移載用支持体としてのフォーク21を出退自在に備えて構成されている。
【0031】
対向する物品収納棚の一方側(図1においては物品収納棚T1)における最下段の収納部Sの一部又は全部に、図1及び2に示すように物品を載置支持自在でかつ水平方向に沿う一方向に移動自在な物品支持部40と、その物品支持部を案内する案内部Aを有する基台部30とを備えた物品載置棚Cが設けられている。
【0032】
基台部30は、図2及び図4に示すように、4本の支柱31を備え、そのうち物品収納棚T1の奥行き方向に並ぶ支柱31の上端部分を上端部材34にて接続されている。また、物品収納棚T1の棚左右方向に並ぶ支柱31が、下端部付近で接続部材37にて接続されている。そして、図2に示すように、物品載置棚Cは、物品収納棚T1の前後一対の支柱T1hの間に基台部30の前後一対の支柱31が位置する状態で、物品収納棚T1における収納部Sとして設けられている。
【0033】
案内部Aは、図2に示すように、物品支持部40の棚横幅方向端部に一対備える被案内レール45と、被案内レール45の外方側にそれらに対応して左右一対設けられ、かつ、基台部30に固定される案内レール35と、左右夫々において被案内レール45との案内レール35との間に介在する中間レール46とを備えて構成されている。
また、図示はしていないが、案内レール35と中間レール46との間、及び、中間レール46と被案内レール45との間には、案内レール35と中間レール46、又は中間レール46と被案内レール45とが互いに脱落しないようにするため(つまり、抜け止めのため)に、夫々に当て止め式のストッパブロックをネジ止め等により取り付けて、被案内レール45が中間レール46に対して一定の距離まで移動操作された場合、及び、中間レール46が案内レール35に対して一定の距離まで移動操作された場合には、ストッパブロック同士が当接して、それ以上移動操作されることを制限するように構成されている。
【0034】
物品支持部40は、図2乃至図5に示すように、案内部Aによる案内移動方向に直交する左右方向両端部に、左枠部41Lと右枠部41Rとからなり、それら夫々に物品Bの底面を当接させる状態で載置支持する左右枠部41を有し、かつ、物品収納棚T1の背面側に連結枠42を備え、その連結枠42に人為引出し操作用の把持部43が設けられて構成されている。これら左右枠部41と連結枠42とは、フォーク21の突入状態においてフォーク21を当該物品支持部40の下方側位置と上方側位置とに亘って昇降自在とする形状に形成されている。つまり、平面視において、突入状態におけるフォーク21が存在する領域よりも棚左右方向で外方側に、左右枠部41の内方側端部(つまり、左枠部41Lの右枠部41R存在側の端部、及び、右枠部41Rの左枠部41L存在側の端部)が位置し、かつ、棚前後方向で背面側に連結枠42が位置する状態となるように構成されている。
【0035】
そして、物品支持部40は、案内部Aに案内される状態で、人為操作によって、基台部30に対して規定された定常位置(図5(a)に示す位置)と定常位置から物品収納棚背面側に向かう一方向に変位した突出位置(図5(b)に示す位置)との間で出退移動自在に構成されている。
すなわち、物品載置棚Cが、物品支持部40の突出位置が物品収納棚T1の背面側となる状態で、収納部Sとして設けられている。
【0036】
基台部30における物品収納棚T1前面側に位置する左右一対の支柱31には、上端部材34の下側に位置する状態で、かつ、その支柱31並び方向内方側に向けて片持ち状となる状態で、板状の取付部材32がネジ止めや溶接により取り付けられている。
【0037】
また、物品支持部40における連結枠42の左右両端部の下方側には、物品収納棚T1の背面側が開口したフック体40hが左右方向に離間して一対設けられている。
【0038】
左右の取付部材32の夫々に、索状体としてのワイヤ52をぜんまいバネの付勢力によって本体部51に巻き取り収納する巻取り状態と、ワイヤ52を上記付勢力に抗して本体部51から引き出す引き出し状態とに切換え自在な索状体巻取装置Mが、ボルト留めで取付けられている。
ワイヤ52の先端には輪状に形成された係止部53が設けられ、係止部53が、物品支持部40の連結枠42に設けられた左右一対のフック体40hに掛け止めされている。
上記において、取付部材32とフック体40hとが取付け対象部Tに相当する。したがって、左右一対の索状体巻取装置Mが、取付け対象部Tに装着及び取り外し自在に構成され、かつ、本体部51又はワイヤ52の先端部の係止部53の一方を取付け対象部Tとしての基台部側の取付部材32に装着し、他方を取付け対象部Tとしての物品支持部40側のフック体40hに装着するように構成されている。
【0039】
また、索状体巻取装置Mは、図4に示すように、平面視で左右枠部41における左右方向内方側の端部(つまり、左枠部41Lの右枠部41R存在側の端部、及び、右枠部41Rの左枠部41L存在側の端部)よりも外方側に位置する状態で左右一対設けられ、それら左右一対の索状体巻取装置Mの夫々が、本体部51用の取付け対象部としての取付部材32とワイヤ52の先端部用の取付け対象部としてのフック体40hとが同じ高さとなる状態で、かつ、ワイヤ52が案内部Aの案内移動方向に沿う姿勢となる状態で装着されている。
【0040】
左右一対の索状体巻取装置Mにおけるワイヤ52は、それぞれ、本体部51から引き出される最大の引出し長さ(図5(b)におけるL2)が、基台部30と物品支持部40とに索状体巻取装置Mを取り付けていないときに物品支持部40が案内部Aに案内されて引き出し移動可能な最大距離よりも短い長さに設定されている。本実施形態では、この引き出し移動可能な最大距離は、案内レール35と中間レール46との間、及び、中間レール46と被案内レール45との間に設けられるストッパブロックによって引出しが阻害される位置までの引き出し距離のことである。したがって、物品支持部40を定常位置から突出位置に移動操作したときにおいて、案内部Aに備えるストッパブロックによって移動が阻害される状態となる前に、索状体巻取装置Mのワイヤ52が物品支持部40の移動操作を制限することになり、ストッパブロックの破損を抑制することができる。
【0041】
また、左右一対の索状体巻取装置Mは、ワイヤ52を本体部51に巻き取り収納するときにおける付勢力が、物品支持部40を突出位置(図5(b)の位置)に移動操作した状態においてその物品支持部40を定常位置(図5(a)の位置)に戻すことが可能な強さに設定されている。
したがって、作業者が、物品支持部40を突出位置に移動させた後に物品支持部40を定常位置に戻し忘れても、物品支持部40が突出位置に位置したままの状態となるのを抑制できる。また、作業者が手動で物品支持部40を定常位置に移動させる場合に、作業者の負荷を低減させることができる。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、物品載置棚Cを、物品を収納する収納部Sを複数並べて備えた物品収納棚T1及びT2と、物品収納棚T1及びT2の前面側を移動自在な物品搬送装置とを備えた物品収納設備に適用した構成を例示したが、物品収納棚T1のみを設ける構成としてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、物品載置棚Cを、物品収納棚T1における最下段の収納部Sの一部又は全部として設ける構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、物品載置棚Cを物品収納棚T1と物品収納棚T2の双方に設けるように構成したり、物品収納棚T1とT2との一方又は両方における再下段以外の収納部Sとして本発明の物品載置棚Cを設ける構成としてもよい。また、物品収納棚T1とT2の双方に物品載置棚Cを設ける場合、収納部Sとして物品載置棚Cを設ける段の高さを相互に異ならせる構成とすることも可能である。
さらに、物品収納棚T1又はT2が上下方向に複数の収納部Sを並べて備える構成とした場合、物品載置棚Cを、異なる高さに位置する状態で複数設けるように構成してもよい。このような構成の例として、例えば、物品収納棚T1又はT2が建屋の複数の階に亘る状態で設けられ、ピッキング箇所がそれら複数の階の夫々に設けられ、ピッキング箇所に対応して物品載置棚Cが設けられている場合が考えられる。
【0044】
さらに、上記実施形態では、物品収納棚T1及びT2を、収納部Sを左右方向及び上下方向に複数並べて備える構成としたが、このような構成に代えて、収納部Sを左右方向にのみ並べて備える構成、又は、収納部Sを上下方向にのみ並べて備え、そのうちの一部の収納部Sとして物品載置棚Cを設ける構成としてもよい。また、物品載置棚Cを、物品収納棚T1及びT2とは離れかつスタッカークレーン10の走行経路に沿う箇所に独立して設けてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、物品載置棚Cを、物品を収納する収納部Sを複数並べて備えた物品収納棚T1及びT2と、物品収納棚T1及びT2の前面側を移動自在な物品搬送装置とを備えた物品収納設備に適用した構成を例示したが、本発明の物品載置棚Cの構成を、物品収納設備以外、例えば、引出しを備える机に適用してもよい。
【0046】
(3)上記実施形態においては、索状体巻取装置Mにおいて、ワイヤ52を本体部51に巻き取り収納する付勢力が常時付与される構成を例示したが、このような構成に代えて、本体部51内部にラッチストッパ機構を備え、ワイヤ52を物品支持部40が突出位置に位置する状態に相当する距離だけ引出したときに、巻き取り付勢力がワイヤ52に働くことを抑止するブレーキ機構が作用し、さらにワイヤ52を一定距離引き出すと、上記ブレーキ機構の作用が解除されて巻き取り付勢力がワイヤ52に働くように構成してもよい。このように構成することで、物品支持部40を突出位置に移動操作した後、物品支持部40を定常位置に戻すことが必要になるまでの間(例えば、物品支持部40に載置されている物品Bに対してピッキング作業を行っている間)は物品支持部40を突出位置に停止させておくことができる。
【0047】
(4)上記実施形態においては、左右一対の索状体巻取装置Mの夫々を、本体部51用の取付け対象部としての取付部材32とワイヤ52の先端部用の取付け対象部としてのフック体40hとが同じ高さとなる状態で、かつ、ワイヤ52が案内部Aの案内移動方向に沿う姿勢となる状態で装着する構成を例示したが、そのような構成に限定されるものではなく、例えば、取付部材32とフック体40hとを異なる高さに取り付ける構成としてもよい。
【0048】
(5)上記実施形態においては、物品支持部40の連結枠42に取付け対象部Tとしてのフック体40hを設け、ワイヤ52の先端に輪状の係止部53を設ける構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、連結枠42に取付け対象部Tとしての輪状体を設け、ワイヤ52の先端にフック状体を設ける構成としてもよい。また、ワイヤ52の先端の係止部53を連結枠42にネジ留めする構成としてもよい。
さらに、上記実施形態では、基台部30側に索状体巻取装置Mの本体部51を取付け、物品支持部40側にワイヤ52の係止部53を取付ける構成を例示したが、このような構成に代えて、物品支持部40側に索状体巻取装置Mの本体部51を取付け、基台部30側にワイヤ52の係止部53を取付ける構成としてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、索状体巻取装置Mを取付部材32にボルト留めする構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば索状体巻取装置Mと取付部材32との夫々に、ワイヤ52の存在方向に移動することによって固定される係合部を設け、ワイヤ52を巻き取り方向に付勢する付勢力によって索状体巻取装置Mを取付部材32に固定する等、索状体巻取装置Mを取付部材32に適切に固定することができるものであれば、どのような取付け構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 物品搬送装置
21 移載用支持体
30 基台部
32 取付部材
35 案内レール
40 物品支持部
41 左右枠部
45 被案内レール
46 中間レール
51 本体部
52 索状体
A 案内部
B 物品
C 物品載置棚
E 移載装置
J 物品収納設備
M 索状体巻取装置
S 収納部
T 取付け対象部
T1 物品収納棚
T2 物品収納棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置支持自在でかつ水平方向に沿う一方向に移動自在な物品支持部と、前記物品支持部の移動を案内する案内部を有する基台部とを備え、
前記物品支持部が、前記案内部に案内される状態で、人為操作によって、前記基台部に対する定常位置と前記定常位置から前記一方向に変位した突出位置との間で出退移動自在に構成されている物品載置棚であって、
索状体を付勢力によって本体部に巻き取り収納する巻取り状態と、前記索状体を付勢力に抗して前記本体部から引き出す引き出し状態とに切換え自在な索状体巻取装置が設けられ、
前記索状体巻取装置が、取付け対象部に装着及び取り外し自在に構成され、かつ、前記本体部又は前記索状体の先端部の一方を前記取付け対象部としての前記基台部に装着し、他方を前記取付け対象部としての前記物品支持部に装着するように構成され、
前記索状体が前記本体部から引き出される最大の引出し長さが、前記索状体巻取装置を前記取付け対象部に装着していないと仮定したときに前記物品支持部が前記案内部に案内されて移動可能な最大距離よりも短い長さに設定されている物品載置棚。
【請求項2】
前記索状体巻取装置が前記索状体を前記本体部に巻き取り収納するときにおける付勢力が、前記物品支持部を突出位置に移動操作した状態においてその物品支持部を定常位置に戻すことが可能な強さに設定されている請求項1記載の物品載置棚。
【請求項3】
物品を収納する収納部を複数並べて備えた物品収納棚と、
前記物品収納棚の前面側を移動自在な物品搬送装置とを備え、
前記物品搬送装置が、物品を前記収納部と自己との間で移載自在な移載装置を備えて構成された物品収納設備であって、
請求項1又は2に記載の物品載置棚が、前記物品支持部の突出位置が前記物品収納棚背面側となる状態で、前記収納部として設けられている物品収納設備。
【請求項4】
前記移載装置が、前記収納部に突入する突入状態と、前記物品搬送装置上に位置する引退状態とに切換え自在で、かつ、物品の底面に当接する状態で物品を載置支持する移載用支持体を出退自在に備えて構成され、
前記物品支持部が、前記案内部による案内移動方向に直交する左右方向両端部に物品を載置する左右枠部を有し、かつ、前記突入状態において前記移載用支持体を当該物品支持部の下方側位置と上方側位置とに亘って昇降自在とする形状に形成されている請求項3記載の物品収納設備。
【請求項5】
前記索状体巻取り装置が、平面視で前記左右枠部における左右方向内方側の端部よりも外方側に位置する状態で左右一対設けられ、
前記左右一対の索状体巻取り装置の夫々が、前記本体部用の取付け対象部と前記索状体の先端部用の取付け対象部とが同じ高さとなる状態で、かつ、前記索状体が前記案内部の案内移動方向に沿う姿勢となる状態で、前記取付け対象部に装着されている請求項4記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112462(P2013−112462A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259284(P2011−259284)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】