説明

物干しピンチ

【課題】 本発明は、従来物の欠点を解消した実用性の高い物干し用ピンチを提供し、洗濯物の厚さに関係なく簡単かつ確実に乾燥させることを目的とする。
【解決手段】 本発明は、左右対称の一体に成り所定の巾厚さを有するアーム部2,2を設けた吊り具体1の両アーム部の内側奥部3を真円凹形状に形成するとともにこれにつづく開口部4の内側部4’,4’を逆円内凸形状に形成し、前記両アーム部間の開口部の内側部には外側上部に壁部を残して凹溝部を形成し、この凹溝部の下端部間に支持部9,9と摘み部10,10から成るハの字状に対向するレバー7,7を摘み部側に偏心して枢着し、この枢着部には線状弾機を懸架して前記レバー内部に介装し、前記レバーの支持部の内端部12,12の下端部にはギヤ部13,13を設け、前記吊り具体の中央部に掛止突起14を設けて成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な物干し用ピンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭用に使用されている物干し用のピンチは比較的小型のものを多数使って、大きな洗濯物を干すという方法をとっていたため、利便性に欠けていたことから、例えば次のような技術が公知となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−159090号公報
【特許文献2】特許第4056003号公報
【特許文献3】特開2006−102021号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1は、洗濯物を干すために、第3図に示すように左右の爪材の内端部間に挿入して持ち上げることはできても、その後の吊り掛け状態の維持が専ら弾機に依存するため、弾発力が弱体化すると、干し物の抑止力が喪失して脱落する欠点があるものである。
【0005】
特許文献2は、被吊り下げ物脱着用の左右フックは弾機によって開閉作動するが、このようなフック材では薄物は保持できても厚物の吊り下げには保持力を発揮できない欠点がある。
【0006】
特許文献3は、構造が比較的複雑であるが、薄物は吊り下げ保持ができても、厚物を吊り下げ保持できる構造にはなっていない欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明にあっては、従来物のこれらの欠点を解消した実用性の高い洗濯物干し器を提供し、洗濯物の厚さに関係なく簡単かつ確実に乾燥させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、左右対称の一体に成り所定の巾厚さを有するアーム部を設けた吊り具体の両アーム部の内側奥部を真円凹形状に形成するとともにこれにつづく開口部の内側部を逆円内凸形状に形成し、前記両アーム部間の開口部の内側部には外側上部に壁部を残して凹溝部を形成し、この凹溝部の下端部間に支持部と摘み部から成るハの字状に対向するレバーを摘み部側に偏心して枢着し、この枢着部には線状弾機を懸架して前記レバー内部に介装し、前記レバーの支持部の内端部の下端部にはギヤ部を設け、前記吊り具体の中央部に掛止突起を設けて成るものである。
【発明の効果】
【0009】
第1に、吊り具体の両アーム部によって形成される内側奥部は真円凹形状に成るから、両アーム部の開口部の内側部が逆円内凸形状に成りかつ両レバーの支持部の内端部による加圧抑止力が作用しても、比較的厚い洗濯物の挿入であっても十分広いスペースを有して支持されるようになる。
【0010】
第2に、両レバーの対向角度は開閉作動を円滑に行うことができ、かつその内側部下端部にはギヤ部を設けていることによって洗濯物を摩擦しかつ洗濯物の自重で洗濯物を挟み込む力に変換することができる。
【0011】
第3に、乾燥済みの洗濯物を取り外すときは、摘み部に片手の両指先をかけてこれを押下すれば、簡単に取り去ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】吊り具本体の斜視図
【図2】本体の正面図
【図3】本体の側面図
【図4】本体の平面図
【図5】図3A−A線断面図
【図6】図2B−B線断面図
【図7】物干器全体の状態図
【発明を実施するための形態】
【0013】
いまポールに掛け止めるハンガー体の支杆に任意間隔をおいて掛けてある本吊り具体に、各種の洗濯物を取り付けるときは、比較的薄物の場合は、片手で洗濯物を把持しハの字状に相対して接しているレバー間に挿入すると、レバーは両弾機の弾発力に抗して開口し、洗濯物を挟み合うことになるから、手を離せば両弾機の弾発力の戻りによって両レバーの両支持部の内端部は、挿入された洗濯物を両側面方向から抑止するようになる。
【0014】
また、比較的厚物の場合は、両レバーの上端部間を広く開けるため、レバーの摘み部を2本の指先によって下動して大きく開口するが、このとき支持部は両アーム部の凹溝部に嵌挿する状態になる。したがって、このような開口状態において厚物の上部分を挿入し両アーム部の内側奥部に収容した後、指先を離せば、レバー支持部の下端部のギヤ部が自重で垂れ下がる洗濯物に噛み込むように抑止するから、比較的大きな厚物の洗濯物でも余裕をもって掛け止められるようになる。
【0015】
洗濯物の乾燥後は、レバーの支持部と一体に外方に延びている摘み部に2本の指先を掛けて下動すれば開口するから、直ちに取り去ることができるようになる。
【実施例】
【0016】
1は正面視左右対称の一体に成り、所定の巾厚さを有するアーム部2,2を設けた吊り具体で、この吊り具体の両アーム部2,2の内側奥部3は真円凹形状に成り、この内側奥部につづく下側方の開口部4の内側部4’,4’は逆円内凸形状に成る。
【0017】
5,5は前記吊り具体1の両アーム部2,2間の開口部4の内側部4’,4’に形成した凹溝部で、この凹溝部の容積は回動する後記レバー7,7の上側部が接離する広さに成る。
【0018】
6,6は前記両アーム部2,2の凹溝部5,5の外側上部に形成した壁部で、前記凹溝部はこの壁部を有する構成となる。
【0019】
7,7は前記両アーム部2,2の凹溝部5,5の下端部間に架設した支軸8,8に枢着したレバーで、このレバーの形状は支軸をはさんで支持部9,9と摘み部10,10とに分かれるが、前記枢着部の位置は摘み部10,10寄りにあり、支持部9,9の内端部12,12は不使用時にはハの字状に接している。また、前記支持部9,9の高さと巾厚は前記両アーム部2,2の凹溝部5,5内に接離できる大きさに成るが、摘み部10,10の高さと巾厚は指先が係る大きさに成るため比較的薄厚巾の弯曲形状に成る。
【0020】
11,11は前記両アーム部2,2の凹溝部5,5の端部におけるレバー7,7の偏心した支軸8,8に懸架した線状弾機で、この弾機の上端部を前記凹溝部の壁部6,6に,下端部を支持部9,9の先端部に止着する。
【0021】
12,12は前記レバー支持部9,9の内端部で、この内端部は互いに不使用時にはハの字状に接しているが、その下端部には静止時に噛み合うギヤ部13,13を設けている。
【0022】
14は前記吊り具体1の中央部に設けた掛止突起で、この掛止突起は任意形態に成る後記ハンガー体15の被掛止部18・に係合する。
【0023】
15はハンガー体で、このハンガー体はポールへの架け止め部16とこの架け止め部と一体に構成する水平の支杆部17から成り、この支杆部の被掛止部18・には前記吊り具体1の掛止突起14が挿入し懸架される。
【符号の説明】
【0024】
1 吊り具体
2,2 アーム部
3 内側奥部
4 開口部
4’,4’ 内側部
5,5 凹溝部
6,6 壁部
7,7 レバー
8,8 支軸
9,9 支持部
10,10 摘み部
11,11 線状弾機
12,12 内端部
13,13 ギヤ部
14 掛止突起
15 ハンガー体
16 架け止め部
17 支杆部
18・ 被掛止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右対称の一体に成り所定の巾厚さを有するアーム部を設けた吊り具体の両アーム部の内側奥部を真円凹形状に形成するとともにこれにつづく開口部の内側部を逆円内凸形状に形成し、前記両アーム部間の開口部の内側部には外側上部に壁部を残して凹溝部を形成し、この凹溝部の下端部間に支持部と摘み部から成るハの字状に対向するレバーを摘み部側に偏心して枢着し、この枢着部には線状弾機を懸架して前記レバー内部に介装し、前記レバーの支持部の内端部の下端部にはギヤ部を設け、前記吊り具体の中央部に掛止突起を設けて成ることを特徴とする物干しピンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−125446(P2012−125446A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280328(P2010−280328)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000193977)杉山金属株式会社 (9)