説明

特にフラット・カード、ローラ・カード、精選機などの紡績機械においてローラ上に針布を引張り装着する装置

【課題】負荷が変化した場合に必要とされ得る引張り装着処理のチェックを安定させる。
【解決手段】特にフラット・カード、ローラ・カード、精選機などの紡績機械において引張り装着デバイスを用いてローラ上に針布を引張り装着する装置において、上記紡績機械は電子制御/調整デバイスを有する。設備に関して簡素であると共に引張り装着処理および/または測定データのチェックを可能とする装置を提供するために、上記引張り装着デバイスに対しては引張り装着の間において検出されたデータを登録する測定デバイスが組み合わされ、且つ、該測定デバイスは上記紡績機械の上記電子制御/調整デバイスと協働し、上記測定デバイスと上記制御/調整デバイスとは単方向的および/または双方向的にデータを交換し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にフラット・カード、ローラ・カード、精選機などの紡績機械であって電気制御/調整デバイスを有する紡績機械において、引張り装着デバイス(drawing−on device)を用いてローラ上に針布を引張り装着する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維工業分野、特にカーディングを行う分野においては、たとえばシリンダなどの作動装置の針布は経時的に交換される必要がある。上記針布は、摩耗する部材である。
【0003】
公知の装置(DD 240 569 A1)においては、フラット・カードもしくはローラ・カードのために、速度制御デバイスを伴う少なくとも一台の速度制御式の三相交流モータを有する駆動システムが配備されている。三相交流モータの各々の回転速度は周波数変換器を用いて制御され得る一方、該周波数変換器はD/A変換器を介してマイクロコンピュータにより制御され得る。そのRAMメモリ内には、全鋼製針布の引張り装着処理に対する速度制御プログラム・ブロックが記憶される。上記全鋼製針布の引張り装着処理において、速度制御式の各三相交流モータの内の一台は、テーカイン、シリンダおよび/またはドッファに対して機械的に駆動接続されるべく配置される。その配置構成においては、記憶されたプログラムと上記RAM内に記憶された上記速度プログラム・ブロックとに従い、該当するCPUはCTCにより時間調節され乍ら、全鋼製針布の引張り装着の間における操作要件に従い、上記周波数変換器に対する起動パルスの出力を制御し、結果的に、各三相交流モータの速度を制御する。全鋼製針布の引張り装着処理に対する上記速度制御プログラム・ブロックは専ら、各三相交流モータの速度を制御する役割を果たしている。針布の引張り装着の間におけるデータの検出は、操作者の制御下で処理される。上記装置の場合において特に不都合なのは、たとえば負荷が変化した場合に必要とされ得る引張り装着処理のチェックが安定的でないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対し、本発明の基礎となる課題は、冒頭にて言及された種類の装置であって、言及された不都合を回避し、且つ、設備に関して特に簡素であると共に引張り装着処理および/または測定データのチェックを可能とする装置を提供するに在る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1の特徴部分の特徴により解決される。
すなわち、1番目の発明においては、特にフラット・カード、ローラ・カード、精選機などの紡績機械であって電子制御/調整デバイスを有する紡績機械において引張り装着デバイスを用いてローラ上に針布を引張り装着する装置において、上記引張り装着デバイスに対しては、引張り装着の間において検出されたデータの測定のための検出デバイスが組み合わされ、且つ、上記検出デバイスは上記紡績機械の電子制御/調整デバイスと協働し、上記検出デバイスおよび上記制御/調整デバイスは、単方向的および/または双方向的にデータを交換し得ることを特徴とする、装置が提供される。
【0006】
本発明に依れば、紡績機械の制御/調整デバイスが、特に視覚化および文書化により、現在の引張り装着処理のチェックに対して使用されるという対策が為される。結果として、特に上記紡績機械の操作/表示デバイスにより、引張り装着処理の修正が好適に可能とされる。上記引張り装着処理の検出済みデータは必要な場合には常に利用可能であり、すなわち、上記紡績機械にて直接的に且つ付加的なデバイスなしで利用可能である。カード機の制御システム内に針布管理手段が設置される場合、上記検出済みデータは、多数の個別の引張り装着処理が登録される限りにおいて、ユーザに対して最適な付加物である。紡績機械の内部コンピュータが使用されるという事実によれば、機器に関する相当の簡素化が行われることに加え、上記機械の内部データに対する連係が好適に許容される。
【0007】
請求項2乃至請求項55は、本発明の好適な発展例を包含する。
すなわち2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記電子制御/調整デバイスに対しては、前記データを表示する表示デバイスが接続されることを特徴とする。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記電子制御/調整デバイスは前記検出されたデータを記憶する記憶デバイスを備えることを特徴とする。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、引張り装着データを検出する前記デバイスは、ローラが針布装着されつつある前記機械と直接的に通信し得ることを特徴とする。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記引張り装着処理の間において検出されたデータは例えばフラット・カードなどの前記紡績機械へと転送されて其処に記憶され、且つ、該機械の操作/表示デバイス上に任意の時点で表示され得ることを特徴とする。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記ローラが針布装着されつつある前記機械の制御システムは、前記引張り装着データを検出する前記デバイスの特に操作および表示の機能を実施する役割を果たすことを特徴とする。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記機械と、前記引張り装着データを検出する前記デバイスとの間の通信はケーブル式手段により行われることを特徴とする。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記機械と、前記引張り装着データを検出する前記デバイスとの間の通信はケーブルなしで行われることを特徴とする。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、前記通信は無線により行われることを特徴とする。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記通信は赤外光を用いて行われることを特徴とする。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、前記通信は可視光を用いて行われることを特徴とする。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、たとえばフラット・カードなどの前記紡績機械におけるインタフェースは、該紡績機械および/または紡績システムの他の装置および/またはデバイスとの通信のために使用されることを特徴とする。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、他の装置および/またはデバイスとの前記通信はケーブル式手段により行われることを特徴とする。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、他の装置および/またはデバイスとの前記通信はケーブルなしで行われることを特徴とする。
15番目の発明によれば、1番目から14番目のいずれかの発明において、前記引張り装着デバイスは駆動モータを有するローラ駆動ユニットを備えることを特徴とする。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、前記引張り装着デバイスは、前記ローラと当該制動デバイスとの間における針布装着の領域において巻取り用事前張設力を生成すべく上記針布に作用する制動デバイスを備えることを特徴とする。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、前記電子制御/調整デバイスはマイクロコンピュータを備えることを特徴とする。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、前記測定デバイスは前記電子制御/調整デバイスと通信することを特徴とする。
19番目の発明によれば、1番目から18番目のいずれかの発明において、前記データを表示する(視覚化する)前記表示デバイスは前記電子制御/調整デバイスに対して接続されることを特徴とする。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、視覚的表示デバイスが配備されることを特徴とする。
21番目の発明によれば、1番目から20番目のいずれかの発明において、前記データを記憶する前記記憶デバイスは前記電子制御/調整デバイスに対して接続されることを特徴とする。
22番目の発明によれば、1番目から21番目のいずれかの発明において、前記電子制御/調整デバイスに対しては前記データを表示する再生デバイスが接続されることを特徴とする。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、前記引張り装着データを検出する前記測定デバイスは、前記ローラが針布装着されつつある前記紡績機械と直接的に通信することを特徴とする。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、前記引張り装着処理の間において検出されたデータは、前記電子制御/調整デバイスに対して転送され、其処に記憶され、且つ、前記紡績機械の前記操作/表示デバイス上に再表示され得ることを特徴とする。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、前記ローラが針布装着されつつある前記機械の制御システムは、前記引張り装着データを検出する前記デバイスの機能を実施する役割を果たすことを特徴とする。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、前記機能は操作および/または表示であることを特徴とする。
27番目の発明によれば、1番目から26番目のいずれかの発明において、前記紡績機械と、引張り装着データを検出する前記測定デバイスとの間の通信はケーブルなしで(配線なしで)行なわれることを特徴とする。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、前記通信は無線により行われることを特徴とする。
29番目の発明によれば、1番目から28番目のいずれかの発明において、前記通信は赤外光を用いて行われることを特徴とする。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、前記通信は可視光を用いて行われることを特徴とする。
31番目の発明によれば、1番目から30番目のいずれかの発明において、前記引張り装着処理の間において前記電子制御/調整デバイスは、前記引張り装着データを検出する前記測定デバイスに対する表示および操作機能、および/または、該測定デバイスに対する電流供給を実施する役割を果たすことを特徴とする。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、前記紡績機械におけるインタフェースは、たとえば紡績用の機械、システムおよび/またはネットワークなどの更なるデバイスとの通信に対しても使用されることを特徴とする。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、前記引張り装着の間において検出されたデータは、前記紡績機械の機械関連データと比較されおよび/または連係されるべく配置されることを特徴とする。
34番目の発明によれば、1番目から33番目のいずれかの発明において、前記データは引張り装着力を含むことを特徴とする。
35番目の発明によれば、1番目から34番目のいずれかの発明において、前記データは引張り装着速度を含むことを特徴とする。
36番目の発明によれば、1番目から35番目のいずれかの発明において、前記データは制動要素の温度を含むことを特徴とする。
37番目の発明によれば、1番目から36番目のいずれかの発明において、前記データは引張り装着された針布の長さを含むことを特徴とする。
38番目の発明によれば、1番目から37番目のいずれかの発明において、前記データは制動力を含むことを特徴とする。
39番目の発明によれば、1番目から38番目のいずれかの発明において、前記引張り装着処理は経過記録され得ることを特徴とする。
40番目の発明によれば、1番目から39番目のいずれかの発明において、前記データおよび/または測定経過記録は印刷出力され得ることを特徴とする。
41番目の発明によれば、1番目から40番目のいずれかの発明において、引張り装着の張力が記録されることを特徴とする。
42番目の発明によれば、1番目から41番目のいずれかの発明において、存在し得るあらゆる伸びが記録されることを特徴とする。
43番目の発明によれば、1番目から42番目のいずれかの発明において、前記制動デバイスは制動力センサを備えることを特徴とする。
44番目の発明によれば、1番目から43番目のいずれかの発明において、前記制動デバイスは速度センサを備えることを特徴とする。
45番目の発明によれば、1番目から44番目のいずれかの発明において、前記ローラ駆動ユニットは制御および/または調整デバイスの制御/調整回路内に一体化され、且つ、該ローラ駆動ユニットは所定の巻取り張力に対する自動整合のために制御および/または調整されるべく配置されることを特徴とする。
46番目の発明によれば、1番目から45番目のいずれかの発明において、前記ローラはフラット・カードのシリンダであることを特徴とする。
47番目の発明によれば、1番目から46番目のいずれかの発明において、前記ローラはフラット・カードのドッファであることを特徴とする。
48番目の発明によれば、1番目から47番目のいずれかの発明において、前記表示および/または記憶デバイスは前記電子的機械制御/調整デバイスに一体化されることを特徴とする。
49番目の発明によれば、1番目から48番目のいずれかの発明において、前記紡績機械の前記操作デバイスは前記表示および/または再生デバイスの操作のために使用されることを特徴とする。
50番目の発明によれば、1番目から49番目のいずれかの発明において、前記紡績機械の前記表示デバイスが使用されることを特徴とする。
51番目の発明によれば、1番目から50番目のいずれかの発明において、引張り装着の前、その間およびその後に、ユーザは前記表示デバイスにより命令、メッセージ、情報などを受信することを特徴とする。
52番目の発明によれば、1番目から51番目のいずれかの発明において、前記針布装着プロセスのために、該当する前記駆動モータに対しては、該モータの機能を最適化する一群のパラメータが対応駆動制御システムへとロードされることを特徴とする。
53番目の発明によれば、1番目から52番目のいずれかの発明において、前記ローラ駆動ユニットは前記制御および/または調整デバイスの制御および/または調整回路に一体化され、且つ、該ローラ駆動ユニットは所定の巻取り張力に対する自動整合のために制御および/または調整されるべく配置されることを特徴とする。
54番目の発明によれば、1番目から53番目のいずれかの発明において、前記制動デバイスは前記制御および/または調整デバイスに一体化され、これにより制動動作は巻取り用事前張力に対して自動整合され得ることを特徴とする。
55番目の発明によれば、1番目から54番目のいずれかの発明において、前記紡績機械に対しては、視覚的表示ユニットおよび/またはタッチスクリーンおよび/またはキーボードを有する操作/表示デバイスが組み合わされることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下において本発明は図面に示された実施例に関して相当に詳細に記述される。
図1は、送給ローラ1と、送給テーブル2と、テーカイン3a、3b、3cと、シリンダ4と、ドッファ5と、ストリッパ・ローラ6と、ニップ・ローラ7、8と、ウェブ案内要素10と、引出しローラ11、12と、カード頂部偏向ローラ13a、13bおよびカード頂部バー14を有するカード回転頂部13と、ケンス(カン)15と、ケンス用巻取器(カンコイラ)16とを有する例えばTruetzschler TC 03などのフラット・カードKを示している。湾曲矢印は各ローラの回転方向を表している。参照符号Mはシリンダ4の中心(軸心)を表している。参照番号4aは針布を表し、且つ、参照番号4bはシリンダ4の回転方向を表している。参照符号Cはカーディング箇所におけるカード回転頂部13の回転方向を表し、且つ、参照符号Bは逆側にてカード頂部バー14が移動される方向を表している。参照番号17はストリッパ・ローラ6に対するクリアラ・ローラを表し、且つ、参照番号18はカード・フィーダを表す。
【0009】
図2に示された引張り装着装置は実質的に、鋸歯ワイヤの形態の針布22が平坦に巻回されるという供給ボビン21のための保持ステーション20と、制動デバイス23およびローラ4とを備える。ローラ4は、モータ24および伝動デバイス25により時計方向4bに駆動される。モータ24は制御/調整デバイス26を有し、これによりローラ4の速度および回転方向が制御され得る。制動デバイス23は、特定の制動動作を達成する制御/調整デバイス27を備える。制御/調整デバイス26および制御/調整デバイス27は、相互に作用的に接続される。更なる配置構成においてそれらは、制動デバイス23およびモータ24の両者を制御するユニットとしても使用され得る。針布22は、取付けブロック28上に配置された供給ボビン21から巻出されてから制動デバイス27を通過し、ローラ4の外周に巻取られる。上記巻取り処理に続き、針布22はローラ4の外周上に螺旋形態で延在する。制動デバイス23はローラ4と協働すると共に、この場合は特にローラ用駆動器(モータ24)により、針布22の領域29における事前張力(pretensioning)を提供することが意図される。この事前張力によれば確実に、針布22は均一に且つ堅固に巻取りもしくは引張り装着される。
【0010】
図3に依ると、針布22の引張り装着の間におけるデータ検出のための検出/登録デバイス30が配備され、該デバイスに対しては、引張り装着力用のセンサ31、引張り装着速度用のセンサ32、合計メートル数(長さ)用のセンサ33、および、温度用のセンサ34が接続される。図3に係る実施例(および図4に示された例)の場合、検出/登録デバイス30は表示デバイス30aを備える。検出/登録デバイス30に対しては、有線式データ転送のための送信器35が接続される。同様に、たとえばTruetzschler TMS 2などの電子制御/調整デバイス26も配備され、これに対しては有線式データ転送のための受信器36が接続される。送信器35および受信器36は、単方向ケーブル37により相互に接続される。矢印(ケーブル37)は、転送方向を表している。電子制御/調整デバイス26はまた、引張り装着の間に検出されたデータを記憶するためのデータ・メモリ38も備える。電子制御/調整デバイス26に対しては、単方向ケーブル40により操作/表示デバイス39が接続される。
【0011】
図4は実質的に図3に対応するが、検出/登録デバイス30と電子制御/調整デバイス26との間においては無線データ送信が行われる。この目的に対し、夫々の場合において無線データ転送のために、検出/登録デバイス30に対しては送信器41が接続され、且つ、制御/調整デバイス26に対しては受信器42が接続される。
【0012】
図5に依れば有線式データ転送は制御/調整デバイス26と、検出/登録デバイス30と、操作/表示デバイス39との間で提供され、制御/調整デバイス26は夫々の場合において双方向ケーブル43および44により検出/登録デバイス30および操作/表示デバイス39に接続され、二方向におけるデータ交換を許容している。データ交換方向は両頭矢印により表されている(ケーブル43、44を参照)。双方向ケーブル43および44の代わりに夫々の場合においては(不図示の)2本の単方向ケーブルが配備可能であり、その場合にデータは異なる対向方向に転送される。図5に係る配置構成は特に、たとえばカード機の制御/調整デバイス26が、たとえば引張り装着デバイスに対する電流供給などの様に引張り装着デバイスの一定の機能もしくはタスクを実施する役割を果たす場合に適切である。
【0013】
図3乃至図5に示された表示デバイス30aおよび39a上には一例として、5dNの引張り装着力、44m/分の引張り装着速度および32.5℃の温度が表示されている。
【0014】
図6(a)〜図6(d)は測定経過記録を示しており、引張り装着の間において検出されたデータとして夫々の場合において時間tに対し、dN単位による引張り装着力(図6(a))、m/分単位による引張り装着速度(図6(b))、m単位による合計メートル数(図6(c))、および、℃単位による温度(図6(d))が示される。視覚的表示ユニット39a上に示されることに加え、上記測定経過記録は例えば、電子制御/調整デバイス26に接続された(不図示の)プリンタなどにより出力され得る。
【0015】
図7(a)、図7(b)に依れば、速度制御式モータ24はドッファ5と組み合わされる。カード機Kによる製造の間、モータ24はベルト45によりドッファ5を駆動する(図7(a)参照)。ベルト45は、ベルト・プーリ46および47の回りにループ巻回される。シリンダ4の針布装着の間においてモータ24は、別のベルト48により該シリンダ4を駆動する(図7(b)参照)。ベルト48は、ベルト・プーリ46および49の回りにループ巻回される。
【0016】
この様にして、機械Kに既に存在すると共に速度制御が行われるモータは、使用者の施設における針布装着プロセスの間において各ローラを駆動するために使用される。そのモータは、該当する各ローラ(4または5)の製造領域に対していずれの場合にも存在するモータとされ得る。但し図7(a)、図7(b)によれば、たとえば高度に正確な速度制御を以て標準的に配備されるドッファ・モータ24がシリンダ4の針布装着に対して使用されることも可能である。その目的のためには、ドッファ・モータ24とドッファ5との間およびドッファ・モータ24とシリンダ・モータ50との間の夫々の駆動ベルトを取り外し、且つ、ドッファ・モータ24とシリンダ4との間にベルト48などを配備することのみが必要である。上記機械は、斯かる種類の伝達が可能であり且つ正しいサイズおよび種類の可能的な対応ベルト・プーリが既に存在する様に、機械的に構成される。この様にして、非常に簡素に、迅速に、且つ、最小限の経費のみを以て、各ローラの針布装着のための駆動力が生成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る装置に対するフラット・カードの概略的側面図である。
【図2】巻取り/巻出し装置の第1配置構成の概略的側面図である。
【図3】各センサと、測定データの転送デバイスと、電子的機械制御/調整デバイスと、操作/表示デバイスとを備え、引張り装着の間に検出されたデータは有線式手段により単方向的に転送されるというブロック回路図である。
【図4】引張り装着の間に検出されたデータは配線なしで単方向的に転送されるという図3と同様のブロック回路図である。
【図5】引張り装着処理の間において機械制御/調整デバイスは、表示および/または操作機能、および/または、引張り装着データを検出するユニットに対する電流供給を実施する役割を果たすという本発明に係る装置のブロック回路図である。
【図6】(a)時間に対する引張り装着力の測定経過記録を示す図である。(b)時間に対する引張り装着速度の測定経過記録を示す図である。(c)時間に対する合計メートル数の測定経過記録を示す図である。(d)時間に対する温度の測定経過記録を示す図である。
【図7】(a)図1に係るフラット・カードのドッファによる製造の間における該ドッファに対する速度制御式駆動モータを示す図である。(b)シリンダに対する針布装着の間において図7(a)に係るドッファの速度制御式駆動モータを備える巻取り/巻出し装置の第2配置構成を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 送給ローラ
2 送給テーブル
3a、3b、3c テーカイン
4 シリンダ
5 ドッファ
6 ローラ
7、8 ローラ
10 ウェブ案内要素
11、12 引出しローラ
13 カード回転頂部
13a、13b カード頂部偏向ローラ
14 カード頂部バー
20 保持ステーション
21 供給ボビン
22 針布
23 制動デバイス
24 モータ
25 伝動デバイス
26 電子制御/調整デバイス
27 制動デバイス
28 取付けブロック
30 検出/登録デバイス
30a 表示デバイス
31 引張装着力用センサ
32 引張装着速度用センサ
33 合計メートル数用センサ
34 温度用センサ
35 送信器
36 受信器
37 単方向ケーブル
38 メモリ
39 操作/表示デバイス
39a 視覚的表示ユニット
40 単方向ケーブル
41 送信器
42 受信器
43 双方向ケーブル
44 ケーブル
45 ベルト
46 プーリ
48 ベルト
50 モータ
K カード機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にフラット・カード、ローラ・カード、精選機などの紡績機械であって電子制御/調整デバイスを有する紡績機械において引張り装着デバイスを用いてローラ上に針布を引張り装着する装置において、
上記引張り装着デバイスに対しては、引張り装着の間において検出されたデータの測定(31、32、33、34)のための検出デバイス(30)が組み合わされ、且つ、
上記検出デバイス(30)は上記紡績機械(K)の電子制御/調整デバイス(26)と協働し、
上記検出デバイス(30)および上記制御/調整デバイス(26)は、単方向的(37、40;41、42)および/または双方向的(43、44)にデータを交換し得ることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記電子制御/調整デバイスに対しては、前記データを表示する表示デバイスが接続されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記電子制御/調整デバイスは前記検出されたデータを記憶する記憶デバイスを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
引張り装着データを検出する前記デバイスは、ローラが針布装着されつつある前記機械と直接的に通信し得ることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記引張り装着処理の間において検出されたデータは例えばフラット・カードなどの前記紡績機械へと転送されて其処に記憶され、且つ、該機械の操作/表示デバイス上に任意の時点で表示され得ることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ローラが針布装着されつつある前記機械の制御システムは、前記引張り装着データを検出する前記デバイスの特に操作および表示の機能を実施する役割を果たすことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記機械と、前記引張り装着データを検出する前記デバイスとの間の通信はケーブル式手段により行われることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記機械と、前記引張り装着データを検出する前記デバイスとの間の通信はケーブルなしで行われることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記通信は無線により行われることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記通信は赤外光を用いて行われることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記通信は可視光を用いて行われることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
たとえばフラット・カードなどの前記紡績機械におけるインタフェースは、該紡績機械および/または紡績システムの他の装置および/またはデバイスとの通信のために使用されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
他の装置および/またはデバイスとの前記通信はケーブル式手段により行われることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
他の装置および/またはデバイスとの前記通信はケーブルなしで行われることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記引張り装着デバイスは駆動モータを有するローラ駆動ユニットを備えることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記引張り装着デバイスは、前記ローラと当該制動デバイスとの間における針布装着の領域において巻取り用事前張設力を生成すべく上記針布に作用する制動デバイスを備えることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記電子制御/調整デバイスはマイクロコンピュータを備えることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記測定デバイスは前記電子制御/調整デバイスと通信することを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記データを表示する(視覚化する)前記表示デバイスは前記電子制御/調整デバイスに対して接続されることを特徴とする、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
視覚的表示デバイスが配備されることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記データを記憶する前記記憶デバイスは前記電子制御/調整デバイスに対して接続されることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記電子制御/調整デバイスに対しては前記データを表示する再生デバイスが接続されることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記引張り装着データを検出する前記測定デバイスは、前記ローラが針布装着されつつある前記紡績機械と直接的に通信することを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記引張り装着処理の間において検出されたデータは、前記電子制御/調整デバイスに対して転送され、其処に記憶され、且つ、前記紡績機械の前記操作/表示デバイス上に再表示され得ることを特徴とする、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記ローラが針布装着されつつある前記機械の制御システムは、前記引張り装着データを検出する前記デバイスの機能を実施する役割を果たすことを特徴とする、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記機能は操作および/または表示であることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記紡績機械と、引張り装着データを検出する前記測定デバイスとの間の通信はケーブルなしで(配線なしで)行なわれることを特徴とする、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記通信は無線により行われることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記通信は赤外光を用いて行われることを特徴とする、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記通信は可視光を用いて行われることを特徴とする、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記引張り装着処理の間において前記電子制御/調整デバイスは、前記引張り装着データを検出する前記測定デバイスに対する表示および操作機能、および/または、該測定デバイスに対する電流供給を実施する役割を果たすことを特徴とする、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記紡績機械におけるインタフェースは、たとえば紡績用の機械、システムおよび/またはネットワークなどの更なるデバイスとの通信に対しても使用されることを特徴とする、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記引張り装着の間において検出されたデータは、前記紡績機械の機械関連データと比較されおよび/または連係されるべく配置されることを特徴とする、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記データは引張り装着力を含むことを特徴とする、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記データは引張り装着速度を含むことを特徴とする、請求項1乃至34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記データは制動要素の温度を含むことを特徴とする、請求項1乃至35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記データは引張り装着された針布の長さを含むことを特徴とする、請求項1乃至36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記データは制動力を含むことを特徴とする、請求項1乃至37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記引張り装着処理は経過記録され得ることを特徴とする、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記データおよび/または測定経過記録は印刷出力され得ることを特徴とする、請求項1乃至39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
引張り装着の張力が記録されることを特徴とする、請求項1乃至39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
存在し得るあらゆる伸びが記録されることを特徴とする、請求項1乃至41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記制動デバイスは制動力センサを備えることを特徴とする、請求項1乃至42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記制動デバイスは速度センサを備えることを特徴とする、請求項1乃至43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記ローラ駆動ユニットは制御および/または調整デバイスの制御/調整回路内に一体化され、且つ、該ローラ駆動ユニットは所定の巻取り張力に対する自動整合のために制御および/または調整されるべく配置されることを特徴とする、請求項1乃至44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記ローラはフラット・カードのシリンダであることを特徴とする、請求項1乃至45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
前記ローラはフラット・カードのドッファであることを特徴とする、請求項1乃至46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項48】
前記表示および/または記憶デバイスは前記電子的機械制御/調整デバイスに一体化されることを特徴とする、請求項1乃至47のいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
前記紡績機械の前記操作デバイスは前記表示および/または再生デバイスの操作のために使用されることを特徴とする、請求項1乃至48のいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
前記紡績機械の前記表示デバイスが使用されることを特徴とする、請求項1乃至49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
引張り装着の前、その間およびその後に、ユーザは前記表示デバイスにより命令、メッセージ、情報などを受信することを特徴とする、請求項1乃至50のいずれか一項に記載の装置。
【請求項52】
前記針布装着プロセスのために、該当する前記駆動モータに対しては、該モータの機能を最適化する一群のパラメータが対応駆動制御システムへとロードされることを特徴とする、請求項1乃至51のいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
前記ローラ駆動ユニットは前記制御および/または調整デバイスの制御および/または調整回路に一体化され、且つ、該ローラ駆動ユニットは所定の巻取り張力に対する自動整合のために制御および/または調整されるべく配置されることを特徴とする、請求項1乃至52のいずれか一項に記載の装置。
【請求項54】
前記制動デバイスは前記制御および/または調整デバイスに一体化され、これにより制動動作は巻取り用事前張力に対して自動整合され得ることを特徴とする、請求項1乃至53のいずれか一項に記載の装置。
【請求項55】
前記紡績機械に対しては、視覚的表示ユニットおよび/またはタッチスクリーンおよび/またはキーボードを有する操作/表示デバイスが組み合わされることを特徴とする、請求項1乃至54のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−144216(P2006−144216A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330114(P2005−330114)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】