説明

物流管理用ラベル

【課題】
本発明は、浮き剥れしない良好な粘着力と使用後に簡単に剥がせる良好な再剥離性を両立させた物流管理用ラベルを提供する。
【解決手段】
表面基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着ラベルにおいて、該粘着剤層は、粘着剤層を構成する樹脂1のガラス転移温度Tg1と、該粘着剤層を構成する樹脂2のガラス転移温度Tg2との差(Tg1−Tg2)が10℃以上であり、かつ該樹脂成分以外に親和性のある親水性成分(a)と、親和性のない非疎水性成分(b)を含有していることを特徴とする物流管理用ラベルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層を備える物流管理用ラベル、特に低温での接着性が良好なプラスチック製コンテナー類用水易剥離ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
物流管理用ラベルは流通に必要な情報、例えば、内容物の種類、個数、配送先等が記載された上で、ダンボールやプラスチック製コンテナーと言った輸送用容器に貼付される。
【0003】
この際、物流管理用ラベルに求められる性能は輸送、保管中に該ラベルが前記の輸送用容器から浮いたり剥れ落ちたりすることなく、記載内容を表示し続けることである。
このため、前記の物流管理用ラベルの粘着力は強めに設定される傾向が強い。特に0℃以下のような低温下で使用される物流管理用ラベルの粘着力は一般の物流管理用ラベルよりもさらに高めに設定されており、貼り間違えた際に該ラベルを剥がそうとしてもラベル基材が破れてしまう程のものである。
【0004】
一方、前記輸送用容器の内、プラスチック製コンテナー類は複数回再利用されるのが普通であるため、再利用前の該コンテナー類の洗浄工程で前記の物流管理用ラベルを取り除く必要がある。
【0005】
前記プラスチック製コンテナー類の洗浄は自動洗浄機によって行われる場合が殆どである。その洗浄方式は自動洗浄機メーカーによって様々であるが、基本的には水や温水もしくはアルカリ性洗剤含有水をコンテナー類に吹き付けたり、これら液中に浸したりすることで行われる。
【0006】
ところが、前記管理ラベルは、一般的にはある程度の耐水性を有し、また前記した要求性能を満たすために粘着力が高めであることから前記自動洗浄機では十分に取り除くことが出来ず、粘着剤層が表面に残ってしまい、そこに埃やゴミが再付着して、反ってコンテナー類を汚し、その外観を著しく損ねることになっていた。
これを防ぐため、自動洗浄機にコンテナー類を投入する前に人手による前記管理ラベルの剥離作業を行う場合もあるが、この方法では多大な労力を要する割には完全剥離が難しく、かつ一日に一人が作業できるコンテナー枚数は自動洗浄機で処理可能な枚数を大幅に下回ってしまうため、扱うコンテナー類の量が多ければ多いほど、人手とそれに伴うコストをかけざるを得ないこととなるが、コストパフォーマンスは決して高いものではなかった。
【0007】
このように物流管理用ラベル、特にプラスチック製コンテナー類に使用されるラベルは輸送、保管中に該コンテナー類から浮き剥れしない良好な粘着力と、使用後は簡単に剥がせる良好な再剥離性、すなわち比較的低い粘着力を同時に求められるのである。
【0008】
このような課題を解決するため、粘着剤層となるアクリル共重合体樹脂からなる水性分散液を製造する際に通常使用する界面活性剤の使用量をやや多めに配合して水剥離性能を付与しようとする方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アクリル共重合体樹脂からなる分散液の組成物から形成される粘着剤層の水に対する接触角が50°以下となるように、アクリル共重合体樹脂からなる水性分散液にある特定の界面活性剤を2種類以上後添加する方法が考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9―114382号公報
【特許文献2】特許第4428881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の何れの方法によっても、浮き剥れしない良好な粘着力と、使用後に簡単に剥がせる良好な再剥離性との両立は難しく、特に前記物流管理用ラベルに低温環境適性を持たせようとした場合、これらの方法だけでは再剥離性能を十分に発揮することが困難であった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、浮き剥れしない良好な粘着力と使用後に簡単に剥がせる良好な再剥離性を両立させた物流管理用ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。
[1]表面基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着ラベルにおいて、該粘着剤層は、粘着剤層を構成する樹脂1のガラス転移温度Tg1と、該粘着剤層を構成する樹脂2のガラス転移温度Tg2との差(Tg1−Tg2)が10℃以上であり、かつ該樹脂成分以外に親和性のある親水性成分(a)と、親和性のない非疎水性成分(b)を含有していることを特徴とする物流管理用ラベル。
[2]樹脂1及び樹脂2が、アクリル酸エステル系樹脂からなる請求項1に記載の物流管理用ラベル。
[3]樹脂2のTg2が、−55℃以下である[1]または[2]に記載の物流管理用ラベル。
[4]親水性成分(a)が1種以上の界面活性剤である[1]〜[3]のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
【0012】
[5]0℃の環境下において、前記ラベルをPP板へ500gロールで1往復圧着させ、圧着後30分間放置した後の180°方向、剥離速度300m/minによる粘着力が、5〜20N/25mmである[1]〜[4]のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
[6]PP板へ2kgロールで1往復圧着させ1日放置した前記ラベルに対し、60℃の流水を吹きかけた場合、該ラベルが300秒以内にPP板より完全剥離する[1]〜[5]のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
[7]前記ラベルがプラスチック製コンテナーまたはプラスチック製パレット用管理ラベルである[1]〜[6]のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
【発明の効果】
【0013】
本発明の物流管理用ラベルによれば、浮き剥れしない良好な粘着力と使用後に簡単に剥がせる良好な再剥離性を両立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の物流管理用ラベルは剥離紙、粘着剤層、表面基材の順に積層して構成されており、かつ該粘着剤層はアクリル酸エステル系樹脂からなる粘着剤(以下、アクリル系粘着剤とも言う。)である。
【0015】
一般的に前記のプラスチック製コンテナー類はポリプロピレン製のものが大多数である。したがって、物流管理用ラベルにはポリオレフィンに対しての高い粘着力が求められるが、このためにはアクリル系粘着剤のポリオレフィンへの濡れ性を向上させる必要がある。
【0016】
該アクリル系粘着剤のポリオレフィンへの濡れ性を向上させるには粘着付与剤、いわゆるタッキファイヤー(以下、TFとも言う。)を粘着剤に配合する方法や塩素化ポリオレフィンを粘着剤に配合する方法があるが、何れも常温以下では硬くなるため、低温環境下での濡れ性向上は期待できない。
【0017】
一方、粘着剤のTgを下げて粘着層を柔らかくし、これによって粘着剤のポリオレフィンへの濡れ性を向上させることも出来る。この方法は低温環境下での濡れ性低下も少ないため、低温環境下での粘着力発現にも効果的である。
しかしながら、粘着剤全体のTgを下げると凝集力が低下して保持力が低下することや打ち抜き加工時に粘着剤のはみ出しが発生し易くなる。また、粘着力は高くなる反面、該ラベルを剥がそうとしても基材が破れてしまうようになる。
【0018】
そこで、本発明者は粘着層を形成するアクリル系粘着剤をTgの異なる2種類の樹脂成分で構成することで前記の問題を解決できることを見出した。
【0019】
すなわち、前記のアクリル系粘着剤を構成する樹脂1のガラス転移温度Tg1と、該粘着剤層を構成する樹脂2のガラス転移温度Tg2との差(Tg1−Tg2)が10℃以上である。好ましくは、15℃〜30℃である。30℃を超えると、樹脂1と樹脂2のそれぞれの特徴をバランスよく発現させることが出来なくなる可能性がある。
【0020】
これらの配合比が、樹脂1/樹脂2=20〜80/80〜20質量部、好ましくは30〜70/70〜30質量部としたのである。
樹脂2の配合比が下限値以上であれば、ポリオレフィンへの良好な粘着力を発現出来、かつ低温環境下での粘着力を確保することが出来る。また、樹脂2の配合比が上限値以内であれば、保持力の低下や打ち抜き加工時の粘着剤のはみ出しを防ぐことが出来、管理ラベルの再剥離性も確保することが出来る。
【0021】
また、樹脂2のTg2は、−55℃以下が好ましく、−85℃以上である。
両樹脂のTgの差が下限値以上であれば、互いの特性差を活かせるようになるため、前記した相反する性能を両立させることが出来る。特に樹脂2のTg2を上限値以下とすることで、ポリオレフィンへの良好な粘着力が発現でき、かつ低温環境下での十分な粘着力を確保することができる。
また、樹脂1のTg1は、−60℃〜−5℃であり、好ましくは−54℃〜−20℃である。
【0022】
本発明の樹脂を構成するモノマーは、アクリル系粘着剤を構成する公知のモノマーであれば、特に限定するものではない。
【0023】
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2―エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0024】
コモノマー成分としてはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0025】
官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0026】
また、前記のアクリル系粘着剤には必要に応じて、各種架橋剤を添加することもできる。
【0027】
各樹脂のTgは、示差走査熱量測定装置(DSC)、示差熱分析装置(DTA)、熱機械測定装置(TMA)によって求めることができる。また、ホモポリマーのTgは各種文献に記載されているので、共重合体のTgを、各種ホモポリマーのTg(T)とモノマーの質量分率(W)とから下記式によって求めることも出来る。
【0028】
【数1】

なお、主要ホモポリマーのTgを示せば、ポリアクリル酸は106℃、ポリアクリル酸メチルは8℃、ポリアクリル酸エチルは22℃、ポリアクリル酸n−ブチルは−54℃、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルは−70℃、ポリアクリル酸2−ヒドロキシエチルは−15℃、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルは55℃、ポリメタクリル酸メチルは105℃、ポリ酢酸ビニルは32℃、ポリアクリロニトリルは125℃、ポリスチレンは100℃である。
【0029】
前記の粘着剤層には、該粘着剤層の樹脂(粘着成分とも言う。)と親和性のある親水性成分(a)が含有されている。
親水性成分(a)は、前記のコンテナー洗浄の際に、水と接触することで前記の物流管理用ラベルの粘着力を失活させ、洗浄液のみで容易に剥離できるようにするものである。
【0030】
このような材料としては、界面活性剤が好適に使用できる。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。また、アクリルエマルジョンを生成する際に使用される乳化剤は反応性乳化剤でもよく、これは単独で、あるいは2種類以上の反応性乳化剤同士、もしくは一般的な乳化剤と組み合わせて使用することが出来る。
【0031】
前記の粘着剤層には、該粘着剤層の粘着成分と親和性のない非疎水性成分(b)が含有されている。
非疎水性成分(b)は、吸水性、保水性、潮解性と言った水を導く性能を有しているものであり、粘着成分と親和性を持たないことで、粘着成分を不連続膜として水をより内部まで浸透させ易くするものである。
【0032】
このような材料としては、例えば、クエン酸、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、水酸化カリウム、酸化アルミニウム、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。また、疎水性であるが乳化剤により乳化させた粘着付与剤やアクリル微球体、SBR等も挙げられる。
この他、ポリアクリル酸やポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分分解物等の水溶性高分子も用いることが出来る。
【0033】
前記の親水性成分(a)と非疎水性成分(b)の使用量は必ずしも限定されるものではないが、前記の粘着成分100質量部に対して、それぞれ2〜10質量部程度が使用でき、好ましくは3〜8質量部の使用である。
使用量が下限値以上であれば、水を粘着剤層の内部まで浸透させる性能を得ることができ、前記の洗浄工程で容易に管理ラベルを剥がすことが出来、また上限値以内であれば、例えば表面基材に感熱紙を使用した場合などに感度低下や地カブリと言った弊害を抑えることが出来、かつ粘着力の低下を招くことを防ぐことも出来る。
【0034】
このような粘着剤層は、通常は必要かつ十分な粘着力を有す一方で、貼り付け直後の再剥離性や水との接触による粘着力低減性能を有すものであるが、次のような特性を有するものであるのが好ましい。
【0035】
通常、粘着剤層は乾燥状態である。この際、0℃の環境下において、前記管理ラベルをPP板へ500gロールで1往復圧着させ、圧着後30分間放置した後の180°方向、剥離速度300m/minによる粘着力が5.0〜20N/25mmであるのが好ましい。
該粘着力の値が下限値以上であれば、低温環境下においても該粘着ラベルの浮き剥れを防止することができ、また、上限値以内であれば、使用後の洗浄工程で該粘着ラベルを容易に剥離することが可能である。
【0036】
また、前記管理ラベルはPP板へ2kgロールで1往復圧着され1日放置された後も60℃の流水を吹きかけることによって、好ましくは300秒以内にPP板より完全剥離するものであり、更に好ましくは180秒以内に完全剥離するものである。
【0037】
このような特性を有することで、前記管理ラベルは低温環境下での使用でも浮き剥がれが発生せず、また貼付直後の貼り直しにも対応でき、かつ使用後には前記プラスチック製コンテナーの洗浄工程で温水等を吹き付けることによって容易に剥離することが可能となるのである。
【0038】
本発明の物流管理用ラベルは、剥離紙、粘着剤層、表面基材の順に積層、構成されている。この際、剥離紙は公知のものが使用できる。例えば、ポリエチレンラミネート紙やクレーコート紙、グラシン紙等の紙基材や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)等の各種樹脂製のフィルム基材等である。もちろん、これら基材と粘着剤層との接触面にはシリコーン等の離型剤層が設けられているのは言うまでもない。
また、表面基材も公知のものが使用できる。例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、感熱記録用紙、熱転写記録用紙、含侵紙、水溶紙等の紙基材や、PETフィルム、PEフィルム、PPフィルムや合成紙、不織布等のフィルム基材が挙げられる。
ただし、水の浸透性の観点からは紙基材の方がより好ましい。
【実施例】
【0039】
以下に実施例、比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において用いた試験片の作製、ならびに各種の試験方法、評価方法は以下の通りである。
【0040】
[試験用シートの作製方法]
シリコーン系離型剤で表面処理されたグラシン剥離紙の上に、乾燥後の塗工量が15g/mとなるように粘着剤組成物を塗布し、105℃で90秒間、熱風循環式乾燥機にて乾燥させた後、上質紙(商品名:OKプリンス上質紙<55>/王子製紙社製)の裏面を上記粘着剤組成物層面と貼り合わせ、加圧ニップロールに通紙・圧着し、その後、23℃50%の環境下で7日間養生して、試験用シートを得た。
【0041】
[ラベル洗浄性]
25mm×25mm角の試験片をPP板に2kgロールにて1往復圧着し、24時間放置した。その後、60℃の流水下に45℃の角度でPP板を設置して、該流水にて剥がれるまでの時間を計測した。
◎:180秒以内に完全剥離
○:300秒以内に完全剥離
×:300秒経過後も完全剥離せず
【0042】
[0℃環境下粘着力]
0℃環境下において、25mm幅の試験片をPP板に500gロールにて1往復圧着し、30分間放置した。その後、180°方向に剥離速度300m/minで試験片を剥がし、この際の粘着力を測定した。
【0043】
[ラベル浮き]
0℃環境下において、縦90mm×横60mmの試験片を捲りカールが付くように剥離紙より剥がしてプラスチック製コンテナーのスリット面に手貼りし、同環境下に24時間放置した。その後、試験片の4隅の内、最大の浮き高さを測定した。
◎:浮きなし
○;最大浮き高さがプラスチック製コンテナー縁部の高さの半分以内
×:最大浮き高さがプラスチック製コンテナー縁部の高さの半分超え
【0044】
[ウーズ]
試験片に20mm×20mm角の大きさのハーフカットを施し、これに40kg/cmの荷重を1時間掛け、この際のハーフカット端面からの糊のはみ出し量を目視にて評価した。
◎:糊のはみ出しなし
○:糊のはみ出し小
×:糊のはみ出し大
【0045】
<実施例1>
粘着成分が、アクリル酸2―エチルヘキシル(2EHA)を主成分とした低Tgポリマー成分70質量部とアクリル酸n―ブチル(BA)、アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸(AA)からなる高Tgポリマー成分30質量部からなり、親水性成分(a)としてノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル型)を前記粘着成分100質量部に対して7質量部、非疎水性成分(b)として乳化SBRを前記粘着成分100質量部に対して5質量部を含有した水性分散液より上記試験用シートを得た。
【0046】
<実施例2>
親水性成分(a)として、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル型)とアニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)を前記粘着成分100質量部に対して、それぞれ4質量部ずつとした以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0047】
<実施例3>
非疎水性成分(b)を水酸化ナトリウム(NaOH)とした以外は全て実施例1同様にして上記試験用シートを得た。
比較例1
親水性成分(a)と非疎水性成分(b)を含有しない以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0048】
<比較例2>
非疎水性成分(b)を含有しない以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0049】
<比較例3>
親水性成分(a)を含有しない以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0050】
<比較例4>
低Tgポリマー成分を90質量部、高Tgポリマー成分を10質量部とした以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0051】
<比較例5>
粘着成分を高Tgポリマー成分100質量部とした以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0052】
<比較例6>
2EHA、HEA、AAからなるポリマー成分を高Tgポリマー成分とした以外は全て実施例1と同様にして上記試験用シートを得た。
【0053】
【表1】

表1からも明らかなように、本発明にかかる物流管理用ラベルは、特にプラスチック製コンテナー類に使用されて輸送や保管された場合に該コンテナー類から浮き剥れしない良好な粘着力と、使用後は簡単に剥がせる良好な再剥離性を同時に満たすことが出来るのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着ラベルにおいて、該粘着剤層は、粘着剤層を構成する樹脂1のガラス転移温度Tg1と、該粘着剤層を構成する樹脂2のガラス転移温度Tg2との差(Tg1−Tg2)が10℃以上であり、かつ該樹脂成分以外に親和性のある親水性成分(a)と、親和性のない非疎水性成分(b)を含有していることを特徴とする物流管理用ラベル。
【請求項2】
樹脂1及び樹脂2は、アクリル酸エステル系樹脂からなる請求項1に記載の物流管理用ラベル。
【請求項3】
樹脂2のTg2が、−55℃以下である請求項1または請求項2に記載の物流管理用ラベル。
【請求項4】
親水性成分(a)が1種以上の界面活性剤である請求項1〜3のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
【請求項5】
0℃の環境下において、前記ラベルをPP板へ500gロールで1往復圧着させ、圧着後30分間放置した後の180°方向、剥離速度300m/minによる粘着力が、5〜20N/25mmである請求項1〜4のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
【請求項6】
PP板へ2kgロールで1往復圧着させ1日放置した前記ラベルに対し、60℃の流水を吹きかけた場合、該ラベルが300秒以内にPP板より完全剥離する請求項1〜5のいずれかに記載の物流管理用ラベル。
【請求項7】
前記ラベルがプラスチック製コンテナーまたはプラスチック製パレット用管理ラベルである請求項1〜6のいずれかに記載の物流管理用ラベル。

【公開番号】特開2013−15688(P2013−15688A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148743(P2011−148743)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】