説明

物品

【課題】包装体の作製コストを低減し、小さな物品にも取り付けられ、タグ形成部の厚みを抑えた無線ICデバイスを構成する。
【解決手段】例えばアルミ蒸着ラミネートフィルムによる物品包装体60の端部にアルミ蒸着膜の無い切欠部61を形成し、その部分に電磁結合モジュール1を設ける。この電磁結合モジュール1と包装体60のアルミ蒸着膜とによって無線ICデバイスを構成する。電磁結合モジュール1の磁界アンテナは包装体60のアルミ蒸着膜に結合して物品包装体60全体がアンテナの放射体として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁波により非接触でデータ通信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムに適用する無線ICデバイス及び無線ICデバイス用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の管理システムとして、誘導電磁界を発生するリーダ・ライタと物品に付された所定の情報を記憶した無線ICデバイスとで非接触通信し、情報を伝達するRFIDシステムが利用されている。
【0003】
図1はその特許文献1に示されている、ICタグ用アンテナにICタグラベルを装着した非接触ICタグ(無線ICデバイス)の例を示す図である。図1(A)は平面図、図1(B)は(A)のA−A線での拡大断面図である。非接触ICタグ用アンテナは二片の分離したアンテナパターン91,92で形成されている。アンテナパターン91,92は金属薄膜の層からなる。
【0004】
非接触ICタグラベル82のラベル基材82bにはアンテナ101,102が形成され、そこにICチップ85が実装されている。この非接触ICタグラベル82のアンテナ101,102が異方性導電性接着剤84を介してアンテナパターン91,92に接触するように装着されて非接触ICタグ90が形成されている。
【0005】
ラベル基材82b面にはシーラントフィルム83が積層されてICタグラベルの剥離を防止し、最終的にICタグ付き包装体81が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−243918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の非接触ICタグおよびそれを設けた包装体では、次のような問題がある。
(a)アンテナパターンを包装体とは別の工程により形成しているため、アンテナ作製工程が必要になり、工程が長くなることおよび余分な部材が必要なことにより包装体の作製コストが高くなる。
【0008】
(b)十分な放射特性を得るためにはアンテナパターンを大きくする必要があり、小さな物品にICタグを取り付けることができない。
【0009】
(c)物品の基材上にICタグを形成し、その形成面を別のフィルムにより覆っているため、ICタグ形成部の厚みが厚くなる。
【0010】
そこで、この発明の目的は、上述の問題を解消して、包装体の作製コストを低減し、小さな物品にも取り付けられ、タグ形成部の厚みを抑えた無線ICデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、この発明の無線ICデバイスは次のように構成する。
【0012】
(1)無線ICを有する高周波デバイスと、
前記高周波デバイスと直接導通または電磁界結合し、物品の一部であり、放射体として作用する放射電極とを備える無線ICデバイスであって、
前記放射電極は所定の拡がりをもつ導電部を含み、
前記導電部の端縁部に連通する切欠部および前記切欠部の内周端縁に形成されたループ状電極を備え、
前記高周波デバイスは前記切欠部に実装され、当該高周波デバイスは前記ループ状電極と直接導通または電磁界結合することを特徴とする。
【0013】
(2)また、この発明の無線ICデバイスは、無線ICを有する高周波デバイスと、
前記高周波デバイスと直接導通または電磁界結合し、物品の一部であり、放射体として作用する放射電極と、
前記放射電極と電磁界結合するループ状電極とを備える無線ICデバイスであって、
前記放射電極は、所定の拡がりをもつ導電部を含み、
前記導電部の端縁部に連通する切欠部または前記端縁部に連通しない非導電部を備え、
前記ループ状電極は、前記切欠部または前記非導電部の内側に前記導電部に近接するように形成され、
前記高周波デバイスは前記切欠部または前記非導電部に実装され、当該高周波デバイスは前記ループ状電極と直接導通または電磁界結合することを特徴とする。
【0014】
この構成により、例えば図1に示したようなアンテナパターンを物品に形成するための工程や部材が不要になるため、物品に無線ICデバイスを設けることによるコストアップが殆ど無い。
【0015】
また、物品の全体または一部を放射体として利用できるため、小さな物品に取り付けても十分な放射特性が得られる。
【0016】
また、物品の基材上の高周波デバイスを設けた部分の厚みを薄くできるため、高周波デバイス部分のふくらみを抑えることができ、外観を損ねることがない。
【0017】
さらに、電磁結合モジュールを用いることにより、無線ICチップと放射電極とのインピーダンス整合を給電回路基板内で設計できるため、放射電極の形状や材質を限定する必要がなく、どのような物品にも対応することができる。
【0018】
また、高周波デバイスが物品の外形状から突出することなく配置でき、且つ導電部を放射体として効果的に用いることができる。
【0019】
また、高周波デバイスが物品の外形状から突出することなく配置でき、且つ導電部を放射体として効果的に用いることができる。
【0020】
(3)また、この発明の無線ICデバイスは、前記ループ状電極は、当該ループ状電極のループ面が前記放射電極の面内方向となる向きに形成されているものとする。
【0021】
この構成により、高周波デバイスとループ状電極とを容易に整合させることができ、且つループ状電極が放射電極と強く結合するので高利得化が図れる。
【0022】
(4)また、この発明の無線ICデバイスは、前記高周波デバイスの実装部(実装領域の近傍)に、前記高周波デバイスと結合し且つ前記放射電極と絶縁層を介して電磁界結合するループ状電極を備えたものとする。
【0023】
この構成により、高周波デバイスとループ状電極とを容易に整合させることができ、且つループ状電極と放射電極とが直流的に絶縁されるので静電気に対する耐性を高めることができる。
【0024】
(5)前記高周波デバイスの実装部と前記ループ状電極との間に、前記高周波デバイスと前記ループ状電極とを直接導通させる整合回路を備える。
【0025】
この構成により、整合回路を放射電極と高周波デバイスとのインピーダンス整合用インダクタとして利用することができ、無線ICデバイスとしてのインピーダンス整合設計の設計自由度が高まり、その設計も容易になる。
【0026】
(6)前記高周波デバイスは、前記無線ICに直接導通または電磁界結合すると共に外部回路に直接導通または電磁界結合する給電回路基板を備える。
【0027】
(7)前記給電回路基板内に共振回路または整合回路を備える。
【0028】
この構成により、周波数の選択性が高まり、自己共振周波数により無線ICデバイスの動作周波数をほぼ決定することができる。それにともない、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。これにより無線ICデバイスの放射特性を向上させることができる。
【0029】
また、前記給電回路基板内に整合回路を設けることによって、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。
【0030】
(8)前記共振回路の共振周波数は前記放射電極により送受信される信号の周波数に実質的に相当するものとする。
【0031】
これにより放射用電極は単に給電回路部と結合して、必要な利得に応じた大きさを備えていればよく、使用する周波数に応じて放射電極の形状や材質を限定する必要がなく、どのような物品にも対応することができる。
【0032】
(9)前記放射電極は、例えば導電層を含むシートを袋状またはパック状に成型した物品包装体の金属膜層とする。
この構成により、金属膜層を有する物品包装体をそのまま利用でき、且つ物品のほぼ全体が放射体として作用するので、複数の物品が重なっていても、各物品のIDを読み取ることが可能となる。
【0033】
(10)前記放射電極は電子機器内の例えば回路基板に形成された電極パターンとする。
この構成により、電子機器に備える回路基板をそのまま利用でき、且つ高周波デバイスの実装が容易となる。
【0034】
(11)前記放射電極は電子機器内の例えば液晶表示パネル等のコンポーネントの裏面に設けられた金属板とする。
この構成により、電子機器内に設けられるコンポーネントをそのまま利用することができ、大型化・コストアップすることもない。
【0035】
(12)前記高周波デバイスの動作周波数またはそれに近い周波数の共振周波数を有し、前記高周波デバイスと結合する共振導体を備えたものとする。
この構成により、RFIDタグの動作周波数での放射利得が高くなり、RFIDとして優れた特性が得られる。また、共振導体の共振周波数は、プリント配線基板への実装部品の影響を受けないため、設計が容易となる。
【0036】
(13)前記共振導体は前記放射電極の前記切欠部が形成されている端縁部に対して略平行に配置する。
この構成により、共振導体と放射電極との結合が強くなり、高利得特性が得られる。
【0037】
(14)前記共振導体は当該共振電極が近接する前記放射電極の辺と略等しい長さ有するものとする。
この構成により、共振導体と放射電極との結合がより強くなり、高利得特性が得られる。
【0038】
(15)前記高周波デバイスの配置位置の近接部位を略中心として前記共振電極を配置する。
この構成により、共振導体と高周波デバイスとの結合が強くなり、高利得特性が得られる。
【0039】
(16)前記高周波デバイスを複数備え、前記共振電極は各高周波デバイスとそれぞれ結合させる。
この構成により、必要な共振導体の数を削減でき、とプリント配線基板上の占有面積を小さくすることができるので製造コストが削減できる。
【0040】
(17)前記共振電極は、前記放射電極の形成体に対して分離可能に設ける。
この構成により、製造工程ではリーダ・ライタとの通信距離が長く保て、且つ製造後はプリント配線基板のサイズが大きくならず、しかも必要に応じてリーダ・ライタと近接させることによって通信が可能となる。
【0041】
(18)前記共振電極はプリント配線基板の余白部分に形成されたものとする。
この構成によって、プリント配線基板の製造コストが削減できる。
【0042】
(19)前記共振電極を前記無線ICデバイスの搭載先機器の筐体または前記搭載先機器に搭載される他の部品に兼用させる。
この構成により、金属ケースや搭載部品があっても必要な利得を得ることができる。
【発明の効果】
【0043】
この発明によれば、次のような効果を奏する。
例えば図1に示したようなアンテナパターンを物品に形成するための工程や部材が不要になるため、物品に無線ICデバイスを設けることによるコストアップが殆ど無い。
【0044】
また、物品の全体または一部を放射体として利用できるため、小さな物品に取り付けても十分な放射特性が得られる。
【0045】
また、物品の基材上の高周波デバイスを設けた部分の厚みを薄くできるため、高周波デバイス部分のふくらみを抑えることができ、外観を損ねることがない。
【0046】
さらに、電磁結合モジュールを用いることにより、無線ICチップと放射電極とのインピーダンス整合を給電回路基板内で設計できるため、放射電極の形状や材質を限定する必要がなく、どのような物品にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】特許文献1に示されている無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図3】図2に示した物品の要素部分のみについて示す無線ICデバイスの構成図である。
【図4】第2の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図5】図3に示した物品の要素部分のみについて示す無線ICデバイスの構成図である。
【図6】第3の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図7】第4の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図8】同無線ICデバイスの主要部を通る中央断面図および無線ICデバイスの主要部の部分拡大平面図である。
【図9】第5の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図10】第6の実施形態に係る無線ICデバイスに用いる電磁結合モジュール1の外観斜視図である。
【図11】同電磁結合モジュールの給電回路基板の内部の構成を示す分解図である。
【図12】同給電回路基板および金属膜の切欠部を含めた等価回路図である。
【図13】第7の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図14】同無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【図15】第8の実施形態に係る無線ICデバイスの給電回路基板の分解斜視図である。
【図16】同無線ICデバイスの主要部の等価回路図である。
【図17】第9の実施形態に係る無線ICデバイスで用いる電磁結合モジュールの平面図である。
【図18】第10の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図19】第11の実施形態に係る無線ICデバイスの幾つかの構成を示す図である。
【図20】第11の実施形態に係る別の無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図21】第11の実施形態に係るさらに別の無線ICデバイスの幾つかの構成を示す図である。
【図22】第12の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図23】第13の実施形態に係る無線ICデバイスの幾つかの構成を示す図である。
【図24】第14の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【図25】第15の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【図26】第16の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【図27】第17の実施形態に係る無線ICデバイスを備えた携帯電話端末の斜視図および内部の回路基板の主要部の断面図である。
【図28】第18の実施形態に係る無線ICデバイス用部品の構成を示す平面図である。
【図29】第18の実施形態に係る無線ICデバイス用部品を用いた無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【図30】プリント配線基板80上のグランド電極形成領域内で無線ICデバイスの主要部を構成した例を示す図である。
【図31】第19の実施形態に係る無線ICデバイス用部品及びそれを備えた無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【図32】第20の実施形態に係る無線ICデバイス用部品の構成を示す平面図である。
【図33】第20の実施形態に係る無線ICデバイス用部品を備えた無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【図34】第21の実施形態に係る無線ICデバイス用部品113の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
《第1の実施形態》
図2は第1の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の外観斜視図である。物品70は例えば袋入りポテトチップス等の袋入り菓子であり、物品包装体60はアルミ蒸着ラミネートフィルムを袋状に成形した包装体である。
【0049】
この物品包装体60の端縁部に切欠部(アルミ蒸着を行っていない部分)61を形成し、その切欠部61に電磁結合モジュール1を配置している。
【0050】
図3は無線ICデバイスの構成を示す図であり、図2に示した物品70の要素部分のみについて示している。図3において放射電極8は、図2に示した物品包装体60のアルミ蒸着ラミネートフィルムのアルミ蒸着層に相当する。この放射電極8の切欠部(電極非形成部)61の内側にはループ状電極7を形成していて、このループ状電極7と結合するように電磁結合モジュール1を実装している。上記ループ状電極7はアルミ蒸着ラミネートフィルムのアルミニウム蒸着時にパターン化する。あるいはアルミニウム蒸着とは別工程で導体パターンを印刷形成してもよい。
【0051】
図3(B)はループ状電極7を送信用補助放射体として作用させた場合の放射電極8に生じる電磁界分布の例を概略的に示すものである。図中破線は磁界Hのループ、実線は電界Eのループをそれぞれ示している。ループ状電極7は磁界送信用補助放射体として作用し、ループ状電極7によって発生した磁界Hは放射電極8に対して垂直に交わることによって電界Eを誘起し、この電界ループによって磁界ループを誘起し、その連鎖により電磁界分布が広がる。
【0052】
上述の例ではループ状電極7を送信用補助放射体として説明したが、これが受信用補助放射体として作用する場合にも同様に作用して高利得が得られる。
【0053】
このように所定の拡がりをもつ導電部が放射体として作用する物品であれば、それらが多数重なっている場合には上記電界と磁界の誘起は物品間でも連鎖して拡がっていく。そのため、多数の物品が重なっていても(寧ろ重なっている方が)、高利得な無線ICデバイスとして作用する。例えば袋入りポテトチップスの山の一部に対してリーダ・ライタのアンテナを近接させた状態で、その山となっている全ての袋入りポテトチップスのIDを読み取ることができる。
【0054】
なお、図3に示した電磁結合モジュール1は、後述する無線ICチップと、この無線ICチップに接続するとともに外部回路(この例ではループ状電極7及びループ状電極7を介する放射電極8)に結合する給電回路基板とからなる。無線ICチップと給電回路基板は、電気的に導通するように接続しても、電磁界的に結合するようにしても構わない。電磁界結合させる場合は、両者の接続電極間に誘電体薄膜等で容量を形成する。無線ICチップと給電回路基板とを容量で結合させることにより、無線ICチップの静電気による破壊を防ぐことができる。
【0055】
また、給電回路基板を用いる場合には、給電回路基板の2つの電極をループ状電極7の両端に電磁界的に結合させる。また電磁結合モジュール1は単体の無線ICチップに置換してもよい。その場合には、無線ICチップの2つの電極をループ状電極7の両端に直接接続すればよい。いずれの場合でも、ループ状電極7は放射電極8から直流的には分離されているので、この無線ICデバイスは静電気に対する耐性が高いという効果をもつ。
【0056】
また、ループ状電極7は電磁結合モジュール1の入出力端子間を結合するように配置されるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0057】
《第2の実施形態》
図4は第2の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の外観斜視図である。物品71は例えば袋入りの菓子であり、物品包装体60はアルミ蒸着ラミネートフィルムを袋状に成形した包装体である。
【0058】
図2に示した例では物品包装体の端縁部に電磁結合モジュールを配置したが、この図4に示す例では、物品包装体60の端縁部から離れた内部に電磁結合モジュール1を設けている。物品包装体60はアルミ蒸着ラミネートフィルムからなり、その一部でアルミ蒸着を行っていない部分を非導電部62として形成し、その非導電部62の内部で且つ端部に電磁結合モジュール1を配置している。
【0059】
図5は図4に示した電磁結合モジュール1の実装部分の構成を示す図である。図5においてループ状電極7および電磁結合モジュール1の構成については第1の実施形態において図3で示したものと同様である。放射電極8は物品包装体60のアルミ蒸着ラミネートフィルムのアルミ蒸着層に相当するものである。その非導電部62の内部で且つループ状電極7が放射電極8の三辺に近接するようにループ状電極7および電磁結合モジュール1を配置している。
【0060】
このような構成により、ループ状電極7は磁界送信用補助放射体として作用し、放射電極8と結合して、図3に示したものと同様の作用により、放射電極8がアンテナの放射体として作用する。
【0061】
因みに非導電部62の面積をループ状電極7および電磁結合モジュール1の占有面積とほぼ等しくして、その内部にループ状電極7および電磁結合モジュール1を配置した場合には、ループ状電極7の磁界が四辺で放射電極8と結合して放射電極8に誘起される電磁界が打ち消されて利得が低下してしまうので、非導電部62の面積はループ状電極7および電磁結合モジュール1の占有面積より十分に広く、且つループ状電極7の一辺、二辺、または三辺で放射電極8に近接することが重要である。
【0062】
《第3の実施形態》
図6(B)は第3の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の構成を示す図、図6(A)はその無線ICデバイスを備えた物品の外観図である。図6(A)において物品72は、金属平面体63に無線ICデバイスの主要部6を備えたものである。金属平面体63は内部に金属層を含む板状またはシート状の物品もしくは金属板そのものである。
【0063】
無線ICデバイスの主要部6は図6(B)に示すように全体の形状がいわゆるタックインデックス形状をなし、絶縁性シート64の内面には粘着層を備えていて、絶縁性シート64でループ状電極7および電磁結合モジュール1を挟み込んでいる。ループ状電極7および電磁結合モジュール1の構成は図3に示したものと同様である。
【0064】
そして、ループ状電極7が図6(A)に示した金属平面体63の端縁に近接するように丁度タックインデックスを貼り付けるようにして取り付ける。
【0065】
このように導電部の端縁部に切欠きを設けない場合でも、金属平面体63の端縁部に無線ICデバイスの主要部6のループ状電極7を近接させることによって、そのループ状電極7と金属平面体63(放射体として作用する導電部)と結合して金属平面体63がアンテナの放射体として作用する。
【0066】
《第4の実施形態》
第4の実施形態に係る無線ICデバイスについて図7・図8を参照して説明する。第4の実施形態に係る無線ICデバイスはDVD等の金属膜を有する記録媒体に適用したものである。
【0067】
図7はDVDディスクの平面図である。図8(A)は無線ICデバイスの主要部6の形成部を通る中央断面図、図8(B)は無線ICデバイスの主要部6の部分拡大平面図である。但し図8(A)の断面図は厚み方向寸法を誇張して描いている。
【0068】
図7・図8(A)に示すように、DVDディスク73は2枚の円盤状ディスクの貼り合わせからなり、その一方に金属膜65を形成していて、無線ICデバイスの主要部6をその金属膜65の内周端縁の一部に設けている。
【0069】
図8(B)に示すように金属膜65の内周端縁部の一部にCの字型の切欠部66を形成している。この切欠部66はディスクの切欠ではなく金属膜のパターンとしての切欠部である。このCの字型の切欠部による互いに対向する2つの突端に電磁結合モジュール1の2つ端子が向き合うように電磁結合モジュール1を配置している。このCの字型の切欠部の内周端縁をループ状電極として作用させている。
【0070】
《第5の実施形態》
図9は第5の実施形態に係る2つの無線ICデバイスの構成を示す図である。この第5の実施形態は、高周波デバイスの実装部とループ状電極との間に、高周波デバイスとループ状電極とを直接導通させる整合回路を備えたものである。
【0071】
図9(A)において、金属膜65はシート材または板材に形成していて、放射体として作用する。この金属膜65の一部に切欠部66を形成することによって、その切欠部66の内周端縁に沿った部分がループ状電極として作用する。
【0072】
切欠部66の内部にはミアンダ状の電極からなる整合回路67および高周波デバイス(電磁結合モジュールまたは無線ICチップ)の実装部である金属膜部分65a,65bを形成している。
【0073】
このように整合回路67を設けたことにより、金属膜部分65a,65bに無線ICチップを直接実装することもできる。なお、無線ICチップをループ状電極に直接実装した場合は、整合回路67を含むループ状電極により無線ICデバイスの動作周波数を実質的に決定している。
【0074】
図9(B)において、放射電極8には非導電部62を形成していて、その非導電部62の内部で且つループ状電極7が放射電極8の三辺に近接するようにループ状電極7、整合回路67および電磁結合モジュール1を配置している。整合回路67および電磁結合モジュール1の実装部の構成は図9(A)の例と同様である。
【0075】
このような構成により、ループ状電極7は磁界放射体として作用し、放射電極8と結合して、図3に示したものと同様の作用により、放射電極8が放射体として作用する。
【0076】
なお、図9(A)の金属膜65または図9(B)の放射電極8は、例えば携帯電話端末内部の回路基板上に形成したベタ電極であってもよい。
【0077】
《第6の実施形態》
図10は、第6の実施形態に係る、無線ICデバイスに用いる電磁結合モジュール1の外観斜視図である。この電磁結合モジュール1は他の実施形態における各無線ICデバイスに適用できるものである。この電磁結合モジュール1は無線ICチップ5と給電回路基板4とで構成している。給電回路基板4は、放射体として作用する金属膜65と無線ICチップ5との間のインピーダンス整合をとるとともに共振回路として作用する。
【0078】
図11は給電回路基板4の内部の構成を示す分解図である。この給電回路基板4は、それぞれに電極パターンを形成した複数の誘電体層を積層してなる多層基板で構成している。最上層の誘電体層41Aには無線ICチップ実装用ランド35a〜35dを形成している。誘電体層41Bには無線ICチップ実装用ランド35bと導通するキャパシタ電極51を形成している。誘電体層41Cにはキャパシタ電極51との間でキャパシタC1を構成するキャパシタ電極53を形成している。誘電体層41D〜41Hにはインダクタ電極45a,45bをそれぞれ形成している。これらの複数層に亘って形成したインダクタ電極45a,45bは全体として2重のスパイラル状をなし、互いに強く誘導結合するインダクタL1,L2を構成している。また誘電体層41FにはインダクタL1と導通するキャパシタ電極54を形成している。キャパシタ電極54はこの2つのキャパシタ電極53,55の間で挟まれてキャパシタを構成する。また誘電体層41Hにはキャパシタ電極53と導通するキャパシタ電極55を形成している。各誘電体層の電極間はビアホール42a〜42iで導通させている。
【0079】
キャパシタ電極55は図8に示した金属膜65の切欠部に生じる金属膜の端部65bに対向しその間で容量を構成する。またインダクタ電極45a,45bと、それに対向する金属膜部分65aとは電磁界的に結合する。
【0080】
図12は図11に示した給電回路基板および金属膜の切欠部を含めた等価回路図である。図12においてキャパシタC1は図11に示したキャパシタ電極51−53間に生じる容量、キャパシタC2は図11に示したキャパシタ電極54と53,55との間に生じる容量、インダクタL1,L2は図11に示したインダクタ電極45a,45bによるものである。図12に示す金属膜65は、図8に示した切欠部66の内周端縁に沿ったループであり、キャパシタ電極55がその一端65bと容量性結合し、他端65aがインダクタL1,L2と電磁界的に結合することにより、切欠部66の内周端縁に沿ったループがループ状電極として作用する。
【0081】
なお、第4の実施形態では金属膜の切欠部の内周端縁に沿ったループをループ状電極として作用させたが、図3等に示したように切欠部内にループ状電極を形成し、そのループ状電極に対して、無線ICチップ5と給電回路基板4とによる電磁結合モジュール1を実装するように構成してもよい。その場合には上記ループ状電極と金属膜65とが結合して金属膜65が放射体として作用する。
【0082】
給電回路基板4においては、インダクタンス素子L1,L2とその浮遊容量とで構成される共振回路にて共振周波数が決定される。放射電極から放射される信号の周波数は、共振回路の自己共振周波数によって実質的に決まる。
【0083】
給電回路基板4上に前記無線ICチップ5を搭載してなる電磁結合モジュール1は、図示しないリーダ・ライタから放射される高周波信号(例えばUHF周波数帯)を放射電極を介して受信し、給電回路基板4内の共振回路を共振させ、所定の周波数帯の受信信号のみを無線ICチップ5に供給する。一方、この受信信号から所定のエネルギーを取り出し、このエネルギーを駆動源として無線ICチップ5にメモリされている情報を、共振回路にて所定の周波数に整合させた後、放射電極に伝え、該放射電極からリーダ・ライタに送信・転送する。
【0084】
このように、給電回路基板内に共振回路を設けることによって、周波数の選択性が高まり、自己共振周波数により無線ICデバイスの動作周波数をほぼ決定することができる。それにともない、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。また、放射体の形状やサイズを考慮して最適な共振周波数に設定することができ、これにより無線ICデバイスの放射特性を向上させることができる。
【0085】
なお、無線ICチップと給電回路基板の実装用ランドとは電気的に導通させることにより接続してもよいし、絶縁して容量により接続してもよい。
【0086】
また、前記給電回路基板内に整合回路を設けることによって、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。
【0087】
《第7の実施形態》
図13は第5の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の構成を示す斜視図、図14はその拡大部分断面図である。
【0088】
図13において基材10はこの無線ICデバイスを設ける物品の基材であり、例えばアルミ蒸着ラミネートフィルムである。この基材10のアルミ蒸着層には、第1の実施形態で示した切欠部または第2の実施形態で示した非導電部に所定箇所で開放したループ状電極30を形成している。その開放した2つの端部30a,30bの上部に絶縁層を介してインダクタ電極20およびキャパシタ電極25を形成している。インダクタ電極20はスパイラル状であり、後述するように、その内側の端部はキャパシタ電極25に接続している。
【0089】
このインダクタ電極20とキャパシタ電極25の端部には図中の拡大図に示すように無線ICチップ5を搭載している。すなわちインダクタ電極20の端部に無線ICチップ実装用ランド35a、キャパシタ電極25の端部に無線ICチップ実装用ランド35bをそれぞれ形成し、さらに実装用ランド35c,35dを形成して無線ICチップ5を搭載している。
【0090】
図14は図13におけるII−II部分の断面図である。図14に示すように、インダクタ電極20はループ状電極の端部30aに対向している。ワイヤー21は図13に示したインダクタ電極20の内側の端部とキャパシタ電極25とを接続している。
【0091】
このようにインピーダンス整合用および共振周波数調整用のキャパシタおよびインダクタを物品の基材10側に形成して無線ICチップ5を直接実装するようにしてもよい。
【0092】
《第8の実施形態》
図15は第6の実施形態に係る無線ICデバイスの給電回路基板40の分解斜視図である。また図16はその等価回路図である。
【0093】
給電回路基板40は、それぞれに電極パターンを形成した複数の誘電体層を積層してなる多層基板で構成している。最上層の誘電体層41Aには無線ICチップ実装用ランド35a〜35dを形成している。誘電体層41Bには無線ICチップ実装用ランド35bと導通するキャパシタ電極51を形成している。誘電体層41Cにはキャパシタ電極51との間でキャパシタC1を構成するキャパシタ電極53を形成している。誘電体層41D〜41Hにはインダクタ電極45a,45bをそれぞれ形成している。これらの複数層に亘って形成したインダクタ電極45a,45bは全体として2重のスパイラル状をなすインダクタL1を構成している。また誘電体層41FにはインダクタL1と導通するキャパシタ電極54を形成している。キャパシタ電極54はこの2つのキャパシタ電極53,55(56)の間で挟まれてキャパシタを構成する。また誘電体層41Hにはキャパシタ電極53と導通するキャパシタ電極55を形成している。
【0094】
誘電体層41Iにはキャパシタ電極56,57を形成している。キャパシタ電極56はキャパシタ電極53,55と導通している。またキャパシタ電極57はインダクタ電極45a,45bと電磁界的に結合する。
【0095】
誘電体層41J〜41Nにはそれぞれインダクタ電極46,47を形成している。このインダクタ電極46,47によって複数回巻回したループ状電極L2を構成している。各誘電体層の電極間はビアホール42a〜42mで導通させている。
【0096】
すなわちこの給電回路基板40は丁度図11に示した給電回路基板4にループ状電極を含めて構成したものである。したがってこの給電回路基板40に無線ICチップを実装してなる電磁結合モジュールを物品に搭載するだけで無線ICデバイスが構成でき、物品側にはループ状電極を形成する必要がない。
【0097】
図16においてキャパシタC1は図15に示したキャパシタ電極51−53間に生じる容量、キャパシタC2は図15に示したキャパシタ電極54と53,55との間に生じる容量、インダクタL1a,L1bはそれぞれ図15に示したインダクタ電極45a,45bによるものであり、インダクタL2は図15に示したインダクタ電極46,47によるものである。
【0098】
《第9の実施形態》
図17は第7の実施形態に係る無線ICデバイスで用いる電磁結合モジュールの平面図である。図17(A)の例では基板11に電極パターンによりループ状電極12および無線ICチップ実装用ランドを形成していて、無線ICチップ5を実装している。
【0099】
図15に示した例では給電回路基板にループ状電極とともにインピーダンス整合および共振周波数調整用のキャパシタおよびインダクタを形成したが、この図17に示す例では基本的にループ状電極と無線ICチップを一体化したものである。
【0100】
図17(B)の例では、基板11の上面と下面にそれぞれスパイラル状の電極パターンを形成し、基板11を挟むキャパシタ電極をスパイラル状電極パターンの中央部に配置し、そのキャパシタを介して上面の線路と下面の線路とを接続している。すなわち基板11の両面を利用して限られた面積内に経路長およびインダクタンスを稼いでループ状電極12を形成している。
【0101】
図17に示した2つの電磁結合モジュール2,3はいずれも、放射体として作用する物品の金属膜や金属板に近接させ、その放射電極とループ状電極12とを容量性結合させるように配置する。これにより、物品側には特別な回路を形成することなく、第1・第2の実施形態の場合と同様に、物品の金属膜や金属板をアンテナの放射体として利用することができる。
【0102】
《第10の実施形態》
図18は、第10の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す図である。
第1〜第9の実施形態では、導体面が面状に広がる、物品包装体60、金属平面体63、金属膜65等を放射体として作用させたが、第10の実施形態では、面状に広がる導体面から絶縁された、共振器として作用する共振導体を備えたものである。
【0103】
図18(A)は、プリント配線基板上にRFIDタグを構成する場合の、プリント配線基板上の導体パターンの平面図である。また、図18(B)は、そのプリント配線基板上に、無線ICチップと給電回路基板とからなる電磁結合モジュール1を実装して構成した、RFIDタグとして作用する無線ICデバイスの平面図である。
【0104】
プリント配線基板80の上面には、他の回路のグランド電極として用いる金属膜65を形成している。この金属膜65の一部に切欠部(金属膜の非形成部)66を形成し、切欠部66の内部には高周波デバイス(電磁結合モジュールまたは無線ICチップ)の実装部である金属膜部分65a,65bを形成している。
【0105】
図18(B)に示すように、上記金属膜部分65a,65bに高周波デバイス1を実装することによって、切欠部66の内周端縁に沿った部分がループ状電極として作用する。この高周波デバイス1の実装領域が無線ICデバイスの主要部6を構成している。
【0106】
プリント配線基板80の上面には、上記高周波デバイス1と結合する共振導体68を形成している。この共振導体68は、その共振周波数がRFIDタグで用いる周波数またはその付近の周波数となるように、その寸法(特に長さ)を定めている。例えばガラス・エポキシ基板を使用し、動作周波数がUHF帯である場合、両端開放の1/2波長共振器として作用するように、共振導体68の長さを十数cmにするとよい。
【0107】
この共振導体68は、高周波デバイス1と結合するように、その中央部が上記無線ICデバイスの主要部6のループ状電極に近接するように配置している。また、この例では金属膜65の一辺に沿って絶縁状態で配置している。
【0108】
図18(B)において、共振導体68内に表した矢印Jは電流経路、矢印EFは電界分布、矢印MFは磁界分布をそれぞれ代表的に表している。このように共振導体68に流れる電流の強度は中心付近で最大となる。このため共振導体68で発生する磁界は中心付近で最大となり、共振導体68は、切欠部66の内周端縁に沿った部分のループ状電極と強く磁界結合する。
【0109】
共振導体68がRFIDタグの動作周波数近辺で共振している状態では、共振導体68を流れる電流と、共振導体68の両端に発生する電圧は大きくなる。この電流と電圧により発生する磁界と電界によっても、共振導体68は金属膜65と結合する。
【0110】
上記共振導体68で発生する定在波の電圧のピークは共振導体68の端でできる。この例では、共振導体68の長さが、放射体として作用する金属膜65の一辺とほぼ同じ長さであるので、共振導体68と金属膜65とは強く結合する。そのため高い利得が得られる。
以上に述べた作用によって、RFIDタグとして優れた特性が得られる。
【0111】
共振導体68が存在しない場合は、金属膜65でRFIDタグの動作周波数で共振すれば良いが、金属膜65のサイズの制約や、プリント配線基板上への搭載部品により共振周波数はずれる。この実施形態によれば、金属膜65と共振導体68とが離れているため、共振導体68単体で設計でき、搭載部品による共振周波数のずれも生じない。
【0112】
なお、この第10の実施形態では、プリント配線基板に形成する電極パターンとして、グランド電極としての金属膜と共振導体のみを表したが、構成する回路や搭載する電子部品に応じて電極パターンは適宜定まる。このことは以降に示す別の各実施形態についても同様である。
【0113】
このようなプリント配線基板上にRFIDタグを構成し、製造工程履歴などの情報を書き込めば、プリント配線基板への部品実装工程などの管理が可能となる。例えば、電子部品の不具合がロット単位で発覚した場合、そのロットに含まれていた電子部品を搭載したごく少数の電子機器を回収だけで対策が可能となる。また、市場での製品稼働時におけるアフター・サービスやメンテナンスが迅速に行えるようになり、廃棄後に資源としてリサイクルする際の工程が簡単になるといった効果も奏する。
【0114】
また、工程管理が終わった後、プリント配線基板の共振導体68形成部分を切り離してもよい。このことにより、プリント配線基板のサイズを小さくでき、RFIDタグとしての機能を失わず製品のサイズを小さくできる。工程管理時は共振導体68が存在するため、リーダ・ライタの出力レベルを抑えてもデータの読取が可能である。RF信号の出力を抑えることで、制御機器や特性測定機器などの誤動作を抑制することができる。しかも、共振導体68を切り離した後も、金属膜65は放射体として作用するので、リーダ・ライタとの通信可能距離は短くなるものの通信は可能である。
【0115】
一般に製造工程においてプリント配線基板を搬送する際に、プリント配線基板の両脇にレールを配置し、その上を流す場合がある。このときレールに当接する部分の破損を防ぐため、プリント配線基板には最終的に切り離される余白部分が設けられる。この部分に上記共振導体68を形成すれば、プリント配線基板の無駄がなくなる。
【0116】
なお、グランド電極である上記金属膜65はプリント配線基板の複数の層にあってもよい。この場合、各層の上記切欠部66の領域は磁束が抜けるように金属膜の非形成部とする。
【0117】
この実施形態によれば、RFIDタグの動作周波数での放射利得が高くなり、RFIDとして優れた特性が得られる。また、共振導体の共振周波数は、プリント配線基板への実装部品の影響を受けないため、設計が容易となる。
【0118】
《第11の実施形態》
図19〜図21は、第11の実施形態に係る無線ICデバイスの幾つかの構成を示す図である。何れもプリント配線基板上にRFIDタグを構成してなる無線ICデバイスの平面図である。
【0119】
図19(A)(B)の例では、プリント配線基板80の上面に、他の回路のグランド電極として用いる金属膜65を形成している。この金属膜65の一部に切欠部(金属膜の非形成部)を形成し、切欠部の内部に高周波デバイス(電磁結合モジュールまたは無線ICチップ)を実装して、図18に示したものと同様の無線ICデバイスの主要部6を構成している。
【0120】
図18に示した構成と異なるのは、共振導体68の長さが、放射体としての金属膜65の一辺より相対的に短いことである。図19(A)の例では、共振導体68を金属膜65の一辺に沿って形成している。図19(B)の例では、金属膜65の形成領域内にそこから分離されたような位置に共振導体68を形成している。
【0121】
このような関係にあっても、プリント配線基板80および金属膜65の面積が大きくて(長くて)、金属膜65による共振周波数が低い場合に、共振導体68の共振周波数をRFIDの動作周波数近辺にできるため、高い利得が得られる。
【0122】
図20の例では、共振導体68をメアンダライン形状にして、その全体を金属膜65の一辺に沿って配置している。
【0123】
この構成によれば、共振導体68の外形が短くても、共振器長を長くできるので、より低い周波数で共振させる場合に高い利得が得られる。
【0124】
図21の例では、放射体として作用させる金属膜65の一辺より共振導体68が相対的に長い。また、放射体として作用させる金属膜65の一辺の中央からずれた位置に無線ICデバイスの主要部6を構成している。このような場合でも、図21(A)(B)で示すように、共振導体68の中央部が無線ICデバイスの主要部6のループ状電極に近接するように配置すればよい。
【0125】
図21(A)の例では、金属膜65の隣接位置で余白となる部分に他のグランド電極又はその他の回路を構成するための金属膜69を形成している。また、図21(B)の例では、金属膜65の二辺に沿って共振導体68を形成している。
【0126】
このように放射体として作用する金属膜65のパターンが小さい場合でも、必要な共振周波数が得られる長さの共振導体68を備えることによって高い利得が得られる。
【0127】
《第12の実施形態》
図22は、第12の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す図である。
図22において、プリント配線基板80の上面の2つの金属膜65A,65Bにそれぞれ図18に示したものと同様の無線ICデバイスの主要部6を構成している。そして、この2つの無線ICデバイスの主要部6に設けられた高周波デバイスに共に結合する共振導体68を形成している。すなわち1つの共振導体68を2つの高周波デバイスに兼用している。
【0128】
例えば、プリント配線基板80が、金属膜65A形成側と金属膜65B形成側とに、最終的に切り離すことによって、周波数帯の異なった(例えば同じUHF帯であっても、仕向地に応じた規格の周波数の)RFIDタグを構成することができる。
【0129】
放射体として作用する金属膜65の一辺より共振導体68が長い場合には、このように複数の高周波デバイスの共振器として容易に兼用できる。また、兼用する周波数が異なる場合でも、その共振周波数を複数のRFIDタグで用いる周波数に近似する周波数に設定しておけばよい。
【0130】
上記共振導体68を製造工程でのみ用いる場合には、後にプリント配線基板80から分離することになるので、マザーのプリント配線基板に電極パターンの無駄なスペースが生じないので、共振導体68を形成することによるコストアップを避けることができる。
【0131】
《第13の実施形態》
図23は、第13の実施形態に係る無線ICデバイスの幾つかの構成を示す図である。何れもプリント配線基板上にRFIDタグを構成してなる無線ICデバイスの平面図である。
【0132】
図23(A)(B)の例では、プリント配線基板80の上面には、他の回路のグランド電極として用いる金属膜65を形成している。この金属膜65の一部に、図18に示したものと同様の無線ICデバイスの主要部6を構成している。
【0133】
図18に示した構成と異なるのは、共振導体68の中央部付近のみを無線ICデバイスの主要部6のループ状電極に近接配置している。放射体として作用する金属膜65の一辺の長さと共振導体68の長さとの関係によっては、このように共振導体68の両端付近が金属膜65から離れるような形状であってもよい。
【0134】
《第14の実施形態》
図24は、第14の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
図18に示した例と異なるのは、放射体としての金属膜65の二辺に沿って共振導体68A,68Bをそれぞれ配置したことである。
【0135】
一方の共振導体68Aは、図18に示した場合と同様に、無線ICデバイスの主要部6に設けられた高周波デバイスに強く結合する。他方の共振導体68Bは、金属膜65に沿って近接していることにより、金属膜65に分布する電磁界を介して上記高周波デバイスと結合する。いずれの共振導体68A,68Bも、両端開放の1/2波長共振器として作用する。
【0136】
複数の共振導体68は金属膜65の対向する二辺に沿って配置することに限らず、直交関係にある辺に沿ってそれぞれ配置してもよい。
【0137】
《第15の実施形態》
図25は、第15の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
第10〜第14の実施形態では、共振導体をプリント配線基板上に形成したが、第15の実施形態では、共振導体を、無線ICデバイスの搭載先機器の金属ケースや搭載部品等の搭載先導体部品81に兼用させている。
【0138】
このような構成により、無線ICデバイスの搭載先機器の金属ケースや搭載部品等が共振器として作用するので、プリント配線基板上に特に共振導体を形成する必要がなくなり、プリント配線基板80の縮小化が可能となり、低コスト化が図れる。
【0139】
《第16の実施形態》
第16の実施形態は、共振導体を固定しておき、プリント配線基板が工程ラインを流れていく際にリーダ・ライタとの間で通信するようにしたものである。
【0140】
図26は、第16の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す平面図である。図26において、工程ライン設置導体82は、プリント配線基板65が流れる工程ラインに沿って配置している。リーダ・ライタはこの工程ライン設置導体82に比較的近い位置(必ずしも近接位置ではない)に配置している。
【0141】
プリント配線基板80の金属膜65には、図18に示したものと同様の無線ICデバイスの主要部6を構成している。
【0142】
このプリント配線基板80が工程ラインを流れて、無線ICデバイスの主要部6が工程ライン設置導体82に近接した際、工程ライン設置導体82は、RFIDタグの周波数で共振する共振器として作用する。そのため、その状態で上記リーダ・ライタとの間で高利得のもとで通信できる。
【0143】
このような構成及び通信方法によって、プリント配線基板上には共振導体が不要であるので配線可能部分の面積が増える。また、プリント配線基板80が工程ライン設置導体82に近づいたときにのみRFIDタグとして動作させることができるため、特定の位置にあるRFIDタグとのみ通信可能となる。すなわち、通信したくない周囲のRFIDタグとは通信せず、所望のRFIDタグとのみ選択的に通信できる。
【0144】
《第17の実施形態》
図27(A)は無線ICデバイスを備えた携帯電話端末の斜視図、(B)は内部の回路基板の主要部の断面図である。携帯電話端末内の回路基板15には電子部品17,18とともに、無線ICチップ5を搭載した給電回路基板4を実装している。回路基板15の上面には所定面積に広がる電極パターン16を形成している。この電極パターン16は給電回路基板4を介して無線ICチップ5と結合して放射体として作用する。
【0145】
また、その他の例として、図27(A)に示した携帯電話端末の内部のコンポーネント(例えば液晶パネル)の背面に設けられている金属パネルに無線ICデバイスを構成してもよい。すなわち第1〜第7の実施形態で示した無線ICデバイスを適用して上記金属パネルをアンテナの放射体として作用させるようにしてもよい。
【0146】
なお、以上に示した各実施形態以外にも所定の拡がりをもつ導電部を有する物品であれば同様に適用できる。例えばPTP包装(Press Through Package)等、アルミ箔を含む複合フィルムで包装された薬や菓子にも適用できる。
【0147】
《第18の実施形態》
図9(A)に示した例では、放射体として作用する金属膜65をシート材または板材に形成し、この金属膜65の一部に切欠部66を形成することによって、その切欠部66の内周端縁に沿った部分がループ状電極として作用させた。このような構成をプリント配線基板に適用する場合、プリント配線基板に構成される回路によってRFIDタグとしての特性が変動するため、プリント配線基板の設計上の難易度が高まる。第18の実施形態は上記の問題を解消するものである。
【0148】
図28は、第18の実施形態に係る無線ICデバイス用部品の構成を示す平面図である。ガラス・エポキシ基板などのプリント配線基板13に、電磁結合モジュール1を搭載する搭載部、整合回路67、及び線状電極であるループ状電極7を形成している。ループ状電極7の端部は図中Aで示す半田付け用電極部としてプリント配線基板13の一辺の端部にまで引き出している。このようなプリント配線基板13に電磁結合モジュール1を搭載して、無線ICデバイス用部品111を構成する。
【0149】
図29は、第18の実施形態に係る無線ICデバイス用部品を用いた無線ICデバイスの構成を示す平面図である。この図29に示すように、プリント配線基板80のループ状電極を形成しようとする位置に無線ICデバイス用部品111を半田付けする。プリント配線基板80の電極にレジスト膜が被覆されている場合にはリュータなどを使用してレジスト膜を剥がして半田付けできるようにしておく。この状態でRFIDタグとしての読取距離などの特性や、装置に組み込んだときの周囲の配線、筐体などの影響を確認する。
【0150】
特性等の確認の結果から、最適な位置を決めれば、図30に示すように、プリント配線基板80上のグランド電極形成領域内で上記無線ICデバイス用部品111の取り付け位置に近い位置に整合回路67及び電磁結合モジュール1の搭載部を形成し、電磁結合モジュール1を実装する。これにより、プリント配線基板80に無線ICデバイスの主要部6を構成する。
【0151】
《第19の実施形態》
図31は第19の実施形態に係る無線ICデバイス用部品及びそれを備えた無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【0152】
この例では、図31(A)に示すようにプリント配線基板80に、無線ICデバイス用部品111を取り付ける位置に切り抜き部Cを形成し、図31(B)に示すようにそこに無線ICデバイス用部品111を半田付けにより取り付ける。半田付けは電極が接する部分の全体に行う方が良い。
【0153】
この構造によれば、図29に示した例よりも無線ICデバイス用部品111を取り付けた状態が最終の形状に近く、より精度の高い設計が行える。
【0154】
《第20の実施形態》
図32は、第20の実施形態に係る無線ICデバイス用部品の構成を示す平面図、図33はそれを備えた無線ICデバイスの構成を示す平面図である。
【0155】
この例は無線ICデバイス用部品の裏側に半田付け用電極部88を形成し、表面のループ状電極7とスルーホール87などで接続したものである。図33に示すように半田付け用電極部88をプリント配線基板80のグランド電極に半田付けする。
【0156】
このように裏面に半田付け用電極部88を設けることによって、グランド電極の形成位置がプリント配線基板80の端縁にまで広がっていなくてもプリント配線基板80上に容易に実装できる。
【0157】
《第21の実施形態》
図34は、第21の実施形態に係る無線ICデバイス用部品113の構成を示す平面図である。ガラス・エポキシ基板などのプリント配線基板13に、電磁結合モジュール1を搭載する搭載部、整合回路67、及びループ状電極7を形成している。ループ状電極7は図28に示した例と異なり、線状電極の端部同士が導通させてループ状電極を形成している。
【0158】
このようなプリント配線基板13に電磁結合モジュール1を搭載して、無線ICデバイス用部品113を構成する。この無線ICデバイス用部品113を図29または図31に示したものと同様にプリント配線基板に取り付ける。
【0159】
この無線ICデバイス用部品113はループ状電極7が半田付けなどの取り付け状態に影響されないため、インピーダンス等の変動が少なく精度の高い設計が行える。また電子部品として使用した場合、特性のばらつきが小さい。
【0160】
なお、以上の各実施形態では電磁結合モジュールの無線ICには無線ICチップを用いたが、本発明は無線ICチップを用いるものに限らず、例えば有機半導体回路を基板上に形成して無線ICを構成してもよい。
【符号の説明】
【0161】
1,2,3…電磁結合モジュール
4…給電回路基板
5…無線ICチップ
6…無線ICデバイスの主要部
7…ループ状電極
8…放射電極
10…基材
11…基板
12…ループ状電極
13…プリント配線基板
15…回路基板
16…電極パターン
17,18…電子部品
20…インダクタ電極
21…モールド樹脂
25…キャパシタ電極
30…ループ状電極
35a〜35d…無線ICチップ実装用ランド
40…給電回路基板
41A〜41H…誘電体層
42a…ビアホール
45a,45b…インダクタ電極
46,47…インダクタ電極
51…キャパシタ電極
53〜57…キャパシタ電極
60…物品包装体
61…切欠部
62…非導電部
63…金属平面体
64…絶縁性シート
65…金属膜
66…切欠部
67…整合回路
68…共振導体
69…金属膜(グランド導体)
70〜73…物品
80…プリント配線基板
81…搭載先導体部品(共振導体)
82…工程ライン設置導体(共振導体)
111,112,113…無線ICデバイス用部品
C1…キャパシタ
C2…キャパシタ
L1,L2…インダクタ
E…電界
H…磁界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICを有する高周波デバイスと、
前記高周波デバイスと直接導通または電磁界結合し、物品の一部であり、放射体として作用する放射電極とを備える無線ICデバイスであって、
前記放射電極は所定の拡がりをもつ導電部を含み、
前記導電部の端縁部に連通する切欠部および前記切欠部の内周端縁に形成されたループ状電極を備え、
前記高周波デバイスは前記切欠部に実装され、当該高周波デバイスは前記ループ状電極と直接導通または電磁界結合することを特徴とする無線ICデバイス。
【請求項2】
無線ICを有する高周波デバイスと、
前記高周波デバイスと直接導通または電磁界結合し、物品の一部であり、放射体として作用する放射電極と、
前記放射電極と電磁界結合するループ状電極とを備える無線ICデバイスであって、
前記放射電極は、所定の拡がりをもつ導電部を含み、
前記導電部の端縁部に連通する切欠部または前記端縁部に連通しない非導電部を備え、
前記ループ状電極は、前記切欠部または前記非導電部の内側に前記導電部に近接するように形成され、
前記高周波デバイスは前記切欠部または前記非導電部に実装され、当該高周波デバイスは前記ループ状電極と直接導通または電磁界結合することを特徴とする無線ICデバイス。
【請求項3】
前記ループ状電極は、当該ループ状電極のループ面が前記放射電極の面内方向となる向きに形成されている、請求項1または2に記載の無線ICデバイス。
【請求項4】
前記高周波デバイスと結合し、且つ絶縁層を介して前記放射電極と電磁界結合するループ状電極を前記高周波デバイスの実装部に備えた請求項1〜3のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項5】
前記高周波デバイスの実装部と前記ループ状電極との間に、前記高周波デバイスと前記ループ状電極とを直接導通させる整合回路を備えた請求項1〜4のいずれかに記戦の無線ICデバイス
【請求項6】
前記高周波デバイスは、前記無線ICに直接導通または電磁界結合すると共に外部回路に直接導通または電磁界結合する給電回路基板を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項7】
前記給電回路基板内に共振回路または整合回路を備えた請求項6に記載の無線ICデバイス。
【請求項8】
前記共振回路の共振周波数は前記放射電極により送受信される信号の周波数に実質的に相当する請求項7に記載の無線ICデバイス。
【請求項9】
前記放射電極は導電層を含むシートを袋状またはパック状に成型した物品包装体の金属膜層である請求項1〜8のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項10】
前記放射電極は電子機器内の回路基板に形成された電極パターンである請求項1〜8のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項11】
前記放射電極は電子機器内のコンポーネントの裏面に設けられた金属板である請求項1〜8のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項12】
前記高周波デバイスの動作周波数またはそれに近い周波数の共振周波数を有し、前記高周波デバイスと結合する共振導体を備えた請求項1〜11のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項13】
前記共振導体は前記放射電極の前記切欠部が形成されている端縁部に対して略平行に配置されている請求項12に記載の無線ICデバイス。
【請求項14】
前記共振導体は当該共振導体が近接する前記放射電極の辺と略等しい長さ有する請求項12または13に記載の無線ICデバイス。
【請求項15】
前記高周波デバイスの配置位置の近接部位を略中心として前記共振導体を配置した請求項12〜14のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項16】
前記高周波デバイスを複数備え、前記共振導体は各高周波デバイスとそれぞれ結合する、請求項12〜15のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項17】
前記共振導体は、前記放射電極の形成体に対して分離可能に設けられた、請求項12〜16のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項18】
前記共振導体はプリント配線基板の余白部分に形成された、請求項12〜17のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項19】
前記共振導体を前記無線ICデバイスの搭載先機器の筐体または前記搭載先機器に搭載される他の部品に兼用させた、請求項12〜18のいずれかに記載の無線ICデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−42518(P2013−42518A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214601(P2012−214601)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2009−521647(P2009−521647)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】