説明

物干し器

【課題】吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴う連結長さ調節を無段階に確実に行うことができるものでありながら、構造の簡素化とコンパクト化及び製造コストの低廉化を図る。
【解決手段】物干し枠Aの一側部と他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性のある一対の吊下げ紐状体2の中間部が、吊下げ具Bを備えた連結基台3の連結孔に相対移動可能に挿通されているとともに、前記連結基台3には、前記連結孔に挿通された吊下げ紐状体2の挿通経路を屈曲させる経路屈曲手段Cが設けられ、この経路屈曲手段Cで屈曲された前記挿通経路が外部に臨む構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物等の干し物を脱着自在に吊下げ支持する物干し器で、特に、物干し枠を水平又はほぼ水平姿勢に維持したまま、物干し竿や鴨居等に対して係止可能な吊下げフック等の吊下げ具が物干し枠の中心上に位置する鉛直吊下げ状態とそれよりも横方向に偏位した部位に位置する横掛け吊下げ状態とに変更可能な物干し器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物干し器では、矩形状の物干し枠の長辺方向一側部と長辺方向他側部にそれぞれ両端が止着された一対の吊下げチェーンの中間部を吊下げ具を備えた連結基台の連結孔に相対移動可能に挿通するとともに、前記連結基台内には、縦軸芯周りでの回動操作により、連結基台の連結孔に挿通された吊下げチェーンのチェーンリングを連結孔の開口周縁との間で挾持する挾持固定状態と吊下げチェーンのチェーンリングの移動を許容する挾持解除状態とに切り替え可能な挾持固定機構を設けていた(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−135830号公報
【特許文献2】特開2007−143891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の物干し器では、前記吊下げ具を物干し竿の掛止に適した鉛直吊下げ状態又は鴨居や引き出し等の掛止に適した横掛け吊下げ状態に変更する場合、何れの吊下げ状態においても物干し枠を水平又はほぼ水平姿勢に維持するためには、吊下げ状態の変更に伴って連結基台の連結孔から物干し枠のチェーン止着位置までの連結長さを調節する必要があるが、この連結長さ調節を、連結基台の連結孔に対する吊下げチェーンの移動操作によって行うことができる。
【0005】
しかも、特許文献3に示すように、吊下げチェーンをチェーンリングの長さ単位で係止固定する場合に比して、吊下げチェーンの連結長さ調節を無断階的に行うことができ、物干し枠を水平又はほぼ水平姿勢に維持し易い。
【0006】
しかしながら、前記吊下げ具が鉛直吊下げ状態又は横掛け吊下げ状態にある状態では、連結基台の連結孔に対する吊下げチェーンの移動を阻止する必要があるが、従来では、連結基台の連結孔に挿通された吊下げチェーンのチェーンリングを連結孔の開口周縁との間で挾持する挾持固定状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持固定機構を、前記連結基台内に組付ける必要があるため、構造が複雑化、大型化し、且つ、製造コストが高騰化する不都合がある。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴う連結長さ調節を無段階的に確実に行うことができるものでありながら、構造の簡素化とコンパクト化及び製造コストの低廉化を図ることのできる物干し器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による物干し器の第1の特徴構成は、物干し枠の一側部と他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性のある一対の吊下げ紐状体の中間部が、吊下げ具を備えた連結基台の連結孔に相対移動可能に挿通されているとともに、前記連結基台には、前記連結孔に挿通された吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させる経路屈曲手段が設けられ、この経路屈曲手段で屈曲された前記挿通経路が外部に臨む構成にしてある点にある。
【0009】
上記構成によれば、例えば、前記吊下げ具を物干し竿の掛止に適した鉛直吊下げ状態又は鴨居や引き出し等の掛止に適した横掛け吊下げ状態に変更するに際して、この変更に伴って連結基台の連結孔から物干し枠における吊下げ紐状体の止着位置までの連結長さを調節する場合でも、前記経路屈曲手段で屈曲された挿通経路に位置する吊下げ紐状体の挿通部分を連結基台の外部側から操作することができるから、連結基台の連結孔に対する吊下げ紐状体の移動操作が容易となり、吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴う連結長さ調節を連続して簡便に行うことができる。
【0010】
しかも、前記連結基台に設けた経路屈曲手段によって挿通経路が屈曲形成され、且つ、前記連結基台の連結孔に挿通された吊下げ紐状体もこれ自体の可撓性によって前記挿通経路に沿って屈曲するため、この吊下げ紐状体の移動抵抗(引き出し抵抗)が顕著に増大し、連結基台の連結孔から物干し枠における吊下げ紐状体の止着位置までの連結長さを調整後の連結長さに確実に維持することができる。
【0011】
したがって、吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴う連結長さ調節を連結基台の外部側から無段階的に確実、容易に行うことができるものでありながら、吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させる経路屈曲手段を連結基台に設けるだけで済むから、従来の可動式の挾持固定機構を組付ける場合に比して構造の簡素化とコンパクト化及び製造コストの低廉化を図ることができる。
【0012】
本発明による物干し器の第2の特徴構成は、前記連結基台には、前記経路屈曲手段で屈曲された前記挿通経路が外部に臨む下向き開口の開口部が形成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記連結基台に形成された下向き開口の開口部を通して経路屈曲手段で屈曲された前記挿通経路が外部に臨むから、例えば、前記吊下げ具を物干し竿の掛止に適した鉛直吊下げ状態又は鴨居や引き出し等の掛止に適した横掛け吊下げ状態での通常の使用形態では、前記連結基台の開口部を通して挿通経路が視認し難い状態にあり、吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴う連結長さ調節を無段階的に確実、容易に行うことができるようにしながらも、物干し器の外観意匠を高めることができる。
【0014】
本発明による物干し器の第3の特徴構成は、前記経路屈曲手段が、前記吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させる状態で連結基台に一体形成された補強リブから構成されている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記連結基台に設けられる補強リブを利用して吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させる経路屈曲手段を構成するから、この経路屈曲手段を構造面、コスト面で有利に構成することができる。
【0016】
本発明による物干し器の第4の特徴構成は、前記補強リブの一端部が、前記吊下げ紐状体の挿通経路をそれの両連結孔側を結ぶ仮想最短挿通経路よりも長くする状態で該仮想最短挿通経路に対して交差方向から突出形成されている点にある。
【0017】
上記構成によれば、前記補強リブの一端部を仮想最短挿通経路に対して交差方向から突出させることで、前記吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させて移動抵抗が増大するように構成してあるので、吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴って連結長さを調節する際、前記挿通経路に位置する吊下げ紐状体の一部を補強リブの一端部に沿って引き出し操作して、吊下げ紐状体の挿通部分を仮想最短挿通経路に近づけることが可能となり、吊下げ紐状体の移動操作を抵抗の少ない状態で容易に行うことができる。
【0018】
本発明による物干し器の第5の特徴構成は、前記補強リブに、前記吊下げ紐状体の挿通経路をそれの両連結孔側を結ぶ最短挿通経路よりも長くする状態で前記吊下げ紐状体の挿通部分を表裏に通すための切欠き部が形成されている点にある。
【0019】
上記構成によれば、前記吊下げ紐状体の挿通部分を補強リブに形成された切欠き部を経由してそれの表裏に通すことで、前記吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させて移動抵抗が増大するように構成してあるので、吊下げ具の吊下げ状態の変更に伴って連結長さを調節する際、前記挿通経路に位置する吊下げ紐状体の一部を補強リブの切欠き部の脱着用開口を通して引き出し操作することにより、吊下げ紐状体の挿通部分を仮想最短挿通経路に近づけることが可能で、吊下げ紐状体の移動操作を抵抗の少ない状態で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の物干し器の第1実施形態を示す吊下げ具が物干し枠の中心上に位置する鉛直吊下げ状態での全体斜視図
【図2】吊下げ具が物干し枠の中心から横方向に偏位した横掛け吊下げ状態での側面図
【図3】横掛け吊下げ状態での底面図
【図4】吊下げ具の拡大正面図(a)と拡大側面図(b)
【図5】吊下げ具の底面図(a)と水平断面図(b)
【図6】本発明の物干し器の第2実施形態を示す吊下げ具の底面図
【図7】本発明の物干し器の第3実施形態を示す吊下げ具の底面図
【図8】本発明の物干し器の第4実施形態を示す吊下げ具の底面図
【図9】本発明の物干し器の第5実施形態を示す吊下げ具の水平断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
図1〜図5に示す洗濯物用の物干し器は、矩形環状の物干し枠Aを構成する平面視コの字状又は略コの字状の一対の物干し枠体1の基端部が、水平面に沿って一直線状に連続する展開姿勢と上下方向に沿って互いに対面する状態で折畳んだ折畳み姿勢とに物干し枠Aの短辺方向となる水平な揺動軸芯X周りで揺動切り替え自在に枢支連結されているとともに、前記物干し枠Aの長辺方向一側部と長辺方向他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性の左右一対の吊下げ紐状体の一例である吊下げワイヤ2の中間部が、物干し竿や鴨居等の被係止部に対して係止可能な吊下げ具Bを備えた合成樹脂製の連結基台3の連結孔4に相対移動可能に挿通されている。
【0022】
図1、図3に示すように、前記各物干し枠体1の長辺方向に沿う一対の長辺枠体部1Aのうち、両物干し枠体1の内側空間を揺動軸芯Xに対して直交する方向(物干し器の長辺方向)で略三等分する二箇所に亘って、物干し枠Aの短辺方向に沿う姿勢の横杆5が、それの両端部に嵌合された合成樹脂製の連結部材6を介してビス止め固定されている。
【0023】
前記各物干し枠体1の両長辺枠体部1Aとこれらの一端側において一体的に連続形成される短辺枠体部1Bとで形成される略U字状の内側面に一体形成された第1補強フランジ7の複数箇所、及び、前記各横杆5の揺動軸芯X側の一側面に一体形成された第2補強フランジ8の複数箇所には、洗濯物等の干し物を脱着自在に吊下げ支持するための複数のピンチ9が取付けられているとともに、前記各物干し枠体1における両横杆5で区画された二つの第1・第2区画空間S1,S2は、両物干し枠体1を揺動軸芯X周りで上下方向に沿う折畳み姿勢に切替えたとき、垂下姿勢にあるピンチ9が入り込む第1・第2格納空間に構成されている。
【0024】
前記吊下げワイヤ2の両端側に閉ループ状に結節された取付け端部2Aは、各物干し枠体1の第1補強フランジ7のうち、揺動軸芯Xから最も離間する横杆5の近傍箇所に形成した取付け孔12に取付けリング13を介して止着されている。
【0025】
前記吊下げ具Bは、図4に示すように、物干し竿等に掛止可能な主フック部15と、鴨居や椅子の背凭れ部等に掛止可能で、掛止方向が主フック部15とは逆向きとなる掛止幅の広い副フック部16と、主フック部15の開口を閉止する揺動開閉操作可能な脱落防止用の閉止体17とから構成されている。
【0026】
前記閉止体17には、主フック部15を把持した手指で開閉操作可能な操作レバー18が一体形成されているとともに、前記副フック部16が、主フック部15に枢着するための枢支ピン19の軸芯周りでの揺動操作により、横外方に突出する掛止姿勢とそれの先端が主フック部15の背面に入り込み状態で接当又は近接する格納姿勢とに揺動切替自在に構成されている。
【0027】
前記連結基台3は、両物干し枠体1の揺動軸芯X方向視において略凹状に形成され、且つ、上面視においては前記揺動軸芯X方向が長辺方向となる矩形状に形成された基台本体3Aの短辺側の一対の側壁部3aに、前記主フック部15の下端側の嵌合軸部を上下軸芯周りで回転自在に嵌合連結してある可動連結部材3Bを両物干し枠体1の揺動軸芯Xと直交する横軸芯周りで揺動自在に枢支連結して構成されている。
【0028】
前記連結基台3の基台本体3Aの下面には、図5に示すように、下方に向って開口する開口部21が形成されているとともに、前記基台本体3Aの長辺側の一対の側壁部3aで、且つ、前記主フック部15の揺動軸芯方向に所定間隔をおいた二箇所には、図1、図4に示すように、各吊下げワイヤ2の中間部をコの字状に挿通するための連結孔4が貫通形成されている。
【0029】
前記連結基台3の基台本体3Aには、図5に示すように、前記両連結孔4に挿通された吊下げワイヤ2の挿通経路Wを屈曲させて、吊下げワイヤ2の移動抵抗(引き出し抵抗)を増大させる経路屈曲手段Cが設けられている。
【0030】
前記経路屈曲手段Cを構成するに、前記基台本体3Aの内面における各連結孔4の近傍箇所に、各対をなす連結孔4から基台本体3A内に挿通された吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分を基台本体3Aの長辺方向に沿って導入案内する短尺板状の第1補強リブ22を一体形成するとともに、前記基台本体3Aの長辺方向で対をなす前記第1補強リブ22間の中央位置には、挿通経路W長さが各対の両第1補強リブ22の先端を結ぶ仮想最短挿通経路W1の長さよりも長くなる状態で前記仮想最短挿通経路W1に対して直交方向(交差方向)から一端部が突出形成される長尺板状の第2補強リブ23が一体形成され、各対をなす連結孔4から基台本体3A内に挿通された吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分の挿通経路W全体がM字状に屈曲(蛇行)形成されている。
【0031】
当該実施形態においては、前記第2補強リブ23の一端部(一端面)が、一方の対をなす両第1補強リブ22の先端にわたって掛け渡された一方の吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分をV字状に屈曲させる状態で当該挿通ワイヤ部分の中央位置に当接し、前記第2補強リブ23の他端部(他端面)が、他方の対をなす両第1補強リブ22の先端にわたって掛け渡された他方の吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分をV字状に屈曲させる状態で当該挿通ワイヤ部分の中央位置に当接するように構成されている。
【0032】
そして、例えば、前記物干し枠Aを水平又はほぼ水平に維持したまま、前記吊下げ具Bの主フック部15を物干し竿の掛止に適した物干し枠Aの中心又は略中心上に位置する鉛直吊下げ状態、又は、前記吊下げ具Bの副フック部16を鴨居や引き出し、椅子の背凭れ等の掛止に適した物干し枠Aの中心から短辺方向の一端側に偏倚した横掛け吊下げ状態に変更するに際して、この変更に伴って連結基台3の連結孔4から物干し枠Aにおける吊下げワイヤ2の止着位置(取付け孔12)までの連結長さを調節する場合でも、前記経路屈曲手段CでM字状に屈曲された挿通経路Wに位置する吊下げワイヤ2の挿通部分に対して、前記連結基台6の下面に形成された開口部21を通して自由に緩み操作や繰り出し操作等の相対移動のための補助操作を行うことができるから、連結基台6の各対をなす連結孔4に挿通された各吊下げワイヤ2の移動操作が容易となり、吊下げ具Bの吊下げ状態の変更(吊下げ位置、吊下げ姿勢の変更)に伴う連結長さ調節を連続して簡便に行うことができる。
【0033】
しかも、前記連結基台3に設けた経路屈曲手段Cによって挿通経路WがM字状に屈曲形成され、且つ、前記連結基台3の連結孔4に挿通された吊下げワイヤ2もこれ自体の可撓性によって前記挿通経路Wに沿って屈曲するため、この吊下げワイヤ2の移動抵抗(引き出し抵抗)が顕著に増大し、連結基台3の両連結孔4から物干し枠Aにおける吊下げワイヤ2の止着位置(取付け孔12)までの連結長さを調整後の連結長さに確実、強力に維持することができる。
【0034】
さらに、前記連結基台3に設けられる第1・第2補強リブ22,23を利用して吊下げワイヤ2の挿通経路WをM字状に屈曲させる経路屈曲手段Cを構成するから、この経路屈曲手段Cを構造面、コスト面で有利に構成することができる。
特に、前記第2補強リブ23の各端部が、仮想最短挿通経路W1に対して直行方向から突出して、前記吊下げワイヤ2の挿通経路Wをそれの両連結孔4側を結ぶ仮想最短挿通経路W1よりも長くする、換言すれば、両第1補強リブ22の先端にわたって掛け渡された他方の吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分をV字状に屈曲させることによって、吊下げワイヤ2の移動抵抗が増大するように構成してあるから、前記挿通経路Wに位置する吊下げワイヤ2の一部を第2補強リブ23の端部(端面)に沿って引き出し操作して、吊下げワイヤ2の挿通部分を仮想最短挿通経路W1に近づけることにより、吊下げワイヤ2の移動操作を抵抗の少ない状態で容易に行うことができる。
【0035】
尚、前記吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分(挿通部分)とは、一方の連結孔4を入った部位から他方の連結孔4を出る部位までの間の部分を意味する。
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、吊下げ紐状体の一例である吊下げワイヤ2をそのまま使用したが、図6に示すように、前記吊下げワイヤ2に、柔軟性を有する透明又は不透明な合成樹脂製の保護チューブ(保護管)11を装着してもよい。
【0036】
この実施形態の場合、前記連結基台3の連結孔4の周縁部分及び第1補強リブ22の端部と接触する保護チューブ11の接触部分が径方向内方に弾性変形するため、この箇所での移動抵抗が更に増加し、連結基台3の各連結孔4から物干し枠Aにおける吊下げワイヤ2の止着位置(取付け孔12)までの連結長さを調整後の連結長さに確実、強力に維持することができる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0037】
〔第3実施形態〕
図7は、前記基台本体3Aの各対をなす連結孔4に挿通された吊下げワイヤ2の挿通経路Wを屈曲させる前記経路屈曲手段Cの別実施形態を示し、前記基台本体3Aの内面で、且つ、前記基台本体3Aの短辺方向で対をなす前記両連結孔4間の中央位置には、挿通経路W長さが各対の両連結孔4を結ぶ仮想最短挿通経路W1の長さよりも長くなる状態で前記仮想最短挿通経W1に対して直交方向(交差方向)に突出形成される側端面24aを備えた第3補強リブ24が一体形成されているとともに、前記吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分に接触する第3補強リブ24の側端面24aが弧状面に形成され、前記両連結孔4から基台本体3A内に挿通された吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分の挿通経路W全体がΩ状に屈曲(蛇行)形成されている。
【0038】
また、この第3実施形態では、前記基台本体3Aの長辺側の一対の側壁部3aの二箇所に貫通形成された連結孔4のうち、基台本体3Aの短辺方向で相対向する両連結孔4にわたって、前記物干し枠Aの長辺方向一側部と長辺方向他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性の左右一対の吊下げワイヤ2の中間部が挿通されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0039】
〔第4実施形態〕
図8は、前記基台本体3Aの長辺側の一対の側壁部3aの二箇所に貫通形成された連結孔4のうち、基台本体3Aの短辺方向で相対向する両連結孔4にわたって、前記物干し枠Aの長辺方向一側部と長辺方向他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性の左右一対の吊下げワイヤ2の中間部が挿通されている物干し器において、前記基台本体3Aの両連結孔4に挿通された吊下げワイヤ2の挿通経路Wを屈曲させる前記経路屈曲手段Cの別実施形態を示し、前記基台本体3Aの内面で、且つ、前記基台本体3Aの短辺方向で対をなす前記両連結孔4の近傍位置にわたって、挿通経路W長さが各対の両連結孔4を結ぶ仮想最短挿通経路W1の長さよりも長くなる状態で前記吊下げワイヤ2の挿通部分を表裏に通すための二つの切欠き部25aを備えた板状の第4補強リブ25が一体形成され、前記両連結孔4から基台本体3A内に挿通された吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分の挿通経路W全体が凸状又はクランク状に屈曲(蛇行)形成されている。
【0040】
また、前記切欠き部25aの開口方向が、基台本体3Aの下面に形成された開口部21と同じ下方向きに構成され、前記切欠き部25aに挿通されている吊下げワイヤ2の挿通部分を下方側に抜き出し操作可能に構成されている。
【0041】
そして、前記吊下げワイヤ2の挿通部分を第4補強リブ25に形成された二つの切欠き部25aを経由してそれの表裏に通すことで、前記吊下げワイヤ2の挿通経路Wを屈曲させて移動抵抗を増大するように構成してあるので、吊下げ具Bの吊下げ状態の変更に伴って吊下げワイヤ2の連結長さを調節する際、前記挿通経路Wに位置する吊下げワイヤ2の挿通部分を第4補強リブ25の切欠き部25aに沿って抜き出し操作して、吊下げワイヤ2の挿通部分を仮想最短挿通経路W1に近づけることにより、吊下げワイヤ2の移動操作を抵抗の少ない状態で容易に行うことができる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0042】
〔第5実施形態〕
図9は、前記基台本体3Aの長辺側の一対の側壁部3aの二箇所に貫通形成された連結孔4のうち、基台本体3Aの短辺方向で相対向する両連結孔4にわたって、前記物干し枠Aの長辺方向一側部と長辺方向他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性の左右一対の吊下げワイヤ2の中間部が挿通されている物干し器において、前記基台本体3Aの両連結孔4に挿通された吊下げワイヤ2の挿通経路Wを屈曲させる前記経路屈曲手段Cの別実施形態を示し、前記基台本体3Aの外面のうち、台本体3Aの短辺方向で相対向する両連結孔4間に位置する平面視においてコの字を呈する外面部分3bを吊下げワイヤ2の屈曲ガイド面とすることにより、吊下げワイヤ2の挿通経路W長さを両連結孔4を結ぶ仮想最短挿通経路W1の長さよりも長くなる状態で吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分の挿通経路W全体が略Ω状に屈曲(蛇行)形成されている。
【0043】
この第5実施形態の場合、前記吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分(挿通部分)とは、前記基台本体3Aの内側から一方の連結孔4に入り、基台本体3Aの外面部分3bを経由して外側から他方の連結孔4を出るまでの中間部分となり、吊下げワイヤ2の挿通ワイヤ部分の挿通経路W全体が凸状又はクランク状に屈曲(蛇行)形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0044】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、前記吊下げ紐状体2の一例として吊下げワイヤを例に挙げて説明したが、可撓性(柔軟性)のある合成樹脂製の紐やチューブ等を用いてもよい。
【0045】
(2)上述の実施形態では、前記物干し枠Aを揺動自在な一対の物干し枠体1から構成したが、この物干し枠Aを環状に一体形成してもよい。
【0046】
(3)上述の第1実施形態では、前記連結基台3の下面に下方に開口する開口部21を形成したが、横方向の一箇所又は二箇所に開口する開口部を形成してもよく、さらに、下方と横方向に開口する複数の開口部を形成してもよい。
【0047】
(4)上述の第4実施形態において、前記基台本体3Aの内面で、且つ、前記基台本体3Aの短辺方向で対をなす前記両連結孔4の近傍位置にわたって一体形成した第4補強リブ25に、吊下げワイヤ2の挿通部分を表裏に通すための二つの切欠き部25aを形成したが、この切欠き部25aに代えて挿通孔を形成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
A 物干し枠
B 吊下げ具
C 経路屈曲手段
W 挿通経路
2 吊下げ紐状体(吊下げワイヤ)
3 連結基台
4 連結孔
21 開口部
22 補強リブ(第1補強リブ)
23 補強リブ(第2補強リブ)
24 補強リブ(第3補強リブ)
25 補強リブ(第4補強リブ)
25a 切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し枠の一側部と他側部にそれぞれ両端が止着された可撓性のある一対の吊下げ紐状体の中間部が、吊下げ具を備えた連結基台の連結孔に相対移動可能に挿通されているとともに、前記連結基台には、前記連結孔に挿通された吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させる経路屈曲手段が設けられ、この経路屈曲手段で屈曲された前記挿通経路が外部に臨む構成にしてある物干し器。
【請求項2】
前記連結基台には、前記経路屈曲手段で屈曲された前記挿通経路が外部に臨む下向き開口の開口部が形成されている請求項1記載の物干し器。
【請求項3】
前記経路屈曲手段が、前記吊下げ紐状体の挿通経路を屈曲させる状態で連結基台に一体形成された補強リブから構成されている請求項1又は2記載の物干し器。
【請求項4】
前記補強リブの一端部が、前記吊下げ紐状体の挿通経路をそれの両連結孔側を結ぶ仮想最短挿通経路よりも長くする状態で該仮想最短挿通経路に対して交差方向から突出形成されている請求項3記載の物干し器。
【請求項5】
前記補強リブには、前記吊下げ紐状体の挿通経路をそれの両連結孔側を結ぶ仮想最短挿通経路よりも長くする状態で前記吊下げ紐状体の挿通部分を表裏に通すための切欠き部が形成されている請求項3記載の物干し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−65696(P2012−65696A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210553(P2010−210553)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)