説明

物品輸送コンテナ

【課題】コンテナ内の液体が外部に漏出しないよう、コンテナ本体に形成された開口をシール体を介しドアで開閉可能に閉じるようにした場合において、シール体がコンテナ内に収容された物品によって早期には損傷させられないようにして、コンテナの寿命を向上させる。
【解決手段】物品輸送コンテナが、ドア12よりもコンテナ本体3の内部空間8側でコンテナ本体3の内面に形成され、開口2の中心線10に沿った方向でドア12の外縁部と対面するよう中心線10側に向かって延出する延出体20と、中心線10に直交する方向で互いに対面する開口2の開口縁部とドア12の外縁部との間の第1隙間22をシールする第1シール体23と、ドア12の外縁部と延出体20との間の第2隙間26をシールする第2シール体27とを備える。中心線10に沿った方向で、延出体20が第2シール体27をコンテナ本体3の内部空間8側から覆うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ本体と、このコンテナ本体の水平方向の一端部に形成された開口をシール体を介し開閉可能に閉じるドアとを備えた物品輸送コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記物品輸送コンテナには、従来、下記特許文献1〜4に示されるものがある。上記各特許文献のうち、特許文献1,2と、特許文献3の図1〜3とによれば、物品輸送コンテナは、水平方向の一端部に物品の出し入れ用開口が形成されたコンテナ本体と、このコンテナ本体の外部側から上記開口に嵌脱可能に嵌入されることにより、この開口を開閉可能に閉じるドアと、上記開口の中心線に直交する方向で互いに対面する上記開口の開口縁部と上記ドアの外縁部との間の第1隙間をシールする第1シール体とを備えている。
【0003】
そして、上記コンテナによれば、コンテナ本体の開口を通しこのコンテナ本体の内部空間に物品を挿入し、上記開口をドアで閉じれば、上記コンテナ内に物品が収容されて輸送可能な状態とされる。この場合、コンテナの外部の雨水がこのコンテナ内に浸入しようとすることは上記第1シール体によって防止される。このため、上記コンテナ内に収容された物品がその輸送中に雨水で汚損させられることは防止される。
【0004】
また、上記各特許文献のうち、特に、特許文献3の図4では、上記コンテナは、前記コンテナ本体、ドア、および第1シール体に加えて、次のように構成されている。即ち、上記コンテナは、上記ドアよりもコンテナ本体の内部空間側でこのコンテナ本体の内面に形成され、上記開口の中心線に沿った方向で上記ドアの外縁部と対面するよう上記中心線側に向かって延出する延出体と、この延出体の延出端縁部に外嵌されて固着され、上記ドアの外縁部と上記延出体との間の第2隙間をシールする第2シール体とを備えている。
【0005】
そして、上記コンテナによれば、このコンテナの外部の雨水がこのコンテナ内に浸入しようとすることは、上記第1、第2シール体によって、より確実に防止される。しかも、上記コンテナ内の物品から滲出した水などの液体がこのコンテナの外部に漏出しようとすることは、特に、上記第2シール体によって、より確実に防止されると考えられる。このため、水など液体分を含有する物品をコンテナ内に収容して輸送する際、上記物品からの液体が上記コンテナの外部にまで漏出することは防止される。よって、上記液体によりコンテナの周りが汚損されることは防止される。
【0006】
一方、上記コンテナが物品と共に輸送されて目的地に到着した場合には、例えば、上記各特許文献のうち、特許文献4の図5で示すように、ドアの開動作によりコンテナ本体の開口が開けられ、この状態で、このコンテナ本体は、その他端部側が油圧シリンダなどで押し上げられて傾動させられる。すると、コンテナ内に収容されていた物品は、このコンテナの内面を摺動させられて上記開口を通し外部に排出可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭63−627号公報
【特許文献2】実開昭62−28792号公報
【特許文献3】実用新案登録第2575237号公報
【特許文献4】特開2000−142879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記したように、特許文献3の図4のコンテナでは、第1シール体に加えて第2シール体を設けたことにより、コンテナ内の物品から滲出した水などの液体がこのコンテナの外部に漏出することは、より確実に防止される。
【0009】
しかし、上記第2シール体は上記延出体の延出端縁部に外嵌されて固着されていることから、上記第2シール体は、上記開口の中心線に沿った方向で上記コンテナ本体の内部空間に向かって露出している。このため、上記第2シール体には、コンテナ内の物品から直接大きい外力を与えられがちとなって、早期に損傷するおそれを生じる。また、前記した特許文献4の図5で示すように、コンテナを傾動させて、コンテナ本体の内部空間の物品を排出させる際には、この物品は上記第2シール体に衝突しがちとなることから、この点でも、この第2シール体は早期に損傷するおそれを生じる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、コンテナ内の何らかの液体がこのコンテナの外部に漏出しないよう、そのコンテナ本体に形成された開口をシール体を介しドアで開閉可能に閉じるようにした場合において、上記シール体がコンテナ内に収容された物品によって早期には損傷させられないようにして、コンテナの寿命を向上させることである。
【0011】
請求項1の発明は、水平方向の一端部に物品Aの出し入れ用開口2が形成されたコンテナ本体3と、このコンテナ本体3の外部側から上記開口2に嵌脱可能に嵌入されることにより、この開口2を開閉可能に閉じるドア12と、このドア12よりもコンテナ本体3の内部空間8側でこのコンテナ本体3の内面に形成され、上記開口2の中心線10に沿った方向で上記ドア12の外縁部と対面するよう上記中心線10側に向かって延出する延出体20と、上記中心線10に直交する方向で互いに対面する上記開口2の開口縁部と上記ドア12の外縁部との間の第1隙間22をシールする第1シール体23と、上記ドア12の外縁部と上記延出体20との間の第2隙間26をシールする第2シール体27とを備えた物品輸送コンテナにおいて、
上記中心線10に沿った方向で、上記延出体20が上記第2シール体27をコンテナ本体3の内部空間8側から覆うようにしたことを特徴とする物品輸送コンテナである。
【0012】
請求項2の発明は、上記コンテナ本体3の側部6における上記延出体20の延出端縁部から上記第2シール体27と上記中心線10とに対しそれぞれ離反するよう延出し、その延出端縁部が上記コンテナ本体3の側部6の内面に固着される傾斜案内板39を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品輸送コンテナである。
【0013】
請求項3の発明は、上記コンテナ本体3の底部5における上記開口2の開口縁部に、このコンテナ本体3の内部空間8側から外部に向かう途中で下り段差となる段差部37を形成し、この段差部37における縦壁部を上記延出体20としたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の物品輸送コンテナである。
【0014】
請求項4の発明は、上記ドア12が、上記開口2の開口縁部に枢支される観音開き式の一対のドア部12a,12bを有し、これら両ドア部12a,12bの各回動端縁部の間の第3隙間29をシールする第3シール体31を設け、この第3シール体31が、上記両ドア部12a,12bの両回動端縁部の内面に跨るよう設けられ、上記第3隙間29の幅方向における一端縁部が上記両回動端縁部のうちの一方の回動端縁部に固着されるシールブラケット31aと、上記第3隙間29の幅方向における上記シールブラケット31aの他端縁部の上記内部空間8とは反対側の面に取り付けられ、他方の回動端縁部に圧接するシール体本体31bとを備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の物品輸送コンテナである。
【0015】
請求項5の発明は、上記物品Aが瓦礫など廃棄物であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1つに記載の物品輸送コンテナである。
【0016】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明による効果は、次の如くである。
【0018】
請求項1の発明は、水平方向の一端部に物品の出し入れ用開口が形成されたコンテナ本体と、このコンテナ本体の外部側から上記開口に嵌脱可能に嵌入されることにより、この開口を開閉可能に閉じるドアと、このドアよりもコンテナ本体の内部空間側でこのコンテナ本体の内面に形成され、上記開口の中心線に沿った方向で上記ドアの外縁部と対面するよう上記中心線側に向かって延出する延出体と、上記中心線に直交する方向で互いに対面する上記開口の開口縁部と上記ドアの外縁部との間の第1隙間をシールする第1シール体と、上記ドアの外縁部と上記延出体との間の第2隙間をシールする第2シール体とを備えた物品輸送コンテナにおいて、
上記中心線に沿った方向で、上記延出体が上記第2シール体をコンテナ本体の内部空間側から覆うようにしている。
【0019】
このため、上記第1シール体に加えて第2シール体を設けたことにより、コンテナ内の物品から滲出する水などの液体が上記第1、第2隙間を通りコンテナの外部に漏出することは、より確実に防止される。
【0020】
そして、コンテナ内に収容された物品から上記第2シール体に外力が与えられようとするとき、この外力は主に上記延出体によって坦持されることから、上記物品から上記第2シール体に直接大きい外力が与えられることは防止される。よって、上記第2シール体がコンテナ内の物品からの外力で早期に損傷させられることは防止されて、コンテナの寿命の向上が達成される。
【0021】
また、仮に、上記ドアの開動作によりコンテナ本体の開口が開けられた状態で、コンテナ本体の他端部側が押し上げられて傾動させられ、これにより、コンテナ内に収容されていた物品が上記開口を通しコンテナ内から排出させられるときには、この物品の一部は上記第2シール体に衝突しようとするが、この第2シール体への物品の衝突は上記第2シール体をコンテナ本体の内部空間側から覆う上記延出体により防止される。よって、コンテナ内から排出させられる物品からの衝突により上記第2シール体が早期に損傷させられることは防止されて、この点でも、コンテナの寿命の向上が達成される。
【0022】
請求項2の発明は、上記コンテナ本体の側部における上記延出体の延出端縁部から上記第2シール体と上記中心線とに対しそれぞれ離反するよう延出し、その延出端縁部が上記コンテナ本体の側部の内面に固着される傾斜案内板を設けている。
【0023】
このため、前記したようにコンテナ本体の他端部側が押し上げられて傾動させられることにより、上記コンテナ内の物品が上記開口を通し排出させられるときには、上記物品は上記傾斜案内板の表面に沿うよう円滑に案内されて排出させられる。よって、コンテナ内の物品は、コンテナ内への残留が生じることが防止され、かつ、円滑に排出させられる。
【0024】
また、コンテナ本体の一端部における左右各側部には、上記延出体、および傾斜案内板によって中空閉断面構造が形成されて上記コンテナ本体の各側部が補強される。よって、前記したようにコンテナ本体の一端部には開口が形成されることにより強度と剛性とが低下しがちではあるが、この低下は、上記延出体と傾斜案内板とを利用した簡単な構成による補強によって、十分に補填される。
【0025】
請求項3の発明は、上記コンテナ本体の底部における上記開口の開口縁部に、このコンテナ本体の内部空間側から外部に向かう途中で下り段差となる段差部を形成し、この段差部における縦壁部を上記延出体としている。
【0026】
このため、上記したように、コンテナ本体の底部の内面に上記中心線側に向かって延出する延出体を形成したことにかかわらず、上記コンテナ本体の底部の上面は全体的に平坦形状に保たれる。よって、前記したようにコンテナ本体の他端部側が押し上げられて傾動させられることにより、上記コンテナ内の物品が上記開口を通し排出させられるときには、上記物品は、コンテナ本体の底部の上面を円滑に摺動し、このため、コンテナ内への残留が生じることが防止され、かつ、円滑に排出させられる。
【0027】
請求項4の発明は、上記ドアが、上記開口の開口縁部に枢支される観音開き式の一対のドア部を有し、これら両ドア部の各回動端縁部の間の第3隙間をシールする第3シール体を設け、この第3シール体が、上記両ドア部の両回動端縁部の内面に跨るよう設けられ、上記第3隙間の幅方向における一端縁部が上記両回動端縁部のうちの一方の回動端縁部に固着されるシールブラケットと、上記第3隙間の幅方向における上記シールブラケットの他端縁部の上記内部空間とは反対側の面に取り付けられ、他方の回動端縁部に圧接するシール体本体とを備えている。
【0028】
このため、上記第3シール体を設けたことにより、コンテナ内の物品から滲出する水などの液体が上記第3隙間を通りコンテナの外部に漏出することは防止される。
【0029】
そして、コンテナ内に収容された物品から上記第3シール体に外力が与えられるとき、この外力は主に上記シールブラケットによって担時されることから、上記物品から上記シール体本体に直接大きい外力が与えられることは防止される。よって、上記第3シール体のシール体本体がコンテナ内の物品からの外力で早期に損傷させられることは防止されて、コンテナの寿命の向上が達成される。
【0030】
請求項5の発明は、上記物品が瓦礫など廃棄物とされている。
【0031】
このため、上記物品は水が滲出し易いものではあるが、この物品を上記したコンテナ内に収容した場合には、前記したように物品からの滲出水がコンテナの外部にまで漏出することは、より確実に防止される。よって、上記滲出水によりコンテナの周りが汚損されることは、より確実に防止される。
【0032】
また、特に、上記物品が瓦礫の廃棄物である場合には、破断部などの外面が先鋭な形状をなす瓦片、ガラス片、木片が多いため、この物品から第2シール体に与えられる外力により、この第2シール体はより早期に損傷させられるおそれがある。しかし、このような第2シール体の早期の損傷は、前記した延出体の作用よって防止される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図2のI−I線矢視拡大断面部分破断図である。
【図2】コンテナの斜視部分破断図である。
【図3】図2のIII−III線矢視拡大断面部分破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の物品輸送コンテナに関し、コンテナ内の何らかの液体がこのコンテナの外部に漏出しないよう、そのコンテナ本体に形成された開口をシール体を介しドアで開閉可能に閉じるようにした場合において、上記シール体がコンテナ内に収容された物品によって早期には損傷させられないようにして、コンテナの寿命を向上させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0035】
即ち、物品輸送コンテナは、水平方向の一端部に物品の出し入れ用開口が形成されたコンテナ本体と、このコンテナ本体の外部側から上記開口に嵌脱可能に嵌入されることにより、この開口を開閉可能に閉じるドアと、このドアよりもコンテナ本体の内部空間側でこのコンテナ本体の内面に形成され、上記開口の中心線に沿った方向で上記ドアの外縁部と対面するよう上記中心線側に向かって延出する延出体と、上記中心線に直交する方向で互いに対面する上記開口の開口縁部と上記ドアの外縁部との間の第1隙間をシールする第1シール体と、上記ドアの外縁部と上記延出体との間の第2隙間をシールする第2シール体とを備える。上記中心線に沿った方向で、上記延出体が上記第2シール体をコンテナ本体の内部空間側から覆うようにしている。
【実施例】
【0036】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0037】
図において、符号1は、物品輸送コンテナであり、このコンテナ1内には、物品Aとして瓦礫、建築廃材等の廃棄物、特に、水など液体を含有する廃棄物の収容が可能とされている。また、説明の便宜上、図中矢印Frで示す水平方向の一方向を前方とし、下記する左右とは上記前方に向かっての水平方向をいうものとする。
【0038】
上記コンテナ1は、前方に向かって長く延びる直方体箱形状をなし、全体として金属製で十分の強度と剛性とを有している。つまり、上記した水平方向の一方向とコンテナ1の長手方向とは互いに合致している。そして、上記コンテナ1は、上記一方向とは逆方向の一端部である後端部に物品Aの出し入れ用開口2が形成されたコンテナ本体3を備えている。
【0039】
上記コンテナ本体3の底部5は、水平に延びる底板5aと、この底板5aの後端縁部に固着されてこれを補強する底板補強材5bとを有している。また、上記コンテナ本体3の左右各側部6は、上記底板5aの左右各端縁部に立設される左右側板6a,6aと、これら各側板6aの後端縁部に固着されてこれを補強する側板補強材6bとを有している。また、上記コンテナ本体3の天井部7は、水平に延びて上記左右側板6a,6aの各上端縁部に架設される天井板7aと、この天井板7aの後端縁部に固着されてこれを補強する天井板補強材7bとを有している。上記各板5a,6a,7aは、それぞれ上記各補強材5b,6b,7bとの溶接による結合で補強されている。また、上記各補強材5b,6b,7b同士が溶接により結合され、これにより、上記各板5a,6a,7aがより補強されている。そして、上記各板と補強材とで囲まれた内部が上記コンテナ本体3の内部空間8とされている。
【0040】
上記各板5a,6a,7aの各前端縁部で囲まれた開口は不図示の閉じ板で閉じられている。上記各補強材5b,6b,7bにより上記開口2の開口縁部が形成され、この開口2の中心線10は前後方向に延びている。
【0041】
上記コンテナ本体3の後方の外部側から上記開口2に嵌脱可能に嵌入されることにより、この開口2を開閉可能に閉じるドア12が設けられている。このドア12は左右一対のドア部12a,12bを有し、これらドア部12a,12bは観音開き式となるよう、それぞれ上記開口2の開口縁部の各側板補強材6b側にヒンジ13により枢支されている。上記各ドア部12aは、それぞれその外縁部を構成する中空閉断面構造のドアフレーム15と、このドアフレーム15で囲まれた空間を閉じてこのドアフレーム15に固着されるドアパネル16とを有している。
【0042】
上記ドア12よりも上記コンテナ本体3の内部空間8側(前方側)でこのコンテナ本体3の内面に形成され、上記中心線10に沿った方向(前後方向)で上記ドア12の外縁部と対面するよう上記中心線10側に向かって延出する延出体20が設けられている。この延出体20は、板金製で上記中心線10に沿った方向で上記ドア12から少し離れた近傍に配置されている。また、上記延出体20は、上記開口2の開口縁部を形成する上記底板補強材5bと、左右各側板補強材6bとに形成され、上記天井板補強材7bには形成されていない。
【0043】
上記中心線10に直交する方向で互いに対面する上記開口2の開口縁部と上記ドア12の外縁部との間の第1隙間22をシールする第1シール体23が設けられている。この第1シール体23は、上記開口2の開口縁部の全周にわたり設けられ、上記ドア12の外縁部に対しリベットなどの固着具24により固着されている。
【0044】
上記ドア12の外縁部と上記延出体20との間の第2隙間26をシールする第2シール体27が設けられている。この第2シール体27は、上記開口2の開口縁部のうち、上記底板補強材5bと、左右各側板補強材6bの下部側とに沿ってコンテナ1の後面視でU字形状となるよう一体的に設けられ、上記延出体20に対し接着材などにより固着されている。この場合、上記中心線10に沿った方向で、上記延出体20は上記第2シール体27を全体的にコンテナ本体3の内部空間8側から覆っている。なお、上記第1、第2シール体23,27は互いに別体に形成されている。
【0045】
より具体的には、上記ドア12の各ドア部12a,12bの外縁部のうちの各下端縁部では、上記各ドアフレーム15の内部空間8側のフレーム端縁部15aは、それぞれその長手方向の各部断面が縦方向に延びて、左右に延びるフラットバー形状とされている。そして、上記フレーム端縁部15aの前面が上記第2シール体27の後面に面接触するよう圧接させられる。このため、上記ドア12の下端縁部と第2シール体27との接触面積が大きくなって、上記第1隙間22のシール性がより向上させられる。
【0046】
また、上記開口2の開口縁部のうちの下部開口縁部では、上記底部5の底板5aの後端縁部が上記延出体20よりも後方に突出させられている。これにより、上記底部5の底板5aの後端縁部、底板補強材5bの上部、および延出体20とにより、後方に向かって開口し、上記開口2の左右幅の全体にわたり延びる溝部28が形成されている。そして、この溝部28に上記第2シール体27の前部が嵌入されて、取り付けられている。
【0047】
上記の場合、溝部28に上記第2シール体27を弾性的に圧入して取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、上記接着材など固着材は不要にできるため、上記第2シール体27が損傷したり劣化した場合に、この第2シール体27を新しいものに交換することが容易にできて、便利である。
【0048】
上記ドア12の両ドア部12a,12bの各回動端縁部の間で上下方向に延びる第3隙間29を、上下方向の全体にわたりシールする第3シール体30と他の第3シール体31とが設けられている。
【0049】
上記他の第3シール体31は、上記第3隙間29をコンテナ本体3の内部空間8側からシールする。上記他の第3シール体31は、上記両ドア部12a,12bの両回動端縁部の内面に跨るよう設けられ、上記第3隙間29の幅方向における一端縁部が上記両回動端縁部のうちの一方の回動端縁部に固着される板金製シールブラケット31aと、上記第3隙間29の幅方向における上記シールブラケット31aの他端縁部の上記内部空間8とは反対側の面に取り付けられ、他方の回動端縁部に圧接するシール体本体31bとを備えている。
【0050】
上記第1〜第3シール体23,27,30,31、および他の第3シール体31のシール体本体31bは、いずれもゴム製とされている。
【0051】
上記各シール体を介し上記開口2を閉じたドア12を、手動操作により上記コンテナ本体3に対しロック、ロック解除可能にロックする公知のロック装置35が設けられている。
【0052】
上記コンテナ本体3の底部5において、上記開口2の開口縁部を形成する底板補強材5bには、このコンテナ本体3の内部空間8側から外部に向かう途中で下り段差となる段差部37が形成されており、この段差部37における縦壁部が上記延出体20とされている。
【0053】
上記コンテナ本体3の左右各側部6における上記各延出体20の延出端縁部から上記開口2の他端部側である前端部側に向かって延出し、その延出端縁部が上記コンテナ本体3の側部6の側板6aの内面に溶接により固着される傾斜案内板39が設けられている。この傾斜案内板39は板金製で、上記各延出体20の延出端縁部から上記第2シール体27と上記中心線10とに対しそれぞれ離反するよう直線的に延出している。
【0054】
そして、上記コンテナ1によれば、コンテナ本体3の開口2を通しこのコンテナ本体3の内部空間8に物品Aを挿入し、上記開口2をドア12で閉じれば、上記コンテナ1内に物品Aが収容されて輸送可能な状態とされる。この場合、コンテナ1の外部の雨水がこのコンテナ1内に浸入しようとすることは上記第1〜第3シール体23,27,30,31によって防止される。このため、上記コンテナ1内に収容された物品Aがその輸送中に雨水で汚損させられることは防止される。
【0055】
一方、上記コンテナ1内の物品Aから滲出した水などの液体が上記第1、第2隙間22,26を通りコンテナ1の外部に漏出しようとすることは、特に、上記第2シール体27と他の第3シール体31とによって、より確実に防止される。このため、水など液体分を含有する物品Aをコンテナ1内に収容して輸送する際、上記物品Aからの液体が上記コンテナ1の外部にまで漏出することは防止される。よって、上記液体によりコンテナ1の周りが汚損されることは防止される。
【0056】
上記構成によれば、上記中心線10に沿った方向で、上記延出体20が上記第2シール体27をコンテナ本体3の内部空間8側から覆うようにしている。
【0057】
このため、コンテナ1内に収容された物品Aから上記第2シール体27に外力が与えられようとするとき、この外力は主に上記延出体20によって坦持されることから、上記物品Aから上記第2シール体27に直接大きい外力が与えられることは防止される。よって、上記第2シール体27がコンテナ1内の物品Aからの外力で早期に損傷させられることは防止されて、コンテナ1の寿命の向上が達成される。
【0058】
また、前記したように、開口2の開口縁部のうちの下部開口縁部では、底部5の底板5aの後端縁部が上記延出体20よりも後方に突出させられていて、上記底部5の底板5aの後端縁部により上記第2シール体27の少なくとも前部上面が覆われている。
【0059】
このため、コンテナ1内に収容された物品Aから上記第2シール体27に外力が与えられようとするとき、この外力の一部は上記底部5の底板5aの後端縁部によっても坦持されることから、上記物品Aから上記第2シール体27に直接大きい外力が与えられることは防止される。よって、上記第2シール体27がコンテナ1内の物品Aからの外力で早期に損傷させられることは防止されて、コンテナ1の寿命の向上が達成される。
【0060】
また、図1中一点鎖線で示すように、上記ドア12の開動作によりコンテナ本体3の開口2が開けられた状態で、図3中二点鎖線で示すように、コンテナ本体3の他端部側である前端部側が油圧シリンダなどにより押し上げられて傾動させられると、図1,3中三点鎖線で示すように、コンテナ1内に収容されていた物品Aは、このコンテナ1内を摺動させられて上記開口2を通し排出させられる。
【0061】
そして、上記したように、開口2を通しコンテナ1内の物品Aが排出させられるとき、この物品Aの一部は上記第2シール体27に衝突しようとするが、この第2シール体27への物品Aの衝突は上記第2シール体27を全体的にコンテナ本体3の内部空間8側から覆う上記延出体20により防止される。よって、コンテナ1内から排出させられる物品Aからの衝突により上記第2シール体27が早期に損傷させられることは防止されて、この点でも、コンテナ1の寿命の向上が達成される。
【0062】
また、前記したように、コンテナ本体3の側部6における上記延出体20の延出端縁部から上記第2シール体27と上記中心線10とに対しそれぞれ離反するよう延出し、その延出端縁部が上記コンテナ本体3の側部6の内面に固着される傾斜案内板39を設けている。
【0063】
このため、前記図3中二点鎖線で示すように、コンテナ本体3の前端部側が押し上げられて傾動させられることにより、上記コンテナ1内の物品Aが上記開口2を通し排出させられるときには、図1中三点鎖線で示すように、上記物品Aは上記傾斜案内板39の表面に沿うよう円滑に案内されて排出させられる。よって、コンテナ1内の物品Aは、コンテナ1内への残留が生じることが防止され、かつ、円滑に排出させられる。
【0064】
また、コンテナ本体3の後端部における左右各側部6には、上記側板6a、側板補強材6b、延出体20、および傾斜案内板39によって中空閉断面構造が形成されて上記コンテナ本体3の各側部6が補強される。よって、前記したようにコンテナ本体3の後端部には開口2が形成されることにより強度と剛性とが低下しがちではあるが、この低下は、上記延出体20と傾斜案内板39とを利用した簡単な構成による補強によって、十分に補填される。
【0065】
また、前記したように、コンテナ本体3の底部5における上記開口2の開口縁部に、このコンテナ本体3の内部空間8側から外部に向かう途中で下り段差となる段差部37を形成し、この段差部37における縦壁部を上記延出体20としている。
【0066】
このため、上記したように、コンテナ本体3の底部5の内面に上記中心線10側に向かって延出する延出体20を形成したことにかかわらず、上記コンテナ本体3の底部5の上面は全体的に平坦形状に保たれる。よって、前記図3中二点鎖線で示すように、コンテナ本体3の前端部側が押し上げられて傾動させられることにより、上記コンテナ1内の物品Aが上記開口2を通し排出させられるとき、図3中三点鎖線で示すように、上記物品Aは、上記コンテナ本体3の底部5の上面を円滑に摺動して、コンテナ1内への残留が生じることが防止され、かつ、円滑に排出させられる。
【0067】
また、前記したように、ドア12が、上記開口2の開口縁部に枢支される観音開き式の一対のドア部12a,12bを有し、これら両ドア部12a,12bの各回動端縁部の間の第3隙間29をシールする他の第3シール体31を設け、この他の第3シール体31が、上記両ドア部12a,12bの両回動端縁部の内面に跨るよう設けられ、上記第3隙間29の幅方向における一端縁部が上記両回動端縁部のうちの一方の回動端縁部に固着されるシールブラケット31aと、上記第3隙間29の幅方向における上記シールブラケット31aの他端縁部の上記内部空間8とは反対側の面に取り付けられ、他方の回動端縁部に圧接するシール体本体31bとを備えている。
【0068】
このため、上記第3シール体30に加えて他の第3シール体31を設けたことにより、コンテナ1内の物品Aから滲出する水などの液体が上記第3隙間29を通りコンテナ1の外部に漏出することは、より確実に防止される。
【0069】
そして、コンテナ1内に収容された物品Aから上記他の第3シール体31に外力が与えられるとき、この外力は主に上記シールブラケット31aによって担時されることから、上記物品Aから上記シール体本体31bに直接大きい外力が与えられることは防止される。よって、上記第3シール体31のシール体本体31bがコンテナ1内の物品Aからの外力で早期に損傷させられることは防止されて、コンテナ1の寿命の向上が達成される。
【0070】
また、前記したように、物品Aが瓦礫など含水性廃棄物とされている。
【0071】
このため、上記物品Aは水が滲出し易いものではあるが、この物品Aを上記したコンテナ1内に収容した場合には、前記したように物品Aからの滲出水がコンテナ1の外部にまで漏出することは、より確実に防止される。よって、上記滲出水によりコンテナ1の周りが汚損されることは、より確実に防止される。
【0072】
また、特に、上記物品Aが瓦礫の廃棄物である場合には、破断部などの外面が先鋭な形状をなす瓦片、ガラス片、木片が多いため、この物品Aから第2シール体27に与えられる外力により、この第2シール体27はより早期に損傷させられるおそれがある。しかし、このような第2シール体27の早期の損傷は、前記した延出体20の作用よって防止される。
【0073】
なお、以上は図示の例によるが、コンテナ1は、そのコンテナ本体3の天井部7が開閉式のものであってもよい。また、上記ドア12は片開き式のものであってもよい。また、上記第2シール体27は、上記開口2の開口の全周にわたり設けてもよい。また、上記コンテナ1内からの物品Aの排出は、必ずしもコンテナ1を傾動させる必要はなく、ドア12の開動作により開けられた開口2を通し、コンテナ1内から物品Aを運び出したり、掻き出したりしてもよい。そして、このようにした場合でも、コンテナ1を傾動させて物品Aを排出させる際の前記作用効果と同様の作用効果が生じる。
【符号の説明】
【0074】
1 コンテナ
2 開口
3 コンテナ本体
5 底部
6 側部
7 天井部
8 内部空間
10 中心線
12 ドア
12a,12b ドア部
13 ヒンジ
15a フレーム端縁部
20 延出体
22 第1隙間
23 第1シール体
26 第2隙間
27 第2シール体
28 溝部
29 第3隙間
31 第3シール体
31a シールブラケット
31b シール体本体
37 段差部
39 傾斜案内板
A 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の一端部に物品の出し入れ用開口が形成されたコンテナ本体と、このコンテナ本体の外部側から上記開口に嵌脱可能に嵌入されることにより、この開口を開閉可能に閉じるドアと、このドアよりもコンテナ本体の内部空間側でこのコンテナ本体の内面に形成され、上記開口の中心線に沿った方向で上記ドアの外縁部と対面するよう上記中心線側に向かって延出する延出体と、上記中心線に直交する方向で互いに対面する上記開口の開口縁部と上記ドアの外縁部との間の第1隙間をシールする第1シール体と、上記ドアの外縁部と上記延出体との間の第2隙間をシールする第2シール体とを備えた物品輸送コンテナにおいて、
上記中心線に沿った方向で、上記延出体が上記第2シール体をコンテナ本体の内部空間側から覆うようにしたことを特徴とする物品輸送コンテナ。
【請求項2】
上記コンテナ本体の側部における上記延出体の延出端縁部から上記第2シール体と上記中心線とに対しそれぞれ離反するよう延出し、その延出端縁部が上記コンテナ本体の側部の内面に固着される傾斜案内板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品輸送コンテナ。
【請求項3】
上記コンテナ本体の底部における上記開口の開口縁部に、このコンテナ本体の内部空間側から外部に向かう途中で下り段差となる段差部を形成し、この段差部における縦壁部を上記延出体としたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の物品輸送コンテナ。
【請求項4】
上記ドアが、上記開口の開口縁部に枢支される観音開き式の一対のドア部を有し、これら両ドア部の各回動端縁部の間の第3隙間をシールする第3シール体を設け、この第3シール体が、上記両ドア部の両回動端縁部の内面に跨るよう設けられ、上記第3隙間の幅方向における一端縁部が上記両回動端縁部のうちの一方の回動端縁部に固着されるシールブラケットと、上記第3隙間の幅方向における上記シールブラケットの他端縁部の上記内部空間とは反対側の面に取り付けられ、他方の回動端縁部に圧接するシール体本体とを備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の物品輸送コンテナ。
【請求項5】
上記物品が瓦礫など廃棄物であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1つに記載の物品輸送コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−103743(P2013−103743A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249174(P2011−249174)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【特許番号】特許第5192072号(P5192072)
【特許公報発行日】平成25年5月8日(2013.5.8)
【出願人】(502253401)大栄環境株式会社 (4)
【出願人】(508081798)井本商運株式会社 (5)
【出願人】(511276448)宇広コンテナ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】