説明

物流容器管理システムにおけるサーバ装置、情報提供方法、及び情報提供処理プログラム

【課題】各事業者が、物流容器に関する情報を、他の事業者に知られることなく迅速に把握することが可能とした物流容器管理システム。
【解決手段】物流経路上に存在する複数の各拠点端末PT1〜が、当該拠点に存在する物流容器の識別情報Tを、サーバ装置SAに送信し、サーバ装置では受信した情報に基づき、物流容器の所在を管理するサーバ装置であって、互いに異なる複数のコミュニティ毎に、各コミュニティに所属する複数の拠点の情報、及びユーザの情報を登録するデータベースと、ネットワーク設備NWを介してアクセスしてきた端末装置UT1〜のユーザの認証処理を行う認証手段と、データベースを参照して、認証されたユーザが所属するコミュニティを特定する手段と、物流容器に関する情報のうち、特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を端末装置に対して提供する提供手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流経路上に存在する複数の拠点の夫々に設置された各拠点端末が、当該拠点に存在する物流容器の識別情報を、ネットワーク設備を介してサーバ装置に送信し、当該サーバ装置では受信した情報に基づき、前記物流容器の所在を管理する物流容器管理システム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パレット(物流容器の一例)の上に商品などの荷物・貨物を搭載し、当該パレットをその上に搭載されている荷物・貨物と共に、出荷拠点(例えば、製造業者の工場)から、複数の拠点(例えば、物流業者、卸売業者の倉庫)を経て、受け荷主(例えば、小売業者の店舗)へと搬送する形態の物流が知られている。
【0003】
このようなパレットは、例えば、出荷拠点にあたる事業者により作製され、上記物流において利用された後は、当該事業者により回収されて再利用される。また、近年では、パレットのリース業者が、出荷拠点にあたる事業者に対してパレットを貸し出し、上記物流において利用された後は、回収して別の事業者に再び貸し出すといった形態も知られている。
【0004】
このようなパレットの所在を管理するに当たり、特許文献1には、IDタグ、コンピュータシステムを用いて、パレットの所在を出荷者と入荷者の端末を用いて両社で出荷、入荷が確認しあいながら運用できるようにしたパレット管理方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−149230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パレットが複数の事業者間に亘って移動する物流において、各事業者は、自己の拠点に存在するパレットに関する情報を、他の一部の事業者に知られたくない場合があり、上記のような従来のパレット管理方法では、かかる場合を想定したパレット管理を行うことは困難である。特に、パレットの所在管理と共に、各拠点において当該パレットやこれに搭載された荷物・貨物に関して発生した業務イベント等を管理できるようにした場合に、その業務イベント等の情報を、他の事業者に知られることは問題である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題等に鑑みて為されたもので、各事業者が、自己の拠点における物流容器に関する情報を、他の事業者に知られることなく迅速に把握することが可能とした物流容器管理システムにおけるサーバ装置、情報提供方法、及び情報提供処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、物流経路上に存在する複数の拠点の夫々に設置された各拠点端末が、当該拠点に存在する物流容器の識別情報を、ネットワーク設備を介してサーバ装置に送信し、当該サーバ装置では受信した情報に基づき、前記物流容器の所在を管理する物流容器管理システムにおける前記サーバ装置であって、互いに異なる複数のコミュニティ毎に、各コミュニティに所属する複数の前記拠点の情報、及び当該各コミュニティに所属するユーザの情報を登録するデータベースと、ネットワーク設備を介してアクセスしてきた端末装置のユーザの認証処理を行う認証手段と、前記データベースを参照して、前記認証されたユーザが所属するコミュニティを特定するコミュニティ特定手段と、前記物流容器に関する情報のうち、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供する提供手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、サーバ装置が端末装置のユーザの認証処理を行い、前記認証されたユーザが所属するコミュニティを特定し、前記物流容器に関する情報のうち、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供するように構成したので、物流容器が複数の事業者間に亘って移動する物流において、各事業者(ユーザ)は、上記端末装置により、自己の拠点における物流容器に関する情報を他の一部の事業者(ユーザ)に知られることなく迅速に把握することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサーバ装置において、前記拠点端末は、前記拠点に存在する物流容器の識別情報と共に、当該拠点において発生した業務イベントを示す業務イベント情報を前記サーバ装置に送信するものであって、前記提供手段は、前記特定されたコミュニティに所属する拠点において発生した業務イベントを示す業務イベント情報と当該業務イベントに関わる物流容器の情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、拠点に存在する物流容器の識別情報と共に当該拠点において発生した業務イベントを示す業務イベント情報を前記サーバ装置に送信するので、サーバ装置において物品容器の所在と共に当該拠点で発生した業務イベントを管理することができ、上記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報として、業務イベントと当該業務イベントに関わる物流容器の情報を端末装置に対して効果的に提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のサーバ装置において、前記提供手段は、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に存在している前記物流容器の在庫数量を示す情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、上記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報として、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に存在している前記物流容器の在庫数量を示す情報を効果的に提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載のサーバ装置において、前記データベースの登録は、一つの拠点が前記複数のコミュニティに所属することを許容することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載のサーバ装置において、前記データベースの登録は、一人のユーザが前記複数のコミュニティに所属することを許容することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載のサーバ装置において、各前記拠点には前記コミュニティに所属する適用期間が付与されており、前記提供手段は、前記特定されたコミュニティに所属し、且つ前記適用期間内にある拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、コミュニティに所属する適用期間外になった拠点に関する情報を提供するのを回避することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載のサーバ装置において、前記データベースには、更に、予め定められた回転対象拠点グループに所属する複数の拠点の情報が登録されており、前記サーバ装置は、特定の前記物流容器が出ていった拠点と入ってきた拠点とが同じ回転対象拠点グループに所属している場合に、当該物流容器が出ていってから入ってくるまでの日数を計算する日数計算手段を更に備え、前記提供手段は、前記物流容器が出ていった拠点と入ってきた拠点とが前記特定されたコミュニティに所属する場合には、前記計算された日数を示す情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ある拠点から出庫した物流容器が、最終的に異なる拠点に辿り着いた場合であっても、その間の移動日数をその物流容器の回転日数として計算し提供することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のサーバ装置において、前記提供手段は、前記計算された日数が同一である物流容器の在庫数量を示す情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ユーザが、より把握しやすいかたちで、物流容器の回転日数を提供することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載のサーバ装置において、前記物流容器には、互いに異なる複数の識別情報が付与され、且つ、前記複数の識別情報には、一つの管理情報が対応付けられて管理されており、前記サーバ装置は、前記拠点端末から受信された前記物流容器の識別情報に対応付けられた管理情報が、同一の前記拠点端末から既に受信された前記物流容器の識別情報に対応付けられた管理情報と同一である場合には、何れか一つの前記識別情報を取得し、他の前記識別情報を破棄する破棄手段を更に備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、1つの物流容器に互いに異なる複数の識別情報が付与された場合であっても、当該物流容器の情報を効率良く管理することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9の何れか一項に記載のサーバ装置において、前記拠点端末は、前記拠点に存在する物流容器の識別情報と共に、当該物流容器に搭載された物品に関する物品情報を前記サーバ装置に送信するものであって、前記サーバ装置は、前記受信された前記物流容器の識別情報と前記物品情報を対応付けて登録する登録手段と、ネットワーク設備を介してアクセスしてきた端末装置のユーザにより指定された物品情報を、当該端末装置から受信する指定情報受信手段と、を更に備え、前記提供手段は、前記端末装置から受信された物品情報を検索条件として、前記物流容器に関する情報を検索し、当該検索された情報を前記端末装置に提供することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、物流容器に搭載された物品に関する物品情報から、該当する物流容器の情報を検索することができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載のサーバ装置において、前記物流容器の識別情報は、前記物流容器に取り付けられたRFIDタグに記憶されており、当該識別情報は、前記拠点に設置されたRFIDリーダにより前記RFIDタグから非接触で読み取られ前記拠点端末に出力されることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、より効率良く物流容器から識別情報を取得して管理することができる。
【0027】
請求項12に記載の情報提供処理プログラムの発明は、コンピュータを、請求項1乃至11の何れか一項に記載のサーバ装置として機能させることを特徴とする。
【0028】
請求項13に記載の発明は、物流経路上に存在する複数の拠点の夫々に設置された各拠点端末が、当該拠点に存在する物流容器の識別情報を、ネットワーク設備を介してサーバ装置に送信し、当該サーバ装置では受信した情報に基づき、前記物流容器の所在を管理する物流容器管理システムにおける情報提供方法であって、互いに異なる複数のコミュニティ毎に、各コミュニティに所属する複数の前記拠点の情報、及び当該各コミュニティに所属するユーザの情報をデータベースに登録するステップと、ネットワーク設備を介してアクセスしてきた端末装置のユーザの認証処理を行うステップと、前記データベースを参照して、前記認証されたユーザが所属するコミュニティを特定するステップと、前記物流容器に関する情報のうち、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、サーバ装置が端末装置のユーザの認証処理を行い、前記認証されたユーザが所属するコミュニティを特定し、前記物流容器に関する情報のうち、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供するように構成したので、物流容器が複数の事業者間に亘って移動する物流において、各事業者(ユーザ)は、上記端末装置により、自己の拠点における物流容器に関する情報を他の一部の事業者(ユーザ)に知られることなく迅速に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、物流管理システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0031】
先ず、本実施形態に係る物流管理システムの構成及び機能について、図1等を参照して説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る物流管理システムの概要構成の一例を示す図である。
【0033】
図1に示すように、物流管理システムSは、RFID(Radio Frequency Identification)リーダライタR/W1〜R/W5、拠点端末PT1〜PT5、管理サーバSA(サーバ装置の一例)、及びユーザ端末UT1〜UT5(端末装置の一例)等を備えて構成されている。なお、図1の例では、説明の便宜上、RFIDリーダライタ、拠点端末、及びユーザ端末は、夫々5つずつ示しているが実際にはこれより多く設けられる。また、ユーザ端末UT1〜UT5は、例えば各事業者の従業員等に使用される。
【0034】
図1において、RFIDリーダライタR/W1及び拠点端末PT1は製造業者の工場(拠点K1)に、RFIDリーダライタR/W2及び拠点端末PT2は製造業者の倉庫(拠点K2)に、RFIDリーダライタR/W3及び拠点端末PT3は物流業者の倉庫(拠点K3)に、RFIDリーダライタR/W4及び拠点端末PT4は卸売業者の倉庫(拠点K4)に、RFIDリーダライタR/W5及び拠点端末PT5は小売業者の倉庫(拠点K5)に、夫々設置されている。つまり、リーダライタR/W1〜R/W5及び拠点端末PT1〜PT5は、夫々、物流経路上に存在する拠点に設置される。なお、各RFIDリーダライタR/W1には、夫々、識別情報であるRWIDが割り当てられ記憶されている。
【0035】
物流経路上では、図1に示すように、商品などの物品Bが搭載されたパレット(物流容器の一例)Pが各拠点K1〜K5間を搬送されるようになっている。当該パレットPは、本システムS内で繰り返し利用されるRTI(Returnable Transfer Item)の一例である(RTIとしては、パレットの他にも、折りたたみコンテナ、ダンボールなどが挙げられる)。また、パレットPには、RFIDタグTが取り付けられている。当該RFIDタグTは、メモリとして機能するICチップ、及び情報送受信用のアンテナ等から構成されており、このICチップには、当該パレットPの識別情報であるタグIDが記憶されている。なお、図1の例では、説明の便宜上、一つのパレットPのみを示しているが、実際には多くのパレットが存在しており、タグIDは、各パレットに割り当てられる識別情報であり、パレット毎に異なっている。また、RFIDタグTが破損や、タグIDの読み取りミス等により1つのRFIDタグTでは個体を識別できない場合を考慮して、一つのパレットPに複数のRFIDタグTが異なる位置に取り付けられる場合があり、この場合、これらのRFIDタグTに記憶されるタグIDは互いに異なる(つまり、一つのパレットPには、互いに異なる複数のタグIDが付与される)。
【0036】
そして、パレットPのタグIDは、各拠点1〜5に設置されている各RFIDリーダライタR/W1〜R/W5によりRFIDタグTから非接触(電波による通信)で読み取られ、当該タグID及びRWIDが通信ケーブルを介して各拠点端末PT1〜PT5に出力されるようになっている。
【0037】
各拠点端末PT1〜PT5は、例えばパーソナルコンピュータからなり、インターネット等のネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに接続し、当該管理サーバSAに対して、RFIDリーダライタR/W1〜R/W5から取得したパレットPのタグID及びRWIDを含む拠点情報を、ネットワーク設備NWを介して送信するようになっている。
【0038】
ここで、上記拠点情報には、パレットPのタグID及びRWIDの他、当該拠点の識別情報である拠点ID(各拠点に割り当てられる識別情報であり、拠点毎に異なり、予め拠点端末PT1〜PT5に記憶)、当該拠点において作業を行った作業者の識別情報である作業者ID、当該拠点において発生した(拠点で起きた)業務イベントを示す業務イベント情報(例えば、業務イベントを表す文字列や、イベントID(各業務イベントに予め割り当てられる識別情報であり、当該業務イベント毎に異なる))、及び当該業務イベントの発生日時等の情報が含まれる。
【0039】
上記業務イベントとしては、パレットPの入庫、出庫、洗浄、汚れ、破損、及び破棄の他、当該パレットPに搭載された商品への伝票紐付け及び伝票紐付け解除等が挙げられる。夫々の業務イベントを示す業務イベント情報は、例えば、予め各拠点端末PT1〜PT5の記憶部に記憶されており、これらの業務イベントの中から、例えば、作業者により指定(拠点端末PT1の操作部を通じて指定)された業務イベントを示す業務イベント情報が上記拠点情報に含まれて送信されることになる。また、上記業務イベント発生日時は、例えば、上記作業者が業務イベントを指定した日時である。
【0040】
更に、各拠点端末PT1〜PT5は、作業者による指示により、パレットPのタグID等と共に、当該パレットPに搭載された物品Bに関する(紐づく)物品情報(例えば、商品の伝票番号や商品の名称、数量などの商品情報)を上記拠点情報に含めて管理サーバSAに送信することが可能になっている。当該物品情報は、例えば物品Bに付されたバーコードやQRコード等がリーダにより読み取られることで各拠点端末PT1〜PT5に入力される。或いは、当該物品情報は、作業者によりキーボード等の入力手段から入力されることで各拠点端末PT1〜PT5に入力される。
【0041】
管理サーバSAは、例えば1又は複数のサーバコンピュータからなり、これに搭載されるCPU(本発明における認証手段、コミュニティ特定手段、及び提供手段等の一例)が所定のプログラム(本発明の情報提供処理プログラムを含む)を実行することにより、互いに異なる複数のコミュニティ毎に、各コミュニティに所属する複数の拠点の情報(各拠点端末PT1〜PT5から受信した拠点情報を含む)、及び当該各コミュニティに所属するユーザの情報をデータベースDBに登録して管理するようになっており、さらに、ネットワーク設備NWを介してアクセスしてきたユーザ端末(例えばパーソナルコンピュータからなる)UT1〜UT5のユーザの認証処理を行い、認証されたユーザのユーザ端末UT1〜UT5に対してデータベースDBに登録された情報を提供可能になっている。
【0042】
ここで、コミュニティとは、本システムS内で定義されるアクセスグループを意味し、各コミュニティには、ユーザ及び拠点が紐付けられる。かかるコミュニティを管理することによって、コミュニティ単位でユーザ毎に業務イベントの閲覧権限を制限でき、複数のユーザがシステム利用を可能とし、各ユーザが必要とする拠点情報のみを提供可能としている。
【0043】
図2は、コミュニティとユーザと拠点との関係の一例を示す概念図である。このようなコミュニティとユーザと拠点との関係は、例えばシステム管理者により登録されるようになっている。
【0044】
図2の例では、コミュニティXとコミュニティYの2つが示されており、コミュニティXには、ユーザU1〜U3と拠点K1〜K3が所属し、コミュニティYには、ユーザU3〜U5と拠点K3〜K5が所属している。この場合、例えば、コミュニティXに所属するユーザU1は、データベースDBに登録されているパレットPに関する情報のうち、コミュニティXに所属する拠点K1〜K3に制限された情報(例えば、拠点K1〜K3から受信された拠点情報や、拠点K1〜K3に存在しているパレットPの在庫数量を示す情報等)のみをユーザ端末UT1上で閲覧できることになる。言い換えれば、ユーザU1は、コミュニティXに所属しない拠点K4及びK5から得られる情報は、一切閲覧できない。
【0045】
また、図2に示すユーザU3のように、一人のユーザが複数のコミュニティに所属することを可能(つまり、データベースDBの登録は一人のユーザが複数のコミュニティに所属することを許容)としており、これにより、物流形態に合った適切なコミュニティを形成することが可能となる。また、図2に示す拠点K3のように、一つの拠点が複数のコミュニティに所属することを可能(一つの拠点が複数のコミュニティに所属することを許容)としている。これにより、一つの拠点で発生する業務イベントは、複数のコミュニティから参照可能としている。
【0046】
また、ある拠点がある時点で、あるコミュニティに登録された場合、登録後(所属後)に当該拠点において発生した業務イベントを閲覧可能とし、登録前に当該拠点において発生した業務イベントは閲覧できないようになっている。また、ある拠点がある時点で、あるコミュニティから削除された場合、その時点までに当該拠点において発生した業務イベントを閲覧可能とし、削除後に当該拠点において発生した業務イベントは閲覧できないようになっている。また、ある拠点がある時点で、あるコミュニティから削除され、その後同じコミュニティに登録された場合、当該拠点がコミュニティに所属していた期間内に当該拠点において発生した業務イベントのみが閲覧可能になっている。
【0047】
更に、各拠点に対してはコミュニティに所属する適用期間が付与されており、当該コミュニティに所属する適用期間内に当該拠点において発生した業務イベントのみが閲覧可能になっている。なお、各コミュニティに対しても適用期間が付与されている。
【0048】
図3は、コミュニティと拠点とユーザとの関係等を規定するためのデータベースDBにおけるテーブル構成例を示す図である。
【0049】
図3において、コミュニティアクセスコントロールリスト(以下、「コミュニティアクセスリスト」という)51は、コミュニティとユーザとを紐付けるためのテーブルであり、当該コミュニティアクセスリスト51には、コミュニティの識別情報であるコミュニティID(各コミュニティに割り当てられる識別情報であり、コミュニティ毎に異なる)と、ユーザの識別情報であるユーザID(各ユーザに割り当てられる識別情報であり、ユーザ毎に異なる)とが紐付けられて登録されている。
【0050】
コミュニティマップ52は、コミュニティと拠点とを紐付けるためのテーブルであり、当該コミュニティマップ52には、コミュニティIDと、仮想コミュニティIDと、拠点IDとが紐付けられて登録されている。
【0051】
ここで、コミュニティIDは、新たなコミュニティが登録される際に作成、割り当てられ、当該コミュニティが存続する間、同じ値である。新たなコミュニティが作成されたときに、コミュニティIDとは別の仮想コミュニティIDが初期値として振られる。また、仮想コミュニティIDは、コミュニティに所属する拠点の変更毎に新たに作成される。例えば、コミュニティXに拠点K1〜K3が所属している場合における当該コミュニティXの仮想コミュニティIDが「001」とすると、その後に、コミュニティXから拠点3が削除(つまり、コミュニティXの内容が変更)される際に新たに仮想コミュニティID「002」が作成され、当該コミュニティXに割り当てられる。つまり、コミュニティIDに紐付けられる仮想コミュニティIDは、コミュニティの内容が変更される度に増えていくことになる。
【0052】
イベントアクセスコントロールリスト(以下、「イベントアクセスリスト」という)53は、コミュニティと、拠点で発生した業務イベントとを紐付けるためのテーブルであり、当該イベントアクセスリスト53には、仮想コミュニティIDと、発生した業務イベントの識別情報であるトランザクションID(発生した業務イベント毎に割り当てられる識別情報であり、当該業務イベント毎に異なる)とが紐付けられて登録されている。
【0053】
ここで、トランザクションIDは、拠点端末PT1等からネットワーク設備NWを介して拠点情報が管理サーバSAにより受信される度に、当該受信された拠点情報に含まれる業務イベント情報に対して割り当てられ、当該拠点情報に含まれる拠点IDに紐付けられた最新の仮想コミュニティIDに紐付けられてイベントアクセスリスト53に登録される。
【0054】
ところで、トランザクションIDにコミュニティIDでなく、仮想コミュニティIDを紐付けるようにしたのは、過去に発生した業務イベント情報をコミュニティIDをキーとして照会(検索)すると、現在適用されていない(所属していない)拠点で過去に発生した業務イベントまでも閲覧可能になってしまうためである。従って、仮想コミュニティIDは、照会実行時の業務イベントのアクセス権ということになり、これにより、業務イベントのアクセス権限が管理される。
【0055】
なお、管理サーバSAにより受信された拠点情報は、上記トランザクションIDが付与されてデータベースDBにイベントデータとして登録される。これにより、パレットPやこれに搭載された物品Bの所在が管理されることになる。
【0056】
また、上記データベースDBには、上記テーブルの他にも、コミュニティマスタ、ユーザマスタ、拠点マスタ、イベントマスタ、RTIマスタ、オブジェクトマスタ、タグマスタ、及び回転対象拠点グループマスタ等のテーブルが格納されている。コミュニティマスタには、コミュニティID、コミュニティの名称及び登録日時等が対応付けられて登録される。また、ユーザマスタには、ユーザID、ユーザの名称、パスワード、メールアドレス、及び登録日時等が対応付けられて登録される。また、拠点マスタには、拠点ID、拠点の名称、拠点区分、及び郵便番号等が対応付けられて登録される。また、イベントマスタには、イベントID、業務イベントの名称、及び登録日時等が対応付けられて登録される。
【0057】
次に、以上のように構成された物流管理システムSの動作例について、図4等を参照して説明する。
【0058】
(1.業務フィルタリング)
先ず、本システムSで定義された業務イベントの分類、保存、イベント通知を行う業務フィルタリング機能について説明する。
【0059】
図4は、管理サーバSAにおける業務フィルタリング機能に関する処理を示すフローチャートである。
【0060】
例えば、拠点1において、パレットPに取り付けられたRFIDタグTから、RFIDリーダライタR/W1によりタグIDが読み取られ拠点端末PT1に送信されると、拠点端末PT1は、上記読み取られたタグID、そのときの業務イベントを示す業務イベント情報(例えば、イベントID)、RWID、拠点ID、作業者ID、及び当該業務イベントの発生日時等の情報を含む拠点情報を、ネットワーク設備NWを通じて管理サーバSAに送信する。なお、業務イベントが商品への伝票紐付けである場合、作業者の指示により入力された伝票番号が上記拠点情報に含められて管理サーバSAに送信される。
【0061】
そして、当該拠点情報が管理サーバSAにより受信されると、図4に示す処理が開始され、先ず、ステップS1では、管理サーバSAは、イベント重複チェックを行う。このイベント重複チェックは、一定時間内に同一のRFIDリーダライタから同一の業務イベント情報を受信しているか否かをチェックする機能である。
【0062】
このイベント重複チェックでは、先ず、上記受信された拠点情報内にタグIDが存在するか否かが確認され、タグIDが存在しない場合は、重複無しと判断される。一方、タグIDが存在する場合は、上記受信された拠点情報内のRWIDにより排他制御が行われ、同時に同一のRFIDリーダライタからの業務イベント情報を含む拠点情報の登録処理が行われないようにされる。
【0063】
次いで、指定時間内に生イベントテーブルに登録された拠点情報が存在するかがRWIDとイベントIDをキーに検索され、登録済の拠点情報が存在しない場合は、重複無しと判断される。この生イベントテーブルは、上記受信された拠点情報に含まれる業務イベント情報を格納するテーブルであり、このフィールドには、トランザクションIDを主キーに持ち、イベントID、拠点ID、RWID、XMLデータなどの項目を持つ。
【0064】
一方、登録済の拠点情報が存在する場合は、上記受信された拠点情報内のタグIDが、生イベントテーブル内に存在するかが確認され、一つでも当該タグIDが存在する場合は、重複イベントであるとして上記受信された拠点情報が破棄され、当該タグIDが存在しない場合は、上記受信された拠点情報に含まれる業務イベント情報に対して固有のトランザクションIDが割り当てられ、当該トランザクションID、当該拠点情報、及び当該拠点情報の受信日時が対応付けられて生イベントテーブルに登録され、ステップS2に進む。
【0065】
ステップS2では、管理サーバSAは、タグIDの重複チェックを行う。タグIDの重複チェックは、一つのパレットPに複数のRFIDタグTが取り付けられる場合を想定し、複数のタグIDが読み取られても、対象となる一つのパレットPを識別する機能である。この機能は、パレットPの情報を持つRTIマスタと、タグIDの情報を持つタグマスタとが、オブジェクトマスタを介して紐付けられることで実現される。
【0066】
図5は、RTIマスタとタグマスタとがオブジェクトマスタを介して紐付けられている状態を示す概念図である。
【0067】
図5の例では、パレットPに3つのRFIDタグT1〜3が取り付けられており、RFIDタグT1には、タグID「1234」が、RFIDタグT2には、タグID「1235」が、RFIDタグT3には、タグID「1236」が、夫々記憶されている。そして、タグマスタにより、夫々のタグIDには、一つのオブジェクトID(管理情報の一例)「A001」が対応付けられて管理されている。
【0068】
さて、タグIDの重複チェックでは、先ず、上記受信され生イベントテーブルに登録された拠点情報に含まれるタグIDに紐付くオブジェクトIDがタグマスタから取得される。次いで、取得されたオブジェクトIDがnullである場合(当該パレットPが未登録の場合)は、不正イベントデータにタグIDが設定される。一方、取得されたオブジェクトIDがnullでない場合は、今まで取得されたオブジェクトIDと比較され、双方のオブジェクトIDが一致した場合は、上記受信され生イベントテーブルに登録された拠点情報が破棄される。つまり、上記受信されたパレットPのタグIDに対応付けられたオブジェクトIDが、同一の拠点端末から既に受信されたパレットPのタグIDに対応付けられたオブジェクトIDと同一である場合には、何れか一つのタグIDを含む拠点情報を取得し、他のタグIDを含む拠点情報が破棄(例えば、後から受信されたパレットPのタグIDを含む拠点情報が破棄)される(業務イベント情報の重複登録防止)。
【0069】
一方、双方のオブジェクトIDが一致しなかった場合は、ステッテS3に進む。
【0070】
ステップS3では、管理サーバSAは、イベントデータ登録処理を行う。このイベントデータ登録処理では、先ず、上記受信され生イベントテーブルに登録された拠点情報に含まれる拠点IDに対応付けられ、且つ、当該拠点情報に含まれる業務イベントの発生日時が適用範囲(適用開始日時≦発生日時≦適用終了日時)内にある仮想コミュニティIDがコミュニティマップから取得され、当該取得された仮想コミュニティIDと、当該拠点情報に含まれる業務イベント情報に対して割り当てられたトランザクションIDとが対応付けられてイベントアクセスリストに登録される。次いで、上記タグIDをキーとして、タグマスタ→オブジェクトマスタ→RTIマスタからRTI−IDが取得される。そして、上記取得されたオブジェクトID及びRTI−IDと、上記受信され生イベントテーブルに登録された拠点情報及びこれに割り当てられた上記トランザクションID並びに当該拠点情報の受信日時と、が対応付けられたイベントデータに変換され、これがデータベースDBに登録(イベントデータテーブルに登録)され、ステップS4に進む。
【0071】
ステップS4では、管理サーバSAは、RTI種別毎の総数情報登録処理を行う。このRTI種別毎の総数情報登録処理では、上記取得されたRTI−IDをキーとして取得されたRTI種別IDに対応するRTI種別の総数情報がイベント履歴情報としてデータベースDBに登録(イベント履歴情報テーブルに登録)され、ステップS5に進む。これは、RTI種別毎の在庫数量が照会される際に使用される。
【0072】
ステップS5では、管理サーバSAは、上記ステップS3で登録されたイベントデータに含まれる業務イベント情報に応じた処理を行う。
【0073】
例えば、業務イベント情報が入庫(又は出庫)を示す場合、メッセージ・キューに入庫(又は出庫)イベント通知がなされ、入庫イベント(又は出庫イベント)が呼び出されて、例えば、後述する回転日数データ登録処理が行われる。
【0074】
また、例えば、上記業務イベント情報が商品への伝票紐付け(設定)を示す場合、メッセージ・キューに伝票紐付けイベント通知がなされ、伝票紐付けイベントが呼び出されて、上記拠点情報に含まれる伝票番号(属性値)、オブジェクトID、イベントID、伝票紐付け設定拠点の拠点ID、伝票紐付け設定日時、及び伝票紐付け設定時のトランザクションID等が対応付けられた属性履歴データに変換され、これがデータベースDBに登録される。なお、上記業務イベント情報が商品への伝票紐付け解除を示す場合、メッセージ・キューに伝票紐付け解除イベント通知がなされ、伝票紐付け解除イベントが呼び出されて、伝票番号、オブジェクトID、及びイベントIDに対応する属性履歴データに、伝票紐付け解除拠点の拠点ID、伝票紐付け解除日時、及び伝票紐付け解除時のトランザクションIDが格納される。
【0075】
(2.登録情報の照会)
次に、データベースDBに登録された登録情報の照会機能について説明する。
【0076】
図6は、ユーザ端末UT3と管理サーバSAとの間の情報のやり取り、及び管理サーバSAにおける登録情報の照会機能に関する処理を示すシーケンス図である。
【0077】
図6において、ユーザ端末UT3のユーザU3が例えばブラウザにより所定のURLを指定すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAにアクセスしログイン要求(ユーザID及びパスワードを含む)を行う(ステップS11)。
【0078】
管理サーバSAは、上記アクセスしてきたユーザ端末UT3からの上記ログイン要求に応じ、当該ユーザ端末UT3のユーザU3の認証処理を行い(ステップS12)、認証された場合(当該ユーザU3のユーザID及びパスワードがデータベースDBにおけるユーザマスタに登録されている場合)、当該ログインに係るセッションを保持し(ステップS13)、ステップS14に進む。一方、認証されなかった場合、管理サーバSAは、エラーメッセージをユーザ端末UT3に送信し、処理を終了する。
【0079】
ステップS14では、管理サーバSAは、上記ログインした(認証された)ユーザU3のユーザIDに紐付けられたコミュニティIDをコミュニティアクセスリストから抽出(つまり、当該ユーザU3が所属するコミュニティが特定される)し、抽出したコミュニティIDに対応するコミュニティ名をコミュニティマスタ(又はコミュニティマスタに紐付けられたコミュニティ言語マスタ(日本語、英語等の言語毎にコミュニティ名を記述))から取得する。そして、管理サーバSAは、そのコミュニティ名のリスト(コミュニティIDを含む)及び検索初期画面データを、ネットワーク設備NWを介してユーザ端末UT3に送信する(ステップS15)。当該コミュニティ名のリスト及び検索初期画面データを受信したユーザ端末UT3は、これを記憶し、ブラウザによりディスプレイ上に検索初期画面を表示する(ステップS16)。そして、当該検索初期画面上でユーザU3がユーザ端末UT3の操作部を操作して、コミュニティ一覧表示ボタンを指定(例えば、マウスでクリック)すると、上記受信されたリストに含まれるコミュニティ名が選択可能にプルダウン表示される。
【0080】
図7は、コミュニティ名のリストがプルダウン表示された検索初期画面の一例を示す図である。図7に示す検索初期画面のコミュニティリスト欄60には、ユーザU3が所属するコミュニティXとコミュニティYの名称が選択可能に表示されている。なお、この例は、図2に示すコミュニティとユーザとの関係に基づくものであり、仮に、ユーザU1がユーザ端末UT1上に検索初期画面を表示させた場合には、コミュニティリスト欄には、コミュニティXの名称のみが表示されることになる。
【0081】
このような表示状態において、ユーザU3が、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、何れかのコミュニティ名(例えば、コミュニティX)を選択(プルダウン表示された全てのコミュニティを選択することも可能)すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに選択要求(ユーザU3のユーザID、及び上記選択されたコミュニティ名に対応するコミュニティIDを含む)を行う(ステップS17)。
【0082】
管理サーバSAは、ユーザ端末UT3からの上記選択要求に応じ、コミュニティアクセスリストを参照することにより、当該ユーザU3が当該コミュニティIDに対応するコミュニティに関する情報を参照可能か否かを判断する(ステップS18)。コミュニティに関する情報を参照可能である場合、管理サーバSAは、当該コミュニティIDに紐付けられた拠点IDであって、現在時刻が適用範囲(適用開始日時≦現在日時≦適用終了日時)内にある拠点の拠点IDをコミュニティマップから抽出し(ステップS19)、抽出した拠点IDに対応する拠点名を拠点マスタ(又は拠点マスタに紐付けられた拠点言語マスタ(日本語、英語等の言語毎に拠点名を記述))から取得する。そして、管理サーバSAは、その拠点名のリスト(拠点IDを含む)及び検索条件設定・結果表示画面データを、ネットワーク設備NWを介してユーザ端末UT3に送信する(ステップS20)。当該拠点名のリスト及び検索条件設定・結果表示画面データを受信したユーザ端末UT3は、これを記憶し、ブラウザによりディスプレイ上に検索条件設定・結果表示画面を表示する(ステップS21)。
【0083】
図8は、検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。図8に示す検索条件設定・結果表示画面上には、入庫・出庫数照会ボタン、在庫数照会ボタン、長期滞留照会ボタン、未返却照会ボタン、伝票番号照会ボタン、回転日数照会ボタン、稼働率照会ボタン、及び移動履歴照会ボタン等が表示されている。これらのボタンの指定により実行される照会機能のうち、入庫・出庫数照会、在庫数照会、移動履歴照会、及び在庫数照会を例にとり以下に説明する。
【0084】
(2.1 入庫・出庫数照会)
このような検索条件設定・結果表示画面の表示状態において、ユーザU3が、パレットの入庫・出庫数を照会したい場合、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、入庫・出庫数照会ボタン61を指定(例えば、マウスでクリック)すると、図9(A)に示すように、検索条件設定・結果表示画面上に入庫・出庫数照会条件設定部71が表示される。図9(A)に示す入庫・出庫数照会条件設定部71には、検索条件(この例では、所有者、RTI区分(例えば、パレット)、RTI種別、拠点、入出庫選択(入庫又は出庫)、期間(検索対象となる期間))を設定するための各入力欄が設けられており、ユーザU3がユーザ端末UT3の操作部を操作して、例えば拠点一覧表示ボタン71aを指定(例えば、マウスでクリック)すると、上記受信されたリストに含まれる拠点名が、図示のように、選択可能にプルダウン表示される。図9(A)に示す入庫・出庫数照会条件設定部71の拠点リスト欄71bには、ユーザU3により選択されたコミュニティXに所属する拠点K1〜K3の名称が選択可能に表示されている。
【0085】
このような表示状態において、ユーザU3が、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、が何れかの拠点名(例えば、拠点K1)を選択し、その他の所望の検索条件を入力欄に設定(入力)して、表示ボタン71cを指定すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに検索要求(ユーザU3のユーザID、コミュニティID及び上記設定された検索条件を含む)を行う(ステップS22)。
【0086】
管理サーバSAは、ユーザ端末UT3からの上記検索要求に応じ、コミュニティアクセスリストを参照することにより、当該ユーザU3が当該コミュニティIDに対応するコミュニティに関する情報を参照可能か否かを判断する(ステップS23)。コミュニティに関する情報を参照可能である場合、管理サーバSAは、当該コミュニティIDに紐付けられた最新の仮想コミュニティIDをコミュニティマップから抽出する(ステップS24)。こうして取得された仮想コミュニティIDが検索実行時のアクセス権になる。
【0087】
次いで、管理サーバSAは、取得した仮想コミュニティIDに紐付けられた全てのトランザクションIDをイベントアクセスリストから取得する(ステップS25)。
【0088】
次いで、管理サーバSAは、取得したトランザクションIDを含む全てのイベントデータをデータベースDBから取得する(ステップS26)。
【0089】
次いで、管理サーバSAは、取得したイベントデータのうち、上記検索条件に合致するイベントデータを特定する(ステップS27)。例えば、上記取得されたイベントデータのうちから、検索条件として設定された拠点(例えば、拠点K1)で、且つ、現在時刻が適用範囲(適用開始日時≦現在日時≦適用終了日時)内にある拠点の拠点IDを含むイベントデータに絞り込まれ、更に、検索条件として入庫が選択されている場合、入庫(業務イベント)に対応するイベントIDを含むイベントデータに絞り込まれる。
【0090】
次いで、管理サーバSAは、特定したイベントデータに含まれる必要なデータを検索結果データとして抽出し、当該抽出した検索結果データを、ネットワーク設備NWを介してユーザ端末UT3に送信する(ステップS28)。つまり、パレットに関する情報のうち、上記特定されたコミュニティ(つまり、ユーザU3が所属するコミュニティ)に所属する拠点に制限された情報(ここでは、上記特定されたコミュニティに所属する拠点において発生した業務イベント「入庫」を示す業務イベント情報と当該業務イベントに関わるパレット(入庫されたパレット)の情報)がユーザ端末UT3に対して提供される。そして、当該検索結果データを受信したユーザ端末UT3は、当該検索結果データを、図9(B)に示すように、上記検索条件設定・結果表示画面上に表示する(ステップS29)。
【0091】
(2.2 在庫数照会)
また、検索条件設定・結果表示画面の表示状態において、ユーザU3が、パレットの在庫数を照会したい場合、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、在庫数照会ボタン62を指定(例えば、マウスでクリック)すると、図10(A)に示すように、検索条件設定・結果表示画面上に在庫数照会条件設定部72が表示される。図10(A)に示す在庫数照会条件設定部72には、検索条件(この例では、拠点、RTI区分、数量(在庫数量の範囲)、日付指定)を設定するための各入力欄が設けられている。
【0092】
このような表示状態において、ユーザU3が、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、が何れかの拠点名(例えば、拠点K1)を選択し、その他の所望の検索条件を入力欄に設定(入力)して、表示ボタン72cを指定すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに検索要求(ユーザU3のユーザID、コミュニティID及び上記設定された検索条件を含む)を行い(ステップS22)、管理サーバSAは、上記と同様、ステップS23〜S25の処理を行う。
【0093】
次いで、管理サーバSAは、取得したトランザクションIDを含む全てのイベント履歴情報をデータベースDBから取得し(ステップS26)、当該イベント履歴情報のうち、上記検索条件に合致するイベント履歴情報を特定する(ステップS27)。例えば、上記取得されたイベント履歴情報のうちから、検索条件として設定された拠点(例えば、拠点K1)で、且つ、現在時刻が適用範囲(適用開始日時≦現在日時≦適用終了日時)内にある拠点の拠点IDを含むイベント履歴情報に絞り込まれる。
【0094】
次いで、管理サーバSAは、特定したイベント履歴情報に含まれる必要なデータを検索結果データとして抽出し、当該抽出した検索結果データを、ネットワーク設備NWを介してユーザ端末UT3に送信する(ステップS28)。つまり、パレットに関する情報のうち、上記特定されたコミュニティ(つまり、ユーザU3が所属するコミュニティ)に所属する拠点に制限された情報(ここでは、特定されたコミュニティに所属する拠点に存在しているRTI種別毎の在庫数量)がユーザ端末UT3に対して提供される。そして、当該検索結果データを受信したユーザ端末UT3は、当該検索結果データを、図10(B)に示すように、上記検索条件設定・結果表示画面上に表示する(ステップS29)。
【0095】
(2.3 移動履歴照会)
また、検索条件設定・結果表示画面の表示状態において、ユーザU3が、パレットの移動履歴を照会したい場合、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、移動履歴照会ボタン63を指定(例えば、マウスでクリック)すると、図11(A)に示すように、検索条件設定・結果表示画面上に移動履歴照会条件設定部73が表示される。図11(A)に示す移動履歴照会条件設定部73には、検索条件(この例では、所有者、RTI区分、RTI種別、RTI−ID、指示書No、拠点、期間等)を設定するための各入力欄が設けられている。
【0096】
このような表示状態において、ユーザU3が、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、が何れかの拠点名(例えば、コミュニティ内全拠点)を選択し、その他の所望の検索条件を入力欄に設定(入力)して、表示ボタン73cを指定すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに検索要求(ユーザU3のユーザID、コミュニティID及び上記設定された検索条件を含む)を行い(ステップS22)、上記入庫・出庫数照会と同様、ステップS23〜S28の処理を行う。つまり、パレットに関する情報のうち、上記特定されたコミュニティ(つまり、ユーザU3が所属するコミュニティ)に所属する拠点に制限された情報(ここでは、特定されたコミュニティXに所属する全拠点におけるパレットの移動履歴)がユーザ端末UT3に対して提供される。そして、当該検索結果データを受信したユーザ端末UT3は、当該検索結果データを、図11(B)に示すように、上記検索条件設定・結果表示画面上に表示する(ステップS29)。
【0097】
(2.4 伝票番号照会)
また、検索条件設定・結果表示画面の表示状態において、ユーザU3が、例えばパレットに搭載された商品に紐づく伝票番号から、該当するパレットの移動履歴を照会したい場合、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、伝票番号照会ボタン64を指定(例えば、マウスでクリック)すると、図12(A)に示すように、検索条件設定・結果表示画面上に伝票番号照会条件設定部74が表示される。図12(A)に示す伝票番号照会条件設定部74には、検索条件(この例では、拠点、RTI区分、RTI種別、RTI−ID、期間、伝票番号)を設定するための各入力欄が設けられている。
【0098】
このような表示状態において、ユーザU3が、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、例えば物品情報(例えば、伝票番号)を入力欄に設定(指定)して、表示ボタン74cを指定すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに検索要求(ユーザU3のユーザID、コミュニティID及び上記設定された検索条件を含む)を行い(ステップS22)、管理サーバSAは、上記入庫・出庫数照会と同様、ステップS23〜S25の処理を行う。
【0099】
次いで、管理サーバSAは、取得したトランザクションIDを含む全ての属性履歴データをデータベースDBから取得し(ステップS26)、当該属性履歴データのうち、上記検索条件に合致する属性履歴データを特定する(ステップS27)。例えば、上記取得された属性履歴データのうちから、検索条件として指定された伝票番号を含む属性履歴データに絞り込まれる。
【0100】
次いで、管理サーバSAは、特定した属性履歴データに含まれる必要なデータを検索結果データとして抽出し、当該抽出した検索結果データを、ネットワーク設備NWを介してユーザ端末UT3に送信する(ステップS28)。つまり、上記物品情報を検索条件として、パレットに関する情報が検索され、当該検索された情報がユーザ端末UT3に対して提供される。そして、当該検索結果データを受信したユーザ端末UT3は、当該検索結果データを、図12(B)に示すように、上記検索条件設定・結果表示画面上に表示する(ステップS29)。
【0101】
このように、パレットに搭載された商品の伝票番号(商品情報でも良い)から、該当するパレットの情報を検索することができる。また、商品の誤出荷の抑制や入荷業務の効率化にもつながる。
【0102】
(3.回転日数の管理及び照会)
次に、回転日数の管理及び照会機能について説明する。
【0103】
本システムSでは、拠点を回転対象というグループとして管理することにより、ある拠点から出庫した(出ていった)パレットが同じ回転対象拠点グループの別の拠点に入庫した(入ってきた)場合でも、出庫した拠点と入庫した拠点を同一の拠点と認識させることができる。かかる機能により、パレットが回転対象拠点外を移動していた日数(回転日数)を計算することを可能にしている。この回転日数を把握することによって、在庫の調整適正化を行うことができ、また、課金情報などの基礎情報を取得するのにも役立つ。
【0104】
図13(A)は、回転対象拠点グループと拠点との関係の一例を示す概念図であり、図13(B)は、回転日数の算出例を示す図である。このような回転対象拠点グループと拠点との関係は、例えばシステム管理者により、上述した拠点マスタに登録されるようになっている。
【0105】
図13(A)の例では、回転対象拠点グループI、回転対象拠点グループII、回転対象拠点グループIII、の3つが示されており、回転対象拠点グループIは第一階層に位置し、当該グループIには、拠点K11及びK15が所属し、回転対象拠点グループIIは第二階層に位置し、当該グループIIには、拠点K12及びK14が所属し、回転対象拠点グループIIIは第三階層に位置し、当該グループIIIには、拠点K13が所属している。例えば、拠点K11に対応する拠点マスタと、拠点K15に対応する拠点マスタの夫々には、回転対象拠点グループIの識別情報であるグループID(各回転対象拠点グループに割り当てられる識別情報であり、回転対象拠点グループ毎に異なる)が登録されている。
【0106】
そして、図13(A)の例では、拠点K11から11月1日に出庫されたパレットPは、拠点K12〜K14を経由して、最終的に11月21日に拠点K15に入庫されている。この例では、回転対象拠点グループIと回転対象拠点グループIIの夫々でパレットPの回転日数の計算が可能である。すなわち、あるパレットPが出庫した拠点と入庫した拠点とが同じ回転対象拠点グループに所属している場合に、当該パレットPが出庫してから入庫するまでの日数が回転日数として計算される。図13(A)の例では、図13(B)に示すように、回転対象拠点グループIにおけるパレットPの回転日数は21日となり、回転対象拠点グループIIにおけるパレットPの回転日数は14日となる。このように、ある拠点から出庫したパレットが、最終的に異なる拠点に辿り着いた場合であっても、その間の移動日数をその物流容器の回転日数として計算することができる。
【0107】
なお、回転対象拠点グループIIIでは、パレットPが出庫した後、入庫していないので、回転日数の計算はできないことになる。
【0108】
このような回転日数を得るための管理サーバSAの処理について説明する。
【0109】
図14(A)は、上述したステップS5において、出庫イベント通知により実行される回転日数データ登録処理を示すフローチャートであり、図14(B)は、入庫イベント通知により実行される回転日数データ登録処理を示すフローチャートである。
【0110】
図14(A)に示す処理は、出庫イベント通知により出庫イベントが呼び出されて開始され、管理サーバSAは、先ず、上記ステップS3で登録されたイベントデータに含まれる拠点が回転対象拠点であるか否かを、例えば当該拠点(拠点ID)に対応する拠点マスタにグループIDが登録されているか否かにより判別する(ステップS31)。そして、当該拠点が回転対象拠点である場合(ステップS31:YES)、管理サーバSAは、当該グループID、上述したオブジェクトID、上述したトランザクションID(出庫トランザクションID)、出庫拠点の拠点ID、及び出庫日時(イベント発生日時)等の情報を対応付けて回転日数データのテーブルに登録し(ステップS32)、当該処理を終了する。
【0111】
一方、図14(B)に示す処理は、入庫イベント通知により入庫イベントが呼び出されて開始され、管理サーバSAは、先ず、上記ステップS3で登録されたイベントデータに含まれる拠点が回転対象拠点であるか否かを、例えば当該拠点(拠点ID)に対応する拠点マスタにグループIDが登録されているか否かにより判別する(ステップS41)。そして、当該拠点が回転対象拠点である場合(ステップS41:YES)、管理サーバSAは、当該グループIDに対応する回転対象拠点グループに所属する拠点から当該パレットが出庫されていたか否かを判別する(ステップS42)。例えば、当該グループID、及び当該パレットPに対応するオブジェクトIDが含まれ、且つ出庫日時のみが含まれる回転日数データの登録有無を検索し、登録されている場合に、当該回転対象拠点グループに所属する拠点から当該パレットPが出庫されていたと判別される。
【0112】
そして、上記グループIDに対応する回転対象拠点グループに所属する拠点から当該パレットPが出庫されていた場合(ステップS42:YES)、管理サーバSAは、上記受信され生イベントテーブルに登録された拠点情報に含まれるイベント発生日時(入庫日時)と、上記検索された回転日数データに含まれる入庫日時に基づき、上述した回転日数を計算する(ステップS43)。
【0113】
次いで、管理サーバSAは、上述したトランザクションID(入庫トランザクションID)、入庫拠点の拠点ID、入庫日時、及び上記計算した回転日数等の情報を、上記検索された回転日数データのテーブルに追加登録し(ステップS44)、当該処理を終了する。
【0114】
こうして計算された回転日数は、図8に示す検索条件設定・結果表示画面を通じてユーザに提示されることになる。
【0115】
図8に示す検索条件設定・結果表示画面の表示状態において、ユーザU3が、例えばパレットの回転日数を照会したい場合、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、回転日数照会ボタン65を指定(例えば、マウスでクリック)すると、図15(A)に示すように、検索条件設定・結果表示画面上に回転日数照会条件設定部75が表示される。
【0116】
図15(A)に示す回転日数照会条件設定部75には、検索条件(この例では、出庫元(拠点)、入庫先(拠点)、RTI区分、RTI種別、期間、回転日数(範囲)等)を設定するための各入力欄が設けられている。
【0117】
このような表示状態において、ユーザU3が、ユーザ端末UT3の操作部を操作して、所望の検索条件を入力欄に設定(入力)して、表示ボタン75cを指定すると、当該ユーザ端末UT3は、ネットワーク設備NWを介して管理サーバSAに検索要求(ユーザU3のユーザID、コミュニティID及び上記設定された検索条件を含む)を行い(ステップS22)、管理サーバSAは、上記入庫・出庫数照会と同様、ステップS23〜S25の処理を行う。
【0118】
次いで、管理サーバSAは、取得したトランザクションIDと一致する出庫トランザクションID及び入庫トランザクションIDを含む全ての回転日数データをデータベースDBから取得し(ステップS26)、当該回転日数データのうち、上記検索条件に合致する回転日数データを特定する(ステップS27)。例えば、検索条件として入庫元の拠点及び出庫先の拠点が選択されている場合、当該入庫元の拠点の拠点ID及び当該出庫先の拠点の拠点IDを含む回転日数データに絞り込まれる。
【0119】
次いで、管理サーバSAは、特定した回転日数データに含まれる必要なデータを検索結果データとして抽出し、当該抽出した検索結果データを、ネットワーク設備NWを介してユーザ端末UT3に送信する(ステップS28)。つまり、パレットが出庫した拠点と入庫した拠点の双方が、同一の回転対象拠点グループに所属し、且つ双方の拠点がユーザU3が所属するコミュニティに所属する場合に、上記回転日数を示す情報がユーザ端末UT3に対して提供される。そして、当該検索結果データを受信したユーザ端末UT3は、当該検索結果データを、図15(B)に示すように、上記検索条件設定・結果表示画面上に表示する(ステップS29)。
【0120】
(4.総数固体一括管理及び照会)
次に、総数固体一括管理及び照会機能について説明する。
【0121】
当該システムSを導入した当初からパレットに対するRFIDタグTの取付率(貼付率)を100%にすることが困難な場合も想定される。このような場合に、たとえRFIDタグTが取り付けられていないパレットがあったとしても、総数固体一括管理機能によって、拠点に存在するパレットの在庫数量を正確に把握できる。
【0122】
この総数固体一括管理機能では、例えば拠点1においてRFIDタグTが取り付けられていないパレットの総数が作業者の指示により拠点端末PT1に入力され、当該総数と、そのときの業務イベント(入庫又は出庫)を示す業務イベント情報、拠点ID、及び当該業務イベントの発生日時等の情報を含む拠点情報が、ネットワーク設備NWを通じて管理サーバSAに送信される。そして、当該拠点情報が管理サーバSAにより受信されると、管理サーバSAは、上記受信された拠点情報に含まれる業務イベント情報に応じた処理を行う。例えば、業務イベント情報が入庫(又は出庫)を示す場合、メッセージ・キューに入庫(又は出庫)イベント通知がなされ、入庫イベント(又は出庫イベント)が呼び出されて、例えば、拠点在庫数更新処理が行われる。入庫イベントの場合における拠点在庫数更新処理では、拠点在庫データのテーブルに登録されている在庫数量に上記受信された拠点情報に含まれるパレットの総数が加算される。一方、出庫イベントの場合における拠点在庫数更新処理では、拠点在庫データのテーブルに登録されている在庫数量から上記受信された拠点情報に含まれるパレットの総数が減算される。このように登録された拠点在庫データに含まれる在庫数量は、上述したステップS23〜S29と同様の処理でユーザ端末に提供されることになる。
【0123】
以上説明したように、上記実施形態によれば、パレットが複数の事業者間に亘って移動する物流において、コミュニティ間でアクセス制限を持たせコミュニティに所属する拠点に制限された情報のみをユーザに対して提供するようにしたので、各事業者(ユーザ)は、自己の拠点における物流容器に関する情報を、他の一部の事業者に知られることなく迅速に把握することができ、また、これにより、複数の異なる事業者がユーザとして本システムSを利用することができ、各事業者毎に個別のシステム投資を要さない。
【0124】
また、上述したように、管理サーバSAにおいてパレットの所在と共に拠点で発生した業務イベントをリアルタイムに管理することができるので、パレットの紛失を低減することができ、さらに、商品のライフサイクルの短縮や需給変動に応じたフレキシブルな流通活動を展開し、欠品や死蔵在庫の抑制を図ることができる。
【0125】
また、ある拠点から出庫したパレットが、最終的に異なる拠点に辿り着いた場合であっても、その間の移動日数をその物流容器の回転日数として計算し、その情報を各事業者に提供することができるので、パレットの回転率を高めることが可能となり、無駄な滞留や紛失に伴う過剰投資や不足を解消することができる。
【0126】
なお、上記実施形態においては、物流容器の例としてパレットの場合を主として説明したが、これに限定されるものはなく、繰り返し利用されるRTIであれば、どのようなものであっても適用できる。
【0127】
また、上記実施形態においては、最も効率の良い例として、パレットに取り付けられたRFIDタグからタグID(パレットの識別情報)がRFIDリーダライタにより読み取られ、拠点端末を介して管理サーバに送信される例を示したが、これ以外の方法、例えば当該パレットの識別情報がバーコードやQRコードから読み取られるか、或いは拠点端末からオペレータにより入力されるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本実施形態に係る物流管理システムの概要構成の一例を示す図である。
【図2】コミュニティとユーザと拠点との関係の一例を示す概念図である。
【図3】コミュニティと拠点とユーザとの関係等を規定するためのデータベースDBにおけるテーブル構成例を示す図である。
【図4】管理サーバSAにおける業務フィルタリング機能に関する処理を示すフローチャートである。
【図5】RTIマスタとタグマスタとがオブジェクトマスタを介して紐付けられている状態を示す概念図である。
【図6】ユーザ端末UT3と管理サーバSAとの間の情報のやり取り、及び管理サーバSAにおける登録情報の照会機能に関する処理を示すシーケンス図である。
【図7】コミュニティ名のリストがプルダウン表示された検索初期画面の一例を示す図である。
【図8】検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。
【図9】入庫・出庫数照会条件設定部が表示された検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。
【図10】在庫数照会条件設定部が表示された検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。
【図11】移動履歴照会条件設定部が表示された検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。
【図12】伝票番号照会条件設定部が表示された検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。
【図13】(A)は、回転対象拠点グループと拠点との関係の一例を示す概念図であり、(B)は、回転日数の算出例を示す図である。
【図14】(A)は、出庫イベント通知により実行される回転日数データ登録処理を示すフローチャートであり、(B)は、入庫イベント通知により実行される回転日数データ登録処理を示すフローチャートである。
【図15】回転日数照会条件設定部が表示された検索条件設定・結果表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0129】
R/W1〜R/W5・・・RFIDリーダライタ
PT1〜PT5・・・拠点端末
SA・・・管理サーバ
UT1〜UT5・・・ユーザ端末
T RFIDタグ
NW ネットワーク設備
S 物流管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流経路上に存在する複数の拠点の夫々に設置された各拠点端末が、当該拠点に存在する物流容器の識別情報を、ネットワーク設備を介してサーバ装置に送信し、当該サーバ装置では受信した情報に基づき、前記物流容器の所在を管理する物流容器管理システムにおける前記サーバ装置であって、
互いに異なる複数のコミュニティ毎に、各コミュニティに所属する複数の前記拠点の情報、及び当該各コミュニティに所属するユーザの情報を登録するデータベースと、
ネットワーク設備を介してアクセスしてきた端末装置のユーザの認証処理を行う認証手段と、
前記データベースを参照して、前記認証されたユーザが所属するコミュニティを特定するコミュニティ特定手段と、
前記物流容器に関する情報のうち、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供する提供手段と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバ装置において、
前記拠点端末は、前記拠点に存在する物流容器の識別情報と共に、当該拠点において発生した業務イベントを示す業務イベント情報を前記サーバ装置に送信するものであって、
前記提供手段は、前記特定されたコミュニティに所属する拠点において発生した業務イベントを示す業務イベント情報と当該業務イベントに関わる物流容器の情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサーバ装置において、
前記提供手段は、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に存在している前記物流容器の在庫数量を示す情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とするサーバ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のサーバ装置において、
前記データベースの登録は、一つの拠点が前記複数のコミュニティに所属することを許容することを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のサーバ装置において、
前記データベースの登録は、一人のユーザが前記複数のコミュニティに所属することを許容することを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のサーバ装置において、
各前記拠点には前記コミュニティに所属する適用期間が付与されており、
前記提供手段は、前記特定されたコミュニティに所属し、且つ前記適用期間内にある拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とするサーバ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のサーバ装置において、
前記データベースには、更に、予め定められた回転対象拠点グループに所属する複数の拠点の情報が登録されており、
前記サーバ装置は、特定の前記物流容器が出ていった拠点と入ってきた拠点とが同じ回転対象拠点グループに所属している場合に、当該物流容器が出ていってから入ってくるまでの日数を計算する日数計算手段を更に備え、
前記提供手段は、前記物流容器が出ていった拠点と入ってきた拠点とが前記特定されたコミュニティに所属する場合には、前記計算された日数を示す情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のサーバ装置において、
前記提供手段は、前記計算された日数が同一である物流容器の在庫数量を示す情報を前記端末装置に対して提供することを特徴とするサーバ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のサーバ装置において、
前記物流容器には、互いに異なる複数の識別情報が付与され、且つ、前記複数の識別情報には、一つの管理情報が対応付けられて管理されており、
前記サーバ装置は、前記拠点端末から受信された前記物流容器の識別情報に対応付けられた管理情報が、同一の前記拠点端末から既に受信された前記物流容器の識別情報に対応付けられた管理情報と同一である場合には、何れか一つの前記識別情報を取得し、他の前記識別情報を破棄する破棄手段を更に備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のサーバ装置において、
前記拠点端末は、前記拠点に存在する物流容器の識別情報と共に、当該物流容器に搭載された物品に関する物品情報を前記サーバ装置に送信するものであって、
前記サーバ装置は、
前記受信された前記物流容器の識別情報と前記物品情報を対応付けて登録する登録手段と、
ネットワーク設備を介してアクセスしてきた端末装置のユーザにより指定された物品情報を、当該端末装置から受信する指定情報受信手段と、
を更に備え、
前記提供手段は、前記端末装置から受信された物品情報を検索条件として、前記物流容器に関する情報を検索し、当該検索された情報を前記端末装置に提供することを特徴とするサーバ装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のサーバ装置において、
前記物流容器の識別情報は、前記物流容器に取り付けられたRFIDタグに記憶されており、当該識別情報は、前記拠点に設置されたRFIDリーダにより前記RFIDタグから非接触で読み取られ前記拠点端末に出力されることを特徴とするサーバ装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至11の何れか一項に記載のサーバ装置として機能させることを特徴とする情報提供処理プログラム。
【請求項13】
物流経路上に存在する複数の拠点の夫々に設置された各拠点端末が、当該拠点に存在する物流容器の識別情報を、ネットワーク設備を介してサーバ装置に送信し、当該サーバ装置では受信した情報に基づき、前記物流容器の所在を管理する物流容器管理システムにおける情報提供方法であって、
互いに異なる複数のコミュニティ毎に、各コミュニティに所属する複数の前記拠点の情報、及び当該各コミュニティに所属するユーザの情報をデータベースに登録するステップと、
ネットワーク設備を介してアクセスしてきた端末装置のユーザの認証処理を行うステップと、
前記データベースを参照して、前記認証されたユーザが所属するコミュニティを特定するステップと、
前記物流容器に関する情報のうち、前記特定されたコミュニティに所属する拠点に制限された情報を前記端末装置に対して提供するステップと、
を備えることを特徴とする情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−274796(P2009−274796A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126349(P2008−126349)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005913)三井物産株式会社 (37)
【出願人】(591030237)日本ユニシス株式会社 (38)
【Fターム(参考)】