説明

物品集合装置

【課題】搬送路6を複数列で搬送されている物品(キャップC)を一列に集合させる際に、詰まったり傷付くことを防止する。
【解決手段】キャップ成形機2で同時に複数個のキャップCを成形し、複数の通路を有する搬送路6を複数列で搬送する。キャップCを集合させる通路を主通路8とし、他の通路を副通路10とし、この副通路10側に集合用エア噴射手段20を設け、キャップCにエアを吹き付けて主通路8側に移動させて合流させる。搬送路6の上方に天面プレート14が配置されており、その主通路8の上部にキャップCが嵌合可能なガイド溝14aを形成するとともに、主通路8の底部には搬送方向下流側へ向けエアを吹き出すエア吹き出し孔26を多数形成し、主通路8内のキャップCを天面プレート14のガイド溝14aに係合させて前進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数列で搬送される物品を一列に集合させる物品集合装置に係り、例えば、キャップ等の軽量な物品をエアを噴射して搬送しつつ一列に集合させる物品集合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、容器にキャッピングを行うキャッピング装置にキャップを供給する場合に、高能力の装置では、複数のキャップ成形機でキャップの成形を行い、そのまま複数列で搬送し、搬送中に集合装置で一列に集合させた後、キャップシュートに送り込むようにしている。このような複数列で搬送される物品を、搬送中に一列に集合させる物品集合装置は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された発明は、2つの上流側単列搬送部のそれぞれから単列状態で搬入してくるキャップ(ワーク)を搬送面から噴出するエアによって下流側に搬送することにより幅方向に収斂させて単列状態にしてから下流側単列搬送部に搬出する合流搬送部を備えた構成になっている。
【0004】
前記特許文献1の、合流搬送部は、キャップを2列の並列状態で搬送を可能にする幅から、単列状態のみで搬送を可能にする幅まで、搬送方向の下流側に向かって直線的に狭められるように形成されている。そして、このような合流搬送部にキャップが詰まることによってキャップの流れが停止することがあるため、搬送路が閉塞することを防止または解除するための手段(この特許文献1では、円滑搬送支援手段7と呼んでいる)を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−247444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載された発明では、合流搬送部でキャップが詰まり、流れが停止することを防止または解除するために、合流搬送部の幅が2つのキャップの外径の合計寸法にほぼ一致する位置に、ベルト、回転体あるいは揺動する壁等を設けている。このような詰まりを防止または解除するための手段を設けて、キャップに干渉させると、キャップを傷める原因となり好ましくないという問題があった。特に、タブ付きのキャップの場合には、変形や傷みが著しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、搬送路を複数列で搬送されてくる物品を一列に集合させる物品集合装置において、物品を集合させる一つの列を主通路、その他の列を副通路とし、前記主通路の底面に、下方から上方へ、かつ搬送方向の下流側に向けて、エアを吹き出す多数のエア吹き出し孔を設けるとともに、前記搬送路の上方に配置され、搬送される物品の天面をガイドする天面プレートの、主通路の高さを他方の通路よりも高くしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記副通路を搬送される物品にエアを噴射して、主通路側へ送り込むエア噴射手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の物品集合装置は、主通路と副通路とを有する搬送路の、主通路の底面にエア吹き出し孔を設けるとともに、天面ガイドの主通路の高さを副通路よりも高くしたので、浮き上がった主通路の物品が副通路側に移動することがない。また、副通路の物品が主通路に合流する際に、主通路の物品は上方に位置しており両通路の物品による搬送のタイミングが同時であっても、主通路の物品は副通路の物品の主通路への進入を阻み、副通路の物品はその主通路の物品の後続となるので、搬送中に詰まってしまうことを防止することができ、物品の安定した供給ができるという利点がある。また、干渉物などを用いて詰まりを除去するのではなく、詰まりを防止する構造としたので、物品を傷付けることを防止することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は物品集合装置の平面図である。(実施例1)
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
キャップ成形機で複数のキャップを同時に成形し、推進用のエア噴射手段によって搬送路に設けられた複数列の通路にそれぞれ送り込む。搬送路の底部プレート上をキャップが移動するようになっている。また、搬送路の上方には搬送されるキャップの天面をガイドする天面ガイドが配置されており、この天面ガイドの、複数列のキャップを一列に集合させる主通路の上方には、キャップが係合可能なガイド溝が形成されている。また、底部プレートの主通路の部分には、搬送方向下流側へ向けて下方から上方へ斜めにエアを吹き出すエア吹き出し孔が等間隔で多数配置されており、主通路のキャップはこの吹き出し孔からのエアによって上方へ押し上げられ、ガイド溝内に嵌合した状態で下流側に送られていく。副通路の側部に、この副通路を搬送されているキャップを主通路の方向へ押し出して合流させる集合用エア噴射手段が配置されている。集合用エア噴射手段によって副通路を搬送されていたキャップが主通路に入るときに、すでに主通路内を搬送されるキャップは、エア吹き出し孔からのエアによって上方のガイド溝内に嵌り込んでおり、主通路から副通路に移動することはなく、この間欠搬送される主通路のキャップ間に副通路のキャップが合流するので、詰まったりキャップに傷を付けたりすることを防止するという目的を達成する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る物品集合装置は、キャップCの成形をキャップ成形機2内の2箇所で行っており、これら2箇所で成形されたキャップ2を、別々の推進用エア噴射ノズル4(4A、4B)からエアを噴射して搬送路6へ送るようになっている。この搬送路6は2列の通路(主通路8と副通路10)を有しており、2列で搬送路6内に送り込まれたキャップCを1列にして主通路8上に集合させた後、1列の状態で排出するようになっている。
【0013】
キャップ成形機2は、図示しないロールから送られたアルミシートを、金型を上下に動作させることによりアルミキャップ(以下キャップCと呼ぶ)の成形を行う。この実施例では、キャップCの供給能力を上げるため、キャップ成形機2が2箇所で同じタイミングでキャップ2の成形を行うようになっている。
【0014】
キャップ成形機2に続いてキャップCの搬送路6が設けられている。この搬送路6は、フラットな底部プレート12と、この底部プレート12の上方に配置され、キャップCの上面をガイドする天面プレート14を備えている(図2ないし図4参照)。この天面プレート14の下面両側には、キャップCが搬送される搬送路6の横方向を規制するサイドガイド部16、18が設けられている。なお、天面プレート14は、図2ないし図4に示すように単一の部材で構成する必要はなく、複数の部材を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0015】
前記キャップ成形機2で成形したキャップCを前記搬送路6に送り込むために、キャップ成形機2を挟んだ搬送路6の逆側(図1の右側)に、エアを噴射する2本の推進用エア噴射ノズル4(4A、4B)が配置されている。これら2本の推進用エア噴射ノズル4A、4Bは、2箇所で同時に成形されたキャップC(CA、CB)にそれぞれエアを噴射して、主通路8と副通路10に送り込む。この実施例では、2箇所のキャップ成形位置(図1に符号CA、CBで示すキャップの位置が成形位置である)のうち一方(キャップCAの位置)が他方(キャップCBの位置)よりもやや搬送方向下流側に位置しており、2個のキャップCA、CBの前後の位置をずらして搬送する。このとき前方側に位置しているキャップCAが搬送される通路が前記主通路8である。
【0016】
搬送路6の一方の通路である副通路10側の側部に、この副通路10を搬送されているキャップCを主通路8側へ移動させて、主通路8を搬送されているキャップCと合流させるための集合用エア噴射手段20が設けられている。この集合用エア噴射手段20は、噴射口22aを搬送方向のやや下流側を向けて斜めに配置された4本の噴射筒22を有しており、各噴射筒22のエア噴射口22aが底部プレート12の僅かに上方に位置するように配置されている。これら4本の噴射筒22は、取り付けプレート24の長溝24a内に取り付けられており、それぞれ搬送方向に沿って移動させることができる。前記キャップ成形機2の副通路10側で成形され、推進用エア噴射ノズル4Bによって搬送路6の副通路10側に導入されたキャップC(CB)が、この集合用エア噴射手段20から噴射されたエアによって、主通路8側に移動され、主通路8内を搬送されているキャップCAに合流されて一列になる。
【0017】
底部プレート12の、主通路8が配置されている部分の中央に、下面側から上方へエアを吹き出すエア吹き出し孔26が1列で多数設けられている。底部プレート12が取り付けられている缶体28(図2ないし図4参照)の内部はエアダクト30になっており、図示しない外部のエア供給源に接続されて圧縮エアが供給され、前記エア吹き出し孔26から主通路8上にエアを吹き出すようになっている。これらエア吹き出し孔26は、上端部が搬送方向下流側(図1の左側)に向けて斜めに形成されており、下方から吹き出されるエアによって、主通路8上を搬送されるキャップCを前進させるとともに、上方の天面プレート14へ向けて浮き上がらせるようになっている。
【0018】
前記搬送路6は、天面プレート14の下面に形成された両サイドガイド部16、18によって搬送方向両側の幅が規制されており、キャップCが推進用エア噴射ノズル4(4A、4B)から噴射されたエアによって導入される入口部は幅が最も広くなっている。主通路8側のサイドガイド部16は、上流部16aが搬送路6の内部側に向かって傾斜して配置されており、この上流の傾斜部16aが主通路8の幅を狭めている。サイドガイド部16の傾斜部16aよりも下流側の直線部16bでは、主通路8が、キャップC1個が通過できる幅を有している。
【0019】
また、副通路10側のサイドガイド部18は、底部プレート12の端部上に位置して、搬送路6の広い幅を維持している(図2参照)。この実施例で取り扱われるキャップCは、高さの比較的低い円筒状の部分Caと閉鎖された天面Cbとを有しており、天面Cbと逆の開口部側の一部にタブCcが設けられている(図3参照)。天面プレート14の下面の両サイドガイド部16、18の間の部分は、キャップCの円筒部Caの高さよりも高い位置にあり、底部プレート12上に載ったキャップCと干渉しないようになっている。さらに、天面プレート14の主通路8の上方に位置する部分は、キャップCの外径よりも僅かに大きい幅のガイド溝14aが形成されている。前記主通路8の上方に形成されているガイド溝14aは、キャップCの円筒状の部分Caの高さよりも浅く、キャップCが上方のガイド溝14a内に嵌り込んだ場合でも、タブCcがガイド溝14aの側壁に干渉しないようになっている(図4参照)。また、キャップCがガイド溝14a内に嵌り込んだ状態で、このキャップCの下面と底面プレート12の上面との距離が、キャップCの円筒部Caの高さよりも小さくなっており、ガイド溝14a内に嵌り込んだキャップCの下方に別のキャップCが入り込まないようになっている。
【0020】
図2および図3は、それぞれ、図1のII−II断面、III−III断面を示す図であり、搬送路6の入口部からこれらの断面で示す領域付近までは、副通路10から主通路8側へキャップCが自由に移動できるようになっている。そしてこれらの断面で示す領域よりも下流側の、天面プレート14に、主通路8を副通路10側から区画する中間ガイド部32が設けられている(図1および図1のIV−IV断面である図4参照)。この中間ガイド部32が設けられている区間では、副通路10側を搬送されているキャップCが主通路8側に移動できないようになっている。
【0021】
前記集合用エア噴射手段20が設けられている位置と、天面プレート14の下面側に形成されている中間ガイド32によって主通路8と副通路10とが完全に区画される位置との間に、光電センサ34が設けられており、副通路10から主通路8へ合流されるキャップCが詰まった場合にこれを検出できるようになっている。
【0022】
以上の構成に係る物品集合装置の作動について説明する。キャップ成形機2では、2箇所で同時にキャップが成形される。キャップ成型を行う金型は、上下方向に動作してキャップCを成形するようになっている。2箇所の成形位置(図1に符号CAで示すキャップおよびCBで示すキャップの位置)のうち主通路8側のキャップ成形位置が、副通路10側のキャップ成形位置よりも搬送方向前方側に位置しており、成形されたキャップCA、CBは、搬送方向の上流側に設けられている推進用エア噴射ノズル4(4A、4B)からのエアによって、水平な状態のまま、主通路8側のキャップCAを前方にして搬送路6に送り込まれる。
【0023】
推進用エア噴射ノズル4Aによって主通路8に送り込まれたキャップCは、底部プレート12の主通路8側に連続して形成されているエア吹き出し孔26から吹き出されたエアによって、前進しつつ上方へ吹き上げられて天面プレート14に形成されたガイド溝14a内に嵌り込んで搬送される。従って、主通路8側のキャップCはガイド溝14aから外れることがなく一直線で搬送される。また、主通路8は、エア吹き出し孔26からのエア吹き出しによる推進力が加わるので、副通路10よりも推進力が大きくなり、主通路8側のキャップCは副通路10側のキャップCと比べて先行する。
【0024】
一方、推進用エア噴射ノズル4Bによって副通路10側に送り込まれたキャップCは、集合用エア噴射手段20の位置まで搬送されてくると、真横よりもやや下流側を向けて配置されている噴射筒22のエア噴射口22aからエアが吹き付けられる。このエア噴射によって副通路10内を搬送されてきたキャップCは、次第に主通路8側に寄せられ(図2参照)、主通路8に到達すると、主通路8の底部に形成されているエア吹き出し孔26から吹き出されたエアによって、前進されるとともに、上方へ持ち上げられて天面プレート14のガイド溝14a内に嵌り込む(図3は、副通路10のキャップCが主通路8側に入りエアによって持ち上げられ始めた状態を示す)。この際、主通路8側のキャップCが副通路10側のキャップCよりも先行し、間欠搬送される主通路8側のキャップC−C間に移動距離の長い副通路10のキャップCが入り込むようになっており、両通路8、10のキャップCは、極力合流による干渉はしないようになっている。それ以降は、キャップCは完全に嵌り込んだガイド溝14aに案内されて主通路8内を搬送される(図4参照)。
【0025】
副通路10を搬送されているキャップCは、集合用エア噴射手段20によって副通路10側から主通路8内に送り込まれるが、中間ガイド32の位置までに主通路8に入れなかったキャップCは、そのまま副通路10を搬送されて排出される。この実施例装置では、集合位置で搬送路6全体の幅を狭めていないので、キャップCを無理に合流させることによって詰まってしまうおそれがない。
【0026】
この実施例装置では、前述のようにキャップCが詰まることはまずないが、万一詰まった場合には、光電センサ34によって検出し、この装置の運転を停止する。なお、前記推進用の2本のエア噴射ノズル4A、4Bは、そのエア噴射量を個別に制御することが可能であり、主通路8と副通路10で噴射量を適宜異ならせるようにしてもよく、推進用エア噴射ノズル4Aの噴射量を推進用エア噴射ノズル4Bよりも大きく設定すれば、同時に成形されたキャップCであっても、主通路8で搬送されるキャップCAが副通路10で搬送されるキャップCBよりも先行し、キャップCAとキャップCBとを干渉せずに合流させることができる。また、前記実施例では、2列の通路から1列への集合を行ったが、高能力とするために3列以上の通路を1列に集合させるものであってもよい。この場合、主通路を真ん中の通路としてもよく、また端部側の通路としてもよい。また、前記実施例では、キャップCの推進にエア噴射ノズル4A、4Bを用いたが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、主通路にエア吹き出し孔が形成されていれば、搬送手段としてベルトコンベヤ等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0027】
C 物品(キャップ)
6 搬送路
8 主通路
10 副通路
14 天面プレート
20 エア噴射手段(集合用エア噴射手段)
26 エア吹き出し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を複数列で搬送されてくる物品を一列に集合させる物品集合装置において、
物品を集合させる一つの列を主通路、その他の列を副通路とし、前記主通路の底面に、下方から上方へ、かつ搬送方向の下流側に向けて、エアを吹き出す多数のエア吹き出し孔を設けるとともに、前記搬送路の上方に配置され、搬送される物品の天面をガイドする天面プレートの、主通路の高さを他方の通路よりも高くしたことを特徴とする物品集合装置。
【請求項2】
前記副通路を搬送される物品にエアを噴射して、主通路側へ送り込むエア噴射手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品集合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−206847(P2012−206847A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75378(P2011−75378)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】