説明

物流設計装置、方法、及びプログラム

【課題】グローバルな物流設計及びコスト計算において、輸送コスト等だけでなく関税の要素を含めて総コストを最適にする物流経路を求めることができる技術を提供する。
【解決手段】本物流設計装置(100)は、物流設計のための入力データを用いて、拠点間の物流経路における関税を含めたコストを計算する処理を行う物流設計部(10)を有する。物流設計部(10)は、入力データに基づき、物流経路の組合せを構成し、協定の組合せを構成し、物流経路及びパスごとに、協定に応じた関税額を含むコストを加算し、これにより物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流設計などの情報処理の技術に関する。特に、物流経路及びコストを計算する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流設計に関する先行技術例として、特開2009−223552号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、「複数のタイプの輸送手段、使用するコンテナの数、異なる納入期限、輸送コスト、在庫保管コストなどの変数が多くなれば、最適解を求めるためにそれらを組み合わせて行う計算には多くの時間を必要とすることから、新しい選択の方法を示し、理論上最適な解決手段提供するものである」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−223552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、コストを最小とするための物流設計の仕組みについて記載されている。しかし、特許文献1の物流設計の仕組みで対象としているコストは、輸送コストと在庫保管コストである。
【0005】
グローバルに事業展開する企業では、世界各国で製品を輸出入しており、その際には関税が発生する。一般的な製造業では、輸送コストが売上に占める割合は5%程度であるが、関税は20%を超える場合もある。従って、コスト最小となるグローバルな物流設計を行うためには、関税を無視することはできない。
【0006】
しかし、関税は、輸入される物品の種類、物品の輸送で経由した国、及び原産国比率、といった条件に基づき、複雑なルールで決定される。このため、関税を正確に考慮してコスト計算することは困難であった。原産国比率とは、物品の価値のうち、予め規定した国で付加された価値の割合である。
【0007】
従来技術では、グローバルな物流設計及びそのコスト計算において、関税の要素は考慮せずに輸送コストや在庫保管コストを考慮した局所的な計算を情報処理や手動などで行い、その計算結果に対し、後付けで関税コストを追加計算して結果を求めている(後述、図23)。従って、トータルコスト(総コスト)を最適(最小)にする計算、及び対応する物流経路の出力などは実現できていない。
【0008】
以上を鑑み、本発明の主な目的は、グローバルな物流設計及びそのコスト計算において、輸送コストや在庫保管コストだけでなく関税の要素を含めて総コストを最適にする物流経路を求めることができ、企業収益向上などに貢献できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち代表的な形態は、グローバルな物流設計及びそのコスト計算を含む情報処理を行うシステム(物流設計装置)、方法、プログラム等であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0010】
本システムでは、関税の要素を含めて総コストを最小にする物流経路を計算する処理を行う機能を備える。本システムでは、物流経路(サプライヤ、工場、倉庫、及び市場などの拠点を経由する経路)に関する関税コスト計算のため、入力データとして、関税や協定に関する情報を用いる。当該情報は、例えば協定(自由貿易協定)、品目(製品や部品)、協定に応じた関税額、関税額の算出の定義に係わる原産国比率などの所定の値の基準値などの情報である。国や地域に応じて複数存在する各々の協定において、関税は、輸入される物品の種類、物品の輸送で経由した国や地域、及び原産国比率、といった条件に基づき決定される。
【0011】
本システムは、(1)物流設計及びそのコストの計算処理において、入力データとして、従来(輸送コストや在庫保管コストを考慮する計算方法)の物流設計に必要な第1の情報{需要(市場)、製品構成、拠点、供給元、供給先、物流(パスや輸送コスト)などの情報}に加え、関税コスト計算のための第2の情報{上記関税や協定に関する情報}を入力して記憶する第1の処理部と、(2)上記第1の情報に基づいて、顧客・市場(下流の拠点)からサプライヤ(上流の拠点)まで、あるいはサプライヤ(上流の拠点)から顧客・市場(下流の拠点)まで、拠点(ノード)を順次辿っていくことにより、計算対象・候補となる複数の物流経路(物流経路を構成する各拠点間の部分的な経路(パス)を含む)を構成する第2の処理部と、(3)上記物流経路及びパスごとに、候補となる協定を判定して選択する処理を行う第3の処理部と、(4)上流の拠点から下流の拠点までの物流経路におけるパスごとに、原価を加算し、原産国比率などの所定の値を算出し、パスに対する協定の適用可否を判定し、適用可の場合には輸送費や関税額を加算し、これにより物流経路ごとの総コスト(関税を含めた協定制約付きの総コスト)を算出する処理を行う第4の処理部と、(5)上記総コストが例えば最小になる物流経路の情報をユーザに対して画面表示などで出力する処理を行う第5の処理部と、を有する。
【0012】
本物流設計装置は、例えば、物流設計のためのデータを入力する処理を行うデータ入力部と、物流設計のためのデータを記憶する記憶部と、入力のデータを用いて、製品の輸出入の拠点間の物流経路における、関税を含めたコストを計算する処理を行う物流設計部と、物流設計部の処理結果の物流経路及びコストを含む情報を画面に表示する処理を行うデータ表示部とを有する。入力のデータは、製品の品目の情報、拠点の情報、拠点間のパスの情報、製造コストまたは輸送コストまたは在庫保管コストまたは他の必要コストを含む関税以外のコストを計算するための情報、適用候補となる自由貿易協定に関する情報、及び当該協定に応じた関税を計算するための情報、を含む。物流設計部は、入力のデータに基づいて、上流の拠点から下流の拠点までの各拠点間のパスを含む複数の物流経路を構成し、当該物流経路ごとに関係付けられる協定を抽出し、当該物流経路ごとに、関税以外のコストを加算し、当該パスごとに協定に応じた関税額を加算し、これにより物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する処理を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明のうち代表的な形態によれば、グローバルな物流設計及びコスト計算において、輸送コストや在庫保管コストだけでなく関税の要素を含めて総コストを最適にする物流経路を求めることができ、企業収益向上などに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態のシステムを構成する物流設計装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の物流設計装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施の形態の物流設計装置の物流設計処理フローを示す図である。
【図4】図1の需要情報(D1)の例を示す図である。
【図5】図1の製品構成情報(D2)の例を示す図である。
【図6】図1の拠点情報(D3)の例を示す図である。
【図7】図1の供給元情報(D4)の例を示す図である。
【図8】図1の物流情報(D5)の例を示す図である。
【図9】図1の関税情報(D6)の例を示す図である。
【図10】図1の協定情報(D7)の例を示す図である。
【図11】図1の協定加盟地域情報(D8)の例を示す図である。
【図12】本実施の形態の物流設計装置の入力画面の例を示す図である。
【図13】(a),(b),(c)は、本実施の形態における、拠点、パス、物流経路、協定、関税などについて示す図である。
【図14】図3の全物流経路組合せ作成処理(S2)の詳細を示す図である。
【図15】図1の経路組合せ情報(D11)の例を示す図である。
【図16】図3の全協定組合せ作成処理(S3)の詳細を示す図である。
【図17】図1の協定組合せ情報(D12)の例を示す図である。
【図18】本実施の形態における、協定組合せの例について示す図である。
【図19】図3の協定適用判定付きコスト計算処理(S4)の詳細を示す図である。
【図20】図1の協定別原価情報(D13)の例を示す図である。
【図21】図1のコスト情報(D14)の例を示す図である。
【図22】本実施の形態の物流設計装置の出力画面の例を示す図である。
【図23】従来技術により決定した物流経路(コスト)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態(物流設計装置、物流設計方法など)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また説明上の記号として、K:拠点、R:物流経路、などを適宜使用する。
【0016】
本実施の形態の物流設計装置では、図1,図2等の構成に基づき、図3の物流設計処理(詳細は図14,図16,図19)を行い、図4〜図11,図15,図17,図20,図21等のデータ情報を管理・処理し、図12,図22等の画面でユーザによりデータ入出力操作を可能とする。本物流設計装置は、関税を含めた総コストを最小とする物流経路を計算して表示する機能(対応する物流設計部10)を備える。特に、本物流設計処理では、データに基づき、物流経路及びそのパスを構成し、各パスで適用する協定を探索し、各経路及び協定について、上流から下流の拠点まで、協定圏内外(当該国・地域が当該協定に加盟しているか否か)の判定、及び、協定適用可否の判定をしながら、原価や輸送費、及び関税(適用協定に応じた関税)などのコスト値を積み上げていくことにより、各物流経路の総コストを計算する。そして、総コストが最小となる物流経路、及び対応する協定やコスト等の情報をユーザに対して提示する。
【0017】
[システム構成]
図1において、本実施の形態のシステムを構成する物流設計装置100の機能ブロック構成を示している。物流設計装置100は、データ入力部110、記憶部120、制御部(演算部)130、及びデータ表示部140を有する。制御部(演算部)130は、記憶部120のデータ情報を用いて、ソフトウェアプログラム処理を行う部分であり、処理機能として、物流設計部10を有する。物流設計部10は、記憶部120のD1〜D8等のデータ情報を用いて、総コストが最小となる最適な物流経路を探索・決定する処理機能を含む、物流設計処理を行う。物流設計部10は、物流経路構成部11、協定選択部12、コスト計算部13、及び最適物流経路選択部14を有する。
【0018】
記憶部120には、需要情報D1(例:図4)、製品構成情報D2(例:図5)、拠点情報D3(例:図6)、供給元情報D4(例:図7)、物流情報D5(例:図8)、関税情報D6(例:図9)、協定情報D7(例:図10)、協定加盟地域情報D8(例:図11)、等のデータ情報が格納される。また、記憶部120には、制御部130で計算された各種データ情報、例えば、経路組合せ情報D11(例:図15)、協定組合せ情報D12(例:図17)、協定別原価情報D13(例:図20)、コスト情報D14(例:図21)、等が格納される。
【0019】
データ入力部110は、D1〜D8等のデータ情報を読み込んで記憶部120に格納する処理などを行う。例えば、データ入力部110は、ユーザ(物流設計者)の操作に基づき、ネットワークを通じて、外部データ(例えば既存の他システムで作成済みのデータ)であるD1〜D8を入力(取得)し記憶部120に格納する。また、データ入力部110は、ユーザの操作に基づき、物流設計装置100の表示画面(後述、図12)で、D1〜D8等のデータをユーザにより直接入力(設定)する処理や、内容を表示して確認や更新する処理を行う。
【0020】
データ表示部140は、ユーザ(物流設計者)の操作に基づき、制御部130(物流設計部10)による処理結果データ(例えば総コスト最小である最適物流経路の情報を含む)を画面(後述、図22)に表示する処理を行う。またデータ表示部140は、同データを印刷出力したり、ネットワークを通じて他システムへ送信する処理などを行ってもよい。
【0021】
データ入力部110及びデータ表示部140は、ユーザインタフェースとして、他の機能部(制御部130)の指示に従って、物流設計に係わる各種操作のための画面(D1等の各種データ及びそのGUI画像等)を表示する処理を行う。例えばWebページ形式で表示する。例えば、データ入力部110によりデータ入力の画面(後述、図12)を表示したり、データ表示部140により処理結果データ出力の画面(後述、図22)を表示する。
【0022】
物流経路構成部11は、入力データをもとに、計算の対象・候補となる物流経路(例:図13(a))などを構成する処理を行う。協定選択部12は、物流経路(及びそのパス)別に、適用の対象・候補となる協定(例:図13(c))などを選択する処理を行う。コスト計算部13は、物流経路(及びそのパス)別に、輸送コスト及び関税の要素を含むコストを計算する処理を行う。最適物流経路選択部14は、コスト計算部13までによる結果をもとに、協定の制約付きでの総コストを最小化する最適な物流経路を選択する処理を行う。
【0023】
その他、記憶部120に管理するデータ情報としては、計算内容に応じて、生産情報(各品目を供給・生産する拠点のリードタイムを含む情報)、経路情報(構成済みの物流経路やパスの情報)、輸送情報(輸送リードタイムを含む情報)、製造コスト情報、輸送コスト情報、在庫保管コスト情報、などの情報を使用してもよい。また、D1等の各データ情報を適宜分割したり統合して管理しても構わない。
【0024】
[物流設計装置]
図2において、物流設計装置100のハードウェア構成例を示している。物流設計装置100は、CPU201、RAM210、ROM220、補助記憶装置230、表示装置240、入力装置250、メディア読取装置260、通信装置270などを有し、例えば一般的なPCで実現可能である。例えば補助記憶装置230に本実施の形態のプログラムやデータが格納される。本実施の形態のプログラムは、例えば、OSプログラム上で実行可能なアプリケーションプログラムであり、例えばメディア読取装置260を介して可搬型記憶媒体から読み出され補助記憶装置230にインストールされる。補助記憶装置230に格納されるデータは、図1の記憶部120に格納される各データを含む。
【0025】
CPU201は、例えば補助記憶装置230からRAM210にロードした所定のプログラムを実行することにより、各種処理(図1の物流設計部10の処理を含む)を実行する。RAM210は、CPU201により実行されるプログラムや、プログラムの実行に必要なデータなどが格納される。ROM220は、物流設計装置100の起動に必要なプログラムなどが格納される。補助記憶装置230は例えばHDDやSSDである。表示装置240は、例えばCRTやLCDのディスプレイである。入力装置250は、例えばキーボード、マウス、マイクなどである。メディア読取装置260は、例えばCD−ROM等の可搬型記憶媒体の情報を読み出す装置である。通信装置270はネットワーク280を介して外部装置との間でデータ入出力処理を行う通信インタフェースである。
【0026】
図1のデータ入力部110及びデータ表示部140は、図2の入力装置250、表示装置240、通信装置270などの装置及びそれらの制御処理により実現できる。図1の記憶部120は、図2の補助記憶装置230などの記憶装置及びそれらの制御処理により実現できる。図1の制御部130は、図2のCPU201等により実現できる。
【0027】
[物流設計処理]
図3において、物流設計装置100の制御部130(物流設計部10)による物流設計処理フローを示している(Sは処理ステップを示す)。本物流設計処理では、(S1)外部データ読込み処理、(S2)全物流経路組合せ作成処理、(S3)全物流経路組合せ(301)に対する全協定組合せ作成処理、(S4)全協定組合せ(302)に対する協定適用判定付きコスト計算処理、(S5)結果表示処理を行う。S1は主にデータ入力部110、S2は主に物流経路構成部11、S3は主に協定選択部12、S4は主にコスト計算部13、S5は主にデータ表示部140による処理である。以下、各処理(S1〜S5)について、図4以降を参照しながら説明する。
【0028】
なお、301は、S2で作成した物流経路Rの組合せ(複数の物流経路R)における各個別の物流経路Rごとに計算することを示す。302は、S3で作成した協定の組合せ(複数の協定)における各個別の協定ごとに計算することを示す。
【0029】
また計算方法としては例えば、需要情報D1に含まれる製品・拠点(下流の拠点)を計算上の出発点として、あるいは、供給元情報D4に含まれる製品・拠点(上流の拠点)を計算上の出発点として、物流経路・パスに従って、供給元(発送元)や供給先(着荷先)へ辿ってゆく。上記方向はいずれでもよい。計算方法として、公知の再帰的な計算アルゴリズム等を用いて実現可能である。
【0030】
また例えば、協定探索(選択)・適用可否判定を行う処理(S3,S4)では、協定加盟地域情報D8の参照から、供給先(着荷先)の拠点(対応国・地域)が加盟している協定を自動的に選択し、物流経路上の各協定の組合せを作成する。物流経路及びその協定組合せについて、上流−下流の拠点間(パス)を辿りながら、供給先で生じる製造コストなどを加算して原価を算出し、協定情報D7に従って原産国比率(α)と適用最小値(m)との比較で協定適用可否を判断する。そして適用可の協定に応じた関税額を加算して総コストを算出する。
【0031】
[(S1)外部データ読込み処理]
まず外部データ読込み処理(S1)では、ユーザ操作の受付けをもとに、データ入力部110により、ネットワーク280などから、外部データである、D1〜D8等のデータ情報を取り込み、記憶部120に格納する。あるいは、入力画面(図12)でユーザによりデータを入力させる。
【0032】
[D1:需要情報]
図4は、需要情報D1の例(テーブル)を示す。需要情報D1には、品目1a、市場(拠点名)1b、及び需要量1c、を定義する各データ項目を有する。1aは、製品や部品などの品目の名称やID(識別情報)である。なお以下、名称とは、IDや番号などと捉えてもよい。需要情報D1は、拠点が「市場」の場合の需要量などを含む。需要情報D1は、製品の販売予定を含む情報としてもよい。
【0033】
[D2:製品構成情報]
図5は、製品構成情報D2の例である。製品構成情報D2には、データ項目として、親品目2a、子品目2b、員数2cを有する。2aは、生成される製品である親品目の名称を示す。2bは、親品目2aを生成する元となる子品目の名称を示す。2cは、親品目2aを1単位生成するために必要な子品目2bの数(構成数)を表す。
【0034】
[D3:拠点情報]
図6は、拠点情報D3の例である。拠点情報D3には、データ項目として、拠点3a、所属地域3bを有する。3aは、拠点{サプライヤ、工場、倉庫、市場(顧客)など}の名称である。3bは、拠点3aが所属する地域の名称である。拠点情報D3は、拠点の機能(種類)の情報を含む。
【0035】
[D4:供給元情報]
図7は、供給元情報D4の例である。供給元情報D4には、データ項目として、品目4a、拠点4b、単価4cを有する。4aは、当該供給元の拠点(4b)から供給される品目の名称である。4bは、当該供給元の拠点の名称である。4cは、拠点4bで品目1単位を購入、製造、保管等するための単価(コスト)を示す。
【0036】
[D5:物流情報]
図8は、物流情報D5の例である。物流情報D5には、データ項目として、発送元5a、着荷先5b、輸送単価5cを有する。5aは、発送元(供給元)となる拠点の名称である。5bは、着荷先(供給先)となる拠点の名称である。5cは、発送元5aの拠点から着荷先5bの拠点までの供給経路部分(パスp)における、品目1単位を輸送するために必要な輸送単価を示す。物流情報D5は、内容的に輸送マスタ情報(輸送コスト計算に係わる情報)を含んでいる。
【0037】
[D6:関税情報]
図9は、関税情報D6の例である。関税情報D6は関税額を含む情報である。関税情報D6には、データ項目として、協定名6a、品目6b、輸出拠点6c、輸入拠点6d、関税額6eを有する。6aは、当該関税に対応した協定(関税額を算出する定義・ルールに対応する協定)の名称である。6bは、関税計算対象となる品目の名称である。6cは、当該品目を輸出する拠点の名称である。6dは、当該品目を輸入する拠点の名称である。6eは、当該協定6aに従い当該品目1単位を輸出拠点6cから輸入拠点6dへ輸入する場合に生じる関税額を示す。なお、6eは、同品目1単位を同輸出拠点から同輸入拠点へ輸入する場合に生じる関税率及び課税基準額、等の他の情報に置き換えてもよい。
【0038】
[D7:協定情報]
図10は、協定情報D7の例である。協定情報D7は、協定の適用条件を含む情報である。協定情報D7には、データ項目として、協定名7a、原産国比率適用最小値7bを有する。7aは、関税の協定の名称である。7bは、当該協定を適用するために必要な原産国比率の最小値(閾値)を示す(mとする)。例えば、S4の判定処理で、当該パスpで計算した原産国比率の値(αとする)が、7bの値(m)以上である場合(α≧m)、当該パスpに当該協定(7a)を適用可となり、7bの値(m)未満である場合(α<m)、適用不可となる。上記m値はユーザにより設定変更することもできる。
【0039】
[D8:協定加盟地域情報]
図11は、協定加盟地域情報D8の例である。協定加盟地域情報D8には、データ項目として、協定名8a、所属国・地域8bを有する。8aは、関税に関する協定の名称である。8bは、協定に所属する国や地域の名称である。
【0040】
[画面(G1)]
以上、S1でのD1(図4)〜D8(図11)等のデータの入力が終了すると、図12に例示するような画面(入力画面G1)において入力データ情報を確認可能とする。また前述のように本画面で各種データをユーザが入力してもよい。
【0041】
図12の入力画面G1では、対象・候補となる拠点K及び物流経路Rの構成及び情報を、図示のようにグラフィカルに表示する。各拠点Kのノード(枠)をパスp(リンク)の線(矢印)でつなげて表示する。また例えば各拠点Kの枠に対して、線でつなぐ等の形で、当該拠点Kの関係情報・詳細情報として、品目や調達単価・製造単価など(拠点に応じた単価)の情報を表示する。また各拠点K間のパスpに対して、線でつなぐ等の形で、当該パスpの関係情報・詳細情報として、品目や輸送単価、及び候補となる協定と対応する関税額などの情報を表示する。また拠点Kやパスpの部分を選択・クリック等することで情報を表示するようにしてもよい。その他、操作用のコマンドに応じたボタンやメニューなどを表示する。例えば1200のボタンにより、各データ(D1等)の内容を個々に表示して入力・更新することができる。また1201のボタンにより、最適物流経路(最小コスト)を計算して後述の出力画面(図22)に表示させることができる。
【0042】
[補足(1)]
図13で、補足として、(a)は、物流ネットワークにおける拠点(Kとする)や物流経路(Rとする)について示す。拠点Kは、種類として、サプライヤ、工場、倉庫、市場(顧客)などがある。物流経路Rとして、上流(始点)の拠点K(例えばサプライヤ)から下流(終点)の拠点K(例えば市場)までつながる経路を有する。また隣接する拠点K間の経路部分をパスpとする。パスpは、説明上の用語であり、供給経路、輸送経路、リンクなどに適宜言い換え可能である。(a)では例として図示するK1〜K6、p1〜p6を有する。特に2種類のサプライヤ、2種類の倉庫がある場合である。
【0043】
(b)は、(a)の拠点Kを有する場合における複数の物流経路R(組合せ)を示す。例えばR1は、拠点K1,K3,K4,K6を結ぶ経路(パスp1,p3,p5から成る経路)である。同様に、図示するR2,R3,R4を有する。
【0044】
(c)は、例えば(b)の物流経路R1のパスp1やp5における適用対象(候補)となる協定や関税などについて示す。例えばp1において、輸送する品目(製品や部品)がタイヤであり、輸送単価が20であり、適用対象(候補)となる協定として、「AFTA」と「AJCEP」があり、各協定に対応する関税額が20,30である。
【0045】
[(S2)全物流経路組合せ作成処理]
次に、図14のフローに示す、全物流経路組合せ作成処理(S2)を行う。本処理(S2)では、市場・製品の全ての組合せ(1401)に対して、S2−1の物流経路(供給経路)追加処理を行う。ここでは複数(nとする)の物流経路Rの番号を0から開始してn−1までとして追加する。S2の処理は、物流設計部10(特に物流経路構成部11)により記憶部120のデータ(D1〜D5等)を用いて実行し、結果(経路組合せ情報D11等)を記憶部120に格納する。
【0046】
S2−1の詳細処理として、S2−2の物流経路追加処理では、当該拠点・品目の供給元を含む情報(物流経路番号,パス)を、経路組合せ情報D11に追加する。そしてその後、その供給元の拠点・品目を対象として本処理(S2−2)を再帰的に呼び出すことにより、全供給元(1403)について、経路組合せ情報D11(例:図15)を出力する。
【0047】
[D11:経路組合せ情報]
図15は、経路組合せ情報D11の例である。経路組合せ情報D11には、データ項目として、物流経路番号(ID)11a、発送元11b、着荷先11cを有する。11aは、物流経路を一意に識別する番号(ID)である(例:0〜3)。11bは、発送元(供給元)の拠点の名称である。11cは、着荷先(供給先)の拠点の名称である。物流経路R(11a)ごとに、11bと11cの組による拠点K間のパスpの情報がすべて格納される。例えば物流経路番号11aが“0”である第1の物流経路R1は、図示する3つの行のパスから構成される(図13のパスp1,p3,p5に対応する)。なお別途パス番号などのデータ項目を設けてもよい。
【0048】
[(S3)全協定組合せ作成処理]
次に、図16のフローに示す、全物流経路組合せに対する全協定組合せ作成処理(S3)を行う。S3の処理では、市場・製品の全ての組合せに対して、S3−1の協定追加処理を行う。S3の処理は、物流設計部10(特に経路別協定選択部12)により記憶部120のデータ(D6〜D8等)を用いて実行し、結果(協定組合せ情報D12等)を記憶部120に格納する。
【0049】
S3−1の詳細処理として、当該拠点・品目の供給元を含む情報(協定組合せ番号,協定など)を協定組合せ情報D12に追加する(1604)。そしてその後、その供給元の拠点・品目を対象として本処理(S3−1)を再帰的に呼び出すことにより、図17の協定組合せ情報D12を出力する。
【0050】
[D12:協定組合せ情報]
図17は、協定組合せ情報D12の例である。協定組合せ情報D12には、データ項目として、物流経路番号12a、協定組合せ番号12b、発送元12c、着荷先12d、協定(協定名)12eを有する。12bは、協定組合せを一意に識別する番号(ID)である(例:“0”〜“4”)。12c,12dは、前述同様に、パスpを構成する拠点(発送元,着荷先)を示す。12eは、当該パスpに対して適用される可能性がある協定の名称を示す(例:“AJCEP”,“AFTA”)。
【0051】
協定組合せとは、物流経路Rにおける1つ以上のパスpごとに関係付けられる1つ以上の協定の組み合わせを示す。例えばR1の場合、p1,p3,p5ごとに、適用の可能性がある協定の候補を有する。1行は、1つのパスp単位の協定情報を示す。協定組合せ番号が同じである複数の行により、1つの協定組合せを示す。1つの物流経路において、複数の協定組合せを有する。
【0052】
協定12eを特定する際の処理では、着荷先12dから、図6の拠点情報D3に基づき、所属地域を特定し、当該所属地域から、図11の協定加盟地域情報D8を参照して、協定名を特定する。
【0053】
図18は、補足として、図17(D12)に対応した協定組合せの例を示す。物流経路R1の場合の全協定組合せ(8つ)を示す。パスp1では2種類の協定(協定A:AFTA,協定B:AJCEP)の可能性があり、パスp3では2種類の協定(協定A:AFTA,協定B:AJCEP)の可能性があり、パスp5では2種類の協定(協定A:AJCEP,協定B:国定)の可能性がある。これらの掛け合わせ(2×2×2)により8つの協定組合せ(番号:0〜7)ができる。
【0054】
[(S4)協定適用判定付きコスト計算処理]
次に、図19のフローに示す、協定適用判定付きコスト計算処理(S4)を行う。本処理(S4)では、最上流(それ以上供給元が無いこと)の拠点・品目に対して(1901)、S4−1の協定別原価積み上げ処理を行う。S4の処理は、物流設計部10(特にコスト計算部13)により記憶部120のデータ(協定別原価情報D13等)を用いて実行し、結果(コスト情報D14等)を記憶部120に格納する。
【0055】
S4−1の詳細処理として、当該拠点・品目の全ての着荷先について(1902)、以下の処理を行う。まず、[トータルコスト(総コスト)](変数)に、[製造費],[輸送費],[関税]を加算する(1903)。[製造費]は、[製造単価]×[製造量]で計算される値とする。[輸送費]は、[輸送単価]×[輸送量]で計算される値とする。[関税]は、当該協定(当該パスに応じて適用される協定)により定義された関税とする。
【0056】
次に、[トータル原価](変数)に、[製造費]のみを加算する(1904)。その後、着荷先の拠点・品目について、拠点情報D3から所属地域を特定し、協定加盟国情報D8を参照して、当該所属地域が、対象とする協定に加盟しているか否かを判定する。
【0057】
上記着荷先の拠点・品目が対象の協定に加盟している場合(Yes)、[協定別原価]に、[製造費]を加算し(1906)、そして、下記式(1),(2)を用いて判定処理(1907)を行う。下記式(1)を満たす場合には「協定適用可」、満たさない場合には「協定適用不可」と判定する。
【0058】
式(1): [原産国比率(α)]≧[協定適用基準値(m)]
式(2): [原産国比率(α)]=[協定別原価]/[トータル原価]
当該判定で「協定適用不可」の場合(No)には処理終了とする。上記で[原産国比率]をαとする。前述の協定情報D7の原産国比率適用最小値(m)を[協定適用基準値](比較判定の閾値)として用いる。全ての着荷先の拠点・品目について、再帰的にS4−1の処理を呼び出すことにより、図20の協定別原価情報D13、図21のコスト情報D14を得る。
【0059】
[D13:協定別原価情報]
図20は、協定別原価情報D13の例である。協定別原価情報D13には、データ項目として、協定組合せ番号13a、発送元13b、着荷先13c、協定(協定名)13d、原価(トータル原価)13e、協定圏内原価(協定別原価)13f、原産国比率(α)13g、協定適用可否13hを有する。13eは、前述の[トータル原価]に対応する。13fは、前述の[協定別原価]に対応する。13gは、前述の計算した原産国比率(α)に対応するが、格納してもよいし格納しなくてもよい(画面に表示したい場合は格納する)。13hは、前述の「協定適用可」/「協定適用不可」の値である。
【0060】
[D14:コスト情報]
図21は、コスト情報D14の例である。コスト情報D14には、データ項目として、協定組合せ番号14a、発送元14b、着荷先14c、協定(協定名)14d、費目14e、コスト14f、累積コスト14gを有する。14eは、当該協定に応じた「材料費」「輸送費」「製造費」「関税」といったコスト種類を示す。14fは、当該パスp単位における当該協定14dや当該費目14eに応じたコストを示す。14gは、当該パスpないし当該物流経路R単位で、14fのコストを累積して成るコストを示す。例えば、サプライヤ(インドネシア)−工場(タイ)間のパスp1における累積コストは、上3行の「材料費」「輸送費」「関税」の各コスト値を累積(加算)し、50+20+20=90となる。更にパス単位のコストを累積すれば、物流経路R単位の累積コストが求まる。即ち、物流経路R1(物流経路番号“0”,協定組合せ番号“0”)の場合、図示のように、累積コスト=235となる。
【0061】
[(S5)結果表示処理]
次に、S5の結果表示処理では、ユーザ操作に基づき、データ表示部140の処理により、図22に例示するような結果表示画面G2を表示する(表示装置240の画面に表示される)。画面G2は、処理結果の候補の複数の物流経路のうち、関税を含めた総コストが最小となったベストの物流経路及び対応するコスト情報のみを表示する場合である。ユーザは、画面G2で結果を確認でき、また詳細情報などを参照することもできる。また本画面G2でユーザ入力を受け付けて処理し内容を変更可能とする。画面G2のような結果表示を終了すると、記憶部120に対応する情報が保存される。
【0062】
[画面(G2)]
結果表示画面G2では、図20の協定別原価情報D13や、図21のコスト情報D14を入力として用いて、総コストとその内訳(材料費、製造費、輸送費、関税、総コスト)を表示する(2201)。本例では、材料費=200、製造費=100、輸送費=35、関税=25、総コスト=360となる。
【0063】
図22の例では、総コストを最小とするためには、物流設計として、インドネシアのサプライヤ(拠点K1)と契約し、シンガポールに倉庫(拠点K5)を設置すればよいことがわかる。また、インドネシアのサプライヤ(K1)からタイの工場(K3)へ輸入する際(p1)には、協定としてAFTAを適用し、タイの工場(K3)からシンガポールの倉庫(K5)へ輸入する際(p4)には協定としてAJCEPを適用し、シンガポールの倉庫(K5)から日本の市場(K6)へ輸入する際(p6)には協定としてAJCEPを適用すればよいこと(最小コストになること)がわかる。
【0064】
また、上記ベストの物流経路及びコスト情報だけでなく、計算済みである他の物流経路及びコスト情報を表示してもよい。例えば2202のボタンにより、総コストが小さい順で各物流経路及びコスト情報をリスト等で表示し、ユーザはそれらの中から任意に選択して表示したり比較検討したりすることができる。例えば2位以下の物流経路に決定することもできる。
【0065】
[従来の計算方法]
図23では、比較のため、従来技術(従来の計算方法)により決定した物流経路及びコストを示す(なお表示画面ではない)。従来の計算方法として、輸送費を考慮して総コストを最小化した場合であり、関税については後付けで計算した場合の値を示している。図示のように、候補のパスのうち輸送費が小さい方のパスを選択して物流経路{サプライヤ(台湾)−工場(タイ)−倉庫(マレーシア)−市場(日本)}を決定している。これにより輸送費を考慮したコスト(15+10+5=30)が抑えられるが、関税のことは考慮していない。そして上記選択したパスに適用される協定に応じた関税を後付けで計算した値(40+20+20=80)を示している。上記輸送費(30)と関税(80)を他コスト(300)に加えることで実際の総コスト(410)が求まる。
【0066】
従来技術により決定した総コスト(410)と、図22で示した本実施の形態での最適物流経路の総コスト(360)とを比べると、本実施の形態の方が14%減になる。従来の計算方法では、輸送費など局所的にみてコスト計算しているため、全体的なコストでみると最適な結果にならない場合がある。一方、本実施の形態によれば関税を含めた総コストを最適化(最小化)することができる。
【0067】
[原産国比率について]
本実施の形態では、物流経路(パス)に対する協定・関税の適用の判定(S4)において、判定対象となる値(α)として、[原産国比率]を用いている(D13の13g)。協定と、原産国比率と、関税とが所定の対応関係を持つ。この値(α)は、現在の国際的なルール(各協定)に対応して使用しているが、例えば将来的にルールが変わりこの値(α)では不適になる場合は、その時のルールに応じた所定の値及び対応する閾値を定義(設定)して、同様に使用すればよい。例えばαに代わる所定の値をβとし、閾値をX,Yとし、X>β≧Yを満たす場合は適用可、といった判定を行う。
【0068】
[在庫保管コストについて]
本実施の形態では、関税を計算に入れることが特徴であるため、及び説明の簡単のため、従来の要素である在庫保管コストについては説明していないが、在庫保管コストの計算方法(公知技術)を用いて、在庫保管コストを含めた総コストを計算する機能なども同様・容易に実現することができる。
【0069】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、グローバルな物流設計及びコスト計算において、関税を含めた総コストを最適にする物流経路を求めることができる。ユーザはGUI画面によりわかりやすく物流設計を行うことができる。また自動化によりユーザによる協定及び関税に関する判断や計算が容易化される。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば以下のような変形例が可能である。
【0071】
(1)物流ネットワークにおける候補となるすべての拠点・経路などについて計算すること以外にも、例えばユーザにより画面などで任意に指定した一部の拠点・経路などについて限定して計算する処理機能を備えてもよい。
【0072】
(2)前述の実施の形態では、各パスに対する適用の候補となる協定を自動的に探索(選択)し(12,S3)、その後、コスト計算(13,S4)の際に、当該協定の適用可否の判定(αとmの比較判定)を行っている。これに限らず例えば、上記協定の探索(選択)の処理は省略し、各パスで適用する協定については所与のものとして確定(設定)しておき、コスト計算などの際に、パスに対する協定についての適用可否の判定を同様に行い、総コストが最小となる物流経路及び対応する協定の組合せを算出する処理を行う形態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、物流設計や関税計算などの情報処理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…物流設計部、11…物流経路構成部、12…協定選択部、13…コスト計算部、14…最適物流経路選択部、100…物流設計装置、110…データ入力部、120…記憶部、130…制御部(演算部)、140…データ表示部、D1…需要情報、D2…製品構成情報、D3…拠点情報、D4…供給元情報、D5…物流情報、D6…関税情報、D7…協定情報、D8…協定加盟地域情報、D11…経路組合せ情報、D12…協定組合せ情報、D13…協定別原価情報、D14…コスト情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コスト計算を含む物流設計の情報処理を行う物流設計装置であって、
前記物流設計のためのデータを入力する処理を行うデータ入力部と、
前記物流設計のためのデータを記憶する記憶部と、
前記入力のデータを用いて、製品の輸出入の拠点間の物流経路における、関税を含めたコストを計算する処理を行う物流設計部と、
前記物流設計部の処理結果の物流経路及びコストを含む情報を画面に表示する処理を行うデータ表示部と、を有し、
前記入力のデータは、製品の品目の情報、拠点の情報、拠点間のパスの情報、製造コストまたは輸送コストまたは在庫保管コストまたは他の必要コストを含む関税以外のコストを計算するための情報、適用候補となる自由貿易協定に関する情報、及び当該協定に応じた関税を計算するための情報、を含み、
前記物流設計部は、前記入力のデータに基づいて、上流の拠点から下流の拠点までの各拠点間のパスを含む複数の物流経路を構成し、当該物流経路ごとに関係付けられる協定を抽出し、当該物流経路ごとに、前記関税以外のコストを加算し、当該パスごとに協定に応じた関税額を加算し、これにより物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する処理を行うこと、を特徴とする物流設計装置。
【請求項2】
請求項1記載の物流設計装置において、
前記入力のデータは、製品の品目の情報、サプライヤ、工場、倉庫、及び市場を種類として含む拠点の情報、拠点間のパスの情報、製造コストまたは輸送コストまたは在庫保管コストまたは他の必要コストを含む関税以外のコストを計算するための情報、適用候補となる自由貿易協定の情報、及び当該協定に応じた関税を計算するための情報、を含み、
前記物流設計部は、
前記入力のデータに基づき、上流の拠点から下流の拠点までの各拠点間のパスを含む複数の物流経路の組合せを構成する第1の処理部と、
上記拠点または拠点に対応する国または地域に対して該当する協定を判定することにより、上記物流経路のパスごとに適用される候補となる協定を選択し、各物流経路における協定の組合せを構成する第2の処理部と、
上記物流経路及びパスごとに、原価を加算し、関税以外のコストを加算し、原産国比率(α)を算出し、当該原産国比率(α)と基準値(m)とを比較することにより当該パスに対する当該協定の適用可否を判定し、適用可の場合には当該協定に応じた関税額を加算し、これにより前記物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する第3の処理部と、
上記総コストが最小になる物流経路を選択し、当該物流経路、及び対応するコスト、協定、関税の情報を出力する第4の処理部と、を有すること、を特徴とする物流設計装置。
【請求項3】
請求項1記載の物流設計装置において、
前記入力のデータは、協定と、製品の品目と、輸出拠点と、輸入拠点と、当該協定に応じた関税額または当該関税額を算出する定義情報と、前記パスに対する協定の適用可否の判定で用いる原産国比率の基準値(m)の情報と、協定に応じた所属国または地域を示す情報と、の関係を示す情報を含むこと、を特徴とする物流設計装置。
【請求項4】
請求項1記載の物流設計装置において、
前記データ表示部は、入力の画面に、候補となる、拠点、パス、物流経路、品目、単価、協定、及び関税額の情報を関係付けてグラフィカルに表示すること、を特徴とする物流設計装置。
【請求項5】
請求項1記載の物流設計装置において、
前記データ表示部は、出力の画面に、前記総コストが最小となる最適な物流経路、及び対応するコスト、協定、関税額の情報を関係付けてグラフィカルに表示すること、を特徴とする物流設計装置。
【請求項6】
請求項1記載の物流設計装置において、
前記データ表示部は、出力の画面に、前記総コストの順で複数の物流経路、及び対応するコスト、協定の情報を関係付けてグラフィカルに表示すること、を特徴とする物流設計装置。
【請求項7】
請求項1記載の物流設計装置において、
前記物流経路の各パスで適用される候補となる協定は、予め設定された所定の協定とし、
前記物流設計部は、
前記入力のデータに基づき、上流の拠点から下流の拠点までの各拠点間のパスを含む複数の物流経路の組合せを構成する第1の処理部と、
前記所定の協定を用いて、上記物流経路のパスごとに適用される候補となる協定を選択し、各物流経路における協定の組合せを構成する第2の処理部と、
上記物流経路及びパスごとに、原価を加算し、関税以外のコストを加算し、原産国比率(α)を算出し、当該原産国比率(α)と基準値(m)とを比較することにより当該パスに対する当該協定の適用可否を判定し、適用可の場合には当該協定に応じた関税額を加算し、これにより前記物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する第3の処理部と、
上記総コストが最小になる物流経路を選択し、当該物流経路、及び対応するコスト、協定、関税の情報を出力する第4の処理部と、を有すること、を特徴とする物流設計装置。
【請求項8】
コンピュータを用いて、コスト計算を含む物流設計の情報処理を行う物流設計方法であって、
前記物流設計のためのデータを入力して記憶する処理を行う第1のステップと、
前記入力のデータを用いて、製品の輸出入の拠点間の物流経路における、関税を含めたコストを計算する処理を行う第2のステップと、
前記物流設計ステップの処理結果の物流経路及びコストを含む情報を画面に表示する処理を行う第3のステップと、を有し、
前記入力のデータは、製品の品目の情報、拠点の情報、拠点間のパスの情報、製造コストまたは輸送コストまたは在庫保管コストまたは他の必要コストを含む関税以外のコストを計算するための情報、適用候補となる自由貿易協定に関する情報、及び当該協定に応じた関税を計算するための情報、を含み、
前記第2のステップでは、前記入力のデータに基づいて、上流の拠点から下流の拠点までの各拠点間のパスを含む複数の物流経路を構成し、当該物流経路ごとに関係付けられる協定を抽出し、当該物流経路ごとに、前記関税以外のコストを加算し、当該パスごとに協定に応じた関税額を加算し、これにより物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する処理を行うこと、を特徴とする物流設計方法。
【請求項9】
コンピュータを用いて、コスト計算を含む物流設計の情報処理を行う物流設計プログラムであって、
前記物流設計のためのデータを入力して記憶する処理を行う第1のプログラムと、
前記入力のデータを用いて、製品の輸出入の拠点間の物流経路における、関税を含めたコストを計算する処理を行う第2のプログラムと、
前記物流設計ステップの処理結果の物流経路及びコストを含む情報を画面に表示する処理を行う第3のプログラムと、を有し、
前記入力のデータは、製品の品目の情報、拠点の情報、拠点間のパスの情報、製造コストまたは輸送コストまたは在庫保管コストまたは他の必要コストを含む関税以外のコストを計算するための情報、適用候補となる自由貿易協定に関する情報、及び当該協定に応じた関税を計算するための情報、を含み、
前記第2のプログラムの処理では、前記入力のデータに基づいて、上流の拠点から下流の拠点までの各拠点間のパスを含む複数の物流経路を構成し、当該物流経路ごとに関係付けられる協定を抽出し、当該物流経路ごとに、前記関税以外のコストを加算し、当該パスごとに協定に応じた関税額を加算し、これにより物流経路ごとの関税を含む総コストを計算する処理を行うこと、を特徴とする物流設計プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−89101(P2013−89101A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230340(P2011−230340)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)