説明

物質担持多孔質シリカ

本発明は、多孔質シリカに、メントール、揮発性物質、温熱性物質、植物ポリフェノールおよび有機色素からなる群より選択される物質が担持された、物質担持多孔質シリカに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、物質担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有した組成物に関する。
【背景技術】
メントールは、清涼感・冷涼感を有するため、各種飲食品、医薬、化粧料、嗜好品、トイレタリー製品等に使用されている。しかしながら、メントールは昇華性および揮発性を有するために、製品の保存中の温度変化等により揮散し、含量が減少することがある。また、メントールが揮散した後、容器内で再結晶化することもあり、その結晶が針状結晶であるため、蜘蛛の巣状に見えると製品の価値を落とすことになる。
特に、ガム等の食品において、メントールの清涼感・冷涼感の強さを強調し、かつ清涼感・冷涼感の残余感の良好な食品を製造することは、消費者の要求にこたえる意味で商品価値を向上させるものである。
ガムは咀嚼による物理的な圧縮と唾液による糖質の溶解により香味を発現するが、噛み続けるうちに徐々に呈味力が弱くなり数分後には香味を初め甘味、酸味、清涼感等が低下してしまう。そこで、ガムの噛み始めにおいてメントールの清涼感・冷涼感を強調したガムを製造するために、通常、メントールの添加量を増加する手段が採られている。
しかしながら、メントールの添加量を増加しても、前記のように、保存中に含量が減少したり、メントールがガムの組織中に吸着されてしまい口中での揮散が乏しくなったり、噛み始めにほぼ全量が溶出揮散してしまったりして、持続性に欠けるという欠点がある。
そこで、メントール等の香気成分の昇華・揮発を抑制する方法として、香気成分を、香気成分の昇華および/または揮発温度よりも高沸点の油脂または溶媒と混合する方法(例えば、特開平11−50084号公報参照)が知られている。また、清涼感・冷涼感を持続させるために、メントール等の清涼剤をシクロデキストリン誘導体で包接した化粧料(例えば、開平6−329528号公報参照)や、メントールにジオキソラン−2−酢酸誘導体を配合する方法(例えば、特開平7−228887号公報参照)、メントールにティーツリー精油を配合する方法(例えば、特開平9−263786号公報参照)、メントール等の冷感物質にバニリルブチルエーテルを配合する方法(例えば、特開2000−44924号公報参照)、メントールにN−置換−p−メンタンカルボキシアミドを配合する方法(例えば、特開平3−53849号公報参照)等が提案されている。
しかしながら、清涼感・冷涼感を長時間持続させようとする課題は、ある程度改良されているものの、その効果は必ずしも十分に満足されるものではない。
冷却剤は、乳幼児の急な発熱等に際して患部に貼付して用いられる不織布等の支持体と含水ポリマーゲルからなる保水層を有す冷却ゲルシートや、スポーツ後の筋肉の炎症を抑えるアイシング剤(ジェル、軟膏)等が市販されている。また、缶や瓶、ペットボトルなどの容器に吸水させたシートを巻き容器中の飲料を冷却させるための冷却剤もある。冷却ゲルシートは、含水ポリマーゲルが粘着性を有することから、前頭部等の冷却部分に貼り付けることで、乳幼児が動いてもはがれることがなく、この冷却ゲルシートの有する冷却可能時間中、そのまま放置することができるのが特徴である。
このような冷却ゲルシートは、通常、不織布等で形成された支持体と、含水率が70〜90重量%程度のポリマーゲル層とからなり、このポリマーゲル中の水が蒸発する際に被着体から蒸発潜熱の形で熱を奪い、被着体を冷却している。水以外にメントール等の揮発性成分を含有し、冷却効果を高めているものもある。したがって、ポリマーゲル層中に含有される水や揮発性成分の量が多いほど冷却可能時間は長く、冷却効果も高くなり、特に急冷を目的とする場合にも有効である。
しかしながら、含水率を高くすると、ポリマーゲルの許容含水量を超えてしまい、ポリマーゲル層の安定性が悪くなり、ゲルの自己保形性および粘着性を保持するのが困難となるので、例えば、ポリマーゲル層が皮膚側に貼着する等の不都合が生ずる。一方で、揮発性成分の含有率を高くしても、保存中に揮発してしまい実際に使用するまで揮発性成分を高含有率で残存させることは困難であった。
その改良手段として、ゲル剤にポリビニルアルコールを使用する方法(例えば、特開平6−7395号公報参照。)、水に吸熱的に溶解しうる化合物を使用する方法(例えば、特開2000−107219号公報参照。)、含水ゲル層を被着体に貼着されない側に配置する方法(例えば、特開2000−189451号公報参照。)等も提案されている。
これら従来の提案は、ある程度その目標を達成しているが、その効果は必ずしも満足されるものではなかった。
温熱剤は、肩凝り、関節痛、腰痛、筋肉痛、筋肉疲労、打撲、捻挫、霜焼け等に際して患部に貼付して用いられる不織布等の支持体と含水ポリマーゲルからなる保水層を有す温熱ゲルシートや、手足や肩が冷たくなる冷え性の場合には血行促進剤(ジェル、クリーム、軟膏)等が市販されている。冷え性用の手袋や靴下等も市販されている。
このような温熱剤には、通常血行促進剤として唐辛子エキス、ショウキョウエキス、ショウガオイル、カプサイシン、ノニル酸バニリルアミド、バニリルアルコールアルキルエーテル(アルキル基の炭素数が3〜6)、カンフル、ニコチン酸アミド、等が使用されている。これらは非常に刺激が強い為、脂肪酸エステル等を含有する組成物として低刺激化することが提案されている(例えば、特開2001−19608号公報参照。)。
しかし、これら従来の提案は、ある程度その目標を達成しているが、その効果は必ずしも満足されるものではなかった。
喫煙等によって生じる臭気成分は、同定されているだけでもおよそ20数種類が知られている。その主成分は酢酸、アンモニア、およびアセトアルデヒドの3種であり、このうち酢酸とアンモニアは、それぞれ酸性およびアルカリ性の物質で中和することによって比較的簡単に除去できるが、中性物質であるアセトアルデヒドの除去は難しいといわれている。
また、建築構造の変化に伴う室内の気密性の向上にしたがって、壁紙の接着剤や新建材等から発生する易揮発性物質(VOC)、とくにホルムアルデヒドの、人体に及ぼす影響がいわゆるシックハウス症候群として問題視され、それに対応すべく建築の脱ホルマリン化が進行しつつあるが、その進行の度合いは遅々としたものであり、またとくに、脱ホルマリン化の処置なしで既に建てられてしまった建築に対してはほとんど対策が施されていないのが現状である。しかもホルムアルデヒドは、前記アセトアルデヒドと同様に中性物質であるため、その除去が容易でないという問題もある。
また同じく室内の気密性の向上にしたがって、インフルエンザ等が以前よりも伝染しやすい傾向になりつつあることが取り沙汰されており、とくに室内環境での調湿、抗菌および消臭が、今後の重要な課題となりつつある。
さらに最近の清潔志向の高まりにともなって多くの分野で、抗菌を謳った製品が製品化される傾向にあるが、今度は逆に、製品に添加される抗菌剤自体の安全性に対する疑問の声もあがっており、安全で、いわゆる人にやさしい抗菌剤が求められている。
例えば茶の抽出成分や、あるいは柿、リンゴ等の果実類の抽出成分に代表される植物ポリフェノール(通常はタンニン類、カテキン類、フラボノイド類等の複数のポリフェノールの混合物)は、天然に存在する成分であって安全性にすぐれる上、細菌やウイルスの繁殖を抑制する効果、つまり抗菌効果を有し、しかもアンモニアやアミン類、アルデヒド類等の臭気成分に対しても強い消臭効果を有することが知られている。
そこで、かかる植物ポリフェノールを抗菌消臭剤として、空気清浄機用のフィルタを構成する繊維の表面に付着させて使用すること(例えば、特開平10−315号公報、特開平9−141021号公報参照)が検討されている。
しかし植物ポリフェノールは、水分の存在下においては良好な抗菌、消臭効果を発揮するものの、乾燥状態では十分に機能しないために、上記の構成では、その使用状況(とくに使用時の湿度)等にもよるが、抗菌、消臭効果が十分に発揮されないおそれがある。
また、上記のように植物ポリフェノールを、いわば剥き出しの状態で使用した場合には、当該植物ポリフェノールが酸化劣化、あるいは加水分解する等して徐々に失われてしまうために、効果の持続性にも問題が生じる。これを回避する手段として、植物ポリフェノールを、水溶液の状態で活性炭に保持させた抗菌消臭剤(例えば、特開平8−291013号公報参照)が検討されている。しかし、活性炭は、とくに乾燥した環境下では水を長期間に亘って保持できずに短期間で放出してしまい、その時点で抗菌、消臭効果が著しく低下することになるため、実際には、効果の持続性についてはあまり改善されないという問題がある。
また、非晶質リン酸カルシウムや吸湿性物質に植物ポリフェノールに保持させる方法(例えば、特開2000−135277、特開2000−327512参照)が検討されているが、多湿時の過吸湿による問題や、調湿機能と消臭機能、化学物質の吸着機能全てを満足させるには至っておらず、更なる改善が望まれていた。
色素は、水やアルコール、油に溶解しない粒子があるかないかで、大きく、染料と顔料の2種類に分けられる。
従来、水やアルコール、油に溶解しない粒子がない染料は高い発色が得られるが、耐水・耐光性が悪いという問題を有していた。
一方、水やアルコール、油に溶解しない粒子がある顔料は、耐水・耐光性が良好であるが、発色が悪いという問題を有していた。
特に、インクジェット用インクを用いた印刷物において、染料の持つ発色性と顔料の持つ耐水・耐光性を合わせ持ったインク印刷物を得ることは、消費者の要求にこたえる意味で商品価値を向上させるものである。
このような欠点を補う方法としては、例えば、平均細孔径が10nmより大きく35nmより小さいメソポーラスシリカを記録シートに含有させるという様に記録シート側を加工することにより、インクの耐水性・耐光性を向上させる方法が知られている。(例えば、特開2001−179086号公報参照。)
しかしながら、このような記録シートに印刷された印刷物の耐水性、耐光性の向上効果は十分に満足されるものではない。
一方、色素側を加工する方法として、例えばモンモリロナイトや雲母に代表される層状粘土鉱物と水溶性染料から得られる顔料組成物の製法および化粧料(例えば、特開昭53−113036号公報、特開昭61−111367号公報、特開昭63−90573号公報参照。)が知られている。
しかしながら、上記方法によって得られる着色顔料は耐光性が十分とはいえず、また顔料同士が2次凝集を起こしやすいという問題があり、色素の発色性、耐水性、耐光性を長期間持続させようとする課題は、ある程度改良されているものの、その効果は必ずしも十分に満足されるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、物質の吸着性に優れ、外部からの物理的・化学的刺激により穏やかな脱着性または放出制御特性に優れた物質担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有した組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
〔1〕多孔質シリカに、メントール、揮発性物質、温熱性物質、植物ポリフェノールおよび有機色素からなる群より選択される物質が担持された、物質担持多孔質シリカ、
〔2〕さらに、乳化剤を含有する前記〔1〕記載の多孔質シリカ、
〔3〕平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有する前記〔1〕または〔2〕記載の多孔質シリカ、
〔4〕平均粒子径が50nm〜100μmである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の多孔質シリカ、
〔5〕細孔が六方構造を形成している前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の多孔質シリカ、
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の多孔質シリカを含有する組成物、
〔7〕多孔質シリカを含有する冷却剤、
〔8〕平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有する多孔質シリカにメントールが担持されてなるメントール担持多孔質シリカ、
〔9〕さらに、乳化剤を含有してなる前記〔8〕記載の多孔質シリカ、
〔10〕前記〔8〕または〔9〕記載の多孔質シリカを含有したメントール含有組成物、
〔11〕メントール含有組成物が、飲食品、医薬、化粧料、嗜好品およびトイレタリー製品からなる群より選ばれた少なくとも1種である前記〔10〕記載のメントール含有組成物、
〔12〕飲食品がガムである前記〔11〕記載の組成物、
〔13〕多孔質シリカを含有することを特徴とする冷却剤用組成物、
〔14〕平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有する多孔質シリカに揮発性物質が担持されてなる揮発性物質担持多孔質シリカ、
〔15〕平均粒子径が50nm〜100μmである前記〔14〕記載の多孔質シリカ、
〔16〕前記〔14〕または〔15〕記載の多孔質シリカを含有する組成物、
〔17〕平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有する多孔質シリカに温熱性物質が担持されてなる温熱性物質担持多孔質シリカ、
〔18〕平均粒子径が50nm〜100μmである前記〔17〕記載の多孔質シリカ、
〔19〕温熱性物質が唐辛子エキスである前記〔17〕または〔18〕記載の多孔質シリカ、
〔20〕前記〔17〕〜〔19〕いずれか記載の多孔質シリカを含有する組成物、
〔21〕平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有し、該細孔が六方構造を形成している多孔質シリカに植物ポリフェノールが担持されてなる植物フェノール担持多孔質シリカ、
〔22〕前記〔21〕記載の多孔質シリカを含有する組成物、
〔23〕平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有し、該細孔が六方構造を形成し、平均粒子径が50nm〜10μmである多孔質シリカに有機色素が担持されてなる有機色素担持多孔質シリカ、
〔24〕さらに、乳化剤を含有する前記〔23〕記載の多孔質シリカ、
〔25〕乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルであって、該ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの70%以上が重合度3以上である、前記〔23〕または〔24〕記載の多孔質シリカ、
〔26〕前記〔23〕〜〔25〕いずれか記載の多孔質シリカを含有する組成物、ならびに
〔27〕インク、飲食品または化粧料である前記〔26〕記載の組成物、
に関する。
【発明の効果】
本発明により、物質の吸着性に優れ、外部からの物理的・化学的刺激により穏やかな脱着性または放出制御特性に優れた物質担持多孔質シリカ、および該多孔質シリカを含有した組成物を提供することができる。本発明の物質担持多孔質シリカは、物質の吸着性に優れ、外部からの物理・化学的刺激により緩やかな脱着性または強固な放出制御特性をもっているため、物質の放出を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の物質担持多孔質シリカは、多孔質シリカに特定の物質が担持されてなるものである。本発明の多孔質シリカに担持され得る物質は、メントール、揮発性物質、温熱性物質、植物ポリフェノールおよび有機色素からなる群より選択される物質である。
以下、各物質が担持された多孔質シリカの態様について説明する。
(第一態様)
まず、担持される物質がメントールである第一態様について説明する。本態様においては、清涼感・冷涼感の強さおよび持続性に優れたメントール担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有する組成物を提供される。
本態様において、メントールとはメントールおよび/またはメントール含有精油であれば、特に限定されず、天然メントール、合成メントール、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本態様における多孔質シリカの平均細孔径は、多孔質シリカへのメントールの吸着量および多孔質シリカへのメントールの吸着の持続性の観点から、0.8〜20nmであり、好ましくは0.8〜10nm、より好ましくは1〜10nm、さらに好ましくは2〜5nmである。
多孔質シリカの細孔は、特に限定されないが、六方構造を形成していることが好ましい。なお、細孔の形状は、X線回折等により確認することができる。
多孔質シリカの細孔容積は、多孔質シリカへのメントールの吸着量の観点から、0.1〜3.0cm/gが好ましく、0.2〜2.0cm/gがより好ましい。
多孔質シリカの比表面積は、多孔質シリカへのメントールの吸着量の観点から、400〜1500m/gが好ましく、600〜1500m/gがより好ましく、600〜1200m/gがより好ましい。
本態様における多孔質シリカの平均細孔径、細孔容積および比表面積は公知のBET法による窒素吸着等温線から求められる。
本態様における多孔質シリカの平均粒子径は、50nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmがより好ましく、50nm〜5μmがさらに好ましく、50〜500nmがさらにより好ましく、50〜300nmがさらにより好ましい。なお、平均粒子径はレーザー法または動的光散乱法により測定することができる。
本態様における多孔質シリカの製造方法は、特に限定されないが、例えば、無機原料を有機原料と混合し、反応させることにより、有機物を鋳型としてそのまわりに無機物の骨格が形成された有機物と無機物の複合体を形成させた後、得られた複合体から、有機物を除去する方法が挙げられる。
無機原料は、珪素を含有する物質であれば特に限定されない。珪素を含有する物質としては、例えば、層状珪酸塩、非層状珪酸塩などの珪酸塩を含む物質および珪酸塩以外の珪素を含有する物質が挙げられる。層状珪酸塩としては、カネマイト(NaHSi・3HO)、ジ珪酸ナトリウム結晶(NaSi)、マカタイト(NaHSi・5HO)、アイラアイト(NaHSi17・XHO)、マガディアイト(NaHSi1429・XHO)、ケニヤアイト(NaHSi2041・XHO)などが挙げられ、非層状珪酸塩としては、水ガラス(珪酸ソーダ)、ガラス、無定形珪酸ナトリウム、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメチルアンモニウム(TMA)シリケート、テトラエチルオルトシリケートなどのシリコンアルコキシドなどが挙げられる。また、珪酸塩以外の珪素を含有する物質としては、シリカ、シリカ酸化物、シリカ−金属複合酸化物などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
有機原料としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性の界面活性剤、高分子ポリマー等が挙げられ、これは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
陽イオン性界面活性剤としては、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらの中では第4級アンモニウム塩が好ましい。アミン塩は、アルカリ性域では分散性が不良のため、合成条件が酸性域でのみ使用されるが、第4級アンモニウム塩は、合成条件が酸性、アルカリ性のいずれの場合にも使用することができる。
第4級アンモニウム塩としては、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル(炭素数8〜22)トリメチルアンモニウム塩が好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等が挙げられ、なかでも、セッケン、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩および高級アルコールリン酸エステル塩が好ましく、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
両性界面活性剤としては、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が好ましく、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン酸誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテル型のものや、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型のものが好ましく、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
無機原料として、層状珪酸塩以外の珪素を含有する物質、例えばシリカ(SiO)などの酸化珪素を使用する場合は、カネマイトなどの層状シリケートをまず形成し、この層間に有機物による鋳型を挿入し、鋳型が存在しない層間をシリケート分子で繋ぎ、その後有機物による鋳型を除去して細孔を形成することができる。また、水ガラスなどの非層状珪酸塩を使用する場合は、鋳型の周囲にシリケートモノマーを集合させ、重合してシリカを形成し、次に鋳型を取り除いて細孔を形成することができる。
一方、有機材料として界面活性剤を使用し、界面活性剤を鋳型として細孔を形成する場合は、鋳型としてミセルを利用することができる。また、界面活性剤のアルキル鎖長をコントロールすることにより、鋳型の径を変化させ、形成する細孔の径を制御することができる。さらに、界面活性剤と共に、トリメチルベンゼン、トリプロピルベンゼン等の比較的疎水性の分子を添加することにより、ミセルが膨張し、さらに大きな細孔の形成が可能となる。これらの方法を利用することにより、担持させるメントールに最適な大きさの細孔が形成できる。
無機原料と有機原料を混合する場合、適当な溶媒を用いても良い。溶媒としては、特に限定されないが、水、アルコール等が挙げられる。
有機物と無機物の複合体から有機物を除去する方法としては、複合体を濾取し、水等により洗浄、乾燥した後、好ましくは400〜800℃、より好ましくは400〜600℃で焼成する方法や、有機溶媒により抽出する方法が挙げられる。
本態様における多孔質シリカは、必要に応じて分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるエトキシ(またはメトキシ)基を有し、他端にアミノ基やグリシジル基などの有機官能基を有する化合物を結合担持させても良い。具体例としては、アミノ基含有珪素化合物を多孔質シリカに結合担持させることが好ましい。アミノ基含有珪素化合物としては、1個以上のアミノ基と、多孔質シリカ表面の水酸基との結合に供される1個の結合官能基とを備えたもの、例えば(3−アミノプロピル)メチルエトキシシランの他、2個以上のアミノ基を備えるBis(3−アミノプロピル)メチルエトキシシランやTris(3−アミノプロピル)エトキシシラン等が挙げられる。アミノ基含有珪素化合物の多孔質シリカへの結合担持方法としては特に限定されるものではないが、例えば、水等に分散混合し、担持させ、さらに必要に応じて乾燥すれば良い。
本態様において、多孔質シリカにメントールを担持させる方法は、特に限定されないが、例えば、多孔質シリカと適当な溶媒に溶解させたメントールとを混合し、さらに必要に応じて溶媒を除去し乾燥させる方法や、多孔質シリカとメントールを密閉した減圧容器に入れ、メントールを昇華させると同時に多孔質シリカに吸着させる方法等が挙げられる。メントールを多孔質シリカに担持させる際、大気中の水分を極力吸着せずメントールの吸着力を高める為に40℃以上で調製することが好ましい。なお、ここでいう混合とはミキサーやニーダー等の通常用いられる混合機を適宜選択し、均一に混合することを指し、混合条件は混合物の組成比および量等によって適宜設定される。
メントールの含有量は、特に限定されないが、食味を損なうことなく、本態様のメントール担持多孔質シリカによる清涼感・冷涼感が効率よく奏される観点から、多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、0.01重量部以上が好ましく、メントールの吸着の持続性の観点から、50重量部以下が好ましい。従って、上記観点より、メントールの含有量は、多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、0.01〜100重量部が好ましく、1〜80重量部がより好ましく、20〜80重量部が特に好ましい。
さらに、本態様のメントール担持多孔質シリカには、清涼感・冷涼感の強さおよび持続性を向上させ、かつ水に対する分散性を向上させる観点から、乳化剤が含有されていることが好ましい。
乳化剤としては、一般に公知の乳化剤が特に限定されることなく使用され得る。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられ、これらは単独で2種以上を混合して用いることができるが、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
乳化剤のHLBは、分散性向上の観点から、10以上が好ましく、15〜20がより好ましい。2種以上の乳化剤を用いる場合は、平均HLBが好ましくは10以上、より好ましくは15〜20である。
本態様の多孔質シリカに乳化剤をさらに含有させる際には、清涼感・冷却感の持続性の観点から、乳化剤は多孔質シリカの細孔内に極力入ることなく、メントールを担時させた多孔質シリカの外部に選択的に吸着させることが好ましい。メントールを多孔質シリカの外部に選択的に吸着させる観点から、乳化剤は、平均重合度3以上のポリグリセリンと炭素数12以上の脂肪酸とのエステル化により得られるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、平均重合度3以上のポリグリセリンと炭素数16以上の脂肪酸とのエステル化により得られるポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましく、平均重合度3以上のポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸とのエステル化により得られるポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好ましい。また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのうち、2〜10分子の脂肪酸がエステル化されているポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好ましい。これらは単独でまたは2種以上併用されてもよい。
乳化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば多孔質シリカにメントールを担持させた組成物100重量部(固形物換算)に対して、0.01〜50重量部が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましく、清涼感・冷却感の持続性の観点から、0.1〜10重量部がさらに好ましく、1〜10重量部がさらにより好ましい。
本態様のメントール担持多孔質シリカを製造する際に乳化剤を添加する時期は、特に限定されず、多孔質シリカにメントールを担持させる際にメントールとともに添加してよく、また、メントールを担持させた後に添加してもよいが、乳化剤の添加による効果をより顕著に得られる観点から、メントールを担持させた後に乳化剤を添加することが好ましい。
乳化剤の添加方法も特に限定されないが、乳化剤が液状である場合には、混練するのみでメントール担持多孔質シリカに配合することができる。従って、乳化剤をより均一にメントール担持多孔質シリカに添加する観点から、乳化剤をエタノールや水等の溶媒に分散・溶解したものを添加し、溶媒を除去する方法、乳化剤をエタノールや水等の溶媒に分散・溶解したものを添加する方法が好ましい。
さらに、本態様のメントール担持多孔質シリカには、メントール以外に、不飽和脂肪酸、カロチノイド類、ビタミン類、色素、香辛料、それらの誘導体やそれらを含有する組成物、その他の機能性物質等の添加剤が、含有されていてもよい。
不飽和脂肪酸としては、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、共役リノール酸、アラキドン酸等が挙げられる。
カロチノイド類としては、β−カロテン、α−カロテン、γ−カロチン、ルテイン、リコピン、アスタキサンチン、カンタキサンチン等が挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、トコトリエノール等が挙げられる。
色素としては、ハイビスカス色素、赤キャベツ色素、ムラサキイモ色素、ブルーベリー色素等のアントシアニン色素;ベニバナ色素等のフラボノイド色素;ドナリエラ色素、ニンジン色素、パーム由来色素等のカロチノイド色素;クロレラ色素;ウコン色素;ナフトキノン系色素等が挙げられる。
香辛料としては、カプシカム、カルダモン、ミント、ペッパー、ターメリック、クミン、セージ、パセリ、オレガノ、サフラン、ローズマリー、タイム等から抽出される香辛料が挙げられる。
その他の機能性物質としては、レシチン、茶抽出物、ウーロン茶抽出物、紅茶抽出物、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ポリフェノール化合物、ローズマリー抽出物、t−ブチルヒドロキシトルエン、t−ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコトリエノール、エトキシキン等の酸化防止剤、各種ミネラル類、アミノ酸類等が挙げられる。
さらに、本態様のメントール担持多孔質シリカには、必要に応じてアルギン酸、β−グルカン、酵母細胞壁、グアガム、グアガム酵素分解物等の多糖類、ゼイン、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、デキストリン等の炭水化物、シリカ、第三リン酸カルシウム、卵殻カルシウム、乳清ミネラル、シェラック樹脂等の添加剤が適宣配合され、加工されていてもよい。
添加剤は、メントールと同時に多孔質シリカに担持させてもよく、メントールとは別に担持させてもよい。
また、本態様のメントール担持多孔質シリカを製造する際には、必要により水分や溶剤の除去の為、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、真空乾燥機、通風乾燥機等を用いて乾燥してもよいが、これらの中では、メントールの劣化を防止する観点から、真空乾燥機を使用することが好ましい。
本態様のメントール担持多孔質シリカの形態は、特に限定されるものではなく、粉末状、顆粒状、シート状、バルク状、膜状等が挙げられる。
本態様のメントール担持多孔質シリカは、メントールの吸着性に優れ外部からの物理・化学的刺激により緩やかな脱着性を示す特徴をもっている。そのため、本態様のメントール担持多孔質シリカはメントールの清涼感・冷涼感を持続することができ、各種製品に使用することができる。
従って、本態様の一態様として、さらに、本態様のメントール担持多孔質シリカを含有したメントール含有組成物を提供する。本態様のメントール含有組成物は、飲食品、医薬、化粧料、嗜好品およびトイレタリー製品からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
飲食品としては、ガム、キャンディ、打錠菓子、グミ、チョコレート、ビスケット、スナック等の菓子、アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓、粉末飲料、清涼飲料、炭酸飲料、嗜好飲料等が挙げられるが、これらの中でも、清涼感・冷涼感の持続性に対する要求が最も強いガムに本態様のメントール担持多孔質シリカを含有させることにより、本態様の効果がより顕著に発揮される。
医薬としては、貼付剤、パップ剤、プラスター剤、軟膏剤、硬膏剤、坐剤、クリーム剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、酒精剤、ドリンク剤、トローチ剤、チュアブル錠、練歯磨、口中洗浄剤等の医薬品および医薬部外品が挙げられる。
化粧料としては、化粧パウダー、リップクリーム、コロン、制汗剤、整髪料等が挙げられる。
嗜好品としては、たばこ、葉巻、喫煙パイプ等の喫煙具およびたばこ代替品等が挙げられる。
トイレタリー製品としては、浴用剤、消臭剤、芳香剤等が挙げられる。
本態様のメントール含有組成物は、本態様のメントール担持多孔質シリカが用いられる以外は、通常と同様の方法により製造することができ、本態様の所望の効果が発現されるものが得られるのであれば、メントール担持多孔質シリカの添加時期や添加方法については限定されない。乳化剤を含まないメントール担持多孔質シリカを用いてメントール含有組成物を製造する場合は、該多孔質シリカの他に乳化剤をさらに添加して、通常と同様の方法により製造することが好ましい。例えば、ガムの場合は、ガムベースと本態様のメントール担持多孔質シリカと必要に応じてその他の副原料を合わせて混錬し、成形することによって得られる。ガムベースは、例えば、弾性体、ワックス、無機質等が適宜選択して使用される。弾性体として例えば天然ゴム、天然チクル、ポリイソブチレン、酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、合成弾性体、天然弾性体等が挙げられ、ワックスとしては、ライスワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらは、単独であっても2種以上を混合して用いてもよい。例えば、風船ガムタイプの製造には、酢酸ビニル樹脂が、レギュラーガムタイプの製造には、天然チクルが、ガムベースの主成分としてそれぞれ汎用されている。
本態様のメントール含有組成物における、メントール担持多孔質シリカの含有量は、使用する製品および目的に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、ガムの場合は、本態様のメントール担持多孔質シリカによる清涼感、冷涼感の向上、食味への影響等の観点から、ガム原料の総量100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
(第二態様)
次に、担持される物質が揮発性物質である第二態様について説明する。本態様においては、冷却効果が高く、その持続性に優れた揮発性物質担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有する組成物が提供される。本態様の揮発性物質担持多孔質シリカは、揮発性物質の担持性に優れ内容物の気化速度を上昇させる特徴をもっているので、清涼感・冷涼感を持続することができる。また、予め揮発性物質を多孔質シリカに担持させていることから、種々の組成物に応用する場合に、細孔が塞がれることを防ぐ他、揮発性物質が水などより先に揮発することで、毛細管現象による水の気化速度を上昇、維持することができる。
本態様における揮発性物質としては、メントール、香料および香辛料類、木材から得られる精油等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。効果の点より、メントールが好ましく、そのメントールとしては、天然メントール、合成メントールの他、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等のメントール含有精油を単独もしくは複数組み合わせて用いることができる。
香料および香辛料類としては、例えば、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、ラベンダー油、マンダリン油、ペルガモット油等の柑橘精油類;セージ、ローズマリー、シソ、バジル、ショウガ、わさび等のスパイスオイル;これらを溶媒抽出して得られるオレオレジン類;コーヒーオイル、ローストナッツオイル類、ゴマオイル等の芳香性植物油;バニリン、マルトール、リナロール、グラニオール、シトラール、リモネン等の天然または合成香料化合物などが挙げられる。
木材から得られる精油としてはヒバ精油、ヒノキ精油、スギ精油、マツ精油などが挙げられる。
本態様における多孔質シリカの平均細孔径、細孔の構造、細孔容積、比表面積、および平均粒子径は、第一態様と同様である。
本態様における多孔質シリカは第一態様と同様にして製造することができる。また、多孔質シリカへの揮発性物質の担持も第一態様と同様にして行うことができる。
揮発性物質の含有量は、特に限定されないが、放出持続性、低刺激性およびコスト低減の観点から、多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、0.01〜50重量部が好ましく、1〜40重量部がより好ましく、20〜40重量部がさらに好ましい。
さらに、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカには、冷却効果およびその持続性を向上させ、かつ水に対する分散性を向上させる観点から、乳化剤が含有されていることが好ましい。
本態様における乳化剤は、第一態様と同様である。
本態様の揮発性物質担持多孔質シリカを製造する際に乳化剤を添加する時期および添加方法は、第一態様と同様である。
さらに、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカには、前記揮発性物質以外に、アミノ安息香酸エチル、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、インドメタシン、ウフェナマート、カンフル、グリセオフルビン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、クロタミトン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、ケトプロフェン、ゲンタマイシン、サリチル酸、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸グリコール、サリチル酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸メチル、シーサップ、ジフェニルイミダゾール、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸、タンニン酸ジフェンヒドラミン、チモール、テトラサイクリン、トレハロース、ノニル酸ワリニルアミド、ハマメリスエ、ヒアルロン酸ナトリウム、ビオゾール、ピロキシカム、フェルビナク、ブフェキサマク、フルオシロンアセトニド、マレイン酸クロルフェニラミン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウル、塩酸イソチベンジル、塩酸ジブカイン、酢酸デキサメタゾン、酢酸トコフェロール、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、硫酸フラジオマイシン、尿素、アシタバエキス、アマチャエキス、アロエエキス、アロエベラエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オランダカラシエキス、オリザノール、カミツレエキス、カワラヨモギエキス、キダチアロエエキス、キトサンサクシナミド、キナエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、ケープアロエエキス、ゲンチアナエキス、コウジ酸、ゴボウエキス、コメヌカ発酵液、コメ胚芽油、コンフリーエキス、サンザシエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シャクヤクエキス、シラカバ樹皮エキス、シルクエキス、スイカズラエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイズエキス、ダイズ発酵エキス、チャエキス、チョウジエキス、デキサメタゾン、トウキエキス、トウキンセンカエキス、ドクダミエキス、ノバラエキス、ヒキオコシエキス、ビワ葉エキス、ブクリョウエキス、ブドウ葉エキス、プラセンタエキス、ベアベリーエキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、ムコ多糖、モモ葉エキス、ユーカリ油、ユキノシタエキス、ヨモギエキス、ラクトフェリン、ラベンダーエキス、レイシエキス、レモンエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス、ログウッドエキス、ワレモコウエキス、加水分解エラスチン、加水分解コンキオリン、加水分解シルク、加水分解酵母、加水分解酵母エキス、褐藻エキス、甘草エキス、甘草フラボノイド、紫蘇エキス等の鎮痛効果、消炎効果、保湿効果、血行促進効果、美白効果、殺菌・静菌・消毒効果、抗生物質、抗ヒスタミン剤等を有する医薬品や機能性物質、コエンザイムQ10などの代謝促進物から選ばれる1種または2種以上が含有されていてもよい。
さらに、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカには、必要に応じて第一態様と同様の添加剤が適宣配合され、加工されていてもよい。
添加剤は、揮発性物質と同時に多孔質シリカに担持させてもよく、揮発性物質とは別に担持させてもよい。
また、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカは第一態様と同様に製造することができる。
本態様の揮発性物質担持多孔質シリカの形態は、特に限定されるものではなく、粉末状、顆粒状、シート状、バルク状、膜状等が挙げられる。
本態様の揮発性物質担持多孔質シリカは、揮発性物質の吸着性に優れ外部からの物理・化学的刺激により緩やかな脱着性を示す特徴をもっている。そのため、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカは冷却効果を持続することができ、各種製品に使用することができる。また、予め揮発性物質を多孔質シリカに担持させていることから、各種製品に応用する場合に、細孔が塞がれることを防ぐ他、揮発性物質が水などより先に揮発することで、毛細管現象による水の気化速度を上昇、維持することができる。
従って、本態様の一態様として、さらに、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカを含有した揮発性物質含有組成物を提供する。本態様の揮発性物質含有組成物は、医薬または化粧料であることが好ましい。
医薬としては、貼付剤、パップ剤、パック剤、発熱時や炎症時の冷却ゲルシート、冷湿布剤、電気治療器の導電性パッド等に使用されるゲル状、ジェル状、ゾル状または軟膏状の皮膚外用医薬品および皮膚外用医薬部外品などが挙げられ、中でも、発熱時や炎症時の冷却ゲルシート、スポーツ後の筋肉の炎症を抑えるアイシング剤、冷湿布剤が好ましく、冷却ゲルシートがさらに好ましい。化粧料としては、化粧パウダー、リップクリーム、制汗剤等が挙げられる。
本態様の揮発性物質含有組成物は、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカが用いられる以外は、通常と同様の方法により製造することができ、本態様の所望の効果が発現されるものが得られるのであれば、揮発性物質担持多孔質シリカの添加時期や添加方法については限定されない。乳化剤を含まない揮発性物質担持多孔質シリカを用いて揮発性物質含有組成物を製造する場合は、該多孔質シリカの他に乳化剤をさらに添加して、通常と同様の方法により製造することが好ましい。例えば、貼付剤の場合、樹脂類、可塑剤、ゲル化剤、油脂類、水等から適宜選択された1種または2種以上を含有した基材に、揮発性物質を担持した多孔質シリカを添加し分散させて製造することができる。また、さらに、織布や不織布等でできた支持体に該多孔質シリカを塗布し、必要によりポリエチレンフィルム等のフェイシングを被覆することによって得ることができる。ここで、樹脂類としては、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペンフェノール樹脂等の粘着付与剤などが挙げられ、可塑剤としては、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソプレン、液状ポリアクリレート、ラテックス等が挙げられ、ゲル化剤としては、例えば、寒天、CMCセルロース、ゼラチン、ファーセレラン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、グアガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギナン、大豆多糖類、その他無機ゲルや無機ゾル、無機塩等が挙げられる。
本態様の揮発性物質含有組成物における、揮発性物質担持多孔質シリカの含有量は、使用する製品および目的に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、冷却ゲルシートの場合は、本態様の揮発性物質担持多孔質シリカによる冷却効果の向上の観点から、冷却ゲルシート原料の総量100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
(第三態様)
次に、担持される物質が温熱性物質である第三態様について説明する。本態様においては、長時間温熱感が持続するとともに、温熱性物質による肌への刺激も抑制できる温熱性物質担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有する組成物が提供される。
本態様における温熱性物質としては、唐辛子エキス、カプサイシン、ショウキョウエキス、ショウガオール、ノニル酸バニリルアミド、カンフル、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、サリチル酸メチル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。温熱性物質は、効果の点より、唐辛子エキスを単独でまたは唐辛子エキスと別の温熱性物質を組み合わせて用いられることが好ましい。
本態様における多孔質シリカの平均細孔径、細孔の構造、細孔容積、比表面積、および平均粒子径は、第一態様と同様である。
本態様における多孔質シリカは第一態様と同様にして製造することができる。また、多孔質シリカへの温熱性物質の担持も第一態様と同様にして行うことができる。
温熱性物質の含有量は、特に限定されないが、放出持続性、低刺激性およびコスト低減の観点から、多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、0.01〜50重量部が好ましく、1〜40重量部がより好ましく、20〜40重量部がさらに好ましい。
さらに、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカには、温熱感の持続、低刺激性および水への分散性の向上の観点から、乳化剤が含有されていることが好ましい。
本態様における乳化剤は、第一態様と同様である。
本態様の温熱性物質担持多孔質シリカを製造する際に乳化剤を添加する時期および添加方法は、第一態様と同様である。
さらに、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカには、前記温熱性物質以外に、第二態様と同様の医薬品、機能性物質または代謝促進物が含有されていてもよい。
さらに、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカには、必要に応じて第一態様と同様の添加剤が適宣配合され、加工されていてもよい。
添加剤は、温熱性物質と同時に多孔質シリカに担持させてもよく、温熱性物質とは別に担持させてもよい。
また、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカは第一態様と同様に製造することができる。
本態様の温熱性物質担持多孔質シリカの形態は、特に限定されるものではなく、粉末状、顆粒状、シート状、バルク状、膜状等が挙げられる。
本態様の温熱性物質担持多孔質シリカは、温熱性物質の吸着性に優れ外部からの物理・化学的刺激により緩やかな脱着性を示す特徴をもっている。そのため、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカは温熱効果を持続することができ、各種製品に使用することができる。
従って、本態様の一態様として、さらに、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカを含有した温熱性物質含有組成物を提供する。本態様の温熱性物質含有組成物は、医薬または化粧料であることが好ましい。
医薬としては、貼付剤、クリーム剤、パップ剤、パック剤、温熱ゲルシート、湿布剤、電気治療器の導電性パッド等に使用されるゲル状、ジェル状、ゾル状または軟膏状の皮膚外用医薬品および皮膚外用医薬部外品などが挙げられ、中でも、肩凝り、腰痛などに使用される温湿布および指先などの血行促進に使用されるハンドクロームが好ましく、温湿布がさらに好ましい。化粧料としては、化粧パウダー、リップクリーム等が挙げられる。
本態様の温熱性物質含有組成物は、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカが用いられる以外は、通常と同様の方法により製造することができ、本態様の所望の効果が発現されるものが得られるのであれば、温熱性物質担持多孔質シリカの添加時期や添加方法については限定されない。乳化剤を含まない温熱性物質担持多孔質シリカを用いて温熱性物質含有組成物を製造する場合は、該多孔質シリカの他に乳化剤をさらに添加して、通常と同様の方法により製造することが好ましい。例えば、貼付剤の場合、第二態様において揮発性物質の代わりに温熱性物質を用いる以外は第二態様に例示した貼付剤と同様に製造することができる。
本態様の温熱性物質含有組成物における、温熱性物質担持多孔質シリカの含有量は、使用する製品および目的に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、温湿布の場合は、本態様の温熱性物質担持多孔質シリカによる温熱効果および持続性の向上の観点から、温湿布原料の総量100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
(第四態様)
次に、担持される物質が植物ポリフェノールである第四態様について説明する。本態様においては、消臭効果が持続する植物ポリフェノール担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有する組成物が提供される。
本態様における植物ポリフェノールは、光合成を行う植物のほとんどに含有されている物質であり、その原料となる植物は、特に限定するものではないが、例えば、茶等のツバキ科植物、ブドウ等のブドウ科植物、コーヒー等のアカネ科植物、カカオ等のアオギリ科植物、ソバ等のタデ科植物、グーズベリー、クロフサスグリ、アカスグリ等のユキノシタ科植物、ブルーベリー、ホワートルベリー、ブラックハクルベリー、クランベリー、コケモモ等のツツジ科植物、赤米、ムラサキトウモロコシ等のイネ科植物、マルベリー等のクワ科植物、エルダーベリー、クロミノウグイスカグラ等のスイカズラ科植物、プラム、ヨーロッパブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、エゾイチゴ、セイヨウキイチゴ、オオナワシロイチゴ、オランダイチゴ、クロミキイチゴ、モレロチェリー、ソメイヨシノ、セイヨウミザクラ、甜茶、リンゴ等のバラ科植物、エンジュ、小豆、大豆、タマリンド、ミモザ、ペグアセンヤク等のマメ科植物、紫ヤマイモ等のヤマイモ科植物、カキ等のカキ科植物、ヨモギ、春菊等のキク科植物、バナナ等のバショウ科植物、ヤマカワラムラサキイモ等のヒルガオ科植物、ローゼル等のアオイ科植物、赤シソ等のシソ科植物、赤キャベツ等のアブラナ科植物等が挙げられ、これらの植物に応じて果実、果皮、花、葉、茎、樹皮、根、塊根、種子、種皮等の部位が任意に選ばれる。
植物ポリフェノールは、上記植物より、熱水、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の溶媒により抽出して得ることができる。中でも、ツバキ科植物である茶葉より抽出して得られる植物ポリフェノールが好ましい。その具体的な物質としては、カテキン、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、テアフラビン等があり、これらから選ばれる一種または二種以上の混合物が挙げられる。また、抽出物中の植物ポリフェノールの純度についても特に限定するものではなく、好ましくは40%以上であり、より好ましくは、60%以上である。なお、サンフラボン(太陽化学株式会社製)、テアフラン(株式会社伊藤園製)、サンウーロン(サントリー株式会社製)、ポリフェノン(東京フードテクノ株式会社製)等、市販の植物ポリフェノール含有素材も使用できる。
本態様における多孔質シリカの平均細孔径、細孔の構造、細孔容積、比表面積、および平均粒子径は、第一態様と同様である。
本態様における多孔質シリカは第一態様と同様にして製造することができる。また、多孔質シリカへの植物ポリフェノールの担持も第一態様と同様にして行うことができる。
植物ポリフェノールの含有量は、特に限定されないが、消臭効果持続性およびコスト低減の観点から、多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、10〜1000重量部が好ましく、20〜500重量部がより好ましく、50〜200重量部がさらに好ましい。
さらに、本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカには、消臭効果持続および水への分散性の向上の観点から、乳化剤が含有されていることが好ましい。
本態様における乳化剤は、第一態様と同様である。
本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカを製造する際に乳化剤を添加する時期および添加方法は、第一態様と同様である。
また、本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカは第一態様と同様に製造することができる。
本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカの形態は、特に限定されるものではなく、粉末状、顆粒状、シート状、バルク状、膜状等が挙げられる。
本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカは、植物ポリフェノールの吸着性に優れ外部からの物理・化学的刺激から植物ポリフェノールを保護する特徴をもっている。そのため、本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカは消臭効果を持続することができ、各種製品に使用することができる。
従って、本態様の一態様として、さらに、本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカを含有した植物ポリフェノール含有組成物を提供する。本態様の植物ポリフェノール含有組成物は、エアコン、空気清浄機、石油ファンヒータ、加湿器、除湿機、電気掃除機、マスク等の、空気清浄のためのフィルタであることが好ましい。
本態様の植物ポリフェノール含有組成物は、本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカが用いられる以外は、通常と同様の方法により製造することができ、本態様の所望の効果が発現されるものが得られるのであれば、植物ポリフェノール担持多孔質シリカの添加時期や添加方法については限定されない。乳化剤を含まない植物ポリフェノール担持多孔質シリカを用いて植物ポリフェノール含有組成物を製造する場合は、該多孔質シリカの他に乳化剤をさらに添加して、通常と同様の方法により製造することが好ましい。
本態様の植物ポリフェノール含有組成物が、例えば、フィルタの場合、本態様の植物ポリフェノール担持多孔質シリカを、通気性を有するフィルタ基材に担持させることで製造される。この場合、植物ポリフェノール担持多孔質シリカを含有する組成物の水分量は、特に限定されないが、消臭性を維持する観点から、1〜15重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましい。
フィルタ基材としては、織布、不織布および不織布加工品、ネット、およびスポンジ等の他、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムの様な汎用の熱可塑性フィルムや薄板、紙およびコルゲートやハニカムなどの紙加工品、金属シートやネット、セラミック基材およびそれらの加工品等が挙げられる。これらの内、フィルムや薄板等の通気性に乏しいシートは、微細な穴をあけて通気性を向上させ、通気性フィルタとしても良く、コルゲートコア状、またはハニカム状等の通気性を有する形状に組み立てたもの等を用いても良い。その中でも、特に不織布等を用いれば、比較的均一な通気性を確保することができるばかりか、封入加工も容易であるため、優位に使用される。
このうち前者の、それ自体が通気性を有する基材としては、材料面では、本態様の抗菌消臭剤を良好に保持するために、当該抗菌消臭剤を構成する両成分に対する親和性のよい材料にて形成されたものが好適に使用される。かかる材料としては、例えば陰イオン性官能基(カルボキシル基、スルホン基等)を有する高分子材料や、あるいはセルロース系繊維等があげられる。また構造面では、抗菌消臭剤を多量に保持できるように嵩高とされたものが好適に使用される。あるいは、自身の持つ静電気力によって、空気中に浮遊する細菌や粉塵等の微小粒子を捕集する機能を有するエレクトレット化不織布を基材として使用すると、低圧損で高効率の捕集、抗菌、消臭効果が期待できる。かかるエレクトレット化不織布としては、とくに捕集効率が高いエレクトレット型の、メルトブローン不織布、スプリットファイバー不織布が好適である。
前記基材に本態様の多孔質シリカを担持させるには、例えば多孔質シリカを含む液を基材に塗布するか、または上記液中に基材を浸漬したのち引き上げればよい。さらには、上記液をパルプとともに抄紙して、多孔質シリカをその内部に漉き込むことで直接に、フィルタを形成してもよい。
なお液には、基材への塗布あるいは含浸後に固化または硬化して、当該基材の表面、または基材を構成する紙等の繊維の表面に多孔質シリカを含む被膜を形成し、あるいはフィルタの抄紙時に、抗菌消臭剤を取り込んだ状態で、パルプを強固に結合させるために機能するバインダを添加してもよい。
かかるバインダとしては、例えばアクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水性ビニルウレタン樹脂、常乾型フッ素樹脂等の、水溶性またはエマルジョン系の合成樹脂や、セラック樹脂、コーパルゴム、ダンマルゴム等の天然系樹脂、あるいはコロイダルシリカ等の無機系バインダや、ポリイソシアネートとコロイダルシリカとの複合物等の有機・無機複合型バインダ等があげられる。バインダの添加量は、特に限定されるものではないが、被膜を形成する効果を十分に得、消臭効果を維持する観点から、多孔質シリカまたは植物ポリフェノールが担持された多孔質シリカ100重量部に対して、5〜150重量部が好ましく、20〜70重量部がさらに好ましい。
本態様の植物ポリフェノール含有組成物における、植物ポリフェノール担持多孔質シリカの含有量は、使用する製品および目的に応じて適宜選択でき、特に限定されない。
(第五態様)
次に、担持される物質が有機色素である第五態様について説明する。本態様においては、長時間有機色素の放出を制御することができるので、耐水性、耐光性および発色性に優れる有機色素担持多孔質シリカおよび該多孔質シリカを含有する組成物が提供される。
本態様における有機色素としては、酸性染料、塩基性染料、建染染料、直接染料、油溶性染料、反応染料、有機顔料、天然色素等が挙げられる。
酸性染料としては、特に限定されるものではないが、例えばC.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドオレンジ19、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.アシッドブラック2、C.I.アシッドブラック7、C.I.アシッドブラック24、C.I.アシッドブラック26、C.I.アシッドブラック31、C.I.アシッドブラック52、C.I.アシッドブラック63、C.I.アシッドブラック112、C.I.アシッドブラック118、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー59、C.I.アシッドブルー93、C.I.アシッドブルー102、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー113、C.I.アシッドブルー117、C.I.アシッドブルー120、C.I.アシッドブルー167、C.I.アシッドブルー229、C.I.アシッドブルー234、C.I.アシッドレッド1、C.I.アシッドレッド6、C.I.アシッドレッド32、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド80、C.I.アシッドレッド85、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド115、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドレッド256、C.I.アシッドレッド315、C.I.アシッドレッド317、褐色201号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、黒色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、緑色3号、緑色201号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、橙色205号、橙色207号、橙色402号等が挙げられる。
塩基性染料としては、特に限定されるものではないが、例えばC.I.ベーシックイエロー11、C.I.ベーシックイエロー28、C.I.ベーシックバイオレット3、C.I.ベーシックバイオレット7、C.I.ベーシックバイオレット14、C.I.ベーシックバイオレット27、C.I.ベーシックブラック2、C.I.ベーシックブルー1、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.ベーシックブルー7、C.I.ベーシックブルー9、C.I.ベーシックブルー24、C.I.ベーシックブルー25、C.I.ベーシックブルー26、C.I.ベーシックブルー28、C.I.ベーシックブルー29、C.I.ベーシックレッド1、C.I.ベーシックレッド2、C.I.ベーシックレッド9、C.I.ベーシックレッド12、C.I.ベーシックレッド13、C.I.ベーシックレッド14、C.I.ベーシックレッド37、赤色213号、赤色214号等が挙げられる。
建染染料としては、特に限定されるものではないが、例えばC.I.バットブルー1、青色201号、青色204号、赤色226号等が挙げられる。
直接染料としては、特に限定されるものではないが、例えばC.I.ダイレクトイエロー11、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー17、C.I.ダイレクトイエロー23、C.I.ダイレクトイエロー25、C.I.ダイレクトイエロー29、C.I.ダイレクトイエロー42、C.I.ダイレクトイエロー61、C.I.ダイレクトイエロー71、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ34、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ44、C.I.ダイレクトオレンジ46、C.I.ダイレクトオレンジ60、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.ダイレクトバイオレット47、C.I.ダイレクトバイオレット48、C.I.ダイレクトバイオレット51、C.I.ダイレクトブラウン109、C.I.ダイレクトブラック17、C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイレクトブラック32、C.I.ダイレクトブラック51、C.I.ダイレクトブラック71、C.I.ダイレクトブラック108、C.I.ダイレクトブラック146、C.I.ダイレクトブラック154、C.I.ダイレクトブラック166、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー6、C.I.ダイレクトブルー22、C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー71、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー90、C.I.ダイレクトブルー106、C.I.ダイレクトブルー203、C.I.ダイレクトブルー264、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.ダイレクトレッド17、C.I.ダイレクトレッド23、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド31、C.I.ダイレクトレッド37、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド81、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトレッド201、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.ダイレクトレッド242等が挙げられる。
油溶性染料としては、特に限定されるものではないが、例えば黄色201号、黄色204号、黄色404号、黄色405号、紫色201号、青色403号、赤色215号、赤色218号、赤色223号、赤色225号、赤色501号、赤色505号、緑色202号、緑色204号、橙色201号、橙色206号、橙色403号等が挙げられる。
反応染料としては、特に限定されるものではないが、例えばC.I.リアクティブオレンジ16、C.I.リアクティブブラック5、C.I.リアクティブブルー21、C.I.リアクティブブルー27、C.I.リアクティブブルー28、C.I.リアクティブブルー38、C.I.リアクティブレッド21等が挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されるものではないが、例えばC.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー27、C.I.ピグメントレッド166、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色228号、赤色404号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、橙色401号等が挙げられる。
天然色素としては例えば、クロロフィル、β−カロテン、ルテイン、リコペン、クチナシ黄色素、ベニバナ黄色素、ウコン色素、ベニコウジ黄色素、パーム油カロテン、ベニコウジ色素、クチナシ赤色素、ベニバナ赤色素、ビートレッド、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素、シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、ブルーベリー色素、エルダーベリー色素、トウガラシ色素、アナトー色素、クチナシ青、クチナシ黄、ベニバナ黄、ベニコウジ黄、スピルリナ色素、フィコシアニン、カカオ色素、カキ色素等が挙げられる。
上記有機色素は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、発色性の良い、染料が好ましく、インク特にインクジェットインクとして使用する場合、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー59、C.I.アシッドブルー93、C.I.アシッドブルー102、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー113、C.I.アシッドブルー117、C.I.アシッドブルー120、C.I.アシッドブルー167、C.I.アシッドブルー229、C.I.アシッドブルー234、C.I.アシッドレッド1、C.I.アシッドレッド6、C.I.アシッドレッド32、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド80、C.I.アシッドレッド85、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド115、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドレッド256、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド315、C.I.アシッドレッド317より選ばれる1種または2種以上が特に好ましい。
本態様における多孔質シリカの平均細孔径、細孔の構造、細孔容積および比表面積は、第一態様と同様である。
本態様における多孔質シリカの平均粒子径は、有機色素の安定性の観点から、好ましくは50nm〜10μmであり、より好ましくは50nm〜5μmであり、さらに好ましくは50〜500nmであり、さらにより好ましくは50〜300nmである。
本態様における多孔質シリカは第一態様と同様にして製造することができる。また、多孔質シリカへの有機色素の担持も第一態様と同様にして行うことができる。
有機色素の含有量は、特に限定されないが、安定性およびコスト低減の観点から、多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、0.01〜300重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましく、5〜50重量部がさらに好ましい。
さらに、本態様の有機色素担持多孔質シリカには、安定性、放出制御および水への分散性の向上の観点から、乳化剤が含有されていることが好ましい。
本態様における乳化剤は、第一態様と同様であるが、乳化剤の含有量は、発色性および水への分散性の向上の観点から、好ましくは多孔質シリカに有機色素を担持させた多孔質シリカ100重量部(固形物換算)に対して、0.01〜80重量部が好ましく、0.01〜50重量部がより好ましく、1〜50重量部がさらに好ましく、1〜20重量部がさらにより好ましい。
本態様の有機色素担持多孔質シリカを製造する際に乳化剤を添加する時期および添加方法は、第一態様と同様である。
さらに、本態様の有機色素担持多孔質シリカには、必要に応じて第一態様と同様の添加剤が適宣配合され、加工されていてもよい。
添加剤は、有機色素と同時に多孔質シリカに担持させてもよく、有機色素質とは別に担持させてもよい。
また、本態様の有機色素担持多孔質シリカは第一態様と同様に製造することができる。
本態様の有機色素担持多孔質シリカの形態は、特に限定されるものではなく、粉末状、顆粒状、シート状、バルク状、膜状等が挙げられる。
本態様の有機色素担持多孔質シリカは、耐水性、耐光性、発色性に優れるという特徴を有しており、外部からの物理・化学的刺激に対しても安定であるという特徴を有している。そのため、本態様の多孔質シリカは、優れた発色性を長期間持続することができ、インクなどの色素製剤、飲食品、化粧料等、各種製品に使用することができる。インクとしては、例えば、インクジェット用インク、ボールペン用インク等が挙げられる。飲食品としては、例えば、ガム、キャンディ、打錠菓子、グミ、チョコレート,ビスケットまたはスナック等の菓子、アイスクリーム,シャーベットまたは氷菓等の冷菓、清涼飲料、炭酸飲料、嗜好飲料等が挙げられる。化粧料としては、化粧パウダー、口紅等が挙げられる。中でも、耐水性、耐光性、発色性が最も望まれるインクジェット用インクが好ましい。
本態様の有機色素含有組成物は、本態様の有機色素担持多孔質シリカが用いられる以外は、通常と同様の方法により製造することができ、本態様の所望の効果が発現されるものが得られるのであれば、有機色素担持多孔質シリカの添加時期や添加方法については限定されない。乳化剤を含まない有機色素担持多孔質シリカを用いて有機色素含有組成物を製造する場合は、該多孔質シリカの他に乳化剤をさらに添加して、通常と同様の方法により製造することが好ましい。
本態様の有機色素含有組成物における、有機色素担持多孔質シリカの含有量は、使用する製品および目的に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、インクジェット用インクの場合は、発色性およびコスト低減の観点から、インクジェット用インク原料の総量100重量部に対して、0.01〜90重量部が好ましく、1〜60重量部がより好ましく、10〜60重量部がさらに好ましい。
本発明の別の態様においては、前記揮発性物質担持多孔質シリカを含有する組成物以外にも、揮発性物質を担持してない多孔質シリカを含有する組成物によっても、高い冷却効果および高い持続性が得られる。
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
細孔の形状は全自動X線回折装置(RINT ULTIMA II 理学電機株式会社製)により測定した。平均細孔径、細孔容積および比表面積は公知のBET法による窒素吸着等温線により求めた。平均粒子径はレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS SYMPATEC社製)により測定した。
多孔質シリカの製造例1
日本化学工業(株)製の1号珪酸ソーダ(SiO/NaO=2.00)50gを界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド〔C1837N(CHCl〕の0.1M水溶液1000mlに分散させ、70℃で3時間撹拌しながら加熱した。その後、70℃で加熱・撹拌しながら、2Nの塩酸を添加して、分散液のpHを8.5に下げ、さらに70℃で3時間加熱・撹拌した。固形生成物を一旦濾過し、再度イオン交換水1000mlに分散させ撹拌した。この濾過・分散撹拌を5回繰り返した後40℃で24時間乾燥させた。乾燥させた固形生成物を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより、多孔質シリカAを得た。得られた多孔質シリカAには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカAの平均細孔径は3.3nm、比表面積は941m/g、細孔容積は1.13cm/gであった。
多孔質シリカの製造例2
日本化学工業(株)製の粉末珪酸ソーダ(SiO/NaO=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成し、δ−NaSiの結晶を得た。得られた結晶50gをイオン交換水500mlに分散させ、25℃において3時間撹拌した後、濾過により固形分を回収して層状シリケートである湿潤カネマイト50g(乾燥物換算)を得た。このカネマイトを乾燥することなく、界面活性剤であるオレイル硫酸エステルナトリウムの0.1M溶液1000mlに分散させ、70℃で3時間撹拌しながら加熱した。その後、70℃で加熱・撹拌しながら、2Nの塩酸を添加して、分散液のpHをpH8.5に下げ、さらに70℃で3時間加熱・撹拌した。固形生成物を一旦濾過し、再度イオン交換水1000mlに分散させ撹拌した。この濾過・分散撹拌を5回繰り返した後40℃で24時間乾燥させた。乾燥させた固形生成物を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより二酸化珪素を含む多孔質シリカBを得た。得られた多孔質シリカBには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカBの平均細孔径は2.9nm、比表面積は932m/g、細孔容積は1.09cm/g、平均粒子径は350nmであった。
多孔質シリカの製造例3
ポリエチレングリコール2g、イオン交換水15gおよび2N塩酸60mlを80℃で撹拌し分散させた後、テトラエトキシシラン(TEOS)4.25gを添加し、80℃で12時間撹拌した。固形生成物を一旦濾過し、再度イオン交換水1000mlに分散させ撹拌した。この濾過・分散撹拌を5回繰り返した後40℃で24時間乾燥させた。乾燥させた固形生成物を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより二酸化珪素を含む多孔質シリカCを得た。得られた多孔質シリカCには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカCの平均細孔径は2.8nm、比表面積は928m/g、細孔容積は1.02cm/g、平均粒子径は300nmであった。
多孔質シリカの製造例4
N,N,N−トリメチル−1−ヘキサデシルアンモニウムクロリド29重量%溶液を水酸化物−ハロゲン化物交換樹脂に接触させて調製した水酸化セチルトリメチル(CTMA)溶液100gを、テトラメチルアンモニウム(TMA)シリケート(シリカ10%)水溶液100gに撹拌しながら混合した。遊離水約6重量%と水和結合水約4.5重量%を含み、極限粒子径が約0.02μmの沈降性水和シリカであるハイシル(HiSil)25gを添加した。得られた混合物を90℃で1日間反応させた。得られた固体生成物を濾過して回収し、40℃で乾燥させた。次に生成物を540℃の窒素中で1時間、続いて空気中で6時間焼成することにより二酸化珪素を含む多孔質シリカDを得た。得られた多孔質シリカDには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカDの平均細孔径は3.9nm、比表面積は945m/g、細孔容積は、1.15cm/g、平均粒子径は1.1μmであった。
多孔質シリカの製造例5
ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム2g、イオン交換水15g、2N塩酸60mlを80℃で撹拌し分散させた後、テトラエトキシシラン(TEOS)4.25gを添加し、80℃で12時間撹拌した。固形生成物を一旦濾過し、再度イオン交換水1000mlに分散させ撹拌した。この濾過・分散撹拌を5回繰り返した後40℃で24時間乾燥させた。乾燥させた固形生成物を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより二酸化珪素を含む多孔質シリカEを得た。得られた多孔質シリカEには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカEの平均細孔径は3.9nm、比表面積は945m/g、細孔容積は1.15cm/g、平均粒子径は5.1μmであった。
多孔質シリカの製造例6
日本化学工業(株)製の1号珪酸ソーダ(SiO/NaO=2.00)50gを界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド〔C1837N(CHCl〕の0.1M水溶液1000mlに分散させ、70℃で3時間撹拌しながら加熱した。その後、70℃で加熱・撹拌しながら、2Nの塩酸を添加して、分散液のpHを8.5に下げ、さらに70℃で3時間加熱・撹拌した。固形生成物を一旦濾過し、再度イオン交換水1000mlに分散させ撹拌した。この濾過・分散撹拌を5回繰り返した後40℃で24時間乾燥させた。乾燥させた固形生成物を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより、多孔質シリカFを得た。得られた多孔質シリカFには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカFの平均細孔径は2.7nm、比表面積は941m/g、細孔容積は1.13cm/g、平均粒子径は380nmであった。
多孔質シリカの製造例7
製造例6で得られた多孔質シリカF10gを超純水1000mlに分散後、N−2(アミノメチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン10g添加し、室温で30分間撹拌させた。混合液を吸引濾過後、得られた固形物120℃で1時間静置乾燥させた。その後、超純水1000mlに分散させ、10分間撹拌した。混合液をさらに吸引濾過し得られた固形物を40℃で48時間乾燥させて多孔質シリカGを得た。得られた多孔質シリカGには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカGの平均細孔径は2.9nm、比表面積は895m/g、平均粒子径495nmであった。
多孔質シリカの製造例8
ポリグリセリン2g、イオン交換水15g、2N塩酸60mlを80℃で撹拌し分散させた後、テトラエトキシシラン(TEOS)4.25gを添加し、80℃で12時間撹拌した。固形生成物を一旦濾過し、再度イオン交換水1000mlに分散させ撹拌した。この濾過・分散撹拌を5回繰り返した後40℃で24時間乾燥させた。乾燥させた固形生成物を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより二酸化珪素を含む多孔質シリカHを得た。得られた多孔質シリカHには、X線回折により六方構造の細孔が形成されていることが確認された。また、多孔質シリカHの平均細孔径は2.6nm、比表面積は913m/g、細孔容積は0.99cm/gであった。
[実施例1−1]
エタノール200gに溶解させた天然L−メントール14gを、多孔質シリカA20gに添加・混合した後、ホモミキサーを用いて40℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒(エタノール)を濃縮除去し、メントール担持多孔質シリカ34g(水分量:2重量%)を得た。
[実施例1−2〜1−5]
多孔質シリカAの代わりに、多孔質シリカB、C、DまたはE20gを使用した以外は、実施例1−1と同様にして、メントール担持多孔質シリカを得た。
[実施例1−6]
天然L−メントール30gを多孔質シリカA70gと混合した後、密閉容器に入れ、40℃で1週間減圧下で放置し、昇華したメントールを二酸化珪素を含む多孔質シリカに吸着させて、メントール担持多孔質シリカ100gを得た。
[実施例1−7]
エタノール10gに、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18G;太陽化学株式会社製、HLB=18)1gを溶解させた溶液を、実施例1−1で得られたメントール担持多孔質シリカ20gに添加・混合した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒(エタノール)を濃縮除去し、メントール担持多孔質シリカ20gを得た。
[実施例1−8]
エタノール30gに、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18G;太陽化学株式会社製、HLB=18)10gを溶解させた溶液を、実施例1−1で得られたメントール担持多孔質シリカ20gに添加・混合した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒(エタノール)を濃縮除去し、メントール担持多孔質シリカ26gを得た。
[実施例1−9]
水10gに、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18EG:太陽化学株式会社製、HLB=18)1gを溶解させた溶液を、実施例1−1で得られたメントール担持多孔質シリカ20gに添加・混合し、メントール担持多孔質シリカ31gを得た。
[実施例1−10]
ポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル:三菱化学フーズ株式会社製:L−1695)を使用した以外は実施例1−7と同様の方法でメントール担持多孔質シリカ20gを得た。
比較例1−1
水66.2gにβ−サイクロデキストリン(セルデックスN;日本食品化工株式会社製)5gを撹拌溶解し、50℃の温度で天然L−メントール10gを添加し、1000r/minで5分間ホモジナイズしてエマルジョンを得た。得られたエマルジョンを送風温度130〜140℃、排風温度60〜70℃の条件で噴霧乾燥し、メントール担持多孔質体12g得た。
比較例1−2
水の使用量を60gに変更し、β−サイクロデキストリンの代わりに分岐サイクロデキストリン(イソエリートP;塩水港精糖株式会社製)40gを使用した以外は、比較例1−1と同様にしてメントール担持多孔質体40gを得た。
[実施例1−A1〜1−A10、比較例1−A1、1−A2]
天然チクル20g、粉糖66.2gおよび水飴12gに、各実施例で得られたメントール担持多孔質シリカまたは比較例で得られたメントール担持多孔質体1gを添加混合し、常法に従って高剪断型ミキサーにて約50℃で混合し、冷却後ロールを用いて圧展成形し、1枚3gのチューインガムを調製した。
得られた各チューインガムの呈味の強さを、パネラー30名(男15名、女15名)により評価した。
噛み始めから1分毎に、呈味の強いものから10〜1の10段階で評価し、30名の平均値を算出した。結果を表1に示す。

以上の結果から、比較例のメントール担持多孔質体を使用したものに比べ、実施例で得られたメントール担持多孔質シリカを使用したチューインガムは、咀嚼を長時間続けても、呈味が持続されることが分かる。
[実施例1−B1〜1−B10、比較例1−B1、1−B2]
水96g、ゲル化剤製剤(サンカラ#2122;太陽化学株式会社製)2gに、各実施例で得られたメントール担持多孔質シリカまたは比較例で得られたメントール担持多孔質体2gを混合し、85℃で5分間撹拌しながら加熱した。成形した後冷却し、100gの貼付剤を得た。
各貼付剤の清涼感・冷涼感の持続性を、パネラー30名(男15名、女15名)により評価した。
貼付剤を縦3cm、横3cmの正方形に切断したものをパネラーの上腕部に貼付し、貼付後から10分毎に清涼感・冷涼感の強いものから10〜1の10段階で評価し、30名の平均値を算出した。結果を表2に示す。

以上の結果から、比較例のメントール担持多孔質体を使用したものに比べ、実施例で得られたメントール担持多孔質シリカを使用した貼付剤は、人体に貼付後、長期間清涼感・冷涼感が持続されることが分かる。
[実施例1−C1〜1−C10]
固形パラフィン10.0g、ヒマシ油20.4g、ラノリン14.0g、ミツロウ5.0g、キャンデリラロウ12.0g、カルナウバロウ7.0g、2−エチルヘキサン酸セチル18.0gおよびミリスチン酸イソプロピル12.0gを溶解後、各実施例で得られたメントール担持多孔質シリカ1gを添加混合し、型に流し込み冷却して99.4gのリップクリームを得た。
[実施例1−D1〜1−D10、比較例1−D1、1−D2]
各実施例で得られたメントール担持多孔質シリカまたは比較例で得られたメントール担持多孔質体5gにβ−カロテン色素を添加し、造粒して粉末とし、赤色の消臭芳香剤5gを得た。
各消臭芳香剤を、室温下で1週間、2週間、1ヵ間および3ヵ月間放置した後のメントールの飛散率(%)を下記式により算出した。結果を表3に示す。
飛散率(%)=(測定前の消臭芳香剤の重量−一定期間放置後の消臭芳香剤)/測定前の消臭芳香剤の重量×100

以上の結果から、比較例のメントール担持多孔質体を使用したものに比べ、実施例で得られたメントール担持多孔質シリカを使用した消臭芳香剤は、メントールの飛散が少なく、徐放性に優れていることがわかる。
製造例2−1
エタノール200gに溶解させた天然L−メントール14gを多孔質シリカF20gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて40℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行い、揮発性物質担持多孔質シリカ34g(水分量:2重量%)を得た。
製造例2−2
天然L−メントール30gを多孔質シリカF70gと混合した後、密閉容器に入れ、40℃で1週間減圧下で放置し、昇華したメントールを二酸化珪素を含む担体に担持させ、揮発性物質担持多孔質シリカ100gを得た。
製造例2−3
エタノール200gに溶解させた天然L−メントール14gに市販の微粒二酸化珪素(商品名:カープレックス、シオノギ製薬株式会社製)20gを添加・混合した後、ホモミキサーを用いて40℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行い、揮発性物質組成物34g(水分量:2重量%)を得た。
[実施例2−1]
製造例2−1で得られた揮発性物質担持多孔質シリカを使用して、水94g、エタノール2g、ゲル化剤製剤(サンカラ#2122;太陽化学株式会社製)2gを85℃で5分間加熱・溶解した後、製造例2−1で得られたメントール担持多孔質シリカ3gを加えて撹拌した。成形した後冷却し、100gの冷却ゲルシートを得た。
[実施例2−2]
水50gにポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18EG;太陽化学株式会社製、HLB=18)1gを溶解させ、この溶液に製造例2−1で得られたメントール担持多孔質シリカ3gを加えて分散し、メントール担持多孔質シリカの分散液を調製した。水44g、エタノール2g、ゲル化剤製剤(サンカラ#2122;太陽化学株式会社製)0.1gを85℃で5分間加熱溶解した後、メントール担持多孔質シリカの分散液を全量加え攪拌した。成形した後冷却し、100gの冷却ゲルシートを得た。
[実施例2−3]
ポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル;三菱化学フーズ株式会社製:L−1695)を添加した以外は実施例2−2と同様な方法で冷却ゲルシート100gを得た。
[実施例2−4]
ポリグリセリン脂肪酸エステルを1g使用する以外は実施例2−3と同様の方法で冷却ゲルシート101gを得た。
比較例2−1
製造例2−1で得られた揮発性物質担持多孔質シリカの代わりに製造例2−3で得られた揮発性物質組成物を使用して、実施例2−1と同様の方法で冷却ゲルシートを得た。
比較例2−2
製造例2−1で得られた揮発性物質担持多孔質シリカの代わりに製造例2−3で使用した原料微粒二酸化珪素を使用して、実施例2−1と同様の方法で冷却ゲルシートを得た。
またコントロールとして、製造例2−1で得られた揮発性物質担持多孔質シリカを使用せずに、実施例2−1と同様の方法で冷却ゲルシートを得た。
試験例2−1
各ゲルシートの清涼感・冷涼感の持続性を、パネラー30名(男15名、女15名)により評価した。
ゲルシートを縦3cm、横3cmの正方形に切断したものをパネラーの上腕部に貼付し、貼付後から20分までは5分毎に20分以降60分までは10分毎に清涼感・冷涼感の強いものから10〜1の10段階で評価し、30名の平均値を算出した。結果を表4に示す。

以上の結果から、実施例で得られた冷却ゲルシートは、比較例で得られた冷却ゲルシートに比べ、人体に貼付後、長期間清涼感・冷涼感が持続されることが確認された。
[実施例2−5]冷却剤(アイシング剤)の製造
白色ワセリン22g、ステアリルアルコール18g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油3g、モノステアリン酸グリセリン1gを水浴上で加熱しながら溶融し、撹拌した。次いで、プロピレングリコール12g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1gを加えて撹拌した。これに、実施例2−1で得られた揮発性物質担持多孔質シリカ2g、サリチル酸メチル2g、エタノール10g、精製水30gを加えて均質になるまで充分に攪拌し、軟膏状のアイシング剤100gを得た。本品を腕に塗布したところ、冷涼感が1時間以上持続し、非常に心地よかった。
製造例3−1
エタノール200gに溶解させた天然唐辛子エキス14gを多孔質シリカF20gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて40℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行い、温熱性物質担持多孔質シリカ34g(水分量:2重量%)を得た。
製造例3−2
エタノール10gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18EG;太陽化学株式会社製)1gを溶解させ、この溶液に製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカ20gを加えて混合した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、温熱性物質担持多孔質シリカ21gを得た。
製造例3−3
ポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル;三菱化学フーズ株式会社製:L−1695)を使用した以外は製造例3−2と同様の方法で温熱性物質担持多孔質シリカ21gを得た。
製造例3−4
エタノール200gに溶解させた天然唐辛子エキス14gに市販の微粒二酸化珪素(商品名:カープレックス、シオノギ製薬株式会社製)20gを添加・混合した後、ホモミキサーを用いて40℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行い、温熱性物質含有組成物34g(水分量:2重量%)を得た。
[実施例3−1]
水94g、エタノール2g、ゲル化剤製剤(サンカラNo.2122;太陽化学株式会社製)2gを85℃にて5分間加熱溶解した後、製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカ3gを加え撹拌した。成形した後冷却し、100gの温熱シートを得た。
[実施例3−2]
製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカの代わりに製造例3−2で得られた温熱性物質担持多孔質シリカを使用して、実施例3−1と同様の方法で温熱シートを得た。
[実施例3−3]
製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカの代わりに製造例3−3で得られた温熱性物質担持多孔質シリカを使用して、実施例3−1と同様の方法で温熱シートを得た。
[実施例3−4]
水50gにポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18EG;太陽化学株式会社製、HLB=18)0.15gを溶解させ、この溶液に製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカ3gを加えて分散し、温熱性物質担持多孔質シリカの分散液を調製した。水44g、エタノール2g、ゲル化剤製剤(サンカラ#2122;太陽化学株式会社製)2gを85℃で5分間加熱溶解した後、温熱性物質担持多孔質シリカの分散液を全量加え攪拌した。成形した後冷却し、100gの温熱シートを得た。
[実施例3−5]
ポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル;三菱化学フーズ株式会社製:L−1695)を添加した以外は実施例3−4と同様な方法で温熱シート100gを得た。
比較例3−1
製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカの代わりに製造例3−4で得られた温熱性物質含有組成物を使用して、同様な方法で比較品の温熱シートを得た。
試験例3−1
各温熱シートの温熱感の持続性を、パネラー30名(男15名、女15名)により評価した。
温熱シートを縦3cm、横3cmの正方形に切断したものをパネラーの上腕部に貼付し、貼付後から5分毎に温熱感の強いものから10〜1の10段階で評価し、30名の平均値を算出した。結果を表5に示す。また、添付直後の皮膚刺激性についての有無を同時に比較した。

以上の結果から、実施例で得られた温熱シートは、比較で得られた温熱シートに比べ、刺激が無く、人体に貼付後、長期間温熱感が持続されることが確認された。
[実施例3−6]
白色ワセリン22g、ステアリルアルコール18g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油3g、モノステアリン酸グリセリン1gを水浴上で加熱しながら溶融し、撹拌した。次いで、プロピレングリコール12g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1gを加えて撹拌した。これに、製造例3−1で得られた温熱性物質担持多孔質シリカ2g、サリチル酸メチル2g、エタノール10g、精製水30gを加えて均質になるまで充分に攪拌し、軟膏状の温熱剤100gを得た。本品を腕に塗布したところ、温熱感が持続し、非常に心地よかった。
製造例4−1
植物ポリフェノール(緑茶抽出物;サンフラボンHG、太陽化学株式会社製)50gを、水50gに溶解し、多孔質シリカF100gを加え、25℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行い乾燥させて、植物ポリフェノール担持多孔質シリカ148gを得た。
製造例4−2
エタノール10gに、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフト818DG;太陽化学株式会社製)0.05gを溶解させ、この溶液に製造例4−1で得られた植物ポリフェノール担持多孔質シリカ1gを加えて分散し、植物ポリフェノール担持多孔質シリカの分散液を調製した。この分散液に水10g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18EG;太陽化学株式会社製)0.05gを加えて撹拌した。撹拌した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、植物ポリフェノール担持多孔質シリカ1.1gを得た。
製造例4−3
各ポリグリセリン脂肪酸エステルを各0.0005g使用する以外は製造例4−2と同様の方法で植物ポリフェノール担持多孔質シリカ1gを得た。
[実施例4−1]
通気性基材として、ポリエステル繊維とレーヨン繊維とをアクリルレジンボンドしてなる坪量45g/mの乾式不織布に、製造例4−1で得られた植物ポリフェノール担持多孔質シリカ85gと、スチレン−アクリル共重合樹脂エマルジョンからなるバインダ15gとを撹拌混合してなる塗液を乾燥重量で30g/mとなる様に含浸塗工して乾燥し、フィルタを作製した。
[実施例4−2]
通気性基材として、ポリエステル繊維とレーヨン繊維とをアクリルレジンボンドしてなる坪量45g/mの乾式不織布に、スチレン−アクリル共重合樹脂エマルジョンからなるバインダ15g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフト818DG;太陽化学株式会社製)1.4gおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトAZ−18EG;太陽化学株式会社製)1.4gの混合液と製造例4−1で得られた植物ポリフェノール担持多孔質シリカ85gとを撹拌混合してなる塗液を乾燥重量で30g/mとなる様に含浸塗工して乾燥し、フィルタを作製した。
比較例4−1.フィルタの製造
植物ポリフェノール担持多孔質シリカの代わりに市販のゼオライトを使用する以外は実施例4−1と同様にしてフィルタを作製した。
試験例4−1.アンモニアおよびアセトアルデヒドの吸着試験
小型ファンを入れた5リットルのテドラーパックに3リットルの空気を入れ、その中に実施例4−1または比較例4−1で得られたフィルタを10cm×10cmに切った試料を吊り下げた後、この容器内にアンモニアおよびアセトアルデヒドをそれぞれ注入した。両成分の濃度は、ガス検知管〔ガステック社製のNo.3Lおよび92M〕を用いて測定したところ、アンモニアが60ppm、アセトアルデヒドが70ppmであった。そして次に、23℃の状態でファンを回して空気を強制循環させ、注入から10分経過後、および30分経過後の容器内における、アンモニアおよびアセトアルデヒドの濃度(ppm)を、上記ガス検知管を用いて測定した。結果を、対照として、フィルタを密閉容器中に入れなかった場合の結果とあわせて表6に示す。

この試験結果より、本願発明のフィルタは、悪臭の原因となるアンモニアやシックハウス症候群の原因となるアセトアルデヒドに対し、優れた吸着能を示すことがわかった。
試験例4−2
実施例4−1で得られたフィルタについて、上記試験後、密封状態のまま3ヶ月間室温保管した。室温を23℃に調整し、1時間放置した後、この容器内に試験例4−1と同様にアンモニアおよびアセトアルデヒドをそれぞれ注入し、注入直後、注入から10分経過後、および30分経過後の容器内における、アンモニアおよびアセトアルデヒドの濃度(ppm)を、ガス検知管を用いて測定した。その結果を、表7に示す。

この試験結果より、本願発明のフィルタは、3ヶ月経過後も、優れた吸着能を持続していることがわかった。
[実施例5−1]
ヘキサン800lに分散させたクロロフィル18gを多孔質シリカF100gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて25℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行いクロロフィル担持多孔質シリカを118g得た。このクロロフィル担持多孔質シリカ10gにモノミリスチン酸ペンタグリセリン(ポリグリセンの重合度3以上の割合97%、ポリグリセンの重合度3〜11の割合94%)1g、酵素分解レシチン1g、水88gを添加して色素製剤A100gを得た。このときの平均粒子径は430nmであった。
[実施例5−2〜5−5]
多孔質シリカFの代わりに、多孔質シリカB、C、DまたはEを使用した以外は、実施例5−1と同様にして色素製剤B〜Eを得た。このときの平均粒子径は色素製剤B:420nm、色素製剤C:380nm、色素製剤D:1.5μm、色素製剤E:6.1μmであった。
[実施例5−6]
ヘキサン800lに分散させたクロロフィル18gを多孔質シリカE100gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて25℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行いクロロフィル担持多孔質シリカを118g得た。このクロロフィル担持多孔質シリカ10gにポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトA−141E;太陽化学株式会社製;ポリグリセリンの重合度3以上の割合=74%)12g、水78gを添加して(レディーミル BSG−1/4 アイメックス株式会社製)にて湿式粉砕し、色素製剤を得た。このときの平均粒子径は380nmであった。
[実施例5−7]
イオン交換水1000lに溶解させたC.I.アシッドブルー9 10gを多孔質シリカG100gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて25℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行いC.I.アシッドブルー9担持多孔質シリカを118g得た。この多孔質シリカ10gにモノミリスチン酸ペンタグリセリン(ポリグリセンの重合度3以上の割合97%、ポリグリセンの重合度3〜11の割合94%)1g、酵素分解レシチン1g、水88gを添加して色素製剤100gを得た。このときの平均粒子径は450nmであった。
[実施例5−8]
多孔質シリカGの代わりに多孔質シリカFを使用する以外は実施例5−7と同様の方法で色素製剤100gを得た。このときの平均粒子径は490nmであった。
[実施例5−9]
イオン交換水1000lに溶解させたC.I.アシッドレッド1 10gを多孔質シリカF100gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて25℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行いC.I.アシッドレッド1担持多孔質シリカを115g得た。この多孔質シリカ10gにモノミリスチン酸ペンタグリセリン(ポリグリセンの重合度3以上の割合97%、ポリグリセンの重合度3〜11の割合94%)1g、酵素分解レシチン1g、水88gを添加して色素製剤100gを得た。このときの平均粒子径は450nmであった。
[実施例5−10]
モノミリスチン酸ペンタグリセリンの代わりにポリグリセリン縮合ポリリシノレート(重合度3以上のポリグリセリンを70%以上含み且つそのポリグリセリンに炭素数18以上の脂肪酸をエステル化した縮合物をさらにエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステル)を使用する以外は実施例5−9と同様に色素製剤100gを製造した。このときの平均粒子径は100nmであった。
[実施例5−11]
ポリグリセリン縮合ポリリシノレート30gを使用する以外は実施例5−10と同様に色素製剤110gを製造した。このときの平均粒子径は95nmであった。
[実施例5−12]
モノミリスチン酸ペンタグリセリンの代わりにショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル:三菱化学フーズ株式会社製:L−1695)を使用する以外は実施例5−9と同様に色素製剤100gを製造した。このときの平均粒子径は600nmであった。
[実施例5−13]
イオン交換水1000lに溶解させたC.I.アシッドレッド1 10gを多孔質シリカF100gへ添加・混合した後、ホモミキサーを用いて25℃で30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターにて溶媒の濃縮除去を行いC.I.アシッドレッド1担持多孔質シリカを115g得た。この多孔質シリカ10gにモノミリスチン酸ペンタグリセリン(ポリグリセンの重合度3以上の割合97%、ポリグリセンの重合度3〜11の割合94%)0.1g、水99.9gを添加して色素製剤110gを得た。このときの平均粒子径は800nmであった。
比較例5−1
多孔質シリカFの代わりに沈降性シリカ(カープレックスCS−7;塩野義製薬株式会社製)を添加した以外は実施例5−1と同様にして色素製剤を得た。
比較例5−2
多孔質シリカFの代わりにサイクロデキストリン(デキシーパールK−100;塩水港精糖株式会社製)を添加した以外は実施例5−1と同様にして色素製剤を得た。
比較例5−3
多孔質シリカGの代わりに沈降性シリカ(カープレックスCS−7(塩野義製薬株式会社製))を添加した以外は実施例5−7と同様にして色素製剤を得た。
比較例5−4
多孔質シリカFの代わりに沈降性シリカ(カープレックスCS−7(塩野義製薬株式会社製))を添加した以外は実施例5−9と同様にして色素製剤を得た。
[実施例5−14]
水49.8g、防腐・防カビ剤0.1g、pH調整剤0.1gに各実施例または比較例で得られた色素製剤50gを添加混合し、インクジェットインクを100g調製した。
試験例5−1
インクジェットインクの分散状態を評価するために、得られたインクを60℃で1ヶ月保存後の状態を目視により評価した。
◎:沈殿物の発生が全く認められない
○:沈殿物の発生が僅かに認められる
△:沈殿物の発生が認められる
×:沈殿物の発生が著しく認められる
また、得られたインクジェットインクをサーマルインクジェット試験装置中に組み込み、インクをノズルから、噴出させ印字した。この時比較例5−4で得られた色素製剤を添加したインクジェットインクは印刷時途中で目詰まりを起こした。
印刷されたインクジェットインクの耐水性を評価するために、水滴を印刷物へ滴下し、60秒後のインクの滲み状態を目視により評価した。
◎:インクの滲みが全く認められない
○:インクの滲みが僅かに認められる
△:インクの滲みが認められる
×:インクの滲みが著しく認められる
印刷されたインクジェットインクの発色性を目視により評価した。
◎:非常に優れた発色性を示す
○:優れた発色性を示す
△:発色性がやや劣る
×:発色性が劣る
インクの耐光性を評価するために、得られたインクを5000ルクスで1ヶ月間保存後の状態を目視により評価した。
◎:退色が全く認められない
○:退色が僅かに認められる
△:退色が認められる
×:退色が著しく認められる
結果は表8および表9に示す通りであった。


以上の結果から、比較例の色素製剤を使用したものに比べ、実施例の水分散性製剤を使用したインクジェットインクは水分散性、耐水性、発色性、耐光性に優れることが分かる。3−アミノプロピルメチルジメトキシシランを結合担持させた多孔性物質を使用したインクジェットインクは発色性、耐光性がさらに優れることが分かる。
[実施例5−15]
果糖ブドウ糖液8.5g、50%クエン酸液0.6g、クエン酸Na0.04g、アスコルビン酸0.1g、1/5メロン果汁2.2g、メロン香料0.1g、水87.46gに各実施例または比較例で得られた色素製剤1gを添加混合し、93℃達温後、ペットボトルに充填し、75℃5分間保持させ、清涼飲料水を100g調製した。
試験例5−2
得られた清涼飲料水の分散性および耐光性を評価した。
(分散性の評価)
◎:沈殿物の発生が全く認められない
○:沈殿物の発生が僅かに認められる
△:沈殿物の発生が認められる
×:沈殿物の発生が著しく認められる
(耐光性の評価)
◎:退色が全く認められない
○:退色が僅かに認められる
△:退色が認められる
×:退色が著しく認められる
結果は表10に示す通りであった。

以上の結果から、比較例の色素製剤を使用したものに比べ、実施例の色素製剤を使用した清涼飲料水の水分散性、耐水性、耐光性に優れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
本発明の物質担持多孔質シリカは、担持される物質の放出持続性に優れており、飲食品、医薬、化粧料、嗜好品、トイレタリー製品、インク等の各種製品に好適に用いられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質シリカに、メントール、揮発性物質、温熱性物質、植物ポリフェノールおよび有機色素からなる群より選択される物質が担持された、物質担持多孔質シリカ。
【請求項2】
さらに、乳化剤を含有する請求項1記載の物質担持多孔質シリカ。
【請求項3】
多孔質シリカの平均細孔径が0.8〜20nmの細孔を有する請求項1または2記載の物質担持多孔質シリカ。
【請求項4】
多孔質シリカの平均粒子径が50nm〜100μmである請求項1〜3いずれか記載の物質担持多孔質シリカ。
【請求項5】
多孔質シリカの細孔が六方構造を形成している請求項1〜4いずれか記載の物質担持多孔質シリカ。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の物質担持多孔質シリカを含有する組成物。
【請求項7】
多孔質シリカを含有する冷却剤。

【国際公開番号】WO2005/026048
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513969(P2005−513969)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013574
【国際出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】