説明

物質分布計測装置

【課題】溶液の化学反応を行うマイクロ流路内の物質の反応分布もしくは物質の濃度分布を検出する装置を提供する。
【解決手段】溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を計測する物質分布計測装置1であって、半導体23上に作製される絶縁体22上に物質感応膜21を作製した物質検出プレート5と、該物質検出プレート5上に溶液の流路12を形成する流路形成部6と、前記溶液の電位を安定させる手段と、前記半導体23側から流路12側にパルスレーザー光9を照射する手段と、前記パルスレーザー光9を物質検出プレート5に対して2次元的に走査させる手段と、パルスレーザー光9を物質検出プレート5に照射することで発生するパルス電磁波の振幅強度を計測する手段と、前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して流路内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段を備え、物質感応膜21が流路12の内壁面の一部を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体と物質感応膜を備える物質分布計測装置において、パルスレーザー光を照射し、該半導体において発生する電磁波を検出することで、溶液中の被検出物質の有無を判別する装置に関するものである。詳しくは、溶液の化学反応を行うマイクロ流路内の物質の反応分布もしくは物質の濃度分布を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、溶液中の物質を検出する装置として電界効果トランジスタを用いたセンサがある。電界効果トランジスタを用いたセンサは、一般的に、1)電界効果トランジスタのゲート電極上に作製された感応膜と、2)ドレイン電極及びソース電極より信号を読み出すセンサ読み出し回路と、3)センサを駆動させる電源と、4)溶液の電位を安定させる参照電極とを備えている。
【0003】
以上のように構成する電界効果トランジスタを用いたセンサにおいては、溶液に含まれる被検出物質が前記感応膜に接触すると、感応膜の触媒作用により被検出物質が分解され、溶液のpHが変化することになる。そして、このpHの変化により変化する電界効果トランジスタ内の半導体の局所電界の電流を前記ドレイン電極、及び、前記ソース電極より信号として検出することとしている。
【0004】
このような電界効果トランジスタを用いたセンサ(センサ素子)を同一基板上にアレイ化し、複数の物質を検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1には、フォトレジストを用いたパターニングにより、50mm×60mmの基板上に、100組のセンサ素子を作製する方法について記されている。
【0006】
特許文献2においては、酵素をFETチャンネル表面(ダイヤモンド表面)に直接固定することにより、酵素の感応性を向上させることができるpチャンネル電界効果トランジスタ及びそれを用いたセンサについて記されている。
【0007】
また、特許文献3においては、パルスレーザー光を用いて、チップ(半導体デバイス)にバイアス電圧を印加することなく、無バイアス下で故障診断を行うことができる半導体デバイスの故障診断方法と装置について記されている。
【0008】
さらに、レーザー光を用いた物質検出装置として、LAPS(Light−Addressable Portentiometric Sensor)が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。このLAPSは、半導体シリコン基板、及びその上に形成された酸化膜及び窒化膜からなるセンサ基板を備え、例えば、このセンサ基板の上に接触させた溶液のpHを測定するセンサとして用いられる。
【0009】
そして、前記半導体シリコン基板と前記センサ基板との界面ではエネルギーバンドに曲がりが生じているが、この曲がりは、前記センサ基板に接している溶液のpHにも依存する。その結果、前記半導体シリコン基板と前記センサ基板との界面に存在する空乏層の幅が変化し、レーザー光を照射したときに流れる電流(光電流)も変化する。
【0010】
以上のように、レーザー光を照射したときに流れる電流(光電流)は、光を照射した場所の空乏層の幅の変化を反映するものである。
【0011】
また、マイクロ流路内の物質を検出する検出装置や検出手法については従来から幾つか検討されている。例えば表面プラズモンを用いた物質の検出装置として、SPR(表面プラズモン)センサによる検出装置が知られている。このSPRセンサは、光を一定角度で流路床面に照射し、全反射した光のスペクトルにより分析を行う手法を用いたものである。
【特許文献1】特開2002−350383号公報
【特許文献2】特開2004−294087号公報
【特許文献3】特開2006−24774号公報
【非特許文献1】T.Yoshinobu他、Electrochimica Acta、第47巻(2001年)pp.259−263
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記特許文献1で開示されるような、センサ素子をアレイ化する方法では、センサ素子ごとに、作用電極、対電極、を備える必要があり、製作工程が煩雑になるという問題点があった。
【0013】
しかも、センサ素子ごとに、信号を読み出すための信号線及び、センサの駆動回路を備える必要があるという問題点があった。
【0014】
前記特許文献2で開示されるような、pチャンネル電界効果トランジスタ及びそれを用いたセンサでは、1つの物質ごとにISFET構造を作製する必要がある。そして、半導体に電圧を付加し、電流を流す必要がある。特に任意の位置での計測が困難であるという問題点があった。
【0015】
前記特許文献3で開示されるような、半導体デバイスの故障診断方法は、半導体デバイスに直接パルスレーザー光を照射して半導体デバイス自身を診断するものである。そのため、半導体デバイス以外のレーザー光に弱い被検出物質、例えば生体物質等に対して類似の方法を適用することは困難である。
【0016】
一方、前記LAPSでは、レーザー光を照射した位置から光電流を取り出す電極までの電流経路における半導体シリコン基板の電気的特性が位置によって異なるため、あらかじめ、信号の校正をする必要があった。
【0017】
また、前記SPRを用いる検出方法では、温度管理や、外部光遮断などを行う必要がある。さらに、光学系を精密に組立てて設定する必要があり、光走査を行うには装置コストが莫大になってしまう。
【0018】
かかる従来の事情に鑑みて、発明者らは、溶液の化学反応を行うマイクロ流路内の物質の反応分布もしくは物質の濃度分布を検出する装置を提供すべく研究開発を行い、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0020】
即ち、請求項1に記載のごとく、
溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を計測する物質分布計測装置であって、
物質検出プレート上に溶液の流路を形成する流路形成部と、
前記溶液の電位を安定させる手段と、
前記流路の一側にパルスレーザー光を照射する手段と、
前記パルスレーザー光を物質検出プレートに対して2次元的に走査させる手段と、
前記パルスレーザー光を前記物質検出プレートに照射することで発生するパルス電磁波の振幅強度を計測する手段と、
前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段を備え、
前記物質感応膜が前記流路の内壁面の一部を構成したものである。
【0021】
また、請求項2に記載のごとく、
溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を計測する物質分布計測装置であって、
半導体上に作製される絶縁体上に物質感応膜を作製した物質検出プレートと、
該物質検出プレート上に溶液の流路を形成する流路形成部と、
前記溶液の電位を安定させる手段と、
前記半導体側から前記流路側にパルスレーザー光を照射する手段と、
前記パルスレーザー光を物質検出プレートに対して2次元的に走査させる手段と、
前記パルスレーザー光を前記物質検出プレートに照射することで発生するパルス電磁波の振幅強度を計測する手段と、
前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段を備え、
前記物質感応膜が前記流路の内壁面の一部を構成したものである。
【0022】
また、請求項3に記載のごとく、
前記流路の内壁面を構成する物質感応膜の面積が、前記流路の内壁面の表面積の4分の1以上であるものである。
【0023】
また、請求項4に記載のごとく、
前記流路の流路幅が流路長の5分の1以下であるものである。
【0024】
また、請求項5に記載のごとく、
前記パルスレーザー光の波長は、300ナノメートル以上、2ミクロン以下の範囲に含まれるものである。
【0025】
また、請求項6に記載のごとく、
前記パルス電磁波に含まれる周波数の成分は、10ギガヘルツから100テラヘルツまでの範囲に含まれるものである。
【0026】
また、請求項7に記載のごとく、
前記パルスレーザー光が、フェムト秒レーザー光であるものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、流路の一部を構成する物質感応膜(計測部)に対応する物質検出プレートにパルスレーザー光を照射することで、照射位置に対応する流路内における被検出物質の量に依存する振幅強度を持ったパルス電磁波を発生させ、その振幅強度を計測することで、被検出物質の有無を検出する定性的な評価や、定量的な評価を行うことができる。
【0028】
したがって、流路中の任意の位置の物質の計測を高分解能(1μm以下)で行うことが可能である。これにより、流路全体の連続的な計測を可能とし、溶液中の物質の反応分布もしくは物質の濃度分布を調べることが可能となる。
【0029】
また、マイクロ流路、TAS(Total Analysis System)内の溶液反応、濃度分布を非接触、リアルタイムで検出可能となる。特にパルスレーザー光としてフェムト秒レーザー光を使用することで、物質の反応をリアルタイムで観測可能となる。
【0030】
さらに、パルスレーザー照射位置より発生するパルス電磁波を計測するために、流路上のどの位置について計測を行う場合であっても、前記LAPSのように校正を行うことなしに、高精度かつ定量的な計測が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の最良の実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は本発明に係る物質分布計測装置の概略図、図2は本発明に係る物質検出プレートのエネルギーバンド分布の模式図、図3は本実施形態の物質検出プレートの概略図、図4は流路形成部及び流路を示す斜視図、図5は同じく断面図、図6は物質分布計測装置の測定エリアを示す模式図であり、(a)は図5のX矢視図、(b)は(a)のY−Y断面矢視図、図7はpH濃度分布の測定結果を示す図であり、(a)は撹拌前のpH濃度分布の測定結果を示す図、(b)は撹拌後のpH濃度分布の測定結果を示す図である。図8はpH濃度分布が変化した場合の測定結果を示す図であり、(a)は流路内が空気のみの測定結果、(b)はpH2近傍の測定結果、(c)はpH11近傍の測定結果である。
【0032】
図1に、本発明の物質分布計測装置の実施例を示す。
この物質分布計測装置1では、半導体上に物質感応膜を作製した物質検出プレート5と、被検出物質を含む溶液を流す流路12を形成する流路形成部6と、溶液の電位を安定させる手段(後述する参照電極26)と、前記物質検出プレート5にパルスレーザー光を前記絶縁体の反対側である前記半導体側から前記流路12に対応する位置に照射することで、照射位置における被検出物質の量に依存する振幅強度を持ったパルス電磁波を発生させる手段(パルスレーザー光源2)と、前記パルスレーザー光を2次元的に走査して照射する手段(走査台7、パルスレーザー光源2)と、前記パルス電磁波の振幅強度を計測する手段(検出・変換装置4)と、前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路12内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段(制御・解析装置8)を備える構成とするものである。特に本実施例においては、後述する物質感応膜21が、前記流路形成部6内の流路12の内壁面の一部(本実施例では、流路12内壁面の底部)を構成している。以下、原理、及び、装置構成の詳細について説明する。
なお、本実施例においては前記流路12の内壁面において、物質検出プレート5側に位置する部分を便宜上底部とする。
【0033】
はじめにレーザーパルス照射による電磁波の発生原理を説明する。半導体中の電場Eが存在する場所に、バンドギャップよりも大きなエネルギーをもつレーザー光を照射すると、光励起による電子・正孔対が生成し、その電子・正孔対が電場Eによって加速されるために電流が発生する。レーザー光が連続光の場合は、定常的な電流が流れるが、レーザー光がパルス光の場合には、励起された電子・正孔対はある一定の時間で緩和し、電流も流れなくなるため、光パルスの幅と緩和時間に依存して、パルス状の電流が流れる。古典電磁気学のMaxwellの方程式から導出される下記(1)式によれば、半導体に流れる電流に時間変化が発生した場合、該半導体より電磁波が放射される。
【0034】
【数1】

【0035】
上記(1)式において、Eemissionは、電磁波の電界ベクトル、Jは、光電流密度ベクトル、nは、光励起された電子・正孔対の密度、eは、素電荷量、vは、光が照射された位置における半導体中の電場Elocalによって加速された電子・正孔対のドリフト速度、μは、電荷の移動度である。
【0036】
(1)式からわかるように、発生する電磁波の振幅強度は、光が照射された位置における半導体中の電場Elocalに比例する。
【0037】
次に、溶液中の被検出物質が半導体上に作製される物質検出プレート5の表面に存在した場合に、パルスレーザー光の照射によって前記半導体から発生される前記パルス電磁波の振幅強度が変化する理由を説明する。
【0038】
まず、特定の被検出物質に感応する物質感応膜に、被検出物質を含む溶液が接すると、溶液の水素イオン濃度が変化する。すなわち、物質感応膜に接する溶液のpHが変化する。
【0039】
例えば、ウレアーゼ(酵素)を含む物質感応膜では、触媒作用により、尿素が加水分解され、アンモニアが発生し、pHが上昇することが知られている。
【0040】
図2は、物質検出プレートのエネルギーバンド分布の模式図であり、図中のECは伝導帯であり、EVは価電子帯である。絶縁体22と半導体23の境界には、空乏層が形成される。空乏層とは、キャリアが存在しない領域であり、該空乏層には局所電界Eが形成されている。したがって、外部から電圧を印加しなくても、空乏層には定常的に電界が存在していることになる。この空乏層に光を照射し、電子・正孔対を生成すると、(1)式にしたがって、電磁波が発生する。
【0041】
ここで、局所電界Eの向き及び大きさは、絶縁体22と半導体23の境界の状態や、半導体の特性によって変わることがある。しかしながら、電磁波発生の原理において特に重要な点は、局所電界Eが形成されていることである。
【0042】
そして、図2に示すごとく、溶液中の水素イオン濃度(溶液のpH)が変化すると、物質感応膜21に吸着する水素イオンと水酸基イオンの密度が変化し、物質感応膜21の表面の電荷が変化することで、絶縁体22と半導体23の境界に形成される空乏層の局所電界Eも変化し、局所電荷Eに比例する前記パルス電磁波の振幅強度も変化することになる。
【0043】
以上のように、パルスレーザー光を照射することにより発生する電磁波の振幅強度を直接計測することで、被検出物質ごとに信号を読み出す電極を作製することなく被検出物質を検出することができることになる。
【0044】
以上の原理を用い、図1に示す装置構成によって、被検出物質の検出が行われる。
図1は、本実施例の物質分布計測装置の概略図である。この図に示すように、本実施例の物質分布計測装置1は、照射装置、検出・変換装置4、及び制御・解析装置8を備える。
【0045】
図1において照射装置は、走査台7、パルスレーザー光源2、及び、集光装置3からなり、物質検出プレート5の特定の位置に所定の波長を有するパルスレーザー光9を照射する機能を有する。
【0046】
さらに、照射装置は、パルスレーザー光9を照射して2次元的に走査する手段を有する。つまり、走査する手段は、前記走査台7において、図示しない駆動装置を用いて前記物質検出プレート5及び流路形成部6を走査台7(ステージ)上で往復移動させつつ、パルスレーザー光9を前記物質検出プレート5に向けて照射する機能を有している。
【0047】
また、このパルスレーザー光9は、図4に示すごとく、流路12の底部を構成する物質感応膜21の位置に対応する半導体23に対して照射されるものであり(流路形成部6の一側面部に位置する流路12に対して照射されるもの)、前記走査台7にて物質検出プレート5、及び、該物質検出プレート5上に密着して積層された流路形成部6の全体を動かすことによって、パルスレーザー光9が照射される位置に、流路12の底部の物質感応膜21に対応する半導体23を移動して、半導体23のレーザー光照射面が走査されるようにし、パルスレーザー光9を照射すると半導体23のレーザー光照射位置から、連続的に、パルス電磁波10を発生させることとしている。
【0048】
なお、走査する構成はこの実施例の構成に限定されず、図示しない揺動または回転するミラー等により、パルスレーザー光9を物質検出プレート5の上で2次元的に走査したり、パルスレーザー光源2を揺動したりして照射してもよい。
【0049】
また、図1に示すごとく、本実施例では、パルスレーザー光9とパルス電磁波10の経路によってなす面を略水平面、即ち、図1は上面視の構成であり、この構成を側面から見た場合に、前記パルスレーザー光9とパルス電磁波10が略水平面をなすような配置構成としているが、各装置の形状及び固定方法によって適宜設定することが望ましく、前記略水平面を構成する必要はない。また、流路形成部6が有する流路12の一側(本実施例では流路12の底部側)にパルスレーザー光9を照射する構成としている。
【0050】
前記パルスレーザー光9の物質検出プレート5への入射角は、パルスレーザー光9の有する波長が、物質検出プレート5の半導体へ最も吸収される角度とすることが好ましい。ただし、各装置の形状及び固定方法によっては、この角度に限定する必要はなく、特に限定されるものではない。
【0051】
前記パルスレーザー光源2は、パルスレーザー光9を発生可能なモード同期チタンサファイアレーザ、又はフェムト秒ファイバーレーザであるのがよい。
また、このパルスレーザー光9の波長は、300ナノメートル(300nm=0.3μm)以上、2ミクロン(2μm)以下の範囲に含まれるものであり、時間平均のエネルギーが0.1mW以上、10W以下であり、パルス幅が1フェムト秒(1fs=0.001ps)以上、10ピコ秒(10ps)以下であるのがよい。
すなわち、電磁波の励起に際しては、光源として時間の幅の小さなパルスレーザー光を用いることにより、半導体及び溶液に大きな影響を及ぼさない状態で、電磁波の励起ができる。また、特にパルスレーザー光としてフェムト秒レーザー光を使用することで、高い時間分解能による時間分解計測が可能となり、物質の反応をリアルタイムで観測可能となる。なお、半導体及び溶液に熱的影響を及ぼさない最大光パルス幅は、約10ピコ秒と見積ることができる。また、フェムト秒レーザーを使用することで、微小量の溶液であっても、レーザーによる加熱の影響を最小限に抑えることができ、試料の熱破壊を抑制できるという効果がある。
【0052】
図1において検出・変換装置4は、例えば、電磁波検出ボローメーター、又は、半導体光スイッチであり、パルスレーザー光9の照射位置から放射されるパルス電磁波10を検出して、電磁波の電場振幅の時間波形に対応した時間的に変化する電圧信号に変換するものである。また、前記パルス電磁波10に含まれる周波数の成分は、10ギガヘルツから100テラヘルツまでの範囲に含まれることとし、これにより、一般的な構成の検出・変換装置4の利用が可能となる。また、本発明に係る物質分布計測装置1を構成する上で、利用するパルス電磁波10としては、ギガヘルツ領域よりもテラヘルツ領域が好ましい。テラヘルツ領域を利用する場合は、ギガヘルツ領域を利用する場合とは異なり、ミラーやレンズ等を使用した光学的な手法により、電磁波を検出器に容易に導くことが可能となる。一方、テラヘルツ領域よりも高周波領域は、いわゆる光になるが、光を利用する場合は、周囲の光と信号の光を区別する手段を備える必要があり、装置が複雑になるため光のようなテラヘルツ領域よりも高周波の電磁波よりもテラヘルツ領域の電磁波を利用することが好ましい。
【0053】
制御・解析装置8は、前記検出・変換装置4で変換した電圧信号から、被検出物質の有無の検出(定性的な測定)、被検出物質の定量的な測定、並びに、被検出物質の反応分布及び濃度分布といった解析を行うものである。また、本実施例では、制御・解析装置8は、本明細書中に説明する制御や解析の実行を可能とするコンピュータであり、走査台7、検出・変換装置4、及び、パルスレーザー光源2の制御も併せて行うものである。
【0054】
図3は、前記物質検出プレート5の概要図である。物質検出プレート5は、流路12の底部を形成する物質感応膜21と絶縁体22と半導体23と透明基板24とが備えられる。また、物質検出プレート5及び流路形成部6で測定プレート20を構成している。
【0055】
尚、物質感応膜21は、溶液のpHのみを計測する場合は、必要としない。
【0056】
また、前記物質感応膜21として、酵素を固定化した膜を備えることにより、この酵素と反応する被検出物質が溶液中に存在する場合には、酵素と被検出物質の反応によりpHが変化し、当該物質感応膜21の存在する位置から発生するパルス電磁波10の振幅強度が変化する。この振幅強度の変化を捉えることによって、被検出物質を検出できることになる。このように、物質感応膜21を酵素にて構成することにより、物質検出プレート5にて酵素反応による分布の検出を行うことが可能となる。具体的には、物質感応膜21は光架橋剤に酵素を添加して、流路12の底部に塗布することにより構成する。または、酵素を含有したシートを流路12の底部に貼り付ける。
【0057】
また、前記物質感応膜21として、抗原を固定化した膜を備えることにより、この抗原と反応する被検出物質(抗体)が溶液中に存在する場合には、抗原と被検出物質(抗体)の反応により感応膜表面の電荷が変化し、当該物質感応膜21の存在する位置から発生するパルス電磁波10の振幅強度が変化する。この変化した振幅強度の(周波数に対する)値によって、被検出物質(抗体)を検出できることになる。このように、物質感応膜21を抗原にて構成することにより、これに対応する抗体の検出を行うことが可能となり、物質分布計測装置1を、いわゆる生物センサとして利用可能となる。
【0058】
また、流路12の底部にある物質感応膜21の大きさ(前記半導体23に対する投影面積)は、前記パルスレーザー光9の照射範囲に対応して設計される。即ち、パルスレーザー光9の照射範囲よりも広くなるように、物質感応膜21の大きさが設計される(本実施形態においては、物質感応膜21の大きさは15mm×15mm程度。図6で示す物質感応膜21の大きさが測定エリアとなる)。また、本実施形態の物質感応膜21上に設ける流路12の大きさとしては、流路幅3mm程度、流路高さ2mm程度であり、流路長は18mm程度(物質感応膜21上の流路長)である。具体的には、前記流路12の内壁面を構成する物質感応膜21の面積が、前記流路12の内壁面の表面積の4分の1以上であることが好ましく、表面積の4分の1未満となる場合、反応分布を検出する面積が不足してしまう場合があるからである。また、前記流路12の流路幅が流路長の5分の1以下であることが好ましく、流路長の5分の1より大きい場合、熱容量が大きくなり、急激な加熱・冷却が困難になり、マイクロ流路を用いて反応を行う有用性がなくなるからである。
【0059】
また、図3に示すごとく、前記半導体23には絶縁体22の膜が形成され、該絶縁体22上に、かつ、流路12の底部にあたる部分に前記物質感応膜21が配置される。本実施例では、絶縁体22としては酸化シリコン,窒化シリコン等が用いられる。前記絶縁体22の厚さを約270ナノメートル、半導体23の厚さを約150ナノメートルとしたが、半導体23の厚さは、パルスレーザー光9の波長と半導体23の種類によって決定される光侵入長と同等の大きさとするのが望ましい。尚、光侵入長は、半導体23についての光吸収係数の逆数である。例えば、パルスレーザー光9の波長が790ナノメートルであり、半導体23の種類が高抵抗のシリコンである場合、半導体23の厚さは約2ミクロン程度とすることで、効率よくパルス電磁波10を発生させることができる。
【0060】
また、図3に示すごとく、前記透明基板24は、半導体23と絶縁体22と物質感応膜21を作製するときに必要である。さらに、物質検出プレート5の機械強度を保つためにも必要である。実施例では、透明基板24としてサファイアが用いられている。また、図3及び図4に示すように、前記透明基板24上に半導体23が配置され、その半導体23上に前記絶縁体22が配置され、その絶縁体22上に前記物質感応膜21が配置される。
【0061】
また、図3に示すごとく、前記パルスレーザー光9は、前記物質検出プレート5の前記物質感応膜21が作製される面の反対側から照射されるものである。このために、物質検出プレート5に設けられる半導体として、前記パルスレーザー光9を透過する絶縁体基板(透明基板24)上に、半導体膜(半導体23)を作製したものが使用される。
【0062】
また、図3に示すごとく、リード線25が半導体23と電気的に接触されており、必要に応じて半導体23に電圧を印加することができるようになっている。これにより、半導体23内の空乏層の幅を制御することができる。
【0063】
また、前記絶縁体22の上に窒化シリコンなどの保護膜を作製することによれば、溶液中のイオンが絶縁体22の中へ浸透し、検出信号が不安定になることを防ぐことができる。
【0064】
また、図4及び図5に示すごとく、前記物質検出プレート5には、前記物質感応膜21上に、プレート状の流路形成部6が一体的に積層される。この流路形成部6には、内部に側面視クランク状の流路12を有しており、該流路12は断面視四角状である(図5参照)。流路12の内壁面の一部である底部は物質感応膜21の表面により形成されている。また、物質感応膜21と流路形成部6との界面Sは、流路12の底部を形成している物質感応膜21部分を除き、密着してシールされており、また、流路形成部6と絶縁体22との界面も同様にシールされており、流路12内から界面Sに溶液が侵入しないように処理されている。すなわち、溶液が流路12を流れる、もしくは流路12内に貯留される場合に、溶液は、流路12の底部である物質感応膜21の表面に接触するように構成している。
なお、流路12の形状としては特にクランク状に限定するものではなく、溶液反応の種類等により適宜変更してもかまわない。例えば、流路形状としては直線状、蛇行状、Y字状等などがあげられる。
また、流路12の近傍に加熱もしくは冷却手段を設けて流路形成部6を構成することも可能である。
【0065】
また、図4に示すごとく、被検出物質の含まれた溶液は、溶液流入口32より注入され、検査後に不要となった溶液は、溶液排出口33より排出される。
【0066】
また、溶液の電位を安定させる手段である参照電極26は、図6に示すように、溶液流入口32に接続される溶液供給管の中途部の所定位置に介装される。この参照電極26は、塩化カリウム飽和溶液の封入されたガラス管に銀・塩化銀電極が入っている構造であり、飽和塩化カリウム溶液に浸された銀・塩化銀電極である。そして、参照電極26と前述したリード線25の間には電圧源が設置されており、電圧を印加することが可能であり、前記被検出物質を含む溶液の電位を安定させる手段として機能するものである。
【0067】
以上のように物質分布計測装置1を構成し、溶液に含まれる被検出物質の測定を次のようにして行う。
図1に示すごとく、測定プレート20を、走査台7上の規定の位置に設置し、前記制御・解析装置8の制御によって、パルスレーザー光9の照射位置と、流路12の底部である前記物質感応膜21の所定位置(スタート位置)が一致するように、走査台7上において、測定プレート20を移動する。
【0068】
そして、制御・解析装置8は、前記パルスレーザー光源2により、前記物質検出プレート5の半導体23における、前記絶縁体22とは反対側であって、かつ、前記物質感応膜21に対応する位置に、パルスレーザー光9を照射させる。このパルスレーザー光9の照射によって生じるパルス電磁波10が検出・変換装置4によって検出され、制御・解析装置8では、その検出結果を取り込んで、パルス電磁波10の振幅強度から、物質感応膜21での反応の有無や、反応の度合いが検出される。
【0069】
そして、制御・解析装置8は、物質感応膜21についてのパルス電磁波10の検出を継続しつつ、前記走査台7を制御して、測定プレート20を移動させ、流路12内の物質感応膜21に対応する半導体23にパルスレーザー光9の照射を行う。このように、物質分布計測装置1においては、前記パルスレーザー光9を2次元的に走査して照射する手段(走査台7、パルスレーザー光源2)を備え、前記パルスレーザー光を2次元的に走査して照射する手段(走査台7、パルスレーザー光源2)によって、前記パルスレーザー光を連続的に前記物質感応膜21(半導体23)に対して照射し、前記照射によって発生されるパルス電磁波の振幅強度を、連続して、計測するものである。
【0070】
そして、制御・解析装置8は、前記パルス電磁波10の振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路12内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段として機能するものであり、各物質感応膜21での反応の有無(電磁波振幅強度の変化の有無)や、反応の度合い(電磁波振幅強度の変化の量)を検出し、これらに基づいて溶液中の反応分布もしくは濃度分布を検出して被検出物質の解析を行うものである。
【0071】
こうして、本実施例に係る物質分布計測装置1を用いて非検出物質を測定して例を図7に示す。図7は、クランク状の流路12に溶液を貯留し、溶液中のpHの濃度分布を2次元マッピングしたものである。図7(a)に示すクランク形状の濃度マップの左側はpHが2で在る領域であり、右側はpHが12である領域となっている。この状態からしばらく放置し、溶液の撹拌を進める(撹拌後)と、図7(b)に示すように高濃度(高pH)の領域が左右に拡がっていくことが観測できる。
また、流路12に(a)空気のみ、(b)pH2近傍の溶液、(c)pH11近傍の溶液、をそれぞれ供給して、本発明である物質分布計測装置1を用いて濃度分布の計測を行ったところ、図8に示すように、各水素イオン濃度に応じて変化し、定量的に測定可能であることが確認できた。このように、本発明である物質分布計測装置1を用いて、流路12内の溶液の反応分布、濃度分布を定量的もしくは定性的に、かつ、連続的に計測することが可能となる。
【0072】
そして、このようにして行われる被検出物質の解析については、前述のように、物質感応膜21での反応の有無により、パルス電磁波10の振幅強度が変化することから、このパルス電磁波10の強度変化の有無から、被検出物質の存在の有無を検出し、流路12周辺部における二次元のマッピングを行なうことで、溶液反応分布の解析が行えることになる。
【0073】
また、前述のように、前記物質感応膜21による被検出物質の分解によって溶液のpHが変化し、これによって、発生するパルス電磁波10の振幅強度が変化することから、このパルス電磁波10の強度変化の大小から、被検出物質の濃度を測定し、流路12周辺部における二次元のマッピングを行なうことで、溶液濃度分布の解析が行えることになる。
【0074】
また、この溶液濃度分布の解析につき、パルスレーザー光9の照射時間と被検出物質の濃度変化との相関を解析することによれば、物質感応膜21における被検出物質の分解の速度や、その速度変化の挙動についての解析を行うことも可能となる。例えば、反応開始時の分解速度が非常に遅いが、一定の分解が進んだ後は、分解速度が急激に上昇するといった挙動を把握するといった反応過程を分析することも可能となり、また、その反応過程をパルス電磁波10の波長強度からリアルタイムに分析することが可能となる。
【0075】
さらに、以上の一連の解析においては、測定プレート20を一度セットした後は、走査台7にて測定プレート20を移動させて、連続的にパルスレーザー光9を照射することで、流路12内の底部全域の被検出物質についての解析を実施することができ、作業性がよく、短時間で、効率よく多くの解析データを得ることが可能となる。また、被検出物質と物質感応膜21との反応を直接検出することができるので、ラベルフリーの物質検出が可能となる。
【0076】
こうして、溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を計測する物質分布計測装置1であって、半導体23上に作製される絶縁体22上に物質感応膜21を作製した物質検出プレート5と、該物質検出プレート5上に溶液の流路12を形成する流路形成部6と、前記溶液の電位を安定させる手段と、前記半導体23側から前記流路12側にパルスレーザー光9を照射する手段と、前記パルスレーザー光9を物質検出プレート5に対して2次元的に走査させる手段と、前記パルスレーザー光9を前記物質検出プレート5に照射することで発生するパルス電磁波の振幅強度を計測する手段と、前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路12内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段を備え、前記物質感応膜21が前記流路12の内壁面の一部を構成したことにより、流路12中の任意の位置の物質の計測を高分解能(1μm以下)で行うことが可能である。これにより、流路12全体の連続的な計測(計測値の二次元のマッピング)を可能とし、物質の反応分布もしくは物質の濃度分布の解析データを短時間で効率よく得ることが可能となる。また、マイクロ流路、TAS(Total Analysis System)内の溶液反応、濃度分布を非破壊、非接触、リアルタイムで検出可能となる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、生体物質間の相互作用反応(抗原−抗体、酵素反応、アレルギー反応等)を高スループットで検出する装置を実現することができる。また、利用分野として、臨床検査、テーラーメイド医療、医学研究、医薬品開発、環境汚染物質評価、食品安全管理、農薬検査などの分野において、幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る物質分布計測装置の概略図である。
【図2】本発明に係る物質検出プレートのエネルギーバンド分布の模式図である。
【図3】本実施形態の物質検出プレートの概略図である。
【図4】流路形成部及び流路を示す斜視図である。
【図5】同じく断面図である。
【図6】物質分布計測装置の測定エリアを示す模式図である。
【図7】pH濃度分布の測定結果を示す図である。
【図8】pH濃度分布が変化した場合の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 物質分布計測装置
2 パルスレーザー光源
3 集光装置
4 検出・変換装置
5 物質検出プレート
6 流路形成部
7 走査台
8 制御・解析装置
9 パルスレーザー光
10 パルス電磁波
11 制御信号線
12 流路
21 物質感応膜
22 絶縁体
23 半導体
24 透明基板
25 リード線
26 参照電極
32 溶液流入口
33 溶液排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を計測する物質分布計測装置であって、
物質検出プレート上に溶液の流路を形成する流路形成部と、
前記溶液の電位を安定させる手段と、
前記流路の一側にパルスレーザー光を照射する手段と、
前記パルスレーザー光を物質検出プレートに対して2次元的に走査させる手段と、
前記パルスレーザー光を前記物質検出プレートに照射することで発生するパルス電磁波の振幅強度を計測する手段と、
前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段を備え、
前記物質感応膜が前記流路の内壁面の一部を構成したことを特徴とする物質分布計測装置。
【請求項2】
溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を計測する物質分布計測装置であって、
半導体上に作製される絶縁体上に物質感応膜を作製した物質検出プレートと、
該物質検出プレート上に溶液の流路を形成する流路形成部と、
前記溶液の電位を安定させる手段と、
前記半導体側から前記流路側にパルスレーザー光を照射する手段と、
前記パルスレーザー光を物質検出プレートに対して2次元的に走査させる手段と、
前記パルスレーザー光を前記物質検出プレートに照射することで発生するパルス電磁波の振幅強度を計測する手段と、
前記振幅強度より、被検出物質を定性的もしくは定量的に計測して前記流路内の溶液中の物質の反応分布もしくは濃度分布を得る手段を備え、
前記物質感応膜が前記流路の内壁面の一部を構成したことを特徴とする物質分布計測装置。
【請求項3】
前記流路の内壁面を構成する物質感応膜の面積が、前記流路の内壁面の表面積の4分の1以上であることを特徴とする請求項2に記載の物質分布計測装置。
【請求項4】
前記流路の流路幅が流路長の5分の1以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の物質分布計測装置。
【請求項5】
前記パルスレーザー光の波長は、300ナノメートル以上、2ミクロン以下の範囲に含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の物質分布計測装置。
【請求項6】
前記パルス電磁波に含まれる周波数の成分は、10ギガヘルツから100テラヘルツまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の物質分布計測装置。
【請求項7】
前記パルスレーザー光が、フェムト秒レーザー光であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の物質分布計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−97933(P2009−97933A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268413(P2007−268413)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【特許番号】特許第4183735号(P4183735)
【特許公報発行日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】