説明

物質の相互作用検出方法

本発明は生理活性物質をはじめとする様々な物質の相互作用を動的に探索し、標的物質を検出する方法に関するものである。より具体的に、ナノ高単位複合体を形成可能な物質、ベイト及びプレイを反応させて、インビトロまたはインビボにおいてベイトとプレイとの相互作用によりナノ高単位複合体が形成されるかどうかを分析したり、ナノ高単位複合体を形成可能な物質、ベイト及びナノ高単位複合体形成を誘導可能な媒介(調節)物質を反応させて、インビトロまたはインビボにおいて媒介(調節)物質によりナノ高単位複合体の形成を誘導した後、前記ベイトと相互作用するプレイが前記ナノ高単位複合体上にベイトと一緒に局在するかどうかを分析して、ベイトとプレイとの相互作用を動的な形態にて探索する方法及び前記相互作用を阻害または促進する標的物質を容易に検出する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞中において起こる様々な生理活性物質間の動的な相互作用を探索する方法及びこれらの相互作用と機能を調節する物質の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、様々な生理活性物質間の動的な相互作用により種々の生理的な機能が調節される。このような相互作用が適切に起こらなければ問題が起きて疾患が発生する。例えば、生体内のタンパク質は他のタンパク質と相互作用することによりその機能を示す。一般的に相補的な構造の2つのタンパク質は相互に作用し、生理活性化合物はタンパク質3次構造の特定の部位に特異的に相互に作用する。一般的に、2つのタンパク質間の相互作用はこれらタンパク質が機能的に関連されていることを強く示唆し、タンパク質の特定の部位に特異的に相互作用する生理活性化合物はそのタンパク質の活性を調節することにより、例えば、疾患関連タンパク質の場合に疾患を診断、予防、治療または軽減化能な治療剤としての開発可能性を提示する。
【0003】
このため、新薬開発分野においては既にその機能及び特性が明らかになった物質である「ベイト(bait)」と探索及び検出対象となる相互作用パートナーである「プレイ(Prey)」の相互作用を確認することにより、新規な標的タンパク質を検出したり、新薬候補物質としての生理活性物質をスクリーニングする種々の方法が研究されている。このように、相互作用分析を通じた新たな標的タンパク質の同定及び分離は薬物の活性、効果及び副作用などに関する有用な情報を得るための極めて重要な研究開発課題と看做される。また、標的タンパク質は生物学的経路及び伝達体系に対する理解を増進させ、基礎細胞調節及び疾患メカニズムに関する情報を提供し、このような情報は標的タンパク質と相互作用する生理活性化合物に対する探索及び検出を通じて新薬開発及び従来の薬物の改良並びに新規薬剤学的用途の発見などに極めて驚異的で且つ強力な手段となる。
【0004】
現代の医薬は人間の様々な疾患に対するより安全で且つ効果的な治療法を開発するための挑戦に直面しているが、現在使用されている多くの薬物はそれらの標的タンパク質及び分子的ターゲットなしで疾患モデルにおける生物学的効能により規定されているのが現状である(L. Burdine et al., Chem. Biol. 11: 593, 2004; J. Clardy et al., Nature 432:829, 2004)。さらに、生物的活性を持つ天然物が薬物開発に重要な源泉となっているが、それらの活性の様相はほとんど知られていない(J. Clardy et al., Nature 432:829, 2004)。それらの生理的対象及び分子的ターゲットに対する究明は治療的効果及び副作用に対する理解に必須的であるだけではなく、これにより、より改善された2世代治療学の発展を可能にするであろう。また、臨床的に証明された化合物の新たなターゲットを発見することは治療上の新たな応用に寄与するであろう(T.T. Ashburn et al., Drug Discov. 3:673, 2004)。
【0005】
ハイスループット細胞基盤のスクリーニング方法を扱う化合物と結び付いた生物学分野において、「ターゲットスクリーニング」は巨大な化合物ライブラリーから好適な表現型を有する低分子化合物を究明するのに使用される(R.L. Strausberg at al., Science 300:294, 2003; B.R. Stockウェル, Nature 432:846, 2004)。前記スクリーニングの大きなメリットにも拘わらず、このようなアプローチは発見された低分子化合物を究明する上で決して容易ではない方法である。しかしながら、タンパク質(または、低分子化合物)−タンパク質相互作用などの種々の細胞内分子相互作用の効果的な検出は動的な生物学的プロセス及び調節ネットワークの理解に必須的であるため、このようなターゲット同定技術の発達はゲノミクス、プロテオミクス及びシステム生物学をはじめとする様々な生命科学分野において極めて重要である。
【0006】
ターゲットスクリーニング分野において、親和性クロマトグラフィ(Phizicky, E.M. et al., Microbiol. Rev., 59:94, 1995; Mendelsohn A.R. et al., Science, 284:1948, 1999)と、タンパク質/低分子化合物マイクロアレイ、ファージディスプレイ(Sche, P.P. et al., Chem. Biol., 6:707, 1999)と、酵母ツー/スリーハイブリッドアッセイ(Licitra, E.J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:12817, 1996)と、発現プロファイリング、及び酵母菌株異種欠失が起きた酵母菌株の平行分析(Zheng et al., Chem. Biol., 11: 609, 2004)などのいくつかの技術が生理活性分子間の相互作用の分析のために活用されてきている。
【0007】
しかしながら、これらのあらゆる技術はハイ・バックグラウンド、偽陽性、低い感度、タンパク質発現後の不適切なフォールディング、間接性、タンパク質発現後の変形不足、または細胞適合性を含む制限されたターゲットの接近などの種々の問題により、困難な状況に置かれている。また、インビトロ結合条件または非哺乳動物細胞などの人為的な実験環境の使用は、しばしば実験結果に誤りを来たす。
【0008】
このため、生理学的や薬学的に高い感度及び選択度が考慮された状況において生理活性分子の相互作用を直接的に調査することが最も好ましい。生存している哺乳動物細胞内において分子間相互作用を探索するための、蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer;FRET)(Moshinsky, D.J. et al., Screen., 8(4): 447, 2003)またはタンパク質間相互作用検出法(protein-fragment complementation assay;PCA)などの技術が使用可能であるが、これらは相互作用パートナーの間において特定の空間位置や距離などの要件によりやや制限を受ける。
【0009】
総合的にみると、上記の如き基盤技術を発展させることが従来の技術と比較していくつかの利点を提供する上で極めて重要であると言える。
【0010】
第一に、生理学的や薬学的に関連する生理活性物質及び分子間相互作用を探索することは人為的な実験的環境による結果物が導き出す誤りを大幅に低減することができ、第二に、全体の発現プロファイルまたは複雑な生物学的表現型に依存するいかなる間接的な解読方法とは異なり、生理活性物質及び分子相互作用を明確な解読シグナルに直接的に解釈することを可能にする。このため、生理活性物質及び分子のターゲットに対して内在された偽陽性/陰性または誤りを引き起こし易い推論などが未然に防止されうる。第三に、生理活性物質及び分子間の相互作用において動的な単一細胞分析が可能である。個々の生存細胞の動的分析は生理学的及び薬学的に広い範囲に亘って、異種間非同時的に起こる細胞内プロセスを探索可能な効果的な方法を提供する。
【0011】
要するに、前記基盤技術は他の組織及び疾患状態の広い範囲に亘って、生存細胞内において生理活性物質及び分子間の相互作用(例えば、生理活性低分子化合物とタンパク質との相互作用など)の多様性検出及びタンパク質変形(例えば、リン酸化)を検出するのに使用されうる。
【0012】
そこで、本発明者らは、前記基盤技術の要求に応えて、従来の技術が有していた問題点を解決しながら、インビトロだけではなく、インビボにおいて生理活性物質間の相互作用を動的に探索するための方法を研究した結果、様々な生理活性物質間の相互作用によるナノ高単位複合体を形成するかどうか、またはナノ高単位複合体上に一緒に局在するかどうかを分析することにより、生理活性物質間の相互作用を探索、検証することができるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の要約】
【0013】
本発明の目的は、特定の生理活性物質である「ベイト」と探索及び検出対象の生理活性物質である「プレイ」間の相互作用を直接的に探索する方法及び、前記「ベイト」と相互作用する「プレイ」の検出方法を提供するところにある。
【0014】
本発明の他の目的は、前記「ベイト」と「プレイ」との相互作用を抑制、阻害、促進または誘導する標的物質を探索し、目的とする標的物質を検出する方法を提供するところにある。
【0015】
前記目的を達成するために、本発明は、第1態様として、
(i)ナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質及びプレイ物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記ナノ高単位複合体の形成の有無を測定して前記相互作用を判別するステップと、を含む、物質の相互作用検出方法を提供する。このとき、前記物質相互作用はそれぞれプレイ物質がベイト物質と相互作用してナノ高単位複合体を形成するかどうかを解析することによって検出する。
【0016】
また、本発明は、第2態様として、
(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記媒介物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、を含む、物質の相互作用検出方法を提供する。このとき、前記物質相互作用はナノ高単位複合体上に一緒に局在するかどうかを解析することによって判別する。
【0017】
さらに、本発明は、第3態様として、
(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に結合しているベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、を含む、物質の相互作用検出方法を提供する。このとき、前記物質相互作用はナノ高単位複合体上に一緒に局在するかどうかを解析することによって判別する。
【0018】
さらに、本発明は、前記ベイト及びプレイ物質間の相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質を検出する方法を提供する。
【0019】
本発明の他の特徴及び実施態様は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】XとYとの間の直接的なまたはAを介した間接的な相互作用を検出するための本発明の第1方法の構成物に対する概略図である(XとYとAは同じまたは異なる物質であり、Nはナノ高単位複合体形成物質である)。
【図2】上図はAとBとの間の直接的なまたはCを介した間接的な相互作用によりナノ高単位複合体の形成が誘導されるときに探索物質XとYとの相互作用を探索するための本発明の第2方法の構成物に対する概略図であり(AとBとCは同じまたは異なる物質であり、XとYは同じまたは異なる物質であり、Nはナノ高単位複合体形成物質である)、下図は第1媒介(調節)物質A、B、C、D間の相互作用によりナノ高単位複合体の形成が誘導されながら、第2媒介(調節)物質E、F間の相互作用により探索物質Xが形成されたナノ高単位複合体上に結合するとき、X−Y間の相互作用を探索するための本発明の第3方法の構成物に対する概略図である(A、B、C、Dは同じまたは異なる物質であり、EとFは同じまたは異なる物質であり、XとYは同じまたは異なる物質であり、Nはナノ高単位複合体形成物質である)。
【図3】フェリチンタンパク質の自己集合により形成されるナノサイズの単位複合体の構造である。
【図4】媒介物質であるラパマイシンによりFKBPとFRBの探索物質が互いに相互作用することによりナノ高単位複合体が形成される概略図である。
【図5】細胞内においてFKBP−FRB間の相互作用によるナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図6】FKBP−FRB間の相互作用によるナノ高単位複合体形成を時間帯別に示す共焦点顕微鏡写真である。
【図7】FKBPとFRBに結合された蛍光タンパク質を互いに交換した場合における蛍光顕微鏡写真である。
【図8】2つのタンパク質FKBPとFRBとの間の特異的相互作用を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図9】2つのタンパク質FKBPとFRBとの間の特異的相互作用を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図10】ヒトの幹細胞内におけるFKBP−FRB相互作用によるナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図11】FK506をラパマイシンの競合化合物により処理した場合の蛍光顕微鏡写真である。
【図12】種々の蛍光タンパク質の付着による影響を観察した蛍光顕微鏡写真である。
【図13】種々の蛍光タンパク質の付着による影響を観察した蛍光顕微鏡写真である。
【図14】核局在シグナル(NLS:Nuclear Localization Signal)を付着させたフェリチンタンパク質を用いて、核内におけるFKBP−FRB相互作用によるナノ高単位複合体の形成に対する蛍光顕微鏡写真である。
【図15】IkBαとRelAの探索物質が互いに様々な形式(A、B、C)にて多重相互作用することによりナノ高単位複合体が形成される概略図である。
【図16】図15Aの場合のようにIkBαとRelAタンパク質との相互作用によるナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図17】図15Bの場合のようにラパマイシンを処理したFRBとFKBPとの相互作用及びIkBα−RelA間の相互作用によるナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図18】図15Bの場合のようにラパマイシンを処理したFRBとFKBPとの相互作用及びIkBα−RelA間の相互作用による、他の例の巨大なナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図19】様々な蛍光タンパク質の影響を調べた蛍光顕微鏡写真である。
【図20】ラパマイシンを処理したFRB−FKBP間の相互作用及び、生理的な信号であるTNFaを処理したIkBα−bTrCP間の相互作用による巨大なナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図21】TNFaによるIKKb−IkBα相互作用による巨大なナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図22】RNAと調節タンパク質が互いに多重相互作用することによりフェリチン融合タンパク質による巨大なナノ高単位複合体が形成される概略図である。
【図23】PAZとmiRNAとの結合、let−7b(miRNA)とlin28−MS2bs(mRNA)との結合及びlin28−MS2bs(mRNA)とMS2CPとの結合による巨大なナノ高単位複合体形成を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図24】96ウェルプレートにおいてラパマイシンによるFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成をIn-Cell Analyzer 1000(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)を用いて高速にイメージングした蛍光顕微鏡写真である。
【図25】96ウェルプレートにおいてラパマイシンによるFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成をIn-Cell Analyzer 1000(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)を用いて高速にてイメージングした蛍光顕微鏡写真である。
【図26】In-Cell Developer(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)のアルゴリズムを用いてイメージング結果物を定量的に分析したグラフである。
【図27】FKBPタンパク質の特定の突然変異(mutation;mt)及びFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成及びドッキングに関する概略図である。
【図28】FKBPタンパク質の特定の突然変異(mutation;mt)及びFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成及びドッキングに関する蛍光顕微鏡写真である。
【図29】図28のナノ高単位複合体に表面におけるドッキングに対する、競合化合物FK506の抑制効果を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図30】FKBP(F36M)突然変異及びDHFRタンパク質−MTX化合物間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成及びドッキングに関する蛍光顕微鏡写真である。
【図31】FKBP(F36M)突然変異及びDHFRタンパク質−MTX化合物間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成及びドッキングに関する蛍光顕微鏡写真である。
【図32】FKBP(F36M)突然変異タンパク質の数を調節した場合のナノ高単位複合体蛍光顕微鏡写真である。
【図33】FKBP(F36M)突然変異タンパク質の数を調節した場合の時間帯別ナノ高単位複合体の様相に対する蛍光顕微鏡写真である。
【図34】FKBP相互作用媒介(調節)化合物であるAP1510の処理を含むFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体形成及びドッキングに関する概略図である。
【図35】FKBP相互作用媒介(調節)化合物であるAP1510の処理を含むFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成及びドッキングに関する蛍光顕微鏡写真である。
【図36】様々な蛍光タンパク質の影響を観察した蛍光顕微鏡写真である。
【図37】FKBP相互作用媒介(調節)化合物であるAP1510の処理を含むFRB−FKBP間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成及びドッキングに関する蛍光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明において使用する用語の定義は下記の通りである。
【0022】
本明細書における「生理活性化合物」とは、生体内においてタンパク質、核酸、糖または脂質などを含む生体物質と結合してこれらの機能または活性を調節する化合物を意味する。このような生理活性化合物は有機体から抽出したり化学的合成により得られる。例えば、臓器移植時に発生する免疫拒否反応を軽減するために使用される「シクロスポリンA」(Novartis AG)及び「FK506」(Fujisawa)をはじめとして多くの抗生物質が微生物、植物または海洋生物から分離された。このような天然または合成生理活性化合物はその薬理活性をテストし、動物モデル及びヒトモデルを用いた臨床試験を経て一つの新薬として開発される。
【0023】
本明細書における「生理活性物質」とは、生物が生を営むに当たって生体の機能を増進させたり抑制させるなどの調節役割を果たす物質であると定義することができる。このような生理活性の物質は動植物などの天然物から得たり、微生物及び動植物細胞株の代謝産物から抽出精製することもでき、化学合成によっても得ることができる。生理活性物質は、例えば、核酸、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖、脂質、ビタミンまたは化合物であってもよい。
【0024】
本明細書における「ベイト(bait)物質」とは、他の生理活性物質との相互作用を探索するのに用いられる生理活性物質を意味する。
【0025】
本明細書における「プレイ物質」とは、前記「ベイト」の相互作用パートナーであって、探索(分析)または検出しようとする対象となる生理活性物質を意味する。
【0026】
本明細書における「標的物質」とは、検出しようとする対象となる物質を総称する用語であり、目的に応じて「ベイト」と相互作用するパートナーであるプレイ物質を標的物質としてもよく、前記ベイト及びプレイ物質間の相互作用を促進または誘導したり抑制または阻害する物質を標的物質としてもよい。すなわち、究明しようとする対象となるあらゆる物質を含む。それらの中で、ベイトとプレイ物質との相互作用を抑制または阻害する物質を「阻害物質」と定義し、促進または誘導する物質を「促進物質」と定義する。
【0027】
本明細書における「ナノ高単位複合体」とは、物質の反復的な集合または相互作用により容易に観察可能な巨大な複合体を意味する。前記集合は自己集合を含む概念である。「ナノ高単位複合体形成物質」とは前記ナノ高単位複合体を形成可能な性質及び機能を有しているあらゆる物質を意味する。
【0028】
本明細書における「媒介(調節)物質」とは、ナノ高単位複合体の形成を誘導する物質を意味し、これは、前記ナノ高単位複合体形成物質と直接または間接的な結合、相互作用及び融合を通じてナノ高単位複合体の形成を誘導可能なあらゆる場合を含む。このような媒介(調節)物質の活性を媒介または調節する物質もまた広い意味の媒介(調節)物質と称することができる。前記媒介(調節)物質はナノ高単位複合体の形成を誘導する特定の化合物やタンパク質などの具体的な物質である場合だけではなく、特定の突然変異などの現象と特定の生理的な信号などを網羅する概念である。例えば、生理的な信号によるタンパク質間の相互作用、RNAとタンパク質との相互作用や、特定のタンパク質の特定の突然変異、または具体的な化合物にのみ反応するタンパク質の使用などを通じてナノ高単位複合体の形成を誘導することができ、これらを本明細書において「媒介(調節)物質」と表現している。
【0029】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0030】
本発明は、一観点において、インビトロまたはインビボにおいて特定の物質(例えば、特定の生理活性物質)「ベイト」と探索及び検出対象物質(例えば、他の生理活性物質)「プレイ」間の相互作用を探索する方法に関するものである。
【0031】
物質の相互作用探索のための本発明の具体的な第1態様として、(i)ナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質及びプレイ物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記ナノ高単位複合体の形成の有無を測定して前記相互作用を判別するステップと、を含む、物質の相互作用検出方法を提供する。前記ベイト及びプレイ物質は、好ましくは、それぞれ標識物質と結合して提供されうる。このとき、ステップ(i)においてベイト物質とプレイ物質との相互作用を媒介したり調節可能な媒介(調節)物質をさらに提供することができる。前記媒介(調節)物質もまた標識物質と結合して提供されうる。
【0032】
ナノ高単位複合体を形成可能な物質(以下、「ナノ高単位複合体形成物質」と称する)に任意の探索物質ベイトを直接または間接的に結合させる一方、ナノ高単位複合体形成物質と分析しようとする他の探索物質プレイを結合して提供することができる。また、ナノ高単位複合体形成物質と媒介(調節)物質を結合して提供する一方、ベイト物質とプレイ物質と媒介(調節)物質を結合して提供することができる。
【0033】
物質間相互作用を探索するに当たって、前記第1方法を使用する場合に、ナノ高単位複合体が形成されると、ベイト−プレイ物質またはベイト−プレイ物質−媒介物質の間に互いに相互作用をするものと判別することができ、ナノ高単位複合体が形成されていない場合に前記物質間には互いに相互作用しないものと判別することが可能になる。
【0034】
前記第1方法による概略図を図1に示す。前記方法においては探索物質であるベイト−プレイ物質間の相互作用によりナノ高単位複合体が形成されるかどうかを測定する。前記方法は、例えば、プレイ物質、ベイト物質及び媒介(調節)物質の相互間の相互作用の有無が不明な場合、前記物質間の相互作用有無を探索可能な方法として使用されうる。
【0035】
このとき、前記ベイト−プレイ物質間の相互作用は両物質間の直接的な相互作用に依存することもでき、これらの相互作用を媒介又は調節する物質による間接的な相互作用に依存することもできる。また、後者の場合、媒介(調節)する物質は2以上の組み合わせであっても構わない。
【0036】
一実施例として、図4は、FKBP(図1におけるXに相当する)とFRB(図1におけるYに相当する)の探索物質と媒介(調節)物質であるラパマイシン(図1におけるAに相当する)により互いに相互作用することによりフェリチン融合タンパク質によるナノ高単位複合体が形成されることを概略的に示している。
【0037】
本発明の第1態様に対する一例の概略図を図15に示す。すなわち、図15においては探索物質IkBαとRelAが互いに様々な形式(A、B、C)にて相互作用することによりフェリチン融合タンパク質によるナノ高単位複合体が形成されることを概略的に示している。
【0038】
先ず、図15において、Aはフェリチンにそれぞれ融合されているプレイ、ベイト物質であるIkBαとRelAの直接的な相互作用によりナノ高単位複合体が形成される場合を示す。そして、Bはフェリチンにベイト物質であるIkBα及び媒介(調節)物質であるFRBタンパク質を融合し、プレイ物質であるRelAタンパク質に媒介(調節)物質FKBPを融合した後、媒介(調節)物質であるFRB−FKBP相互作用及びプレイ−ベイト物質であるIkBαとRelAとの相互作用により巨大なナノ高単位複合体が細胞内において形成される場合を示す。最後に、Cはフェリチンに媒介(調節)物質であるFRBだけを融合し、プレイ−ベイトであるIkBαとRelAにそれぞれ媒介(調節)物質FKBPを融合して媒介(調節)物質であるFRB−FKBP相互作用を通じてフェリチンのFRBに連結されてより巨大なナノ高単位複合体が形成される場合を示す。
【0039】
前記BとCの場合は、結局、IkBαとRelAとの間接的な相互作用を用いた場合であり、その手段としては、媒介(調節)物質であるFRB−FKBP間の相互作用を用いた場合に相当する。すなわち、媒介(調節)物質であるFRB−FKBP、プレイ−ベイト物質であるIkBα−RelAが互いに相互作用して巨大なナノ高単位複合体が形成されるのである。このとき、媒介(調節)物質FRB−FKBPの作用を媒介(調節)する他の物質であるラパマイシンがさらに使用されうる。
【0040】
特に、前記Cの場合には、フェリチンタンパク質に媒介(調節)物質FRBだけを付着させることにより物質の多重相互作用により一層巨大なナノ高単位複合体を形成可能な場合を示す。
【0041】
このように、探索物質間の直接または間接的な相互作用によるナノ高単位複合体の形成自体を判別して物質間相互作用を探索する方法の他にも、本発明は、以下の他の検出方法も提供する。以下の2種類の方法は、先ず、媒介(調節)物質によりナノ高単位複合体の形成した後、形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質と相互作用可能なプレイ物質を探索可能な方法である。
【0042】
先ず、本発明の第2態様として、(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記媒介物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、を含む、物質の相互作用検出方法を提供する(図2の上)。
【0043】
そして、本発明の第3態様として、(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に結合しているベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、を含む、物質の相互作用検出方法を提供する(図2の下)。
【0044】
ここで、前記2種類の態様の各ステップ(ii)においては、前記媒介(調節)物質と作用してナノ高単位複合体の形成を誘導する他の媒介(調節)物質をさらに提供することができ、ステップ(iv)において、ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介または調節する物質をさらに提供することもできる。このとき、前記ベイト物質、プレイ物質及び媒介(調節)物質は、好ましくは、それぞれ標識物質と結合して提供されうる。
【0045】
前記第2方法及び第3方法は、共通的に、先ず、互いに相互作用をすると知られている媒介(調節)物質を用いてそれらの間の相互作用によりナノ高単位複合体を形成した後、形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質と相互作用可能なパートナー物質であるプレイ物質を探索する方法に関する。
【0046】
但し、本発明の第2方法及び第3方法を行うに当たって、両者間の最も大きな相違点は、媒介(調節)物質の作用によるナノ高単位複合体の形成ステップにおいて、第2方法は、ベイト物質を最初からナノ高単位複合体の形成物質に結合させて媒介(調節)物質作用によるナノ高単位複合体形成に参与させる方法であるのに対し、第3方法は、先ず、ナノ高単位複合体の形成物質と媒介(調節)物質(第1媒介(調節)物質)だけによりナノ高単位複合体を形成した後、他の媒介(調節)物質(第2媒介(調節)物質)を用いて前記結果物にさらに結合させて使用する方法であるところにある。このとき、前記媒介(調節)物質(第1媒介(調節)物質や第2媒介(調節)物質を含む)の作用を媒介したり調節する物質をさらに使用することができる。
【0047】
物質間の相互作用を探索するに当たって前記第2方法または第3方法を使用する場合に、プレイ物質がベイト物質と同じ位置に局在することが確認されると、前記ベイト−プレイ物質は互いに相互作用をするものと判別することができ、同じ位置に局在しないことが確認されると、前記ベイト−プレイ物質は互いに相互作用をしないものと判別することが可能になる。
【0048】
本発明の第2方法に対する概略図を図2の上に示す。
【0049】
図2の上の概略図を中心に本発明の一実施例を説明する。図30は、ナノ高単位複合体形成物質であるフェリチンタンパク質(図2の記号Nに相当する)にベイト物質DHFR(図2の記号Xに相当する)を結合させ、細胞内において一つのタンパク質として散在するFKBPタンパク質(図2の記号A、Bに相当する)に特定の突然変異(図2の記号Cに相当する)を起こし、自分同士で互いに結合して自発的にナノ高単位複合体の形成を誘導した後、DHFRのパートナー探索物質であるMTX化合物(図2の記号Yに相当する)と相互作用してナノ高単位複合体にドッキングまたは取り込まれることにより得られる実験結果を概略的に示している。
【0050】
第2方法の他の一例として、図34において、ナノ高単位複合体形成物質であるフェリチンタンパク質(図2の記号Nに相当する)にベイト物質FKBP(図2の記号A、Bであると共にXに相当する)を結合させ、媒介(調節)物質であるAP1510(図2の記号Cに相当する)によりナノ高単位複合体を形成した後、ナノ高単位複合体上に存在するFKBP(ベイト)がFRB(プレイ)(図2の記号Yに相当する)と相互作用することにより前記FRB(プレイ)がナノ高単位複合体上にドッキングまたは取り込まれて、それによって前記FKBP(ベイト)−FRB(プレイ)が一緒に局在する実験的な概略を示している。すなわち、このときのFKBPはAP1510化合物との反応によりナノ高単位複合体を形成する媒介(調節)物質の役割を果たしつつ、同時にFRB(プレイ)と相互作用するベイト機能もするのである。
【0051】
本発明の第3方法に対する概略図を図2の下に示す。
【0052】
図2の下の概略図を中心に一例を想定すると、ナノ高単位複合体形成物質であるフェリチンタンパク質(記号N)に第1媒介(調節)物質であるFKBP(記号A、B、D)を結合させてAP1510化合物(記号C)との反応によりナノ高単位複合体を形成した後、前記結果物に第2媒介(調節)物質FRB(記号E)を結合させた特定のベイト物質(記号X)を反応させて第2媒介(調節)物質の作用を調節する物質ラパマイシン(記号F)により前記ベイト物質を結合させる(FKBP−FRB相互作用)。そして、前記特定のベイト物質(記号X)のパートナー探索物質であるプレイ物質(記号Y)はナノ高単位複合体上に存在する前記ベイト物質と相互作用してナノ高単位複合体にドッキングまたは取り込まれて、結論的に前記FKBP(ベイト)−FRB(プレイ)が一緒に局在化することが可能である。
【0053】
このとき、前記第2媒介(調節)物質の作用は物質の性質によって別途の追加媒介(調節)物質なしに(すなわち、記号Fの物質なしに)ナノ高単位複合体形成物質に結合されている第1媒介(調節)物質と直接的に相互作用して形成されたナノ高単位複合体上に移すこともできる。
【0054】
本発明の前記方法において、ナノ高単位複合体を形成する物質、すなわち、ナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質、プレイ物質、ナノ高単位複合体形成誘導媒介(調節)物質、及び標識物質など本発明において使用される物質間の結合は物理的、化学的、静電気的及び生物学的な直接または間接結合を含むことができる。それらの中でも、生物学的結合がなされる場合、抗体、タンパク質、タンパク質ドメイン、タンパク質モチーフ、ペプチドなどを含むプローブを使用することができる。
【0055】
以下、前記方法において使用される具体的な構成要素について説明する。
【0056】
「ナノ高単位複合体形成物質」は多数の同じまたは異なる相互作用部位を有する物質であり、相互間の相互作用または自己集合により複合体を形成することができる。好ましくは、自己集合により複合体を形成可能な物質を使用する。非制限的に、これら複合体はナノサイズの粒子から構成されていることが好適である。
【0057】
前記自己集合によるナノ高単位複合体形成物質の好適な例として、フェリチン、フェリチン様タンパク質、マグネトソーム構成タンパク質またはウィルス構成タンパク質を挙げることができる。また、化学的に合成した種々のナノ粒子もナノ高単位複合体を形成することができる。例えば、金ナノ粒子、量子点または磁性ナノ粒子などを含む種々のナノ粒子を使用することができる。本発明の一実施例においては、自己集合によりナノサイズの単位複合体を形成可能な物質またはタンパク質のうちフェリチンタンパク質を利用した。
【0058】
フェリチンタンパク質は24個が自己集合により球状ナノ粒子複合体を形成し、外径は約12nmであり、内径は約9nmである構造をなし、2500個以上の鉄原子を含有する(Chasteen, N.D. Struc. Biol. 126:182-194, 1999)。フェリチンタンパク質により形成されるナノ粒子複合体の表面上において起こる「ベイト」と「プレイ」との間または「媒介(調節)物質」間の相互作用によりナノ高単位複合体が形成される場合、「ベイト」、「プレイ」または「媒介(調節)物質」に結合させた蛍光、発光、磁性、放射性物質などの標識物質を顕微鏡などの分析機器を用いて分析することにより動的に探索することができる。
【0059】
図3において、本願発明において使用された24個のフェリチンタンパク質が自己集合により内径8nmのナノ複合体を形成した様子を示している。図中、緑色玉は本発明の実施例において分析しようとする種々の物質を結合させたアミノ末端部位を示す。このようなフェリチンナノ複合体の表面に結合させた物質が相互間に相互作用を引き起こすと、本発明の実施例において観察されたように、互いに網目のように連結されてナノ高単位複合体が形成される。
【0060】
前記マグネトソーム構成タンパク質は細胞内に磁石を蓄積する磁性バクテリアのマグネトソームという小器官内に蓄積されている約100ナノメートルの磁石粒子の膜内部に存在しているタンパク質である。このようなマグネトソーム構成タンパク質も相互間の磁性により自己集合によりナノ粒子複合体を形成することができるので、本願発明に使用することができる。
【0061】
探索物質に相当する「ベイト」及びこのパートナーに相当する「プレイ」物質は相互間に相互作用が起こると予想される候補物質であればいかなるものでも使用可能であるが、好ましくは、生理活性物質である。
【0062】
生理活性物質は生体内において生理的な活性を示すあらゆる物質であり、ヒトの生体内の様々な生体物質と相互作用してこれらの機能または活性を調節可能な物質であればいかなるものであっても使用可能であるが、好適な例として、核酸、ヌクレオチド(モノ−/オリゴ−/ポリ−ヌクレオチド)、タンパク質、ペプチド(モノ−/オリゴ−/ポリ−ペプチド)、アミノ酸、糖(モノ−/オリゴ−/ポリ−サッカリド)、脂質、ビタミン、及び化合物を挙げることができるが、さらに、前記物質を構成する一層小さな分子も含む。
【0063】
ベイト及びプレイ物質対の相互作用に対する具体的な例として、ラパマイシン化合物の薬剤学的に関連する結合パートナーであるFRBとFKBPタンパク質との相互作用、FK506化合物とその薬剤学的に関連する結合パートナーであるFKBPタンパク質との相互作用、AP1510化合物と結合するFKBPタンパク質の相互作用、IkBαタンパク質とその結合パートナーであるRelAタンパク質との相互作用、TNFa生理的な信号によって調節されるIkBαタンパク質とその結合パートナーであるbTrCPまたはIKKbタンパク質との相互作用、miRNAとmRNAの細胞内相互作用(lin−28mRNAに結合するlet−7bmiRNA)、Ago2タンパク質とmiRNAとの相互作用、MS2結合mRNA部位と結合するMS2タンパク質の相互作用、DHFRタンパク質とMTX化合物細胞内相互作用などを挙げることができる。
【0064】
前記ベイト−プレイ対の結合を調節する「ベイト及びプレイ相互作用媒介(調節)物質」は前記ベイト及びプレイ間の相互作用を促進して両物質間の結合を媒介(調節)する物質であり、当該機能を発揮する物質であれば生理活性物質であってもよく、化合物であってもよい。しかしながら、使用するベイト−プレイ対に特異的に反応する物質が好ましい。このようなベイト−プレイ対の相互作用によりナノ高単位複合体を形成するため、究極的に前記「ベイト及びプレイ相互作用媒介(調節)物質」は本発明において定義している「ナノ高単位複合体形成を誘導する物質」である「媒介(調節)物質」に属すると言える。
【0065】
前記プレイ−ベイト間の相互作用を媒介(調節)するに当たって、必要に応じて、外部信号によって調節されるタンパク質を使用することもでき、自分の標的であるmRNAと特異的に結合するmiRNAの特性を利用することもできる。一例として、図22は、RNAと調節タンパク質が互いに相互作用することによりフェリチン融合タンパク質による巨大なナノ高単位複合体が形成されることを概略的に示している。特に、外部信号によって調節されるタンパク質を利用すると、生理的な信号により細胞内において起こる極めて敏感な探索物質間の相互作用なども分析可能になる。
【0066】
本発明の一実施例においては、FKBP−FRB対を使用した場合にラパマイシンを媒介(調節)物質として使用し、IkBα−bTrCP対及びIkBα−IKKb対を使用した場合に外部信号によって調節されるTNFaを媒介(調節)物質として使用し、PAZ−MS2CP対を使用した場合にlet−7b(miRNA)とlin28−MS2bs(mRNA)との結合を媒介(調節)物質として使用した。
【0067】
本発明のナノ高単位複合体の形成を誘導する「媒介(調節)物質」は前記ナノ高単位複合体形成物質の表面において互いに直接または間接的に相互作用してナノ高単位複合体を形成可能なあらゆる要素を含む概念である。このような媒介(調節)物質の活性を媒介または調節する物質もまた広い意味の本発明の「媒介(調節)物質」であると言える。上述したように、ベイト−プレイ間の相互作用によりナノ高単位複合体の形成が誘導される場合(第1方法発明)に、「ベイト−プレイ間の相互作用を調節または媒介する物質」も広い意味の前記「媒介(調節)物質」に含まれる。
【0068】
このような「媒介(調節)物質」はナノ高単位複合体の形成を誘導するという当該機能を発揮するものであれば制限がない。このため、互いに特異的に反応する物質間の結合や突然変異などの特定の現象によりナノ高単位複合体の形成を誘導可能であれば、当該物質であろうが、特定の現象であろうが、いずれも媒介(調節)物質として把握されうる。すなわち、本明細書における媒介(調節)物質とは、特定の物質、特定の現象または特定の相互作用自体などをいずれも含む用語であり、このような媒介(調節)物質は2以上を組み合わせして使用することができる。
【0069】
もし、互いに相互作用するベイト−プレイ対の性質を用いてプレイを探索しながら、一方では前記ベイト物質の自体性質を用いてナノ高単位複合体の形成したならば、前記使用されたベイト物質はナノ高単位複合体の形成を誘導する媒介(調節)物質であると共に、パートナーであるプレイとの相互作用を探索するのに使用されたベイト機能を発揮しているのである。
【0070】
一例として、FKBPタンパク質に特定の突然変異により自分同士で互いに結合して自発的にナノ高単位複合体の形成を誘導した後、ラパマイシンを通じてFKBPのパートナー探索物質であるFRBタンパク質がFKBPタンパク質と相互作用してナノ高単位複合体にドッキングまたは取り込まれる場合に(図27)、前記FKBPは突然変異によるナノ高単位複合体の形成(媒介(調節)物質の機能)及びFRBタンパク質との相互作用(ベイト機能)を同時に発揮している。また、前記FRB−FKBP相互作用を媒介(調節)するラパマイシンもまた他の媒介(調節)物質に相当する[実施例6の(1)]。
【0071】
他の例として、フェリチンにFKBPタンパク質を付着させ、AP1510(FKBP相互作用媒介(調節)化合物)を処理してFKBP−FKBP間の相互作用によりナノ高単位複合体の形成を誘導した後、ラパマイシンを通じてFKBPのパートナー探索物質であるFRBタンパク質が相互作用することによりナノ高単位複合体の表面に結合及びドッキングまたは取り込まれる場合にも、前記FKBPは、AP1510によるナノ高単位複合体の形成(媒介(調節)物質機能)及びFRBタンパク質間の相互作用(ベイト機能)を同時に発揮している。同様に、前記FRB−FKBP相互作用を媒介(調節)するラパマイシンもまた他の媒介(調節)物質に相当する[実施例7]。
【0072】
一方、本発明の方法において前記ベイト及びプレイ物質間の相互作用を調べるために標識物質を使用することが好ましい。特に、前記ベイト物質、プレイ物質及び/または媒介(調節)物質に標識物質を結合させて使用することが一層好ましい。
【0073】
前記特定の物質間の相互作用により形成されたナノ高単位複合体上において、検出対象物質であるプレイがベイトと結合して同じ位置に局在しているかどうかを標識物質により直接的に測定することによりベイト及びプレイ物質間の相互作用を動的に探索することができる。
【0074】
本発明の標識物質としては、放射性標識、蛍光性物質または発光性物質を使用することができる。放射性標識としては、例えば、32P、35S、H及び14Cなどをはじめとして一般的に使用可能な標識をいずれも使用することができる。そして、それ自体にて蛍光を示したり、物質間の相互作用により蛍光性を示す蛍光物質としては、例えば、FITC、ローダミンなど蛍光染料;ECFP、TagCFP、mTFP1、GFP、YFP、CFP及びRFPなどの蛍光タンパク質;テトラシステイン蛍光性モチーフ;または蛍光を示すナノ粒子であってもよい。発光性物質としては、それ自体にて発光を示したり物質間の相互作用により発光を示す発光体、例えば、ルシフェラーゼなどを使用することができる。
【0075】
本発明において標識の位置または動きの変化は、顕微鏡を含む光学的方法、スキャナー、放射性標識感知手段、蛍光偏光リーダー(fluorescence polarization reader)、分光光度計、核磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)、SQUID、蛍光検出器、発光検出器など一般的に広く知られている方法を用いて測定することができる。
【0076】
上述したように、本発明の第1態様の方法においては、ベイト及びプレイ物質が相互作用してナノ高単位複合体を形成することを用いて物質間相互作用を探索する。このとき、ナノ高単位複合体形成物質と結合されているベイト及びプレイ物質間の直接結合を通じてナノ高単位複合体が形成されることもできるが、ベイト物質及びプレイ物質とそれぞれ相互作用する他の探索物質を媒介(調節)として間接的に結合することもできる(図1)。すなわち、第1方法においてはベイト及びプレイ物質間の相互作用によりナノ高単位複合体の形成の有無が決定される。
【0077】
本発明の他の態様である前記第2方法及び第3方法においては、ナノ高単位複合体形成可能物質によるナノ高単位複合体形成は、媒介(調節)物質(ナノ高単位複合体形成誘導物質)によりなされる。このとき、前記ナノ高単位複合体形成物質は媒介(調節)物質及びベイト物質と結合して提供されたり(第2方法)、または媒介(調節)物質だけと結合して提供されうる(第3方法)。後者の場合、ベイト物質はナノ高単位複合体形成物質と結合させずに別途に提供されるが、好ましくは、形成されたナノ高単位複合体上に移す媒介(調節)物質と融合して提供されることが好ましい。本発明においては、便宜上、ナノ高単位複合体の形成に直接的に関与する媒介(調節)物質を第1媒介(調節)物質と表示し、ベイト物質を移す媒介(調節)物質を第2媒介(調節)物質と表示している。
【0078】
本発明の前記第2方法及び第3方法によれば、媒介(調節)物質によりナノ高単位複合体が形成され、ベイト物質は直接的にナノ高単位複合体形成物質と結合しているか、あるいは、媒介(調節)物質により前記形成されたナノ高単位複合体上の一部部位に存在することになる。
【0079】
このため、最終的に形成されたナノ高単位複合体上に存在しているベイト物質が、パートナー物質であるプレイ物質と相互作用すると両物質は一緒に局在することになり、相互作用しなければ異なるように位置することになる。換言すると、本発明の第2及び第3態様においてプレイ物質はナノ高単位複合体の形成に直接的に関与せず、既に形成されたナノ高単位複合体上にドッキングまたは取り込まれることによる位置判別が物質相互作用探索の基準となるといえる。前記プレイ物質のドッキングまたは取り込みは形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質との相互作用によるものである。
【0080】
プレイがベイトと結合して「ナノ高単位複合体上の同じ位置に局在する」という意味は、ナノ高単位複合体形成可能物質間の結合、すなわち、ナノ高単位複合体の形成のためにベイトとプレイが結合されて両物質が混合されている状態を意味するのではなく、ナノ高単位複合体を形成する結合部位ではない別途の他の部位に位置しているベイトと第2構成物として導入した探索物質プレイが相互作用して結合して同じナノ高単位複合体に一緒に存在している状態を言う。
【0081】
このため、第2及び第3方法においては、媒介(調節)物質によりナノ高単位複合体の形成が一旦誘導され、ベイト及びプレイ間の相互作用は前記プレイがナノ高単位複合体のベイト位置と同じ個所に位置するかを決定する。このため、ベイトとの相互作用がない場合にはナノ高単位複合体が形成される間にプレイは均質状態など他の位置に維持される。
【0082】
前記本発明の第1方法、第2方法及び第3方法においては、ベイト及びプレイ物質の結合反応または媒介(調節)物質の作用が完了した後の静的な結果を観察することができるだけではなく、反応完結前にも媒介(調節)物質によるナノ高単位複合体の形成過程を動的に観察することができる。特に、第2及び第3方法の場合、同じ位置に対する動的な分析が可能である。このような動的な分析方法は信号対結合比を高めることができるというメリットがある。
【0083】
本発明の方法はインビトロまたはインビボのどちらの系においても行うことができる。それらの中で、本発明をインビボにおいて行う場合、真核細胞、原核細胞、哺乳動物の器官、組織内及び細胞内、植物の器官、組織内及び細胞内において行うことができる。特に、本発明は、ゼブラフィッシュ、線虫(C.elegans)、酵母、ハエまたはカエルの細胞内、組織内または器官においても行われうる。
【0084】
本発明において使用されるナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質、プレイ物質、媒介物質(ナノ高単位複合体形成誘導物質)及び標識物質は一般的に広く知られている方法により容易に前記細胞内に導入することができる。例えば、細胞伝達性ペプチド(形質導入可能なまたは融合性ペプチド)、脂質遺伝子伝達体(脂質またはリポソーム)またはこれらの結合体を利用したり、Opti−MEM培地において細胞と培養したり、エレクトロポレーションまたはマグネトフェクションなどを利用することができる。中でも、本発明の方法を細胞内において行う場合、培養プレートまたはマイクロアレイされた生存細胞内において行うことができる。
【0085】
前記方法を用いて特定のベイト物質と相互作用をする特定のプレイ物質を探索するためにプレイ物質はライブラリーとして提供されうる。
【0086】
すなわち、本発明は、前記第1方法を用いて、(i)ナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質及びプレイ物質のライブラリーを同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記ベイト物質及びプレイ物質ライブラリー間の相互作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記ナノ高単位複合体の形成の有無を測定してベイトとプレイ物質との相互作用を判別するステップと、(iv)前記ベイトと相互作用してナノ高単位複合体を形成するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定するステップと、を含む、ベイトと相互作用する標的物質プレイの検出方法を提供する。
【0087】
また、前記第2方法を用いて、(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質ライブラリーを提供するステップと、(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、(v)前記ベイトと相互作用してナノ高単位複合体上一緒に局在するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定するステップと、を含む方法を提供する。
【0088】
さらに、前記第3方法を用いて、(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質ライブラリーを提供するステップと、(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に結合しているベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、(v)前記ベイトと相互作用してナノ高単位複合体上に一緒に局在するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定するステップと、を含む方法を提供する。
【0089】
それぞれについての具体的な説明は上述した通りである。前記方法を用いてベイトと相互作用してナノ高単位複合体上一緒に局在するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定することができる。
【0090】
また、本発明は、ベイト及びプレイ物質間の相互作用を探索し、これらの相互作用に影響を与える第3の物質(標的物質)を探索、検出する方法を提供する。
【0091】
具体的に、第1方法を応用して、(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)標的候補物質の存在下において、前記媒介(調節)物質の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)標的候補物質が存在しない場合にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度に比べて、標的候補物質の存在下にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度が阻害(抑制)または促進(誘導)される場合の標的候補物質を、それぞれ標的阻害物質または標的促進物質として選定するステップと、を含む、ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質の他の検出方法を提供する。
【0092】
また、第2方法を応用して、(i)ナノ高単位複合体形成物質に媒介(調節)物質及びベイト物質を結合して同じ場または系に提供するステップと、(ii)標的候補物質の存在下において、前記媒介(調節)物質の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)標的候補物質が存在しない場合にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度に比べて、標的候補物質存在下にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度が阻害(抑制)または促進(誘導)される場合の標的候補物質を、それぞれ標的阻害物質または標的促進物質として選定するステップと、を含む、ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質の他の検出方法を提供する。
【0093】
さらに、第3方法を応用して、(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、(ii)標的候補物質の存在下において、前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、(iv)標的候補物質が存在しない場合にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度に比べて、標的候補物質存在下にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度が阻害(抑制)または促進(誘導)される場合の標的候補物質を、それぞれ標的阻害物質または標的促進物質として選定するステップと、を含む、ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質の他の検出方法を提供する。
【0094】
それぞれについての具体的な説明は上述した通りである。前記方法を用いてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用に影響を与える、すなわち、前記ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的候補物質を検出することができる。
【実施例】
【0095】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業界において通常の知識を持った者にとって自明である。
【0096】
《実施例1:化合物(ラパマイシン)とタンパク質(FKBP及びFRB)との相互作用によるナノ高単位複合体の形成》
フェリチン遺伝子であるFTH1(GenBank Acc. No. C013724)とFTL(GenBank Acc. No. BC016346)は米国のOpen BioSystems社から購入した。
【0097】
本発明においては、フェリチンタンパク質の末端に様々なタンパク質を付着して分析に使用した。フェリチンタンパク質(FTにて表記)のアミノ基末端に様々な探索タンパク質(例えば、FKBPとFRB)と蛍光タンパク質(例えば、mRFP、EGFP、ECFP、YFP)を付着した種々の融合タンパク質をCMVプロモーターにより哺乳動物細胞において発現可能なpcDNA3.1ベクターに基づく組換え遺伝子を製造した。
【0098】
予め培養されたHela細胞(HeLacell, ATCC No.CCL−2)に組換え遺伝子FKBP−mRFP−FT、FRB−mRFP−FTをエレクトロポレーション(electroporation-1000V,35ms,2pulses)を用いて、それぞれ別々にまたは一緒に導入させた後、細胞を16ウェルチャンバースライド(Nunc)に敷いて37℃に固定された5%COインキュベーターにおいて24時間培養しながら前記融合タンパク質を発現させた。イメージングのために細胞培養液を10%FBS入りDMEM(Gibco社製)からOPTI−MEM(Gibco社製)に交替した後、250nM濃度(貯蔵濃度は1mM、DMSOに溶解されている)のラパマイシン(Calbiochem社製)を細胞に処理し、細胞内のフェリチン融合タンパク質の分布を蛍光顕微鏡(Olympus社製、IX51)により確認した(図5)。
【0099】
図4に、FKBPとFRBの探索物質とそれぞれ相互作用する媒介(調節)物質であるラパマイシンにより互いに間接的に相互作用することによりナノ高単位複合体が形成するこの実施例の概略を示し、その一つの結果は図5に示す。
【0100】
陰性対照区は組換え遺伝子FKBP−mRFP−FTとFRB−mRFP−FTのうちどちらか一方だけを発現させた細胞であって、この細胞においては、ラパマイシンを処理した場合と処理しなかった場合の両方ともに細胞内にナノ高単位複合体が形成されなかった。これに対し、FKBP−mRFP−FTとFRB−mRFP−FTのタンパク質を両方とも一つの細胞において発現させた場合、ラパマイシンを処理したときにのみナノ高単位複合体が細胞内において形成されることを確認した。
【0101】
すなわち、フェリチンタンパク質と結合された探索物質FKBPとFRBが、これらと相互作用する両親性媒介(調節)物質ラパマイシンにより架橋化されて細胞内においてナノ高単位複合体を形成した。
【0102】
(1)ナノ高単位複合体の経時形成
FKBP、ラパマイシン、FRB間の相互作用をリアルタイムにて観察してフェリチンのナノ高単位複合体がどのような様相をもって形成されるかを観察した。
【0103】
培養されたHela細胞に組換え遺伝子FKBP−EGFP−FTとFRB−mRFP−FTを一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。その後、250nM濃度のラパマイシンを細胞に処理し、細胞内のフェリチン融合タンパク質の分布を2分おきに10分間蛍光顕微鏡により分析した。
【0104】
その結果、図6に示すように、FKBP−EGFP−FTとFRB−mRFP−FTのタンパク質を一緒に細胞において発現させた場合、ラパマイシンを処理することにより素早く相互作用して10分以内にナノ高単位複合体が細胞内において形成された。
【0105】
(2)蛍光タンパク質と無関係なナノ高単位複合体の形成
フェリチンのナノ高単位複合体がラパマイシンの処理に依存して生成されるということを更に裏付けるために培養されたHela細胞に図6の対から蛍光タンパク質を交換することによって製造した、組換え遺伝子であるFKBP−mRFP−FT、及びFRB−EGFP−FTを一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。その後、250nM濃度のラパマイシンを処理した細胞と処理しなかった細胞を10分間蛍光顕微鏡により観察した。
【0106】
その結果、図7に示すように、FKBP−mRFP−FTとFRB−EGFP−FTのタンパク質を一緒に細胞において発現させた場合、ラパマイシンを処理したときにのみ素早く相互作用してナノ高単位複合体が細胞内において形成されることを確認することができた。
【0107】
(3)特異的相互作用によるナノ高単位複合体の形成
フェリチンナノ高単位複合体がFKBP、ラパマイシン、FRB間の特異的な相互作用により形成されるということを判明するために、FKBP−EGFP−FTとFRBを除去して製造したmRFP−FTの組み合わせによりフェリチン融合タンパク質をHela細胞内において発現させた。
【0108】
250nMのラパマイシンを処理した結果、図8に示すように、図6及び図7とは異なり、FKBPのうち一つのみがフェリチン融合タンパク質として発現され、ラパマイシンによるFKBPとFRBとの特異的相互作用が起こらず、ナノ高単位複合体が細胞内において形成されなかった。
【0109】
また、上記の方法と同様にしてFKBPを除去して製造したEGFP−FTとFRB−mRFP−FTとの組み合わせによりフェリチン融合タンパク質をHela細胞内に発現させ、ラパマイシンを処理した結果、図9に示すように、FRBのうち一つのみがフェリチン融合タンパク質として発現され、ナノ高単位複合体が細胞内において形成されなかった。
【0110】
これらの結果は、ラパマイシンによるFKBP、FRBの特異的相互作用によりフェリチン高単位複合体を形成するということを示す。
【0111】
(4)幹細胞内におけるナノ高単位複合体の形成
ヒトの骨髄由来の幹細胞に組換え遺伝子FKBP−mRFP−FT、及びFRB−EGFP−FTを一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。その後、250nM濃度のラパマイシン(Calbiochem社製)を細胞に処理し、細胞内のフェリチン融合タンパク質の分布を蛍光顕微鏡により分析した。
【0112】
その結果、図10に示すように、FKBP−mRFP−FTとFRB−EGFP−FTのタンパク質を一緒に細胞において発現させた場合、FKBPとFRBが互いに相互作用してナノ高単位複合体が幹細胞内において形成された。
【0113】
《実験例1−1:ナノ高単位複合体の形成における媒介(調節)物質依存性の有無》
図11においてラパマイシンを媒介とするナノ高単位複合体形成の特異性を検証するために、先ず、FKBPタンパク質にのみ特異的に結合し、FRBタンパク質には結合しないFK506をラパマイシンの競合化合物として細胞に処理して比較した。
【0114】
25μMのFK506を10分間前処理した後、250nMのラパマイシンを添加したとき、ラパマイシンとFKBPとの結合をFK506が妨げるため、図6及び図7の結果とは異なり、ラパマイシンによるFKBPとFRBタンパク質との相互作用により形成されるナノ高単位複合体を観察することができなかった。
【0115】
《実験例1−2:ナノ高単位複合体の形成における蛍光物質依存性の有無》
FKBP−mRFP−FTとFRB−mRFT−FT(図5)、またはFKBP−mRFP−FTとFRB−EGFP−FT(図6、7)との組み合わせの他に、FKBP−EGFP−FTとFRB−ECFP−FTとの組み合わせ及びFKBP−YFP−FTとFRB−mRFP−FTとの組み合わせにおいても250nMのラパマイシンを処理したとき、10分以内に効率的にFKBPとFRBタンパク質が特異的に相互作用してナノ高単位複合体が形成された。
【0116】
すなわち、ラパマイシンによるFKBPとFRBタンパク質との相互作用により形成されるナノ高単位複合体はフェリチンタンパク質に、様々な他の蛍光タンパク質を付着時にも影響を受けないことを確認した(図12及び図13)。
【0117】
《実験例1−3:ナノ高単位複合体の形成における場所依存性の有無》
フェリチンは基本的に細胞質内に位置するタンパク質であるため、ラパマイシンによるFKBPとFRBタンパク質との相互作用を細胞質内において主として観察した。
【0118】
細胞内の多数の器官における分子間相互作用がフェリチンナノ高単位複合体の形成を通じて見られるかどうかを調べることの一環として、核局在シグナル(NLS)をフェリチンタンパク質に付着させることによりフェリチン融合タンパク質を核内に転移することができた。この状態で、250nMのラパマイシンを処理することにより、FKBPとFRBタンパク質との相互作用により細胞質内に比べて効率は低いが、核内においてナノ高単位複合体を形成することができるということを確認した(図14)。
【0119】
《実施例2:タンパク質間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成》
図15に示すように、IkBαとRelAの探索物質間の相互作用に対して様々な形式(A、B、C)にてナノ高単位複合体が形成されるかを確認しようとした。
【0120】
(1)図15のAによる場合
IkBαとRelAを直接的にフェリチンタンパク質に融合させたとき、これらが発現されることにより自発的に細胞内にナノ高単位複合体が形成できるかどうかを調べる実験を行った。
【0121】
実施例1において培養されたHela細胞に組換え遺伝子IkBα−YFP−FT(pcDNA3.1)、RelA−mRFP−FT(pcDNA3.1)を一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。その結果、図16に示すように、IkBαとRelAタンパク質が互いに相互作用することによりナノ高単位複合体が細胞内において形成されることを確認した。
【0122】
(2)図15のBによる場合
IkBαとFRBタンパク質をそれぞれフェリチンに直接的に融合し、RelAタンパク質はFKBPと融合して250nMのラパマイシンを処理した。すなわち、媒介(調節)物質(FRB−FKBP)に対して、前記媒介(調節)物質の作用を調節する他の媒介(調節)物質としてラパマイシンを使用した。
【0123】
Hela細胞に組換え遺伝子FRB−ECFP−FT、FKBP−mRFP−RelA、及びIkBα−YFP−FTを一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。その結果、図17に示すように、ラパマイシンを処理することにより媒介(調節)物質であるFRBとFKBPタンパク質が互いに相互作用し、同時にプレイとベイトであるIkBαとRelAタンパク質が互いに相互作用することにより巨大なナノ高単位複合体が細胞内において形成されることを確認した。
【0124】
(3)図15のCによる場合
IkBαとRelAにFKBPタンパク質を融合し、フェリチンにはFRBのみを融合してラパマイシンを通じてIkBαとRelAにあるFKBPタンパク質がフェリチンのFRBに連結されてナノ高単位複合体を形成することができるかどうかを観察した。
【0125】
Hela細胞に組換え遺伝子FRB−ECFP−FT、FKBP−mRFP−RelA、及びIkBα−YFP−FKBPを一緒に導入させた後、それぞれの融合タンパク質を発現させた結果、図18に示すように、ラパマイシンを処理することにより媒介(調節)物質FRBとFKBPタンパク質が互いに相互作用し、同時にIkBαとRelAタンパク質が互いに相互作用することにより巨大なナノ高単位複合体が細胞内において形成された。
【0126】
すなわち、前記実験(2)とは異なり、フェリチンタンパク質に媒介(調節)物質FRBだけを付着させることにより、一層巨大なナノ高単位複合体を探索物質の多重相互作用により形成することができるということを確認した。
【0127】
これらの結果から、ナノ高単位複合体はまるでレゴのように探索物質が相互作用することにより様々な形態で細胞内に形成されることが分かり、これにより、様々な形態で探索物質の相互作用を分析することができるということが分かる。
【0128】
(4)蛍光タンパク質の相異なる組み合わせ
前記実験(3)の方法と同様にして行うが、IkBα、RelA及びフェリチンタンパク質に、図19に示すように、前記(3)とは異なる組み合わせの蛍光タンパク質を融合して使用した。
【0129】
Hela細胞に組換え遺伝子FRB−mRFP−FT、FKBP−YFP−RelA、及びIkBα−ECFP−FKBPを一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。ラパマイシンを処理することによりFRBとFKBPタンパク質が互いに相互作用し、同時にIkBαとRelAタンパク質が互いに相互作用することにより巨大なナノ高単位複合体が細胞内において形成された。
【0130】
その結果、図19に示すように、IkBαとRelAタンパク質との相互作用により形成誘導されるナノ高単位複合体はそれぞれのタンパク質に種々の組み合わせの蛍光タンパク質を付着時にも影響を受けないことを確認した。
【0131】
《実施例3:生理的な信号によるタンパク質間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成》
外部信号によって調節されるタンパク質間の相互作用を分析できるかどうかを調べようとした。プレイ−ベイト間の相互作用を媒介(調節)する物質として外部信号を使用した。
【0132】
Hela細胞に組換え遺伝子FRB−ECFP−FT、FKBP−mRFP−bTrCP、及びIkBα−YFP−FKBPを一緒に導入させた後、それぞれの融合タンパク質を発現させた。実施例2において使用したIkBαは、RelAタンパク質に対しては細胞の外部刺激とは無関係に常に相互作用をするが、bTrCPタンパク質に対しては細胞にTNFa生理的な外部信号が伝達されたときにのみ相互作用をするため、TNFaを処理した。
【0133】
その結果、図20に示すように、IkBαとbTrCPタンパク質が互いに相互作用し、媒介(調節)物質の作用を調節する他の媒介(調節)物質ラパマイシンを処理することにより媒介(調節)物質であるFRBとFKBPタンパク質が互いに相互作用して、フェリチンのナノ高単位複合体が細胞内において形成された。
【0134】
さらに、他の例として、プレイ−ベイトとしてIKKb−IkBαタンパク質を使用し、これらの媒介(調節)物質としてTNFaを使用した。IkBαとIKKbタンパク質は細胞にTNFa生理的な外部信号が伝達されたときにのみ相互作用をする。IKKbなどのリン酸化酵素とその基質であるIkBαとの相互結合は細胞内において最も弱い相互結合の一つであることが知られている。
【0135】
Hela細胞に組換え遺伝子FRB−ECFP−FT、IKKb−mRFP−FKBP、及びIkBα−YFP−FKBPを一緒に導入させた後、それぞれの融合タンパク質を同時に発現させた結果、図21に示すように、TNFaを処理することによりIkBαとIKKbタンパク質が互いに相互作用して巨大なナノ高単位複合体が細胞内において形成された。
【0136】
このため、前記結果から、ナノ高単位複合体を通じて生理的な信号により細胞内において起こる極めて敏感な探索物質間の相互作用を分析することができるということが分かる。
【0137】
《実施例4:RNAとタンパク質との相互作用によるナノ高単位複合体の形成》
図22に示すように、RNA及び調節タンパク質間の相互作用によってナノ高単位複合体を形成するように実験を設計した。
【0138】
使用したタンパク質であるAgo2はmiRNAと相互作用する調節タンパク質であって、多数のドメインからなり、それらの中でPAZドメインがmiRNAとの相互作用に重要である。このドメインを有するフェリチン融合タンパク質はmiRNAと相互作用をすることができ、miRNAは自分の標的であるmRNAと特異的に結合する。この標的mRNAの末端にMS2タンパク質が結合可能な塩基配列(MS2 binding sequences)を付着すると、MS2タンパク質を含むフェリチン融合タンパク質と相互作用して、すなわち、miRNAが標的mRNAと結合することにより巨大なナノ高単位複合体が形成されるように実験を設計した。
【0139】
先ず、miRNAと相互作用する調節タンパク質Ago2のPAZドメインとPiWiドメインを基準に全長、PAZ−PiWi、PiWi、及びPAZドメインの欠失突然変異を製作した。その後、標的mRNAであるlin28−MS2bsの末端にMS2タンパク質が結合可能な塩基配列(MS2 binding sequences;5’−AAA CAT GAG GAT CAC CCA TGT−3’:配列番号1にて表示する)を付着してMS2CP−mRFP−FTを製作した。
【0140】
PAZ−CFP−FT、lin28−MS2bs(mRNA)とMS2CP−mRFP−FTを電気穿孔法によりHela細胞内に導入し、16時間発現させた後、let7bmiRNAの発現ベクターを細胞にさらに導入して20時間後に観察した。
【0141】
その結果、図23に示すように、PAZドメインを付着したPAZ−CFP−FTフェリチン融合タンパク質とmiRNAが結合し、let−7b(miRNA)とlin28−MS2bs(mRNA)が結合し、lin28−MS2bs(mRNA)とMS2CP−mRFP−FT(フェリチン融合タンパク質)が結合することにより巨大なナノ高単位複合体が形成された。
【0142】
《実施例5:ナノ高単位複合体形成の高速スクリーニング》
様々な生理活性物質間の相互作用を探索及びスクリーニングするためのシステムとして高速大量スクリーニング(HTS:High Throughput Screening)を利用した(図24)。
【0143】
前記システムを確立するために、96ウェルプレート(Greiner bio-one社製)にHela細胞を培養した後、FKBP−mRFP−FTとFRB−EGFP−FT遺伝子を同時に導入して発現させた。24時間後に96ウェルのうち12個のウェルだけを選択して250nMのラパマイシンを30分間処理し、ラパマイシンによるFRBとFKBPとの相互作用によるナノ高単位複合体の形成をIn-Cell Analyzer 1000(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)を用いて高速にイメージングした。
【0144】
前記高速イメージングした96ウェルプレートにおいて、ラパマイシンによるFRBとFKBPとの相互作用によるナノ高単位複合体の形成をIn-Cell Analyzer 1000(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)を用いて確認した(図25)。250nMのラパマイシンを30分間処理したウェルにおいては細胞質内のフェリチンタンパク質に融合されているFKBPとFRBタンパク質が相互作用してナノ高単位複合体を形成したのに対し、ラパマイシンを処理しなかったウェルにおいては30分後にもフェリチンタンパク質のナノ高単位複合体が形成せず、細胞質内に均一に拡散されていることを観察することができた。
【0145】
前記細胞を3.5%のパラホルムアルデヒドにより固定し、ヘキストにより核を染色した後、96ウェルプレート上において獲得したナノ高単位複合体の形成の有無を定量的に体系的に分析した。In-Cell Developer(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)のアルゴリズムを用いてラパマイシンによるFRBとFKBPとの相互作用によるナノ高単位複合体の形成を巨大分子により認識してイメージング結果物を効果的に且つ定量的に分析及びスクリーニングするのに成功した。96ウェルの各ウェルにおいてナノ高単位複合体が形成される細胞のパーセント(%)または各細胞当たりにナノ高単位複合体が形成される数を用いてスクリーニング及び定量化を効果的に行うことができた(図26)。
【0146】
《実施例6:特定の突然変異を媒介(調節)物質として用いて形成誘導されたナノ高単位複合体上における探索物質間の相互作用確認》
(1)突然変異させたFKBP及びFKB間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成
先ず、FKBPタンパク質に特定の突然変異を起こし自分同士で互いに結合して自発的にナノ高単位複合体の形成を誘導しようとした。
【0147】
FKBPの36番目のアミノ酸であるフェニルアラニンをメチオニンに変えて単量体のFKBPを二量体の形態に変えた。このような変異FKBPをフェリチンに融合させてHela細胞にFKBP(F36M)−mRFP−FTとFRB−EGFP融合タンパク質を一緒に発現させて細胞内に自発的なナノ高単位複合体が形成されることを確認した(図28)。そして、前記形成されたナノ高単位複合体上に250nMのラパマイシンを処理した。
【0148】
その結果、ナノ高単位複合体の表面にあるFKBP(F36M)とFRBとの相互作用が誘導されて10分以内に素早くFRB−EGFPがナノ高単位複合体の表面に結合及びドッキングまたは取り込まれることを確認することができた(図28)。すなわち、このときのFKBPは突然変異による媒介(調節)物質の役割を果たしながら、同時にFRB(プレイ)と相互作用するベイト機能もするものである。
【0149】
さらに、この場合にも探索物質(FKBP(F36M)−FRB)間の相互作用がこれを媒介(調節)する物質であるラパマイシンに特異的であるかどうかを調べるために、FKBP(F36M)とラパマイシンとの相互作用に対する競合化合物により25μMのFK506を処理した。
【0150】
その結果、図29に示すように、FRB−EGFPがナノ高単位複合体の表面から分離された。これによって、可逆的にFKBP(F36M)とFRBのドッキング過程を調節することができるということを確認した。また、前記探索物質FKBP−FRB間の相互作用はこの場合にも媒介(調節)物質であるラパマイシンを通じて特異的に起こるということを確認した。
【0151】
(2)DFX−DHFR間の相互作用探索
前記(1)のように、Hela細胞に組換え遺伝子FKBP(F36M)−mRFP−FT、及びDHFR−mRFT−FTを一緒に導入させた後、フェリチン融合タンパク質を発現させた。その後、10μMのMTX−BODIPY@FLを細胞に処理した。すなわち、FKBP(F36M)突然変異タンパク質によりナノ高単位複合体の形成を誘導させ、その表面にDHFRタンパク質(ベイト)を露出するようにフェリチンタンパク質に付着させて細胞内に発現させた。細胞内のフェリチン融合タンパク質の分布を蛍光顕微鏡により分析した(図30)。
【0152】
その後、この状態で、BODIPY染料が付いているMTX化合物(プレイ)を処理した後、経時的に細胞内においてMTXがDHFRと結合をするかどうかを分析した。
【0153】
その結果、図30に示すように、DHFR無しナノ高単位複合体の場合にはMTXがナノ高単位複合体にドッキングまたは取り込まれないのに対し、DHFRが表面にある場合に約1時間後からMTX化合物がDHFR付きナノ高単位複合体に結合及びドッキングされることが観察された。図31は、MTX化合物処理150分後に細胞内ナノ高単位複合体の表面においてMTX化合物がDHFR付きナノ高単位複合体に結合及びドッキングまたは取り込まれることを示す写真である。
【0154】
《実験例6−1:FKBP(F36M)突然変異タンパク質の連続的付着個数により形成誘導されるナノ高単位複合体》
FKBP(F36M)突然変異フェリチン融合タンパク質によるナノ高単位複合体の形成誘導を最適化させるために、FKBP(F36M)突然変異タンパク質の連続数を6個まで増加させて付着しながらその結果を観察した。
【0155】
その結果、図32に示すように、2個から細胞内発現後に12時間から効果的にナノ高単位複合体が形成された。しかしながら、4個からは融合タンパク質の細胞内発現率が顕著に低下した。
【0156】
《実験例6−2:FKBP(F36M)突然変異タンパク質の個数及び時間により形成誘導されるナノ高単位複合体》
前記実験例6−1のように、FKBP(F36M)突然変異タンパク質を1個から3個までその数を増加させてフェリチンに融合して自発的なナノ高単位複合体の形成を誘導し、その様相を時間帯別に観察した。
【0157】
その結果、図33に示すように、FKBP(F36M)突然変異タンパク質が1個である場合、Hela細胞内導入後に36時間が経過してから生成され始めるのに対し、2個と3個である場合に細胞内導入後に12時間後に効果的に形成することを確認した。
【0158】
前記実験例の結果から、FKBP(F36M)突然変異フェリチン融合タンパク質によるナノ高単位複合体の形成誘導を最適化させる条件を推測することができた。
【0159】
《実施例7:特定の化合物とタンパク質との相互作用を媒介(調節)物質として用いて形成誘導されたナノ高単位複合体上における探索物質間の相互作用の確認》
この実験においては、ナノ高単位複合体形成誘導物質としてFKBP(野生型)タンパク質を使用し、且つ、これらの間の結合を媒介(調節)する物質として特定のAP1510化合物を使用した。AP1510化合物はFK506の類似化合物であって、FKBPタンパク質に結合可能な成分2つをリンカーにより連結して両分子のFKBPタンパク質と同時に相互作用可能な両親性媒介(調節)物質である。
【0160】
2つのFKBP(野生型)タンパク質を連続的にフェリチンに融合してHela細胞内に発現させ、FKBP相互作用媒介(調節)物質である1μMのAP1510化合物を処理して、1時間以内にナノ高単位複合体が形成されることをIn-Cell Analyzer 1000(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)社製)を用いて観察した(図35)。このようにナノ高単位複合体の形成を3時間かけて誘導した後、250nMのラパマイシンを1時間処理した。
【0161】
その結果、FKBPのパートナー探索物質であるFRBタンパク質(プレイ)が相互作用してナノ高単位複合体の表面に結合及びドッキングまたは取り込まれることを確認した(図35及び図37)。
【0162】
すなわち、このときのFKBPはAP1510化合物との反応によりナノ高単位複合体を形成する媒介(調節)物質の役割を果たすと共に、FRB(プレイ)と相互作用するベイト機能もするものである。
【0163】
《実験例7−1:付着蛍光タンパク質の種類に影響を受けないナノ高単位高単位複合体》
前記実施例7においてFKBPタンパク質にmRFPを付着した場合に対して、前記FKBPタンパク質にECFP、TagCFP、mTFP1などの種々の蛍光タンパク質に付着させてAP1510化合物によるナノ高単位複合体形成誘導効果を比較した。
【0164】
先ず、FKBPをフェリチンタンパク質に融合し、FKBPとフェリチンとの間に前記3種類の異なる蛍光タンパク質を付着させた後、Hela細胞に発現させた。24時間発現後、それぞれの細胞に1μMのAP1510化合物を処理した。
【0165】
その結果、図36に示すように、ECFPに比べてTagCFPとmTFP1の場合に、AP1510化合物によりナノ高単位複合体の形成が一層効果的に誘導されることを確認した。そして、図37に示すように、TagCFPの場合、AP1510化合物により形成が誘導されたナノ高単位複合体にラパマイシンの処理によってFKBPのパートナー探索物質であるFRBタンパク質(プレイ)が相互作用してナノ高単位複合体の表面に結合及びドッキングまたは取り込まれることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上詳述したように、本発明によれば、同じ系または同じ場のインビボにおける様々な生理活性物質間の相互作用によるナノ高単位複合体の形成の有無またはナノ高単位複合体上の同じ位置有無を分析することにより、生理活性物質間の相互作用を探索することができる。このために、本発明は、インビトロ及びインビボにおいて「ベイト」と「プレイ」との相互作用を探索するためのキットまたはチップに使用されうる。
【0167】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含む、物質の相互作用検出方法:
(i)ナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質及びプレイ物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)前記ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、
(iii)前記ナノ高単位複合体の形成の有無を測定して前記相互作用を判別するステップ。
【請求項2】
ステップ(i)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用は直接または間接的に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(i)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介又は調節する物質を一つ以上添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ベイト物質及びプレイ物質はそれぞれ標識物質と結合していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介又は調節する物質は標識物質と結合していることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
次のステップを含む、物質の相互作用検出方法:
(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)前記媒介物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、
(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップ。
【請求項7】
次のステップを含む、物質の相互作用検出方法:
(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、
(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に結合しているベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップ。
【請求項8】
ステップ(ii)において前記媒介(調節)物質間の作用を媒介または調節する物質を添加することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(iv)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介または調節する物質を添加することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ベイト物質、プレイ物質及び媒介(調節)物質はそれぞれ標識物質が結合していることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ベイト物質、プレイ物質及び/または媒介(調節)物質は生理活性物質であることを特徴とする請求項1、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記生理活性物質は核酸、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖、脂質、ビタミン及び化合物からなる群より選択される一つ以上の物質であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ高単位複合体形成物質は多数の同じまたは異なる相互作用部位を有する物質であり、相互間の相互作用または自己集合により複合体を形成する物質であることを特徴とする請求項1、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記自己集合により複合体を形成する物質はフェリチン、フェリチン様タンパク質、マグネトソーム構成タンパク質、ウィルス構成タンパク質、金ナノ粒子、量子点及び磁性ナノ粒子からなる群より選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標識物質は放射性標識、蛍光性物質または発光性物質であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記発光性物質は蛍光染料、テトラシステイン蛍光性モチーフ、蛍光タンパク質または蛍光ナノ粒子であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記標識物質は放射性標識、蛍光性物質または発光性物質であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記発光性物質は蛍光染料、テトラシステイン蛍光性モチーフ、蛍光タンパク質または蛍光ナノ粒子であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
細胞、組織または器官で行われることを特徴とする請求項1、請求項6及び請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ゼブラフィッシュ、線虫(C.elegans)、酵母、ハエ、カエル、ヒトを除く哺乳動物及び植物からなる群より選択された細胞、組織または生体であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞、組織または器官への導入は、細胞伝達性ペプチド(形質導入可能なまたは融合性ペプチド)、脂質遺伝子伝達体またはこれらの結合体の利用、エレクトロポレーションの利用及びマグネトフェクションの利用からなる群より選択される方法により行うことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノ高単位複合体の形成測定は光学的方法、スキャナー利用、放射性標識感知手段の利用、蛍光偏光リーダー(fluorescence polarization reader)の利用、分光光度計の利用、核磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)の利用、SQUIDの利用、MRrelaxometerの利用、蛍光検出器の利用及び発光検出器の利用からなる群より選択された測定方法により行うことを特徴とする請求項1、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用による結合位置は光学的方法、スキャナー利用、放射性標識感知手段の利用、蛍光偏光リーダー(fluorescence polarization reader)の利用、分光光度計の利用、核磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)の利用、SQUIDの利用、MRrelaxometerの利用、蛍光検出器の利用及び発光検出器の利用からなる群より選択された測定方法により行うことを特徴とする請求項1、請求項6及び請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
次のステップを含む、ベイトと相互作用する標的プレイ物質の検出方法:
(i)ナノ高単位複合体形成物質、ベイト物質及びプレイ物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)前記ベイト物質及びプレイ物質間の相互作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、
(iii)前記ナノ高単位複合体の形成の有無を測定して前記相互作用を判別するステップと、
(iv)前記ベイトと相互作用してナノ高単位複合体を形成するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定するステップ。
【請求項25】
次のステップを含む、ベイトと相互作用する標的プレイ物質の検出方法:
(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)前記媒介物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、
(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に存在するベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、
(v)前記ベイトと相互作用してナノ高単位複合体上に一緒に局在するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定するステップ。
【請求項26】
次のステップを含む、ベイトと相互作用する標的プレイ物質の検出方法:
(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質ライブラリーを提供するステップと、
(iv)前記形成されたナノ高単位複合体上に結合しているベイト物質との相互作用によるプレイ物質の結合位置を測定して、前記ベイト物質と同じ位置に局在するかどうかを確認して前記相互作用を判別するステップと、
(v)前記ベイトと相互作用してナノ高単位複合体上に一緒に局在するプレイ物質を標的物質として選択、分離及び同定するステップ。
【請求項27】
ステップ(i)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用は直接または間接的に行われることを特徴とする請求項24に記載の検出方法。
【請求項28】
ステップ(i)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を又は調節する物質を添加することを特徴とする請求項24に記載の検出方法。
【請求項29】
ステップ(ii)において前記媒介(調節)物質間の作用を媒介または調節する物質を添加することを特徴とする請求項25または請求項26に記載の検出方法。
【請求項30】
ステップ(iv)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介又は調節する物質を添加することを特徴とする請求項25または請求項26に記載の検出方法。
【請求項31】
前記ベイト物質、プレイ物質及び媒介(調節)物質はそれぞれ標識物質が結合していることを特徴とする請求項24〜26のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項32】
次のステップを含む、ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質の検出方法:
(i)媒介(調節)物質及びベイト物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)標的候補物質の存在下において、前記媒介(調節)物質の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、
(iv)標的候補物質が存在しない場合にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度に比べて、標的候補物質の存在下にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度が阻害(抑制)または促進(誘導)される場合の標的候補物質を、それぞれ標的阻害物質または標的促進物質として選定するステップ。
【請求項33】
次のステップを含む、ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質の検出方法:
(i)ナノ高単位複合体形成物質に媒介(調節)物質及びベイト物質を結合して同じ場または系に提供するステップと、
(ii)標的候補物質の存在下において、前記媒介(調節)物質の作用によりナノ高単位複合体を形成するステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、
(iv)標的候補物質が存在しない場合にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度に比べて、標的候補物質存在下にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度が阻害(抑制)または促進(誘導)される場合の標的候補物質を、それぞれ標的阻害物質または標的促進物質として選定するステップ。
【請求項34】
次のステップを含む、ベイト及びプレイ物質間相互作用を阻害(抑制)または促進(誘導)する標的物質の検出方法:
(i)第1媒介(調節)物質を結合させたナノ高単位複合体形成物質及び第2媒介(調節)物質を結合させたベイト物質を同じ場または系に提供するステップと、
(ii)標的候補物質の存在下において、前記第1媒介(調節)物質間の作用によりナノ高単位複合体を形成し、前記第2媒介物質間の作用により前記形成されたナノ高単位複合体上にベイト物質を結合させるステップと、
(iii)前記形成されたナノ高単位複合体にプレイ物質を提供するステップと、
(iv)標的候補物質が存在しない場合にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度に比べて、標的候補物質存在下にベイトとプレイ物質が一緒に局在する程度が阻害(抑制)または促進(誘導)される場合の標的候補物質を、それぞれ標的阻害物質または標的促進物質として選定するステップ。
【請求項35】
ステップ(i)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用は直接または間接的に行われることを特徴とする請求項32に記載の検出方法。
【請求項36】
ステップ(i)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介又は調節する物質を添加することを特徴とする請求項32に記載の検出方法。
【請求項37】
ステップ(ii)において前記媒介(調節)物質の作用を媒介または調節する物質を添加することを特徴とする請求項33または請求項34に記載の検出方法。
【請求項38】
ステップ(iv)においてベイト物質及びプレイ物質間の相互作用を媒介又は調節する物質を添加することを特徴とする請求項33または請求項34に記載の検出方法。
【請求項39】
前記ベイト物質、プレイ物質及び媒介(調節)物質はそれぞれ標識物質が結合していることを特徴とする請求項32〜34のいずれか1項に記載の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公表番号】特表2010−537189(P2010−537189A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521773(P2010−521773)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004761
【国際公開番号】WO2009/025475
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(502318478)コリア アドバンスド インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジィ (27)
【出願人】(506272301)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (17)
【Fターム(参考)】