説明

物干し器、及び、物干し器用の被干し物吊下げ部材

【課題】吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳んだ折畳み姿勢における高い収納性は確保しながらも、折畳み姿勢から拡張姿勢への変更操作を行い易くすることのできる物干し器を提供する。
【解決手段】被吊下部に対するフック部が備えられている物干し枠体2が、フック部を被吊下部に吊下げた吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳み操作自在に枢支連結された複数の分割枠体3A、3Bから構成されているとともに、分割枠体3A、3Bの各々には、被干し物を吊下げ支持可能な複数の吊下げ体16が重力任せの動きが可能な状態で掛止されている物干し器であって、物干し枠体3A、3Bの折畳み姿勢において相互の分割枠体3A、3Bの吊下げ体16どうしが絡むのを抑止するように、吊下げ体16の折畳み操作方向への可動範囲を所定範囲に制限する可動範囲制限手段17が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外や屋内において被干し物(例えば、洗濯物など)を干すために使用される物干し器、及び、物干し器用の被干し物吊下げ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物干し器としては、被吊下部(例えば、物干し竿等)に対するフック部が備えられている矩形状等の物干し枠体が、フック部を被吊下部に吊下げた吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳み操作自在に枢支連結された一対の分割枠体から構成されているともに、分割枠体の各々には、被干し物をピンチ等で吊下げ支持可能な複数の吊下げ体が重力任せで吊下げ姿勢において少なくとも上方から下方に亘る180度以上の角度範囲の回動が可能な状態で掛止されたものがある。
【0003】
当該物干し器は、物干し枠体を折畳み操作した折畳み姿勢において、フック部を分割枠体どうしの間に格納することができるため、非常に収納性がよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の物干し器では、物干し枠体を折畳み操作した折畳み姿勢において一方の分割枠体の吊下げ体が重力等で折畳み操作方向に沿って他方の分割枠体の側に回動し、そのことで、相互の前記分割枠体の前記吊下げ体どうしが絡み合って、折畳み姿勢から両分割枠体を開いた拡張姿勢への変更操作が行い難くなる問題があった。
【0005】
本発明は、上述の実情に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳んだ折畳み姿勢における高い収納性は確保しながらも、折畳み姿勢から拡張姿勢への変更操作を行い易くすることのできる物干し器及び物干し器用被干し物吊下げ部材を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、物干し器に係り、その特徴は、
被吊下部に対するフック部が備えられている物干し枠体が、フック部を被吊下部に吊下げた吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳み操作自在に枢支連結された複数の分割枠体から構成されているとともに、前記分割枠体の各々には、被干し物を吊下げ支持可能な複数の吊下げ体が重力任せの動きが可能な状態で掛止されている物干し器であって、
前記物干し枠体の折畳み姿勢において相互の前記分割枠体の前記吊下げ体どうしが絡むのを抑止するように、前記吊下げ体の折畳み操作方向への可動範囲を所定範囲に制限する可動範囲制限手段が設けられている点にある。
【0007】
上記構成によれば、前記可動範囲制限手段によって物干し枠体の折畳み姿勢において一方の分割枠体の吊下げ体が重力等で折畳み操作方向に沿って他方の分割枠体の側に動くのを所定限度に留める形態で相互の分割枠体の吊下げ体どうしが絡むのを効率的に抑止することができる。
【0008】
したがって、吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳んだ折畳み姿勢における高い収納性は確保しながらも、折畳み姿勢から拡張姿勢への変更操作を効果的に行い易くすることができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記可動範囲制限手段を構成するのに、
前記分割枠体と前記吊下げ体の少なくとも一方には、前記分割枠体との掛止部位を支点とする吊下げ体の折畳み操作方向への回動を所定限度で接当規制する接当規制部が一体形成されている点にある。
【0010】
上記構成によれば、簡素且つ生産性の高い構造でもって前記可動範囲制限手段を構成することができるから、相互の分割枠体の吊下げ体どうしが絡むのを一層効率的に抑止することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施に好適な構成であり、その特徴は、
前記分割枠体には、前記吊下げ体用の被掛止孔が形成され、
前記吊下げ体の一端部には、前記分割枠体の前記被掛止孔に対する挿通状態で分割枠体に掛止する環状又は部分環状の掛止部が形成されているとともに、
前記接当規制部が、前記分割枠体との掛止部位を支点として前記吊下げ体が折畳み操作方向の所定限度まで回動したときに前記分割枠体の前記被係止孔の周縁部に接当して吊下げ体の更なる回動を規制するように、吊下げ体の掛止部の外面に突出形成された突片部から構成されている点にある。
【0012】
上記構成によれば、分割枠体の構造はそのままに吊下げ体の掛止部の外面に突片部を突出形成するだけの簡単な構造変更でもって前記可動範囲制限手段を構成することが可能になり、相互の分割枠体の吊下げ体どうしが絡むのをさらに効率的に抑止することができる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、物干し器用の被干し物吊下げ部材に係り、その特徴は、
物干し枠体に形成された被掛止孔に対する挿通状態において重力任せの動きが可能な状態で物干し枠体に掛止可能な環状又は部分環状の枠体掛止部と、被干し物を吊下げ支持可能な吊下げ支持部とが備えられている物干し器用の被干し物吊下げ部材であって、
前記枠体掛止部の外面には、前記物干し枠体との掛止部位を支点とする一方向への回動を前記物干し枠体との接当により所定限度に規制可能な突片部が形成されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、被吊下部に対するフック部を被吊下部に吊下げた吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳み操作自在に枢支連結された複数の分割枠体から構成されている物干し枠体に対し所定姿勢で掛止させることによって、吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳んだ折畳み姿勢における高い収納性は確保しながらも、折畳み姿勢から拡張姿勢への変更操作も行い易い物干し器を効率的に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜2は、屋内外において洗濯物などの被干し物を干すために使用される合成樹脂製の物干し器1を示す。当該物干し器1には、矩形状の物干し枠体2が主要構成として備えられている。当該物干し枠体2は、それの枠部間に亘らせた横架部材7に、被吊下部に対するフック部材4(フック部の一例)を備える接続部材5を所定方向に沿って姿勢変更自在な状態で連結して構成されている。
【0016】
図3に示すように、前記物干し枠体2は、後述する拡張姿勢(物干し姿勢)において上面視による輪郭形状が略長方形状となる形態で構成されている。当該物干し枠体2の枠体長辺部2Aの各々における内側近傍位置には、タオル等の比較的幅広の洗濯物を枠体長片部2Aに架ける時に使用する洗濯物差込空間を枠体長片部2Aとの間に形成する仕切片部2Cが形成されている。なお、2aは、枠体長片部2Aに架けられた洗濯物を枠体長片部2Aとで挟持するクリップ部である。
【0017】
また、物干し枠体2の枠体短片部2B及び前記仕切片部2Cの内周面の所定箇所には、被干し物を脱着自在に吊下げ支持可能な複数の吊下げ体16(被干し物取り付け部材の一例)を取り付けるための取り付け孔2d(被掛止孔の一例)を有する複数の取り付け片2bが突出形成されている。
【0018】
図2、図3に示すように、前記物干し枠体2は、略コの字状の一対の分割枠体3A、3Bの開口端部どうしを一対の連結部材10と横架部材7とで連結することにより、分割枠体3A、3Bの各々が回動軸芯Xa、Xb周りの約90°の範囲で回動する形態で、下方側への屈曲が規制された状態で同一平面上に拡張した拡張姿勢(図2の実線表示)と、横架部材3を挟み込むように上方側に折畳まれた折畳み姿勢(図3の一点鎖線表示)とに姿勢変更自在に構成されている。
【0019】
前記分割枠体3A、3Bの枠体長辺部形成片部3aの端部には、連結部材10の端部を挿入した状態で連結部材10に対して軸芯Xa、Xb周りで回動自在に枢支連結するため連結凹部3dが構成されている。この連結凹部3dには、図4に示すように、連結部材10の両端部に形成された被連結孔部10aに回動自在に軸着する連結ピン部3eが突出形成されている。
【0020】
枠体長辺部形成片部3aどうしの連結構造は、図4に示すように、連結部材10の長手方向端面に形成された第1規制面部10bと枠体長辺部形成片部3aの連結凹部3dの底面3fとの接当により、枠体長辺部形成片部3aが前記拡張姿勢から下方側に回動するのが規制され(図4の実線表示)、且つ、連結部材10の上端面に形成された第2規制面部10cと枠体長辺部形成片部3aの連結凹部3dの底面3fとの接当により、枠体長辺部形成片部3aが前記収納姿勢を構成する閉じ姿勢から上方側に回動するのが規制される(図4の点線表示)ように構成されている。
【0021】
また、図5に示すように、分割枠体3A、3Bの仕切片部形成片部3cの端部には、横架部材7の長手方向両端部に形成した被連結片部7Bに対して軸芯Xa、Xb周りで回動自在に枢支連結するための連結部3gが形成されている。前記連結部3gには、内向きに突出する連結ピン部3hと、その連結ピン部3hの外周面に突出形成した回動範囲規制片3jとが備えられている。
【0022】
前記横架部材7の被連結片部7Bは、図5、図12に示すように、各仕切片部形成片部3cの連結ピン部3hが係入するための一対の被連結孔7aを部材幅方向両外側に有する形態で、横架部材7における基部7Aの長手方向両端部の下方部位の各々に突出形成されている。
【0023】
また、前記被連結片部7Bには、分割枠体3A、3Bの各々が拡張姿勢にあるときに各仕切片部形成片部3cの回動範囲規制片3jと接当して分割枠体3A、3Bの下方側への回動を規制する第1受止片部7b(図5(a)を参照)と、分割枠体3A、3Bの各々が閉じ姿勢にあるときに回動範囲規制片3jと接当して分割枠体3A、3Bの上方側への回動を規制する第2受止片部7c(図5(b)を参照)とが備えられている。
【0024】
前記吊下げ体16は、図6〜図10に示すように、略棒状の吊下げ部材9と、洗濯はさみと呼称されるピンチ8(吊下げ支持部の一例)とから構成されている。
【0025】
当該吊下げ部材9の一端部には、前記分割枠体3A、3Bの取り付け片2bに重力任せの動きが可能な状態で脱着自在に掛止可能な略Cの字フック状(部分環状の一例)の枠体掛止部9aが形成されている。また、吊下げ部材9の他端部には、ピンチ8の付勢リング8aが掛止される環状のピンチ掛止部9bが形成されている。
【0026】
つまり、前記吊下げ体16は、前記分割枠体3A、3Bとの掛止部位(すなわち、分割枠体3A、3Bの取り付け片2bと吊下げ体16の枠体掛止部9aとが掛止する部位)を支点として、重力任せで上下方向に沿って回動可能な状態(図6を参照)で、且つ、重力任せで取り付け片2bの取り付け孔2dの径方向に沿って揺動可能及び摺動可能な状態(図7を参照)で取り付け片2bに掛止可能に構成されている。
【0027】
そして、当該吊下げ体16には、前記物干し枠体2の折畳み姿勢(図8の姿勢)において相互の分割枠体3A、3Bの吊下げ体16どうしが絡むのを抑止するように、吊下げ体16の折畳み操作方向への可動範囲を所定範囲に制限する可動範囲制限手段の一例として、分割枠体3A、3Bとの掛止部位を支点とする吊下げ体16の折畳み操作方向(図6の吊下げ体16では上方、図8における上側の分割枠体3Aの吊下げ体16では下方、図8における下側の分割枠体3Bの吊下げ体16では上方)への回動を所定限度(本例では、分割枠体3A、3Bの各々に対して平行な姿勢となる角度)で接当規制する接当規制部17が一体形成されている。
【0028】
具体的には、前記接当規制部17を構成するのに、分割枠体3A、3Bとの掛止部位を支点として吊下げ体16が折畳み操作方向に所定角度(本例では、約90度)回動した状態で前記取り付け片2bのフック部材4側の外面部2e(取り付け孔2dの周縁部の一例)に接当して吊下げ体16の更なる回動を規制する突片部9dが、吊下げ部材9の枠体掛止部9aの外面に突出形成されている。
【0029】
つまり、この物干し器1では、図7、図8に示すように、前記物干し枠体2の折畳み姿勢において上方側の分割枠体3Aの吊下げ体16が他方の分割枠体3Bの側に回動するのが分割枠体3Aにおける取り付け片2bの外面部2eと吊下げ体16の突片部9dとの接当によって所定限度で規制されるから、物干し枠体2の折畳み姿勢において相互の分割枠体3A、3Bの吊下げ体16どうしが近接状態で絡むこと、並びに、吊下げ体16が分割枠体3A、3B間のフック部材4に絡むことの双方を効果的に抑止することができる。
【0030】
前記突片部9dは、図7に示すように、分割枠体3A、3Bに対する掛止状態で前記取り付け片2bに相対向する側に幅広の扁平な接当面9fが形成されるように、取り付け孔2dの周方向に沿う辺の長さL2が取り付け片2dの径方向に沿う辺の長さL1よりも大なる寸法となる形態で構成されている。
【0031】
なお、図10に示すように、前記物干し枠体2を折畳み姿勢にした状態でも、上方側の分割枠体3Aに掛止された吊下げ体16が分割枠体3Aの吊下げ体取り付け孔2dの径方向に沿って揺動可能及び摺動可能な状態が維持される。9eは、枠体掛止部9aの先端部に突出形成された抜け止め片である。
【0032】
ちなみに、前記横架部材7は、図1〜図3、図11、図12に示すように、それの基部7Aの縦長断面形状が略薄帯状に構成されている。当該基部7Aの長手方向中間部位の下方側には、前記接続部材5を横軸芯X周りで揺動自在に枢支連結するための取り付け部材11を軸着する被取り付け孔7dが貫通形成されている。
【0033】
この被取り付け孔7dの周縁部には、接続部材5を揺動案内するための環状の揺動案内凹部7Dが設けられている。この揺動案内凹部7Dには、接続部材5の揺動範囲を接当規制する第1、第2受止面部7e、7fが備えられている。
【0034】
また、前記基部7Aの長手方向中間部位は、それに隣接する両脇部位よりも縦寸法の大きな断面形状で構成されている。そして、基部7Aの長手方向中間部位の上面部には、横軸芯Xを中心とする弧状の膨出部7gが形成されている。
【0035】
横架部材7の基部7Aにおける接続部材5の揺動方向で間隔を空けた各所定位置には、後述する係止部材12に対する複数の被係止凹部(被係止部の一例)が切欠き形成(一体成形の一例)されており、本例では、接続部材5を図1、図14に示す垂直姿勢に保持するための第1被係止凹部7Eと、接続部材5を図15に示す約45度傾斜した斜め姿勢に保持するための第2係止凹部7Fとが形成されている。
【0036】
前記第1、第2被係止凹部7E、7Fの各々は、横軸芯Xを中心とする弧状膨出部7gに切欠き形成されており、後述する接続部材5の係止部材保持孔5bの下端部に係止部材12が位置するときに、係止部材12と被係止凹部7E、7Fとの係止状態を現出する。なお、横架部材7の基部7Aの下面には、前記吊下げ体16を掛止するための複数の取り付け片7hが形成されている。
【0037】
前記接続部材5の上部には、図11、図13に示すように、前記フック部材4の下端に形成された連結ピン部4cを縦軸芯(接続部材5の中心軸芯)Y周りで回動自在に軸着するための被連結孔部5aが形成されている。
【0038】
また、接続部材5の略下半分の領域は、横架部材7の基部7Aを挿入状態で配置するための挿入空間を対向面間に形成する一対の側片部5A、5Aから構成されている。これら一対の側片部5A、5Aの下部の各々には、挿入空間内に配置した横架部材7の基部7Aに対し取り付け部材11によって横軸芯X周りで揺動自在に枢支連結するための被取り付け孔5cが貫通形成されている。
【0039】
前記取り付け部材11は、図11に示すように、接続部材5の被取り付け孔5cに挿入配置される円筒状部11aと、接続部材5の外面における被取り付け孔5cの周縁部に接当する形態で円筒状部11aの抜け落ちを抑止する一対の環状縁部11bとから構成されている。当該取り付け部材11は、横軸芯X方向から係合する二つの分割部材11A、11Bの係合体から構成されている。
【0040】
前記接続部材5の各側片部5Aの内面における被取り付け孔5cの周縁部には、図13に示すように、横架部材7の揺動案内凹部7Dに嵌り込む揺動案内凸部5eが突出形成されている。当該揺動案内凸部5eには、横架部材7の第1、第2受止面部7e、7fとの接当により接続部材5の揺動範囲を規制する揺動規制片5fが形成されている。
【0041】
前記接続部材5の上下中間部位(詳しくは、一対の側片部5A、5Aの上部の各々)には、係止部材12の横移動を規制する状態で、且つ、係止部材12の係脱操作用の縦移動を所定範囲内で許容する状態で係止部材12を保持する縦長形状の係止部材保持孔5bが貫通形成されている。
【0042】
前記係止部材12は、前述した取り付け部材11と同様の構成であり、図11に示すように、係止部材保持孔5bに挿入配置される円筒状部12aと、接続部材5の外面における係止部材保持孔5bの周縁部に接当する形態で円筒状部12aの抜け落ちを抑止する一対の環状縁部12bとから構成されている。当該係止部材12は、横軸芯X方向から係合する二つの分割部材12A、12Bの係合体をもって構成されている。なお、5dは、物干し器1を使用する時に接続部材5を掴み持つための掴持孔である。
【0043】
つまり、この物干し器1は、接続部材5の係止部材保持孔5bの内部で係止部材12を縦方向に移動することで、係止部材12の円筒状部12aが横架部材7の被係止凹部7E、7Fに係止した係止状態を現出して所定の傾斜角度で接続部材5の姿勢を保持することができる。
【0044】
前記フック部材4には、縦軸芯Y上に位置する第1吊下フック4aと、縦軸芯Yから横方向に位相ズレし、且つ、第1吊下フック4aよりも下方に位相ズレした第2吊下フック4bとが備えられている。
【0045】
前記第1吊下フック4aは、図1に示すように、主として接続部材5を鉛直姿勢にした状態で物干し竿13(被吊下部の一例)に吊り下げる状態で使用する時に用いられる。また、第1吊下フック4aは、図15に示すように、タンス等の引出し14(被吊下部の一例)の上部に引っ掛ける状態で使用する時にも用いられる。
【0046】
前記第2吊下フック4bは、図14に示すように、接続部材5を鉛直姿勢にした状態で内壁面Wよりも室内側に突出配置されたタオルバー15(被吊下部の一例)などに吊り下げる状態で使用する時に用いられる。なお、4dは、物干し器1を使用する時にフック部材4を掴み持つための掴持孔である。
【0047】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、姿勢変更自在な接続部材5を介してフック部材4が物干し枠体2に備えられている場合を例に示したが、姿勢変更不能な一体物の吊下げ部材やチェーン等の吊下げ部材を介してフック部材4が物干し枠体2に備えられていてもよい。
【0048】
(2)前述の実施形態では、一対の吊下フック4a、4bがフック部材4に備えられている場合を例に示したが、1つ又は3つ以上の吊下フックがフック部材4に備えられていてもよい。
【0049】
(3)前述の実施形態では、フック部4a、4bを被吊下げ部に吊下げた吊下げ姿勢で上方となる一対の分割枠体3A、3Bから物干し枠体2が構成されている場合を例に示したが、吊下げ姿勢で上方となる3つ以上の分割枠体から物干し枠体2が構成されていてもよい。
【0050】
(4)前述の実施形態では、重力任せの複数種の動き(回動と揺動と摺動)が可能な状態で吊下げ体16が分割枠体2に掛止されている場合を例に示したが、重力任せの一種の動きが可能な状態で吊下げ体16が分割枠体2に掛止されていてもよい。
【0051】
(5)前述の実施形態では、可動範囲制限手段を構成するのに、吊下げ体16には、分割枠体3A、3Bとの掛止部位を支点とする吊下げ体16の折畳み操作方向への回動を所定限度で接当規制する接当規制部17が形成されている場合を例に示したが、例えば、吊下げ体16の折畳み操作方向への動きを制限するように物干し枠体2の折畳み操作方向側面を被覆するネットや蓋体等の被覆部材から構成されていたりしてもよく、要するに、物干し枠体2の折畳み姿勢において相互の分割枠体3A,3Bの吊下げ体どうしが絡むのを抑止するように吊下げ体16の折畳み操作方向への可動範囲を所定範囲に制限する構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0052】
(6)前述の実施形態では、接当規制部17が吊下げ体16に形成されている場合を例に示したが、接当規制部17が分割枠体3A、3Bに形成されていてもよい。この場合、例えば、図16に示すように、前述の実施形態で示した基本構成において吊下げ体16に接当規制部17を形成(具体的には、一体形成)するのに代え、分割枠体3A、3Bの一部又は全部に片部2f(接当規制部17の一例)を形成(具体的には、一体形成)すればよい。
【0053】
(7)前述の実施形態では、分割枠体3A,3Bに掛止する掛止部9aが部分環状に形成されている場合を例に示したが、掛止部9aが環状に形成されていてもよい。
【0054】
(8)前述の実施形態では、接当規制部17が吊下げ体16と分割枠体3A、3Bの少なくとも一方に突出形成した突片部から構成されている場合を例に示したが、例えば、吊下げ体16と分割枠体3A、3Bの少なくとも一方に切り欠き形成した段部等から構成されていてもよい。
【0055】
(9)前述の実施形態では、物干し器が合成樹脂から構成されている場合を例に示したが、金属や天然樹脂から構成されていてもよく、或いは、合成樹脂、金属、天然樹脂の2種以上から構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】物干し器の側面断面図
【図2】物干し器の正面図
【図3】物干し枠体の説明斜視図
【図4】枠体長辺部の連結機構を示す説明断面図
【図5】仕切片部の連結機構を示す説明断面図(図3のB−B説明断面図)
【図6】拡張姿勢における要部の説明断面図
【図7】拡張姿勢における要部の説明上面図
【図8】折畳み姿勢における物干し器の正面図
【図9】折畳み姿勢における要部の説明断面図
【図10】折り畳み姿勢における要部の説明上面図
【図11】図1のA−A説明断面図
【図12】横架部材の側面図
【図13】接続部材の説明断面図(図11のC−C説明断面図)
【図14】本発明に係る物干し器の使用状態を示す側面図
【図15】本発明に係る物干し器の使用状態を示す側面図
【図16】その他の実施形態における要部の説明断面図
【符号の説明】
【0057】
1 物干し器
2 物干し枠体
2d 被掛止孔
3A、3B 分割枠体
4 フック部
8 吊下げ支持部
9a 枠体掛止部
9d 突片部
16 吊下げ体、被干し物吊下げ部材
17 可動範囲制限手段、接当規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吊下部に対するフック部が備えられている物干し枠体が、フック部を被吊下部に吊下げた吊下げ姿勢で上方となる一方向に折畳み操作自在に枢支連結された複数の分割枠体から構成されているとともに、前記分割枠体の各々には、被干し物を吊下げ支持可能な複数の吊下げ体が重力任せの動きが可能な状態で掛止されている物干し器であって、
前記物干し枠体の折畳み姿勢において相互の前記分割枠体の前記吊下げ体どうしが絡むのを抑止するように、前記吊下げ体の折畳み操作方向への可動範囲を所定範囲に制限する可動範囲制限手段が設けられている物干し器。
【請求項2】
前記可動範囲制限手段を構成するのに、
前記分割枠体と前記吊下げ体の少なくとも一方には、前記分割枠体との掛止部位を支点とする吊下げ体の折畳み操作方向への回動を所定限度で接当規制する接当規制部が一体形成されている請求項1記載の物干し器。
【請求項3】
前記分割枠体には、前記吊下げ体用の被掛止孔が形成され、
前記吊下げ体の一端部には、前記分割枠体の前記被掛止孔に対する挿通状態で分割枠体に掛止する環状又は部分環状の掛止部が形成されているとともに、
前記接当規制部が、前記分割枠体との掛止部位を支点として前記吊下げ体が折畳み操作方向の所定限度まで回動したときに前記分割枠体の前記被係止孔の周縁部に接当して吊下げ体の更なる回動を規制するように、吊下げ体の掛止部の外面に突出形成された突片部から構成されている請求項2記載の物干し器。
【請求項4】
物干し枠体に形成された被掛止孔に対する挿通状態において重力任せの動きが可能な状態で物干し枠体に掛止可能な環状又は部分環状の枠体掛止部と、被干し物を吊下げ支持可能な吊下げ支持部とが備えられている物干し器用の被干し物吊下げ部材であって、
前記枠体掛止部の外面には、前記物干し枠体との掛止部位を支点とする一方向への回動を前記物干し枠体との接当により所定限度に規制可能な突片部が形成されている物干し器用の被干し物吊下げ部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−35868(P2010−35868A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203243(P2008−203243)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)