特には保全及び/又は貴重書類等の安全な物品
本発明は、特には保全及び/又は貴重書類(1)等の安全な物品に関するもので、該安全な物品は、少なくとも1つの基体と、少なくとも1つの可視認証構造(4,11,22,32,42,51)と、前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーン(5)であって、前記認証構造が該検査ゾーンの輪郭を少なくとも部分的に画定し及び/又は該検査ゾーンを位置特定するように働くような検査ゾーンと、該検査ゾーン(5)における前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメント(3,50,61)とを有し、前記検査ゾーンは前記少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴により識別情報が供給されるのを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特には保全及び/又は貴重書類(security and/or valuable document)等の安全な物品、並びに斯かる物品を得るための材料に関する。
【背景技術】
【0002】
如何なる改竄又は偽造の試みに対しても保護することを可能にするような保全エレメント(security elements)を有する保全及び/又は貴重書類が知られている。
【0003】
上記保全エレメントのうち、幾つかは、如何なる特別な装置を用いることもなく可視光において裸眼で検出することができる。これらの保全エレメントは、例えば、1つの透かし、幾つかの着色繊維若しくは薄片、幾つかの印刷された、金属の若しくはホログラムの糸、幾つかのホログラム箔又は幾つかの可変光学効果を備える印刷を有している。
【0004】
これらの保全エレメントは、第1レベルのものであると言われる。
【0005】
他の形式の保全エレメントは、UV又は赤外線放出ランプ等の比較的簡単な装置を用いてのみ検出することができる。これらの保全エレメントは、例えば、繊維、薄片(flakes)、細条(strips)、糸又は粒子を有する。これらの保全エレメントは、裸眼にとり可視であるか又はそうでないものであり得、例えば365nmの波長で放射するウッドランプの照明下で発光的である。
【0006】
これらの保全エレメントは第2レベルのものであると言われる。
【0007】
他の形式の保全エレメントは、検出のために一層複雑な検出器を必要とする。これらの保全エレメントは、例えば、1以上の外部励起源に同時的に又は非同時的に曝されると、固有の信号を発生することができる。該信号の自動検出は、必要なら、当該書類を認証(真正であることを証明する:authenticate)するのを可能にする。
【0008】
これらの保全エレメントは、例えば、光電的、電気的、磁気的又は電磁的励起を受けると固有の信号を発生することができる活性材料、粒子又は繊維の形態の幾つかの追跡子(トレーサ)を有する。
【0009】
これらの保全エレメントは、第3レベルのものであると言われる。
【0010】
書類内にランダムに分散された幾つかの追跡子は、追跡子の密度若しくは当該書類の所定のゾーン内の追跡子の地理的分布と個別に及び/又は一緒に考慮されて、例えば斯かる追跡子により発生される信号の強度及び/又はタイプに基づいて該書類の単一の署名を形成することにより識別するように働くことができる。
【0011】
書類を識別するために使用することが可能な幾つかの追跡子は、例えば、外部磁界に対する応答が非線形であるような軟磁性繊維を有し、該繊維の磁化はヒステリシスループに従って変化する。当該書類の所定のゾーンに存在する繊維群は、上記ゾーンに存在する繊維の分布、向き及びランダム数により該文書の単一の署名を画定することができる。パスポートの、特にビザの頁の場合、パスポート保持者に関するカスタム化がなされる頁上に磁性繊維を存在させることができる。ICAO(国際民間航空機関)の推奨に従う該カスタム化は、カスタム化データからの頁境界における1つの符号化ラインの印刷を含む。このOCR(光学文字認識)ラインは、適切な光学制御システムにより自動的に制御される。この光学制御システムは、上記OCRラインを読み取る場合に、該光学制御システムにより検査ゾーンに存在する磁性繊維によって磁界下で発生される信号の識別も実行することができるように、構成することができる。
【0012】
マイクロ波型の励起に対して反射及び透過による固有の応答を持つような金属繊維からなる追跡子も使用することができる。
【0013】
CREO社によりTraceless(商標)なる商品名で販売されている追跡子も知られている。粒子からなるこれら追跡子は、保護されるべき書類に挿入後は見えず、赤外線の場での励起を受ける場合に固有の電磁的応答により検出することができる。斯様な粒子を有する書類の上記の可能にされた識別は、所定のゾーンにおける粒子分布の検証に基づくもので、この検証は、特に、適切な電磁源の下で観察される粒子画像により実行される。考えられる検査ゾーンは、例えば、後の日に書類上に印刷される文字輪郭に依存することができる。
【0014】
NANOBARCODES社によりNanoplex(登録商標)なる商品名で販売されている微細粒子は、画像の光学分析を介しての識別用として書類に使用することができる。これらの粒子は、異なる金属を積層することにより得られた変化する反射率ゾーンを備える円柱形状を呈し、使用される金属の順序に従って、変化する光コードを生成することを可能にする。認証のための書類上の粒子の検出は、光学顕微鏡により実施される。書類の識別は、更に、当該書類上に異なるコードの粒子をランダムに組み込み、該書類の所定のゾーンに対して画像解析を介して各タイプの粒子の各パーセンテージ及び上記ゾーンにおけるそれらの空間的分布をチェックすることにより、自動的に実施することもできる。
【0015】
SPECTRA SYSTEMS社によりPolystar(商標)なる商品名で販売されている、365nmの放射により励起可能な発光粒子を組み込んだ書類の場合、該書類の識別は、Vericam(商標)なる商品名で販売されているデジタルカメラを組み込んだ携帯システムを用いて、スペクトル放出、即ち粒子の発光“色”及び斯かる色の各々に対する粒子密度を分析することにより実行される。
【0016】
HYPERLABEL
TECHNOLOGIES社は、活性材料を開発した。インクの形で製剤されると、この材料は、追跡されるべき書類又は物品上に、マトリクスコード形式の微細コードの形態でインクジェット印刷により印刷される。この見えないコードは、現在のところ、書類表面上のコードが部分的に変更された場合でさえも識別処理を可能とするように、及び特に管理されるべきゾーン上に読取システムを配置する際の許容誤差により該識別処理を容易にするために、追跡されるべき書類の特定の区域に冗長な態様で印刷される。該コードは、赤外で動作するデジタルカメラが装備されたシステムにより読み取られる。印刷されたコードの検査ゾーンは、各コードの周囲の固有のマークの印刷により定められ、各コードは、言わば、印された交差をもつ格子のボックスの中間に配置される。印刷により検査ゾーンを限定するこの方法は、幾つかの場合においては、制約となり得る。
【0017】
ロンドンのインペリアル・カレッジのラッセル・カウバーン(Russel Cowburn)による「タグ、チップ又はインクを用いない包装及び書類の安全な指紋」なる題名の文献は、紙の3D微細構造(トポグラフィ)を検出するために紙のゾーンの走査を使用することにより1つの紙の署名を読み取る方法を開示している。走査される紙のゾーンは、当該紙の境界及び/又は角に位置する。斯かる境界及び角が損なわれた場合、読取は一層困難になるか、不可能にさえなる。
【0018】
特許文献1は、透かし又は蛍光粒子等の何らかの識別エレメントを検出することができる窓を備えるホログラム帯体を一方の側に有するような紙幣(銀行券:banknote)を開示している。
【0019】
特許文献2は、1つのプラスチック基体を有するカードを開示している。繊維が一方の基体側にランダムに分散され、基体の大きさが僅かに絞られている。この基体の側に、上記繊維を部分的に覆うように金属層が形成されている。該金属層は、上記繊維を検出するための窓を有している。該カードの識別は、上述した窓を介して、検出装置により1以上の直線に従い走査することによって繊維の存在を検出することにより実行される。
【0020】
特許文献3は、内部にランダムに分散された磁性繊維を含むような紙及び/又は合成書類を開示している。該書類の認証は、磁気ヘッドによる走査ゾーン内の繊維の検出に依存している。
【0021】
特許文献4は、磁性薄片を含む紙書類を開示している。この書類は、該書類の或るゾーンにおける薄片のランダム分布に直に関連された見えないバーコードを有している。
【0022】
特許文献5は、ランダムに分散された粒子を含むタグを開示している。このタグは製造の間に紙幣に組み込むことができ、従って、該タグは、裸眼に対する反射により又は拡大鏡若しくは如何なる他の拡大付属品を用いても必ずしも見えるとは限らない。上記粒子の分布に関連づけられたコードを、該紙幣の連続番号と共にデータベースに記憶することができる。この出願において、粒子の位置は例えば或るラインに対して位置特定されることにより両次元で、又は3つの次元で測定される。
【0023】
特許文献6は、磁性繊維を含む書類を開示しており、これら繊維に関連された信号の読取は、特定の経路に従って実施される。
【0024】
【特許文献1】国際特許出願公開第WO2005/025891号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0113420号
【特許文献3】フランス国特許出願公開第FR2324060号
【特許文献4】フランス国特許出願公開第FR2765014号
【特許文献5】英国特許出願公開第GB2324065A号
【特許文献6】米国特許第4114032号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
特に、前記識別方法を改善し、基体に組み込まれた追跡子の自動読み取りにより該方法を信頼性のあるものにすると共に、改竄及び偽造に対する保全及び/又は貴重書類の保護を更に強化したいという要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的は、その態様の1つによれば、保全された物品、特には保全及び/又は貴重書類であって、
− 繊維性とすることが可能な少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーン内の、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有する物品を提供することにある。
【0027】
上記検査ゾーンは、識別情報が、少なくとも1つの識別エレメントの、特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴(feature)で以って供給されるのを可能にする。
【0028】
前記認証構造は、特には反射又は透過により見える(可視の)第1レベルの保全エレメントであり得る。上記用語“見える(可視の)”とは、自然、人工光、UV又はIRの下で裸眼により又は恐らくは拡大鏡若しくは何らかの拡大付属品を用いて観察することができることを意味する。該観察は、画像解析を要せずに直接的になすことができる。
【0029】
上記認証構造は、前記検査ゾーンの輪郭を少なくとも部分的に画定することができ、及び/又は該検査ゾーンを位置特定するように作用することができる。
【0030】
上記用語“位置特定する”とは、上記認証構造が、検査ゾーンにおける少なくとも1つの物理的及び/又は空間的特徴、例えば識別エレメントの空間的分布、を決定する場合の基準系として作用することができることを意味する。この分布は、例えば当該物品の印刷出力によってではなく、上記認証構造自体により定められる基準点(数学的に言って)をとることにより決定することができる。
【0031】
好ましくは、当該物品は、上記検査ゾーンの、特には少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報に関連づけられる。該識別情報は、識別エレメントの分布を表すことができる。
【0032】
この情報は、必要なら、当該物品上に存在することができる。
【0033】
本発明によれば、上記認証構造は、一方においては当該保全物品を認証するように働くと共に、他方においては上記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定して当該物品を識別するのを可能にする。
【0034】
このように、本発明によれば、改竄及び/又は偽造の試みに対する当該物品の保護が、一層容易に改竄することが可能な印刷パターンにより検査ゾーンが定められるような既存の書類に対して、一層困難性のあるものとされる。
【0035】
更に、本発明は、変化する非光学的インクを用いて輪郭又はマークを印刷することにより境界を定める(このような境界の画定は事故的であるか否かによらず機械的又は化学的摩耗を受け得る)ことには依存しないような検査ゾーンを用いることにより、当該基体に挿入された追跡子の識別処理を改善及び高信頼化するのに使用することができる。
【0036】
当該検査ゾーンの輪郭は、必要なら、前記認証構造により物理的に画定することができる。他の例として、上記認証構造は、前記輪郭を物理的に画定することなしに、当該検査ゾーンを位置特定するように作用する。該検査ゾーンは、認証構造内に配置することができるか、該認証構造と一致することができるか、又は該認証構造から突き出ることができる。
【0037】
当該保全された物品の署名は、上記検査ゾーン内に存在する識別エレメント(又は複数のエレメント)に専ら基づくか、又は該検査ゾーン内の識別エレメント(又は複数のエレメント)と該識別ゾーン内の基体の部分との組み合わせに基づくものとすることができる。
【0038】
上記認証構造及び識別エレメントは、種々の形態で、上記基体と相互依存されるものとすることができる。
【0039】
有利には、上記認証構造及び識別エレメントの少なくとも一方が、上記基体内に少なくとも部分的に、特には完全に、埋まるようにされ、これは該認証構造又は識別エレメントを抽出しようとする如何なる試みも困難に(不可能にさえ)する。
【0040】
本発明の例示的実施例においては、当該物品は上記検査ゾーン内に、特にはランダムに、分散された複数の識別エレメントを有し、前記識別情報は、前記複数の識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な或る特徴との関連を個別に又は全体として示す。
【0041】
前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は、必要なら、コード、例えば適切な読取装置により読み取ることが可能なマトリクスコードを形成するように配置することができる。
【0042】
前記認証構造は、当該物品の所定の又は、代替的に、ランダムな位置を占めることができる。
【0043】
本発明の例示的実施例では、上記認証構造は可視光において反射及び/又は透過性により裸眼で検出することができる。
【0044】
他の例として、上記認証構造は、特には紫外線等の所定の照明の下で反射及び/又は透過性により裸眼で検出することができるが、該認証構造は特別に可視光で検出可能である。
【0045】
もし必要なら、前記認識エレメントは、特に照明条件がどのようであれ、裸眼では検出することができないものとする。
【0046】
本発明の例示的実施例では、上記認識エレメントは、特に光電的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的な外部的励起を受けると固有の信号を放出するように構成することができる。
【0047】
上記外部的励起は、例えば、赤外線放射とすることができる。
【0048】
前記特徴(feature)は、検査ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)のタイプに関係することができる。
【0049】
前記識別情報に関連された物理的な特徴は、試験ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)の光学的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的特徴に対応することができる。
【0050】
他の例として、上記識別情報に関連された空間的な特徴は、上記検査ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)の配置、大きさ及び/又は単面積若しくは容積単位当たりの密度に関係することができる。
【0051】
本発明の例示的実施例において、前記認証構造は少なくとも1つの識別エレメントの或る媒体を有する。
【0052】
該媒体は、当該物品の幅より小さな幅の少なくとも1つの帯状(strip)エレメント(例えばプラスチックのもの)を有することができ、該帯状エレメントは、特には、1つの物品基体(特には、1つの繊維性基体)内に少なくとも部分的に組み込まれる。
【0053】
上記帯状エレメントは、望むなら、該物品の第1の境界から、該第1のものに対面する第2の境界まで延在することができる。
【0054】
上記基体は、上記帯状エレメントを外部に対して少なくとも部分的に曝すことが可能な少なくとも1つの窓を有し、その場合、前記検査ゾーンは例えば該窓により少なくとも部分的に画定される。
【0055】
前記基体は、必要なら、互いに対向すると共に、該基体の対向する両側から前記帯状エレメントが少なくとも部分的に見え得るような2つの窓を有することができる。
【0056】
前記媒体も、少なくとも1つの繊維又は1つの薄片を有することができ、前記検査ゾーンは該繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定することができる。
【0057】
上記繊維又は薄片は、裸眼に対して可視的であり得る。
【0058】
上記繊維又は薄片は、特には異なる物理的特性、例えば異なる色及び/又は反射率を有するような複数のゾーンを有することができ、これらの何れか又は組み合わせが識別エレメントを形成する。
【0059】
本発明の例示的実施例では、前記認証構造は少なくとも1つの繊維、特には365nmの放射に対する暴露により検出することが可能な1つの発光繊維を有し、この繊維は、特に該繊維が所与の電磁場に曝された場合の固有のスペクトル応答により特徴付けられる1つの識別エレメントを一緒に形成するような、特にはCREO社のTraceless(登録商標)粒子等の複数の粒子を担持する。
【0060】
本発明の他の例示的実施例においては、前記認証構造は、特には紙に基づく例えばディスク状のものであって、望むなら着色することができる少なくとも1つの薄片を有する。該薄片は、有利には、活性材料を含むインクの印刷処理を受けて、特にはマトリクスコード等のコードを形成する。このインクは、必要なら、裸眼に対して可視的とすることができる。このコードは識別エレメントを形成し、前記検査ゾーンは該薄片の輪郭により画定される。上述したインク及びコードは、HYPERLABEL TECHNOLOGIES社により開発されたものとすることができる。
【0061】
本発明の例示的実施例においては、前記物品は第1のタイプの少なくとも1つの第1認証構造と、該第1のものとは異なる第2のタイプの複数の第2認証構造とを有する。
【0062】
上記第2認証構造は、好ましくは、上記第1認証構造により少なくとも部分的に画定される第1検査ゾーン内にランダムに分散される。これらの第2認証構造は、特には第1構造と比較した場合のそれらの位置、周波数及び/又は分布により、当該物品が識別されるのを可能にする単一の署名の境界を定めるが、該署名は第1及び第2構造の組み合わせの結果である。
【0063】
上記第2認証構造の少なくとも1つは、少なくとも1つの識別エレメントの、繊維又は薄片等の1つの媒体を有することができる。
【0064】
前述したように、繊維又は薄片等の該媒体の輪郭は、識別エレメント(又は複数のエレメント)の第2検査ゾーンの境界を定める。
【0065】
当該物品の認証は、必要なら、上記第1及び第2認証構造に基づいて実施することができる。該物品の識別も、上記第1及び第2検査ゾーンのお陰で、2つの異なる方法で実施することができる。
【0066】
前記基体は、必要なら、例えば形式、形状、大きさ、区域の2つの異なるタイプの及び/又は異なる視覚効果の及び/又はマルチコンポーネントタイプの幾つかの繊維、粒子又は薄片を有することができ、前記検査ゾーンは少なくともこれらエレメントの1つの輪郭により画定される。
【0067】
本発明の例示的実施例においては、前記識別エレメントは、前記認証構造のものより劣る又は勝る面積を持つ当該物品のゾーン内に分散させることができ、これら識別エレメントは例えば全物品表面上に分散される。
【0068】
当該物品は、特には繊維性の1つの基体を有することができ、該基体は少なくとも1つの識別エレメントを含み又は担持することができる。
【0069】
前記識別エレメントは、必要なら、前記基体内の基体面積よりも小さな面積ゾーンに、特にはランダムに、分散させることができ、このゾーンは例えば帯状を呈する。
【0070】
もし必要なら、当該物品は所定の又は可変のピッチで互いに離隔された上述したタイプの幾つかの帯体を有し、該ピッチの値又はその周波数は署名の境界を定めるために使用することができる。
【0071】
本発明の例示的実施例では、前記認証構造及び基体は別個のものである。
【0072】
上記認証構造は、例えば、上記基体の一方の側に設けることができると共に、例えば1つの帯体、1つの膜又は1つのパッチを有することができ、この認証構造は、必要なら、干渉性、ホログラフ的、金属的又は非金属的効果を呈するように構成することができる。
【0073】
特には上記帯体、上記膜又は上記パッチであるような当該認証構造は、前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの窓を有することができ、該窓は、例えば、上記認証構造の非金属化されたゾーン又は穿孔されたゾーンにより形成される。
【0074】
本発明の例示的実施例においては、前記認証構造は前記基体上に設けられた、特にはイリデセント(真珠光)コーティング等の1つの表面塗装であるような1つのコーティング(被膜)を有し、該コーティングは前記検査ゾーンを画定するように配置された異なる干渉効果を持つゾーン又は可変厚のゾーンを呈する。
【0075】
もし望むなら、特には書類である前記物品は1つのデュアルジェット紙(dual-jet paper)を有することができ、第1のジェットは、前記識別エレメントと、第2のジェットに形成され前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの窓を有する認証構造とを含む及び/又は担持する基体の境界を定める。
【0076】
本発明の例示的実施例においては、前記認証構造は少なくとも部分的に前記基体上で実施化される。
【0077】
該認証構造は、前記識別エレメント(又は複数のエレメント)を組み込んだ又は担持した基体上で実施化された少なくとも1つの透かし(watermark)を有することができる。
【0078】
前記検査ゾーンは、特に、例えば透かし等の認証構造により覆われたゾーンに、又は他の例として該認証構造により覆われたゾーンを除く当該物品の全表面に対応することができる。
【0079】
前記識別エレメントの少なくとも1つは、
− 当該物品の基体内の1つの不均一な(heterogeneous)エレメント、
− 例えばX線蛍光により検出することが可能な紫外線吸収体化学化合物又はエレメント等の1つの活性材料、
− 特には発光(luminescent)及び/又は蛍光の、又は磁気共振の若しくは所定の反射率の特性を示す1つの粒子、
− 特には軟磁性金属繊維であるような磁性繊維等の1つの繊維、
− 紙基体の3D微細構造又はトポグラフィ、
の間から選択することができる。
【0080】
前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は、例えば異なる反射率特性を持つ等の例えば異なるタイプの幾つかの粒子を有することができ、その場合、識別は特に何れかのタイプの粒子における各密度の分析に基づくものとなる。
【0081】
前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は、必要なら、前記検査ゾーンに分散されたナノメートル寸法のエレメント、例えば約150nmの直径のナノ繊維を有することができる。
【0082】
本発明による物品は、該物品の認証及び/又は識別が当該書類上に如何なる材料の集合も必要とし得ないように特別に構成される。
【0083】
当該物品が1つのプラスチック基体を有する場合、前記識別エレメントは該基体内の不均一なエレメントにより形成することができ、これらの不均一なエレメントは、例えば、該基体内の材料の欠損である。
【0084】
該基体は、例えば、この基体の或るゾーン内にランダムに分散された気泡を含むことができる。
【0085】
前記識別エレメントは、例えば、1つの紙基体内の3D微細構造又はトポグラフィにより定められる。
【0086】
前記認証構造は、
− 1つの透かし、
− 例えば昼光(daylight)において又は特定の照明の下でのみ着色して見えるような1つの繊維であって、例えば非円形断面を持つ円柱状を有するか又は有さないものとすることができる繊維、
− 昼光において又は特定の照明の下でのみ現れる1つの薄片であって、例えばその全表面上で又は該表面の一部のみで金属的又はホログラフ的であるとすることができ、円形形状を有するか又は有さないものとすることが可能な薄片、
− 1つの膜、又は1つの印刷された金属の又はホログラムの帯体、
− 1つの印刷された金属の又はホログラムの箔、
− 1つの可変光学効果を備える印刷、
のうちの少なくとも1つを有することができる。
【0087】
前記認証構造は、必要なら、白色光で見えるインクの印刷とは異なるようにし得る。
【0088】
前記認証構造は、例えば可変光学効果を備えない通常のインクにより印刷されたバーコードとは相違し得る。
【0089】
該認証構造は、可変光学効果を示すように特別に構成することができる。
【0090】
本発明の例示的実施例においては、前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は前記基体内にランダムに存在することができ、例えば後者はホログラム膜等の視覚効果を持つ保全積層の形態で提供される認証構造を全表面に伴って圧延される。
【0091】
上記認証構造は、該認証構造の残部とは異なる物理的特性を呈するような1つの窓又は1つのゾーンを有することができる。
【0092】
例えば上記膜等の認証構造は、上記窓外に、当該基体上に存在する識別エレメント(又は複数のエレメント)を励起するように作用する励起信号を遮蔽するように配設された少なくとも1つのゾーンを有することができる。
【0093】
上記窓はレンチキュラスクリーンを呈するゾーンに対応することができる。
【0094】
このように、前記検査ゾーンの画定は、特に可視ゾーンを限定することにより光学的であると共に、特に該検査ゾーン以外で上記励起信号を吸収又は反射する材料を用いることにより物理的であるとすることができる。
【0095】
上記検査ゾーンは前記認証構造により画定されるゾーンよりも小さくすることができ、該認証構造は、必要なら、当該検査ゾーンを位置特定するための空間座標x,y,zの基準点として作用する。
【0096】
本発明の例示的実施例では、前記識別情報は、直接的に理解することができるか又は理解することができない形態で前記空間的及び/又は物理的特徴を有し、該情報は例えば暗号化される。
【0097】
他の例として、前記識別情報は当該物品の別の媒体上に記憶された空間的及び/又は物理的特徴を取り出すのを可能にし、該識別情報は例えば1つの物品識別子を有する。
【0098】
前記識別情報は、前記検査ゾーンに含まれる識別エレメントの1つの画像を含む又は取り出すように作用することができる。
【0099】
当該物品は、必要なら、
− 特にはバーコード等の光学的装置、
− 特にはチップ等を有するデータを記憶することができる電子装置、
− 磁気トラック、
− 光メモリ、
の中から特に選択される前記識別情報を記憶することができる少なくも1つのデータ媒体を有することができる。
【0100】
好ましくは、該物品は少なくとも1つの見掛け(apparent)引用文を有するものとする。“見掛け引用文”とは、特に、当該物品上で見える例えばテキスト、画像又はロゴ等の情報エレメントを意味する。
【0101】
上記見掛け引用文は、例えば、特には名前(姓)、ファーストネーム(名)及び国籍等の個人の市民的身分に関する少なくとも1つのエレメント、並びに/又は例えば身長、体重及び毛髪若しくは目の色等の少なくとも1つの生理測定学的パラメータを有する。
【0102】
上記見掛け引用文は、必要なら、例えば1つの画像、1つの素性を示す写真を有することができる。
【0103】
当該物品が紙幣等の貴重書類である場合、上記見掛け引用文は例えば1つの連続番号を有することができる。
【0104】
上記見掛け引用文は印刷することができる。
【0105】
有利には、前記識別情報は、当該物品上で見える少なくとも1つの見掛け引用文を表す1つの情報にアクセスするのを可能にする。このようにして、当該物品と、該物品上で見える1つ又は数個の見掛け引用文との間に一義的関係を確立することが可能である。
【0106】
本発明の例示的実施例においては、前記物品は、特には紙の、少なくとも1つの繊維性基体を有する。他の例では、当該物品は1つのプラスチック基体を有することができる。
【0107】
本発明の例示的実施例では、上記物品は、
− 少なくとも1つの繊維性基体と、
− 基体の一方の側上に設けられた、特にはバインダ型の可能性のある少なくとも1つの表面層と、
− 上記基体及び/又は上記可能性のある表面層内に特にはランダムに分散された該基体及び/又は該可能性のある表面層の複数の不均一なエレメントと、
− 前記不均一なエレメントの少なくとも一部の少なくとも1つの空間的及び/又は物理的特徴に関連された少なくとも1つの認証及び/又は識別情報と、
を有する。
【0108】
上記不均一なエレメントは、本発明によれば、特に例えば1以上の異なる固体物質(又は複数の物質)を使用することにより得られる不均一なエレメントとは異なる。
【0109】
本発明によれば、検査ゾーンにおける前記繊維性基体及び/又は表面層の不均一なエレメントは、当該物品に関連付けられた署名、特には三次元の署名を形成するために使用することができる。この署名は、不均一なエレメントの配置及びランダムな寸法により単一とすることができる。
【0110】
好ましくは、上記不均一なエレメントは湿式フェーズにおける前記繊維性材料基体の形成の間に発生され、該基体の密度(mass density)の変動に対応する。これらの密度変動は、特に、当該基体を形成する湿式フェーズの間におけるガス圧入(gas
injection)により生じ得、該基体の光学特性の変動を生じる。
【0111】
上記不均一なエレメントは、例えば、当該基体の残部のものより小さな密度を有し、透過光で視覚的に感知可能な明色のスポットを形成することができる。
【0112】
上記不均一なエレメントは、オプションとして、優先的な態様で前記基体の所定の領域に、特には、例えば透かしを形成するために使用されると共に紙マシンの回転ワイヤシリンダに取り付けられたパンチ上に形成された小さな開口を介して1以上のガスを圧入する等により該透かしにより境界を定められた領域に、分散される。
【0113】
前記構造が表面層を有する場合、この表面層内の上記不均一なエレメントは、特に、該表面層を事前に形成された基体に被着する場合に発生され、その場合において、該不均一なエレメントは該表面層の密度の変動に対応する。これらの密度の変動は、乾燥フェーズの間における当該基体内に捕捉されたガス又は複数のガスの解放により(該基体により解放された該ガス又は複数のガスは上記表面層に侵入する)、又は当該基体への表面層の被着前又は被着の間において依然として湿っている該表面層へガスを意図的に注入することにより生じ得る。この表面層内のこれら不均一なエレメントは、該表面層の光学的密度の変動を生じる。
【0114】
上記表面層は、特にはバイダからなることができ、有利には当該構造に固有の印刷適性的特性及び/又は可変光学効果等の特性を付与するように構成することができる。
【0115】
使用される前記ガス又は複数のガスは、前記基体及び/又はオプションとしての表面層における1以上の反応性領域と作用し合って、前記不均一なエレメントに光学的及び/又は物理的変化を誘起させるように選択することができる。この変化は、例えば1つの不均一なエレメントにおける着色されたスポットの形成に相当することができる。
【0116】
この発明の他の目的は、他の態様によれば、
− 第1のタイプの少なくとも1つの第1認証構造と、
− 前記第1認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第1検査ゾーンと、
− 前記第1のものとは異なる第2のタイプの少なくとも複数の第2認証構造であって、何れの第2認証構造も例えば1つの繊維又は1つの薄片を有し、これら第2認証構造が好ましくは前記第1検査ゾーン内にランダムに分散されるような第2認証構造と、
− 例えば1つの第2認証構造の輪郭により画定されるように、前記第2認証構造の少なくとも1つにより少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第2検査ゾーンと、
− 前記第2検査ゾーンにおける、前記第2認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するシート状材料を提供することにある。
【0117】
本発明の他の目的は、その態様の他の1つによれば、特には保全及び/又は貴重書類であるような物品を認証及び/又は識別する方法であって、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーン内の、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するような方法を提供することにある。
【0118】
上記物品は、前記検査ゾーンにおける特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された識別情報に少なくとも関連付けることができる。
【0119】
上記方法は、斯かる物品の前記認証及び識別の少なくとも一方を有することができ、該方法は当該書類の認証が、
− 特には裸眼により、所与の照明条件下での反射及び/又は透過により前記認証構造を観察するステップと、
− 観察により、前記物品の真正さに関して結論するステップと、
を有する一方、前記物品の識別が、
− 自動的又は非自動的に、前記識別情報を可能性として読み取るステップと、
− 前記識別情報に関連された前記物品の前記検査ゾーンの特徴を、該物品の検査ゾーンから得られた少なくとも1つの特徴と比較するステップと、
− 少なくとも比較により、前記物品の真正さに関して結論するステップと、
を有することを特徴とする。
【0120】
上述した比較は、例えば、第1画像と第2画像との間で実行され、第1画像は上記識別情報に関連されたもので、第2画像は識別する際に当該物品の検査ゾーンから得られる。
【0121】
上記比較は第1の値と第2の値との間で実行することもでき、第1の値は上記識別情報により得られ、第2の値は当該物品の検査ゾーン上で測定される。
【0122】
上記検査ゾーンの特徴は、例えば、複数の識別エレメントの空間的分布であり、この分布は、非光学的可変インクにより印刷されたマークによってではなく、前記認証構造により定められる基準点から決定することができる。
【0123】
当該書類の識別は、必要なら、自動的に達成することができる。
【0124】
本発明の例示的実施例では、前記認証構造は、特に顕微鏡等の機器の助けなしで、裸眼にとり見えるものである。
【0125】
当該方法は、
− 例えば可視光で又は赤外線で動作する例えば1組のセンサ等の少なくとも1つのセンサによる当該物品の画像解析により前記検査ゾーンを位置特定するステップ、
を有することができる。
【0126】
上記画像解析は、例えば、CCDカメラ又はCMOSカメラにより実施することができる。
【0127】
前記物品の識別は、
− 前記物品の検査ゾーンにおける識別エレメントの配置を、前記識別情報により取り出された画像と比較するステップ、
を有することができる。
【0128】
前記書類の識別は、
− 特に前記識別エレメントが外部励起を受けた場合に、前記検査ゾーンにおける識別エレメントにより発生される信号の信号強度を測定し及び/又はタイプを決定するステップと、
− 上記の測定された信号強度及び/又は信号のタイプを、前記識別情報により取り出されたデータと比較するステップと、
を有することができる。
【0129】
当該検出は、必要なら、前記検査ゾーンにおけるノイズイベント(noise event)の調査に依存することができる。
【0130】
前記署名にとり役立つ空間的及び/又は物理的特徴は、個別に又はグループで、且つ、必要なら前記検査ゾーンにおける識別エレメントに関連されると共に、前記検査ゾーンにおける識別エレメントの近傍の基体にも関連される。
【0131】
前記物品が少なくとも1つの見掛け引用文を有する場合、前記方法は、
− 前記見掛け引用文を表す情報を、当該物品上に現れる該見掛け引用文自体と比較するステップと、
− 少なくとも上記比較に基づいて当該物品の正真性及び/又は素性について結論するステップと、
を有することができる。
【0132】
上記の見掛け引用文は、例えば、個人の姓、名若しくは年齢、又は市民的地位等のエレメントであり得る。
【0133】
本発明の他の目的は、その態様の他のものによれば、特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品を認証及び/又は識別するシステムであって、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
− 前記検査ゾーンにおける特には前記少なくとも識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報と、
を有し、当該システムが、
− 前記物品上の前記検査ゾーンを位置特定するように配設された、特には1つの光学検出システムを有するような画像解析手段と、
− 前記検査ゾーンの、特には前記画像解析手段により位置特定された該検査ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)の特には空間的及び/又は物理的な特徴の取得手段と、
− オプションとしての、前記識別情報に関連された前記検査ゾーンの特徴を、前記取得手段により得られた少なくとも1つの特徴と比較するように構成された処理ユニットと、
を有するようなシステムを提供することにある。
【0134】
本発明の他の目的は、その態様の他のものによれば、特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品をシート状材料から製造する方法であって、該シート状材料が、
− 少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、前記方法が、
− 前記シート状材料に、前記検査ゾーンの、特には該検査ゾーンの前記少なくとも識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報を設けるステップ、
を有するような方法を提供することにある。
【0135】
上述した製造方法は、更に、
前記シート状材料上に少なくとも1つの印刷を実行するステップ、
を有することができる。
【0136】
本発明の他の目的は、その態様の他のものによれば、特には上述した方法を実施するためのシート状材料であって、
− 少なくとも1つの基体と、
− 好ましくは反射により見え、特には1つの繊維若しくは1つの薄片又は一群の繊維及び/又は薄片であるような、前記基体と作用し合う少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により、特には前記繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なり、且つ、粒子又は1つの活性材料を有する少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するようなシート状材料を提供することにある。
【0137】
このように、前記認証構造は、非光学的可変インクにより実施される特には英数字印刷又はバーコードのような印刷とは相違し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0138】
本発明は、本発明の限定するものではない例示的実施例の下記の詳細な説明を精読し、添付図面を参照すれば最もよく理解されるであろう。
【0139】
図1は、本発明による保全及び/又は貴重書類1を示し、該書類は紙幣(銀行券:banknote)、安全保護用紙(security paper)、個人識別書類(identity document)、紙葉(leaf)若しくはパスポートカバー、ビザ、クーポン、例えば小切手若しくはクレジットカード等の紙幣以外の貴重書類、保護及び/又は認証タグ、追跡タグ(traceability
tag)、例えば1つ又は幾つかの医薬品ための包装装置であって例えば1つのブリスタ(blister)を有しているような包装装置のうちの1つを構成することができる。
【0140】
書類1は、本例では繊維基体2を有し、該基体は例えばセルロース繊維及び/又は綿リンタ(cotton linter)及び/又は合成繊維を有する。
【0141】
他の例として、基体2はプラスチックのものとすることもできる。
【0142】
記載する例では、基体2は、自体に、当該基体2の全表面上にランダムに分散された複数の識別エレメント3を含んでいる。
【0143】
これらの識別エレメント3は、例えば、特には発光性及び/若しくは蛍光性の粒子、並びに/又は特には軟磁性の磁性繊維若しくは特には赤外放射への暴露により光学的に励起可能な繊維を有する。
【0144】
これらの識別エレメント3は、裸眼により検出することができるように選択することができ、この目的のために、例えば十分に小さな寸法又は的確な反射度を呈する。
【0145】
識別エレメント3は、特には光電的、電磁的、電気的、磁気的又は熱的な適合された外部励起を受けた場合に固有の信号を放出するように構成されている。
【0146】
認証構造を画定する透かし4は、基体2上の該基体の所定の位置に形成される。
【0147】
この透かし4は、例えば、当該紙を製造する際のセルロース繊維の水性懸濁液に対する処理により得ることができる。透かし4を形成するために如何なる他の技法も、勿論、使用することができ、該透かしは疑似透かしとすることができる。
【0148】
透かし4の輪郭は、後に検査ゾーン5の境界を定める。
【0149】
この検査ゾーン5内にランダムに分散された識別エレメント3は、当該書類1の単一の署名を画定する。
【0150】
書類1は、例えば基体2上に印刷された見掛け引用文6を有する。これらの見掛け引用文6は、例えば、個人の姓及び名を有する。該見掛け引用文6は、如何なるタイプのものとすることもでき、例えば1つの画像を有する。
【0151】
書類1は、更に、考察される例ではデータを記憶することが可能なチップを備える1つの電子装置を含むようなデータ媒体8を有する。
【0152】
上記電子装置8は種々の方法で基体2に取り付けることができ、その際に、例えば当該基体体2内に少なくとも部分的に又は完全に組み込まれるか又は該基体の外面上に被着される。
【0153】
上記データ媒体8は、一方では検査ゾーン5に分散された識別エレメント3の少なくとも1つの空間的及び/又は物理的特徴を、他方においては当該書類1上に現れる見掛け引用文を表す情報を記憶する。
【0154】
該データ媒体8により記憶されたデータは、保全性(セキュリティ)を強化するために暗号化することができる。
【0155】
識別情報に関連される上記物理的特徴は、検査ゾーン5における識別エレメント(又は複数のエレメント)3の及び恐らくは該検査ゾーン5における基体部分の光学的、電磁的、電気的、磁気的又は熱的特徴に対応し得る。
【0156】
識別情報に関連する上記空間的特徴は、検査ゾーン5における識別エレメント(又は複数のエレメント)3の配置、大きさ及び単位面積当たりの密度に関係するものとすることができる。
【0157】
書類1の認証は、第1レベルの保全エレメントを構成する透かし4を透過により単に観察することにより実行することができる。
【0158】
認証目的での特定の装置の使用は、必要ではない。
【0159】
もし必要なら、該書類の認証に加えて該書類の識別を実行することが望ましいであろう。
【0160】
この目的のために、書類1の単一の署名が介在するが、該署名は検査ゾーン5に分散された識別エレメント3により形成される。
【0161】
書類1の識別は、図8に非常に概念的な形で図示された適切なシステム100により得ることができる。
【0162】
このシステム100は、
− 制御空間102内に当該書類1を挿入するのを可能にする1つのスリット101と、
− 例えば1つのカメラを有する1つの光学検出システム103であって、上記制御空間102に挿入された書類1の検査ゾーン5を、特には画像解析により位置特定するように構成され、且つ、例えば可視光又は赤外光で動作すると共に例えば少なくとも1つの発光ダイオード又はレーザダイオードを有するようなシステムと、
− 上記検出システム103により位置特定された検査ゾーン5内の識別エレメント3の空間的及び/又は物理的特徴の取得手段104であって、外部励起を受けた場合に検査ゾーン5内に存在する識別エレメント3により発生される信号の強度を測定する1つのセンサ又は一群のセンサ等の特には1つの装置を有することができるような取得手段と、
− 識別情報と関連された当該書類1の識別エレメント3の上記特徴を、前記取得手段104により得られた少なくとも1つの特徴と比較するように構成されたコンピュータ等の1つのデータ処理ユニット105と、
を有する。
【0163】
本発明の例示的実施例では、上記システム100は複数の照明源を有することができ、少なくとも1つは例えば可視部分で動作すると共に検査ゾーン5を位置特定するために使用され、1つ又は多くの他の照明源は識別エレメント(又は複数のエレメント)の複数励起を生成するために使用され、これらの多分複数の励起は同時的又は順次のものとすることができる。
【0164】
システム100は、励起源が電磁的である場合、必要なら、励起及び/又は放出波長を濾波するフィルタを有することができる。
【0165】
前記取得手段104は、前記識別エレメントにより放出される信号が電磁型のものである場合、フォトダイオードボックスを有することができ、該信号が磁気型のものである場合磁気抵抗センサを有することができる。
【0166】
図示せぬ代替バージョンにおいては、システム100は1つのカメラを含む1つの検出装置を有することができ、この装置は書類1の検査ゾーン5を位置特定すると共に、該検査ゾーン5内に存在する識別エレメント3の面積密度及び/又は空間分布等の1つの空間的特徴を決定するように構成される。
【0167】
書類1の識別は下記のステップを有することができる。
【0168】
最初に、書類1はシステム100の制御空間102に挿入される。
【0169】
光学検出システム103は、例えば透かし4の輪郭を決定することによって、画像解析により当該書類1の検査ゾーン5を位置特定する(図9におけるステップ120)。
【0170】
取得手段104は、検出システム103により位置特定された検査ゾーン5内の識別エレメントの1つの空間的及び/又は物理的特徴を、例えば該検査ゾーン5内に存在する識別エレメント3により発生される信号の強度を測定することにより決定する(ステップ121)。
【0171】
次いで、処理ユニット105は、該測定された信号強度を、書類1のデータ媒体8に記憶された識別情報に関連する値と比較する(ステップ122)。
【0172】
当該識別が光学的検出に依存し、特に取得手段104が1つのカメラを有する場合、上記比較は特に2つの画像、即ち書類1で検査ゾーンのレベルにおいて得られる一方の画像及びデータ媒体8に格納された情報により取り出される他方の画像を扱うことができる。
【0173】
見掛け引用文を表す情報は、書類1上に現れている見掛け引用文6と比較される。
【0174】
上述した比較は、書類1及び基体2に現れる見掛け引用文6の間の一義的関係をチェックし、次いで該書類1の真正さ及び素性をチェックするのを可能にする(ステップ123及び124)。
【0175】
本発明の他の例示的実施例では、当該書類を識別するための有効な情報、即ち前記空間的及び/又は物理的特徴並びに少なくとも見掛け引用文を表す情報、は当該書類1自体には記憶されず、図10に図示したように当該書類1とは別の1つのデータ媒体130上に記憶される。
【0176】
このデータ媒体130は、例えば、1つのコンピュータシステムの1つのデータベースからなることができる。
【0177】
この場合、上記識別情報は、データ媒体130に記憶された当該書類に関連するデータを、携帯電話又はパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)又はコンピュータ又は何らかの他の装置等の1つの端末131により取り出すのを可能にするような1つの識別子を有する。
【0178】
端末131は、ケーブル接続された又はケーブル接続されないリンクを介してデータベース130に接続することができる。
【0179】
この場合、上記書類の識別は、このようにして実行することができる。
【0180】
前記識別子が読み取られ、当該書類を認証及び/又は識別するのに有効なデータ、即ち識別エレメント3の1つの空間的及び/又は物理的特徴及び見掛け引用文を表すデータ、が取り出される。上述したデータを取り出すために、ユーザは端末131により該書類の識別子をデータベース130を有するシステムに送信することができ、これに対し、該システムは端末131に対して例えば検査ゾーン5の画像132を含む所要のデータを送信する。
【0181】
この取り出されたデータは、当該書類上で決定された空間的及び/又は物理的特徴並びに該書類上に現れている見掛け引用文と比較して、書類1を識別するのを可能にする。
【0182】
明らかなことに、上記検査ゾーンが1つの透かし以外のエレメントにより画定される場合も本発明の範囲外となることはない。
【0183】
図2は、前の例で述べたような1つの繊維性基体と、この基体2の一方の側に配設された1つの箔11とを有するような書類10を図示している。
【0184】
箔11は、1つの釈放被膜を有する多層構造の熱及び圧力印加による移着により書類10上に被着される。
【0185】
図示の例では、箔11は1つの金属化部12と、特にはパターン(例えば英数文字)を形成することができる非金属化ゾーン13とを有する。これらのゾーン13は窓を画定する。識別のために使用される検査ゾーン5は、例えば、非金属化ゾーン13に対応する。図示されていない代替バージョンでは、非金属化ゾーン13は箔11の打ち抜きゾーンにより置換することができる。
【0186】
考察されている例において、繊維等の識別エレメント3は、特にはランダムに、基体2の全表面上に分散されている。他の例として、繊維3は基体2の1つの画定されたゾーン19上のみに分散される。このゾーン19は、例えば、1つの帯状形状を呈する。
【0187】
識別エレメント3は、例えば基体2を形成する場合に、特にはセルロース分散に対する1つ又は幾つかの適切なストリップノズル(strip nozzles)により設けられる。
【0188】
箔11は、所望なら、基体2の該ゾーン19を全体に覆うことができる。
【0189】
箔11は、検査ゾーン5より外の励起信号を遮蔽するのを可能にする。
【0190】
書類10は、例えばバーコードからなる1つのデータ媒体15を有し、該バーコードは比較的大量のデータを記憶するのを可能にするような、例えばPDF417との名称で知られたもの等のマトリクス型のものとすることができる。
【0191】
図1の例では、識別エレメント3は基体2本体に全表面にわたり分散されている。
【0192】
図3は、1つの繊維性基体21を有する書類20を示し、該基体には特にはプラスチックの帯状保全エレメント22が該基体21を製造する際に組み込まれる。
【0193】
帯状エレメント22は、該エレメントの全表面にランダムに分散された複数の識別エレメント3を担持している。
【0194】
基体21は、基体20の一方の側25において上記帯状エレメント22の幾つかのゾーン24を開けたままとする窓23を有している。
【0195】
これらのゾーン24の間では、帯状エレメント22は基体21本体内に埋没される。
【0196】
図示の例では、窓23は帯状エレメント22の幅より小さな幅の長方形形状を呈している。
【0197】
基体21は、一方の側25のみに窓23を有することができる。
【0198】
他の例として、図4に示すように、基体21は書類20の対向する両側25及び26において帯状エレメント22を開けたままにするような対向する窓23を有することができる。
【0199】
特に、斯かる窓を形成する方法に関してはヨーロッパ特許出願公開第690939号を参照することができる。
【0200】
書類20を識別するために使用される検査ゾーン5は、基体21の窓23に対して直角に、帯状エレメント22の露出されたゾーン24により形成される。
【0201】
書類20は例えば1つの磁気トラック28により形成された1つのデータ媒体を有し、該媒体には当該書類20を識別するために使用されるデータが記憶される。
【0202】
図5は、本発明による1つの書類30であって、1つの第1ジェット32及び1つの第2ジェット33により形成される1つのバイジェット(bi-jet)紙31を有する。第1ジェット32は窓34を有し、第2ジェット33は自体に幾つかの識別エレメント3を含んでいる。
【0203】
図示の例において、検査ゾーン5は窓34により画定されている。
【0204】
識別エレメント3は、代わりに、両ジェット32及び33の積層段階の前に、例えば吹付けによりに、これら両ジェット32及び33の間に配設することもできる。
【0205】
書類30は、別のデータ媒体130から当該書類30を識別するために要するデータを取り出すことを可能にする1つの識別子36を有している。
【0206】
図6は、複数の識別エレメント3を含む1つの繊維性基体41を有するような本発明による書類40を示している。
【0207】
基体41には1つの表面塗装42が設けられ、この被膜は例えば真珠光タイプのものとすることができる。
【0208】
この被膜42は、例えば検査ゾーン5を形成すると共に隣接するゾーンのものとは異なる変化する光学的効果を有する減少された厚さのゾーン43を画定するような変化する厚さを呈する。
【0209】
上記識別エレメント3は、
− CREO社の粒子Traceless(商標)、
− NANOBARCODE社の粒子Nanoplex(登録商標)、
− SPECTRA
SYSTEMS社の粒子Polystar(商標)、
− MICROTAG社の粒子Microtag、
の中から選択することができる。
[本発明による認証構造及び識別エレメントの例]
図7は、識別エレメント50を担持した1つの保全繊維51を示す。
【0210】
該繊維51は下記のように実施化される。
【0211】
保全繊維51を得るように設計されたビスコース繊維を紡糸する際に、該ビスコースのマスターバッチに、認証に使用可能な例えば昼光では見えず365nmで発光するような1つの発光物質と、識別のために5mmの各ステープル繊維に対して少なくとも2つの別々の粒子Traceless(商標)を有するような十分な量のCREO社の粒子Traceless(商標)50を添加する。次いで、これらのステープル繊維は1つの紙基体にランダムに挿入される。該発光性繊維51は、ウッドランプにより認証することができる第2レベルの認証構造を画定する。識別エレメントは、各繊維に分散された上記粒子Traceless(商標)により画定される。これらの粒子は、1つの繊維上で、該繊維のスペクトル応答を期待されるものと比較することにより識別することができる。発光性繊維の正真性に関して疑義がある場合、特に印刷による偽造の発光性繊維の如何なる疑いがある場合も、該保全繊維において粒子Traceless(商標)の特徴の識別が実行される。この場合、検査ゾーン5は繊維51の輪郭により形成される。
[本発明による保全及び/又は貴重書類の例]
書類の保全性を強化するために、この書類は2つのタイプの認証構造を有することができる。該書類の基体は、例えばDREO社の粒子Traceless(商標)により形成された識別エレメントを含む発光性繊維51をランダムに有する。該紙基体上に、予備部(reserves)を備える1つのホログラム箔が被着される。該書類の識別は、一方においては箔の予備部に存在する繊維により画定された検査ゾーン内に位置する粒子Traceless(商標)の個別の光学的検出に依存し、他方においては該箔の予備部における繊維51の分布に依存する。この場合、1つの検査ゾーンは、各繊維51の輪郭及び上記箔に形成された予備部の両方により形成される。このように、該書類の識別は、当該箔における予備部により画定されたゾーン内にランダムに分散された繊維51の物理的及び空間的特徴の組み合わせに基づくものとすることができる。赤外線励起下での該ゾーンのスペクトル画像が取得され、期待されたものと識別目的で比較される。
[本発明による認証構造及び識別エレメントの他の例]
HYPERLABEL
TECHNOLOGIES社により開発された活性材料から得られるマトリクスコード140(図12参照)を使用することができる。裸眼では見えないインクに製剤された該活性材料が、着色された低重量用紙上にインクジェット印刷により印刷され、該用紙は次いで例えばディスク形状を持つ幾つかの薄片を生成するように切断される。前記印刷は、例えば2mmなる直径を持つ各薄片が同じマトリクスコードを担持することができるように実行される。該着色された薄片は、例えばブランド製品用のタグを形成することを意図する用紙に分散させた後に、第1レベルの認証構造を構成する。各薄片は、更に、上記マトリクスコードにより構成される識別保全性のための1つの検査ゾーンを画定する。該コードは、1つの薄片上で、例えばHYPERLABEL社により開発された赤外で動作するチャット/スキャナペンにより読み取ることができる。該ペンは、上記マトリクスコードを復号すると共に、記録されたデータを該コードに復元することが可能な処理ユニットに接続される。
[本発明による保全及び/又は貴重書類の他の例]
前記識別エレメントは、1つの紙基体に組み込まれた帯状エレメント上に配設される。該識別エレメントは、例えばNANOBARCODES社により販売されている可変反射度を持つ微細粒子Nanoplex(登録商標)である。異なる反射度特性を持つ両タイプの粒子の混合物が使用される。上記帯状エレメントは、繊維Nanoplex(登録商標)の検査ゾーンとして働く1つの非金属化されたゾーンを有する箔等の認証構造と一緒に圧延される。この検査ゾーン内において、画像解析が自動的に実行される。この解析は、各々のタイプの粒子の各割合(パーセンテージ)と、これら粒子の検査ゾーンにおける分布とに依存する。
【0212】
尚、本発明は上述した例示的実施例に限定されるものではない。
【0213】
図11に示されるように、当該書類は例えば透明樹脂(特には、硬化性樹脂)基体等の1つのプラスチック基体60を有し、該基体内に不均一なエレメント61が形成される。
【0214】
これらの不均一なエレメント61は、例えば当該基体60を製造する際に得られ、この基体60内にランダムに分散されるような材料の欠損又は気泡に対応する。
【0215】
例えば該基体上に被着される膜又は箔の1つの又は幾つかの窓により画定される1つの検査ゾーン内の上記不均一なエレメント61は、当該書類の署名の境界を定める識別エレメントを形成する。
【0216】
図13は、本発明の他の例示的実施例による1つの基体146を有する書類145を示している。
【0217】
上記基体146は、図15に示すような丸い形状の製紙マシン147により形成される繊維性被膜である。
【0218】
このマシン147は、例えばセルロース繊維、及び/又は綿リンタ、及び/又は合成及び/又は人工繊維等の繊維の懸濁液149が入った容器148を有し、該懸濁液には1つの表面151を画定する回転するクロージングシリンダ150が部分的に浸され、上記表面に接触して繊維性被膜146が連続的に形成される。
【0219】
繊維の懸濁液149内への空気の供給を生じさせて気泡153を形成するために、1つのダクト152が設けられている。
【0220】
後者は、図13に非常に概念的に示されているように、繊維性被膜146内に不均一なエレメント155を生成する。
【0221】
勿論、上記の不均一なエレメント155は、特には基体146の製造工程に従って、如何なる他の適切な手段により形成することもできる。
【0222】
考察されている例において、基体146は紙繊維に基づいて実施化される。
【0223】
如何なる不均一なエレメント155も、基体146の残部のものより小さな質量密度により、透過光内での透過性による可視的明スポットに対応する。
【0224】
単位面積当たりの不均一エレメント155の数及び/又は不均一エレメントの平均サイズは、例えば繊維懸濁液149内への漏れ空気流を調整することにより制御することができる。
【0225】
基体146内又は該基体の幾つかのフィールド内でのランダムな分布により、透かし158により画定される検査ゾーン5内の不均一エレメント155は、該基体146に関連された単一の署名を形成する。
【0226】
図14に示されるように、不均一エレメントは、事前に形成された基体146上に表面層160を被着する際に、該表面層160内に発生させることができ、これら不均一エレメントは層160の密度変動に対応する。これらの密度変動は、例えば、乾燥フェーズの間における基体146内に捕捉されていたガスの解放により生じさせることができ、これによれば、基体により解放されたガスは上記表面層に侵入する。他の例として、上記密度変動は、表面層160が上記基体に被着される前又は被着される際に、未だ湿っている表面層160内にガスを意図的に注入することによっても生じさせることができる。表面層160のこれら不均一エレメントは、光学的密度変動を発生させる。
[本発明による書類の例]
図16は、1つの繊維性基体181を有する1つの書類180を示し、この基体は、該基体181内に又は上に別の識別エレメントを追加すること無しに長方形の明るい(clear)透かし182等の認証構造を呈し、該透かしは第1レベルの認証構造及び1つの検査ゾーン5を決定するための基準点として作用する(該明るいゾーンの当該基体の残部に対する光学的コントラストにより)。識別する場合、繊維性基体181の3D微細構造(トポグラフィ)が、その単一の署名により識別するよう作用する。この単一の署名は、Escher
Lab及びコダックにより述べられているもの、又はロンドンのインペリアル・カレッジのRussel Cowburnにより“タグ、チップ又はインクによる包装及び書類の安全な指紋”なる題名の文献に提示されたもの等のセンサにより読み取ることができる。この最後のセンサは、所与のゾーンにおける基体による可視放射の吸収の固有の特徴を調べる1つの“スキャナ”に位置する。
【0227】
上記光学センサは、透かし182の輪郭を位置特定すると共に、該透かしにより画定されるゾーンの内側において当該繊維性基体の小さな検査ゾーン5を決定するように構成することができ、該検査ゾーン5は、この場合、上記透かしの輪郭により画定されるゾーンより小さい。
【0228】
図17は、1つの紙基体176を有する1つの書類175を示す。
【0229】
上記基体の面176上には箔又は膜178が固着され、この箔又は膜178は1つの窓179を有する。考察されている例では、該箔又は膜178は認証構造の境界を定め、窓179は検査ゾーン5の境界を定める。
【0230】
上記検査ゾーン5は、好ましくは、当該書類の寿命中に折り曲げられ又は損傷され易い該書類の角及び/又は境界から離れているものとする。
【0231】
書類175又は180の識別は、検査ゾーン5における紙基体表面176の3D解析に基づくものである。
【0232】
上記解析は、例えば、サブミクロンの解像度での検査ゾーン5のレーザ走査に依存することができる。該検査ゾーン5における上記紙の3D微細構造は、当該書類の単一の署名を画定する。
【0233】
明らかなことに、記載された異なる実施例の特徴は、図示せぬ代替バージョン内で組み合わせることができる。
【0234】
例えば、図1を参照して説明した書類1の電子装置8は、図2における書類10のバーコード15により置換することができる。
【0235】
図示せぬ例において、特には図1ないし6に図示した物品は、前記識別情報は有さず、この識別情報は当該物品に異なるように関連される。
【0236】
“1つ有する”なる表現は、特に指定しない限り、“少なくとも1つ有する”と同義である。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】図1は、本発明の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図2】図2は、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図3】図3は、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図4】図4は、本発明の一例示的実施例による書類の概念的且つ部分的な横断面図である。
【図5】図5は、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図6】図6も、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図7】図7は、本発明による書類に組み込むことが可能な1つの繊維を概念的且つ部分的に示す。
【図7A】図7Aは、本発明による書類に組み込むことが可能な1つの薄片を概念的且つ部分的に示す。
【図8】図8は、本発明による認証及び/又は識別システムを非常に概念的な形で示す。
【図9】図9は、本発明による認証及び/又は識別方法の異なるステップを示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明による書類を認証及び/又は識別するためのデータを取り出すステップを概念的又は部分的に示す。
【図11】図11は、本発明による書類の識別エレメントを概念的又は部分的に示す。
【図12】図12は、活性材料から実施されるマトリクスコードを概念的又は部分的に示す。
【図13】図13は、本発明の一例示的実施例による1つの書類を概念的又は部分的に示す。
【図14】図14は、表面層を有する本発明の一例示的実施例による物品を断面で概念的に示す。
【図15】図15は、本発明による物品の繊維層の製造ステップを書類を概念的又は部分的に示す。
【図16】図16は、本発明の例示的実施例による書類を概念的且つ部分的に示す。
【図17】図17も、本発明の例示的実施例による書類を概念的且つ部分的に示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特には保全及び/又は貴重書類(security and/or valuable document)等の安全な物品、並びに斯かる物品を得るための材料に関する。
【背景技術】
【0002】
如何なる改竄又は偽造の試みに対しても保護することを可能にするような保全エレメント(security elements)を有する保全及び/又は貴重書類が知られている。
【0003】
上記保全エレメントのうち、幾つかは、如何なる特別な装置を用いることもなく可視光において裸眼で検出することができる。これらの保全エレメントは、例えば、1つの透かし、幾つかの着色繊維若しくは薄片、幾つかの印刷された、金属の若しくはホログラムの糸、幾つかのホログラム箔又は幾つかの可変光学効果を備える印刷を有している。
【0004】
これらの保全エレメントは、第1レベルのものであると言われる。
【0005】
他の形式の保全エレメントは、UV又は赤外線放出ランプ等の比較的簡単な装置を用いてのみ検出することができる。これらの保全エレメントは、例えば、繊維、薄片(flakes)、細条(strips)、糸又は粒子を有する。これらの保全エレメントは、裸眼にとり可視であるか又はそうでないものであり得、例えば365nmの波長で放射するウッドランプの照明下で発光的である。
【0006】
これらの保全エレメントは第2レベルのものであると言われる。
【0007】
他の形式の保全エレメントは、検出のために一層複雑な検出器を必要とする。これらの保全エレメントは、例えば、1以上の外部励起源に同時的に又は非同時的に曝されると、固有の信号を発生することができる。該信号の自動検出は、必要なら、当該書類を認証(真正であることを証明する:authenticate)するのを可能にする。
【0008】
これらの保全エレメントは、例えば、光電的、電気的、磁気的又は電磁的励起を受けると固有の信号を発生することができる活性材料、粒子又は繊維の形態の幾つかの追跡子(トレーサ)を有する。
【0009】
これらの保全エレメントは、第3レベルのものであると言われる。
【0010】
書類内にランダムに分散された幾つかの追跡子は、追跡子の密度若しくは当該書類の所定のゾーン内の追跡子の地理的分布と個別に及び/又は一緒に考慮されて、例えば斯かる追跡子により発生される信号の強度及び/又はタイプに基づいて該書類の単一の署名を形成することにより識別するように働くことができる。
【0011】
書類を識別するために使用することが可能な幾つかの追跡子は、例えば、外部磁界に対する応答が非線形であるような軟磁性繊維を有し、該繊維の磁化はヒステリシスループに従って変化する。当該書類の所定のゾーンに存在する繊維群は、上記ゾーンに存在する繊維の分布、向き及びランダム数により該文書の単一の署名を画定することができる。パスポートの、特にビザの頁の場合、パスポート保持者に関するカスタム化がなされる頁上に磁性繊維を存在させることができる。ICAO(国際民間航空機関)の推奨に従う該カスタム化は、カスタム化データからの頁境界における1つの符号化ラインの印刷を含む。このOCR(光学文字認識)ラインは、適切な光学制御システムにより自動的に制御される。この光学制御システムは、上記OCRラインを読み取る場合に、該光学制御システムにより検査ゾーンに存在する磁性繊維によって磁界下で発生される信号の識別も実行することができるように、構成することができる。
【0012】
マイクロ波型の励起に対して反射及び透過による固有の応答を持つような金属繊維からなる追跡子も使用することができる。
【0013】
CREO社によりTraceless(商標)なる商品名で販売されている追跡子も知られている。粒子からなるこれら追跡子は、保護されるべき書類に挿入後は見えず、赤外線の場での励起を受ける場合に固有の電磁的応答により検出することができる。斯様な粒子を有する書類の上記の可能にされた識別は、所定のゾーンにおける粒子分布の検証に基づくもので、この検証は、特に、適切な電磁源の下で観察される粒子画像により実行される。考えられる検査ゾーンは、例えば、後の日に書類上に印刷される文字輪郭に依存することができる。
【0014】
NANOBARCODES社によりNanoplex(登録商標)なる商品名で販売されている微細粒子は、画像の光学分析を介しての識別用として書類に使用することができる。これらの粒子は、異なる金属を積層することにより得られた変化する反射率ゾーンを備える円柱形状を呈し、使用される金属の順序に従って、変化する光コードを生成することを可能にする。認証のための書類上の粒子の検出は、光学顕微鏡により実施される。書類の識別は、更に、当該書類上に異なるコードの粒子をランダムに組み込み、該書類の所定のゾーンに対して画像解析を介して各タイプの粒子の各パーセンテージ及び上記ゾーンにおけるそれらの空間的分布をチェックすることにより、自動的に実施することもできる。
【0015】
SPECTRA SYSTEMS社によりPolystar(商標)なる商品名で販売されている、365nmの放射により励起可能な発光粒子を組み込んだ書類の場合、該書類の識別は、Vericam(商標)なる商品名で販売されているデジタルカメラを組み込んだ携帯システムを用いて、スペクトル放出、即ち粒子の発光“色”及び斯かる色の各々に対する粒子密度を分析することにより実行される。
【0016】
HYPERLABEL
TECHNOLOGIES社は、活性材料を開発した。インクの形で製剤されると、この材料は、追跡されるべき書類又は物品上に、マトリクスコード形式の微細コードの形態でインクジェット印刷により印刷される。この見えないコードは、現在のところ、書類表面上のコードが部分的に変更された場合でさえも識別処理を可能とするように、及び特に管理されるべきゾーン上に読取システムを配置する際の許容誤差により該識別処理を容易にするために、追跡されるべき書類の特定の区域に冗長な態様で印刷される。該コードは、赤外で動作するデジタルカメラが装備されたシステムにより読み取られる。印刷されたコードの検査ゾーンは、各コードの周囲の固有のマークの印刷により定められ、各コードは、言わば、印された交差をもつ格子のボックスの中間に配置される。印刷により検査ゾーンを限定するこの方法は、幾つかの場合においては、制約となり得る。
【0017】
ロンドンのインペリアル・カレッジのラッセル・カウバーン(Russel Cowburn)による「タグ、チップ又はインクを用いない包装及び書類の安全な指紋」なる題名の文献は、紙の3D微細構造(トポグラフィ)を検出するために紙のゾーンの走査を使用することにより1つの紙の署名を読み取る方法を開示している。走査される紙のゾーンは、当該紙の境界及び/又は角に位置する。斯かる境界及び角が損なわれた場合、読取は一層困難になるか、不可能にさえなる。
【0018】
特許文献1は、透かし又は蛍光粒子等の何らかの識別エレメントを検出することができる窓を備えるホログラム帯体を一方の側に有するような紙幣(銀行券:banknote)を開示している。
【0019】
特許文献2は、1つのプラスチック基体を有するカードを開示している。繊維が一方の基体側にランダムに分散され、基体の大きさが僅かに絞られている。この基体の側に、上記繊維を部分的に覆うように金属層が形成されている。該金属層は、上記繊維を検出するための窓を有している。該カードの識別は、上述した窓を介して、検出装置により1以上の直線に従い走査することによって繊維の存在を検出することにより実行される。
【0020】
特許文献3は、内部にランダムに分散された磁性繊維を含むような紙及び/又は合成書類を開示している。該書類の認証は、磁気ヘッドによる走査ゾーン内の繊維の検出に依存している。
【0021】
特許文献4は、磁性薄片を含む紙書類を開示している。この書類は、該書類の或るゾーンにおける薄片のランダム分布に直に関連された見えないバーコードを有している。
【0022】
特許文献5は、ランダムに分散された粒子を含むタグを開示している。このタグは製造の間に紙幣に組み込むことができ、従って、該タグは、裸眼に対する反射により又は拡大鏡若しくは如何なる他の拡大付属品を用いても必ずしも見えるとは限らない。上記粒子の分布に関連づけられたコードを、該紙幣の連続番号と共にデータベースに記憶することができる。この出願において、粒子の位置は例えば或るラインに対して位置特定されることにより両次元で、又は3つの次元で測定される。
【0023】
特許文献6は、磁性繊維を含む書類を開示しており、これら繊維に関連された信号の読取は、特定の経路に従って実施される。
【0024】
【特許文献1】国際特許出願公開第WO2005/025891号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0113420号
【特許文献3】フランス国特許出願公開第FR2324060号
【特許文献4】フランス国特許出願公開第FR2765014号
【特許文献5】英国特許出願公開第GB2324065A号
【特許文献6】米国特許第4114032号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
特に、前記識別方法を改善し、基体に組み込まれた追跡子の自動読み取りにより該方法を信頼性のあるものにすると共に、改竄及び偽造に対する保全及び/又は貴重書類の保護を更に強化したいという要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的は、その態様の1つによれば、保全された物品、特には保全及び/又は貴重書類であって、
− 繊維性とすることが可能な少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーン内の、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有する物品を提供することにある。
【0027】
上記検査ゾーンは、識別情報が、少なくとも1つの識別エレメントの、特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴(feature)で以って供給されるのを可能にする。
【0028】
前記認証構造は、特には反射又は透過により見える(可視の)第1レベルの保全エレメントであり得る。上記用語“見える(可視の)”とは、自然、人工光、UV又はIRの下で裸眼により又は恐らくは拡大鏡若しくは何らかの拡大付属品を用いて観察することができることを意味する。該観察は、画像解析を要せずに直接的になすことができる。
【0029】
上記認証構造は、前記検査ゾーンの輪郭を少なくとも部分的に画定することができ、及び/又は該検査ゾーンを位置特定するように作用することができる。
【0030】
上記用語“位置特定する”とは、上記認証構造が、検査ゾーンにおける少なくとも1つの物理的及び/又は空間的特徴、例えば識別エレメントの空間的分布、を決定する場合の基準系として作用することができることを意味する。この分布は、例えば当該物品の印刷出力によってではなく、上記認証構造自体により定められる基準点(数学的に言って)をとることにより決定することができる。
【0031】
好ましくは、当該物品は、上記検査ゾーンの、特には少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報に関連づけられる。該識別情報は、識別エレメントの分布を表すことができる。
【0032】
この情報は、必要なら、当該物品上に存在することができる。
【0033】
本発明によれば、上記認証構造は、一方においては当該保全物品を認証するように働くと共に、他方においては上記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定して当該物品を識別するのを可能にする。
【0034】
このように、本発明によれば、改竄及び/又は偽造の試みに対する当該物品の保護が、一層容易に改竄することが可能な印刷パターンにより検査ゾーンが定められるような既存の書類に対して、一層困難性のあるものとされる。
【0035】
更に、本発明は、変化する非光学的インクを用いて輪郭又はマークを印刷することにより境界を定める(このような境界の画定は事故的であるか否かによらず機械的又は化学的摩耗を受け得る)ことには依存しないような検査ゾーンを用いることにより、当該基体に挿入された追跡子の識別処理を改善及び高信頼化するのに使用することができる。
【0036】
当該検査ゾーンの輪郭は、必要なら、前記認証構造により物理的に画定することができる。他の例として、上記認証構造は、前記輪郭を物理的に画定することなしに、当該検査ゾーンを位置特定するように作用する。該検査ゾーンは、認証構造内に配置することができるか、該認証構造と一致することができるか、又は該認証構造から突き出ることができる。
【0037】
当該保全された物品の署名は、上記検査ゾーン内に存在する識別エレメント(又は複数のエレメント)に専ら基づくか、又は該検査ゾーン内の識別エレメント(又は複数のエレメント)と該識別ゾーン内の基体の部分との組み合わせに基づくものとすることができる。
【0038】
上記認証構造及び識別エレメントは、種々の形態で、上記基体と相互依存されるものとすることができる。
【0039】
有利には、上記認証構造及び識別エレメントの少なくとも一方が、上記基体内に少なくとも部分的に、特には完全に、埋まるようにされ、これは該認証構造又は識別エレメントを抽出しようとする如何なる試みも困難に(不可能にさえ)する。
【0040】
本発明の例示的実施例においては、当該物品は上記検査ゾーン内に、特にはランダムに、分散された複数の識別エレメントを有し、前記識別情報は、前記複数の識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な或る特徴との関連を個別に又は全体として示す。
【0041】
前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は、必要なら、コード、例えば適切な読取装置により読み取ることが可能なマトリクスコードを形成するように配置することができる。
【0042】
前記認証構造は、当該物品の所定の又は、代替的に、ランダムな位置を占めることができる。
【0043】
本発明の例示的実施例では、上記認証構造は可視光において反射及び/又は透過性により裸眼で検出することができる。
【0044】
他の例として、上記認証構造は、特には紫外線等の所定の照明の下で反射及び/又は透過性により裸眼で検出することができるが、該認証構造は特別に可視光で検出可能である。
【0045】
もし必要なら、前記認識エレメントは、特に照明条件がどのようであれ、裸眼では検出することができないものとする。
【0046】
本発明の例示的実施例では、上記認識エレメントは、特に光電的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的な外部的励起を受けると固有の信号を放出するように構成することができる。
【0047】
上記外部的励起は、例えば、赤外線放射とすることができる。
【0048】
前記特徴(feature)は、検査ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)のタイプに関係することができる。
【0049】
前記識別情報に関連された物理的な特徴は、試験ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)の光学的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的特徴に対応することができる。
【0050】
他の例として、上記識別情報に関連された空間的な特徴は、上記検査ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)の配置、大きさ及び/又は単面積若しくは容積単位当たりの密度に関係することができる。
【0051】
本発明の例示的実施例において、前記認証構造は少なくとも1つの識別エレメントの或る媒体を有する。
【0052】
該媒体は、当該物品の幅より小さな幅の少なくとも1つの帯状(strip)エレメント(例えばプラスチックのもの)を有することができ、該帯状エレメントは、特には、1つの物品基体(特には、1つの繊維性基体)内に少なくとも部分的に組み込まれる。
【0053】
上記帯状エレメントは、望むなら、該物品の第1の境界から、該第1のものに対面する第2の境界まで延在することができる。
【0054】
上記基体は、上記帯状エレメントを外部に対して少なくとも部分的に曝すことが可能な少なくとも1つの窓を有し、その場合、前記検査ゾーンは例えば該窓により少なくとも部分的に画定される。
【0055】
前記基体は、必要なら、互いに対向すると共に、該基体の対向する両側から前記帯状エレメントが少なくとも部分的に見え得るような2つの窓を有することができる。
【0056】
前記媒体も、少なくとも1つの繊維又は1つの薄片を有することができ、前記検査ゾーンは該繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定することができる。
【0057】
上記繊維又は薄片は、裸眼に対して可視的であり得る。
【0058】
上記繊維又は薄片は、特には異なる物理的特性、例えば異なる色及び/又は反射率を有するような複数のゾーンを有することができ、これらの何れか又は組み合わせが識別エレメントを形成する。
【0059】
本発明の例示的実施例では、前記認証構造は少なくとも1つの繊維、特には365nmの放射に対する暴露により検出することが可能な1つの発光繊維を有し、この繊維は、特に該繊維が所与の電磁場に曝された場合の固有のスペクトル応答により特徴付けられる1つの識別エレメントを一緒に形成するような、特にはCREO社のTraceless(登録商標)粒子等の複数の粒子を担持する。
【0060】
本発明の他の例示的実施例においては、前記認証構造は、特には紙に基づく例えばディスク状のものであって、望むなら着色することができる少なくとも1つの薄片を有する。該薄片は、有利には、活性材料を含むインクの印刷処理を受けて、特にはマトリクスコード等のコードを形成する。このインクは、必要なら、裸眼に対して可視的とすることができる。このコードは識別エレメントを形成し、前記検査ゾーンは該薄片の輪郭により画定される。上述したインク及びコードは、HYPERLABEL TECHNOLOGIES社により開発されたものとすることができる。
【0061】
本発明の例示的実施例においては、前記物品は第1のタイプの少なくとも1つの第1認証構造と、該第1のものとは異なる第2のタイプの複数の第2認証構造とを有する。
【0062】
上記第2認証構造は、好ましくは、上記第1認証構造により少なくとも部分的に画定される第1検査ゾーン内にランダムに分散される。これらの第2認証構造は、特には第1構造と比較した場合のそれらの位置、周波数及び/又は分布により、当該物品が識別されるのを可能にする単一の署名の境界を定めるが、該署名は第1及び第2構造の組み合わせの結果である。
【0063】
上記第2認証構造の少なくとも1つは、少なくとも1つの識別エレメントの、繊維又は薄片等の1つの媒体を有することができる。
【0064】
前述したように、繊維又は薄片等の該媒体の輪郭は、識別エレメント(又は複数のエレメント)の第2検査ゾーンの境界を定める。
【0065】
当該物品の認証は、必要なら、上記第1及び第2認証構造に基づいて実施することができる。該物品の識別も、上記第1及び第2検査ゾーンのお陰で、2つの異なる方法で実施することができる。
【0066】
前記基体は、必要なら、例えば形式、形状、大きさ、区域の2つの異なるタイプの及び/又は異なる視覚効果の及び/又はマルチコンポーネントタイプの幾つかの繊維、粒子又は薄片を有することができ、前記検査ゾーンは少なくともこれらエレメントの1つの輪郭により画定される。
【0067】
本発明の例示的実施例においては、前記識別エレメントは、前記認証構造のものより劣る又は勝る面積を持つ当該物品のゾーン内に分散させることができ、これら識別エレメントは例えば全物品表面上に分散される。
【0068】
当該物品は、特には繊維性の1つの基体を有することができ、該基体は少なくとも1つの識別エレメントを含み又は担持することができる。
【0069】
前記識別エレメントは、必要なら、前記基体内の基体面積よりも小さな面積ゾーンに、特にはランダムに、分散させることができ、このゾーンは例えば帯状を呈する。
【0070】
もし必要なら、当該物品は所定の又は可変のピッチで互いに離隔された上述したタイプの幾つかの帯体を有し、該ピッチの値又はその周波数は署名の境界を定めるために使用することができる。
【0071】
本発明の例示的実施例では、前記認証構造及び基体は別個のものである。
【0072】
上記認証構造は、例えば、上記基体の一方の側に設けることができると共に、例えば1つの帯体、1つの膜又は1つのパッチを有することができ、この認証構造は、必要なら、干渉性、ホログラフ的、金属的又は非金属的効果を呈するように構成することができる。
【0073】
特には上記帯体、上記膜又は上記パッチであるような当該認証構造は、前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの窓を有することができ、該窓は、例えば、上記認証構造の非金属化されたゾーン又は穿孔されたゾーンにより形成される。
【0074】
本発明の例示的実施例においては、前記認証構造は前記基体上に設けられた、特にはイリデセント(真珠光)コーティング等の1つの表面塗装であるような1つのコーティング(被膜)を有し、該コーティングは前記検査ゾーンを画定するように配置された異なる干渉効果を持つゾーン又は可変厚のゾーンを呈する。
【0075】
もし望むなら、特には書類である前記物品は1つのデュアルジェット紙(dual-jet paper)を有することができ、第1のジェットは、前記識別エレメントと、第2のジェットに形成され前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの窓を有する認証構造とを含む及び/又は担持する基体の境界を定める。
【0076】
本発明の例示的実施例においては、前記認証構造は少なくとも部分的に前記基体上で実施化される。
【0077】
該認証構造は、前記識別エレメント(又は複数のエレメント)を組み込んだ又は担持した基体上で実施化された少なくとも1つの透かし(watermark)を有することができる。
【0078】
前記検査ゾーンは、特に、例えば透かし等の認証構造により覆われたゾーンに、又は他の例として該認証構造により覆われたゾーンを除く当該物品の全表面に対応することができる。
【0079】
前記識別エレメントの少なくとも1つは、
− 当該物品の基体内の1つの不均一な(heterogeneous)エレメント、
− 例えばX線蛍光により検出することが可能な紫外線吸収体化学化合物又はエレメント等の1つの活性材料、
− 特には発光(luminescent)及び/又は蛍光の、又は磁気共振の若しくは所定の反射率の特性を示す1つの粒子、
− 特には軟磁性金属繊維であるような磁性繊維等の1つの繊維、
− 紙基体の3D微細構造又はトポグラフィ、
の間から選択することができる。
【0080】
前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は、例えば異なる反射率特性を持つ等の例えば異なるタイプの幾つかの粒子を有することができ、その場合、識別は特に何れかのタイプの粒子における各密度の分析に基づくものとなる。
【0081】
前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は、必要なら、前記検査ゾーンに分散されたナノメートル寸法のエレメント、例えば約150nmの直径のナノ繊維を有することができる。
【0082】
本発明による物品は、該物品の認証及び/又は識別が当該書類上に如何なる材料の集合も必要とし得ないように特別に構成される。
【0083】
当該物品が1つのプラスチック基体を有する場合、前記識別エレメントは該基体内の不均一なエレメントにより形成することができ、これらの不均一なエレメントは、例えば、該基体内の材料の欠損である。
【0084】
該基体は、例えば、この基体の或るゾーン内にランダムに分散された気泡を含むことができる。
【0085】
前記識別エレメントは、例えば、1つの紙基体内の3D微細構造又はトポグラフィにより定められる。
【0086】
前記認証構造は、
− 1つの透かし、
− 例えば昼光(daylight)において又は特定の照明の下でのみ着色して見えるような1つの繊維であって、例えば非円形断面を持つ円柱状を有するか又は有さないものとすることができる繊維、
− 昼光において又は特定の照明の下でのみ現れる1つの薄片であって、例えばその全表面上で又は該表面の一部のみで金属的又はホログラフ的であるとすることができ、円形形状を有するか又は有さないものとすることが可能な薄片、
− 1つの膜、又は1つの印刷された金属の又はホログラムの帯体、
− 1つの印刷された金属の又はホログラムの箔、
− 1つの可変光学効果を備える印刷、
のうちの少なくとも1つを有することができる。
【0087】
前記認証構造は、必要なら、白色光で見えるインクの印刷とは異なるようにし得る。
【0088】
前記認証構造は、例えば可変光学効果を備えない通常のインクにより印刷されたバーコードとは相違し得る。
【0089】
該認証構造は、可変光学効果を示すように特別に構成することができる。
【0090】
本発明の例示的実施例においては、前記識別エレメント(又は複数のエレメント)は前記基体内にランダムに存在することができ、例えば後者はホログラム膜等の視覚効果を持つ保全積層の形態で提供される認証構造を全表面に伴って圧延される。
【0091】
上記認証構造は、該認証構造の残部とは異なる物理的特性を呈するような1つの窓又は1つのゾーンを有することができる。
【0092】
例えば上記膜等の認証構造は、上記窓外に、当該基体上に存在する識別エレメント(又は複数のエレメント)を励起するように作用する励起信号を遮蔽するように配設された少なくとも1つのゾーンを有することができる。
【0093】
上記窓はレンチキュラスクリーンを呈するゾーンに対応することができる。
【0094】
このように、前記検査ゾーンの画定は、特に可視ゾーンを限定することにより光学的であると共に、特に該検査ゾーン以外で上記励起信号を吸収又は反射する材料を用いることにより物理的であるとすることができる。
【0095】
上記検査ゾーンは前記認証構造により画定されるゾーンよりも小さくすることができ、該認証構造は、必要なら、当該検査ゾーンを位置特定するための空間座標x,y,zの基準点として作用する。
【0096】
本発明の例示的実施例では、前記識別情報は、直接的に理解することができるか又は理解することができない形態で前記空間的及び/又は物理的特徴を有し、該情報は例えば暗号化される。
【0097】
他の例として、前記識別情報は当該物品の別の媒体上に記憶された空間的及び/又は物理的特徴を取り出すのを可能にし、該識別情報は例えば1つの物品識別子を有する。
【0098】
前記識別情報は、前記検査ゾーンに含まれる識別エレメントの1つの画像を含む又は取り出すように作用することができる。
【0099】
当該物品は、必要なら、
− 特にはバーコード等の光学的装置、
− 特にはチップ等を有するデータを記憶することができる電子装置、
− 磁気トラック、
− 光メモリ、
の中から特に選択される前記識別情報を記憶することができる少なくも1つのデータ媒体を有することができる。
【0100】
好ましくは、該物品は少なくとも1つの見掛け(apparent)引用文を有するものとする。“見掛け引用文”とは、特に、当該物品上で見える例えばテキスト、画像又はロゴ等の情報エレメントを意味する。
【0101】
上記見掛け引用文は、例えば、特には名前(姓)、ファーストネーム(名)及び国籍等の個人の市民的身分に関する少なくとも1つのエレメント、並びに/又は例えば身長、体重及び毛髪若しくは目の色等の少なくとも1つの生理測定学的パラメータを有する。
【0102】
上記見掛け引用文は、必要なら、例えば1つの画像、1つの素性を示す写真を有することができる。
【0103】
当該物品が紙幣等の貴重書類である場合、上記見掛け引用文は例えば1つの連続番号を有することができる。
【0104】
上記見掛け引用文は印刷することができる。
【0105】
有利には、前記識別情報は、当該物品上で見える少なくとも1つの見掛け引用文を表す1つの情報にアクセスするのを可能にする。このようにして、当該物品と、該物品上で見える1つ又は数個の見掛け引用文との間に一義的関係を確立することが可能である。
【0106】
本発明の例示的実施例においては、前記物品は、特には紙の、少なくとも1つの繊維性基体を有する。他の例では、当該物品は1つのプラスチック基体を有することができる。
【0107】
本発明の例示的実施例では、上記物品は、
− 少なくとも1つの繊維性基体と、
− 基体の一方の側上に設けられた、特にはバインダ型の可能性のある少なくとも1つの表面層と、
− 上記基体及び/又は上記可能性のある表面層内に特にはランダムに分散された該基体及び/又は該可能性のある表面層の複数の不均一なエレメントと、
− 前記不均一なエレメントの少なくとも一部の少なくとも1つの空間的及び/又は物理的特徴に関連された少なくとも1つの認証及び/又は識別情報と、
を有する。
【0108】
上記不均一なエレメントは、本発明によれば、特に例えば1以上の異なる固体物質(又は複数の物質)を使用することにより得られる不均一なエレメントとは異なる。
【0109】
本発明によれば、検査ゾーンにおける前記繊維性基体及び/又は表面層の不均一なエレメントは、当該物品に関連付けられた署名、特には三次元の署名を形成するために使用することができる。この署名は、不均一なエレメントの配置及びランダムな寸法により単一とすることができる。
【0110】
好ましくは、上記不均一なエレメントは湿式フェーズにおける前記繊維性材料基体の形成の間に発生され、該基体の密度(mass density)の変動に対応する。これらの密度変動は、特に、当該基体を形成する湿式フェーズの間におけるガス圧入(gas
injection)により生じ得、該基体の光学特性の変動を生じる。
【0111】
上記不均一なエレメントは、例えば、当該基体の残部のものより小さな密度を有し、透過光で視覚的に感知可能な明色のスポットを形成することができる。
【0112】
上記不均一なエレメントは、オプションとして、優先的な態様で前記基体の所定の領域に、特には、例えば透かしを形成するために使用されると共に紙マシンの回転ワイヤシリンダに取り付けられたパンチ上に形成された小さな開口を介して1以上のガスを圧入する等により該透かしにより境界を定められた領域に、分散される。
【0113】
前記構造が表面層を有する場合、この表面層内の上記不均一なエレメントは、特に、該表面層を事前に形成された基体に被着する場合に発生され、その場合において、該不均一なエレメントは該表面層の密度の変動に対応する。これらの密度の変動は、乾燥フェーズの間における当該基体内に捕捉されたガス又は複数のガスの解放により(該基体により解放された該ガス又は複数のガスは上記表面層に侵入する)、又は当該基体への表面層の被着前又は被着の間において依然として湿っている該表面層へガスを意図的に注入することにより生じ得る。この表面層内のこれら不均一なエレメントは、該表面層の光学的密度の変動を生じる。
【0114】
上記表面層は、特にはバイダからなることができ、有利には当該構造に固有の印刷適性的特性及び/又は可変光学効果等の特性を付与するように構成することができる。
【0115】
使用される前記ガス又は複数のガスは、前記基体及び/又はオプションとしての表面層における1以上の反応性領域と作用し合って、前記不均一なエレメントに光学的及び/又は物理的変化を誘起させるように選択することができる。この変化は、例えば1つの不均一なエレメントにおける着色されたスポットの形成に相当することができる。
【0116】
この発明の他の目的は、他の態様によれば、
− 第1のタイプの少なくとも1つの第1認証構造と、
− 前記第1認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第1検査ゾーンと、
− 前記第1のものとは異なる第2のタイプの少なくとも複数の第2認証構造であって、何れの第2認証構造も例えば1つの繊維又は1つの薄片を有し、これら第2認証構造が好ましくは前記第1検査ゾーン内にランダムに分散されるような第2認証構造と、
− 例えば1つの第2認証構造の輪郭により画定されるように、前記第2認証構造の少なくとも1つにより少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第2検査ゾーンと、
− 前記第2検査ゾーンにおける、前記第2認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するシート状材料を提供することにある。
【0117】
本発明の他の目的は、その態様の他の1つによれば、特には保全及び/又は貴重書類であるような物品を認証及び/又は識別する方法であって、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーン内の、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するような方法を提供することにある。
【0118】
上記物品は、前記検査ゾーンにおける特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された識別情報に少なくとも関連付けることができる。
【0119】
上記方法は、斯かる物品の前記認証及び識別の少なくとも一方を有することができ、該方法は当該書類の認証が、
− 特には裸眼により、所与の照明条件下での反射及び/又は透過により前記認証構造を観察するステップと、
− 観察により、前記物品の真正さに関して結論するステップと、
を有する一方、前記物品の識別が、
− 自動的又は非自動的に、前記識別情報を可能性として読み取るステップと、
− 前記識別情報に関連された前記物品の前記検査ゾーンの特徴を、該物品の検査ゾーンから得られた少なくとも1つの特徴と比較するステップと、
− 少なくとも比較により、前記物品の真正さに関して結論するステップと、
を有することを特徴とする。
【0120】
上述した比較は、例えば、第1画像と第2画像との間で実行され、第1画像は上記識別情報に関連されたもので、第2画像は識別する際に当該物品の検査ゾーンから得られる。
【0121】
上記比較は第1の値と第2の値との間で実行することもでき、第1の値は上記識別情報により得られ、第2の値は当該物品の検査ゾーン上で測定される。
【0122】
上記検査ゾーンの特徴は、例えば、複数の識別エレメントの空間的分布であり、この分布は、非光学的可変インクにより印刷されたマークによってではなく、前記認証構造により定められる基準点から決定することができる。
【0123】
当該書類の識別は、必要なら、自動的に達成することができる。
【0124】
本発明の例示的実施例では、前記認証構造は、特に顕微鏡等の機器の助けなしで、裸眼にとり見えるものである。
【0125】
当該方法は、
− 例えば可視光で又は赤外線で動作する例えば1組のセンサ等の少なくとも1つのセンサによる当該物品の画像解析により前記検査ゾーンを位置特定するステップ、
を有することができる。
【0126】
上記画像解析は、例えば、CCDカメラ又はCMOSカメラにより実施することができる。
【0127】
前記物品の識別は、
− 前記物品の検査ゾーンにおける識別エレメントの配置を、前記識別情報により取り出された画像と比較するステップ、
を有することができる。
【0128】
前記書類の識別は、
− 特に前記識別エレメントが外部励起を受けた場合に、前記検査ゾーンにおける識別エレメントにより発生される信号の信号強度を測定し及び/又はタイプを決定するステップと、
− 上記の測定された信号強度及び/又は信号のタイプを、前記識別情報により取り出されたデータと比較するステップと、
を有することができる。
【0129】
当該検出は、必要なら、前記検査ゾーンにおけるノイズイベント(noise event)の調査に依存することができる。
【0130】
前記署名にとり役立つ空間的及び/又は物理的特徴は、個別に又はグループで、且つ、必要なら前記検査ゾーンにおける識別エレメントに関連されると共に、前記検査ゾーンにおける識別エレメントの近傍の基体にも関連される。
【0131】
前記物品が少なくとも1つの見掛け引用文を有する場合、前記方法は、
− 前記見掛け引用文を表す情報を、当該物品上に現れる該見掛け引用文自体と比較するステップと、
− 少なくとも上記比較に基づいて当該物品の正真性及び/又は素性について結論するステップと、
を有することができる。
【0132】
上記の見掛け引用文は、例えば、個人の姓、名若しくは年齢、又は市民的地位等のエレメントであり得る。
【0133】
本発明の他の目的は、その態様の他のものによれば、特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品を認証及び/又は識別するシステムであって、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
− 前記検査ゾーンにおける特には前記少なくとも識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報と、
を有し、当該システムが、
− 前記物品上の前記検査ゾーンを位置特定するように配設された、特には1つの光学検出システムを有するような画像解析手段と、
− 前記検査ゾーンの、特には前記画像解析手段により位置特定された該検査ゾーンにおける識別エレメント(又は複数のエレメント)の特には空間的及び/又は物理的な特徴の取得手段と、
− オプションとしての、前記識別情報に関連された前記検査ゾーンの特徴を、前記取得手段により得られた少なくとも1つの特徴と比較するように構成された処理ユニットと、
を有するようなシステムを提供することにある。
【0134】
本発明の他の目的は、その態様の他のものによれば、特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品をシート状材料から製造する方法であって、該シート状材料が、
− 少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、前記方法が、
− 前記シート状材料に、前記検査ゾーンの、特には該検査ゾーンの前記少なくとも識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報を設けるステップ、
を有するような方法を提供することにある。
【0135】
上述した製造方法は、更に、
前記シート状材料上に少なくとも1つの印刷を実行するステップ、
を有することができる。
【0136】
本発明の他の目的は、その態様の他のものによれば、特には上述した方法を実施するためのシート状材料であって、
− 少なくとも1つの基体と、
− 好ましくは反射により見え、特には1つの繊維若しくは1つの薄片又は一群の繊維及び/又は薄片であるような、前記基体と作用し合う少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により、特には前記繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なり、且つ、粒子又は1つの活性材料を有する少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するようなシート状材料を提供することにある。
【0137】
このように、前記認証構造は、非光学的可変インクにより実施される特には英数字印刷又はバーコードのような印刷とは相違し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0138】
本発明は、本発明の限定するものではない例示的実施例の下記の詳細な説明を精読し、添付図面を参照すれば最もよく理解されるであろう。
【0139】
図1は、本発明による保全及び/又は貴重書類1を示し、該書類は紙幣(銀行券:banknote)、安全保護用紙(security paper)、個人識別書類(identity document)、紙葉(leaf)若しくはパスポートカバー、ビザ、クーポン、例えば小切手若しくはクレジットカード等の紙幣以外の貴重書類、保護及び/又は認証タグ、追跡タグ(traceability
tag)、例えば1つ又は幾つかの医薬品ための包装装置であって例えば1つのブリスタ(blister)を有しているような包装装置のうちの1つを構成することができる。
【0140】
書類1は、本例では繊維基体2を有し、該基体は例えばセルロース繊維及び/又は綿リンタ(cotton linter)及び/又は合成繊維を有する。
【0141】
他の例として、基体2はプラスチックのものとすることもできる。
【0142】
記載する例では、基体2は、自体に、当該基体2の全表面上にランダムに分散された複数の識別エレメント3を含んでいる。
【0143】
これらの識別エレメント3は、例えば、特には発光性及び/若しくは蛍光性の粒子、並びに/又は特には軟磁性の磁性繊維若しくは特には赤外放射への暴露により光学的に励起可能な繊維を有する。
【0144】
これらの識別エレメント3は、裸眼により検出することができるように選択することができ、この目的のために、例えば十分に小さな寸法又は的確な反射度を呈する。
【0145】
識別エレメント3は、特には光電的、電磁的、電気的、磁気的又は熱的な適合された外部励起を受けた場合に固有の信号を放出するように構成されている。
【0146】
認証構造を画定する透かし4は、基体2上の該基体の所定の位置に形成される。
【0147】
この透かし4は、例えば、当該紙を製造する際のセルロース繊維の水性懸濁液に対する処理により得ることができる。透かし4を形成するために如何なる他の技法も、勿論、使用することができ、該透かしは疑似透かしとすることができる。
【0148】
透かし4の輪郭は、後に検査ゾーン5の境界を定める。
【0149】
この検査ゾーン5内にランダムに分散された識別エレメント3は、当該書類1の単一の署名を画定する。
【0150】
書類1は、例えば基体2上に印刷された見掛け引用文6を有する。これらの見掛け引用文6は、例えば、個人の姓及び名を有する。該見掛け引用文6は、如何なるタイプのものとすることもでき、例えば1つの画像を有する。
【0151】
書類1は、更に、考察される例ではデータを記憶することが可能なチップを備える1つの電子装置を含むようなデータ媒体8を有する。
【0152】
上記電子装置8は種々の方法で基体2に取り付けることができ、その際に、例えば当該基体体2内に少なくとも部分的に又は完全に組み込まれるか又は該基体の外面上に被着される。
【0153】
上記データ媒体8は、一方では検査ゾーン5に分散された識別エレメント3の少なくとも1つの空間的及び/又は物理的特徴を、他方においては当該書類1上に現れる見掛け引用文を表す情報を記憶する。
【0154】
該データ媒体8により記憶されたデータは、保全性(セキュリティ)を強化するために暗号化することができる。
【0155】
識別情報に関連される上記物理的特徴は、検査ゾーン5における識別エレメント(又は複数のエレメント)3の及び恐らくは該検査ゾーン5における基体部分の光学的、電磁的、電気的、磁気的又は熱的特徴に対応し得る。
【0156】
識別情報に関連する上記空間的特徴は、検査ゾーン5における識別エレメント(又は複数のエレメント)3の配置、大きさ及び単位面積当たりの密度に関係するものとすることができる。
【0157】
書類1の認証は、第1レベルの保全エレメントを構成する透かし4を透過により単に観察することにより実行することができる。
【0158】
認証目的での特定の装置の使用は、必要ではない。
【0159】
もし必要なら、該書類の認証に加えて該書類の識別を実行することが望ましいであろう。
【0160】
この目的のために、書類1の単一の署名が介在するが、該署名は検査ゾーン5に分散された識別エレメント3により形成される。
【0161】
書類1の識別は、図8に非常に概念的な形で図示された適切なシステム100により得ることができる。
【0162】
このシステム100は、
− 制御空間102内に当該書類1を挿入するのを可能にする1つのスリット101と、
− 例えば1つのカメラを有する1つの光学検出システム103であって、上記制御空間102に挿入された書類1の検査ゾーン5を、特には画像解析により位置特定するように構成され、且つ、例えば可視光又は赤外光で動作すると共に例えば少なくとも1つの発光ダイオード又はレーザダイオードを有するようなシステムと、
− 上記検出システム103により位置特定された検査ゾーン5内の識別エレメント3の空間的及び/又は物理的特徴の取得手段104であって、外部励起を受けた場合に検査ゾーン5内に存在する識別エレメント3により発生される信号の強度を測定する1つのセンサ又は一群のセンサ等の特には1つの装置を有することができるような取得手段と、
− 識別情報と関連された当該書類1の識別エレメント3の上記特徴を、前記取得手段104により得られた少なくとも1つの特徴と比較するように構成されたコンピュータ等の1つのデータ処理ユニット105と、
を有する。
【0163】
本発明の例示的実施例では、上記システム100は複数の照明源を有することができ、少なくとも1つは例えば可視部分で動作すると共に検査ゾーン5を位置特定するために使用され、1つ又は多くの他の照明源は識別エレメント(又は複数のエレメント)の複数励起を生成するために使用され、これらの多分複数の励起は同時的又は順次のものとすることができる。
【0164】
システム100は、励起源が電磁的である場合、必要なら、励起及び/又は放出波長を濾波するフィルタを有することができる。
【0165】
前記取得手段104は、前記識別エレメントにより放出される信号が電磁型のものである場合、フォトダイオードボックスを有することができ、該信号が磁気型のものである場合磁気抵抗センサを有することができる。
【0166】
図示せぬ代替バージョンにおいては、システム100は1つのカメラを含む1つの検出装置を有することができ、この装置は書類1の検査ゾーン5を位置特定すると共に、該検査ゾーン5内に存在する識別エレメント3の面積密度及び/又は空間分布等の1つの空間的特徴を決定するように構成される。
【0167】
書類1の識別は下記のステップを有することができる。
【0168】
最初に、書類1はシステム100の制御空間102に挿入される。
【0169】
光学検出システム103は、例えば透かし4の輪郭を決定することによって、画像解析により当該書類1の検査ゾーン5を位置特定する(図9におけるステップ120)。
【0170】
取得手段104は、検出システム103により位置特定された検査ゾーン5内の識別エレメントの1つの空間的及び/又は物理的特徴を、例えば該検査ゾーン5内に存在する識別エレメント3により発生される信号の強度を測定することにより決定する(ステップ121)。
【0171】
次いで、処理ユニット105は、該測定された信号強度を、書類1のデータ媒体8に記憶された識別情報に関連する値と比較する(ステップ122)。
【0172】
当該識別が光学的検出に依存し、特に取得手段104が1つのカメラを有する場合、上記比較は特に2つの画像、即ち書類1で検査ゾーンのレベルにおいて得られる一方の画像及びデータ媒体8に格納された情報により取り出される他方の画像を扱うことができる。
【0173】
見掛け引用文を表す情報は、書類1上に現れている見掛け引用文6と比較される。
【0174】
上述した比較は、書類1及び基体2に現れる見掛け引用文6の間の一義的関係をチェックし、次いで該書類1の真正さ及び素性をチェックするのを可能にする(ステップ123及び124)。
【0175】
本発明の他の例示的実施例では、当該書類を識別するための有効な情報、即ち前記空間的及び/又は物理的特徴並びに少なくとも見掛け引用文を表す情報、は当該書類1自体には記憶されず、図10に図示したように当該書類1とは別の1つのデータ媒体130上に記憶される。
【0176】
このデータ媒体130は、例えば、1つのコンピュータシステムの1つのデータベースからなることができる。
【0177】
この場合、上記識別情報は、データ媒体130に記憶された当該書類に関連するデータを、携帯電話又はパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)又はコンピュータ又は何らかの他の装置等の1つの端末131により取り出すのを可能にするような1つの識別子を有する。
【0178】
端末131は、ケーブル接続された又はケーブル接続されないリンクを介してデータベース130に接続することができる。
【0179】
この場合、上記書類の識別は、このようにして実行することができる。
【0180】
前記識別子が読み取られ、当該書類を認証及び/又は識別するのに有効なデータ、即ち識別エレメント3の1つの空間的及び/又は物理的特徴及び見掛け引用文を表すデータ、が取り出される。上述したデータを取り出すために、ユーザは端末131により該書類の識別子をデータベース130を有するシステムに送信することができ、これに対し、該システムは端末131に対して例えば検査ゾーン5の画像132を含む所要のデータを送信する。
【0181】
この取り出されたデータは、当該書類上で決定された空間的及び/又は物理的特徴並びに該書類上に現れている見掛け引用文と比較して、書類1を識別するのを可能にする。
【0182】
明らかなことに、上記検査ゾーンが1つの透かし以外のエレメントにより画定される場合も本発明の範囲外となることはない。
【0183】
図2は、前の例で述べたような1つの繊維性基体と、この基体2の一方の側に配設された1つの箔11とを有するような書類10を図示している。
【0184】
箔11は、1つの釈放被膜を有する多層構造の熱及び圧力印加による移着により書類10上に被着される。
【0185】
図示の例では、箔11は1つの金属化部12と、特にはパターン(例えば英数文字)を形成することができる非金属化ゾーン13とを有する。これらのゾーン13は窓を画定する。識別のために使用される検査ゾーン5は、例えば、非金属化ゾーン13に対応する。図示されていない代替バージョンでは、非金属化ゾーン13は箔11の打ち抜きゾーンにより置換することができる。
【0186】
考察されている例において、繊維等の識別エレメント3は、特にはランダムに、基体2の全表面上に分散されている。他の例として、繊維3は基体2の1つの画定されたゾーン19上のみに分散される。このゾーン19は、例えば、1つの帯状形状を呈する。
【0187】
識別エレメント3は、例えば基体2を形成する場合に、特にはセルロース分散に対する1つ又は幾つかの適切なストリップノズル(strip nozzles)により設けられる。
【0188】
箔11は、所望なら、基体2の該ゾーン19を全体に覆うことができる。
【0189】
箔11は、検査ゾーン5より外の励起信号を遮蔽するのを可能にする。
【0190】
書類10は、例えばバーコードからなる1つのデータ媒体15を有し、該バーコードは比較的大量のデータを記憶するのを可能にするような、例えばPDF417との名称で知られたもの等のマトリクス型のものとすることができる。
【0191】
図1の例では、識別エレメント3は基体2本体に全表面にわたり分散されている。
【0192】
図3は、1つの繊維性基体21を有する書類20を示し、該基体には特にはプラスチックの帯状保全エレメント22が該基体21を製造する際に組み込まれる。
【0193】
帯状エレメント22は、該エレメントの全表面にランダムに分散された複数の識別エレメント3を担持している。
【0194】
基体21は、基体20の一方の側25において上記帯状エレメント22の幾つかのゾーン24を開けたままとする窓23を有している。
【0195】
これらのゾーン24の間では、帯状エレメント22は基体21本体内に埋没される。
【0196】
図示の例では、窓23は帯状エレメント22の幅より小さな幅の長方形形状を呈している。
【0197】
基体21は、一方の側25のみに窓23を有することができる。
【0198】
他の例として、図4に示すように、基体21は書類20の対向する両側25及び26において帯状エレメント22を開けたままにするような対向する窓23を有することができる。
【0199】
特に、斯かる窓を形成する方法に関してはヨーロッパ特許出願公開第690939号を参照することができる。
【0200】
書類20を識別するために使用される検査ゾーン5は、基体21の窓23に対して直角に、帯状エレメント22の露出されたゾーン24により形成される。
【0201】
書類20は例えば1つの磁気トラック28により形成された1つのデータ媒体を有し、該媒体には当該書類20を識別するために使用されるデータが記憶される。
【0202】
図5は、本発明による1つの書類30であって、1つの第1ジェット32及び1つの第2ジェット33により形成される1つのバイジェット(bi-jet)紙31を有する。第1ジェット32は窓34を有し、第2ジェット33は自体に幾つかの識別エレメント3を含んでいる。
【0203】
図示の例において、検査ゾーン5は窓34により画定されている。
【0204】
識別エレメント3は、代わりに、両ジェット32及び33の積層段階の前に、例えば吹付けによりに、これら両ジェット32及び33の間に配設することもできる。
【0205】
書類30は、別のデータ媒体130から当該書類30を識別するために要するデータを取り出すことを可能にする1つの識別子36を有している。
【0206】
図6は、複数の識別エレメント3を含む1つの繊維性基体41を有するような本発明による書類40を示している。
【0207】
基体41には1つの表面塗装42が設けられ、この被膜は例えば真珠光タイプのものとすることができる。
【0208】
この被膜42は、例えば検査ゾーン5を形成すると共に隣接するゾーンのものとは異なる変化する光学的効果を有する減少された厚さのゾーン43を画定するような変化する厚さを呈する。
【0209】
上記識別エレメント3は、
− CREO社の粒子Traceless(商標)、
− NANOBARCODE社の粒子Nanoplex(登録商標)、
− SPECTRA
SYSTEMS社の粒子Polystar(商標)、
− MICROTAG社の粒子Microtag、
の中から選択することができる。
[本発明による認証構造及び識別エレメントの例]
図7は、識別エレメント50を担持した1つの保全繊維51を示す。
【0210】
該繊維51は下記のように実施化される。
【0211】
保全繊維51を得るように設計されたビスコース繊維を紡糸する際に、該ビスコースのマスターバッチに、認証に使用可能な例えば昼光では見えず365nmで発光するような1つの発光物質と、識別のために5mmの各ステープル繊維に対して少なくとも2つの別々の粒子Traceless(商標)を有するような十分な量のCREO社の粒子Traceless(商標)50を添加する。次いで、これらのステープル繊維は1つの紙基体にランダムに挿入される。該発光性繊維51は、ウッドランプにより認証することができる第2レベルの認証構造を画定する。識別エレメントは、各繊維に分散された上記粒子Traceless(商標)により画定される。これらの粒子は、1つの繊維上で、該繊維のスペクトル応答を期待されるものと比較することにより識別することができる。発光性繊維の正真性に関して疑義がある場合、特に印刷による偽造の発光性繊維の如何なる疑いがある場合も、該保全繊維において粒子Traceless(商標)の特徴の識別が実行される。この場合、検査ゾーン5は繊維51の輪郭により形成される。
[本発明による保全及び/又は貴重書類の例]
書類の保全性を強化するために、この書類は2つのタイプの認証構造を有することができる。該書類の基体は、例えばDREO社の粒子Traceless(商標)により形成された識別エレメントを含む発光性繊維51をランダムに有する。該紙基体上に、予備部(reserves)を備える1つのホログラム箔が被着される。該書類の識別は、一方においては箔の予備部に存在する繊維により画定された検査ゾーン内に位置する粒子Traceless(商標)の個別の光学的検出に依存し、他方においては該箔の予備部における繊維51の分布に依存する。この場合、1つの検査ゾーンは、各繊維51の輪郭及び上記箔に形成された予備部の両方により形成される。このように、該書類の識別は、当該箔における予備部により画定されたゾーン内にランダムに分散された繊維51の物理的及び空間的特徴の組み合わせに基づくものとすることができる。赤外線励起下での該ゾーンのスペクトル画像が取得され、期待されたものと識別目的で比較される。
[本発明による認証構造及び識別エレメントの他の例]
HYPERLABEL
TECHNOLOGIES社により開発された活性材料から得られるマトリクスコード140(図12参照)を使用することができる。裸眼では見えないインクに製剤された該活性材料が、着色された低重量用紙上にインクジェット印刷により印刷され、該用紙は次いで例えばディスク形状を持つ幾つかの薄片を生成するように切断される。前記印刷は、例えば2mmなる直径を持つ各薄片が同じマトリクスコードを担持することができるように実行される。該着色された薄片は、例えばブランド製品用のタグを形成することを意図する用紙に分散させた後に、第1レベルの認証構造を構成する。各薄片は、更に、上記マトリクスコードにより構成される識別保全性のための1つの検査ゾーンを画定する。該コードは、1つの薄片上で、例えばHYPERLABEL社により開発された赤外で動作するチャット/スキャナペンにより読み取ることができる。該ペンは、上記マトリクスコードを復号すると共に、記録されたデータを該コードに復元することが可能な処理ユニットに接続される。
[本発明による保全及び/又は貴重書類の他の例]
前記識別エレメントは、1つの紙基体に組み込まれた帯状エレメント上に配設される。該識別エレメントは、例えばNANOBARCODES社により販売されている可変反射度を持つ微細粒子Nanoplex(登録商標)である。異なる反射度特性を持つ両タイプの粒子の混合物が使用される。上記帯状エレメントは、繊維Nanoplex(登録商標)の検査ゾーンとして働く1つの非金属化されたゾーンを有する箔等の認証構造と一緒に圧延される。この検査ゾーン内において、画像解析が自動的に実行される。この解析は、各々のタイプの粒子の各割合(パーセンテージ)と、これら粒子の検査ゾーンにおける分布とに依存する。
【0212】
尚、本発明は上述した例示的実施例に限定されるものではない。
【0213】
図11に示されるように、当該書類は例えば透明樹脂(特には、硬化性樹脂)基体等の1つのプラスチック基体60を有し、該基体内に不均一なエレメント61が形成される。
【0214】
これらの不均一なエレメント61は、例えば当該基体60を製造する際に得られ、この基体60内にランダムに分散されるような材料の欠損又は気泡に対応する。
【0215】
例えば該基体上に被着される膜又は箔の1つの又は幾つかの窓により画定される1つの検査ゾーン内の上記不均一なエレメント61は、当該書類の署名の境界を定める識別エレメントを形成する。
【0216】
図13は、本発明の他の例示的実施例による1つの基体146を有する書類145を示している。
【0217】
上記基体146は、図15に示すような丸い形状の製紙マシン147により形成される繊維性被膜である。
【0218】
このマシン147は、例えばセルロース繊維、及び/又は綿リンタ、及び/又は合成及び/又は人工繊維等の繊維の懸濁液149が入った容器148を有し、該懸濁液には1つの表面151を画定する回転するクロージングシリンダ150が部分的に浸され、上記表面に接触して繊維性被膜146が連続的に形成される。
【0219】
繊維の懸濁液149内への空気の供給を生じさせて気泡153を形成するために、1つのダクト152が設けられている。
【0220】
後者は、図13に非常に概念的に示されているように、繊維性被膜146内に不均一なエレメント155を生成する。
【0221】
勿論、上記の不均一なエレメント155は、特には基体146の製造工程に従って、如何なる他の適切な手段により形成することもできる。
【0222】
考察されている例において、基体146は紙繊維に基づいて実施化される。
【0223】
如何なる不均一なエレメント155も、基体146の残部のものより小さな質量密度により、透過光内での透過性による可視的明スポットに対応する。
【0224】
単位面積当たりの不均一エレメント155の数及び/又は不均一エレメントの平均サイズは、例えば繊維懸濁液149内への漏れ空気流を調整することにより制御することができる。
【0225】
基体146内又は該基体の幾つかのフィールド内でのランダムな分布により、透かし158により画定される検査ゾーン5内の不均一エレメント155は、該基体146に関連された単一の署名を形成する。
【0226】
図14に示されるように、不均一エレメントは、事前に形成された基体146上に表面層160を被着する際に、該表面層160内に発生させることができ、これら不均一エレメントは層160の密度変動に対応する。これらの密度変動は、例えば、乾燥フェーズの間における基体146内に捕捉されていたガスの解放により生じさせることができ、これによれば、基体により解放されたガスは上記表面層に侵入する。他の例として、上記密度変動は、表面層160が上記基体に被着される前又は被着される際に、未だ湿っている表面層160内にガスを意図的に注入することによっても生じさせることができる。表面層160のこれら不均一エレメントは、光学的密度変動を発生させる。
[本発明による書類の例]
図16は、1つの繊維性基体181を有する1つの書類180を示し、この基体は、該基体181内に又は上に別の識別エレメントを追加すること無しに長方形の明るい(clear)透かし182等の認証構造を呈し、該透かしは第1レベルの認証構造及び1つの検査ゾーン5を決定するための基準点として作用する(該明るいゾーンの当該基体の残部に対する光学的コントラストにより)。識別する場合、繊維性基体181の3D微細構造(トポグラフィ)が、その単一の署名により識別するよう作用する。この単一の署名は、Escher
Lab及びコダックにより述べられているもの、又はロンドンのインペリアル・カレッジのRussel Cowburnにより“タグ、チップ又はインクによる包装及び書類の安全な指紋”なる題名の文献に提示されたもの等のセンサにより読み取ることができる。この最後のセンサは、所与のゾーンにおける基体による可視放射の吸収の固有の特徴を調べる1つの“スキャナ”に位置する。
【0227】
上記光学センサは、透かし182の輪郭を位置特定すると共に、該透かしにより画定されるゾーンの内側において当該繊維性基体の小さな検査ゾーン5を決定するように構成することができ、該検査ゾーン5は、この場合、上記透かしの輪郭により画定されるゾーンより小さい。
【0228】
図17は、1つの紙基体176を有する1つの書類175を示す。
【0229】
上記基体の面176上には箔又は膜178が固着され、この箔又は膜178は1つの窓179を有する。考察されている例では、該箔又は膜178は認証構造の境界を定め、窓179は検査ゾーン5の境界を定める。
【0230】
上記検査ゾーン5は、好ましくは、当該書類の寿命中に折り曲げられ又は損傷され易い該書類の角及び/又は境界から離れているものとする。
【0231】
書類175又は180の識別は、検査ゾーン5における紙基体表面176の3D解析に基づくものである。
【0232】
上記解析は、例えば、サブミクロンの解像度での検査ゾーン5のレーザ走査に依存することができる。該検査ゾーン5における上記紙の3D微細構造は、当該書類の単一の署名を画定する。
【0233】
明らかなことに、記載された異なる実施例の特徴は、図示せぬ代替バージョン内で組み合わせることができる。
【0234】
例えば、図1を参照して説明した書類1の電子装置8は、図2における書類10のバーコード15により置換することができる。
【0235】
図示せぬ例において、特には図1ないし6に図示した物品は、前記識別情報は有さず、この識別情報は当該物品に異なるように関連される。
【0236】
“1つ有する”なる表現は、特に指定しない限り、“少なくとも1つ有する”と同義である。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】図1は、本発明の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図2】図2は、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図3】図3は、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図4】図4は、本発明の一例示的実施例による書類の概念的且つ部分的な横断面図である。
【図5】図5は、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図6】図6も、本発明の他の例示的実施例による保全及び/又は貴重書類を概念的且つ部分的に示す。
【図7】図7は、本発明による書類に組み込むことが可能な1つの繊維を概念的且つ部分的に示す。
【図7A】図7Aは、本発明による書類に組み込むことが可能な1つの薄片を概念的且つ部分的に示す。
【図8】図8は、本発明による認証及び/又は識別システムを非常に概念的な形で示す。
【図9】図9は、本発明による認証及び/又は識別方法の異なるステップを示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明による書類を認証及び/又は識別するためのデータを取り出すステップを概念的又は部分的に示す。
【図11】図11は、本発明による書類の識別エレメントを概念的又は部分的に示す。
【図12】図12は、活性材料から実施されるマトリクスコードを概念的又は部分的に示す。
【図13】図13は、本発明の一例示的実施例による1つの書類を概念的又は部分的に示す。
【図14】図14は、表面層を有する本発明の一例示的実施例による物品を断面で概念的に示す。
【図15】図15は、本発明による物品の繊維層の製造ステップを書類を概念的又は部分的に示す。
【図16】図16は、本発明の例示的実施例による書類を概念的且つ部分的に示す。
【図17】図17も、本発明の例示的実施例による書類を概念的且つ部分的に示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特には保全及び/又は貴重書類(1,10,20,30,40)である安全な物品において、
− 少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの可視認証構造(4,11,22,32,42,51)と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーン(5)であって、前記認証構造が該検査ゾーンの輪郭を少なくとも部分的に画定し及び/又は該検査ゾーンを位置特定するように作用する検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーン(5)における、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメント(3,50,61)であって、前記検査ゾーンが、識別情報が前記少なくとも識別エレメントの特には空間的又は物理的な少なくとも1つの特徴により供給されるのを可能にするような識別エレメントと、
を有する安全な物品。
【請求項2】
前記基体が繊維性である請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記検査ゾーン(5)の特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に、少なくとも識別情報が関連されるような請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記物品が前記情報を有するような請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記情報が、前記少なくとも識別エレメントの1つの空間的及び/又は物理的な特徴、特には複数の識別エレメントの空間的分布に関するものである請求項3又は4に記載の物品。
【請求項6】
前記物品が前記検査ゾーン内に特にはランダムに分散された複数の識別エレメントを有し、前記識別情報が前記複数の識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な1つの特徴に対する関連を示すことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記認証構造(4,11,22,32,42)が前記書類において所定の位置を占めることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記認証構造(51)が前記書類においてランダムな位置を占めることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記認証構造が可視光において反射及び/又は透過により裸眼で検出することができることを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記認証構造が特には紫外の所定の照明下で透過により裸眼で検出することができ、該認証構造が特に可視光においては検出することができないことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記識別エレメントが裸眼では検出することができないことを特徴とする請求項1ないし10の何れか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記識別エレメント(3)が、特には光電的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的な1つの外部励起を受けた場合に1つの固有の信号を放出するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし11の何れか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記識別情報に関連する前記物理的特徴が、前記検査ゾーンにおける前記識別エレメント又は複数の識別エレメントの1つの光学的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的な特徴に対応することを特徴とする請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記識別情報に関連する前記空間的な特徴が、前記検査ゾーンにおける前記識別エレメント又は複数の識別エレメントの配置、大きさ又は単位面積若しくは体積単位当たりの密度に関するものであることを特徴とする請求項1ないし13の何れか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記認証構造が少なくとも1つの識別エレメントの1つの媒体(22)を有することを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の物品。
【請求項16】
前記媒体が当該物品の幅より小さな幅を持つ少なくとも1つの帯状エレメント(22)を含み、該帯状エレメントが特に当該物品の1つの基体(21)内に少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする請求項15に記載の物品。
【請求項17】
当該物品が、前記帯状エレメント(22)が外部に対して少なくとも部分的に露出され得る少なくとも1つの窓(23)を有し、前記検査ゾーン(5)が特に前記窓(23)により少なくとも部分的に画定されることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記認証構造の媒体が少なくとも1つの繊維(51)又は薄片(55)を有し、前記検査ゾーンが該繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定されることを特徴とする請求項15に記載の物品。
【請求項19】
前記認証構造が少なくとも1つの繊維を有し、この繊維が1つの識別エレメントを形成する複数の粒子を担持していることを特徴とする請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記認証構造が少なくとも1つの紙に基づく薄片を含むことを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記書類が、第1のタイプの少なくとも1つの第1の認証構造と、該第1のタイプとは異なる第2のタイプの複数の第2の認証構造とを有することを特徴とする請求項1ないし20の何れか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記検査ゾーンの輪郭が前記認証構造の輪郭と一致するような請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記識別エレメント(3)が前記認証構造(4,11)の面積より大きな面積を持つ1つの物品のゾーン内に分散され、前記識別エレメントが特に当該物品の表面全体にわたって分散されていることを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の物品。
【請求項24】
特には繊維性の1つの基体を有する請求項1ないし23の何れか一項に記載の物品において、該基体(2)が少なくとも1つの識別エレメント(3)を含むか又は担持することを特徴とする物品。
【請求項25】
前記識別エレメントが前記基体内で該基体の面積よりも小さな面積のゾーン内に特にはランダムに分散され、このゾーンが例えば帯状を呈することを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の物品。
【請求項26】
前記認証構造及び前記基体が別であるような請求項1ないし25の何れか一項に記載の物品。
【請求項27】
前記認証構造が前記基体の一方の面上に配設され、該認証構造(11)が特に1つの帯体又は1つのパッチを有することを特徴とする請求項26に記載の物品。
【請求項28】
特には前記帯体又は前記パッチであるような前記認証構造が前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの窓(13)を有し、該窓が特に前記認証構造の1つの非金属化されたゾーン又は1つの打ち抜かれたゾーンにより形成されることを特徴とする請求項26又は27に記載の物品。
【請求項29】
前記認証構造が、特には前記基体上に設けられる真珠色被膜のような1つの表面塗装(42)である1つの被膜を有し、該被膜が前記検査ゾーンを画定するように配置された変化する厚さの幾つかのゾーンを有していることを特徴とする請求項26に記載の物品
【請求項30】
1つのバイジェット紙を有するような請求項26に記載の物品において、1つの第1ジェット(33)が前記基体を画定し、前記認証構造が、1つの第2ジェット(32)内に形成されると共に前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定するような少なくとも1つの窓を有することを特徴とする物品。
【請求項31】
前記認証構造が前記基体上に少なくとも部分的に実施化されることを特徴とする請求項1ないし25の何れか一項に記載の物品。
【請求項32】
前記認証構造が前記基体上に実施化された少なくとも1つの透かし(4)を有することを特徴とする請求項31に記載の物品。
【請求項33】
前記識別エレメントの少なくとも1つが、
− 例えば1つの紫外線吸収体化学化合物又はX線蛍光により検出することが可能なエレメントのような1つの活性材料、
− 発光性、特には蛍光性の1つの粒子、
− 特には軟磁性繊維である1つの磁性繊維のような1つの繊維、又は特には赤外線に対する暴露により光学的に励起され得る1つの繊維、
− 1つの紙基体の3D微細構造、
の中から選択されることを特徴とする請求項1ないし32の何れか一項に記載の物品。
【請求項34】
1つのプラスチック基体(60)を有するような請求項1ないし33の何れか一項に記載の物品において、前記識別エレメントが、特には材料の欠損又は気泡であるような、前記基体内の不均一なエレメント(61)により形成されることを特徴とする物品。
【請求項35】
前記認証構造が、
− 1つの透かし、
− 昼光において又は特定の照明下においてのみ例えば着色して見え、例えば非円形断面で円柱形状を有し得るか又はそうでない1つの繊維、
− 昼光において又は特定の照明下においてのみ見え、全表面上において又は表面の一部においてのみ例えば金属的又はホログラム的であり得、円形形状を有し得るか又はそうでない1つの薄片、
− 金属的又はホログラム的な、1つの膜又は1つの印刷された帯体、
− 1つの印刷された、金属的な又はホログラム的な箔、
− 可変光学効果を持つ1つの印刷、
のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1ないし34の何れか一項に記載の物品。
【請求項36】
前記認証構造が、特に白色光で見えるインクの印刷とは異なることを特徴とする請求項1ないし34の何れか一項に記載の物品。
【請求項37】
前記識別情報が前記空間的及び/又は物理的な特徴を有することを特徴とする請求項1ないし36の何れか一項に記載の物品。
【請求項38】
前記識別情報が、当該物品の1つの別の媒体(130)上に記憶された前記空間的及び/又は物理的な特徴を取り出すのを可能にするような請求項1ないし36の何れか一項に記載の物品。
【請求項39】
前記識別情報が、前記検査ゾーンに含まれる識別エレメントの1つの画像を含む又は取り出すように作用することを特徴とする請求項1ないし38の何れか一項に記載の物品。
【請求項40】
前記識別情報が、特に暗号化されて、直接的には理解することができないことを特徴とする請求項1ないし39の何れか一項に記載の物品。
【請求項41】
前記識別情報を記憶することができる少なくとも1つのデータ媒体(8)を有することを特徴とする請求項1ないし40の何れか一項に記載の物品。
【請求項42】
前記データ媒体が、
− 特には1つのバーコードであるような1つの光学装置、
− 特には1つのチップを有するような、データを記憶することができる1つの電子装置、
− 1つの磁気トラック、
− 1つの光メモリ、
の中から選択されることを特徴とする請求項41に記載の物品。
【請求項43】
1つの見掛け引用文(6)を有することを特徴とする請求項1ないし42の何れか一項に記載の物品。
【請求項44】
前記識別情報が、当該物品上に配置された少なくとも見掛け引用文を表す情報にアクセスするのを可能にすることを特徴とする請求項43に記載の物品。
【請求項45】
少なくとも1つの紙基体を有することを特徴とする請求項1ないし44の何れか一項に記載の物品。
【請求項46】
光学的に変化しないインクにより印刷され、前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定するか又は該検査ゾーンを位置特定するのを可能にするマークがない請求項1ないし45の何れか一項に記載の物品。
【請求項47】
特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品を認証及び/又は識別する方法において、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、
前記物品が前記検査ゾーンの特には空間的又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報に関連づけられており、
当該方法が、前記物品を認証するステップ及び識別するステップの少なくとも一方を有し、
当該方法は、前記物品を認証するステップが、
− 前記認証構造(4,11,22,32,42,51)を、所与の照明条件下で反射及び/又は透過により特には裸眼で観察するステップと、
− 前記観察により、前記物品の正真性に関して結論するステップと、
を有し、
前記物品を識別するステップが、
− 前記識別情報に関連される前記物品の検査ゾーンの前記特徴を、該物品の検査ゾーンから得られた少なくとも1つの特徴と比較するステップと、
− 少なくとも前記比較により、前記物品の素性に関して結論するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項48】
前記物品を識別するステップが自動的に実行されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項47又は48に記載の方法において、
− 前記検査ゾーンを前記物品の画像解析により位置特定するステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項50】
前記物品が前記識別情報を有し、この識別情報が、当該物品を識別する場合に、前記検査ゾーンの前記特徴を該識別情報と比較する前に読み取られ、前記物品を識別するステップが、
− 前記物品の検査ゾーンにおける識別エレメントの配置を、前記識別情報により取り出された画像と比較するステップ、
を有するような請求項47ないし49の何れか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記物品を識別するステップが、
− 前記検査ゾーン内の前記識別エレメントにより、特には該識別エレメントが外部励起を受けた場合に発生される信号の強度を測定し、及び/又は該信号のタイプを決定するステップと、
− 前記測定された信号の強度及び/又は前記信号のタイプを、前記識別情報により取り出されたデータと比較するステップと、
を有することを特徴とする請求項47ないし50の何れか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記物品が少なくとも1つの見掛け引用文を有し、前記方法が、
− 前記見掛け引用文を表す情報を、前記物品上に見える前記見掛け引用文自体と比較するステップと、
− 少なくとも前記比較により、前記物品の正真性及び/又は素性を結論するステップと、
を有するような請求項47ないし51の何れか一項に記載の方法。
【請求項53】
特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品を認証及び/又は識別するシステム(100)において、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、
前記物品が前記検査ゾーンの、特には前記少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報に関連付けられており、
当該システムが、
− 前記物品上の前記検査ゾーンを位置特定するように構成された特には光学的な画像解析手段(103)と、
− 前記画像解析手段により位置特定された前記検査ゾーンの、特には該検査ゾーンにおける識別エレメント又は複数の識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な特徴の取得手段(104)と、
− オプションとしての、前記識別情報に関連された前記物品の検査ゾーンの前記特徴を、前記取得手段により得られた少なくとも1つの特徴と比較するように構成された1つの処理ユニット(105)と、
を有するようなシステム。
【請求項54】
− 第1のタイプの少なくとも1つの第1の認証構造と、
− 前記第1の認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第1の検査ゾーンと、
− 前記第1のタイプとは異なる第2のタイプの少なくとも複数の第2の認証構造であって、該第2の認証構造の各々が例えば1つの繊維又は1つの薄片を含み、該第2の認証構造が好ましくは前記第1の検査ゾーン内にランダムに分散されるような第2の認証構造と、
− 例えば或る第2の認証構造の輪郭により画定されるように、前記第2の認証構造の少なくとも1つにより少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第2の検査ゾーンと、
− 前記第2の検査ゾーンにおける、前記第2の認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するようなシート状材料。
【請求項55】
シート状材料から保全及び/又は貴重書類を製造する方法において、前記シート状材料が、
− 少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、前記方法が、
− 前記シート状材料に、前記検査ゾーンの、特には前記検査ゾーンにおける前記少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報を設けるステップ、
を有するような方法。
【請求項56】
− 少なくとも1つの基体と、
− 特には繊維若しくは1つの薄片、又は一群の繊維及び/又は薄片であるような、前記基体と作用し合う少なくとも1つの可視認証構造と、
− 前記認証構造により、特には前記繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントであって、粒子又は1つの活性材料を有するような識別エレメントと、
を有するシート状材料。
【請求項1】
特には保全及び/又は貴重書類(1,10,20,30,40)である安全な物品において、
− 少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの可視認証構造(4,11,22,32,42,51)と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーン(5)であって、前記認証構造が該検査ゾーンの輪郭を少なくとも部分的に画定し及び/又は該検査ゾーンを位置特定するように作用する検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーン(5)における、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメント(3,50,61)であって、前記検査ゾーンが、識別情報が前記少なくとも識別エレメントの特には空間的又は物理的な少なくとも1つの特徴により供給されるのを可能にするような識別エレメントと、
を有する安全な物品。
【請求項2】
前記基体が繊維性である請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記検査ゾーン(5)の特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に、少なくとも識別情報が関連されるような請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記物品が前記情報を有するような請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記情報が、前記少なくとも識別エレメントの1つの空間的及び/又は物理的な特徴、特には複数の識別エレメントの空間的分布に関するものである請求項3又は4に記載の物品。
【請求項6】
前記物品が前記検査ゾーン内に特にはランダムに分散された複数の識別エレメントを有し、前記識別情報が前記複数の識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な1つの特徴に対する関連を示すことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記認証構造(4,11,22,32,42)が前記書類において所定の位置を占めることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記認証構造(51)が前記書類においてランダムな位置を占めることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記認証構造が可視光において反射及び/又は透過により裸眼で検出することができることを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記認証構造が特には紫外の所定の照明下で透過により裸眼で検出することができ、該認証構造が特に可視光においては検出することができないことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記識別エレメントが裸眼では検出することができないことを特徴とする請求項1ないし10の何れか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記識別エレメント(3)が、特には光電的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的な1つの外部励起を受けた場合に1つの固有の信号を放出するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし11の何れか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記識別情報に関連する前記物理的特徴が、前記検査ゾーンにおける前記識別エレメント又は複数の識別エレメントの1つの光学的、電磁的、電気的、磁気的、熱的又は音響的な特徴に対応することを特徴とする請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記識別情報に関連する前記空間的な特徴が、前記検査ゾーンにおける前記識別エレメント又は複数の識別エレメントの配置、大きさ又は単位面積若しくは体積単位当たりの密度に関するものであることを特徴とする請求項1ないし13の何れか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記認証構造が少なくとも1つの識別エレメントの1つの媒体(22)を有することを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の物品。
【請求項16】
前記媒体が当該物品の幅より小さな幅を持つ少なくとも1つの帯状エレメント(22)を含み、該帯状エレメントが特に当該物品の1つの基体(21)内に少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする請求項15に記載の物品。
【請求項17】
当該物品が、前記帯状エレメント(22)が外部に対して少なくとも部分的に露出され得る少なくとも1つの窓(23)を有し、前記検査ゾーン(5)が特に前記窓(23)により少なくとも部分的に画定されることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記認証構造の媒体が少なくとも1つの繊維(51)又は薄片(55)を有し、前記検査ゾーンが該繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定されることを特徴とする請求項15に記載の物品。
【請求項19】
前記認証構造が少なくとも1つの繊維を有し、この繊維が1つの識別エレメントを形成する複数の粒子を担持していることを特徴とする請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記認証構造が少なくとも1つの紙に基づく薄片を含むことを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記書類が、第1のタイプの少なくとも1つの第1の認証構造と、該第1のタイプとは異なる第2のタイプの複数の第2の認証構造とを有することを特徴とする請求項1ないし20の何れか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記検査ゾーンの輪郭が前記認証構造の輪郭と一致するような請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記識別エレメント(3)が前記認証構造(4,11)の面積より大きな面積を持つ1つの物品のゾーン内に分散され、前記識別エレメントが特に当該物品の表面全体にわたって分散されていることを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の物品。
【請求項24】
特には繊維性の1つの基体を有する請求項1ないし23の何れか一項に記載の物品において、該基体(2)が少なくとも1つの識別エレメント(3)を含むか又は担持することを特徴とする物品。
【請求項25】
前記識別エレメントが前記基体内で該基体の面積よりも小さな面積のゾーン内に特にはランダムに分散され、このゾーンが例えば帯状を呈することを特徴とする請求項1ないし14の何れか一項に記載の物品。
【請求項26】
前記認証構造及び前記基体が別であるような請求項1ないし25の何れか一項に記載の物品。
【請求項27】
前記認証構造が前記基体の一方の面上に配設され、該認証構造(11)が特に1つの帯体又は1つのパッチを有することを特徴とする請求項26に記載の物品。
【請求項28】
特には前記帯体又は前記パッチであるような前記認証構造が前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの窓(13)を有し、該窓が特に前記認証構造の1つの非金属化されたゾーン又は1つの打ち抜かれたゾーンにより形成されることを特徴とする請求項26又は27に記載の物品。
【請求項29】
前記認証構造が、特には前記基体上に設けられる真珠色被膜のような1つの表面塗装(42)である1つの被膜を有し、該被膜が前記検査ゾーンを画定するように配置された変化する厚さの幾つかのゾーンを有していることを特徴とする請求項26に記載の物品
【請求項30】
1つのバイジェット紙を有するような請求項26に記載の物品において、1つの第1ジェット(33)が前記基体を画定し、前記認証構造が、1つの第2ジェット(32)内に形成されると共に前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定するような少なくとも1つの窓を有することを特徴とする物品。
【請求項31】
前記認証構造が前記基体上に少なくとも部分的に実施化されることを特徴とする請求項1ないし25の何れか一項に記載の物品。
【請求項32】
前記認証構造が前記基体上に実施化された少なくとも1つの透かし(4)を有することを特徴とする請求項31に記載の物品。
【請求項33】
前記識別エレメントの少なくとも1つが、
− 例えば1つの紫外線吸収体化学化合物又はX線蛍光により検出することが可能なエレメントのような1つの活性材料、
− 発光性、特には蛍光性の1つの粒子、
− 特には軟磁性繊維である1つの磁性繊維のような1つの繊維、又は特には赤外線に対する暴露により光学的に励起され得る1つの繊維、
− 1つの紙基体の3D微細構造、
の中から選択されることを特徴とする請求項1ないし32の何れか一項に記載の物品。
【請求項34】
1つのプラスチック基体(60)を有するような請求項1ないし33の何れか一項に記載の物品において、前記識別エレメントが、特には材料の欠損又は気泡であるような、前記基体内の不均一なエレメント(61)により形成されることを特徴とする物品。
【請求項35】
前記認証構造が、
− 1つの透かし、
− 昼光において又は特定の照明下においてのみ例えば着色して見え、例えば非円形断面で円柱形状を有し得るか又はそうでない1つの繊維、
− 昼光において又は特定の照明下においてのみ見え、全表面上において又は表面の一部においてのみ例えば金属的又はホログラム的であり得、円形形状を有し得るか又はそうでない1つの薄片、
− 金属的又はホログラム的な、1つの膜又は1つの印刷された帯体、
− 1つの印刷された、金属的な又はホログラム的な箔、
− 可変光学効果を持つ1つの印刷、
のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1ないし34の何れか一項に記載の物品。
【請求項36】
前記認証構造が、特に白色光で見えるインクの印刷とは異なることを特徴とする請求項1ないし34の何れか一項に記載の物品。
【請求項37】
前記識別情報が前記空間的及び/又は物理的な特徴を有することを特徴とする請求項1ないし36の何れか一項に記載の物品。
【請求項38】
前記識別情報が、当該物品の1つの別の媒体(130)上に記憶された前記空間的及び/又は物理的な特徴を取り出すのを可能にするような請求項1ないし36の何れか一項に記載の物品。
【請求項39】
前記識別情報が、前記検査ゾーンに含まれる識別エレメントの1つの画像を含む又は取り出すように作用することを特徴とする請求項1ないし38の何れか一項に記載の物品。
【請求項40】
前記識別情報が、特に暗号化されて、直接的には理解することができないことを特徴とする請求項1ないし39の何れか一項に記載の物品。
【請求項41】
前記識別情報を記憶することができる少なくとも1つのデータ媒体(8)を有することを特徴とする請求項1ないし40の何れか一項に記載の物品。
【請求項42】
前記データ媒体が、
− 特には1つのバーコードであるような1つの光学装置、
− 特には1つのチップを有するような、データを記憶することができる1つの電子装置、
− 1つの磁気トラック、
− 1つの光メモリ、
の中から選択されることを特徴とする請求項41に記載の物品。
【請求項43】
1つの見掛け引用文(6)を有することを特徴とする請求項1ないし42の何れか一項に記載の物品。
【請求項44】
前記識別情報が、当該物品上に配置された少なくとも見掛け引用文を表す情報にアクセスするのを可能にすることを特徴とする請求項43に記載の物品。
【請求項45】
少なくとも1つの紙基体を有することを特徴とする請求項1ないし44の何れか一項に記載の物品。
【請求項46】
光学的に変化しないインクにより印刷され、前記検査ゾーンを少なくとも部分的に画定するか又は該検査ゾーンを位置特定するのを可能にするマークがない請求項1ないし45の何れか一項に記載の物品。
【請求項47】
特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品を認証及び/又は識別する方法において、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、
前記物品が前記検査ゾーンの特には空間的又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報に関連づけられており、
当該方法が、前記物品を認証するステップ及び識別するステップの少なくとも一方を有し、
当該方法は、前記物品を認証するステップが、
− 前記認証構造(4,11,22,32,42,51)を、所与の照明条件下で反射及び/又は透過により特には裸眼で観察するステップと、
− 前記観察により、前記物品の正真性に関して結論するステップと、
を有し、
前記物品を識別するステップが、
− 前記識別情報に関連される前記物品の検査ゾーンの前記特徴を、該物品の検査ゾーンから得られた少なくとも1つの特徴と比較するステップと、
− 少なくとも前記比較により、前記物品の素性に関して結論するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項48】
前記物品を識別するステップが自動的に実行されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項47又は48に記載の方法において、
− 前記検査ゾーンを前記物品の画像解析により位置特定するステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項50】
前記物品が前記識別情報を有し、この識別情報が、当該物品を識別する場合に、前記検査ゾーンの前記特徴を該識別情報と比較する前に読み取られ、前記物品を識別するステップが、
− 前記物品の検査ゾーンにおける識別エレメントの配置を、前記識別情報により取り出された画像と比較するステップ、
を有するような請求項47ないし49の何れか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記物品を識別するステップが、
− 前記検査ゾーン内の前記識別エレメントにより、特には該識別エレメントが外部励起を受けた場合に発生される信号の強度を測定し、及び/又は該信号のタイプを決定するステップと、
− 前記測定された信号の強度及び/又は前記信号のタイプを、前記識別情報により取り出されたデータと比較するステップと、
を有することを特徴とする請求項47ないし50の何れか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記物品が少なくとも1つの見掛け引用文を有し、前記方法が、
− 前記見掛け引用文を表す情報を、前記物品上に見える前記見掛け引用文自体と比較するステップと、
− 少なくとも前記比較により、前記物品の正真性及び/又は素性を結論するステップと、
を有するような請求項47ないし51の何れか一項に記載の方法。
【請求項53】
特には保全及び/又は貴重書類であるような安全な物品を認証及び/又は識別するシステム(100)において、前記物品が、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、
前記物品が前記検査ゾーンの、特には前記少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報に関連付けられており、
当該システムが、
− 前記物品上の前記検査ゾーンを位置特定するように構成された特には光学的な画像解析手段(103)と、
− 前記画像解析手段により位置特定された前記検査ゾーンの、特には該検査ゾーンにおける識別エレメント又は複数の識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な特徴の取得手段(104)と、
− オプションとしての、前記識別情報に関連された前記物品の検査ゾーンの前記特徴を、前記取得手段により得られた少なくとも1つの特徴と比較するように構成された1つの処理ユニット(105)と、
を有するようなシステム。
【請求項54】
− 第1のタイプの少なくとも1つの第1の認証構造と、
− 前記第1の認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第1の検査ゾーンと、
− 前記第1のタイプとは異なる第2のタイプの少なくとも複数の第2の認証構造であって、該第2の認証構造の各々が例えば1つの繊維又は1つの薄片を含み、該第2の認証構造が好ましくは前記第1の検査ゾーン内にランダムに分散されるような第2の認証構造と、
− 例えば或る第2の認証構造の輪郭により画定されるように、前記第2の認証構造の少なくとも1つにより少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの第2の検査ゾーンと、
− 前記第2の検査ゾーンにおける、前記第2の認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有するようなシート状材料。
【請求項55】
シート状材料から保全及び/又は貴重書類を製造する方法において、前記シート状材料が、
− 少なくとも1つの基体と、
− 少なくとも1つの認証構造と、
− 前記認証構造により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントと、
を有し、前記方法が、
− 前記シート状材料に、前記検査ゾーンの、特には前記検査ゾーンにおける前記少なくとも1つの識別エレメントの特には空間的及び/又は物理的な少なくとも1つの特徴に関連された少なくとも1つの識別情報を設けるステップ、
を有するような方法。
【請求項56】
− 少なくとも1つの基体と、
− 特には繊維若しくは1つの薄片、又は一群の繊維及び/又は薄片であるような、前記基体と作用し合う少なくとも1つの可視認証構造と、
− 前記認証構造により、特には前記繊維又は薄片の輪郭により少なくとも部分的に画定される少なくとも1つの検査ゾーンと、
− 前記検査ゾーンにおける、前記認証構造とは異なる少なくとも1つの識別エレメントであって、粒子又は1つの活性材料を有するような識別エレメントと、
を有するシート状材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−507690(P2009−507690A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530588(P2008−530588)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050897
【国際公開番号】WO2007/031695
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(504003031)
【氏名又は名称原語表記】ARJO WIGGINS
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050897
【国際公開番号】WO2007/031695
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(504003031)
【氏名又は名称原語表記】ARJO WIGGINS
【Fターム(参考)】
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