説明

物品載置用什器

【課題】棚板支持用のブラケットや支柱の係止孔を使用することなく、前後の棚板間に、配線ダクトを、着脱可能として容易に配設しうるようにした物品載置用什器を提供する。
【解決手段】前後の棚板8における対向部の左右両側端部に、上方に開口する係止片13を設け、左右の係止片13に、内部に左右方向を向く通線空間Sを有する配線ダクト9における左右両端部に設けた前後1対の突出片12を、上方より係止することにより、配線ダクト9を、左右の支柱2間において前後の棚板8の対向面間に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、工場等で使用される作業台や商品陳列棚などの物品載置用什器に係わり、特に、支柱により支持された前後の棚板間に、左右方向を向く配線ダクトを配設してなる物品載置用什器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような配線ダクトを有する従来の物品載置用什器としては、例えば、特許文献1に記載されているように、左右の支柱の前面と棚板の後端との間隙に、コンセント等を有する側面視下向きコ字状断面の、配線ダクトとしての機能を備える横連結材を、左右の支柱に取り付けた棚板支持用の前方を向く左右1対のブラケット間に架設したものや、特許文献2に記載されているように、左右の支柱の前面に列設した係止孔に、コンセント等を有する、配線ダクトとしての機能を備える角管状の横連結材の両側端部に設けた係止フックを係止させることにより、横連結材を、棚板の後端部に上下位置を変更可能に配設したもの(例えば、特許文献2参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−142930号公報
【特許文献2】特開2002−315660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載されている物品載置用什器のように、配線ダクトとしての機能を備える横連結材を、棚板支持用の左右1対のブラケット間に架設すると、特にブラケットを、横連結材の取り付けに適した特殊な形状としなければならないので、横連結材を必要としない他のブラケットとの共通化が図れず、コスト高となる。
【0005】
一方、特許文献1に記載されている物品載置用什器は、配線ダクトとしての機能を備える横連結材を、左右の支柱の前面に列設した係止孔を利用して取り付けているので、左右の支柱の係止孔に係止した上下複数のブラケットにより、複数段の棚板を上下に接近させて支持する際に、横連結材が障害となって棚板の数が制限されたり、係止孔を利用して他のオプション部材を取り付ける際の障害となったりすることがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、棚板支持用のブラケットや支柱の係止孔を使用することなく、前後の棚板間に、配線ダクトを、着脱可能として容易に配設しうるようにした物品載置用什器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の物品載置用什器は、
左右に離間する支柱の前面と後面に取り付けたブラケットに、前後1対の棚板を、同一高さに架設してなる物品載置用什器において、
前記前後の棚板における対向部のいずれか一方の左右両側端部に、上方に開口する係止部を設け、前記左右の係止部に、内部に左右方向を向く通線空間を有する配線ダクトにおける左右両端部に設けた被係止部を、上方より係止することにより、前記配線ダクトを、前記左右の支柱間において前記前後の棚板の対向面間に配設したことを特徴としている。
この特徴によれば、配線ダクトの左右両端部に設けた被係止部を、前後の棚板の対向部のいずれか一方の両側端部に取り付けた上方に開口する係止部に上方より係止するだけで、配線ダクトを、左右の支柱間に位置するようにして、前後の棚板間に容易に配設することができる。従って、従来のように、棚板支持用のブラケットや支柱の係止孔を使用して配線ダクトを取り付ける必要がないので、ブラケットを特殊な形状としたり、複数段の棚板を接近させて支持する際に、配線ダクトが障害となって棚板の数が制限されたり、係止孔を利用して他のオプション部材を取り付ける際の障害となるなどの問題が生じることはない。また、棚板側には、単に係止部を取り付けるだけでよいので、配線ダクトを、種々の物品載置用什器に幅広く取り付けることができる。さらに、配線ダクトは、前後の棚板間に上方より落とし込んで取り付けることができるため、既存の什器に容易に後付けしたり、不要なときは簡単に取り外したりすることができる。
【0008】
本発明の物品載置用什器は、
係止部を、前後の棚板の対向部の両方に設け、この前後の棚板における左右の係止部に、配線ダクトの左右両端部に設けた前後1対の被係止部を、上方より係止したことを特徴としている。
この特徴によれば、配線ダクトの左右両端部に設けた前後1対の被係止部が、前後の棚板の対向部の両方に設けた左右の係止部に係止されているので、前後の棚板間に配線ダクトを安定的に配設することができる。
【0009】
本発明の物品載置用什器は、
配線ダクトを、底板と、その前後縁より起立する前後1対の上向片とを備える側面視ほぼ上向きコ字状断面とし、前記前後の上向片の少なくともいずれか一方の両側端上部に設けた外側方を向く突出片を、被係止部とするとともに、前後の棚板の少なくともいずれか一方の対向部下面に取り付けた側面視上向きL字状断面の係止片を、係止部としたことを特徴としている。
この特徴によれば、前後の棚板間に配線ダクトを上方より落とし込むだけで、配線ダクトの左右の突出片を、棚板の左右の係止片に、上方より簡単に係止することができる。
【0010】
本発明の物品載置用什器は、
前後の棚板の左右の係止部に、側面視下向きコ字状断面をなすカバーにおける前後の下向片の下端を上方より係止することにより、配線ダクトの上方を前記カバーにより覆ったことを特徴としている。
この特徴によれば、前後の棚板の係止部を利用して、前後の棚板間に、カバーを、着脱可能として容易に装着しうるとともに、配線ダクトに収容したコンセントや電源コード等を、カバーにより体裁よく目隠しすることができる。
【0011】
本発明の物品載置用什器は、
カバーの前後幅を配線ダクトの前後幅より大とし、前記カバーの上面と前後の棚板の上面とを同一面をなすように連続させたことを特徴としている。
この特徴によれば、前後の棚板間の隙間がカバーにより閉塞されるとともに、前後の棚板の上面が、カバーを介して連続するので、前後の棚板の上面を有効に使用することができる。
【0012】
本発明の物品載置用什器は、
配線ダクト係止用の係止片の上面に、カバーの前後の下向片の下端を上方より係止する第2の係止片を設け、前記係止片の先端に設けた上向片と、前記第2の係止片の先端に設けた上向片との間に形成された隙間に、配線ダクトの突出片を上方より嵌合したことを特徴としている。
この特徴によれば、配線ダクト係止用の係止片の上向片と、第2の係止片の上向片との間の隙間に、配線ダクトの突出片を嵌合するようにしてあるので、前後の棚板間に、配線ダクトを、前後方向に位置決めして上方より容易に落とし込んで係止することができる。また、配線ダクトの突出片は、前後の上向片により前後方向から挟持されているので、前後の棚板間に、配線ダクトを安定的に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の物品載置用什器の側面図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う拡大縦断側面図である。
【図4】配線ダクトの斜視図である。
【図5】実施例2の物品載置用什器における図3と同部位の拡大縦断側面図である。
【図6】実施例3の物品載置用什器における図3と同部位の拡大縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る物品載置用什器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る物品載置用什器につき、図1から図4を参照して説明する。図1は、例えば工場等で使用される本発明の実施例1の物品載置用什器の側面図、図2は同じく正面図で、この物品載置用什器は、前後方向(以下、図1の右方を前として説明する)を向く左右1対のベース脚1、1と、両ベース脚1の前後方向の中央部に下端が固着された左右1対の支柱2、2と、両支柱2の下部の対向面同士を連結している正面視枠状の下部連結部材3と、同じく上端部の対向面同士を連結している上部連結杆4とを備えている。
【0016】
左右の支柱2の前後両面には、左右2列の多数の係合孔5が、上下方向に一定間隔おきに形成されている。両支柱2の上下方向の中間部において、それらの前後両面の内側の列の上下複数の係合孔5には、前方及び後方を向くブラケット6、6の対向端の複数の係止フック7が係止されている。前後の左右のブラケット6、6の上面には、棚板8、8の両側端部が、互いの対向面が左右の支柱2の前面及び後面に当接または近接するようにして、互いに同一高さに取り付けられている。
【0017】
前後の棚板8、8の対向面間には、配線ダクト9が次のように配設されている。図3及び図4に示すように、配線ダクト9は、左右方向を向く底板10と、この底板10の前後縁より起立し、両側端部に上方に向かって延出する起立部11aを有する前後1対の上向片11、11と、前後の各起立部11aの上部両側縁に連設された外側方を向く突出片12、12とからなる側面視ほぼ上向きコ字状断面をなし、内部には、左右両方向と上方に開口する通線空間Sが形成されている。
【0018】
前後の上向片11と各係止片12の上端は、それらを補強するためと、上縁を丸めて安全性に配慮するために、内下向きに折り返されている。また、配線ダクト9の左右寸法と前後幅は、それぞれ、左右の支柱2、2間と前後の棚板8、8間に配設されるように、それらの対向面間の寸法よりも若干小とされている。
【0019】
前後の棚板8、8における互いに対向する両側端部には、上方に開口する左右1対ずつの係止部、すなわち、前後方向を向く水平片13aと、その先端に連設された上向片13bとからなる側面視上向きL字状断面の係止片13、13が、それらの水平片13bを、前後の棚板8、8の両側部下面に、ボルト14により固定することにより、着脱可能に取り付けられている。なお、前後の上向片13b、13bの前後方向の離間寸法は、配線ダクト9における前後の突出片12、12の前後方向の離間寸法よりも若干小としてある。
【0020】
図3に示すように、配線ダクト9における両側端部の前後1対の突出片12、12を、前後の棚板8、8における左右1対の係止片13、13に、上方より落とし込んで係止することにより、配線ダクト10は、左右の支柱2、2間と前後の棚板8、8間において、両棚板8の下方に垂下するように配設されている。この際、配線ダクト9が前後方向にがたつかないように、その各突出片12を、係止片13の上向片13aの外面に近接または当接させるのが好ましい。
【0021】
配線ダクト9の内部の通線空間S内には、例えば前後の棚板8上で使用されるOA機器等の電源コードDなどを接続するためのコンセントボックスC等が収納され、かつ電源コードD等は通線空間S内を左右方向に配線することができる。
【0022】
配線ダクト9の上方は、側面視下向コ字状断面のカバー15により覆われている。すなわち、カバー15における前後の下向片15a、15aの下端を、前後の棚板8、8における左右1対の係止片13、13の外側上面に、上方より係止することにより、配線ダクト9は、前後の突出片12、12の上方を覆うように、かつ上面が前後の棚板8の上面と同一面に連続するようにして着脱可能に取り付けられている。なお、カバー15が前後方向にがたつかないように、その前後の下向片15aを、前後の棚板8の後面と前面に当接または近接するようにするのが好ましい。なお、カバー15は必ずしも必要ではないので、それを省略して実施してもよい。
【0023】
以上説明したように、実施例1の物品載置用什器においては、配線ダクト9の両側縁に設けた前後1対の突出片12、12を、前後の棚板8、8の対向部の両側端部に取り付けた上方に開口する左右1対の係止片13、13に上方より係止するだけで、配線ダクト9を、左右の支柱2、2間と前後の棚板8、8間に位置するように容易に配設することができる。従って、従来のように、棚板支持用のブラケット6や支柱2の係止孔5を使用して配線ダクト9を取り付ける必要がないので、ブラケット6を特殊な形状としたり、複数段の棚板8を接近させて支持する際に、配線ダクト9が障害となって棚板8の数が制限されたり、係止孔5を利用して他のオプション部材を取り付ける際の障害となるなどの問題が生じることはない。また、棚板8側には、単に係止片13を取り付けるだけでよいので、配線ダクト9を、種々の物品載置用什器に幅広く取り付けることができる。さらに、配線ダクト9は、前後の棚板8間に上方より落とし込んで取り付ける構成であるため、既存の什器に容易に後付けしたり、不要なときは簡単に取り外したりすることができる。
【実施例2】
【0024】
次に、実施例2に係る物品載置用什器につき、図5を参照して説明する。図5は、実施例2の物品載置用什器における図3と同部位の断面図を示すもので、この物品載置用什器は、前後の棚板8の係止片13の上面に、水平片16aと上向片16bとからなる第2の係止片16、16を、それぞれの上向片16bが、前後の係止片13の上向片13bの前方及び後方に離間するようにして載置し、係止片13と第2の係止片16とを、ボルト14により棚板8の下面に共締めしてある。係止片13の上向片13bと、第2の係止片16の上向片16bとの間には、配線ダクト10の突出片12が、がたなく嵌合される隙間が形成されている。
【0025】
カバー15は、その前後の下向片15a、15aの下端を、第2の係止片16の上面に、上方より係止させることにより、棚板8の上面と同一面に連続するようにして着脱可能に取り付けられている。前述の実施例1と同様に、カバー15の前後の下向片15aは、前後の棚板8の後面と前面に当接または近接するようにしてある。
【0026】
配線ダクト9は、その各突出片12を、係止片13の上向片13bと第2の係止片16の上向片16bとの間の隙間に上方より嵌合させて、係止片13により係止されている。
【0027】
実施例2の物品載置用什器においても、前述の実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0028】
また、実施例2の物品載置用什器においては、係止片13の上向片13bと第2の係止片16の上向片16bとの間の隙間に、突出片12を嵌合するようにしてあるので、配線ダクト9を、前後方向に位置決めして上方より容易に落とし込んで係止することができる。
【0029】
さらに、配線ダクト9の突出片12は、係止片13の上向片13bと第2の係止片16の上向片16bとにより、前後方向から挟持されているので、前後の棚板8間に、配線ダクト9を安定的に取り付けることができる。
【実施例3】
【0030】
次に、実施例3に係る物品載置用什器につき、図6を参照して説明する。図6は、実施例3の物品載置用什器における図3と同部位の断面図を示すもので、この物品載置用什器は、配線ダクト9の後部側の上向片11の上下寸法を、前述の実施例のものより若干小とするとともに、前部側の上向片11の両側縁にのみ突出片12を設け、この突出片12を、前部の棚板8の左右の係止片13に係止したものである。
【0031】
カバー15の下向片15a、15aは、前後の棚板8の係止片13、13により係止されている。この際、配線ダクト9が前後方向にぐらつくのを抑えるために、前部の係止片13の上向片13bとカバー15の前部の下向片15aとの間の隙間に、配線ダクト9の突出片12を、棚板8の後面と突出片12との間の隙間に、カバー15の下向片15aをそれぞれ嵌合し、突出片12を、係止片13の上向片13bとカバー15の前部の下向片15aとにより、前後方向から挟持するようにするのがよい。
【0032】
この実施例3の物品載置用什器においても、前述の実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
なお、この実施例3においては、配線ダクト9を前後逆向きとして、後方に位置させた突出片12を、後部の棚板8の係止片13に係止してもよい。
【0034】
また、カバー15を省略してもよいが、この際には、配線ダクト9の突出片12を、係止片13の上向片13bと棚板8の後面とにより挟持するようにすればよい。
【符号の説明】
【0035】
1 ベース脚
2 支柱
9 配線ダクト
10 底板
11 上向片
11a 起立部
12 突出片(被係止部)
13 係止片(係止部)
13a 水平片
13b 上向片
15 カバー
15a 下向片
16 第2の係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に離間する支柱の前面と後面に取り付けたブラケットに、前後1対の棚板を、同一高さに架設してなる物品載置用什器において、
前記前後の棚板における対向部のいずれか一方の左右両側端部に、上方に開口する係止部を設け、前記左右の係止部に、内部に左右方向を向く通線空間を有する配線ダクトにおける左右両端部に設けた被係止部を、上方より係止することにより、前記配線ダクトを、前記左右の支柱間において前記前後の棚板の対向面間に配設したことを特徴とする物品載置用什器。
【請求項2】
係止部を、前後の棚板の対向部の両方に設け、この前後の棚板における左右の係止部に、配線ダクトの左右両端部に設けた前後1対の被係止部を、上方より係止したことを特徴とする請求項1に記載の物品載置用什器。
【請求項3】
配線ダクトを、底板と、その前後縁より起立する前後1対の上向片とを備える側面視ほぼ上向きコ字状断面とし、前記前後の上向片の少なくともいずれか一方の両側端上部に設けた外側方を向く突出片を、被係止部とするとともに、前後の棚板の少なくともいずれか一方の対向部下面に取り付けた側面視上向きL字状断面の係止片を、係止部としたことを特徴とする請求項1または2に記載の物品載置用什器。
【請求項4】
前後の棚板の左右の係止部に、側面視下向きコ字状断面をなすカバーにおける前後の下向片の下端を上方より係止することにより、配線ダクトの上方を前記カバーにより覆ったことを特徴とする請求項2または3に記載の物品載置用什器。
【請求項5】
カバーの前後幅を配線ダクトの前後幅より大とし、前記カバーの上面と前後の棚板の上面とを同一面をなすように連続させたことを特徴とする請求項4に記載の物品載置用什器。
【請求項6】
配線ダクト係止用の係止片の上面に、カバーの前後の下向片の下端を上方より係止する第2の係止片を設け、前記係止片の先端に設けた上向片と、前記第2の係止片の先端に設けた上向片との間に形成された隙間に、配線ダクトの突出片を上方より嵌合したことを特徴とする請求項4または5に記載の物品載置用什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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