説明

物流管理システム

【課題】物流物品の物流過程における温度履歴と取り扱い業者との情報を業者間で把握可能であると共に最終消費者も把握可能な物流管理システムを実現する。
【解決手段】業者Aは品物23を運搬し業者Bに引き渡す。業者Aは品物23の取り扱い終了を品物23に貼付された品物温度管理装置10に格納した後、外部通信手段15により取り出しデータベース17に格納する。業者Bは品物23の温度管理履歴を品物温度管理装置10により確認し、業者Bの取り扱い開始を管理装置10に送信すると共にデータベース17に格納する。業者Bの品物23の取り扱い終了時には管理装置10の情報記憶手段に自己の業務終了を格納した後、データベース17に格納する。品物23を引き渡された消費者19は品物温度管理装置個別IDによりネットワークNWを通じてデータベース17に格納されたその品物23の温度履歴、取り扱い業者情報22を入手することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流管理システムに係わり、得に、移動する複数の品物の温度を個別に管理することができる物流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、生鮮食品等を運送する冷凍冷蔵車両には、冷凍冷蔵庫内の温度を管理するために冷凍冷蔵庫内に温度センサが設置されている。そして、例えば、冷凍冷蔵庫に記憶媒体としてメモリカードが挿入され、挿入されてから離脱されるまでの積荷管理期間に、温度センサにて冷凍冷蔵庫の庫内温度が測定され、その庫内温度の履歴がメモリカードに記憶される。
【0003】
記憶された庫内温度履歴を確認することにより、生鮮食品等が良好に保存されて否かを確認することができる。
【0004】
また、特許文献1には、品物毎に温度管理が可能な装置を付け、温度履歴を取得するという記載の技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、個々の物品に物品識別情報、温度湿度履歴情報とを記憶する物品管理情報担体を物品に付属させる技術が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−267313号公報
【特許文献2】特開2003−165623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、物流の過程では、多くの業者が介在して品物の移動、保管等を行うものであるが、上記従来技術にあっては、物品毎の温度、湿度の履歴情報は確認可能であるものの、出荷・入庫・配送・加工などの過程において、いつどの業者がその業務を担当しているかを把握することができなかった。
【0008】
また、その物品の温度湿度履歴情報にしても、携帯端末等を有する業者は把握可能であるが、その物品を使用等する最終消費者が把握することが困難であった。
【0009】
このため、物流物品に関する詳細な情報を認識することができる物流システムが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、物流物品の物流過程における温度履歴と、取り扱い業者との情報を業者間で把握可能であるとともに、最終消費者も把握可能な物流管理システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
(1)上記流通物品の温度を検出する温度検出手段、上記温度検出手段により検出された温度とそのときの時刻情報とを記憶する情報記憶手段、及び情報記憶手段に記憶された情報を外部に送信する通信手段を有し、上記流通物品に貼付される品物温度管理装置と、上記品物温度管理装置の通信手段を介して、固有の業者識別情報を上記情報記憶手段に格納すると共に、上記情報記憶手段に記憶された温度履歴情報及び業者識別情報を取り出せる外部通信手段と、上記外部通信手段から、温度履歴情報及び業者識別情報が送信され、上記流通物品毎に定められた識別番号毎に上記温度履歴情報及び業者識別情報を格納したデータベースとを備え、消費者は、上記流通物品毎に定められ識別番号により、上記データベースにアクセスして格納された温度履歴情報及び業者識別情報を把握することができる。
【0012】
(2)好ましくは、上記(1)において、上記外部通信手段により、流通物品の取り扱い開始時と取り扱い終了時が、上記固有の業者識別情報と共に上記品物温度管理装置の情報記憶手段に格納される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、物流物品の物流過程における温度履歴と、取り扱い業者との情報を業者間で把握可能であるとともに、最終消費者も把握可能な物流管理システムを実現することができる。
【0014】
流通物品個々の温度履歴情報と、そのときの取り扱い業者識別情報を記録することで、流通物品の管理責任の所在とその証拠を明示することが可能となり、物流の流通品質の向上に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である物流管理システムにおける品物温度管理装置10の概略機能ブロック図である。この品物温度管理装置10は、タグ状の小型薄膜状のものであり、対象とする個々の品物(流通物品)に貼付され、その品物と共に流通業者等から最終消費者に移動される。
【0016】
図1に示すように、品物温度管理装置10は、品物毎の温度を検出する温度検出手段11と、温度等の情報の発生時刻を取得するための時刻発生手段12と、温度等の情報を時系列的に記憶する記憶手段13と、外部より取り込まれる業者業務識別手段16と、外部と情報を送受信するための無線通信手段14とを備える。
【0017】
温度検出手段11は、時刻発生手段12からの時刻情報に従って、一定時間間隔で、品物の温度を検出し、検出した温度と、その時刻情報とを記憶手段13に記憶させる。
【0018】
また、業者業務識別手段16は、通信手段14を介して取り扱い業者情報が入力されると、その業者、業務を判断して、時刻情報と共に、情報記憶手段13記憶させる。
【0019】
通信手段14は、外部通信手段15からの取り扱い開始、終了情報を業者業務識別手段16を介して、情報記憶手段13に記憶させる。また、外部通信手段15からの要求に従って、情報記憶手段13に記憶された情報を外部通信手段15に送信する。
【0020】
ここで、外部通信手段15は、業者識別情報15Iに基づき、業者毎に識別情報が定められ、その識別情報を品物温度管理装置10に送信することにより、品物温度管理装置10の業者業務識別手段16が、識別情報から、その業者業務を識別する。
【0021】
図2に示すように、外部通信手段15は、品物温度管理装置10から取り出した、温度履歴、取り扱い業者履歴情報を、業者間等で共通のデータベース17にネットワーク等を通じて格納する。
【0022】
この場合、外部通信手段15は、それぞれ固有のアドレスを有し、そのアドレス(識別符号)と、業者識別情報と、温度履歴、取り扱い業者履歴情報とをデータベース17に格納する。また、外部通信手段15は、データベース17に格納された業者識別情報と、温度履歴、取り扱い業者履歴情報とを読み込むことが可能となっている。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態において、同一の品物23(品物温度管理装置10が貼付されている)を一業者から他の業者に受け渡す場合の、データの送受信の説明図である。
【0024】
ここでは、冷凍加工食品の物流システムを例として説明する。
業者Aは、品物23を冷凍保管しながら運搬し、業者Bに引き渡す。この際、業者Aは、品物23の取り扱いを終了したことを品物23に貼付された品物温度管理装置10の情報記憶手段13に格納した後、この情報記憶手段13に格納された情報を外部通信手段15により取り出し、データベース17に格納する。
【0025】
一方、業者Bは、品物23に対して、温度管理履歴を品物温度管理装置10により確認し、その後、業者Bの取り扱いが開始されたことを品物温度管理装置10に送信すると共に、その情報をデータベース17に格納する。
【0026】
そして、業者Bが、品物23の取り扱いを終了したときには、品物23に貼付された品物温度管理装置10の情報記憶手段13に、自己の業務が終了したことを格納した後、この情報記憶手段13に格納された情報を外部通信手段15により取り出し、データベース17に格納する。
【0027】
図4は、情報記憶手段13、データベース17に格納された情報の一例を示す図である。
【0028】
図4において、情報記憶手段13、データベース17には、時刻情報と、その時刻における温度と、取り扱いを開始した業者のアドレス、業者名、取り扱いを終了した業者のアドレス、業者名が格納されている。
【0029】
この図4に示すように、温度履歴、取り扱い業者情報が、情報記憶手段13及びデータベース17に格納されているので、その品物の温度履歴、取り扱い業者を、その品物に貼付された品物温度管理装置10から、把握することができるばかりでなく、その品物から遠く離れ多遠隔地からでも、データベース17にネットワーク等にアクセスすれば、把握することが出来る。
【0030】
なお、図4に示すように、業者のアドレスに対応して、業者名のみ格納してもよいし、業者名のみならず、その業者の所在地、連絡先電話番号等も格納してもよい。その業者の所在地、連絡先電話番号等は、データベース17にのみ格納することとしてもよい。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態において、同一の品物23(品物温度管理装置10が貼付されている)を一業者から他の業者に受け渡した後、最終消費者19に受け渡した場合の、データ利用説明図である。
【0032】
業者Bから品物23を引き渡された消費者19は、その品物23に添付等された品物温度管理装置個別ID20に基づき、パソコン21により、ネットワークNWを通じて、データベース17に格納されたその品物23の温度履歴、取り扱い業者情報22を入手することができる。
【0033】
これにより、消費者19は、その品物23に対する品質の良し悪しを判断することができ、商品取引の信頼性、安全性を向上することができる。つまり、その品物について、温度管理状況が悪く、返品対象物品である場合には、そのことを消費者が把握することができると共に、製造元等もデータベース17により把握することができるので、両者間の合意が速やかに行なわれ、商品取引の信頼性、安全性、取引性を向上することができる。
【0034】
また、消費者19自身が、外部通信手段を有することにより、購入等した品物の、購入後の温度履歴を把握することも可能である。
【0035】
また、品物23が流通業者により運搬または保管中である場合、その品物の製造元業者は、ネットワークを通じてデータベース17に格納された温度履歴情報、取り扱い業者情報を把握することができるため、何処にあるどのような品物(例えば、温度管理状況が最も良好な品物)を、何処に配送するかの決定を遠隔地から配送業者等に指示することが可能となる。
【0036】
なお、上述した例は、品物の温度履歴を格納する例であるが、温度のみならず、湿度検出手段や衝撃検出手段等を備え、これら湿度や衝撃等の履歴を格納することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態である品物温度管理装置の概略機能ブロック図である。
【図2】品物温度管理装置の温度履歴情報等を共通データベースに格納する説明図である。
【図3】本発明において、品物が流通される際のデータ送受信の説明図である。
【図4】情報記憶手段、データベースに格納された情報の一例を示す図である。
【図5】本発明において、品物が最終消費者にまで引き渡される際のデータ送受信の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 品物温度管理装置
11 温度検出手段
12 時刻発生手段
13 情報記憶手段
14 通信手段
15 外部通信手段
16 業者業務識別手段
17 データベース
19 消費者
23 品物(流通物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上記流通物品の温度を検出する温度検出手段と、上記温度検出手段により検出された温度とそのときの時刻情報とを記憶する情報記憶手段と、この情報記憶手段に記憶された情報を外部に送信する通信手段とを有し、上記流通物品に貼付される品物温度管理装置と、
上記品物温度管理装置の通信手段を介して、固有の業者識別情報を上記情報記憶手段に格納すると共に、上記情報記憶手段に記憶された温度履歴情報及び業者識別情報を取り出せる外部通信手段と、
上記外部通信手段から、温度履歴情報及び業者識別情報が送信され、上記流通物品毎に定められた識別番号毎に上記温度履歴情報及び業者識別情報を格納したデータベースと、
を備え、消費者は、上記流通物品毎に定められ識別番号により、上記データベースにアクセスして格納された温度履歴情報及び業者識別情報を把握することができることを特徴とする物流管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の物流管理システムにおいて、上記外部通信手段により、流通物品の取り扱い開始時と取り扱い終了時が、上記固有の業者識別情報と共に上記品物温度管理装置の情報記憶手段に格納されることを特徴とする物流管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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