説明

物品載置用什器

【課題】棚板の下方に、補助棚板を、上下方向のがたつきを防止して安定的に取り付けうるようにした物品載置用什器を提供すること。
【解決手段】掛止手段は、両取付部材17の上端前縁に設けられ、棚板13の前端部に前方より掛止可能な前部掛止部材Fと、両取付部材17の上端後縁に設けられ、棚板13の後端部に後方より掛止可能な後部掛止部材Rと、を備え、前部掛止部材Fと後部掛止部材Rとが互いに前後方向に相対的に移動可能に取り付けられ、掛止手段は、前部掛止部材Fと後部掛止部材Rとを棚板13の前後の端部に掛止させたとき、前部掛止部材Fと後部掛止部材Rとの間の少なくとも略中央位置に、棚板13の中央部下面に当接する当接部材21を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場等で使用される作業台や商品陳列棚などの物品載置用什器に係わり、特に、棚板の下方に補助棚板を取り付けてなる物品載置用什器に関する。
【背景技術】
【0002】
棚板の下方に補助棚板を取り付けた物品載置用什器としては、左右の支柱の前面に取り付けた、棚板支持用の左右1対のブラケットの上縁に、補助棚板における左右両側縁の上向片の上端に設けた内向係止片を係止することにより、棚板の下方に補助棚板を取り付けたもの(例えば、特許文献1参照)、棚板の下面に取り付けた左右方向を向く上部材の下部に、左右1対の側板を固着し、両側板の対向面に設けたレールにより、補助棚板すなわちキーボード載置台を、前後方向に移動可能に支持したもの(例えば、特許文献2参照)、棚板の下方に、補助棚板すなわち左右複数のスライド棚板を、前後方向に移動可能に取り付けたもの(例えば、特許文献3参照)などがある。
【0003】
しかし、前述した特許文献1〜3に記載されている物品載置用什器においては、いずれも、棚板に対し補助棚板の左右位置を簡単に変更することができないだけでなく、補助棚板の左右寸法は一定であるので、物品載置用什器が作業台等である場合に、補助棚板に載置された物品の取り出し位置を、左右方向に最適に変更したり、載置する物品の大きさや数量等に応じて、補助棚板の左右幅を変更したりすることができず、使い勝手が悪い。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するべく、本願の出願人は、棚板の下方に、補助棚板を、左右位置を変更可能に取り付けうるようにするとともに、異なる左右幅の補助棚板を取り付け可能とした物品載置用什器を案出し、先に特許出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4160333号公報
【特許文献2】特許第3054090号公報
【特許文献3】特開2001−210978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した先願の物品載置用什器においては、棚板の前端部と後端部とに、補助棚板の両側部より起立する取付部材における前後の上端部を、掛止手段をもって着脱可能に掛止することにより、棚板の下方に、補助棚板を、棚板により吊支した状態で架設しているので、棚板と取付部材との間に隙間が形成されるのが避けられず、その隙間のために、棚板に対し、左右の取付部材及び補助棚板が上下方向にがたつく恐れがあった。
【0007】
特に、補助棚板を左右の取付部材により前後方向に移動可能に支持すると、補助棚板を引き出した際に取付部材の後部が浮き上がり、補助棚板を安定よく前後方向にスライドさせることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、棚板の下方に、補助棚板を、上下方向のがたつきを防止して安定的に取り付けうるようにした物品載置用什器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の物品載置用什器は、
棚板の前端部と後端部とに、補助棚板の両側部より起立する取付部材を、掛止手段をもって着脱可能に掛止することにより、前記棚板の下方に、前記補助棚板を、棚板により吊支するように取り付けてなる物品載置用什器において、
前記掛止手段は、前記両取付部材の上端前縁に設けられ、前記棚板の前端部に前方より掛止可能な前部掛止部材と、前記両取付部材の上端後縁に設けられ、前記棚板の後端部に後方より掛止可能な後部掛止部材と、を備え、該前部掛止部材と該後部掛止部材とが互いに前後方向に相対的に移動可能に取り付けられ、前記掛止手段は、前記前部掛止部材と前記後部掛止部材とを前記棚板の前後の端部に掛止させたとき、前記前部掛止部材と前記後部掛止部材との間の少なくとも略中央位置に、前記棚板の中央部下面に当接する当接部材を有することを特徴としている。
この特徴によれば、棚板の前後の端部に取付部材の前部掛止部材と後部掛止部材を掛止したとき、左右の取付部材における前後方向の略中央位置に設けた当接部材の上面を、棚板の中央部下面に当接するようにしてあるので、棚板に補助棚板を吊支した状態で取り付けても、取付部材及び補助棚板を、上下方向のがたつきを防止して、棚板の下方に安定的に取り付けることができる。特に、補助棚板を前方に引き出し可能とした際でも、左右の取付部材の後部が浮き上がるのが防止されるので、補助棚板を安定よく前後方向にスライドさせることができる。
【0010】
本発明の物品載置用什器は、
前記当接部材における前記棚板との当接部を平板状とし、該当接部材と該棚板とが、互いに面接触するようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、当接部材と棚板との接触面積が増大するので、補助棚板を棚板の下方により安定的に取り付けることができる。
【0011】
本発明の物品載置用什器は、
棚板の前端部と後端部とに、補助棚板の両側部より起立する取付部材を、掛止手段をもって着脱可能に掛止することにより、前記棚板の下方に、前記補助棚板を、棚板により吊支するように取り付けてなる物品載置用什器において、
前記掛止手段は、前記両取付部材の上端前縁に設けられ、前記棚板の前端部に前方より掛止可能な前部掛止部材と、前記両取付部材の上端後縁に設けられ、前記棚板の後端部に後方より掛止可能な後部掛止部材と、を備え、該前部掛止部材と該後部掛止部材とが互いに前後方向に相対的に移動可能に取り付けられ、かつ前記棚板の下面における少なくとも前後方向の略中央位置に、該棚板の前後の下端面を結ぶ線よりも下方に突出する突出部材を設け、前記前部掛止部材と前記後部掛止部材とを前記棚板の前後の端部に掛止させたとき、前記掛止手段における前記前部掛止部材と前記後部掛止部材との間の少なくとも略中央位置に、前記突出部材の下面が当接されるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、棚板の前後の端部に取付部材の前部掛止部材と後部掛止部材を掛止したとき、棚板の前後方向の中央部下面に設けた突出部材の下面が、掛止手段における前部掛止部材と後部掛止部材との略中央位置に当接するようにしてあるので、前述したことと同様に、補助棚板を、上下方向のがたつきを防止して、棚板に安定的に取り付けることができる。また、補強部材を棚板の突出部材として用いることができる。
【0012】
本発明の物品載置用什器は、
前記突出部材における前記掛止手段との当接部を平板状とし、該突出部材と該掛止手段とが、互いに面接触するようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、突出部材と掛止手段との接触面積が増大するので、補助棚板を棚板の下方により安定的に取り付けることができる。
【0013】
本発明の物品載置用什器は、
棚板の前端部と後端部とのいずれか一方に、複数の係止部を、左右方向に所定間隔おきに設け、前記複数の係止部に、取付部材の前部掛止部材と後部掛止部材における前上部と後上部とのいずれか一方に設けた被係止部を、選択的に、かつ着脱可能に係止するとともに、前記前部掛止部材と後部掛止部材における前上部と後上部とのいずれか他方を、前記棚板の前端部と後端部のいずれか一方に、前方または後方より掛止したことを特徴としている。
この特徴によれば、棚板の下方に、補助棚板を、左右位置を変更可能として容易に取り付けることができるだけでなく、棚板の前端部と後端部とのいずれか一方に設けた複数の係止部により、取付部材が左右方向に移動するのが規制されるので、取付部材により支持された補助棚板も左右方向に移動する恐れはなく、棚板の下方に安定よく吊支して取り付けられる。
【0014】
本発明の物品載置用什器は、
係止部を、前後方向に開口する係止孔とするとともに、被係止部を、前記係止孔に前方または後方より嵌合可能な係止片としたことを特徴としている。
この特徴によれば、係止孔に係止片を、前方または後方より容易に係止しうるので、棚板に対し補助棚板の左右位置を簡単に変更することができるとともに、係止後において係止片は左右方向に移動するのが規制されるので、補助棚板が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る物品載置用什器の側面図である。
【図2】同じく、物品載置用什器の上部の拡大前方斜視図である。
【図3】左右の取付部材の拡大正面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う縦断側面図である。
【図5】図2のV−V線に沿う拡大縦断側面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う縦断正面図である。
【図7】補助棚板を前方に引き出したときの要部の縦断側面図である。
【図8】本発明の実施例2に係る物品載置用什器の図5と同部位の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る物品載置用什器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1に係る物品載置用什器につき、図1から図7を参照して説明する。図1は、本発明(請求項1に記載の発明)の物品載置用什器の一例である、工場等で使用される作業台1の側面図、図2は、その上部の拡大前方斜視図を示すもので、この作業台1は、上端部の対向面同士が横連結杆2により連結され、かつ下端が前後方向(以下、図1の左方を前として説明する)を向く左右のベース脚3の後端部上面に固着された左右1対の支柱4、4を備えている。
【0018】
左右の支柱4の前面には、左右2列の多数の係合孔5が、上下方向に一定間隔おきに形成され、各支柱4における上下方向の中央部の上下複数の係合孔5には、前後方向を向くブラケット6の後端の複数の係止フック7が係止されている。
【0019】
テーブル9の上方において、左右の支柱4の前面には、水平をなす左右1対のブラケット10と、前下方に傾斜する左右1対のブラケット11とが、それらの後端に突設された上下複数の係止フック12を、支柱4の前面の複数の係合孔5に係止することにより、互いに上下に離間させて前向きに取り付けられている。左右のブラケット10、11の下端部の対向面には、棚板13、13の両側端が、それぞれ水平及び前下方に傾斜するように取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、上下の棚板13の前端部には、それに載置された物品が前方に落下するのを防止する左右方向の落下防止片14が、棚板13の前縁の上方に突出するようにして固着され、この落下防止片14における棚板13の上面よりも若干上方に位置する部分には、前後方向に開口する横長スリット状の複数の係止孔15が、左右方向に一定間隔おきに穿設されている。なお、落下防止片14は、棚板13の下面に、ねじ等により着脱可能に取り付けるのが好ましい(図5参照)。このようにすると、棚板13自体に係止孔15を設ける必要がないので、他の棚板と共通化しうるとともに、落下防止片14を、棚板13を水平とした際などに取り外すことができる。
【0021】
上下の棚板13の下方には、補助棚板16、16が次のようにして取り付けられている。なお、上下の補助棚板16は同じ取付構造であるので、上部の補助棚板14の取付構造のみ説明する。
【0022】
図3は、補助棚板16取り付け用の左右1対の取付部材17、17の拡大正面図、図4は、同じく縦断側面図で、左右の取付部材17は、側面板18と、その上縁に連設された内向片19とを備える正面視ほぼ倒立L字状をなし、側面板18の下縁と、内向片19の後部の内縁とには、それぞれ、短寸の内向片18aと下向片19aとが連設されている。
【0023】
内向片19におけるやや内方寄りの前縁には、起立片19bと、この起立片19bの上端より後向きに延出する係止片19cとからなる、棚板13の前端部に前方より掛止可能な側面視後向き倒立L字状断面の前部掛止部材Fが、一体的に連設されている。係止片19は、上述した棚板13の落下防止片14の係止孔15に、前方より選択的に嵌合して係止されるようになっている。
【0024】
左右の内向片19のやや内方寄りの後端部上面には、前後2個のナット20、20が、溶接により固着されている。また、両内向片19の前後方向の中央部上面には、平板状の当接部材21、21が、溶接により固着されている。
【0025】
この当接部材21の板厚は、棚板13の前端部に前部掛止部材Fを掛止した際において、棚板13の下面と内向片19の上面との対向面間に形成される隙間Sとほぼ等しい寸法とされ、棚板13の前端部に前部掛止部材Fを掛止した際、左右の当接部材21の上面が、棚板13の中央部下面、すなわち、棚板13の前後方向の中央部下面に固着された左右方向を向く補強部材13aの下面に面接触しうるようになっている。
【0026】
なお、補強部材13aを省略して、棚板13を厚肉としてもよく、この際には、当接部材21の上面を、厚肉とした棚板13の下面に直接当接するようにすればよい。
【0027】
左右の取付部材17同士は、それらの内向片18a、18aの後半部の上面に、連結板22の側端部を、前後2個ずつのボルト23とナット24により固定することにより、互いに連結されている。なお、連結板22は必ずしも必要ではなく、左右1対の取付部材17のみとして、連結板22を省略してもよい。このように、左右1対の取付部材17のみとすると、それらの対向面間の離間寸法を任意に変更しうるので、左右の取付部材17により、左右幅の異なる補助棚板16を支持することができる。
【0028】
左右の取付部材17における側面板18の下端部の内側面には、補助棚板16の両側端部を前後方向に移動可能に支持する正面視内向きコ字状のガイドレール25、25が、連結板22の上面と近接または当接するようにして、互いに対向状に固着されている。
【0029】
両ガイドレール25の下片25aの前端部上面には、補助棚板16の両側部下面と側面を摺動自在に案内する、摩擦抵抗の小さな合成樹脂よりなる正面視内向きL字状のガイド部材26、26が、その下片26aの下面に突設された突軸26bを、下片25aに穿設した取付孔(図示略)に圧嵌することにより、取り付けられている。なお、両ガイド部材26は、補助棚板16を前方に引き出した際に、これを前限位置で停止させるストッパを兼ねている(詳細は後述する)。
【0030】
図4及び図5に示すように、連結板22の後縁には、補助棚板16に載置した物品が後方より落下するのを防止する落下防止片22aが、上向きに連設されている。
【0031】
図5の縦断側面図に示すように、補助棚板16の前後寸法は、取付部材17の前後寸法より若干短かく、かつ上下寸法がガイドレール25内に余裕をもって挿入可能な寸法とされ、その上面板16aの前端部下面には、前縁が上下両方向に向かって折曲された板状部材27が、左右方向に全長に亘ってスポット溶接等により固着されている。板状部材27の上向折曲部は、補助棚板16に載置した物品の落下防止片27aとされ、同じく下向折曲部は、補助棚板16を後限位置で停止させるストッパ片27b及び把手とされている。
【0032】
補助棚板16の両側部下面の前端部には、左右1対のストッパ突部28が下向きに突設され、このストッパ突部28の前端が、上述したガイド部材26の下片26aの後端に当接することにより、補助棚板16は、前方に移動するのが防止されるようになっている。
【0033】
補助棚板16の後部の両側部下面には、左右のガイドレール25における下片25aの上面に沿って摺動する、摩擦抵抗の小さな合成樹脂よりなるスライダ29が取り付けられている。また、補助棚板16の後端部の両側面にも、左右のガイドレール25における互いに対向する内側面に沿って摺動するスライダ29が取り付けられている。さらに、補助棚板16の後端部の両側部上面には、補助棚板16を前方に引き出すのに伴って徐々に前下がりになる際に、左右のガイドレール25における上片25bの下面に摺接しうるスライダ29が取り付けられている。なお、前記両側部下面のスライダ29は、補助棚板16を引き出した際に、ガイド部材26の後端に当接する前限用のストッパを兼ねている(図7参照)。
【0034】
図5及び図6に示すように、左右の取付部材17における内向片19の後端部下面には、正面視下向きコ字状断面をなし、かつ後端に、起立片30aと、その上縁より前方に延出する前向きの係止片30bとからなる、棚板13の後端部に後方より掛止可能な側面視前向き倒立L字状断面の後部掛止部材Rを有するスライド板31が、次のように前後方向に摺動可能に取り付けられている。すなわち、スライド板31の上面板31aには、前後方向を向く長孔32が形成され、この長孔32に下方より挿入した前後2個のボルト33、33を、内向片19の図示しない通孔を介して、その上面に固着しておいた前後のナット20、20に螺合することにより、内向片19の下面にスライド板31が取り付けられ、2個のボルト33を緩めれば、スライド板31を前後方向に摺動させることができる。
【0035】
棚板13の下方に補助棚板16を取り付けるには、まず連結板22により連結された左右1対の取付部材17を、棚板13に次のようにして係止する。
【0036】
すなわち、図5に示すように、左右の取付部材17における前部掛止部材Fの係止片19cを、棚板13の前面の落下防止片14に設けた複数の係止孔15のいずれかに、前方より嵌合して係止するとともに、予め後方にスライドさせておいたスライド板31を、2点鎖線の位置から前方に移動させて、その後部掛止部材Rの上縁の前向片30bを、棚板13の後端部上面に後方より掛止する。その後、ボルト33を締め付けて、スライド板31を取付部材17の内向片19に固定することにより、左右の取付部材17を、棚板13の左右方向の任意の位置に取り付ける。
【0037】
前部掛止部材Fの係止片19cと後部掛止部材Rの前向片30bとを、棚板13の前後の端部に掛止して、スライド板31を取付部材17の内向片19に固定すると、左右の内向片19の上面に固着した当接部材21の上面が、補強部材13aの下面と当接するようになる。
【0038】
次いで、左右の取付部材17の下端部の対向面間に、補助棚板16を前方より挿入して、その両側端部をガイドレール25により支持すれば、棚板13の下方に補助棚板16を吊支状態で取り付けることができる。両ガイドレール25により支持された補助棚板16は、その両側部の前端部下面に突設したストッパ突部28の前端が、ガイドレール25の下片25aの前端部上面に取り付けたガイド部材26の後端に当接することにより、補助棚板16は、前方に移動するのが防止され、後限に位置させておくことができる。
【0039】
なお、補助棚板16を左右の取付部材17により支持した状態で、両取付部材17と共に棚板13に取り付けることもできる。
【0040】
図7は、補助棚板16を後限位置から前方に引き出した状態を示すものであるが、この際には、補助棚板16の前端部を若干持ち上げ、ストッパ突部28をガイド部材26より離間させれば、前方に引き出すことができる。補助棚板16が前限位置まで引き出されると、後端部下面のスライダ29がガイド部材26の後端に当接して停止する。補助棚板16を前方に引き出すことにより、それに載置したキーボードK等を前方から容易に操作することができる。
【0041】
以上説明したように、前記実施例1の作業台1においては、左右の取付部材17における内向片19の前後方向の中央部上面に、当接部材21を設け、棚板13の前後の端部に両取付部材17の前部掛止部材Fと後部掛止部材Rを掛止したとき、両当接部材21の上面が、棚板13の前後方向の中央部下面である補強部材13aの下面に面接触するようにしてあるので、棚板13に補助棚板16を吊支した状態で取り付けても、取付部材17及びそれにより支持された補助棚板16を、上下方向のがたつきを防止して、棚板13の下方に安定的に取り付けることができる。特に、補助棚板16を前方に引き出し可能とした際でも、左右の取付部材17の後部が浮き上がるのが防止されるので、補助棚板16を安定よく前後方向にスライドさせることができる。
【0042】
また、棚板13の前面の落下防止片14に設けた左右複数の係止孔15に、左右の取付部材17の前端上部に設けた後向きの係止片19cを、選択的に、かつ着脱可能に係止しうるようにしてあり、また左右の取付部材17の後端上部は、それに前後方向に移動可能に取り付けたスライド板31の後端の後部掛止部材Rを介して、棚板13の後端部上面に後方より掛止しているのみであるので、左右の取付部材17の左右位置を容易に変更することができ、それにより支持された補助棚板16も、棚板13の下方に、左右位置を変更可能として安定よく取り付けることができる。従って、作業者が補助棚板16に載置した物品を取り出したり、操作したりする際の左右位置を変更することができるので、使い勝手が向上する。
【0043】
さらに、前述したように、連結板22を省略すれば、左右の取付部材17の棚板13への左右の係止位置を個別に変更しうるので、載置する物品の大きさや数量等に応じて、左右の取付部材17により、左右幅の異なる補助棚板16を支持することができる。
【実施例2】
【0044】
図8は、本発明の実施例2(請求項2に記載の発明)に係る作業台1における前述した図5と同部位の断面図で、この実施例2においては、棚板13の前後方向の中央部下面に、下端が平板状をなす前後方向を向く補強部材13a(突出部材)を、下面が棚板13における前後の端部の下端面を結ぶ線Lよりも下方に突出するように、すなわち、棚板13の前後の下端面と内向片19の上面との対向面間に形成される隙間Sに相当する寸法だけ下方に突出させて、スポット溶接等により固着したものである。なお、補強部材13aは、棚板13の補強部材をも兼ねている。
【0045】
前記補強部材13aの下面は、棚板13の前端部と後端部に前部掛止部材Fと後部掛止部材Rを掛止した際において、左右の取付部材17における内向片19の前後方向の中央部上面に面接触するようにしてある。従って、この実施例2においても、前述した実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例1及び実施例2では、それぞれ1個ずつの当接部材21、34を設け、それらを、それぞれ棚板13の中央部下面と内向片19の中央部上面に当接するようにしているが、当接部材21、34を前後複数設けて、それらを、棚板13の中央部下面と内向片19の中央部上面の前後複数箇所に当接するようにしてもよい。
【0048】
また、実施例1及び実施例2では、補助棚板16を前方に引き出し可能としたが、左右の取付部材17に、補助棚板16を固定的に取り付けた作業台にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 作業台(物品載置用什器)
13 棚板
13a 補強部材
15 係止孔(係止部)
16 補助棚板
17 取付部材
19 内向片
19c 係止片(被係止部)
21 当接部材
30b 係止片(被係止部)
F 前部掛止部材
R 後部掛止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板の前端部と後端部とに、補助棚板の両側部より起立する取付部材を、掛止手段をもって着脱可能に掛止することにより、前記棚板の下方に、前記補助棚板を、棚板により吊支するように取り付けてなる物品載置用什器において、
前記掛止手段は、前記両取付部材の上端前縁に設けられ、前記棚板の前端部に前方より掛止可能な前部掛止部材と、前記両取付部材の上端後縁に設けられ、前記棚板の後端部に後方より掛止可能な後部掛止部材と、を備え、該前部掛止部材と該後部掛止部材とが互いに前後方向に相対的に移動可能に取り付けられ、前記掛止手段は、前記前部掛止部材と前記後部掛止部材とを前記棚板の前後の端部に掛止させたとき、前記前部掛止部材と前記後部掛止部材との間の少なくとも略中央位置に、前記棚板の中央部下面に当接する当接部材を有することを特徴とする物品載置用什器。
【請求項2】
前記当接部材における前記棚板との当接部を平板状とし、該当接部材と該棚板とが、互いに面接触するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の物品載置用什器。
【請求項3】
棚板の前端部と後端部とに、補助棚板の両側部より起立する取付部材を、掛止手段をもって着脱可能に掛止することにより、前記棚板の下方に、前記補助棚板を、棚板により吊支するように取り付けてなる物品載置用什器において、
前記掛止手段は、前記両取付部材の上端前縁に設けられ、前記棚板の前端部に前方より掛止可能な前部掛止部材と、前記両取付部材の上端後縁に設けられ、前記棚板の後端部に後方より掛止可能な後部掛止部材と、を備え、該前部掛止部材と該後部掛止部材とが互いに前後方向に相対的に移動可能に取り付けられ、かつ前記棚板の下面における少なくとも前後方向の略中央位置に、該棚板の前後の下端面を結ぶ線よりも下方に突出する突出部材を設け、前記前部掛止部材と前記後部掛止部材とを前記棚板の前後の端部に掛止させたとき、前記掛止手段における前記前部掛止部材と前記後部掛止部材との間の少なくとも略中央位置に、前記突出部材の下面が当接されるようになっていることを特徴とする物品載置用什器。
【請求項4】
前記突出部材における前記掛止手段との当接部を平板状とし、該突出部材と該掛止手段とが、互いに面接触するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の物品載置用什器。
【請求項5】
棚板の前端部と後端部とのいずれか一方に、複数の係止部を、左右方向に所定間隔おきに設け、前記複数の係止部に、取付部材の前部掛止部材と後部掛止部材における前上部と後上部とのいずれか一方に設けた被係止部を、選択的に、かつ着脱可能に係止するとともに、前記前部掛止部材と後部掛止部材における前上部と後上部とのいずれか他方を、前記棚板の前端部と後端部のいずれか一方に、前方または後方より掛止したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の物品載置用什器。
【請求項6】
係止部を、前後方向に開口する係止孔とするとともに、被係止部を、前記係止孔に前方または後方より嵌合可能な係止片としたことを特徴とする請求項5に記載の物品載置用什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−5992(P2013−5992A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142201(P2011−142201)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】