説明

物流管理サーバー装置、受注者コンピューターおよび検収完了情報の格納方法

【課題】 受注者が検収完了を迅速に把握できる物流管理サーバー装置を提供する。
【解決手段】 受注者、発注者および運送業者のコンピューター200、300、400とネットワークを介して接続される物流管理サーバー装置110であって、物流に関する進捗情報を格納するデータベース(以下「DB」)141と、検収期限情報を格納するDB142とを備えており、1)受注者、発注者または運送業者のコンピューターから進捗情報を受信し進捗情報DB141に格納し、2)運送業者コンピューター400から運送完了情報を受信すると、進捗情報DB141および検収情報DB142を参照して検収期限情報を含む検収依頼情報を生成し発注者コンピューター200に送信し、3)検収依頼情報に応じて発注者コンピューター200から送信された検収完了情報を受信して進捗情報DB141に格納し、受注者コンピューター200に検収完了情報を送信するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流管理サーバー装置およびこれを利用する受注者コンピューターならびに検収完了情報の格納方法に関し、特に、売上計上に関するいわゆる検収基準に対応できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
企業間の商取引には、注文、納品、請求、決済など様々な段階があり、その都度、伝票等によって情報のやり取りが行われる。
注文から納品など、主に物流に関する部分については、図9のように、メーカーなどの受注者、卸売業者・小売業者などの発注者、運送業者の3者が関わっている。
従来、発注者から受注者が受注し、受注者が商品を出荷すると、受注者は出荷時点で売上を計上することが一般的であった(いわゆる出荷基準)。
【0003】
しかしながら、国際財務報告基準(いわゆる国際会計基準。International Financial Reporting Standards(IFRS))では、納品された商品の検査(検収とも呼ばれる。本明細書では検査および検収をあわせて「検収」という。)が完了した時点、または商品が着荷した時点をもって収益を計上することが求められる可能性がある(いわゆる検収基準、着荷基準)。
【0004】
検収基準に対応する場合、受注者は、発注者の検収が完了した時点を把握する必要があるが、これまでは、発注者に、書面(検収書)の郵送、FAX等により通知してもらう以外に方法がなかった。
しかし、このような方法をとると、検収完了を即時に把握できるか否かは、発注者(の担当者)が即時に通知するか否かに依存することになる。しかしながら、受注者の立場としては、顧客である発注者に、検収完了を迅速に通知してもらうよう強制することはできない。また、郵送による場合には、発注者による郵送までの準備時間に加え、郵送自体の時間もかかることになる。
以上のとおり、従来の方法では、検収完了の把握、ひいては検収基準に対応した売上計上処理を確実かつ即時に行うことは困難であった。
【0005】
なお、従来から企業間の商取引に関する情報を標準的なフォーマットに統一してコンピューター間で電子的に交換するEDI(電子データ交換(Electronic Data Interchange))という仕組みが提案されている。
しかしながら、EDIは単にデータを標準化して企業間でやり取りする仕組みであり、検収完了の把握や、検収基準に対応した売上計上処理を行うことは考慮されていない。
【0006】
さらに、コンピューターネットワーク上で企業間の商取引を行う仕組みであるeマーケットプレイスや、電子商談システムなる仕組みも提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電子商談システムは、生産、卸売、小売、配送等の一連の商取引における商談情報をインターネット上のサーバー装置に蓄積することにより取引当事者の情報共有を行おうとするものである。
【先行技術文献】
【0007】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−133524号公報
【0009】
しかしながら、上記のような従来のeマーケットプレイスや電子商談システムは取引当事者間の情報共有を主な目的としているため、必ずしも検収完了の迅速な把握や検収基準に対応した円滑な売上計上処理を実現することはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明では、受注者が発注者の検収完了を迅速に把握するのに利用できる、物流管理サーバー装置およびこれを利用するための受注者コンピューターならびに検収完了情報の格納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、上記課題が下記の手段により達成されることを見出した。
【0012】
(1)1または複数の、受注者コンピューター、発注者コンピューターおよび運送業者コンピューターとネットワークを介して接続される物流管理サーバー装置であって、
前記物流管理サーバー装置は、送受信部と制御部と記憶部とを備え、
前記記憶部は、
発注、受注、運送、検収その他の物流に関する進捗情報を格納する進捗情報データ ベースと、
検収期限情報を格納する検収情報データベースと、
を備え、
前記制御部は、
前記送受信部を介して、利用者が前記各コンピューターを用いて、前記記憶部にあ らかじめ格納されたモジュールを組み合わせることにより、入出力画面を定義する 入出力画面定義部と、
前記送受信部を介して、前記受注者コンピューターと前記発注者コンピューターと 前記運送業者コンピューターとの間で前記進捗情報を送受信し、前記進捗情報デー タベースに格納する進捗情報受付部と、
前記進捗情報受付部が前記運送業者コンピューターから送信される運送完了情報を 受信すると、前記進捗情報データベースと前記検収情報データベースとを参照して 前記検収期限情報を含む前記発注者コンピューター宛の検収依頼情報を生成し、前 記送受信部を介して該発注者コンピューターに送信する検収依頼情報送信部と、
を備え、
前記進捗情報受付部は、
前記検収依頼情報に応じて前記発注者コンピューターから送信された検収完了情 報を受信し、前記進捗情報データベースに格納し、前記受注者コンピューターに 該検収完了情報を送信する、検収完了情報受付部を備える
ことを特徴とする、物流管理サーバー装置。
【0013】
(2)前記進捗情報受付部は、
前記発注者コンピューターから前記受注者コンピューター宛の発注情報を受信し 、該発注者コンピューターの識別情報、該受注者コンピューターの識別情報およ び該発注情報を前記進捗情報データベースに格納し、前記受注者コンピューター に該発注情報を送信する発注情報受付部と、
前記受注者コンピューターから前記発注情報に対する前記発注者コンピューター 宛の受注情報を受信し、該受注情報を前記発注情報に関連付けて前記進捗情報デ ータベースに格納し、前記発注者コンピューターに該受注情報を送信する受注情 報受付部と、
前記受注者コンピューターから運送依頼情報を受信し、該運送依頼情報を前記受 注情報に関連付けて前記進捗情報データベースに格納し、前記運送業者コンピュ ーターに該運送依頼情報を送信する運送依頼情報受付部と、
前記運送業者コンピューターから運送完了情報を含む運送情報を受信し、該運送 情報を前記受注情報に関連付けて前記進捗情報データベースに格納する運送情報 受付部と
を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の物流管理サーバー装置。
【0014】
(1)〜(2)の発明によれば、特に、運送完了情報を受信すると検収依頼情報を生成し発注者コンピューターに送信する検収依頼情報送信部を備えたことにより、発注者の検収完了入力を促進させることができる。したがって受注者が発注者の検収完了を迅速に把握することができる。
【0015】
(3)前記物流管理サーバー装置とネットワークを介して接続される前記受注者コンピューターであって、
前記受注者コンピューターは、送受信部と制御部と記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記送受信部を介して、前記物流管理サーバー装置から前記進捗情報を取得する情 報取得部を備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の受注者コンピューター。
【0016】
(3)の発明によれば、受注者コンピューターが情報取得部をさらに備えたことにより、受注者は物流管理サーバー装置から物流に関する進捗状況を即時にまたは必要に応じて取得することができるので、他のシステム(例えば、販売管理システムなどのERPシステム、スケジューラシステム等)にこれらの進捗状況の情報を渡して加工して利用することができる。
【0017】
(4)前記記憶部は、
商品名、価格その他の販売に関する情報を記録する販売情報データベースを備え、
前記制御部は、
前記情報取得部が前記検収完了情報を取得した場合、前記販売情報データベースを 参照して売上計上処理を開始する販売情報管理部を備える
ことを特徴とする、請求項3に記載の受注者コンピューター。
【0018】
(4)の発明によれば、受注者コンピューターが販売情報管理部および販売情報データベースをさらに備えることで機能する販売管理システムにより、受注者は、検収完了の情報を取得したときリアルタイムに検収基準に則った売上計上処理を行うことができる。
【0019】
(5)前記記憶部は、
検収期限その他の検収に関する情報を含む契約情報を記録する契約情報データベー スを備え、
前記制御部は、
前記契約情報データベースを参照して前記検収に関する情報を抽出し、前記物流管 理サーバー装置に送信する契約情報抽出部を備える
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の受注者コンピューター。
【0020】
(5)の発明によれば、さらに契約情報に関するデータベースを有している場合、当該情報の中から検収期限等、検収に関する情報を抽出し、物流管理サーバー装置に送信するので、利用者は検収期限等の情報を入力する必要がない。また契約に関する情報すべてを物流管理サーバー装置に送信するものではないので、重要な情報を外部に流出させるリスクを減じることができる。
【0021】
(6)1または複数の、受注者コンピューター、発注者コンピューターおよび運送業者コンピューターとネットワークを介して接続され、送受信部と、制御部と、発注、受注、運送、検収その他の物流に関する進捗情報を記録する進捗情報データベースおよび検収期限情報を記録する検収情報データベースを備える記憶部とを備える物流管理に用いるコンピューターに、前記発注者コンピューターから送信される検収完了情報を格納する方法であって、
前記制御部が、前記受注者コンピューター、発注者コンピューターまたは運送業者コン ピューターを用いて、前記記憶部にあらかじめ格納されたモジュールを組み合わせるこ とにより、前記送受信部を介して利用者が入出力画面を定義するステップ、
前記制御部が、前記送受信部を介して前記運送業者コンピューターから運送完了情報を 受信し、前記進捗情報データベースに格納するステップ、
前記制御部が、前記運送完了情報の受信により、前記進捗情報データベースおよび前記 検収情報データベースから、前記検収期限情報を含む検収依頼情報を生成し、前記送受 信部によって前記発注者コンピューターに送信するステップ、
前記制御部が、前記検収依頼情報に応じて前記発注者コンピューターから送信された検 収完了情報を受信し、前記進捗情報データベースに格納するステップ
を含むことを特徴とする、物流管理に用いるコンピューターへの検収完了情報の格納方法。
【0022】
(6)の発明によれば、特に、運送完了情報を受信すると検収依頼情報を生成し発注者コンピューターに送信することにより、発注者の検収完了入力を促進させることができる。したがって受注者が発注者の検収完了を迅速に把握することができる。
【0023】
その他、好ましい解決手段としては次のものがある。
(7)前記物流管理サーバー装置を含む物流管理システムがWebシステムで構成されており、前記物流管理サーバー装置の制御部がWebページ中に広告を表示する広告表示部を備え、または前記検収完了情報を格納する方法において、前記物流管理に用いるコンピューターの制御部がWebページ中に広告を表示するステップを含むことを特徴とする、(1)〜(6)に記載の、物流管理サーバー装置、受注者コンピューターまたは物流管理に用いるコンピューターへの検収完了情報の格納方法。
(7)の発明によれば、さらにWebページ中に広告を表示するようにしたことにより、利用者が利用する際に例えば利用状況に関連する広告を表示できるようになるから利用者の利便性を高めることができるとともに、物流管理システムの管理者が広告料による収益を得ることができる。なお、広告としては、バナー広告や、URLのリンク等、公知の広告の手法を用いることができる。
【0024】
本発明に用いられる用語について以下に説明する。
「利用者」とは、本発明の装置またはシステムを利用する者をいい、「受注者」、「発注者」および「運送業者」を包括的に示すものである。したがって「利用者システム」は「受注者システム」、「発注者システム」および「運送業者システム」を包括的に示す。ただし、「運送業者システム」を別に明示しているときの「利用者システム」は「受注者システム」および「発注者システム」を包括的に示すものである。利用者システムの識別情報(ID)は利用者を特定できる情報であれば特に限定するものではないが、例えば利用者名や利用者を示すコードが挙げられる。
【0025】
「受注者コンピューター」または「発注者コンピューター」とは、それぞれ受注者システムまたは発注者システムにおける、後述の端末装置または業務サーバー装置をいい、受注者システムまたは発注者システムが業務サーバー装置を備えず端末装置のみで構成されている場合を含む。すなわちこの場合には「受注者コンピューター」または「発注者コンピューター」はそれぞれ受注者端末装置または発注者端末装置を示す。「運送業者コンピューター」とは、運送業者システムにおける、後述の端末装置または運送管理サーバー装置をいい、運送業者システムが運送管理サーバー装置を備えず端末装置のみで構成されている場合を含む。すなわちこの場合には「運送業者コンピューター」は運送業者端末装置を示す。
【0026】
「物流に関する進捗情報」とは、発注者が発注した特定の案件に関し、現在、どのような状況にあるか、例えば、発注したのみか、受注(注文請書を発行)したか、運送中か、着荷したか、検収完了したか、などの情報をいい、発注情報(例えば対象商品、希望納期)、受注情報(例えば受注する・しない、対象商品、予定納期)、運送依頼情報(受注者から運送業者への運送依頼)、運送情報(運送状況を示す情報であり運送完了情報を含む)、検収依頼情報、検収完了情報を含むものである。
「検収期限情報」とは、発注者が検収を行う期限の情報をいう。
「運送完了情報」とは、運送業者が発注者に商品の運送を完了したことを示す情報をいい、運送業者が運送業者システムを介して物流管理システムに入力してもよいし、運送業者システムに格納された運送完了情報が自動的に物流管理システムに送信されるようにしてもよい。
「検収依頼情報」とは、運送完了情報の受信をトリガーに発注者システムに送信される検収を依頼する通知をいい、検収期限情報を含む。検収依頼情報は、検収期限の残り期間に応じて発注者にリマインド、再送信されるようにしてもよい。
「検収完了情報」とは、発注者が検収を完了した場合に物流管理システムに送信される情報をいい、合格の場合と不合格の場合とがある。
「契約情報」とは、利用者が他人と契約した内容を示す情報をいい、検収に関する情報を含む。「検収に関する情報」は、契約の相手方を特定する情報(例えば会社名、個人名)、契約の対象(例えば対象商品)を特定する情報および検収期限情報を含み、物流管理システムが物流に関する進捗情報を管理するのに必要最小限の情報をいう。
【発明の効果】
【0027】
本発明の物流管理サーバー装置および検収完了情報の格納方法によれば、受注者は発注者の検収完了を迅速に把握することができる。
また、本発明の受注者コンピューターによれば、本発明の物流管理サーバー装置から迅速に物流に関する進捗情報(検収完了情報を含む)を取得し、必要に応じて活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本発明の物流管理サーバー装置を含む物流管理システムおよび本発明の受注者コンピューターを含む利用者システムのシステム構成の一例を示す図である。なお図中、データベースをDBと示す(以下同様)。
【図2】 本発明における物流管理システム、利用者システム、運送業者システム、その他システム間の情報のやり取りの流れの一例を模式的に示す図である。
【図3】 本発明に用いられる進捗情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】 本発明に用いられる検収情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】 本発明の検収完了情報の格納方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の検収完了情報の格納方法を用いて売上計上処理を行う場合の一例を示すフローチャートである。
【図7】 本発明の物流管理サーバー装置を、コンピューターを用いて実現した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図8】 本発明の物流管理システムのハードウェア・ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図9】 従来の受注者、発注者、運送業者および販売管理システムの関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これら実施形態により本発明が限定されるものではない。
<目次>
【0030】
1.第1の実施形態(利用者システムにおいて業務サーバー装置を利用しない態様)
(1−1)物流管理システムの全体構成と動作概要
(1−1−1)物流管理サーバー装置
(1−1−1−1)送受信部
(1−1−1−2)制御部
(1−1−1−2−1)進捗情報受付部
(1−1−1−2−1−1)発注情報受付部
(1−1−1−2−1−2)受注情報受付部
(1−1−1−2−1−3)運送依頼情報受付部
(1−1−1−2−1−4)運送情報受付部
(1−1−1−2−1−5)検収完了情報受付部
(1−1−1−2−2)検収依頼情報送信部
(1−1−1−2−3)入出力画面定義部
(1−1−1−2−4)登録受付部
(1−1−1−2−5)利用者認証部
(1−1−1−2−6)タイムスタンプ付与部
(1−1−1−2−7)運送業者選択部
(1−1−1−3)記憶部
(1−1−2)物流管理端末装置
(1−2)利用者システムの全体構成と動作概要
(1−3)運送業者システムの全体構成と動作概要
(1−4)データ構造
(1−4−1)進捗情報データベース
(1−4−2)検収情報データベース
(1−4−3)利用者情報データベース
(1−5)処理
(1−5−0)入出力画面定義処理
(1−5−1)発注情報受付処理
(1−5−2)受注情報受付処理
(1−5−3)運送依頼情報受付処理
(1−5−4)運送情報受付処理
(1−5−5)検収依頼情報生成・送信処理
(1−5−6)検収完了情報受付処理
(1−6)変形例
(1−6−1)タイムスタンプサーバー装置利用
2.第2の実施形態(利用者システムにおいて業務サーバー装置を利用する態様)
(2−1)物流管理システムの全体構成と動作概要
(2−2)利用者システムの全体構成と動作概要
(2−2−1)業務サーバー装置
(2−2−1−1)送受信部
(2−2−1−2)制御部
(2−2−1−2−1)情報取得部
(2−2−1−2−2)販売情報管理部
(2−2−1−2−3)契約情報抽出部
(2−2−1−2−4)スケジュール管理部
(2−2−1−3)記憶部
(2−3)運送業者システムの全体構成と動作概要
(2−4)データ構造
(2−5)処理
(2−6)変形例
(2−6−1)サービス提供装置利用
3.ハードウェア・ネットワーク構成例
【0031】
1.第1の実施形態(利用者システムにおいて業務サーバー装置を利用しない態様)
図1に、本発明の一実施形態による物流管理システム100および利用者システム(受注者システム200および発注者システム300の両方を含む。以下、主に受注者システム200について説明するが、特に断らない限り発注者システム300の各要素(図中カッコ書きで示す)についても同様である。)の全体構成を示す。なお、本実施形態において、受注者システム200、発注者システム300とは、受注者端末装置250、発注者端末装置350を示すものであり、図中の受注者業務サーバー装置210または発注者業務サーバー装置310を用いる形態については後述の第2の実施形態で説明する。
【0032】
(1−1)物流管理システムの全体構成と動作概要
物流管理システム100は、物流管理サーバー装置110、物流管理端末装置150がLANによって接続されたものであり、さらにネットワーク500に接続している。
【0033】
(1−1−1)物流管理サーバー装置
物流管理サーバー装置110は、送受信部120と、制御部130と、記憶部140とを備えている。さらに通常の入力部、出力部を備えていてもよいがここでは省略する。
以下、順に説明する。
【0034】
(1−1−1−1)送受信部
本実施形態における送受信部120は、物流管理端末装置150や受注者システム200、発注者システム300、運送業者システム400、サービス提供装置700、タイムスタンプサーバー装置600など他のシステム等との間で、情報、命令等を送受信するためのものである。後述する図7の通信装置97が該当するが、これに限定されるものではない。
【0035】
(1−1−1−2)制御部
本実施形態における制御部130は、受注者システム200、発注者システム300、運送業者システム400等から送受信部120が受信した各種情報を記憶部140に記憶するための制御や、それら受信した情報を適切なシステムまたは装置等に転送するための制御や、それらの情報に基づいて新たな通知を生成し適切なシステムまたは装置等に送信するための制御などを行うものである。後述する図7のCPU93がこれに該当するが、これに限定されるものではない。
制御部130は、以下に説明する検収依頼情報送信部131、進捗情報受付部132および入出力画面定義部133を物理的または論理的に備えており、好ましくは、登録受付部134、利用者認証部135、タイムスタンプ付与部136、運送業者選択部137を物理的または論理的に備える。
【0036】
(1−1−1−2−1)進捗情報受付部
進捗情報受付部132は、送受信部120を介して、受注者システム200、発注者システム300、運送業者システム400から物流に関する進捗情報を受信し、進捗情報データベース141に格納する。進捗情報受付部132は、発注情報受付部1321、受注情報受付部1322、運送依頼情報受付部1323、運送情報受付部1324、検収完了情報受付部1325を物理的または論理的に備えることが好ましい。以下説明する。
【0037】
(1−1−1−2−1−1)発注情報受付部
発注情報受付部1321は、送受信部120を介して、発注者システム300から特定の受注者システム200宛の発注情報を受信する。この際、送信元である発注者システムの識別情報(例えば発注者端末装置350のIPアドレス等)、宛先である受注者システムの識別情報(例えば受注者端末装置250のIPアドレス等)、発注情報等を受信し、進捗情報データベース141に格納し、宛先である受注者システム200にこの発注情報を送信する。なお、発注情報を送信せず、受注者システム200が物流管理サーバー装置110にアクセスして情報を取得するようにしてもよい。
【0038】
(1−1−1−2−1−2)受注情報受付部
受注情報受付部1322は、送受信部120を介して、受注者システム200から発注情報に対する受注情報を受信し、この受注情報を発注情報に関連付けて(例えば同じテーブルの同じレコードに記録してもよいし、別の関連するテーブルに記録するようにしてもよい。)進捗情報データベース141に格納し、発注者システム300にこの受注情報を送信する。なお、受注情報を送信せず、発注者システム300が物流管理サーバー装置110にアクセスして情報を取得するようにしてもよい。
【0039】
(1−1−1−2−1−3)運送依頼情報受付部
運送依頼情報受付部1323は、送受信部120を介して、受注者システム200から運送依頼情報を受信し、この運送依頼情報を発注情報に関連付けて(例えば同じテーブルの同じレコードに記録してもよいし、別の関連するテーブルに記録するようにしてもよい。)進捗情報データベース141に格納し、運送業者システム400にこの運送依頼情報を送信する。
【0040】
(1−1−1−2−1−4)運送情報受付部
運送情報受付部1324は、送受信部120を介して、運送業者システム400から随時運送情報を受信し、この運送情報を発注情報に関連付けて(例えば同じテーブルの同じレコードに記録してもよいし、別の関連するテーブルに記録するようにしてもよい。)進捗情報データベース141に格納する。受信した運送情報が運送完了情報である場合は、通常の運送情報と同様に、この運送完了情報を発注情報に関連付けて前記進捗情報データベースに格納するとともに、検収依頼情報送信部131に運送完了情報を受信した旨の情報を渡す。
【0041】
(1−1−1−2−1−5)検収完了情報受付部
検収完了情報受付部1325は、送受信部120を介して、後述の検収依頼情報送信部131が生成し送信する検収依頼情報に応じて発注者システム300から送信された検収完了情報を受信し、進捗情報データベース141に格納し、受注者システム200にこの検収完了情報を送信する。
【0042】
(1−1−1−2−2)検収依頼情報送信部
検収依頼情報送信部131は、進捗情報受付部132(好ましくは運送情報受付部1324)から運送完了情報を受信した旨の情報を受け取ると、進捗情報データベース141または進捗情報データベース141と検収情報データベース142とを併せて参照して、発注者システム300宛の検収依頼情報を生成し、これを送受信部120を介して発注者システム300に送信する。この検収依頼情報には検収情報データベース142から抽出しまたは演算して得た検収期限情報が含まれる。
【0043】
(1−1−1−2−3)入出力画面定義部
入出力画面定義部133は、利用者が用いる入出力画面を利用者が自由に定義するためのものであり、例えば物流管理システム100において使用される入出力画面を、受注者や発注者が既に使用している伝票(例えば注文書、注文請書、検収書)の項目、レイアウト等に沿うように定義するものである。既存の伝票をスキャナ等により読み取り、読み取ったイメージにおける各入力項目に入力可能な入力域を設定できるようにしてもよいし、利用者が画面上で入力項目のパーツ、モジュールなどを組み合わせ自由に伝票を設計できるようにしてもよい。また、物流管理サーバー装置110があらかじめ伝票のひな型を提供するようにしてもよい。
【0044】
(1−1−1−2−4)登録受付部
登録受付部134は、送受信部120を介して、発注者、受注者、運送業者に関する情報(例えば利用者ID)、特定の発注者と受注者間に適用される検収期限の情報などの登録を受け付けるものである。
【0045】
(1−1−1−2−5)利用者認証部
利用者認証部135は、送受信部120を介して受け付けた利用者IDの認証を行うためのものである。利用者IDは利用者認証部135に渡され、利用者認証部135は記憶部140の利用者情報データベース143に当該利用者IDが記録されているか否かの入力チェックを行う。
【0046】
(1−1−1−2−6)タイムスタンプ付与部
タイムスタンプ付与部136は、タイムスタンプを付与する対象のデータ(例えば進捗情報のデータ)に後述するタイムスタンプサーバー装置600を用いてタイムスタンプを付与するものである。タイムスタンプ付与部136は、送受信部120を介して、付与対象のデータをそのままでまたは必要に応じて暗号化したうえでタイムスタンプサーバー装置600に送信してタイムスタンプの発行要求を行うようにしてもよいし、あらかじめ付与対象のデータのハッシュ値を生成してこのハッシュ値に対しタイムスタンプの発行要求を行うようにしてもよい。
【0047】
(1−1−1−2−7)運送業者選択部
運送業者選択部137は、受注者に運送業者を決定する場合などに、運送業者を自動推薦するものであり、利用者情報データベース143を参照して受注者がこれまで依頼した運送業者を優先して表示したり、他の利用者の利用頻度が高い運送業者を優先して表示したり、利用者情報データベース143に運送業者の評価値が記録されている場合、その評価値が高いものを優先して表示するようにしてもよい。
【0048】
(1−1−1−3)記憶部
本実施形態における記憶部140には、進捗情報データベース141、検収情報データベース142、利用者情報データベース143等が格納されている。これらのデータ構造については後述する。
【0049】
(1−1−2)物流管理端末装置
本実施形態における物流管理端末装置150は入力部、出力部、送受信部を備えている。入力部は、物流管理システム100の管理者などが物流管理サーバー装置110に各種データを入力するためのものである。後述する図7のキーボード/マウス92等がこれに該当する。出力部は、物流管理サーバー装置110が格納し処理した情報などを出力するためのものである。後述する図7のディスプレイ91等がこれに該当する。送受信部は、物流管理サーバー装置110との間で、情報、命令等を送受信するためのものであり、後述する図7の通信装置97が該当するが、これに限定されるものではない。
【0050】
(1−2)利用者システムの構成と動作概要
本実施形態における利用者システム(受注者システム200または発注者システム300)は、受注者端末装置250または発注者端末装置350であり、ネットワーク500に接続している。本実施形態では端末装置250または350が物流管理サーバー装置110と直接通信を行う態様を説明し、業務サーバー装置210または310を用いる態様は第2の実施形態で説明する。
本実施形態における端末装置250または350は、少なくとも入力部、出力部、送受信部を備えている。入力部は、物流管理サーバー装置110に送信する各種データを入力するためのものである。後述する図7のキーボード/マウス92等がこれに該当する。出力部は、物流管理サーバー装置110から受信した情報などを出力するためのものである。後述する図7のディスプレイ91等がこれに該当する。送受信部は、物流管理サーバー装置110との間で、情報、命令等を送受信するためのものであり、後述する図7の通信装置97が該当するが、これに限定されるものではない。なお、端末装置250または350は第2の実施形態にて説明する業務サーバー装置における制御部230および記憶部240を備えていてもよい。
受注者端末装置250は、例えば受注者の出荷担当者や経理担当者が操作するものであり、発注者端末装置350は、例えば発注者の購買担当者や経理担当者が操作するものである。なお、受注者端末装置250または発注者端末装置350に代えて、無線によってネットワークに接続することのできるモバイル端末装置260または360を用いてもよい。
【0051】
(1−3)運送業者システムの全体構成と動作概要
運送業者システム400は、運送管理サーバー装置410、運送業者端末装置420がLANによって接続されたものであり、さらにネットワーク500に接続している。
運送管理サーバー装置410は、既に運送業者が利用している運送管理システムを管理するサーバー装置であってもよい。運送業者端末装置420は、例えば運送業者の運転担当者や経理担当者が操作するものであり、この端末装置に代えて、無線によってネットワークに接続することのできるモバイル端末装置430を操作することもできる。
【0052】
(1−4)データ構造
次に、進捗情報データベース141、検収情報データベース142、利用者情報データベース143の各データ構造について以下に説明する。
【0053】
(1−4−1)進捗情報データベース
進捗情報データベース141は、発注、受注、運送、検収その他の物流に関する進捗情報を格納するものであり、発注者の識別情報(発注者ID)、受注者の識別情報(受注者ID)、発注情報、受注情報、検収期限情報(または検収情報データベース142とのリンク情報。図3に示す検収Noなど。)、運送情報(運送完了情報を含む)、検収完了情報等を記憶する。図3に進捗情報データベース141のデータ構造の一例を示す。
【0054】
(1−4−2)検収情報データベース
検収情報データベース142は、検収期限情報を格納するものであり、進捗情報データベースが検収期限情報を含む場合は備えなくてもよいが、図4の(a)または(b)に示すように、検収情報データベースが検収期限または検収期間、発注者の識別情報(発注者ID)、受注者の識別情報(受注者ID)、対象商品の識別情報を予め格納していれば、利用者が発注者ID、受注者ID、商品IDを入力すれば検収期限または検収期間が自動的に特定されるため好ましい。また、受注者と発注者との契約により検収期限を徒過した場合に検収に合格したとみなされるかどうかの情報を含んでいてもよい。なお図4(b)の場合は、検収依頼情報送信部131が図3の運送完了情報(納品日)に検収期間を加算して検収期限を算出するものである。
【0055】
(1−4−3)利用者情報データベース
利用者情報データベース143は、物流管理システム100の利用者(受注者、発注者、運送業者)に関連する情報を記憶しており、利用者を特定する情報、物流管理システム100の利用状況等(利用頻度、納期の厳守状況、他の利用者による評価状況など)を記録しており、利用者が利用状況の一部または全部を参照できるように設定することにより、発注者はどの利用者に発注するか、受注者はどの運送業者に依頼するか、等の参考にすることができる。
【0056】
(1−5)処理
図2は、各システム間の情報のやり取りの流れの一例を示す模式図であり、図中の(1)→(1)’→(2)→(2)’→・・・のように情報が送受信されることを示す。
これを物流管理プログラム952によるCPU93の処理として、図5を用いて説明する。なお物流管理プログラムとは、本発明の物流管理サーバー装置の制御部の各構成を実現する、すなわち本発明における各機能を実現させるプログラムである。CPU93は物流管理プログラム952およびオペレーティングシステム951により図5の処理を行うが、その一部または全部の処理が物流管理プログラム952単体により行われるようにしてもよい。
【0057】
(1−5−0)入出力画面定義処理(図2および図5には図示せず)
利用者が利用者システム200、300または400を用いて入出力画面定義処理の実行を要求すると、入出力画面定義部133は、あらかじめ記憶部140に格納されている入出力域を表示し入出力域として機能するモジュール群を提示し、利用者の選択を受け付ける。利用者はこれらのモジュールを選択し組み合わせることにより、利用者が既に使用している伝票の項目、レイアウト等に沿うように、物流管理サーバー装置が出力する入出力画面を定義することができる。
【0058】
(1−5−1)発注情報受付処理
発注者は発注者システム300(本実施形態では発注者端末装置350。以下同じ。)を用いて発注者ID、宛先である受注者ID、発注情報を入力し物流管理システム100に送信する。物流管理システム100の物流管理サーバー装置110のCPU93は、送受信部120を介してこれらの情報を受信し進捗情報データベース141に格納し、送受信部120を介して宛先である受注者システム200(本実施形態では受注者端末装置250。以下同じ。)に発注情報を送信する(ステップS100)。
【0059】
(1−5−2)受注情報受付処理
受注者は、受信した発注情報を参照して、受注するか否かを決定し受注者システム200から物流管理サーバー装置110に受注情報を送信する。物流管理サーバー装置110のCPU93は、送受信部120を介してこの受注情報を受信し進捗情報データベース141に格納し、送受信部120を介して発注者システム300に受注情報を送信する(ステップS110)。物流管理サーバー装置110のCPU93は、受注情報に受注者が受注した旨を示す情報が含まれているかどうかを判断し、含まれている場合には運送依頼情報受付のために待機し、含まれていない場合には新たな発注情報受付のために待機状態をとる(ステップS120)。
【0060】
(1−5−3)運送依頼情報受付処理
受注者は、受注した商品を運送するために運送業者を選択し、選択した運送業者宛に運送依頼を行うため、受注者システム200から物流管理サーバー装置110に運送依頼情報を送信する。物流管理サーバー装置110のCPU93は、送受信部120を介してこの運送依頼情報を受信し進捗情報データベース141に格納し、送受信部120を介して運送業者システム400に運送依頼情報を送信する(ステップS130)。
【0061】
(1−5−4)運送情報受付処理
運送業者は、運送依頼を受け、受注者から商品を集荷し、発注者への運送を開始する。運送業者システム400は、運転担当が所持するモバイル端末装置430等により随時運送情報を収集しており、この運送情報を物流管理サーバー装置110に送信する。物流管理サーバー装置110のCPU93は、送受信部120を介してこの運送情報を受信し進捗情報データベース141に格納しており、受注者システム200または発注者システム300から運送状況の問合せがあったときは、送受信部120を介して問合せのあったシステムに運送情報を送信する(ステップS140)。
受信した運送情報が運送完了情報であった場合には、物流管理サーバー装置110のCPU93は通常の運送情報と同様に進捗情報データベース141に格納するとともに、続く検収依頼情報送信処理を実行し、それ以外であれば運送情報を受け付けるために待機する(ステップS150)。
【0062】
(1−5−5)検収依頼情報生成・送信処理
物流管理サーバー装置110のCPU93は、運送完了情報を受信した旨を示す情報を受け取ると、進捗情報データベース141と検収情報データベース142とを参照して、発注者端末装置350宛の検収依頼情報(検収情報データベース142から抽出した検収期限情報を含む)を生成し、これを発注者システム300に送信する(ステップS160)。
【0063】
(1−5−6)検収完了情報受付処理
発注者は、受信した検収依頼情報にしたがって受領した商品の検収を行い、検収完了情報を発注者システム300から物流管理サーバー装置110に送信する。物流管理サーバー装置110のCPU93は、発注者システム300から送信された検収完了情報を受信し、進捗情報データベース141に格納し、受注者システム200にこの検収完了情報を送信する(ステップS170)。
【0064】
以上、本実施形態にかかる物流管理サーバー装置および検収完了情報の格納方法によれば、利用者が使いやすい入出力画面を定義したうえで、発注者の検収完了入力を促進させることができるので受注者が発注者の検収完了を迅速に把握することができる。
【0065】
(1−6)変形例
以下に示す変形例は他の実施形態にも適用できる。
(1−6−1)タイムスタンプサーバー装置利用
本実施形態ではさらにタイムスタンプサーバー装置を利用してもよく、例えば進捗情報データベース141に格納される情報にタイムスタンプを付与することができる。
タイムスタンプサーバー装置600は、他のシステムまたは装置(以下、依頼システム等といい、本実施例では物流管理サーバー装置110が該当する。)からタイムスタンプの発行要求を受けてタイムスタンプを生成するサーバー装置である。
ここで、タイムスタンプとは、対象とするデータ(例えば進捗情報)に正確な時刻情報を付与し、その時刻情報が示す時点でのデータの存在と非改ざんを証明する情報であり、例えば、公開鍵暗号基盤(PKI)に基づいて、対象となるデータのハッシュ値に時刻情報を付与し電子署名を行ったものが挙げられる。ハッシュ値は、予め定められたハッシュ関数により対象とするデータに基づいて演算される情報であり、タイムスタンプサーバー装置600で生成することもできるし、依頼システム等で生成したものを用いることもできる。なお、本実施形態では、電子情報の固有情報にハッシュ値を用いることとするが、対象とするデータに固有の情報であれば他の情報を用いてもよい。
これらにより本実施形態でやり取りされるデータの時刻情報の信頼性を高めることができるため好ましい。
【0066】
2.第2の実施形態(利用者システムにおいて業務サーバー装置を利用する態様)
本実施形態は、受注者システム200が受注者端末装置250および受注者業務サーバー装置210で構成されており、かつ発注者システム300が発注者端末装置350および発注者業務サーバー装置310で構成されている点で第1の実施形態と異なる。この点以外は同様であり、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付しその説明を省略する。以下、順に説明する。
【0067】
(2−1)物流管理システムの全体構成と動作概要
物流管理サーバー装置110が端末装置250または350と通信せず、業務サーバー装置210または310と通信すること以外は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
(2−2)利用者システムの全体構成と動作概要
本実施形態における利用者システム(受注者システム200および発注者システム300の両方を含む。以下、主に受注者システム200について説明するが、特に断らない限り発注者システム300の各要素(図中カッコ書きで示す)についても同様である。)は、受注者業務サーバー装置210および受注者端末装置250または発注者業務サーバー装置310および発注者端末装置350がLANによって接続されたものであり、さらにネットワーク500に接続している。本実施形態は業務サーバー装置210または310が物流管理サーバー装置110と通信を行う態様である。本実施形態における端末装置250または350は、物流管理サーバー装置110と通信を行わず、それぞれ業務サーバー装置210または310と通信を行うこと以外は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0069】
(2−2−1)業務サーバー装置
本実施形態における受注者業務サーバー装置210は、送受信部220と、制御部230と、記憶部240とを備えている。さらに通常の入力部、出力部を備えていてもよいがここでは省略する。以下、順に説明する。
【0070】
(2−2−1−1)送受信部
本実施形態における受注者業務サーバー装置210の送受信部220は、物流管理システム100や発注者システム300、運送業者システム400、サービス提供装置700、タイムスタンプサーバー装置600等の他のシステムまたは装置との間で、情報、命令等を送受信するためのものである。
【0071】
(2−2−1−2)制御部
本実施形態における受注者業務サーバー装置210の制御部230は、受注者端末装置250、発注者システム300、運送業者システム400等から受信した各種情報を記憶部240に記憶するための制御や、それら受信した情報を適切なシステムまたは装置等に転送するための制御や、それらの情報に基づいて演算を行うものである。
制御部230は、以下に説明する情報取得部231、販売情報管理部232を物理的または論理的に備えており、好ましくは、契約情報抽出部233、スケジュール管理部234を物理的または論理的に備える。
【0072】
(2−2−1−2−1)情報取得部
情報取得部231は、送受信部220を介して、リアルタイムにまたは必要に応じて物流管理サーバー装置110から進捗情報を取得する。取得した進捗情報は、記憶部240に格納してもよいし格納しなくてもよいが、受注者端末装置250に送信されたり、販売情報管理部232、スケジュール管理部234等に渡されたりする。これらの各装置または各部は受信した進捗情報を加工したり、ディスプレイや紙などの媒体に出力したりすることができる。これにより、受注者は、物流管理サーバー装置から物流に関する進捗状況をリアルタイムにまたは必要に応じて取得することができ、各種システムにこれらの進捗状況の情報を渡して加工して利用することができる。
【0073】
(2−2−1−2−2)販売情報管理部
販売情報管理部232は、情報取得部231が取得した進捗情報が検収完了情報であった場合、販売情報データベース241を参照して売上計上処理を開始する。販売情報管理部232としては、公知のERP(Enterprise Resource Planning)システム(特に販売管理システム)を用いることができる。受注者は、把握した検収完了の情報をもとに、リアルタイムに検収基準に則った売上計上処理を行うことができる。
【0074】
(2−2−1−2−3)契約情報抽出部
契約情報抽出部233は、契約情報データベース242を参照して、検収期限等、検収に関する情報を抽出し、物流管理サーバー装置110に送信する。利用者は検収期限等の情報を入力する必要がない。また契約に関する情報すべてを物流管理サーバー装置に送信または格納するものではないので、重要な情報を外部に流出させるリスクを減じることができる。
【0075】
(2−2−1−2−4)スケジュール管理部
スケジュール管理部234は、情報取得部231が取得した進捗情報を、公知のスケジューラ(下記ポータル、グループウェアシステムを含む)に登録する。受注者は、日常使用しているポータル、スケジューラ等を参照するだけで進捗状況を確認することができる。
<ポータル・グループウェア>
利用者が常時利用する(目にしている)システムをポータルと呼ぶが、これは利用者が常時利用するシステムであり、利用者の業務内容によって異なるものの、例えばグループウェア、スケジューラなどをメインとするものが一般的である。
グループウェアは、主に情報共有を目的としたシステムであって、電子メール機能、電子掲示板機能、電子会議室機能、ワークフロー機能等を有する。
スケジューラは個人的または企業等のメンバーのスケジュールを管理するためのシステムであって、グループウェアシステムに組み込まれていることもある。
本実施形態による利用者システム200または300は、ポータル上で動作するように構成されていることが好ましい。また、公知のワークフローシステムを用いて、物流管理サーバー装置110から受信した発注情報に関し、受注するか否かなどの申請承認を行うこともできる。このように、利用者は、日常使用しているポータル、スケジューラ等を参照するだけで進捗状況を確認したり意思決定を行うことができる。
【0076】
(2−2−1−3)記憶部
本実施形態における記憶部240には、販売情報データベース241、契約情報データベース242等が格納されている。これらのデータ構造については後述する。
【0077】
(2−3)運送業者システムの全体構成と動作概要
第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
(2−4)データ構造
販売情報データベース241は、公知のERPシステム(特に販売管理システム)に用いる販売データから構成され、既存のシステムのデータを用いることもできる。
また、契約情報データベース242は、契約に関する様々な情報(例えば契約当事者、契約の種類、契約の対象、検収期限、契約の有効期限など)が格納されているものであるが、少なくとも契約当事者と対象商品の検収期限の情報が格納されていればよく、利用者が既に保有している契約情報に関するデータを用いることもできる。
【0078】
(2−5)処理
受注者業務サーバー装置210のCPUが実行する処理について、図6を用いて説明する。
受注者業務サーバー装置210のCPUは、送受信部220を介して、受信した発注情報を受注者端末装置250に送信し(ステップS200)、受注者は受注するか否かを決定し受注者端末装置250から受注者業務サーバー装置210に受注情報を送信する。受注者業務サーバー装置210のCPUは、送受信部120を介してこの受注情報を受信し、物流管理サーバー装置110に送信する(ステップS210)。
受注者業務サーバー装置210のCPUは、受注情報に受注者が受注した旨を示す情報が含まれている場合には運送業者システム400に運送依頼を行うための情報を生成する準備を行い、含まれていない場合には新たな発注情報受付のために待機状態をとる(ステップS220)。
受注者は、受注した商品を運送するために運送業者を選択し、選択した運送業者宛に運送依頼を行うため、受注者端末装置250から受注者業務サーバー装置210に運送依頼情報を送信し、受注者業務サーバー装置210のCPUは、送受信部120を介してこの運送依頼情報を受信し物流管理サーバー装置110に送信する(ステップS230)。
物流管理サーバー装置110は第1の実施形態と同様、運送業者システム400に運送依頼情報を送信する。運送業者は、第1の実施形態と同様、運送情報を物流管理サーバー装置110に送信する。物流管理サーバー装置110は、受注者業務サーバー装置210から運送状況の問合せがあったときは、運送情報を送信し、受注者業務サーバー装置210はこれを受信し、受注者端末装置250に転送する(ステップS240)。受信した運送情報が運送完了情報であった場合には、販売情報管理部232により着荷基準にしたがって売上計上処理を行うようにしてもよい。物流管理サーバー装置110は第1の実施形態と同様、運送完了情報を受信すると検収依頼情報を生成し発注者システム300に送信する。発注者はこれに従って検収を行い検収完了情報を物流管理サーバー装置110に送信する。
受注者管理サーバー装置210のCPUは、物流管理サーバー装置110から送信された検収完了情報を受信すると(ステップS250)、販売情報データベース241を参照して売上計上処理を開始する(ステップS260)。
【0079】
本実施形態によれば、利用者(特に受注者)は物流管理サーバー装置から物流に関する進捗状況を即時にまたは必要に応じて取得することができるので、他のシステムにこれらの進捗状況の情報を渡して加工して利用することができ、特にリアルタイムに検収基準に則った売上計上処理を行うことができる。また、例えば利用者の本社に業務サーバー装置を設置し、支社に端末装置を設置することにより、本社側で一元管理することもできる。さらに、契約情報に関するデータベースを有している場合、当該情報の中から検収期限等、検収に関する情報を抽出し、物流管理サーバー装置に送信するので、利用者は検収期限等の情報を入力する必要がない。
【0080】
(2−6)変形例
以下に示す変形例は他の実施形態にも適用できる。
(2−6−1)サービス提供装置利用
サービス提供装置700は、利用者が所有していない他のシステム上(本実施例では利用者システム以外)に導入されたソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用する形態のサービス(SaaS:Software as a Service)を実現するものである。このような装置によれば、一般に、利用者側で特定のアプリケーションやそれを運用するためのハードウェアを準備するコストを低減できたり、サービス規模に柔軟に対応できたりするなどのメリットがある。提供されるサービスとしては、自ら運用する(オンプレミスの)販売管理システム、CRMシステム、ワークフローシステム、スケジューラシステムなどに相当するサービスがある。
このようなサービス提供装置を、前述の販売情報管理部やスケジュール管理部に代えて用いることができ、これにより上記メリットを享受することができ、本発明では、物流管理システムの利用と併用することにより、利用者システム側をさらに簡易なコンピューターシステムにすることができるため特に好ましい。
【0081】
3.ハードウェア・ネットワーク構成例
まず上記各実施例で用いられているハードウェアの構成について、図1の物流管理サーバー装置110を例に挙げて以下に説明する。
【0082】
図1の物流管理サーバー装置110を、コンピューター9を用いて実現した場合のハードウェア構成の一例を図7に示す。図7に示すように、ハードウェア構成は一般的なパソコンと同様である。
図7において、物流管理サーバー装置110の制御部130に相当するCPU(中央演算処理装置)93には、図1では図示しない出力部に相当するディスプレイ91、同じく図1では図示しない入力部に相当するキーボード/マウス92、メインメモリ94、記憶部140に相当するハードディスクドライブ95、リムーバブルドライブ(例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ)96、通信装置97、がバス98を介して接続されている。以下、順に説明する。
【0083】
CPU93は、メインメモリ94にロードされたプログラムを実行する。CPU93は、プログラムに従い、キーボード/マウス92、ハードディスクドライブ95、リムーバブルドライブ96、通信装置97等からデータを受け取り、所定の演算を行い、各装置の制御を行う(例えば、ディスプレイ91に画面表示させ、ハードディスクドライブ95に演算結果を記憶させる)。
ディスプレイ91は、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等を表示する。
キーボード/マウス92は利用者からの様々な操作指示・命令、データを入力するために用いられる。
メインメモリ94は、オペレーティングシステム(OS)やプログラム、データを一時記憶する記憶領域である。一時記憶するという意味において、メインメモリ94は記憶部140に相当する場合がある。
ハードディスクドライブ95には、本発明に用いられる物流管理プログラム952、進捗情報データベース141、検収情報データベース142、利用者情報データベース143、オペレーティングシステム951等が記憶されている。本発明に用いられるプログラム952は、例えばリムーバブルドライブ96を介してリムーバブルメディア961からインストールされたものであるが、通信装置97を用いネットワークを介してダウンロードされてもよい。
リムーバブルドライブ96には、DVD−ROMやCD−ROM、メモリーカード、USBメモリ等のリムーバブルメディア961が挿入可能であり、リムーバブルメディア961からプログラムやデータを読み込み、またリムーバブルメディア961にプログラムやデータを書き込むことも可能である。
通信装置97は、ネットワークに接続するためのインターフェースであり、例えばLANポート、モデム、無線LAN、ルーター等で構成される。
物流管理サーバー装置110を上記のように説明したが、本発明はこれに限られない。上記例では、物流管理プログラムが格納されているのと同一のコンピューター上にデータベースが格納されている例を示したが、例えば、アプリケーションサーバー装置とデータベースサーバー装置のように、それぞれ別のコンピューター上に格納されネットワークを介して通信する構成であってもよい。
【0084】
また、本発明に用いられる他の装置(受注者端末装置250、発注者端末装置350、業務サーバー装置210または310等)のハードウェア構成も上記と同様であり、本発明に用いられるプログラムをインストールして前記入力部、出力部、送受信部、制御部および記憶部の各部を実現しうるものであれば特に制限することなく用いることができる。なお、特に端末装置については、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット端末装置や電子ペーパーとして実用化が進められている表示装置等のモバイル端末装置も用いることができる。本発明において、このようなモバイル端末装置を用いれば、納品された商品を検収するとき、その商品のパッケージに付された標識(例えば、バーコードや、商品名、ロゴなどに加え、RFID(Radio Frequency Identification)タグなども含む。)を当該端末装置の画像認識手段(カメラ)によって商品を特定し、その商品の検収が完了したとき、当該端末装置で検収完了の入力(例えば、画面に表示された検収完了ボタンを押下)を行えば、検収のその場で、検収完了情報を入力することができ、簡便に検収を完了することができる。
【0085】
次に図1の物流管理システム100、利用者システム200または300を、コンピューターおよび通信制御装置等を用いて実現した場合のネットワーク構成の一例を図8に示す。図中、通信制御装置の例としてルーター51を示したが、ハブ、スイッチ等は図示していない。また、図8において、図1および図7と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。以下に説明する。
【0086】
物流管理サーバー装置110は上述のとおり公知の装置で実現することができるが、物流管理サーバー装置110が備える各部を実現し得るサーバー装置機能としては、例えばデータベースサーバー装置、アプリケーションサーバー装置、Webサーバー装置、メールサーバー装置、ファイルサーバー装置等およびこれらの組み合わせがある。これらのサーバー装置機能は図8に挙げるような複数のサーバー装置に分散されていてもよいし、一台のサーバー装置で実行されてもよい。一例として、物流管理プログラム952がインストールされたアプリケーションサーバー装置と、進捗情報、利用者情報、運送業者情報等を記憶するデータベースサーバー装置と、ネットワークとの接続を行うWebサーバー装置で構成される例が挙げられる。さらに、Webサーバー装置には複数のアプリケーションサーバー装置の負荷分散を行うミドルウェアが含まれていてもよい。
【0087】
端末装置150、250および350等は、物流管理サーバー装置110、業務サーバー装置210または310に要求・命令を行い、これらのサーバー装置から送信される画面データを表示する機能等が実装されていればよく、前述のとおり公知のコンピューターで実現することができるが、例えば本実施の形態ではWebブラウザを備えたコンピューターを用いる。
【0088】
また、ファイアウォールを用いてアクセス制御や監視を行い、図示しないがNAT(Network Address Translation)を用いて、グローバルIPアドレスとプライベートアドレスの変換を行ってもよい。物流管理サーバー装置110の一部をデータベースサーバー装置で実現している場合や、業務サーバー装置210または310は、セキュリティ上、これらのサーバー装置は公開Webサーバー装置等と同じDMZ(DeMilitarized Zone)等のネットワーク領域には配置せず、LANに配置するのが好ましい。さらにセキュアにするためにDMZとLANの間にさらに別のファイアウォールを設けてもよい。
各装置間の通信は、HTTP、FTP等のプロトコルにより行うことができる。セキュリティのため、通信をSSL(Secrure Sochet Layer)で暗号化することも好ましい。なお、物流管理サーバー装置110がその記憶部に記憶するデータを暗号化する暗号化部を有していてもよい。
【0089】
各端末装置はネットワークを介してサーバー装置にアクセスし、サーバー装置は要求された命令を行い、データベースサーバー装置等に記憶されている各種データを用いて生成した画面表示用データ(例えばWebページ)を端末装置に送信する。端末装置はこれを受信し、例えばWebブラウザ等のプログラムによって画面表示を行う。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限るものではなく、例えば論理回路等のハードウェアで実現してもよい。本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
なお、本発明における各部、ファイル、テーブル、データベースは、その機能、データが論理的に区別されていることを示すものであって、物理上または事実上は同一の領域にあってもよいし、異なった領域であってもよく、特に限定するものではない。
また、前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボード等の機能とともに、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述の実施形態の範囲に含まれる。
【0091】
また、本発明におけるシステムは図1の形態に限定されるものではなく、各部は端末装置、サーバー装置のいずれに配置されていてもよい。例えば、記憶部は別途データベースサーバー装置に配置されていることが好ましい。また、利用者認証部131は、別途認証サーバー装置上に設けられていてもよい。さらに、各部に対応するプログラムの一部が端末装置に記憶されていることも好ましい。これは端末装置として、ネットワークに接続できない場合があり得るモバイル端末装置等を採用する際に好適である。例えばモバイル端末装置がネットワークに接続できないときはモバイル端末装置側で処理を行い、接続可能になってから、端末装置に備えられたサーバー装置同期部がサーバー装置側と処理結果の同期を取る。これによりネットワークが利用できない場合があっても本発明のシステムを利用することができる。
さらに、本発明におけるシステムは、公知のクライアント/サーバー装置型、Webクライアント型、リッチクライアント型等いかなるシステム形態をとっていてもよいが、本発明では多数の端末装置の管理が容易になる点でWebクライアント型またはリッチクライアント型が好ましい。
【0092】
本明細書における用語の説明を以下に示す。
「情報」とは、当該情報に解釈されるデータをも含む概念であり、「命令」とはコンピューターに対する処理の依頼である。
「入力部」とは、データまたは命令を制御部に与えるためのインターフェースをいい、本発明の目的を達成しうるものであれば特に限定しない。例えばキーボード、ポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル、音声入力装置など、人間とのインターフェースとなるものだけでなく、インターフェース回路、通信装置など、他のプログラム、コンピューター、装置等とのインターフェースとなるものを採用することができる。
【0093】
「出力部」とは、データまたは命令の出力を実現する装置、回路等のインターフェースをいい、本発明の目的を達成しうるものであれば、特に限定しない。例えばディスプレイ、プリンター、音声出力装置など、人間とのインターフェースとなるものだけでなく、インターフェース回路、通信装置など、他のプログラム、コンピューター、装置等とのインターフェースとなるものを採用することができる。
ここで「出力」とは、表示、印刷だけでなく、他のプログラムや装置等に出力内容をデータまたは命令として与える場合も含む概念である。
【0094】
「制御部」とは、装置またはシステムの全体を制御し、および入力部で入力された命令、指示、データ、記憶部に格納されたデータ等を基に演算を行う装置、回路等をいう。制御部としては本発明の目的を達成しうるものであれば特に限定しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を採用することができる。制御部は、少なくとも後述の各部を物理的または論理的に備えるものであり、各部がそれぞれ単独の装置、回路等で実現されていてもよい。
【0095】
「記憶部」とは、各種の情報や、情報および命令が記述されたプログラム等を記憶する装置、回路等をいい、本発明の目的を達成しうるものであれば特に限定しない。
例えば、主に半導体メモリが用いられる一次記憶装置、主にハードディスクドライブや半導体ディスクが用いられる二次記憶装置(補助記憶装置)、主にCD−ROMドライブ等リムーバブルメディアドライブが用いられるオフラインストレージ、テープライブラリ等、必要に応じて自動的に記憶媒体をドライブに挿入および除去する機構を有する装置である三次記憶装置など、公知の記憶装置等を用いることができる。
さらに具体的には、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、ZIPドライブ、テープストレージ等、磁気記録媒体を用いる磁気記憶装置の他に、レジスタ、キャッシュメモリ、ROMやRAM、フラッシュメモリ(例えばUSBメモリ)、半導体ディスク(例えばRAMディスク、仮想ディスク)などの半導体メモリを利用する記憶回路または記憶装置や、CD、DVD等の光学記録媒体、MO等の光磁気ディスクを利用する光学記憶装置、その他紙テープやパンチカード等を利用する記憶装置、PRAM(phase change RAM、相変化メモリ)と呼ばれる相変化記録技術を用いた記憶装置、ホログラフィックメモリ、3次元光メモリを用いた記憶装置、電荷の蓄積を分子レベルで行い情報を記憶する分子メモリを用いた記憶装置等を採用することができる。なお、三次記憶装置は二次記憶装置に記憶されたデータを保管する用途に用いることができる。
なお、「記憶」とは、本発明の装置に情報および命令を記憶する場合だけでなく、他のハードウェア資源(例えば、本発明に用いられる端末装置内の記憶装置や他システム内の記憶装置)にコンテンツ情報ファイルやその他のデータが分散して記憶されこれらにアクセスできる場合も含む。例えば、記憶部として、別途データベースサーバー装置を利用する場合、ネットワーク接続ストレージ(Network Attached Storage(NAS))を利用する場合、ストレージエリアネットワーク(Storage Area Network(SAN))によりストレージ機器を利用するような場合も含まれる。
また、「データベース」とは、データベース管理システム(DBMS)によって作成されたデータファイルに限られず、汎用的なファイル形式も含めたデータの集合を意味し、例えばテーブルを含む。
【0096】
「送受信部」とは、装置外部とのデータの送受信を実現する装置、回路をいい、本発明の目的を達成しうるものであれば、特に限定しない。例えばLANポート、モデム、無線LAN、ルーター等の、通信装置、ネットワークに接続するためのインターフェースである。
「ネットワーク」はインターネット等のオープンネットワーク、LAN(Local Area Network)等のクローズドネットワーク、それらの組合せのイントラネット等の如何なるものであってもよく、有線、無線いずれでもよい。
【0097】
「プログラム」とは、コンピューターによって直接実行可能なものだけでなく、ソースコードや、ハードディスクドライブなどにインストールすることによって実行可能となるものや機能を実現させるプログラムも含む概念である。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む概念である。
なお、「機能を実現させるプログラム」とは、機能を実現する実行モジュールが静的にメモリに展開され動作するものだけでなく、実行オブジェクトが所定のタイミングで動的に生成されるオブジェクト指向プログラムなど、実行モジュールが動的に生成されるプログラムを含む。モジュールとは、単独でコンパイルできるプログラムの最小単位のことをいい、例えば関数やサブルーチンであるが、本発明ではオブジェクト指向プログラムでいうオブジェクトも含む概念である。
また、プログラムは1つのコンピューター(サーバー装置等)にインストールしてもよいし、機能毎に異なる2以上のコンピューターにインストールしてもよい。例えば、利用者認証機能を実現させるためのプログラム(モジュール)については、利用者認証サーバー装置にインストールし、その他の機能を実現させるためのプログラムについてはWebアプリケーションサーバー装置にインストールする、などが挙げられ、公知の分散方法に従って複数のコンピューターにインストールすることができる。このような分散方法の一例としてリッチクライアント技術がある。リッチクライアント技術では、必要に応じてプログラムをサーバー装置からダウンロードし、端末装置で処理を実行させる。
本発明の装置は、1または2以上のコンピューターの記憶部または記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピューターがそのメインメモリに読み出し、実行することによって実現される。したがって、このプログラム自体およびこのプログラムを記憶した記憶媒体も本発明を構成する。
【0098】
「リッチクライアント」とは、公知のものを指し、特に限定するものではないが、一般に次のような概念をいう。
Webブラウザを利用するWebシステムでは、HTMLの制約上、ユーザーインターフェースに種々の制約がある。そこで、表現力のあるユーザーインターフェースを実現するため、リッチクライアント技術が開発されている。リッチクライアント技術とは、Web技術(例えば、HTTP通信、Cookie)を利用しつつも、一般的なローカル環境で動作するアプリケーションと同等のユーザーインターフェースを実現することができる技術のことをいい、リッチクライアントとは、その技術が利用された端末装置のことをいう。リッチクライアントの実現には、公知の方法を採用することができるが、例えば、端末装置がサーバー装置から必要に応じてアプリケーションをダウンロードして実行できるように実装する。具体的には、端末装置にWebブラウザを用い、端末装置は、HTMLファイルにJavaScriptで記述したクライアントアプリケーションをサーバー装置からダウンロードして起動する。クライアントアプリケーションは必要に応じて(例えば非同期で)サーバー装置に処理を要求して結果を取得することができる。これは一般にAjax(Asynchronous JavaScript + XML)として知られている。これにより、HTMLのみで実現するWebクライアントとは異なり、ページ全体でなくページの一部のみを更新することができるなど、表現力や操作性が向上する。
「Webシステム」とは、公知のものを指し、特に限定するものではないが、一般に端末装置にWebブラウザを搭載し、そのWebブラウザがサーバー装置(Webアプリケーションサーバー装置)とデータ通信を行うことで、様々な処理を実現するシステムの総称である。
【0099】
「広告表示部」とは、Webシステム上で利用者の検索行為に応じて適切な広告が表示されるような機能を実現する装置、回路をいい、本発明の目的を達成しうるものであれば、特に限定しない。例えば、広告情報が予め記憶部に記憶されており、当該広告情報にはメタ情報(例えばタグ)が付与されており、広告表示部は、利用者が入力した検索キーワードを取得し、当該キーワードと一致または類似するメタ情報を含む広告情報を抽出し、表示する。
【0100】
本発明の装置では、利用者を特定するために「利用者認証」処理を実施する。即ち、利用者IDやパスワードなどの個人情報の入力を促し、その個人情報を照合することで個人認証を実施する。
このような利用者認証処理は、装置およびシステム毎に実施されるのが一般的であるが、特にWebシステムの場合、異なるWebシステムを利用する毎に、利用者IDやパスワードなどの個人情報の入力を促すのは、利用者にとって煩雑であるため、一度の利用者認証処理で複数のWebシステムに対するアクセスを実現する「シングルサインオン」の技術が公知である。
このシングルサインオンの技術を搭載しているシングルサインオンシステムでは、認証処理装置が認証済みを保証する認証情報を発行し、端末装置のWebブラウザがWebアプリケーションサーバー装置とデータ通信を実施する際、その認証情報を含むデータをWebアプリケーションサーバー装置に送信し、Webアプリケーションサーバー装置はデータに含まれている認証情報を参照して、認証済みであることを確認する。
なお、識別情報(ID)は対象を特定できる情報であれば特に限定するものではないが、例えば対象の名称や対象を示すコードが挙げられる。
【0101】
「ファイアウォール」とは、公知のものを指し、特に限定するものではないが、一般に外部から内部ネットワーク(LAN)に侵入されるのを防ぐために、当該ネットワークの外部と内部との通信を制御するシステム、または当該システムが組みこまれたコンピューター、ルーターもしくは専用ハードウェアをいう。ファイアウォールには、例えば、パケットフィルタリング型やアプリケーションゲートウェイ型と呼ばれる方式がある。パケットフィルタリング型は、パケットの送信先、送信元についてIPアドレスおよびポート番号を監視し、あらかじめ設定した条件に基づいて、特定の通信の許可・不許可を行うものである。アプリケーションゲートウェイ型は、通信を中継するプログラム(プロキシプログラム)を用いて、ネットワーク内部のコンピューターが外部と直接通信することなく、外部との通信は全てプロキシプログラム(プロキシサーバー装置)に代理させることによって、外部との通信を制御するものである。
なお、ファイアウォールにより、一般に「DMZ」(DeMilitarized Zone、非武装地帯)と呼ばれる、ファイアウォールによって外部ネットワークからも内部ネットワークからも隔てられたネットワークを設けることができ、ここに公開用のWebサーバー装置等を設置することができる。
【0102】
「ルーター」とは、公知のものを指し、特に限定するものではないが、ネットワークと他のネットワークを接続して、パケットを中継する装置をいい、宛先へのルートを決定してパケットを配送するものである。
【0103】
「VPN(Virtual Private Network)」とは、公知のものを指し、特に限定するものではないが、仮想的な私設ネットワークをいい、暗号化技術や認証技術を利用して構築される。例えば、IPsecによるパケットの暗号化によるVPNが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、検収基準に対応した会計システムを実現する一手段として利用することができる。特に、オンプレミスの既存の検収基準に対応していない会計システムを検収基準に対応させることに利用できるとともに、あるいはオンプレミスのシステムに代えてASPやSaaS等に代表されるネットワーク上の検収基準に対応した会計サービスとして利用することもできる。
【符号の説明】
【0105】
100 物流管理システム
110 物流管理サーバー装置
120 送受信部
130 制御部
131 検収依頼情報送信部
132 進捗情報受付部
1321 発注情報受付部
1322 受注情報受付部
1323 運送依頼情報受付部
1324 運送情報受付部
1325 検収完了情報受付部
133 入出力画面定義部
140 記憶部
141 進捗情報データベース
142 検収情報データベース
143 利用者情報データベース
200 受注者システム
210 受注者業務サーバー装置
220 送受信部
230 制御部
231 情報取得部
232 販売情報管理部
233 契約情報抽出部
240 記憶部
250 受注者端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の、受注者コンピューター、発注者コンピューターおよび運送業者コンピューターとネットワークを介して接続される物流管理サーバー装置であって、
前記物流管理サーバー装置は、送受信部と制御部と記憶部とを備え、
前記記憶部は、
発注、受注、運送、検収その他の物流に関する進捗情報を格納する進捗情報データ ベースと、
検収期限情報を格納する検収情報データベースと、
を備え、
前記制御部は、
前記送受信部を介して、利用者が前記各コンピューターを用いて、前記記憶部にあ らかじめ格納されたモジュールを組み合わせることにより、入出力画面を定義する 入出力画面定義部と、
前記送受信部を介して、前記受注者コンピューターと前記発注者コンピューターと 前記運送業者コンピューターとの間で前記進捗情報を送受信し、前記進捗情報デー タベースに格納する進捗情報受付部と、
前記進捗情報受付部が前記運送業者コンピューターから送信される運送完了情報を 受信すると、前記進捗情報データベースと前記検収情報データベースとを参照して 前記検収期限情報を含む前記発注者コンピューター宛の検収依頼情報を生成し、前 記送受信部を介して該発注者コンピューターに送信する検収依頼情報送信部と、
を備え、
前記進捗情報受付部は、
前記検収依頼情報に応じて前記発注者コンピューターから送信された検収完了情 報を受信し、前記進捗情報データベースに格納し、前記受注者コンピューターに 該検収完了情報を送信する、検収完了情報受付部を備える
ことを特徴とする、物流管理サーバー装置。
【請求項2】
前記進捗情報受付部は、
前記発注者コンピューターから前記受注者コンピューター宛の発注情報を受信し 、該発注者コンピューターの識別情報、該受注者コンピューターの識別情報およ び該発注情報を前記進捗情報データベースに格納し、前記受注者コンピューター に該発注情報を送信する発注情報受付部と、
前記受注者コンピューターから前記発注情報に対する前記発注者コンピューター 宛の受注情報を受信し、該受注情報を前記発注情報に関連付けて前記進捗情報デ ータベースに格納し、前記発注者コンピューターに該受注情報を送信する受注情 報受付部と、
前記受注者コンピューターから運送依頼情報を受信し、該運送依頼情報を前記受 注情報に関連付けて前記進捗情報データベースに格納し、前記運送業者コンピュ ーターに該運送依頼情報を送信する運送依頼情報受付部と、
前記運送業者コンピューターから運送完了情報を含む運送情報を受信し、該運送 情報を前記受注情報に関連付けて前記進捗情報データベースに格納する運送情報 受付部と
を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の物流管理サーバー装置。
【請求項3】
前記物流管理サーバー装置とネットワークを介して接続される前記受注者コンピューターであって、
前記受注者コンピューターは、送受信部と制御部と記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記送受信部を介して、前記物流管理サーバー装置から前記進捗情報を取得する情 報取得部を備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の受注者コンピューター。
【請求項4】
前記記憶部は、
商品名、価格その他の販売に関する情報を記録する販売情報データベースを備え、
前記制御部は、
前記情報取得部が前記検収完了情報を取得した場合、前記販売情報データベースを 参照して売上計上処理を開始する販売情報管理部を備える
ことを特徴とする、請求項3に記載の受注者コンピューター。
【請求項5】
前記記憶部は、
検収期限その他の検収に関する情報を含む契約情報を記録する契約情報データベー スを備え、
前記制御部は、
前記契約情報データベースを参照して前記検収に関する情報を抽出し、前記物流管 理サーバー装置に送信する契約情報抽出部を備える
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の受注者コンピューター。
【請求項6】
1または複数の、受注者コンピューター、発注者コンピューターおよび運送業者コンピューターとネットワークを介して接続され、送受信部と、制御部と、発注、受注、運送、検収その他の物流に関する進捗情報を記録する進捗情報データベースおよび検収期限情報を記録する検収情報データベースを備える記憶部とを備える物流管理に用いるコンピューターに、前記発注者コンピューターから送信される検収完了情報を格納する方法であって、
前記制御部が、前記受注者コンピューター、発注者コンピューターまたは運送業者コン ピューターを用いて、前記記憶部にあらかじめ格納されたモジュールを組み合わせるこ とにより、前記送受信部を介して利用者が入出力画面を定義するステップ、
前記制御部が、前記送受信部を介して前記運送業者コンピューターから運送完了情報を 受信し、前記進捗情報データベースに格納するステップ、
前記制御部が、前記運送完了情報の受信により、前記進捗情報データベースおよび前記 検収情報データベースから、前記検収期限情報を含む検収依頼情報を生成し、前記送受 信部によって前記発注者コンピューターに送信するステップ、
前記制御部が、前記検収依頼情報に応じて前記発注者コンピューターから送信された検 収完了情報を受信し、前記進捗情報データベースに格納するステップ
を含むことを特徴とする、物流管理に用いるコンピューターへの検収完了情報の格納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−38282(P2012−38282A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190049(P2010−190049)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(596166623)株式会社OSK (25)