説明

物質を迅速に混合し患者に送達するための小型装置

物質を注入する注入装置を開示する。開示される装置は、2つの別個の物質、例えば、固体、液体、または気体物質を、別個の区画に別々に保持することができ、これらの区画は、別個の物質が装置の作動中に接触するように遮られている。開示される1つの装置は、注射用針と、2つの物質と、を含み、これらの物質は、装置のオペレーターによっていくつかの動作だけで混合される。装置は、別個のチャンバーに保持される材料を互いに接触させるピン、ペグ、バネ、ワイヤ、ひも、または他の機構の動きを通じて区画相互作用を誘発するスリーブの取り外しによって混合を始動させてもさせなくてもよい。注入されるべき物質の混合およびその用量の確認中におけるオペレーターの過失は、開示される装置で回避される。また、針は、スリーブが取り外され、装置が作動を開始するまで装置の内側に保持されるので、針は、滅菌状態で保たれる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔背景〕
〔技術分野〕
凍結乾燥物質または噴霧乾燥物質などの物質を迅速に混合し送達する装置を開示する。例えば、多くの異なる種類の療法および治療に使用される、グルカゴン、ワクチン、畜産物(animal products)、戦闘用薬物(combat medications)、抗体、組み換えタンパク質、抗毒素、ビタミン、薬剤、化合物、およびその他多くのものといった、保管された固体物質を迅速に混合し注入する装置を開示する。低血糖症および他の状態を迅速に治療する方法も開示する。
【0002】
〔関連技術の説明〕
真性糖尿病は、2400万人を超えるアメリカ人に影響を与えており、国家的には死因の第7位である。約1790万人の糖尿病患者が米国では診断されている。糖尿病は、1型および2型の2つの形をとり得る。1型の患者はインスリンを生成できず、2型の患者は、グルコース制御経路またはインスリン生成の障害をこうむる。1型および2型双方の患者は、インスリン注射、ライフスタイルの変更、観察、または経口薬による治療を必要とする。
【0003】
低血糖症は、糖尿病患者のライフスタイルを結果として生じる、正常な血糖より低い状態である。低血糖症は、2〜4%の糖尿病患者では、昏睡、発作、または死さえも生じる場合がある。グルコースレベルの減少は、脳または他の器官に対する損傷作用を有し得る。糖尿病患者集団における低血糖症の発生率は、測定が困難であり、これは、糖尿病患者間の非常に多くの低血糖症レベルがさまざまなためである。通常、1型糖尿病患者は、1年に少なくとも1回は、重篤な低血糖症の発現を経験し、1週間に数回、軽度の発現を経験する。2型糖尿病患者は、人生のうちで時折重篤な発作を起こす可能性が20%あるが、高い頻度で軽度の発現もある。50mg/dL未満の血糖値は、低血糖症の重篤な発現と考えられる。しかしながら、患者が年をとるにつれて、一部の人は兆候を認識する能力を失う。
【0004】
糖尿病患者には、現在、重篤な低血糖症を治療するのに2つの選択肢しかない。これら双方の選択肢は、Nova NordiskおよびEli Lillyが製造する、低血糖救助キットである。これらのキットは、滅菌溶液が満たされた1本の針と、手動で混合され患者に注入されるグルカゴン/ラクトース粉末のバイアルと、を含む。この方法は、危険であり、多くの潜在的使用者(針に慣れていなかったり、緊急時に使用者自身、または使用者が助けている人の発作のストレス中に粉末と液体とを混合する必要性に集中するのに苦労したりする)には有効でない。
【0005】
したがって、都合よく、かつ迅速に医薬品を患者に送達する、改善された装置および方法が必要である。
【0006】
〔開示の概要〕
グルカゴン、エピネフリン、抗毒素、心臓発作救助試薬、薬剤、固体化合物、粉末化合物、液体化合物、抗体、ビタミン、核酸、タンパク質、ペプチドなどであるがこれらに限定されない、物質を混合および注入する、注入装置が開示される。開示される装置は、2つの別個の物質、例えば、固体、液体、または気体物質を、別個の区画に別々に保持することができ、これらの区画は、別個の物質が装置の作動中に接触するように遮られている。開示される1つの装置は、注射用針と、2つの物質と、を含み、これらの物質は、装置のオペレーターによりわずかな動作だけで混合される。装置は、別個のチャンバー内に保持される材料を互いに接触させるピン、ペグ、バネ、ワイヤ、ひも、または他の機構の動きを通じて区画相互作用を誘発するスリーブの取り外しにより、混合を始動させてもさせなくてもよい。
【0007】
注入すべき物質の混合およびその用量の確認中におけるオペレーターの過失は、開示する装置で回避される。また、スリーブが取り外され、装置が作動し始めるまで、針は装置の内側に保持されるので、針は滅菌状態で保たれる。
【0008】
開示される装置は、2つもしくは3つ以上の物質を混合し患者に注入するか、または混合せずに単一の物質を注入するのに使用され得る。物質は、固体、液体、または気体物質であってよく、ワクチン、タンパク質、ペプチド、ビタミン、薬剤、物質、化合物、ナノ粒子、装置などの注入に使用され得るが、これらに限定されない。開示された装置により、単純な投与が可能となり、装置のスリーブの取り外しが示唆されるがこれに限定されない最小限の相互作用が使用者の側で生じ、その後、所望の注入部位で圧縮が行われ、作動機構に物質を混合および注入させる。スリーブの取り外しは、以下のデザインのうち3つに示されるように混合を引き起こすことができ、あるいは、スリーブは、単にその機構を予備注入(preliminary injection)または無菌でない汚染(unsterile contamination)から保護することができる。
【0009】
一般的な例として、グルカゴン注入の場合、グルカゴンは、凍結乾燥形態で1つの区画に保持される。次に、装置のスリーブが取り外され、装置を患者が使用し、グルカゴンを溶媒と混合し、その後、低血糖症発作の可能な治療として患者の血糖値を上昇させることにより、そこで患者に注入される。これらの機構は、期限切れ装置(expired device)、使用済み装置、故障装置を示すように設計されてもされていなくてもよく、あるいは、使用後に二次的に穿刺しないよう(from secondary puncture after use)針を覆うために装置内へ針を後退させてもさせなくてもよい。物質用の別個のチャンバーの利点は、物質の貯蔵寿命を増大させる。
【0010】
1つのデザインでは、開示される装置は、スリーブを含み、スリーブは、使用前に取り外され、装置を通して薄い構成要素が引っ張られ、注入されるべき物質の混合を始動させる。次に、スリーブは、完全に取り外され、装置は圧縮の準備ができる。装置の前方ハウジングでは、針の最前部が2つの膜の間に位置付けられ、これらの膜は、針の前に液体貯蔵部を保持し、皮膚内への注入前に使用される液体を与えられた状態に針を保つのを助ける。また、装置は、シェルを余分に必要とせずに注入することができ、これは、装置はロックして、その後、装置の内側構成要素へと動いてプランジャーの作動機構として役立ち、プランジャーが、次に装置の中身を針の端部から患者内へと放出するのを助けるからである。いったん装置が使用されると、装置は、使用されたことを示しても示さなくてもよく、また、装置の前側区画、または針を装置のハウジング内に全てもしくは部分的に後退させ、露出した針からの二次的な損傷を防ぐのを助ける、別の場所の他の機構に、バネを有しても有していなくてもよい。
【0011】
一実施形態では、少なくとも2つの物質を混合して混合物を形成し、その混合物を患者に送達する、開示される装置は、分配出口と連絡している第1のチャンバーを含む。第1のチャンバーは、第1の物質を収容し、第2のチャンバーが、第2の物質を収容する。第2のチャンバーは、障壁により第1のチャンバーから分離されている。障壁はスリーブに連結される。手の圧力下でのスリーブの動きにより、障壁は除去され、第1および第2の物質が、第1および第2のチャンバーのうち少なくとも一方で混合される。
【0012】
改善したもの(refinement)では、分配出口はカニューレである。
【0013】
改善したものでは、第2の物質は粉末である。
【0014】
改善したものでは、第1の物質は液体である。
【0015】
改善したものでは、第1のチャンバーの第1の物質は液体であり、第2のチャンバーの第2の物質は粉末である。
【0016】
改善したものでは、第1のチャンバーは、スリーブと第2のチャンバーとの間に配される。
【0017】
改善したものでは、第2のチャンバーは、上方ハウジングと障壁との間に配される。
【0018】
改善したものでは、障壁は、容易に裂けるか、壊れるか、または移動されるホイル片または材料片である。
【0019】
改善したものでは、障壁は、カニューレを通り抜ける連結要素によってスリーブに連結されてよい。このような改善では、連結要素は、糸(line)であってよい。
【0020】
改善したものでは、障壁は、ひも、糸、ワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される連結要素によってスリーブに連結される。
【0021】
改善したものでは、第1および第2の物質のうち一方は溶媒であり、第1および第2の物質のうちもう一方は、グルカゴン、エピネフリン、心臓発作救助試薬、薬剤、固体化合物、抗毒素、抗体、粉末化合物、液体化合物、ビタミン、核酸、タンパク質、ペプチド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
改善したものでは、装置は、少なくとも1つのハウジングを含み、そのハウジングの中に第1および第2のチャンバーが配される。この少なくとも1つのハウジングは、障壁を露出する窓を含む。
【0023】
改善したものでは、障壁は栓子であってよい。
【0024】
改善したものでは、スリーブは、下方ハウジングに連結される。栓子は、上方ハウジングにおいて第1のチャンバーと第2のチャンバーとの間に配される。下方および上方ハウジングは、スライド可能に、かつ入れ子式に互いに連結され、上方ハウジングに対するスリーブおよび下方ハウジングの動きにより、栓子が除去され、第1および第2の物質が混合される。
【0025】
少なくとも2つの物質を混合して混合物を形成し、その混合物を患者に送達する方法も開示する。開示される1つの方法は、請求項1による装置を提供することであって、分配出口はカニューレである、提供することと、手の圧力下でスリーブを動かし、障壁を除去して、第1および第2のチャンバーのうち少なくとも一方で第1および第2の物質を混合し混合物を形成することと、カニューレを通してその混合物を患者に注入することと、を含む。
【0026】
他の利点および特徴は、添付図面と併せて読めば以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0027】
開示する方法および器具がより完全に理解されるよう、添付図面にさらに詳細に示された実施形態を参照すべきである。
【0028】
図面は必ずしも一定の比例に応じていないこと、開示する実施形態は、概略的に、部分図で示されていることもあることが、理解されるべきである。場合によっては、開示する方法および器具の理解に必要でない項目、または他の項目を理解しづらくする項目は、省略されている場合がある。本開示が本明細書に示す特定の実施形態に限定されないことが、当然理解されるべきである。
【0029】
〔現在好適な実施形態の詳細な説明〕
まず図1〜図9を参照すると、外側スリーブまたはキャップ31を含む装置30が開示され、外側スリーブまたはキャップ31は、端部キャップ33により覆われた開放端部32を含んでよく、端部キャップは、この例では、小穴34を含み、小穴は、下方ハウジング35および上方ハウジング36からスリーブ31が取り外されるのを促進する。下方ハウジング35は、バネまたは付勢部材37と、針またはカニューレ38と、を収容する。図1〜図9に示す実施形態では、端部キャップ33およびスリーブ31は、障壁39に連結されるか、または別様に接続される。障壁39は、第1のチャンバー41を第2のチャンバー42から分離する。一実施形態では、第1のチャンバー41は、生理食塩水などの液体を収容し、第2のチャンバー42は、グルカゴン、抗体、またはワクチンなどの粉末材料を収容する。他の例は、当業者には明らかとなるであろうし、本明細書で述べるには多すぎる。
【0030】
図2は、矢印43の方向に引っ張られているスリーブ31および端部キャップ33を示す。図2および図3に示すように、端部キャップ33は、連結要素44によって障壁39に連結され、連結要素は、この場合、ひも、または糸である。スリーブ31および端部キャップ33が矢印43の方向に引っ張られるにつれて、連結要素44によって応力が障壁39に加わる。一実施形態では、障壁39は、裂くことができるホイル片、または、裂けたり破裂したりしやすい、別の適切な障壁材料を含む。ホイル障壁39が裂けると、第2のチャンバー42内の粉末が、第1のチャンバー41内の液体にさらされて、混合が始まる。チャンバー42および41からの粉末および液体が混合して、注入に適した均質な混合物になるのを促進するため、追加の混合要素45が設けられてよい。一実施形態では、混合要素は、ポリマーフィルムなど、フィルムの形態であってよい。
【0031】
図3に示すように、カニューレ38は、端部キャップ33から障壁39まで延在するよう、連結要素44に便利な通路を提供することができる。カニューレ38、およびひもまたは連結要素44の双方は、交差フレーム47により支持される膜46を通って延びる。
【0032】
図4は、チャンバー41および42からの材料が混合されるように、スリーブ31および連結要素44が取り外され、障壁39が損傷されるか、裂けるか、または破裂した、装置30を示す。チャンバー41、42からの材料の混合物は、いまや注入される準備ができている。図5は、上方ハウジング36内への下方ハウジング35の圧縮、およびバネ37の圧縮を示す。図6は、下方ハウジング35上での上方ハウジング36の圧縮、および二次的な付勢部材48の圧縮または負荷を示す。図6では、装置30は、十分に荷重をかけられ、図7〜図8に示す注入の用意ができている。二次的な付勢部材48は、端壁54により第2のチャンバー36に接続され、端壁は、二次的な付勢部材48の中心支柱56によって摩擦受容される支柱55を含む。装置30が図5に示す位置へ圧縮されると、付勢部材48の外側脚部57は、矢印43の方向に中央ハウジング58および下方ハウジング35を付勢する目的で荷重をかけられる。この作用は、図6〜図8に連続して示してある。図9では、付勢要素37、48は十分に延び、カニューレ38は、下方ハウジング35内で後退されている。図5〜図9は、下方ハウジング35の開放端部52を覆う端部栓子51も示している。好ましくは、端部栓子51は、カニューレ38が通過する膜を備えている。
【0033】
図10〜図14は、さらに別の実施形態130を示す。装置130は、上方ハウジング136、下方ハウジング135、およびカニューレ138を含む。図11に示すように、連結要素144が、障壁139に接続される。図10〜図14に示す実施形態130では、障壁139は、剪断力をホイル障壁139に加える目的で、一対のプレート61、62を含む。上方ハウジング136の開放端部63は、端部栓子154で覆われる。混合要素145も設けられて、ホイル障壁139の上からホイル障壁139の下に、または図13および図14の向きにおいて右側に向かって、粉末を動かすことができる。ホイル障壁139は、前述したようにプレート61、62を備えてよく、追加の1つまたは複数のポリカーボネートフィルム64(図13〜図14)が、ホイル障壁139およびホイルのプレート61、62を屈曲させるために含まれてよい。
【0034】
操作中、連結要素144は、保護スリーブまたはキャップ(不図示)に連結され得る。連結要素144に加えられる張力は、障壁139に伝わり、障壁は最終的に裂けるかまたは破裂する。下方ハウジング135から障壁139の反対側に配された第2のチャンバー内の粉末が、次に、上方ハウジング136から障壁139の反対側に配された第1のチャンバー内に配された液体と混合される。
【0035】
図15〜図17に示すように、スリーブもしくはキャップ31または他のハンドルなどの取り外し可能なアイテム間に延びる、連結要素44(図1〜図9)または144(図10〜図14)は、必要ない。例えば、第1のチャンバー41または241と第2のチャンバー42または242との間に配された、任意の種類の移動可能または引き裂き可能な障壁を使用することができる。図15〜図17では、移動可能な障壁が、栓子239の形態で設けられている。図1〜図9および図10〜図14に示す2つの実施形態は、ホイル障壁39、139を開示しているが、他の金属製障壁もしくは膜、および非金属製障壁もしくは膜、例えばポリマー障壁もしくは膜を含むがこれらに限定されない、他の不浸透性または比較的不浸透性の障壁が、当業者には明らかであろう。
【0036】
図15〜図17を見ると、30への追加の装置が示され、この装置は、第1のチャンバー241と第2のチャンバー242との間で障壁として役立つ円錐形栓子239を含む。図15〜図17に示すシーケンスで分かるように、装置230が圧縮されると、栓子239は、二次的な付勢要素248に向かって上方に延び、それにより、下方チャンバー241と第2のチャンバー242との間に連絡を確立する。別の状況では、装置230は、バネ237、上方ハウジング236および下方ハウジング235、端部キャップ233、スリーブ231、小穴234、ならびに二次的な付勢部材248を含むので、図1〜図9に示す装置30に構造が似ている。
【0037】
図15〜図17は、円錐形栓子239を示すが、39に対する栓子の形状は、比較的重要ではない。手の圧力を加えた際に、第1のチャンバー241と第2のチャンバー242との間における位置(図16および図17と比較のこと)から栓子を除去することは、栓子239の重要な機能である。さらに言えば、手の圧力を加えることは、図1〜図14で前記に開示したホイル障壁39、139のうちいずれか一方を裂く(terror)か、損傷するか、または取り外すのに使用され得る。
【0038】
図18〜図24は、下方ハウジング335および上方ハウジング336を含む、単一のチャンバー装置330を示す。上方ハウジング136は、カニューレ338と連絡している単一のチャンバーを含む。装置330が圧縮されると、カニューレは、図19〜図22に連続して示すように、注入のために端部キャップ351を通って延びる。図18〜図24に示す実施形態は、2つの異なる物質の混合が必要でない適用を意図している。
【0039】
特定の実施形態のみを記載したが、前記の説明から代替案および改変が当業者には明らかであろう。これらの、また他の代替案は、等価であるとみなされ、本開示および請求項の趣旨および範囲内にあるものである。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも2つの物質を混合して混合物を形成し、前記混合物を患者に送達する装置において、
分配出口と連絡しており、第1の物質を収容する、第1のチャンバーと、
第2の物質を収容する第2のチャンバーと、
を含み、
前記第2のチャンバーは、障壁により前記第1のチャンバーから分離され、
前記障壁は、手の圧力下で損なわれ、前記第1および第2の物質を、前記第1および第2のチャンバーのうち少なくとも一方で混合させることができる、装置。
(2) 実施態様1に記載の装置において、
前記分配出口は、カニューレである、装置。
(3) 実施態様1に記載の装置において、
前記第2の物質は、粉末である、装置。
(4) 実施態様1に記載の装置において、
前記第1の物質は、液体である、装置。
(5) 実施態様1に記載の装置において、
前記第1のチャンバーの前記第1の物質は、液体であり、前記第2のチャンバーの前記第2の物質は、粉末である、装置。
【0041】
(6) 実施態様1に記載の装置において、
前記第1のチャンバーは、スリーブと前記第2のチャンバーとの間に配される、装置。
(7) 実施態様1に記載の装置において、
前記第2のチャンバーは、上方ハウジングと前記障壁との間に配される、装置。
(8) 実施態様1に記載の装置において、
前記障壁は、ホイル片である、装置。
(9) 実施態様8に記載の装置において、
前記障壁は、連結要素によってスリーブに連結される、装置。
(10) 実施態様9に記載の装置において、
前記連結要素は、糸である、装置。
【0042】
(11) 実施態様10に記載の装置において、
前記糸は、前記カニューレを通り抜ける、装置。
(12) 実施態様1に記載の装置において、
前記障壁は、前記カニューレを通り抜ける連結要素によってスリーブに連結され、
手の圧力下での前記スリーブの動きにより、前記障壁が除去される、装置。
(13) 実施態様1に記載の装置において、
前記障壁は、ひも、糸、ワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された連結要素によってスリーブに連結される、装置。
(14) 実施態様1に記載の装置において、
前記第1および第2の物質のうち一方は、溶媒であり、前記第1および第2の物質のうちもう一方は、グルカゴン、エピネフリン、心臓発作救助試薬、薬剤、固体化合物、粉末化合物、液体化合物、脂質、糖、ステロイド、ホルモン、ビタミン、核酸、ワクチン、抗毒素、抗体、タンパク質、ペプチド、ナノ粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
(15) 実施態様1に記載の装置において、
前記第1および第2のチャンバーが内部に配される、少なくとも1つのハウジング、
をさらに含み、
前記少なくとも1つのハウジングは、前記障壁を露出する窓を含む、装置。
【0043】
(16) 実施態様1に記載の装置において、
前記障壁は、栓子である、装置。
(17) 実施態様16に記載の装置において、
前記スリーブは、下方ハウジングに連結され、前記栓子は、上方ハウジングにおいて前記第1のチャンバーと第2のチャンバーとの間に配され、前記下方ハウジングおよび上方ハウジングは、スライド可能に、かつ入れ子式に互いに連結され、
前記上方ハウジングに対する前記スリーブおよび下方ハウジングの動きにより、前記栓子が除去され、前記第1および第2の物質が混合される、装置。
(18) 少なくとも2つの物質を混合して混合物を形成し、前記混合物を患者に送達する方法において、
実施態様1の装置を提供することであって、前記分配出口はカニューレである、提供することと、
手の圧力下でスリーブを動かし、前記障壁を除去し、前記第1および第2のチャンバーのうち少なくとも一方において前記第1および第2の物質を混合して、混合物を形成することと、
前記カニューレを通して前記混合物を前記患者に注入することと、
を含む、方法。
(19) 実施態様16に記載の方法において、
前記第2の物質は、粉末である、方法。
(20) 実施態様16に記載の方法において、
前記第1の物質は、液体である、方法。
【0044】
(21) 実施態様16に記載の方法において、
前記第1のチャンバーは、前記スリーブと前記第2のチャンバーとの間に配される、方法。
(22) 実施態様16に記載の方法において、
前記第2のチャンバーは、前記上方ハウジングと前記障壁との間に配される、方法。
(23) 実施態様16に記載の方法において、
前記障壁は、ホイル片である、方法。
(24) 実施態様22に記載の方法において、
前記障壁は、前記カニューレを通り抜ける連結要素によって前記スリーブに連結される、方法。
(25) 実施態様16に記載の方法において、
前記第1および第2の物質のうち一方は、溶媒であり、前記第1および第2の物質のうちもう一方は、グルカゴン、エピネフリン、心臓発作救助試薬、薬剤、固体化合物、粉末化合物、液体化合物、脂質、糖、ステロイド、ホルモン、ビタミン、核酸、ワクチン、抗毒素、抗体、タンパク質、ペプチド、ナノ粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【0045】
(26) 実施態様16に記載の方法において、
前記第1および第2のチャンバーが内部に配される少なくとも1つのハウジングを設け、前記障壁を露出する窓を前記ハウジングに設けることによって、実施態様1の前記装置が使用されたかどうか、または手を加えられたかどうかを示すこと、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】2つの物質を混合し、その混合物を注射の形態で送達する、開示される装置の断面斜視図である。
【図2】外側スリーブの取り外しを例示する、図1に示した装置の別の断面斜視図であり、この取り外しにより、ひも、糸、または他の薄い連結要素で障壁に接続されるか、連結されるか、またはつながれている外側スリーブが、2つのチャンバー間の障壁に張力を加える。
【図3】図1〜図2に示す装置の別の断面斜視図であり、障壁層から切り離され、それにより2つのチャンバー内への物質の混合を可能にする、スリーブおよびひもを特に示す。
【図4】スリーブのない、図1〜図3に示す装置の別の断面斜視図である。
【図5】上方ハウジング内へバネおよび下方ハウジングが入れ子式に圧縮されるところを示し、針を用意していてもしていなくてもよい、別の断面斜視図である。
【図6】図1〜図5に示す装置の別の断面斜視図であり、装置が混合物を患者に注入する準備ができた際に、下方ハウジング上を上方ハウジングが入れ子式に圧縮されるところを示す。
【図7】注入が進行中である、図1〜図6に示す装置の別の断面斜視図である。
【図8】注入が完了した、図1〜図7に示す装置の別の断面斜視図である。
【図9】図1〜図8に開示されるような、使い切った、すなわち使用済みの装置を示し、針が下方ハウジング内へ後退し、リサイクルまたは廃棄される準備ができている。
【図10】2つの物質を混合し、混合物を患者に注入する、開示されるさらに別の装置の斜視図である。
【図11】図10に示す装置の分解組立斜視図である。
【図12】図10〜図11に示す装置の別の分解組立斜視図である。
【図13】図10〜図12に示す装置の部分分解組立斜視図である。
【図14】図10〜図13に示す装置の別の部分斜視図である。
【図15】開示されるさらに別の装置を示す、正面断面図であり、この装置は、2つの物質が時期尚早に混合されること、および粉末物質用チャンバーの両側に配された、液体物質用の2つのチャンバーの使用を防ぐ、除去可能なストッパーを含む。
【図16】図15に示す装置の別の正面断面図である。
【図17】図16〜図17に示す装置の、さらに別の正面断面図である。
【図18】開示される装置の正面断面図であり、この装置は、2つの物質を混合する2つの別個のチャンバーを含まないが、緊急事態を経験している患者に溶液を注入する迅速な手段を提供する。
【図19】注入開始時の、図18に示す装置の別の正面断面図である。
【図20】注入開始時の、図18に示す装置の別の正面断面図である。
【図21】注入が進行中である、図18〜図20に示す装置の別の正面断面図である。
【図22】注入が完了したときの、図18〜図21に示す装置の別の正面断面図である。
【図23】図18〜図22に示す装置の底面斜視図である。
【図24】図18〜図23に示す装置の別の底面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの物質を混合して混合物を形成し、前記混合物を患者に送達する装置において、
分配出口と連絡しており、第1の物質を収容する、第1のチャンバーと、
第2の物質を収容する第2のチャンバーと、
を含み、
前記第2のチャンバーは、障壁により前記第1のチャンバーから分離され、
前記障壁は、手の圧力下で損なわれ、前記第1および第2の物質を、前記第1および第2のチャンバーのうち少なくとも一方で混合させることができる、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記分配出口は、カニューレである、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記第2の物質は、粉末である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記第1の物質は、液体である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のチャンバーの前記第1の物質は、液体であり、前記第2のチャンバーの前記第2の物質は、粉末である、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のチャンバーは、スリーブと前記第2のチャンバーとの間に配される、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記第2のチャンバーは、上方ハウジングと前記障壁との間に配される、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記障壁は、ホイル片である、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、
前記障壁は、連結要素によってスリーブに連結される、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記連結要素は、糸である、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
前記糸は、前記カニューレを通り抜ける、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
前記障壁は、前記カニューレを通り抜ける連結要素によってスリーブに連結され、
手の圧力下での前記スリーブの動きにより、前記障壁が除去される、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、
前記障壁は、ひも、糸、ワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された連結要素によってスリーブに連結される、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、
前記第1および第2の物質のうち一方は、溶媒であり、前記第1および第2の物質のうちもう一方は、グルカゴン、エピネフリン、心臓発作救助試薬、薬剤、固体化合物、粉末化合物、液体化合物、脂質、糖、ステロイド、ホルモン、ビタミン、核酸、ワクチン、抗毒素、抗体、タンパク質、ペプチド、ナノ粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、
前記第1および第2のチャンバーが内部に配される、少なくとも1つのハウジング、
をさらに含み、
前記少なくとも1つのハウジングは、前記障壁を露出する窓を含む、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、
前記障壁は、栓子である、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
前記スリーブは、下方ハウジングに連結され、前記栓子は、上方ハウジングにおいて前記第1のチャンバーと第2のチャンバーとの間に配され、前記下方ハウジングおよび上方ハウジングは、スライド可能に、かつ入れ子式に互いに連結され、
前記上方ハウジングに対する前記スリーブおよび下方ハウジングの動きにより、前記栓子が除去され、前記第1および第2の物質が混合される、装置。
【請求項18】
少なくとも2つの物質を混合して混合物を形成し、前記混合物を患者に送達する方法において、
請求項1の装置を提供することであって、前記分配出口はカニューレである、提供することと、
手の圧力下でスリーブを動かし、前記障壁を除去し、前記第1および第2のチャンバーのうち少なくとも一方において前記第1および第2の物質を混合して、混合物を形成することと、
前記カニューレを通して前記混合物を前記患者に注入することと、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、
前記第2の物質は、粉末である、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、
前記第1の物質は、液体である、方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法において、
前記第1のチャンバーは、前記スリーブと前記第2のチャンバーとの間に配される、方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法において、
前記第2のチャンバーは、前記上方ハウジングと前記障壁との間に配される、方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法において、
前記障壁は、ホイル片である、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、
前記障壁は、前記カニューレを通り抜ける連結要素によって前記スリーブに連結される、方法。
【請求項25】
請求項16に記載の方法において、
前記第1および第2の物質のうち一方は、溶媒であり、前記第1および第2の物質のうちもう一方は、グルカゴン、エピネフリン、心臓発作救助試薬、薬剤、固体化合物、粉末化合物、液体化合物、脂質、糖、ステロイド、ホルモン、ビタミン、核酸、ワクチン、抗毒素、抗体、タンパク質、ペプチド、ナノ粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項26】
請求項16に記載の方法において、
前記第1および第2のチャンバーが内部に配される少なくとも1つのハウジングを設け、前記障壁を露出する窓を前記ハウジングに設けることによって、請求項1の前記装置が使用されたかどうか、または手を加えられたかどうかを示すこと、
をさらに含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−519575(P2012−519575A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554124(P2011−554124)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/026670
【国際公開番号】WO2010/104858
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220360)パーデュー・リサーチ・ファウンデーション (1)
【氏名又は名称原語表記】Purdue Research Foundation
【住所又は居所原語表記】3000 Kent Avenue, West Lafayette,IN 47906, United States of America
【Fターム(参考)】