説明

物質成分検出装置

【課題】簡単な構成で、容易に皮膚ガス中の成分を検出可能な物質成分検出装置を提供する。
【解決手段】物質成分検出装置は、開口部21Bが測定対象の皮膚により閉塞されることで閉空間を構成する凹溝21と、凹溝21の内部に設けられ、複数の突起を有する突起群を備えたセンサー基板22と、突起群に向かって光を射出する光源部23と、突起群で発生したラマン散乱光を検出する受光部24と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚から発散された皮膚ガス中の物質成分(標的物質)を検出する物質成分検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の皮膚から発散された皮膚ガスに含まれる物質成分を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)
この特許文献1に記載のアルコール濃度測定装置(物質成分検出装置)は、皮膚に密着したカプセルにより、皮膚から分泌された分泌物を採取し、採取した分泌物を、ガスクロマトグラフを用いて分析している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−239309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の物質成分検出装置では、カプセルで採取した分泌物をガスクロマトグラフに導入する導入管などが必要となる。また、アルコール成分を検出するために、大型で高価なガスクロマトグラフを用いるため、装置コストも高くなり、大型化してしまうという課題がある。
【0005】
本発明は上述のような課題に鑑みて、簡単な構成で、容易に皮膚ガス中の成分を検出可能な物質成分検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物質成分検出装置は、少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部が測定対象の皮膚により閉塞されることで内部が閉空間となる閉空間構成部と、前記閉空間構成部の前記閉空間内に設けられ、複数の金属突起を有する突起群を備えたセンサー基板と、前記突起群に向かって光を射出する入射光学系と、前記突起群で発生したラマン散乱光を検出する受光部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、閉空間構成部の開口部を皮膚で閉塞することで、閉空間構成部の内部が閉空間となる。そして、この閉空間内には、複数の金属突起により構成された突起群を備えたセンサー基板が設けられ、さらに、このセンサー基板の突起群に対して光を入射する入射光学系が設けられている。このようなセンサー基板では、突起群の各金属突起間において、入射光学系から光が入射すると、増強電場が形成される。そして、この増強電場内に標的物質が入り込むと、標的物質の振動数の情報を含んだラマン散乱光が生じ、生じたラマン散乱光が増強電場により増強され、表面増強ラマン散乱光となる。そして、この表面増強ラマン散乱光を受光部で検出することで、ラマンスペクトルを取得することができ、標的物質の検出および濃度測定を実施することができる。
このような物質成分検出装置では、例えば従来のクロマトグラフ等の大型装置に比べて、小さいセンサーチップにより構成することができ、装置の小型化を図ることができる。また、測定対象の皮膚に閉空間構成部の開口部を直接接触させる構成であるため、例えば導入管等により皮膚ガスを検出装置に送る必要がなく、また、バッグ等により別途皮膚ガスを採取する必要もなく、例えば物質成分検出装置を測定対象の皮膚に直接装着したままで、皮膚ガスの成分分析を実施することができる。
【0008】
本発明の物質成分検出装置では、前記閉空間構成部は、前記開口部に沿って、前記皮膚と密着して前記閉空間を密閉する密閉部材を備えることが好ましい。
【0009】
この発明では、閉空間構成部の開口部に沿って、密閉部材が設けられている。このような構成では、開口部を皮膚で閉塞する際に、密閉部材に皮膚が密着することで、より確実に閉空間内の皮膚ガスの漏出を防止することができ、皮膚ガスに含まれる標的物質の検出精度を向上させることができる。
【0010】
ここで、本発明の物質成分検出装置では、前記密閉部材は、弾性部材であることが好ましい。
この発明では、前記密閉部材は、弾性部材により構成されている。このような弾性部材により密閉部材を構成する場合、皮膚を密着させた際、弾性部材が皮膚の凹凸に応じて変形する。したがって、例えば掌等、皺がある部分に開口部を押し当てる場合であっても、皺による隙間を弾性部材により閉塞することができ、確実に閉空間を密閉することができる。
【0011】
本発明の物質成分検出装置では、前記皮膚を前記閉空間側に押圧する押圧手段を備えることが好ましい。
【0012】
この発明では、押圧手段が設けられているため、例えば、利用者が、手で物質成分検出装置を皮膚側に押圧して固定する必要がなく、容易に物質成分検出装置を、測定対象部位の皮膚に固定することができる。また、押圧により皮膚と開口部との隙間をなくすことができ、皮膚ガスの漏出を防止できる。
【0013】
本発明の物質成分検出装置では、前記センサー基板は、前記開口部の開口端縁を含む面である開口面に対して交差する角度に設けられたことが好ましい。
この発明では、センサー基板は、開口面に対して交差する角度に設けられている。
このような構成では、センサー基板に対して入射光学系から入射される光の入射方向を、センサー基板の基板面の法線方向に近づけることができる。
つまり、センサー基板が開口面に対して平行に設けられており、突起群が開口部に対向する場合、入射光学系や受光部を、センサー基板の突起群に対向する面に設けることができないので、センサー基板の側方から斜めに入射光学系からの光を入射させる必要がある。このような構成では、センサー基板に対する入射光学系からの光の入射角度が小さく、光量損失が大きくなってしまい、増強電場の強さも弱まり、信号強度の強いラマン散乱光が得られない場合がある。
これに対して、本発明のように、センサー基板が開口面に対して交差する角度に設けられる場合では、入射光学系からセンサー基板に入射する光の入射角度を大きくでき、光損失を抑制することができる。したがって、強度の高いラマン散乱光を取得することができる。
【0014】
ここで、本発明の物質成分検出装置では、前記センサー基板は、前記開口面に対して45度以上90度以下の角度で設けられたことが好ましい。
センサー基板の突起群に対して入射させる光源部から光の入射角度としては、90度であることが好ましい。これは、上記のように、光量損失を少なくすることで、増強電場の強さが入射光の強度により強くなるためであり、光の入射角度が90度である場合、光量損失を最小にすることができる。
しかしながら、センサー基板が、開口面に対して0度以上45度未満である場合は、光源部の光をセンサー基板に対して90度に光を入射させることが困難となる。別途ミラー等の光学部材を用いることで、センサー基板に対して直交する方向から光を入射させることはできるが、この場合、光学部材を設ける必要があり、構成が複雑化し、装置も大型化してしまう。
これに対して、本発明では、センサー基板が、開口面に対して45度以上90度以下に形成されている。このため、ミラー等の光学部材を用いることなく、容易にセンサー基板に対して直交する角度から入射光学系からの光を入射させることができ、光量損失を抑えることができ、増強電場を強めることができる。
なお、ここで述べる直交とは、センサー基板の法線方向に対して、光の入射角度が僅かに傾斜している場合も含むものである。この傾斜角度の範囲としては、入射光学系の光の光量損失が、予め設定された規定値以下となるものであればよい。
【0015】
また、本発明の物質成分検出装置では、前記センサー基板は、前記開口部の開口端縁を含む面である開口面に対して平行に設けられる構成としてもよい。
この発明では、センサー基板は、開口面に対して平行に設けられている。このような構成では、閉空間構成部における開口部からの深さ寸法を小さくでき、物質成分検出装置をより小型にすることができる。
【0016】
ここで、本発明の物質成分検出装置では、前記センサー基板は、前記突起群が前記開口面に対向する状態に設けられることが好ましい。
この発明では、開口部に対してセンサー基板の突出部が対向して設けられ、かつ前述のように、センサー基板が開口部の開口面に平行に設けられている。このような構成では、開口部を閉塞した皮膚と、センサー基板の突起群とが近接し、かつ、皮膚と、突起群を構成する各金属突起との距離が一様となる。したがって、皮膚から発散された皮膚ガスが突起群の各金属突起間に入り込み易くなり、かつ、突起群の各金属突起間に形成された各増強電場に対して、一様に皮膚ガスを入り込ませることができる。これにより、皮膚ガス中の標的物質の検出精度をより向上させることができる。
【0017】
一方、本発明の物質成分検出装置では、前記閉空間構成部は、前記開口部に対向する底面部を備え、前記センサー基板は、前記突起群が前記底面部に対向する状態で設けられ、前記センサー基板および前記底面部の間には、前記皮膚から発散された皮膚ガスが通過可能なギャップが設けられ、前記入射光学系および前記受光部は、前記底面部に設けられた構成としてもよい。
【0018】
この発明では、上述のように、センサー基板が開口部の開口面に対して平行に設けられるため、物質成分検出装置の厚み寸法を抑えることができ、小型化を促進できる。これに加え、底面部に入射光学系、および受光部があり、入射光学系からセンサー基板の突起群に対して直交する光を入射させることが可能であるため、光量損失を抑制でき、増強電場を強めることができる。したがって、ラマン散乱光の強度も強くなるため、より検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る第一実施形態の物質成分検出装置を示す概略図である。
【図2】第一実施形態のセンサー本体20の概略構成を示す断面図である。
【図3】第一実施形態のセンサー本体のセンサー基板22近傍を拡大した拡大図である。
【図4】第一実施形態の物質成分検出装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第二実施形態のセンサー本体の概略断面図である。
【図6】第三実施形態のセンサー本体の概略断面図である。
【図7】第四実施形態のセンサー本体の概略断面図である。
【図8】その他の実施形態における物質成分検出装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態の物質成分検出装置について、図面に基づいて説明する。
〔1.物質成分検出装置の全体構成〕
図1は、本発明に係る第一実施形態の物質成分検出装置1を示す概略図である。
この物質成分検出装置1は、測定対象の指に装着されることで、指の皮膚表面から発散された皮膚ガスから、皮膚ガスに含まれる標的物質を検出する装置であり、例えば、医療機器や、飲酒検知装置として用いることができる。
なお、本実施形態において、指に対して装着可能な物質成分検出装置1を例示するがこれに限定されず、例えば、掌や腕等、人体のその他の部位に装着するものであってもよい。また、人体に限らず、ペットや家畜等の動物の皮膚に装着して、動物の皮膚から発散された皮膚ガス中の成分を検出する装置としても適用できる。
【0021】
この物質成分検出装置1は、図1に示すように、基部10と、基部10に設けられたセンサー本体20と、センサー本体20を制御する制御部30(図4参照)と、を備えている。
【0022】
基部10は、指が接触する第一面11側に、センサー本体20に対して指を位置決めするための位置決め凹部12を備えている。位置決め凹部12は、図1に示すように、例えば一般的な大人の人差し指に対応した幅寸法に形成されている。
また、位置決め凹部12の底面12Aのうち、測定対象者が位置決め凹部12に対して指を載置した際、指の腹部分が接触する領域に、センサー本体20が設けられている。
【0023】
さらに、指とセンサー本体20との密着を確実にするため、基部10には、バンド12B(本発明の押圧手段を構成)が設けられていてもよい。このバンド12Bは、例えばゴムバンド等、弾性を有するもので形成され、位置決め凹部12に位置決めされた指をセンサー本体20側に押圧する。
なお、バンド12Bとしては、弾性を有するゴムバンドに限られず、例えばマジックテープ(登録商標)等の着脱部を備え、指をセンサー本体20側に押圧して締め付ける構成としてもよい。さらには、例えばクリップ等により指を挟んでセンサー本体20側に押圧するものであってもよい。
【0024】
〔2.センサー本体の構成〕
図2は、第一実施形態のセンサー本体20の概略構成を示す断面図であり、図3は、センサー本体のセンサー基板22近傍を拡大した拡大図である。
センサー本体20は、図2に示すように、凹溝21(本発明の閉空間構成部を構成)と、凹溝21の内部に設けられたセンサー基板22と、センサー基板22に対してレーザー光を射出する光源部23(本発明の入射光学系を構成)と、センサー基板22で発生した散乱光を受光する受光部24と、凹溝21の底面21Aに設けられた圧力センサー25(図1、図4参照)と、を備えている。
【0025】
凹溝21は、例えばエッチング等により、位置決め凹部12の底面12Aをさらに掘り下げ形成された溝であり、その開口部21B(開口縁)に沿って環状のパッキン部材211(本発明の密閉部材を構成)が配設されている。この凹溝21は、測定対象者の指で凹溝21の開口部21Bの全周を閉塞することで、凹溝21の内部および指表面により閉空間を形成する。この時、開口部21Bの全周に亘って設けられたパッキン部材211と、指とが密着することで、閉空間は密閉空間となる。したがって、指表面から発散された皮膚ガスは、この密閉空間に密封されることとなる。また、パッキン部材211は例えばゴム等により形成された弾性部材であり、押圧手段であるバンド12Bにより指が押圧されると弾性変形する。これにより、指の皺部分に対してもパッキン部材211が密着することができ、閉空間を確実に密閉する。
なお、パッキン部材211に不揮発性のジェル等を塗布することで、指紋や皺等の隙間をより確実に埋める構成としてもよい。
【0026】
光源部23は、凹溝21の一側面に設けられており、単一波長で、かつ直線偏光である光をセンサー基板22に対して射出する。なお、本実施形態では、光源部23は、面発光レーザー媒体を有し、単一波長、かつ直線偏光であるレーザー光を射出する。
また、光源部23から発振させるレーザー光の波長としては、後述する金属微粒子222Bの種類により適宜設定することができ、例えば金属微粒子222Bが金(Au)である場合、レーザー光の波長としては、例えば633nmに設定することができ、金属微粒子222Bが銀(Ag)である場合は、レーザー光の波長として、例えば514nmに設定することができる。また、検出対象である標的物質以外の不純物の蛍光を抑制するために、レーザー光の波長を例えば780nm程度に設定してもよい。
【0027】
受光部24は、凹溝21の側面のうち、光源部23が設けられた面と対向する側面に設けられている。この受光部24は、分光フィルター241(図4参照)と、受光素子242(図4参照)とを備えている。
分光フィルター241は、センサー基板22で発生したラマン散乱光以外の光(例えばレイリー散乱光)をカットし、ラマン散乱光を透過させるフィルターである。このような分光フィルター241としては、例えば、エタロン素子等が例示できる。特に、分光フィルター241において、透過波長を変化させ、受光素子242で各波長におけるスペクトルを取得する場合では、分光フィルター241として、透過させる波長を選択可能な波長可変型エタロン素子を用いることが好ましい。
受光素子242は、分光フィルター241を透過した光を受光し、受光量に応じた信号を制御部30に出力する。
【0028】
センサー基板22は、図2に示すように、凹溝21の開口部21Bに対向する表面側に、例えば、複数のスリット溝221が形成された基板である。ここで、これらのスリット溝221は、例えば300nmからレーザー光の発振波長までの間隔に設定されている。また、センサー基板22は、一辺が例えば5mm程度のサイズに形成されている。さらに、センサー基板22は、スリット溝221が形成される面が、凹溝21の開口部21Bにおける開口面21B1に対向し、かつ開口面21B1に対して平行となるように設置されている。
このセンサー基板22のスリット溝221の一部を更に拡大すると、図3に示すように、センサー基板22の表面には、複数の突起222(金属突起)により構成された金属ナノ構造の突起群223が形成されている。これらの突起222は、センサー基板22の表面に設けられた凸部222A上に金属微粒子222B(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、およびプラチナ等)をコーティングすることで構成されている。また、これらの突起222における金属微粒子222B間のピッチは、1nmからスリット溝221の格子ピッチの半分程度までのサイズで適宜設定されている。
【0029】
次に、センサー本体20の標的物質検出原理について説明する。
このセンサー本体20は、局在プラズモン共鳴を利用した物質成分検出センサーであり、以下に示す原理により標的物質を検出する。
すなわち、センサー本体20に設けられる各金属微粒子222Bは、光源部23から射出されるレーザー光の波長よりも小さく形成されている。このような金属微粒子222Bに対してレーザー光を照射すると、金属微粒子222Bの表面に存在する自由電子に作用し、共鳴を引き起こす。これにより、自由電子による電気双極子が金属微粒子222B内に励起され、図3に示すように、金属微粒子222B間に入射したレーザー光の電場よりも強い増強電場224が形成される。この現象は、レーザー光の波長よりも小さな金属ナノ構造体に特有の現象である。
【0030】
また、本実施形態では、図2に示すように、センサー基板22に複数のスリット溝221が形成され、これらのスリット溝221の溝幅は、レーザー発振波長未満に形成されている。したがって、これらのスリット溝221間、およびスリット溝221内の互いに対向する面に設けられた金属微粒子222B間においても増強電場が形成されることとなる。これにより、増強電場224が形成される領域が増大し、標的物質の検出精度をより向上させることが可能となる。
【0031】
また、金属微粒子222B間のギャップが小さく、突起222の高さが大きくなると、増強電場224はより強くなる。また、光源部23から入射されるレーザー光の強度が強ければ、さらに増強電場224は強くなる。ただし、金属微粒子222B間のギャップが小さすぎると、ギャップ間に標的物質が入り込む確率も小さくなる。したがって、本実施形態では、金属微粒子222B間のギャップは、上述のように、1nmからスリット溝221の格子ピッチの半分程度までのサイズに形成されることが好ましい。また、突起222の高さが高い場合は、標的物質が増強電場224に入り込んだ後、増強電場224から出るまでの時間が長くなるため、ラマン散乱光を安定して検出することができる。
また、スリット溝221間の互いに対向する面間にも突起222を形成する構成としてもよい。この場合、突起222の高さとしては、スリット溝221の幅寸法間で、互いに対向する突起222の金属微粒子222B間が、上述のようなギャップとなるように、適宜設定することで、より強い増強電場を形成することが可能となる。
【0032】
このようなセンサー本体20では、増強電場224内に検出対象となる標的物質が入り込むと、標的物質の振動数の情報を含むラマン散乱光が生じる。また、そのラマン散乱光が増強電場224によって増強され、表面増強ラマン散乱光が生じる。したがって、標的物質が微量である場合でも、信号強度の強いラマン散乱光が得られ、検出感度を高めることができる。
【0033】
そして、センサー本体20の凹溝21の底面21Aには、図1に示すように、圧力センサー25が設けられている。この圧力センサー25は、閉空間が密封されている状態か否かを検出するセンサーである。すなわち、指がパッキン部材211に密着した状態から、さらに指をセンサー本体20側に押圧すると、弾性部材であるパッキン部材211が弾性変形し、閉空間内の圧力は大きくなる。一方、指がパッキン部材211に密着されておらず、隙間が生じている場合、隙間から閉空間内のガスが漏出してしまうため、パッキン部材211が押圧されても圧力が変化しない、もしくは圧力変化量が小さくなる。したがって、圧力センサー25により、このような圧力変化を検出することで、閉空間が密閉されているか否かを容易に検出することが可能となる。
【0034】
〔3.制御部の構成〕
図4は、第一実施形態の物質成分検出装置1の概略構成を示すブロック図である。
物質成分検出装置1の制御部30は、図4に示すように、光源部23を制御する光源制御回路31と、分光フィルター241を制御するフィルター制御回路32と、外部機器と接続可能な端子部33と、演算処理部34と、を備えている。
【0035】
光源制御回路31は、演算処理部34から入力された検出開始指令に基づいて、光源部23を駆動させ、センサー基板22に対してレーザー光を射出する。
フィルター制御回路32は、演算処理部34から入力されたフィルター制御指令に基づいて、分光フィルター241を制御する。例えば、分光フィルター241が、電圧印加により一対のミラー間のギャップを変動させて透過波長を設定する波長可変型エタロン素子である場合、取得したいラマン散乱光の波長に応じた電圧を分光フィルター241に印加する。
【0036】
端子部33は、例えば、ディスプレイやプリンターなどの出力装置、または、パーソナルコンピューター等の情報処理装置に接続可能であり、演算処理部34にて分析された標的物質に関する分析結果情報を出力する。
【0037】
演算処理部34は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算回路や、メモリー等の記憶回路により構成され、メモリーに記憶されたプログラムを適宜実行することで物質成分検出装置1の全体の動作を制御する。具体的には、演算処理部34は、各種プログラムを実行することで、図4に示すように、密閉状態判定手段341、光源制御手段342、標的物質設定手段343、および成分分析手段344として機能する。
【0038】
密閉状態判定手段341は、圧力センサー25で検出された圧力に基づいて、閉空間が密閉されたか否かを判断する。上述したように、指により閉空間が密閉された状態では、パッキン部材211が押圧されて弾性変形すると、閉空間内部の圧力が増大する。一方、閉空間が密閉されておらず、隙間が生じている場合、圧力の変化がない、もしくは圧力の変化が微量となる。したがって、密閉状態判定手段341は、圧力センサー25で検出される圧力の変化を監視し、圧力が予め設定された閾値以上上昇した場合に、閉空間が密閉されたと判定する。
【0039】
光源制御手段342は、光源制御回路31に検出開始指令を出力し、光源部23からレーザー光を射出させる。
【0040】
標的物質設定手段343は、皮膚ガス中における分析対象の標的物質を設定する。これには、例えば物質成分検出装置1に別途設けられた操作手段(図示略)から入力された信号に基づいて、標的物質を設定する。そして、標的物質設定手段343は、フィルター制御回路32にフィルター制御指令を出力し、設定した標的物質に対応したラマン散乱光の波長を透過するように、分光フィルター241を設定する。
なお、本実施形態では、標的物質設定手段343は、分光フィルター241を制御して標的物質に対応したラマン散乱光のみを透過させる制御をしたが、例えば、皮膚ガスにおける検出対象である標的物質が1つである場合、標的物質設定手段343による標的物質の設定処理を省略してもよい。
【0041】
成分分析手段344は、受光素子242から入力されたラマン散乱光の強度に基づいて、皮膚ガス中の標的物質を検出する。また、ラマン散乱光の強度に基づいて、標的物質の含有量(濃度)を算出する。そして、成分分析手段344は、検出した標的物質の濃度を、例えば図示略の表示部に表示させたり、端子部33から外部機器に出力したりする。
【0042】
〔4.本実施形態の作用効果〕
上記第一実施形態の物質成分検出装置1では、基部10の位置決め凹部12の底面12Aに、開口部21Bを有する凹溝21が設けられ、この凹溝21内に、センサー基板22と、センサー基板22にレーザー光を射出する光源部23、およびセンサー基板22で発生したラマン散乱光を受光する受光部24が設けられている。また、センサー基板22は、金属微粒子222Bをコーティングした複数の突起222により構成される突起群223を備えている。
このような物質成分検出装置1では、開口部を指で閉塞することで、凹溝21内部が閉空間となり、指から発散された皮膚ガスがこの閉空間内に放出されて充満する。そして、光源部23からセンサー基板22の突起群223にレーザー光が照射されると、金属微粒子222B間に増強電場224が形成される。このようなセンサーでは、皮膚ガス中の標的物質が増強電場224内に入り込むと、レーザー光照射により生じる標的物質のラマン散乱光が増強され、表面増強ラマン散乱光となる。そして、物質成分検出装置1は、このような表面増強ラマン散乱光を受光部24で検出することで、標的物質に対応したラマン散乱光の強度を取得することができる。
ここで、センサー基板22は、1辺が5mmの正方形状に形成され、センサー基板22に形成される突起群223は、1nmから数十nm程度の微小形状を有するものである。また、凹溝21は、指の腹部分により閉塞される程度の大きさに形成されている。すなわち、本実施形態の物質成分検出装置1は、例えばクロマトグラフ等の他の分析装置に比べて極めて小型化に形成することができ、その構成も簡素であるため、装置の製造コストも安価にできる。
また、皮膚に対して直接装置を固定して、標的物質の検出を行うため、例えば、皮膚ガスを採集した後に分析装置で分析するなどといった煩雑な操作が不要であり、容易に皮膚ガス中の標的物質の検出を行うことができる。
【0043】
また、物質成分検出装置1は、凹溝21の開口部21Bに沿って設けられるパッキン部材211を備えている。このため、指が凹部12に載置された際に、パッキン部材211と指とが密着し、凹溝21内の閉空間を密閉することができるので、皮膚ガスの漏出を防止できる。
ここで、本発明の密閉部材として、弾性部材であるゴム製のパッキン部材211が用いられている。密閉部材として、例えば弾性を有さないものを用いる場合、皮膚の皺部分に隙間が生じる場合があり、この場合皮膚ガスが閉空間から漏出することが考えられる。また、密閉部材として液状またはゲル状物質を塗布する構成でもよいが、この場合、液状またゲル状物質の気化ガスが閉空間内に入り込み、正確な標的物質の検出が実施できないおそれがある。また、測定毎に液状またはゲル状の密閉部材を塗布する必要があるため操作が煩雑となることも考えられる。これに対して、弾性部材により密閉部材を構成する場合では、塗布等の操作が不要であり、密閉部材からの気化ガス等もなく、良好に閉空間を密閉空間とすることができる。
また、上述したように、不揮発性のジェル等をパッキン部材211に塗布してもよい。この場合、塗布作業を実施する分、検出時の操作が煩雑となるが、皮膚とパッキン部材211との間の隙間をより確実になくすことができ、閉空間をより確実に密閉することができる。
【0044】
さらに、物質成分検出装置1は、基部10にバンド12Bが設けられていてもよい。このような構成では、凹部12に載置された指をセンサー本体20側に押圧することができ、指とセンサー本体20とをより確実に密着することができる。
このため、指と開口部21Bとの隙間をより確実になくすことができ、閉空間に隙間が生じて皮膚ガスが漏出してしまう不都合を防止できる。また、皮膚ガスの漏出を防止するために、指をセンサー本体側に押し付けるなどの操作が不要であり、より容易に皮膚ガス中の標的物質の検出処理を実施できる。
【0045】
さらには、本実施形態では、センサー基板22は、突起群223が設けられる面が開口部21Bに対向し、かつセンサー基板22が開口部21Bの開口面21B1に対して平行となるように配設されている。
このような構成では、凹溝21の深さ寸法を小さくでき、物質成分検出装置1の厚み寸法の増大を抑えることができる。また、突起群223が開口部21Bに対向しているため、指から発散された皮膚ガスの標的物質が突起群223の各突起222間に入り込みやすくなり、標的物質の検出効率を向上させることができる。さらに、突起群223の各突起222と指との距離が一様となるため、突起群223内で、標的物質の存在位置に片寄が生じにくくなる。
【0046】
そして、センサー本体20は、閉空間の圧力を検出する圧力センサー25を備えている。また、制御部30の密閉状態判定手段341は、圧力センサー25により検出される圧力の変化に基づいて、閉空間が密閉されているか否かを判定する。
このため、指がパッキン部材211に密着し、かつ、閉空間が密封されているが否かを容易に判定することができ、皮膚ガスが漏出している状態での標的物質の検出処理を防止し、正確な検出処理を実施することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、物質成分検出装置1では、制御部30の成分分析手段344により、センサー本体20で検出したラマン散乱光の強度から、標的物質の成分検出、および検出された成分の濃度測定を実施するが、これに限定されない。すなわち、物質成分検出装置1は、センサー本体20で検出したラマン散乱光を取得して出力する装置であり、取得したラマン散乱光の強度を端子部33から外部機器に出力するものであってもよい。
【0048】
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
図5は、第二実施形態のセンサー本体20Aの概略断面図である。なお、以降の実施形態の説明にあたり、第一実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を省略、または簡略する。
【0049】
上記第一実施形態のセンサー本体20では、センサー基板22は、凹溝21の開口部21Bの開口面21B1に対して平行に設けられている。これに対して第二実施形態の物質成分検出装置のセンサー本体20Aでは、図5に示すように、凹溝21の内周側面21Cにセンサー基板22が設けられている。つまり、センサー基板22は、開口部21Bの開口面21B1に対して、突起群223(図3参照)が設けられる面が直交する状態に配設されている。
また、センサー基板22が配設された内周側面21Cに対向する内周側面21Dには、光源部23および受光部24が設けられている。
【0050】
〔第二実施形態の作用効果〕
このような構成では、光源部23から射出されたレーザー光は、センサー基板22の突起群223に対して直交、または直交に極めて近い入射角度で入射される。このように、突起群223が設けられたセンサー基板22に対して、略直交する角度からレーザー光を入射させることで、レーザー光の光量損失量を抑制することができる。
【0051】
また、受光部24もセンサー基板22の突起群223が設けられる面に対して対向する内周側面21Dに設けられている。このような構成では、突起群223の各突起222間で形成される増強電場224から、受光部24までの距離が均一となるため、突起群223内の各増強電場224におけるラマン散乱光の強度を正確に検出することができる。
特に、ラマン散乱光から標的物質の濃度を算出する場合、ラマン散乱光の発生位置の数や面積等に応じて算出されることが好ましい。つまり、1つの増強電場224において発生するラマン散乱光の強度は、その増強電場224内に標的物質の位置等によっても変化するため、必ずしも標的物質の濃度とラマン散乱光の強度とが比例関係になるとは限らない。これに対して、標的物質の濃度と、ラマン散乱光の発生位置の数または面積とは、ほぼ比例関係となる。したがって、上記のように、センサー基板22の突起群223が設けられる面に対向し、かつ各突起222からの距離がほぼ均一となる位置に受光部24を設けることで、面内において発生するラマン散乱光の発生位置(ラマン散乱光の発生位置の分布)を好適に取得することができ、標的物質の濃度を検出することができる。
【0052】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態の物質成分検出装置について説明する。
図6は、第三実施形態のセンサー本体の概略を示す断面図である。
上記第二実施形態の物質成分検出装置1では、センサー本体20Aは、凹溝21の内周側面21Cに沿って、開口部21Bの開口面21B1に対して直交するようにセンサー基板22が設けられた。これに対して、図6に示すセンサー本体20Bのように、センサー基板22を開口部21Bの開口面21B1に対して傾斜させて載置してもよい。
【0053】
ここで、センサー基板22は、開口部21Bの開口面21B1に対して、45度以上90度未満の角度に設定されていることが好ましい(90度の場合は第二実施形態と同様の構成となる)。つまり、センサー基板22の傾斜角度が0度以上45度未満である場合、光源部23からセンサー基板22に入射させるレーザー光の入射角度が小さくなり、レーザー光の光量損失が大きくなってしまう。これに対して、センサー基板22が45度以上90度未満に設置されている場合、センサー基板22の法線方向に、レーザー光の入射角度を近づけるように、光源部23のレーザー光の射出角度を調整することが可能となり、第二実施形態と同様、突起群223(図3参照)における増強電場224を強め、検出精度を高めることが可能となる。
【0054】
〔第三実施形態の作用効果〕
上記第三実施形態では、センサー基板22が、開口部21Bの開口面21B1に対して、45度以上90度未満の角度となるように設置されている。
このため、センサー基板22の突起群223に対して直交、または直交に極めて近い入射角度でレーザー光を入射されることができ、レーザー光の光量損失量を抑制することができ、増強電場224を強くすることができる。
また、受光部24を各突起222までの距離が均一となる位置に設けることで、突起群223内の各増強電場におけるラマン散乱光の強度を正確に検出することができ、面内において発生するラマン散乱光の発生位置の分布を好適に取得することができ、標的物質の濃度を精度よく検出することができる。
さらに、第二実施形態に比べて、凹溝21の深さ寸法を小さく形成することができるので、物質成分検出装置の小型化を促進することができる。
【0055】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
図7は、第四実施形態のセンサー本体の概略を示す断面図である。
上記第一実施形態では、センサー基板22は、突起群223が設けられる面が開口部21Bの開口面21B1に対向するように配置されたが、第四実施形態では、図7に示すように、センサー基板22の突起群223(図3参照)が凹溝21の底面21Aに対向するように配置されている。
【0056】
このセンサー本体20Bでは、センサー基板22と底面21Aとの間に皮膚ガスが侵入可能な僅かなギャップが形成されている。また、センサー本体20Bでは、光源部23および受光部24は、凹溝21の底面21Aに設けられ、底面21Aに対向する突起群223に対してレーザー光を射出し、底面21A側に射出されたラマン散乱光を受光する。
【0057】
〔第四実施形態の作用効果〕
この第四実施形態では、センサー基板22が開口部21Bの開口面21B1に対して平行に配設されているため、上記第一実施形態と同様に、凹溝21の深さ寸法を小さくでき、物質成分検出装置の厚み寸法を小さくでき、装置の小型化を促進できる。
また、光源部23および受光部24が底面21Aに設けられ、センサー基板22の突起群223に対して対向しているため、第二実施形態および第三実施形態と同様、センサー基板22に対して直交する入射角度でレーザー光を照射させることができ、増強電場224をより強くできる。また、受光部24では、突起群223の面内のラマン散乱光の分布を精度よく検出することができる。
【0058】
また、光源部23および受光部24を凹溝21の内周側面に設ける構成では、凹溝21の深さ寸法が小さい場合、設置が困難となる。これに対して、本実施形態では、底面21Aに光源部23および受光部24が設けられるため、これらの光源部23および受光部24の配置スペースを十分に確保することができ、容易に設置することができる。
【0059】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0060】
例えば、上記実施形態では、物質成分検出装置1として、測定対象者の指を測定部位としたが、これに限定されない。
物質成分検出装置としては、人の皮膚ガスが検出される部位であれば特に限定されず、例えば掌、腕、足等、どのような測定部位に対して接触させるものであってもよい。これらのうちでも、指や掌は、通常皮膚が露出している部分であり、測定対象者が容易に測定を実施できる場所であるので、特に好ましい。
【0061】
また、センサー本体20の閉空間構成部として、基部10に設けられた凹溝21を例示したがこれに限らない。例えば基部10上に、筒状の突出部が形成され、突出部先端が測定対象者の皮膚に接触することで筒内周側に閉空間が形成される構成としてもよい。
また、入射光学系として、凹溝21の側面に、レーザー光を射出する光源部23を直接設ける構成としたが、これに限定されず、凹溝21の側面に設けられた窓部から、センサー基板22に対してレーザー光を導く光学系であればよい。受光部24においても同様であり、凹溝21の側面に設けられた窓に入射したラマン散乱光を受光素子に導く光学系を備えるものであってもよい。
【0062】
センサー基板22にスリット溝221が形成される構成と示したが、スリット溝221が形成されず、複数の突起222により構成された突起群223のみを備える構成としてもよい。
また、凸部222Aに金属微粒子222Bをコーティングすることで、突起222を構成したが、例えば、球状の金属微粒子222Bのみにより突起222が構成される構成としてもよい。この場合、例えば、センサー基板22の表面に金属微粒子222Bの直径よりも小さいスリットを、レーザー発振波長未満の間隔で配置し、スリット上に金属微粒子222Bを保持させる構成とすることが考えられる。
【0063】
また、受光部24の分光フィルター241として、透過波長を選択可能な波長選択型エタロン素子を例示したが、例えば、特定のラマン散乱光の波長のみを透過するバンドパスフィルターとした構成などとしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、1つの開口部21Bを備えた凹溝21を閉空間構成部としたが、これに限定されない。
例えば、図8に示すように、基部40に筒状内周面を有する貫通孔41が形成され、この貫通孔41が本発明の閉空間構成部を構成してもよい。この場合、図8に示すように、貫通孔41の両端部の開口部41Aの開口縁に沿って、密着部材であるパッキン部材411を設け、貫通孔41の内部にセンサー基板22、光源部23、および受光部24を設ける。
このような構成の物質成分検出装置1Aでは、貫通孔41の両端の開口部41Aを指で挟むことで、貫通孔41の内部が密閉された閉空間となる。この場合、貫通孔41の両端の開口部41Aが皮膚で閉塞されることとなり、閉空間内部に放出される皮膚ガスも多くなるので、皮膚ガス中に含まれる標的物質の検出精度も向上させることができる。
【0065】
以上、本発明を実施するための最良の構成について具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形および改良を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0066】
1,1A…物質成分検出装置、12B…バンド(押圧手段)、21…凹溝(閉空間構成部)、21A…底面、21B,41A…開口部、21B1…開口面、21C,21D…内周側面、22…センサー基板、23…光源部(入射光学系)、24…受光部、41…貫通孔(閉空間構成部)、211,411…パッキン部材(密閉部材)、222…突起(金属突起)、223…突起群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部が測定対象の皮膚により閉塞されることで内部が閉空間となる閉空間構成部と、
前記閉空間構成部の前記閉空間内に設けられ、複数の金属突起を有する突起群を備えたセンサー基板と、
前記突起群に向かって光を射出する入射光学系と、
前記突起群で発生したラマン散乱光を検出する受光部と、を備えた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物質成分検出装置において、
前記閉空間構成部は、前記開口部に沿って、前記皮膚と密着して前記閉空間を密閉する密閉部材を備えた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の物質成分検出装置において、
前記密閉部材は、弾性部材である
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の物質成分検出装置において、
前記皮膚を前記閉空間側に押圧する押圧手段を備えた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の物質成分検出装置において、
前記センサー基板は、前記開口部の開口端縁を含む面である開口面に対して交差する角度に設けられた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の物質成分検出装置において、
前記センサー基板は、前記開口面に対して45度以上90度以下の角度で設けられた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の物質成分検出装置において、
前記センサー基板は、前記開口部の開口端縁を含む面である開口面に対して平行に設けられた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の物質成分検出装置において、
前記センサー基板は、前記突起群が前記開口面に対向する状態に設けられた
ことを特徴とした物質成分検出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の物質成分検出装置において、
前記閉空間構成部は、前記開口部に対向する底面部を備え、
前記センサー基板は、前記突起群が前記底面部に対向する状態で設けられ、
前記センサー基板および前記底面部の間には、前記皮膚から発散された皮膚ガスが通過可能なギャップが設けられ、
前記入射光学系および前記受光部は、前記底面部に設けられた
ことを特徴とした物質成分検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−198060(P2012−198060A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61226(P2011−61226)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】