説明

物理的気相堆積システムにおけるアニール方法及び装置

処理チャンバに配置された材料をアニールしてケイ化物層を形成するための方法及び装置が提供される。1つの態様において、シリコン材料が配置された基板を、チャンバ内の基板支持体上に配置するステップと、少なくともシリコン材料上に金属層を形成するステップと、上記基板をその場でアニールして、金属ケイ化物層を生成するステップとを備えた基板面を処理する方法が提供される。別の態様において、この方法は、ロードロックチャンバと、該ロードロックチャンバに結合された中間基板移送領域であって、第1基板移送チャンバ及び第2基板移送チャンバで構成される中間基板移送領域と、上記第1基板移送チャンバに配置された物理的気相堆積処理チャンバと、上記第2基板移送チャンバに配置されたアニールチャンバとを備えた装置において実行される。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、半導体デバイスの製造に関し、半導体基板上に材料を堆積してアニールすることに関する。
【0002】
関連技術の説明
半導体基板における超大規模集積(ULSI)回路の最近の改良は、半導体デバイスの将来の世代がサブクオータミクロンの多レベル金属化を必要とするであろうことを示している。この技術の中心をなす多レベル相互接続は、高アスペクト比のアパーチャーに形成された相互接続特徴部であってコンタクト、ビア、ライン及び他の特徴部を含むような相互接続特徴部の平坦化を必要とする。これらの相互接続特徴部を確実に形成することは、ULSIの成功にとって非常に重要であると共に、個々の基板及びダイにおいて回路密度及びクオリティを高めるための努力を継続するためにも非常に重要である。
【0003】
ULSI回路は、金属酸化物半導体(MOS)デバイス、例えば、相補的金属酸化物半導体(CMOS)電界効果トランジスタ(FET)を含む。これらトランジスタは、ソース領域とドレイン領域との間に配置された半導体ゲートを含むことができる。集積回路構造体の形成、特に、ポリシリコンゲート電極を使用するMOSデバイスの形成においては、ポリシリコンゲート電極の上並びにシリコン基板のソース及びドレイン領域の上に金属ケイ化物層を設けて、ソース及びドレイン領域を金属相互接続部に電気的接続することにより、低い抵抗値を容易に得ると共にデバイスの性能を改善することが習慣となっている。
【0004】
CMOS処理技術に現在使用されている1つの重要な処理技術は、チタン及びコバルトのような耐火金属の自己整合ケイ化作用(Self-Aligned Salicidation)(サリサイド(salicide))である。例えば、コバルト(Co)を使用するサリサイドプロセスでは、高導電率のオーバー層を形成することによりソース及びドレイン並びにポリシリコンゲート抵抗が減少されると共に、ソース及びドレインとその後に形成される金属相互接続部との有効接触面積を増加することにより接触抵抗が減少される。サリサイド処理技術とは、パターン化されたシリコン基板に堆積されたコバルトのような耐火金属は、特定の処理条件のもとで露出シリコンと選択的に反応するが、酸化シリコン材料とは反応しないという原理を利用しようとするものである。
【0005】
例えば、通常基板表面にパターン化されたシリコンにコバルトの層がスパッタリングされ、次いで、熱アニールプロセスを受けて、ケイ化コバルト(CoSi)を形成する。パターン化されたシリコンの外側又は酸化シリコンの保護層に堆積されたコバルトのような未反応コバルトは、その後、選択的にエッチング除去することができる。ケイ化コバルトの選択的反応は、基板表面に形成されたソース、ドレイン及びポリシリコンゲート領域に低抵抗率耐火金属ケイ化物をマスクレスで自己整列形成すると共に、半導体デバイスの相互接続導体を生じさせる。エッチングプロセスの後に、更に別の基板処理が行われ、例えば、ケイ化物材料のシート抵抗を更に減少するのに使用される付加的な熱アニーリングが行われる。
【0006】
しかしながら、ケイ化コバルトプロセスを従来の製造装置に一体化することは困難である。ケイ化コバルトプロセスを実行する現在の処理システムは、堆積及びアニールプロセス段階用の個別チャンバ間で基板を移送することを必要とする。チャンバ間の移送は、基板を汚染物に露出させ、基板表面に堆積されたシリコン又はコバルトの潜在的な酸化を招く。
【0007】
基板の表面に酸化物が形成されると、ケイ化物層の抵抗が増加すると共に、回路全体の信頼性が低下し得る。例えば、堆積したコバルト材料が酸化すると、コバルトが凝集したり、ケイ化物層が不規則に成長したりする。コバルト層の凝集や不規則な成長は、ソース及びドレイン電極が異なる厚みや表面積を有するといったデバイス不良を引き起こす。更に、基板表面においてケイ化コバルトが過剰に成長すると、デバイス間に導電性経路が形成され、短絡やデバイスの故障を招く。
【0008】
コバルト及びシリコンの汚染を制限する1つの解決策は、チャンバ間で基板を移送する前にコバルト及びシリコン膜にチタン又は窒化チタンのキャップ膜をスパッタリングすることである。このキャップ膜は、基板をアニールした後であって基板を更に処理する前に除去される。しかしながら、窒化チタンの堆積及び除去プロセスを追加すると、ケイ化物生成に必要な処理段階の数が増加し、従って、処理効率が低下し、処理の複雑さが増大し、しかも、基板のスループットが低下する。
【0009】
それ故、処理の複雑さを低減し且つ処理効率及びスループットを改善しながら基板にケイ化物材料を形成するための方法及び装置が要望される。
【発明の概要】
【0010】
ここに述べる本発明の実施形態は、一般に、堆積及びアニールプロセスを使用して金属ケイ化物層を形成するための方法及び装置を提供する。1つの態様において、ロードロックチャンバと、該ロードロックチャンバに結合された中間基板移送領域であって、第1基板移送チャンバ及び第2基板移送チャンバで構成され、上記第1基板移送チャンバが上記ロードロックチャンバに結合され、上記第2基板移送チャンバが上記第1基板移送チャンバに結合されるような中間基板移送領域と、上記第1基板移送チャンバに配置された物理的気相堆積(PVD)処理チャンバと、上記第2基板移送チャンバに配置されたアニールチャンバとを備えた基板処理システムが提供される。
【0011】
他の態様において、シリコン材料が配置された基板を、金属ターゲットが設けられた堆積チャンバに配置された基板支持体上に配置するステップと、上記基板支持体に電流を付与して上記基板を第1温度に加熱するステップと、上記堆積チャンバに不活性ガスを導入するステップと、上記不活性ガスの環境中で金属ターゲットと上記基板支持体との間にバイアスを印加することによりプラズマを発生して、上記金属ターゲットから材料をスパッタリングするステップと、上記スパッタリングされた材料を少なくとも上記シリコン材料上に堆積するステップと、上記基板ペデスタルと上記基板との間にバックサイドガスを供給するステップと、上記第1温度より高い第2温度において上記基板をその場でアニールして、金属ケイ化物層を生成するステップとを備えた基板にケイ化物層を生成する方法が提供される。
【0012】
別の態様において、シリコン材料が配置された基板をロードロックに導入するステップと、物理的気相堆積処理チャンバが配置された第1移送チャンバに上記基板を移送するステップであって、上記第1移送チャンバは上記ロードロックに結合され、上記堆積チャンバには金属ターゲット及び加熱ペデスタルが配置されるようなステップと、上記基板を上記物理的気相堆積チャンバに配置するステップと、上記シリコン材料上に金属層を堆積するステップと、アニールチャンバが配置された第2移送チャンバへ上記基板を移送する前に上記基板をアニールするステップであって、上記第2移送チャンバが上記第1移送チャンバに結合されるようなステップと、上記アニールチャンバにおいて上記基板をアニールして金属ケイ化物層を生成するステップとを備えた基板処理方法が提供される。
【0013】
本発明の上記態様が達成され且つ詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本発明を、添付図面に示されたその実施形態を参照して詳細に説明する。
【0014】
しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すものに過ぎず、それ故、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、本発明は、他の等しく有効な実施形態も受け入れることに注意されたい。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0015】
ここに述べる本発明の実施形態は、堆積チャンバ又は基板処理システムにおいて金属ケイ化物層を形成するための方法及び装置を提供する。物理的気相堆積(PVD)プロセスを参照して以下に述べる1つの実施形態は、本発明を例示するためのもので、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本発明の態様は、金属ケイ化物層を形成するためにアニールが望まれる化学的気相堆積のような他のプロセスにも効果的に使用できる。
【0016】
図1は、ここに述べる金属堆積及びアニールプロセスの少なくとも1つの実施形態を遂行するのに適した一体化された多チャンバ基板処理システムの概略上面図である。堆積及びアニールプロセスは、PVDチャンバが配置された多チャンバ処理システム又はクラスターツールにおいて実行することができる。効果的に使用できる1つの処理プラットホームは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライド・マテリアルズ・インクから商業的に入手できるEndura(登録商標)処理プラットホームである。
【0017】
処理プラットホーム35は、通常、2つの移送チャンバ48、50と、少なくとも1つの長射程の物理的気相堆積(PVD)チャンバ36と、付加的な処理チャンバ38及び40と、アニールチャンバ41とを含む一群のプロセスチャンバを備えている。一般に、アニールチャンバ41及びPVDチャンバ36は、異なる真空圧力で動作される別々の移送チャンバに配置される。チャンバ38及び40は、オペレータが希望する他の材料を堆積するためのPVDチャンバ又は化学気相堆積(CVD)チャンバを含む。オペレータが希望する構成に基づき移送チャンバ48又は50においてアニールチャンバ41として、真空圧力で基板をアニールすることのできる急速加熱アニール(RTA)チャンバが使用されてもよい。
【0018】
処理プラットホーム35は、更に、汚染物を除去するためのアプライド・マテリアルズから入手できるプレクリーンIIチャンバのような1つ以上の前清掃チャンバ42と、2つの脱ガスチャンバ44と、2つのロードロックチャンバ46とを備えている。処理プラットホーム35は、通常、移送チャンバ48、50に各々配置された移送ロボット49、51と、これら移送チャンバ48、50を分離する2つの冷却又は予熱チャンバ52とを備えている。処理プラットホーム35は、マイクロプロセッサコントローラ54をプログラミングすることにより自動化される。又、処理プラットホーム35の第1移送チャンバ48にRTAチャンバ(図示せず)を配置して、堆積後アニールプロセスを行った後に、基板をプラットホーム35から取り出すようにしてもよい。図示されていないが、複数の真空ポンプが各移送チャンバ及び各処理チャンバと流体連通状態に配置され、各チャンバ内の圧力を独立して調整する。これらポンプは、ロードロックチャンバから処理チャンバへと装置を横切って圧力の増加する真空勾配を確立する。
【0019】
図2は、ここに述べる金属堆積及びアニールプロセスの少なくとも1つの実施形態を遂行するのに適した一体化された多チャンバ基板処理システムの別の実施形態の概略上面図である。この実施形態において、2つのPVD堆積チャンバが、2つの脱ガスチャンバ44及び2つのロードロックチャンバ46と共に第1移送チャンバ48に配置される。PVD堆積チャンバの1つは、真空アニールチャンバ、又はプレクリーンIIチャンバのような前清掃チャンバ42で構成される。第2の移送チャンバ50には、2つのアニールチャンバ41が配置される。第1移送チャンバ48の動作圧力は、一般に、第2移送チャンバ50より低い。というのは、第1移送チャンバ48では高真空のPVDプロセスが実行され、一方、第2移送チャンバ50では大気圧アニールプロセスのような高圧力プロセスが実行されるからである。
【0020】
図3は、長射程の物理的気相堆積チャンバの一実施形態を示す。適当な長射程のPVDチャンバの一例は、カリフォルニア州サンタクララのアプライド・マテリアルズ・インクから商業的に入手できるALPS plus(登録商標)及びSIP(登録商標)PVD処理チャンバである。
【0021】
一般に、長射程のPVDチャンバ36は、ターゲット142のようなスパッタリングソースと、半導体基板154を受け入れるための基板支持ペデスタル152とを収容し、このペデスタルは、図示されたようなチャンバ壁であるか又は接地シールドである接地エンクロージャー壁150内に配置される。
【0022】
チャンバ36は、誘電体アイソレータ146を介して接地導電性アルミニウムアダプタ144に支持され、Oリングによりシールされる。ターゲット142は、金属性コバルト表面層と、それより作用性の高い金属のバックプレートとの接合された複合体である。ターゲット142は、スパッタリング中に基板表面に堆積されるべき材料で構成される。ターゲットは、例えば、金属ケイ化物層を形成するのに使用されるコバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム及びその組合せを含む材料を含む。例えば、コバルト元素、ニッケルコバルト合金、又はニッケル鉄合金で構成されたターゲットを、ターゲット142として使用することができる。
【0023】
制御可能なDC電源148は、負の電圧又はバイアスをターゲット142に印加し、通常、約0Vから約2400Vをターゲット142に印加して、ガスをプラズマ状態に励起する。次いで、アダプタ144がアルミニウムのチャンバ側壁150にシールされ接地される。プラズマからのイオンがターゲット142に衝撃して、その下に配置された基板154へと原子及び大きな粒子をスパッタする。供給電力は電圧で表わされるが、キロワット又は電力密度(W/cm)として表わされてもよい。チャンバに供給される電力量は、スパッタリングの量と、処理される基板のサイズとに基づいて変化させることができる。
【0024】
ペデスタル152は、スパッタ被覆されるべき基板154を、ターゲット142の主面に平面対向して支持する。基板支持ペデスタル152は、ターゲット142のスパッタ面にほぼ平行に配置された平らな基板受け入れ面を有する。運転に際し、基板154が基板支持ペデスタル152に配置され、チャンバ36にプラズマが発生される。少なくとも約90mmの長い射程距離がターゲット142と基板を分離する。基板支持ペデスタル152及びターゲット142は、200mmの基板の場合に約100mmから約300mmの距離だけ分離される。基板支持ペデスタル152及びターゲット142は、300mmの基板の場合に約150mmから約400mmの距離だけ分離される。基板とターゲットとの間の分離が基板直径の50%より大きい場合に、長射程の処理チャンバとみなす。
【0025】
RF電源156は、ある用途では、基板154に負のDC自己バイアスを誘起するためにペデスタル電極152に接続されるが、他の用途では、ペデスタル152が接地されるか又は電気的に浮動に保たれる。DC電源148又は別の電源を使用して、例えば、約0Vから約500Vの負のバイアスを基板支持ペデスタル152に印加してもよい。ペデスタル152は、チャンバ下壁160に結合されたベロー158を介して垂直方向に移動可能であり、チャンバ下部のロードロックバルブ(図示せず)により基板154をペデスタル152に移送した後に、堆積位置へ持ち上げることができる。
【0026】
処理ガスは、ガスソース162からマスフローコントローラ164を経てチャンバの下部へ供給される。下部チャンバのポンピングポート168を経て接続される真空ポンピングシステム166は、10−6トル未満の基本的圧力にチャンバを維持することができるが、チャンバ内の処理圧力は、通常、コバルトスパッタリングの場合、0.2から2ミリトル、好ましくは、1ミリトル未満に維持される。処理ガスは、非反応性又は不活性種、例えば、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、ヘリウム(He)、又はその組合せを含む。
【0027】
ターゲット142の後部には、回転可能なマグネトロン170が配置され、これは、ベースプレート174に支持された複数の蹄鉄形磁石172を含み、ベースプレート174は、チャンバ140及び基板154の中心軸に一致する回転シャフト176に結合される。蹄鉄形磁石172は、通常、腎臓の形状を有する、閉じたパターンに配置される。それらは、チャンバ内においてターゲット142の前面にほぼ平行に且つそれに接近して磁界を発生して、電子を捕獲し、ひいては、局部的なプラズマ密度を高め、これにより、スパッタリング率を高める。磁石172は、ターゲット142をより均一にスパッタして基板154を被覆するために回転される。
【0028】
本発明のチャンバ36は、接地された下部シールド180を備え、この下部シールドは、図4の分解断面図に明確に示されたように、その上部フランジ182がアダプタ144の張出部184に支持され且つそれに電気的に接続されている。下部シールド180のフランジ182にはダークスペースシールド186が支持され、このダークスペースシールド186の上面に凹設されるスクリュー(図示せず)が、これとフランジ182を、それらスクリューを受け入れるタップ穴を有するアダプタ張出部184に固定する。この金属ねじ込み結合は、2つのシールド180、186をアダプタ144に接地する。両シールド180、186は、通常、硬質の非磁性ステンレススチールから形成される。ダークスペースシールド186は、ターゲット142の環状側部くぼみに密接に嵌合する上部を有し、ダークスペースシールド186とターゲット142との間には狭いギャップ188があり、これは、プラズマの貫通を防止するに充分なほど狭く、ひいては、セラミックアイソレータ146に金属層がスパッタ被覆されてターゲット142を電気的に短絡するのを防止するに充分なほど狭い。又、ダークスペースシールド186は、下方に突出したチップ190も含み、これは、下部シールド180とダークスペースシールド186との間の界面がスパッタ堆積した金属により接合されるのを防止する。
【0029】
全体を示した図3に戻ると、下部シールド180は、第1直径のほぼ管状の上部194と、それより小さな第2直径のほぼ管状の下部196とにおいて下方に延びて、アダプタ144及びチャンバ本体150の壁にほぼ沿ってペデスタル152の上面より下へと延びている。又、半径方向に延びる下部198を含むボウル上の底部と、ペデスタル152のすぐ外側の上方に延びる内部100も有している。カバーリング102は、ペデスタル152がその下方のロード位置にあるときには下部シールド180の上方に延びた内部100の頂部にのせられるが、ペデスタル152がその上方の堆積位置にあるときにはペデスタル152の外周にのせられ、ペデスタル152がスパッタ堆積されるのを防止する。付加的な堆積リング(図示せず)を使用して、基板154の周囲が堆積されないようシールドしてもよい。
【0030】
又、チャンバ36は、より方向性をもって材料を基板にスパッタリングするようにしてもよい。1つの態様においては、この方向性スパッタリングは、ターゲット142と基板支持ペデスタル152との間にコリメータ110を配置して、基板154に対し堆積材料の均一且つ対称的なフラックスを与えることにより達成される。
【0031】
金属性リングコリメータ110が下部シールドの張出部106にのせられ、コリメータ110を接地する。このリングコリメータ110は、図5の平面図に良く示されたように、クロス支柱118、120によりリンクされた3つの同心的管状区分112、114、116を備えている。外側の管状区分116は、下部シールド180の張出部106にのせられる。下部シールド180を使用してコリメータ110を支持することは、チャンバの設計及び保守を簡単化する。少なくとも2つの内部管状区分112、114は、スパッタされた粒子を部分的にコリメートする高アスペクト比のアパーチャーを画成するに充分な長さである。更に、コリメータ110の上面は、バイアスされたターゲット142に対向する接地平面として働き、特に、プラズマ電子を基板154から離しておく。
【0032】
本発明に使用できるコリメータの別の形式は、図6の平面図に部分的に示されたハニカムコリメータ124であり、これは、六角形のアパーチャー128を分離している六角形の壁126が密接に詰め込み配列されたメッシュ構造を有している。ハニカムコリメータ124の利点は、コリメータ124の厚みを、必要に応じて、その中心から周囲へと通常は凸形状に変化させて、アパーチャー128のアスペクト比もコリメータ124にわたって同様に変化させられることである。コリメータは、1つ以上の凸状の側部を有してもよい。これは、スパッタのフラックス密度を基板にわたって調整し、堆積の均一性を高めることができる。PVDチャンバに使用できるコリメータは、ここに述べる本発明の態様及び特許請求の範囲と矛盾しない程度に参考としてここに援用する1997年7月22日付の米国特許第5,650,052号に開示されている。
【0033】
図7A及び図7Bを参照すれば、基板支持ペデスタル152の実施形態は、電源に電気的に接続された抵抗ヒータにより加熱することもできるし、流体導体接続された流体源、即ち液体熱交換器を通る熱媒体により冷却することもできる。基板支持ペデスタル152の実施形態を以下に説明するが、これは、例示のためのものであり、本発明の範囲をこれに限定するものではない。
【0034】
基板支持ペデスタル152の一実施形態が図7Aに示されている。この基板支持ペデスタル152は、高温高真空アニールプロセスに使用するのに適している。一般に、この基板支持ペデスタル152は、シャフト245に結合されたベース240に配置された加熱部分210を備えている。
【0035】
加熱部分210は、一般に、熱伝導性材料220及び基板支持面275に配置された加熱素子250を備えている。熱伝導性材料220は、加熱素子250と基板支持面275との間に効率的な熱伝達を与えるように動作温度において充分な熱コンダクタンスを有するものであれば、いかなる材料でもよい。伝導性材料の一例は、スチールである。基板支持面275は、誘電体材料を含んでもよく、通常、そこに配置される基板280に対して実質的に平らな受け入れ面を含む。
【0036】
加熱素子250は、伝導性材料220内に埋設されたリードを有する導電性ワイヤのような抵抗加熱素子であり、伝導性材料220に電気を通流する電気回路を完成するように設けられる。加熱素子250は、例えば、熱伝導性材料220に配置された個別の加熱コイルを含む。電気ワイヤは、電圧ソース(図示せず)を電気抵抗性加熱コイルの端に接続して、コイルを加熱するに充分なエネルギーを供給する。コイルは、基板支持ペデスタル152の領域をカバーするいかなる形状のものでもよい。もし必要であれば、付加的な加熱容量を与えるために2つ以上のコイルを使用してもよい。
【0037】
本体は、加熱部分の支持体を形成し、そこには流体チャンネル290が配置される。流体チャンネル290は、一般に、加熱部分210の表面に結合され、基板支持ペデスタル152を加熱又は冷却することができる。加熱素子250と、流体チャンネル290とを組み合せると、一般に、基板支持ペデスタル152の表面の温度制御が達成される。
【0038】
流体チャンネル290は、遠隔位置の流体ソース(図示せず)から流体を循環するための流体入口及び出口を有する同心リング又は一連のリング或いは他の希望の構成を含むものでよい。流体チャンネル290は、基板支持ペデスタル152のシャフト245に形成された流体通路292により流体ソース294に接続される。
【0039】
加熱素子250は、基板支持ペデスタル上の基板を約900℃まで加熱することができ、一方、流体チャンネルは、基板を約0℃の温度に冷却することができる。加熱素子250と流体チャンネル290との組み合せは、一般に、基板支持ペデスタル152に使用される材料の特性と、チャンバ36内で基板を処理するのに使用されるプロセスパラメータとに基づいて、基板280の温度を約10℃と約900℃との間で制御するのに使用される。
【0040】
サーモカップルのような温度センサ260を、例えば、加熱部分210の付近で基板支持ペデスタル152に取り付け又は埋設し、従来のやり方で温度を監視することができる。例えば、測定された温度をフィードバックループに使用して、電源から抵抗ヒータに供給される電流を制御し、基板の温度を希望の温度又は希望の温度範囲内に維持又は制御することができる。制御ユニット(図示せず)を使用して、温度センサから信号を受け取り、それに応答して加熱電源又は流体ソースを制御することもできる。
【0041】
加熱及び冷却要素の電源及び流体供給源は、一般に、チャンバ36の外部に配置される。例えば、各抵抗性ヒータは、基板支持ペデスタル152のベース240及びシャフト245に形成されたユーティリティ通路(図示せず)を経て配置されたワイヤにより電圧ソースを経て連絡し、チャンバ36の外部に位置する電源のようなユーティリティソースに接続される。流体通路294を含むユーティリティ通路は、基板支持ペデスタル152のベース240及びシャフト245に沿って軸方向に配置される。柔軟な保護シース295がシャフト245の周りに配置され、基板支持ペデスタル152からチャンバ壁(図示せず)へと延びて、基板支持ペデスタル152とチャンバの内部との間の汚染を防止する。
【0042】
基板支持ペデスタル152は、更に、加熱部分210の基板受け入れ面275をバックサイドガスソース(図示せず)に流体接続するガスチャンネル(図示せず)を含む。流体チャンネル270は、加熱部分と基板280との間の熱伝達ガス又はマスキングガスのバックサイドガス通過制御通路を画成する。
【0043】
チャンバに配置される支持ペデスタルは、堆積中に基板を支持するための静電チャックを備えている。支持ペデスタルとして使用することのできる適当な静電チャックは、カリフォルニア州サンタクララのアプライド・マテリアルズ・インクから入手できるMCA(登録商標)静電Eチャック又はパイロリティック・ボロン・ニトライド(Pyrolytic Boron Nitride)静電Eチャックを含む。
【0044】
図7Bは、基板支持ペデスタル152の加熱部分に取り付けられるか又はそれを形成する静電チャック210を有する基板支持ペデスタル152の別の実施形態を示す。この静電チャック210は、電極230と、誘電体材料235が被覆された基板受け入れ面275とを含む。導電性ワイヤ(図示せず)が電極230を電圧ソース(図示せず)へ接続する。基板280は、誘電体材料235に接触配置され、直流電圧が電極230に印加されて、基板を把持するための静電吸引力を形成する。
【0045】
一般に、電極230は、熱伝導性材料220において、そこに配置された加熱素子250と離間関係で配置される。加熱素子250は、一般に、熱伝導性材料220において電極230から垂直方向に離間されて平行に配置される。通常、電極は、加熱素子と基板受け入れ面275との間に配置されるが、他の構成を使用してもよい。又、静電チャック210の底部に配置された流体チャンネル290は、基板支持ペデスタル152の温度制御を達成するのに使用され、基板支持ペデスタルのベース240に形成された流体通路292により流体ソースに接続される。温度センサ260は、静電チャック210に取り付けられるか又は埋設され、温度を監視する。
【0046】
静電チャック210は、更に、基板支持ペデスタル152に形成されたチャンネル270も含み、該チャンネルは、静電チャック210の基板受け入れ面275をバックサイドガスソース(図示せず)に流体接続する。流体チャンネル270は、静電チャック210と基板280との間の熱伝達ガス又はマスキングガスのバックサイドガス通過制御通路を画成する。
【0047】
上述した基板支持ペデスタル152の実施形態は、高真空アニールチャンバを形成するのに使用される。高真空アニールチャンバは、上述した長射程チャンバ36のようなPVDチャンバ内に配置された基板支持ペデスタル152を含み、この場合、ブランクターゲットが配置されるか又はターゲットをもたず、且つターゲット又は基板支持ペデスタルにバイアスが接続されない。運転に際し、基板が基板支持ペデスタルに配置され、次いで、バックサイドガスが存在する状態又は存在しない状態で、基板が加熱素子250により希望の処理温度に加熱され、更に、基板をアニールして希望のアニール結果を得るに充分な時間処理され、次いで、チャンバから取り出される。
【0048】
ここに述べる基板支持ペデスタル152の実施形態は、基板をアニールするのに使用できるが、急速熱アニール(RTA)チャンバのような商業的に入手できるアニールチャンバを使用して、基板をアニールし、ケイ化物膜を生成してもよい。本発明は、ホットプレート設計及び加熱ランプ設計を含む種々の熱アニールチャンバ設計を利用して、電気メッキの結果を向上させることも意図する。本発明にとって有用な1つの特定の熱アニールチャンバは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライド・マテリアルズ・インクから入手できるWxZ(登録商標)チャンバである。本発明にとって有用な1つの特定のホットプレート熱アニールチャンバは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライド・マテリアルズ・インクから入手できるRTP XEplus Centura(登録商標)熱処理チャンバである。1つの特定のランプアニールチャンバは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライド・マテリアルズ・インクから入手できるRadiance(登録商標)熱処理チャンバである。
【0049】
真空圧力で動作できるアニールチャンバをPVD移送チャンバ50に配置し、真空を中断せずに堆積後アニールを行うことができる。ほぼ大気圧で動作できるアニールチャンバを第1移送チャンバ48に配置することができる。図3に示す実施形態では、コバルトターゲットをもつPVD堆積チャンバが第1移送チャンバ48に配置され、ほぼ大気圧で動作できるアニールチャンバ41が第2移送チャンバ50に配置される。
【0050】
金属ケイ化物プロセス
金属ケイ化物層の生成に使用される堆積及びアニール段階は、例えば、堆積チャンバ又は処理システムにおいて、真空を中断せずに、その場で行うことができる。その場でとは、ここでは、真空を中断せずに同じチャンバ又は同じ処理システムにおいて2つ以上のプロセスを実行するものとして広く定義される。例えば、その場でのアニールは、金属堆積と同じ処理チャンバにおいて実行することができる。
【0051】
別の例では、その場でのアニールは、堆積チャンバに隣接したチャンバにおいて実行され、両チャンバは、ある移送チャンバに結合され、移送チャンバの真空は、処理中に中断されない。更に別の例では、その場でのアニールは、同じ処理システムにおいて別々の処理圧力で実行され、例えば、システム35の第1及び第2移送チャンバ48、50に各々配置された処理チャンバ及びアニールチャンバにおいて、システム35の真空を中断したり基板を別の処理システムへ移送したりせずに、基板が処理される。
【0052】
以下、コバルト膜の堆積について説明するが、本発明は、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム及びその組合せを含む他の材料を使用して、ここに述べるように金属ケイ化物材料を生成することも意図する。
【0053】
金属堆積
一実施形態では、チャンバ36に配置されたシリコン基板に金属層が堆積され、基板ペデスタル152においてアニールされ、真空を中断せずに金属ケイ化物層を生成する。金属ケイ化物層を生成するための金属は、上述したPVDチャンバ36を使用して堆積される。堆積されるべきコバルトのような材料のターゲット142は、チャンバ36の上部に配置される。基板154がチャンバ36に入れられ、基板支持ペデスタル152に配置される。基板154は、その上にシリコン材料が配置されて、金属ケイ化物膜が生成されるところの特徴部を画成するように一般的にパターン化される。
【0054】
チャンバ38には、約5sccmから約30sccmの流量で処理ガスが導入される。チャンバの圧力は、従順なPVD金属層の堆積を促進するために約5ミリトル以下に維持される。堆積中には、約0.2ミリトルから約2ミリトルのチャンバ圧力を使用するのが好ましい。更に好ましくは、基板にコバルトをスパッタリングするには、約0.2ミリトルから約1.0ミリトルのチャンバ圧力で充分であることが観察されている。
【0055】
約0ボルト(V)から約2400Vの電力レベルをターゲット142に印加することによりプラズマが発生される。例えば、200mm基板に材料をスパッタリングするには、約0Vから約1000Vの電力レベルがターゲット142に印加される。基板表面へのスパッタ材料の方向性を改善するには、約0Vから約500Vの電力レベルが基板支持ペデスタル152に印加される。基板は、堆積プロセス中に約10℃と約600℃との間の温度に維持される。
【0056】
堆積プロセスは、例えば、アルゴンのような不活性ガスを、約5sccmから約30sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバの圧力を約0.2ミリトルから約1.0ミリトルに維持し、約0ボルトから約1000ボルトの負のバイアスをターゲット142に印加してガスをプラズマ状態に励起し、スパッタリングプロセス中に、基板を約10℃から約600℃、好ましくは、約50℃から約300℃、最も好ましくは、約50℃から約100℃の温度に維持し、更に、200mm基板の場合、ターゲットを基板表面から約100mmから約300mm離間させることを含む。このプロセスを使用して、コバルトが、約300Å/分から約2000Å/分の率でシリコン材料に堆積される。
【0057】
一般的なその場でのアニールプロセス
コバルト及びシリコン層は、次いで、約300℃から約900℃の温度において約10秒間から約600秒間その場でアニールされて、金属ケイ化物層を生成する。このアニールプロセスは、堆積チャンバ内の不活性ガス環境のもとで、先ず、不活性ガスを約0sccm(即ちバックサイドガスなし)から約15sccmの流量でチャンバに導入し、チャンバの圧力を約2ミリトル以下に維持し、基板を約300℃から約900℃の温度に約5秒間から約600秒間加熱して金属ケイ化物層を生成することにより行われる。
【0058】
堆積チャンバにおけるバックサイドガスを伴う堆積及びアニールプロセス
金属が200℃以下の基板温度で堆積され、次いで、バックサイドガス流を導入することにより約400℃以上の温度で基板支持ペデスタル152において迅速にアニールされる。堆積プロセスは、例えば、アルゴンのような不活性ガスを約5sccmから約30sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバの圧力を約0.2ミリトルから約1.0ミリトルに維持し、約0ボルトから約1000ボルトの負のバイアスをターゲット142に印加して、ガスをプラズマ状態へと励起し、基板を約200℃の温度に維持し、更に、200mm基板の場合にターゲットを基板表面から約100mmから約300mm離間させることを含む。
【0059】
基板の温度は、バックサイドガスの不存在中で、基板を400℃以上の温度に通常加熱する加熱レベルで基板を加熱することにより、約200℃に維持される。この低温度制御は、真空圧力におけるペデスタルの表面と基板の裏面との間の非効率的な熱伝達により達成される。このプロセスを使用して、コバルトを約300Å/分から約2000Å/分の率でシリコン材料上に堆積することができる。
【0060】
次いで、堆積チャンバにおいて、プラズマを終了し、バックサイドガスを基板支持体に付与して、堆積プロセスに使用した同じ加熱レベルで約400℃から約600℃の温度への基板の加熱を促進することにより、アニールプロセスを実行することができる。アニールプロセスは、約400℃から約600℃の温度において約5秒間から約300秒間行われる。基板は、500℃の堆積チャンバにおいて約60秒間から120秒間アニールされるのが好ましい。
【0061】
2つのチャンバにおける低温堆積及び2段階のその場でのアニールプロセス
別の実施形態では、金属層がチャンバ36においてシリコン基板に物理的気相堆積され、第1温度で第1時間周期中アニールされ、システム35において第2チャンバ、例えば、チャンバ41へ移送され、更に、第2温度で第2時間周期中アニールされ、真空を中断せずに金属ケイ化物層を生成する。
【0062】
金属の物理的気相堆積は、上述したように、約200℃以下の温度、好ましくは、約0℃から約100℃の温度で実行される。上述した2段階のその場でのアニールプロセスの第1段階は、堆積チャンバにおいて不活性ガス環境のもとで、先ず、不活性ガスを約0sccmから約15sccmの流量でチャンバに導入し、チャンバの圧力を約0ミリトルから約2ミリトルに維持し、更に、基板を約400℃から約600℃の温度に約5秒間から約300秒間加熱することにより実行される。基板は、堆積チャンバにおいて約500℃で約60秒間から約120秒間アニールされるのが好ましい。
【0063】
次いで、基板は、堆積チャンバから取り出され、図2について上述した移送チャンバ48のような同じ移送チャンバに配置された真空アニールチャンバへ移送される。高真空アニールチャンバは、上述したブランクターゲット及び基板支持ペデスタル152、又は商業用の高真空アニールペデスタル、例えば、カリフォルニア州サンタクララのアプライド・マテリアルズ・インクから商業的に入手できる高温度高均一性HTHU(登録商標)基板支持体を有するPVDチャンバを含む。
【0064】
次いで、約0ミリトルから約2ミリトルにチャンバ圧力を維持し、基板を約600℃から約900℃の温度に約5秒間から約300秒間の時間周期中加熱して、金属ケイ化物層を生成することにより、第2のアニール段階が実行される。基板は、アニールチャンバにおいて、800℃で約60秒間から120秒間アニールされるのが好ましい。
【0065】
2つのチャンバにおける低温堆積及び2段階のアニールプロセス
2チャンバ堆積及びアニールプロセスの別の実施形態では、金属層が、ここに述べるプロセスに基づき、堆積チャンバにおいて約200℃以下、好ましくは、約0℃から約100℃で堆積される。次いで、基板は、堆積チャンバにおいて、上述したアニールプロセスに基づいてアニールされる。次いで、基板は、第2のアニールプロセスのために図2の移送チャンバ50に配置されたRTAチャンバへ移送される。
【0066】
RTAアニールチャンバにおけるアニール動作は、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)及びその組合せを約4%以下の水素(H)と共に含むプロセスガスを、20リッター/分より多いプロセスガス流量で導入して、酸素含有量を100ppm未満に制御し、ほぼ周囲圧力のチャンバ圧力を維持し、更に、基板を約600℃から約900℃の温度に約5秒間から約300秒間加熱して、金属ケイ化物層を生成することにより実行される。基板は、RTAアニールチャンバにおいて800℃で約30秒間アニールされるのが好ましい。
【0067】
3つのチャンバにおける低温堆積及び2段階のアニールプロセス
別の実施形態では、金属層がチャンバ36においてシリコン基板上に堆積され、システム35の同じ移送チャンバ48に配置された真空アニールチャンバのような第1アニールチャンバへ移送され、第1温度で第1時間周期中アニールされ、システム35の第2アニールチャンバ、例えば、チャンバ41へ移送され、更に、第2温度で第2時間周期中アニールされて、真空を中断せずに金属ケイ化物層を生成する。
【0068】
金属堆積は、堆積チャンバにおいて、上述したプロセスに基づき、約200℃以下の基板温度、好ましくは、約0℃から約100℃で実行される。アニールプロセスのこの実施形態の第1段階は、処理システムに配置された第1の高真空アニールチャンバにおいて、不活性ガスを0sccmから約15sccmの流量でアニールチャンバへ導入し、チャンバの圧力を約0ミリトルから約2ミリトルに維持し、更に、基板を約400℃から約600℃の温度に約5秒間から約300秒間加熱することにより、その場で実行される。
【0069】
基板は、堆積チャンバにおいて、約500℃で約60秒間から約120秒間アニールされるのが好ましい。この第1アニール段階は、CoSiのような耐酸素膜を生成すると考えられる。
【0070】
基板は、処理システムの第2の高真空アニールチャンバへ移送することによりその場でアニールされる。この第2のアニール段階は、チャンバの圧力を約2ミリトル以下に維持し、更に、基板を約600℃から約900℃の温度に約5秒間から約300秒間の時間周期中加熱して、金属ケイ化物層を生成することにより実行される。基板は、アニールチャンバにおいて、約800℃で約60秒間から約120秒間アニールされるのが好ましい。
【0071】
或いは又、基板は、移送チャンバ又は処理システムの外部に配置された第2のアニールチャンバ、例えば、大気圧RTAチャンバへ移送されてもよい。RTAアニールチャンバにおけるアニール動作は、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)及びその組合せを約4%以下の水素(H)と共に含むプロセスガスを、20リッター/分より多いプロセスガス流量で導入して、酸素含有量を100ppm未満に制御し、ほぼ周囲圧力のチャンバ圧力を維持し、更に、基板を約400℃から約900℃の温度に約5秒間から約300秒間加熱して、金属ケイ化物層を生成することにより実行される。基板は、RTAアニールチャンバにおいて800℃で約30秒間アニールされるのが好ましい。
【0072】
高温堆積及びアニールプロセス
金属は、高い堆積温度で堆積することができる。堆積プロセスは、例えば、アルゴンのような不活性ガスを約5sccmから約30sccmの流量でチャンバへ導入し、チャンバの圧力を約0.2ミリトルから約1.0ミリトルに維持し、約0ボルトから約1000ボルトの負のバイアスをターゲット142に印加して、ガスをプラズマ状態へと励起し、バックサイドガスを付与することにより基板をほぼアニール温度、即ち約400℃から約600℃に維持し、更に、200mm基板の場合に基板表面からターゲットを約100mmから約300mm離間させることを含む。バックサイドガスの不存在中で基板を加熱することにより温度が約200℃に維持されてもよい。このプロセスを使用して、コバルトを約300Å/分から約2000Å/分の率でシリコン材料上に堆積することができる。
【0073】
次いで、プラズマを終了させ、堆積プロセスに使用された同じ加熱レベルで基板を約400℃から600℃の温度に加熱することにより、堆積チャンバにおいてアニールプロセスを実行することができる。このアニールプロセスは、約400℃から約600℃の温度で約5秒間から約300秒間実行される。基板は、堆積チャンバにおいて、約500℃で約60秒間から約120秒間アニールされるのが好ましい。
【0074】
次いで、第2のアニール段階が、真空を中断せずにアニールチャンバにおいて実行されるか、或いは個別の移送チャンバ又は処理システムに配置されたアニールチャンバにおいて実行される。第2のアニール段階は、基板を約600℃から約900℃の温度に約5秒間から約300秒間の時間周期中加熱して、金属ケイ化物層を生成することを含む。基板は、約800℃で約60秒間から約120秒間アニールされるのが好ましい。
【0075】
コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、及びパラジウムのケイ化物、並びにその組み合せを含む金属ケイ化物材料が、図8に示すMOSデバイスの形成に使用される。図示されたMOS構造では、N+ソース及びドレイン領域402及び404がP型シリコン基板400においてフィールド酸化物部分406の付近に形成される。ゲート酸化物層408及びポリシリコンゲート電極410が、ソース領域402とドレイン領域404との間でシリコン基板400上に形成され、ポリシリコンゲート電極410の側壁には酸化物スペーサ412が形成される。
【0076】
MOS構造体の上、より詳細には、ソース及びドレイン領域402及び404の露出したシリコン表面、並びにポリシリコンゲート電極410の露出した上面に、ここに述べるプロセスによりコバルト層が堆積される。コバルト材料は、402及び404におけるその下のシリコンとのその後の反応に充分な量のコバルトを与えるために約1000Å以下の厚みに堆積される。コバルトは、シリコン材料上に約50Åから約500Åの厚みに堆積される。次いで、コバルト層がここに述べるようにその場でアニールされ、ケイ化コバルトを生成する。
【0077】
未反応コバルトが基板表面から除去されて、ケイ化コバルトが、ポリシリコンゲート電極410の上並びにシリコン基板400のソース及びドレイン領域402及び404の上に各々形成された均一厚みのケイ化コバルト(CoSi)部分414、416及び418として残る。このようにして形成された構造体上に誘電体材料を堆積して、デバイスにコンタクト画成部420を形成するようにエッチングしてもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに本発明の他の実施形態及び更に別の実施形態が案出できるであろうから、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】半導体基板に従順なPVD層を堆積するのに適すると共に、その堆積された層をアニールするのに適した一体化された多チャンバ装置の一実施形態を示す概略上面図である。
【図2】半導体基板に従順なPVD層を堆積するのに適すると共に、その堆積された層をアニールするのに適した一体化された多チャンバ装置の別の実施形態を示す概略上面図である。
【図3】本発明に包含されるスパッタリングチャンバの一実施形態を示す断面図である。
【図4】ターゲット付近のシールドの上部エリアを含む図3の拡大図である。
【図5】リングコリメータの一実施形態を示す平面図である。
【図6】ハニカムコリメータの一実施形態を示す部分平面図である。
【図7A】基板をアニールするためのペデスタルの一実施形態を示す断面図である。
【図7B】基板をアニールするためのペデスタルの別の実施形態を示す断面図である。
【図8】トランジスタとのコンタクトとして使用されるケイ化物材料の簡単な断面図である。
【符号の説明】
【0080】
35…処理プラットホーム、36…物理的気相堆積(PVD)チャンバ、38、40…付加的な処理チャンバ、41…アニールチャンバ、42…前清掃チャンバ、44…脱ガスチャンバ、46…ロードロックチャンバ、48、50…移送チャンバ、49、51…移送ロボット、54…マイクロプロセッサコントローラ、110…リングコリメータ、111、114、116…同心的管状区分、124…ハニカムコリメータ、142…ターゲット、144…アダプタ、146…誘電体アイソレータ、148…DC電源、152…基板支持ペデスタル、154…半導体基板、156…RF電源、158…ベロー、162…ガスソース、164…マスフローコントローラ、170…回転可能なマグネトロン、172…蹄鉄形磁石、174…ベースプレート、176…回転シャフト、180…下部シールド、182…上部フランジ、184…張出部、186…ダークスペースシールド、188…ギャップ、190…下方に突出したチップ、194、196…管状部分、210…加熱部分、220…熱伝導性材料、230…電極、240…ベース、245…シャフト、250…加熱素子、260…温度センサ、275…基板支持面、290…流体チャンネル、294…流体ソース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードロックチャンバと、
上記ロードロックチャンバに結合された中間基板移送領域であって、第1基板移送チャンバ及び第2基板移送チャンバで構成され、上記第1基板移送チャンバが上記ロードロックチャンバに結合され、上記第2基板移送チャンバが上記第1基板移送チャンバに結合されるような中間基板移送領域と、
上記第1基板移送チャンバに配置された物理的気相堆積(PVD)処理チャンバと、
上記第2基板移送チャンバに配置されたアニールチャンバと、
を備えた基板処理システム。
【請求項2】
上記中間基板移送領域及び各々の上記処理チャンバと連通する複数の真空ポンプを更に備え、該複数のポンプは、装置を横切って上記ロードロックチャンバから上記処理チャンバへ圧力の増加する真空勾配を確立する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記第2移送チャンバは、上記第1基板移送チャンバよりチャンバ圧力が高い。請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記PVD処理チャンバには、アニールペデスタルが配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
上記PVD処理チャンバは、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム及びその組合せのグループから選択された材料のターゲットを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記PVD処理チャンバには、コバルトターゲット及びアニールペデスタルが配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
上記アニールチャンバは、急速加熱アニールチャンバを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記第1基板移送チャンバ、上記第2基板移送チャンバ又はその組合体に配置された化学的気相堆積チャンバを更に備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記装置は、コバルトターゲット及びアニールペデスタルが配置された2つのPVD処理チャンバが上記第1移送領域に配置されると共に、2つのアニール処理チャンバが上記第2移送チャンバに配置され、上記第2移送チャンバは、上記第1移送チャンバより運転温度が高い、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上記物理的気相堆積(PVD)処理チャンバは、
スパッタリングソースを包囲するチャンバと、
上記スパッタリングソースのスパッタリング面にほぼ平行に配置された基板支持部材であって、基板を受け入れるように構成されたほぼ平らな基板受け入れ面、上記基板支持部材に配置された電気抵抗加熱素子、及び流体供給源に接続されてコントローラにより調整される流体チャンネルを含むような基板支持部材と、
上記スパッタリングソースと上記基板支持部材との間に取り付けられるコリメータと、
を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記基板支持部材は、
電極と、該電極上に配置されて基板を受け入れるように構成されたほぼ平らな基板受け入れ面を有する電気的アイソレータとを有する静電チャックと、
上記静電チャックに配置された電気抵抗加熱素子と、
流体供給源に接続されてコントローラにより調整される流体チャンネルと、
を備えた、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記電気抵抗加熱素子を電圧源に接続するための導電性リードを更に備えた、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
上記基板支持部材に結合された少なくとも1つの温度センサを更に備えた、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記支持ペデスタルに配置されたチャンネルに結合されたガスソースを更に備え、上記チャンネルは、上記ガスソースを上記平らな基板受け入れ面に結合する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
上記コリメータは、上面及び下面を有し、その少なくとも一方の面は、凸面である、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
シリコン材料が配置された基板を、金属ターゲットが設けられた堆積チャンバに配置された基板支持体上に配置するステップと、
上記基板支持体に電流を付与して上記基板を第1温度に加熱するステップと、
上記堆積チャンバに不活性ガスを導入するステップと、
上記不活性ガスの環境中で金属ターゲットと上記基板支持体との間にバイアスを印加することによりプラズマを発生して、上記金属ターゲットから材料をスパッタリングするステップと、
上記スパッタリングされた材料を少なくとも上記シリコン材料に堆積するステップと、
上記基板ペデスタルと上記基板との間にバックサイドガスを供給するステップと、
上記第1温度より高い第2温度において上記基板をその場でアニールして、金属ケイ化物層を形成するステップと、
を備えた基板にケイ化物層を形成する方法。
【請求項17】
上記基板は、上記ターゲットから約90mmから約400mmのところに配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記金属材料は、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム及びその組合せのグループから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
上記スパッタリングされた材料をコリメートするステップを更に備えた、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
上記第1温度は、約200℃以下である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
上記基板を第2温度においてその場でアニールする上記ステップは、上記基板支持体上で上記基板を約300℃から約900℃の温度でアニールする段階を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
上記基板は、約10秒間から約600秒間アニールされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記基板をその場でアニールする上記ステップは、上記基板を上記堆積チャンバ内で第2温度において第1時間周期中アニールする段階と、上記基板をアニールチャンバへ移送する段階と、処理システム内で真空を中断せずに上記基板を上記第2温度より高い第3温度で第2時間周期中アニールする段階とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記第2温度は、約300℃から約500℃であり、上記第3温度は、約400℃から約900℃である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記第1時間周期は、約5秒から約300秒であり、上記第2時間周期は、約5秒から約300秒である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
上記基板をその場でアニールする上記ステップは、上記基板を第1アニールチャンバ内で上記第1温度より高い第2温度においてアニールする段階と、上記基板を第2アニールチャンバへ移送する段階と、処理システム内で真空を中断せずに上記基板を上記第2温度より高い第3温度で第2時間周期中アニールする段階とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
上記基板の面は、上記基板を上記堆積チャンバ内で第1温度において第1時間周期中アニールし、上記基板を熱アニールチャンバへ移送し、次いで、処理システム内で真空を中断せずに上記基板を第2温度で第2時間周期中アニールすることにより処理される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
シリコン材料が配置された基板をロードロックに導入するステップと、
上記ロードロックと真空密連通する第1移送チャンバへ上記基板を移送するステップと、
上記第1移送チャンバと真空密連通する物理的気相堆積チャンバ内の加熱ペデスタルに上記基板を配置するステップと、
シリコン材料に金属層を堆積するステップと、
アニールチャンバが配置された第2移送チャンバへ上記基板を移送する前に上記基板をアニールするステップであって、上記第2移送チャンバは、上記第1移送チャンバと真空密連通されるようなステップと、
上記アニールチャンバ内で上記基板をアニールして、金属ケイ化物層を生成するステップと、
を備えた基板処理方法。
【請求項29】
上記基板を移送する前に上記基板をアニールする上記ステップは、上記物理的気相堆積処理チャンバにおいて上記基板をアニールすることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記第1移送チャンバと真空密連通する真空アニールチャンバを更に備えた、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
上記アニールチャンバ内で上記基板をアニールする上記ステップは、上記真空アニールチャンバにおいて上記基板をアニールすることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記基板をアニールする上記ステップは、真空を中断せずに約300℃から約900℃の温度で上記基板をアニールすることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
金属層を堆積する上記ステップは、約200℃以下の基板温度で金属ターゲットをスパッタリングすることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
上記第2移送チャンバは、上記第1基板移送チャンバよりチャンバ圧力が高い、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
上記金属ターゲットは、コバルト、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、ニッケル、鉄、ニオブ、パラジウム及びその組合せのグループから選択された材料で構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
上記物理的気相堆積処理チャンバには、コバルトターゲット及びアニールペデスタルが配置されている、請求項28に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−500472(P2006−500472A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−578610(P2003−578610)
【出願日】平成14年7月25日(2002.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2002/023578
【国際公開番号】WO2003/080887
【国際公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】