説明

特に保湿ローションとしての使用のための水性化粧用組成物

本発明は、少なくとも1種の界面活性剤を二重層の形で含み、スポンジ相型の構造を示す水性組成物の、化粧用組成物としての使用又は化粧用組成物を調製するための使用に関する。
本発明はまた、少なくとも1種の化粧用活性剤又は1種の化粧用添加剤を含むスポンジ相の形の水性組成物、特にローションに関する。
本発明はまた、皮膚の化粧用ケア方法又は体表面の発育のための方法、特にそれらを保湿する目的のための方法、及び/又は皮膚に芳香を与えること又は体表面の発育を与えることを意図した方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規な化粧用組成物に関する。より具体的には、本発明は、スポンジ相型の構造化された水相の化粧品分野における使用、及びスポンジ相型の水相の形である新規な化粧用組成物に関する。
【0002】
本発明は、これらの組成物をスポンジ相型の組成物の形で配合することによって、化粧用組成物を調製することが可能であるという、その発明者による発見に由来する。かかる化粧用組成物は、下記に述べるように、非常に多くの利点を有する。
【0003】
「スポンジ相」構造と名付けられた非常に特有の構造は、基本的な種類のいくつかの科学系出版物に記載されている。特に、J.Phys.France(1994),4,349〜365中、M Filali他による“L(sponge)phase in the very dilute regime:spontaneous tearing of the membrane?”と題する出版物に言及されている。
【0004】
スポンジ相の構造研究はまた、Europhysics Letters,1997,39(5),563〜568中、Alibert C.他による“Dielectric study of the dilute part of a SDS/brine/alcohol system:a new sequence of phases?”と題する出版物の主題となっている。
【0005】
当業者は、スポンジ相が、希薄状態において、界面活性剤をベースとするリオトロピック系からなることを承知している。
【0006】
欧州特許出願EP1433476は、油構成成分(A)、親水性非イオン性界面活性剤(B)、親油性両親媒性剤(C)、水溶性溶媒(D)及び水(E)を含む、皮膚の洗浄を意図した組成物を記載している。
【0007】
この文書中に記載されている組成物は、両連続構造を示す等方性液相の形であり、それらの組成物の結果として、優れた洗浄性と洗い落とされる優れた能力とを示す。
【0008】
しかし、今日まで、スポンジ相の形である化粧用組成物は記載されていない。
【0009】
本発明の主題となるのは、具体的にはこの新規な化粧用組成物の形である。
【0010】
具体的には、本発明は、スポンジ相が皮膚に関して保湿性を本質的に示すという、その発明者による観察に由来する。その上、適切に配合されると、スポンジ相は結果的に化粧用組成物、及び特に、とりわけ好ましい外観と感触とを示すローションを生じることが可能となり、加えて、それらは使用中及び使用後に大いにすがすがしい気分を与えてくれる。
【0011】
加えて、これらの組成物は、化粧品にとりわけ有利である種々の性質、特に、この目的のために具体的に選択された化粧用活性剤及び/又は化粧用添加剤が存在することに関連する、種々の化粧用の性質を示すために配合することができる。
【0012】
本発明のスポンジ相は、適切な場合、その中に存在する化粧用活性剤に関して、とりわけ有利な媒介効果を有することも明記される。
【0013】
最後に、本発明による組成物の外観は、特に後者がローションの形である場合、これらの組成物が恐らく完全に透明で澄んでいるという事実のおかげで、使用者にはとりわけ魅力的である可能性がある。
【0014】
したがって、本発明は、第1の態様によると、スポンジ相の化粧品分野における新規な使用に関する。
【0015】
第2の態様によると、本発明は、スポンジ相の形である新規な化粧用組成物に関する。
【0016】
第3の態様によると、本発明は、前記組成物を調製する方法に関する。
【0017】
第4の態様によると、本発明は、スポンジ相の形で提供される組成物が、皮膚又は外皮に局所的に適用される、化粧用ケア方法及び/又は皮膚に芳香を与えること又は体表面の発育を与えることを意図した方法に関する。
【0018】
後に続く、図に関して所与されている記述及び実施例を考慮すると、本発明がより一層理解されることになる。図はそれぞれ以下のことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スポンジ相の構造を示す図である。
【図2】スポンジ相を凍結割断したものの電子顕微鏡写真である。この写真は、実施例1に従って得られたスポンジ相に相当する。
【図3】実施例2に記載の、本発明による特定の組成物を凍結割断したものの電子顕微鏡法によって得られた種々の写真である。
【図4】実施例3に記載の、本発明による特定の組成物を凍結割断したものの電子顕微鏡法によって得られた種々の写真である。
【図5】実施例4に記載の、本発明による特定の組成物を凍結割断したものの電子顕微鏡法によって得られた種々の写真である。
【図6】実施例2の組成物から水を部分的に蒸発させた後、凍結割断したものの電子顕微鏡写真である。
【0020】
本文書において使用される用語の多くの定義を下記に示す。
【0021】
「スポンジ相」という用語は、種々の文献にこの名称の下に記載されている相、特に本文書の最初に言及された文書に記載されているような相を意味する。
【0022】
図1は、かかるスポンジ相を概略図として示したものである。かかる相は、希薄状態においてリオトロピック系からなり、より具体的には、希薄状態において等方性相の形に構築された凝集体からなり、間隔をあけて無作為に折り重なった単一の二重層1で形成され、2つの同等の溶媒領域2及び2’を分離している。かかる構造は、溶媒(本発明の場合は、前記溶媒は水である)の相互に連結された通路3が存在することを特徴とし、この通路はスポンジの構造を連想させる構造を組成物に付与している。よってこの型の相にはその名称が付けられている。
【0023】
この同図1は通路の断面の拡大図も示しており、これは、2つの媒質2及び2’を分離している界面活性剤の二重層1を概略図として示している。
【0024】
図2はスポンジ相の真の形を示している。この事例では、この相は実施例1に従って得られたものであり、かかる相を凍結割断したものの電子顕微鏡写真で見ることができる。この写真において、この相の構造、特に通路3の断面と、2つの媒質2及び2’を分離している界面活性剤の二重層1とを見分けることは可能である。
【0025】
「化粧用組成物」の定義は、この分野における規定に所与されているものである。化粧用組成物は、特に、人体の種々の表層部、特に表皮又は外皮(毛髪及び爪)と接触させることを意図した組成物であり、特にそれらを良好な状態に保つか、それらを保護するか、それらを清潔にするか、それらに芳香を与えるか、又はそれらの外観を変えるための組成物である。
【0026】
本発明の状況において、化粧用組成物は、特に美容上有効な活性剤を有することができる。前記化粧用組成物自体に芳香を与えるという問題であろうとなかろうと、或いはこの組成物が皮膚又は外皮に芳香を与えることを意図されていようといまいと、化粧用組成物は、特に、芳香剤又は芳香組成物を含むこともできる。
【0027】
「液体組成物」という用語は、組成物が流れることができる流体形であることを意味すると理解されている。液体組成物は、特に、水の粘性に近いくらいの粘性を多少示すことができる。しかし、本発明によると、質感剤、例えば、組成物の粘性を調節するための粘稠化剤を、組成物中に導入することは禁じられておらず、ただし、これらの薬剤の性質及びそれらの濃度は、組成物のスポンジ相型の特性構造に忠実に従うように選択される。
【0028】
かかる液体組成物の例は、場合によって芳香を含み、皮膚、特に表皮及び/又は毛髪の、ケア又は衛生のためのローションとして使用される化粧品である。
【0029】
「美容上有効な活性剤」の定義は、美容術の分野において、従来通り知られているものである。関連する薬剤は、特に、皮膚の化粧用ケア、例えば、保湿、洗浄、ディープクレンジング、張り、調色、皮膚の明るさ、保護(特に紫外線又は寒冷及び大気汚染などの他の攻撃的な要因に対する保護)、アンチエイジング(特に抗しわ及び/又は引き締め)及び痩身のケアのために使用される活性剤である。
【0030】
非常に明らかなことに、溶媒、特にグリセロールなどの製品の中には、それらのよく知られている保湿性の結果として美容上の効果を有し得るものがあるが、かかる薬剤が、下記に述べるように、スポンジ相の特性構造の形成に積極的に寄与している限りにおいて、本発明の意味の範囲内では、美容上活性な薬剤として見なされない。
【0031】
本発明の状況において、「化粧用添加剤」の定義は、特定の物理的、化学的若しくは感覚的性質をその上に付与するという目的のために、又はそれらの安定性を保証するために化粧用組成物配合物に使用される任意の成分、例えば、酸化防止剤、着色剤、芳香剤、質感剤若しくは保存剤などに関する。
【0032】
その第1の主題の本質的な特徴によると、本発明は、少なくとも1種の界面活性剤を二重層の形で含み、スポンジ相型の構造を示す水性組成物の、化粧用組成物としての使用又は化粧用組成物を調製するための使用に関する。
【0033】
上記に示されたように、スポンジ相の実際の構造は、とりわけ有利な性質を前記水性組成物に付与する。この性質のおかげで、本発明の発明者らは、化粧品分野において、及び非常に特に化粧用組成物として、それらを使用することを考えるに至った。後者の場合、スポンジ相の形である水性組成物自体が、本発明の化粧用組成物を構成する。
【0034】
特に、上記に言及されているスポンジ相型の構造に内在する保湿性によって、前記化粧用組成物は皮膚に関して潤いを与えている。
【0035】
スポンジ相の形の構造を有し、良好な安定性を有する後者は、組成物の1〜20mS/cmという導電率をもたらす。後に続く記述から明らかになるように、本発明は、かかる導電率をもたらす種々の手段、特に、満足に導電する塩を組成物中に導入することによる、又は配合をより一般的に変化させることによる、及び特に、組成物中に存在する界面活性剤の性質を変化させることによる手段を提供するが、組成物が希薄状態においてリオトロピック系の形のままである必要があることは理解されている。
【0036】
本発明の状況において、化粧用組成物の分野において所望されている追加特性をその上に付与するために、これらの組成物中に1種又は複数の追加成分を導入することに加えて、スポンジ相型の特性構造が維持されるように、これらの追加成分及びそれらの特性が選択されるように注意することは可能である。
【0037】
したがって、水性組成物、本発明によって目標とされるその使用は、スポンジ相型の構造を示し、本発明に従って、化粧用組成物として使用することができる。
【0038】
化粧用組成物が、かかる追加成分を含んでいるか、又は含んでいないかによって、スポンジ相は、かかる追加成分用の媒体として、又はそれ自体で化粧品として見なされ得る。
【0039】
前記追加成分は、一般的に、少なくとも1種の化粧用活性剤又は少なくとも1種の化粧用添加剤からなる。
【0040】
本発明に従って使用される組成物は、それらが少なくとも1種の化粧用活性剤及び/又は少なくとも1種の化粧用添加剤からなるかかる追加成分を含む場合、それら自体で新規組成物を構成し、本発明の第2の態様の主題となる。
【0041】
したがって、本発明の第2の主題によると、本発明は、水性組成物をスポンジ相の形で含み、前記スポンジ相が、化粧用活性剤及び化粧用添加剤から選択される追加成分と呼ばれる少なくとも1種の成分を含む化粧用組成物を目標とする。
【0042】
この第2の主題の好ましい代替形によると、化粧用組成物は、その全体が前記追加成分を含む前記スポンジ相を構成する。
【0043】
本発明に従って使用される水性組成物及び本発明の新規組成物は、少なくとも1種の界面活性剤、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びC〜Cアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコール、並びに場合によって、少なくとも1種のアルカリ金属塩及び/又は少なくとも1種のアルカリ土類金属塩を含むことが有利である。
【0044】
新規水性組成物は、少なくとも1種の界面活性剤、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びC〜Cアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコール、少なくとも1種の化粧用活性物質又は少なくとも1種の化粧用添加剤、並びに場合によって、少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことが有利である。
【0045】
後に続く説明を簡単にするために、「本発明の組成物」という用語は、本発明に従って使用される組成物及びそれら自体で新規製品を構成する組成物の両方を意味する。
【0046】
当業者は、スポンジ相が通常5〜20mS/cmの導電率を示すことを承知している。したがって、当業者であれば、本発明の組成物の調製中に、導電率を制御するように注意する。
【0047】
本発明の組成物の導電率は、当業者に通常知られている方法によって、25℃で測定される。したがって、本発明の組成物の導電率は、25℃で測定される場合、1〜20mS/cm、好ましくは5〜20mS/cmである。
【0048】
選択された配合によって、追加の塩を用いることなく目標とする導電率を得ることができる限りにおいて、組成物中に塩が存在することが必須ではないことは容易に理解される。
【0049】
組成物中に塩を導入する必要性は、例えば、それ自体が塩の形であり得る化粧用活性剤又は化粧用添加剤の性質、及び/又は他の構成成分の性質、特に、1〜20mS/cm、好ましくは5〜20mS/cmの好ましい導電率を得ることに寄与することができる界面活性剤の性質によって決まる。
【0050】
目標とする導電率を得るためには、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩に、好ましくはアルカリ金属塩に、より好ましくは塩化ナトリウムに頼ることが有利である。
【0051】
本発明の組成物は、0.1〜2重量%の、C〜Cアルコール又はC〜Cアルコール混合物を含むことが有利である。
【0052】
ヘキサノールは、好ましいアルコールとして選択される。
【0053】
組成物は、グリセロール及び/又はグリコールを含むことが有利である。グリコール又はグリセロールは、組成物中に0.1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の濃度で存在することが有利である。
【0054】
本発明の化粧用組成物を得る際に、とりわけ保湿性をこれらの組成物にさらに付与する限りにおいて、グリセロールは非常にとりわけ有利である。
【0055】
スポンジ相を得るためには、組成物が少なくとも1種の界面活性剤を含むことが必要である。
【0056】
これらの界面活性剤は、アニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤並びにそれらの混合物から選択することができる。これらの種々の界面活性剤は、当業者によく知られている。これらの化合物を取り扱っている多くの著作物の中で、1991年にBlackie(Glasgow)によって出版されたM.R.Porterによる“Handbook of Surfactants”を参照することができる。
【0057】
界面活性剤又は界面活性剤の混合物は、一般的に、本発明の水性組成物中に、組成物全体に対して0.2〜2重量%の濃度で存在する。
【0058】
本発明に従って使用することができる界面活性剤の例として、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カルシウム、塩化セチルピリジニウム、エトキシル化ステアリルアルコール(Steareth−100)、アミンオキシド型の界面活性剤又はドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)が挙げられる。
【0059】
少なくとも1種のイオン性及び好ましくはアニオンの界面活性剤、特にドデシル硫酸ナトリウム又はドデシル硫酸カルシウムを用いることを選択することが好ましい。
【0060】
本発明の組成物の利点の1つが、それらの特性構造の結果としてとりわけ好ましい外観と感触とを示すこと、同時に水の粘性と同程度の非常に低い粘性を有することであるとしても、これらの組成物中に、粘性を調節することができる薬剤、例えば質感剤、増粘剤又はゲル化剤などを導入することは論外なことではない。かかる粘稠化剤の例として、アルギン酸エステル、キトサン及びその誘導体、アルカリゲネス多糖体などの細菌性多糖体、並びにヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0061】
次いでこの粘稠化剤は、その濃度も、スポンジ相の特性構造に忠実に従うように選択される。
【0062】
最後に、組成物全体の配合を変化させるとすれば、その中に種々の追加成分を組み込むこと、例えばその使用者に対して組成物をより魅力的にすることを特に意図した化粧品分野又は化粧用添加剤分野において、有利な活性剤を組み込むことは可能であることを、当業者であれば容易に理解する。
【0063】
かかる追加成分は、一般的に、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して10重量%未満の濃度で存在する。各種の追加成分については、一般的に、より低い濃度が本分野において従来通り使用されているものであることを、当業者であれば容易に理解する。
【0064】
言うまでもなく、スポンジ相の安定性を損なわないように、これらの種々の追加成分の濃度及び性質の両方を選択するために、体系的な試験が使用される。
【0065】
第1の代替形によると、本発明の組成物は、少なくとも1種の美容上活性な薬剤を含む。
【0066】
かかる薬剤は、保湿、洗浄、ディープクレンジング、張り、調色、皮膚の明るさ、保護(特に紫外線又は寒冷及び大気汚染などの他の攻撃的な要因に対する保護)、アンチエイジング(特に抗しわ及び/又は引き締め)及び還元剤、皮膚を明るくする薬剤、皮膚に関してアンチエイジング活性を有する薬剤、皮膚保護剤、特にフリーラジカルに対して活性を有する薬剤並びにビタミン類からなる群から選択されることが有利である。
【0067】
かかる化粧用活性剤の例として、保湿剤としてエクトイン及び海水、皮膚を明るくする薬剤としてコウジ酸及びアスコルビン酸及びそれらのエステル、保護剤として日焼け止め剤、アンチエイジング剤としてフリーラジカルを捕捉する薬剤、ペプチド、ビタミンA及びそのエステルが挙げられる。
【0068】
美容上活性な薬剤の中で、配合を簡単にするという理由で、水に溶けやすいものを選択することが好ましい。
【0069】
追加成分がスポンジ相を調製するために使用される水性相に溶解できるように、追加成分が適切に配合され、追加成分がかかるスポンジ相の製品に適合する割合で使用されるならば、水に溶けにくい追加成分を選択することも可能であることを、当業者であれば容易に理解する。
【0070】
本発明のスポンジ相中に導入することができるとりわけ有利な化粧用活性剤は、エクトインであり、これは、細胞中の浸透圧の平衡を維持することができ、攻撃(熱、乾燥)に関して湿潤な防護物を形成する生体高分子(タンパク質、核酸、膜)を安定化させることができる天然の分子である。この特定の活性剤は、そのゲル化性及び保湿性のおかげで有利である。
【0071】
エクトインは、本発明の組成物中に、0.01〜10重量%の濃度で存在することができる。
【0072】
別の代替形によると、本発明の組成物は、追加成分として、前記組成物に芳香性を付与する少なくとも1種の芳香剤を含む。
【0073】
上記化粧用活性剤の場合のように、芳香剤は、水溶性の芳香組成物であるか、又は水に可溶になるように配合された芳香組成物であることが有利である。
【0074】
さらに別の代替形によると、本発明の組成物は、追加成分として色素を含む可能性がある。
【0075】
水溶性の色素であることが好ましい。かかる色素の例として、FDC Blue1及びFDC Yellow5が参照として挙げられる。
【0076】
上記に述べたように、所望の導電率が組成物の他の構成成分によって得られる瞬間から、塩の存在は常に必須であるわけではない。
【0077】
この導電率を得るために、少なくとも1種の塩の存在に頼る場合には、この塩又はこれらの塩は、組成物の重量に対して0.1〜5重量%の含有量で存在することが有利である。
【0078】
スポンジ相を得るために目標とする導電率を導入することを意図した塩として、塩化ナトリウムを使用することを選択することが有利である。
【0079】
最後に、組成物は、保存剤、例えば美容上許容できるエステル又は(パラベン型の)パラヒドロキシ安息香酸エステルの混合物を、一般的に、組成物の総重量に対して0.001〜0.3重量%の濃度で含むことができる。
【0080】
組成物は、皮膚又は外皮への局所適用に適合するために調製されることが有利であり、ローションの形で配合されることが有利である。
【0081】
種々の成分は、かかる適用に対するそれらの適合性に対して選択されることが好ましい。
【0082】
本発明はまた、本発明の新規組成物の調製方法に関する。
【0083】
かかる方法は、少なくとも1種の界面活性剤と、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びC〜Cアルコールから選択される少なくとも1種のアルコール、少なくとも1種の活性物質、並びに場合によって、少なくとも1種の塩とを、前記組成物がスポンジ相の形で存在するような割合で混合することを含む。
【0084】
本発明の方法の有利な実施では、本発明の組成物の種々の構成成分は、前記スポンジ相が、25℃で測定される場合、1〜20mS/cm、好ましくは5〜20mS/cmの導電率を示すような割合で組み込まれる。
【0085】
上記のように、界面活性剤又は界面活性剤の混合物は、アニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0086】
好ましくはイオン性界面活性剤、より好ましくはアニオン界面活性剤が選択される。
【0087】
この方法の有利な代替形によると、水性ブライン、特に、水、グリセロール又はグリコール及び塩化ナトリウムをベースとしたブラインがまず第1に調製され、続いてその中に組成物の他の成分が組み込まれ、種々の成分の割合はスポンジ相を得るように限定される。
【0088】
かかる水性ブラインは、20〜50重量部、好ましくは25〜45重量部のグリセロール、及び0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2.5重量部の塩化ナトリウムを含み、このブラインの残りは水からなることが有利である。
【0089】
続いて組成物の他の構成成分がこのブライン中に、スポンジ相を得るように導入される。
【0090】
上記方法において得られるような、グリセロールがとりわけ豊富な組成物をそのようにして選択することは、スポンジ相構造を示す組成物が容易に得られるという利点を示すが、グリセロールが豊富な組成物につきもののすべての利点、すなわち、保湿性、高屈折率に関連する光沢性及び皮膚をより展性にし柔らかくする優れた能力を示す組成物にもつながる。
【0091】
最後に、その最終の態様によると、本発明は、上記定義の水性液体組成物又は上記定義の方法に従って得られるような水性液体組成物を、皮膚又は外皮に局所適用することを含む、化粧用ケア方法及び/又は皮膚又は外皮に芳香を与えることを意図した方法に関する。
【0092】
特に、上記に言及されている方法は、皮膚の保湿を向上させることができる。
【0093】
この理由は、上記に述べたように、それらの質感の結果として、並びに水路の存在に関連するが組成物中に存在し得る活性剤及び溶媒の性質にも関連するそれらの保湿性の結果として、本発明の組成物がとりわけ有利であるためである。
【0094】
特に、グリセロールが豊富なスポンジ相が利用され、グリセロールの含有量はスポンジ相の重量に対して最大50重量%までの範囲であることが可能であり、これはとりわけ評価される保湿性を得るためであり、特に、アジア市場で非常にとりわけ珍重されるしっとりタイプの組成物を調製するためである。
【0095】
上記定義の方法で使用される組成物は、皮膚への適用中、一部の溶媒の蒸発によって、界面活性剤によって形成される構造中に活性剤の真のカプセル化を生じるという利点を追加的に示す。
【0096】
この理由は、蒸発中、特に製品が皮膚に接触する際に起こる蒸発中、系が濃縮されるようになり、スポンジ相は小胞相に転換され、小胞は界面活性剤のラメラ構造によって形成されることが明らかであるためである。
【0097】
スポンジ相の形、特にローションの形の水性組成物は非常に澄んでいるが、界面活性剤の二重層で形成された小胞の水溶性懸濁液の場合は必ずしもそうであるとは限らないことが明記される。
【0098】
以下の実施例は、本発明を暗黙に限定することなく所与され、図2〜6によって例証される。
【実施例】
【0099】
以下の実施例すべてにおいて、割合は重量パーセントとして所与される。
【0100】
実施例1
スポンジ相の形の保湿ローション
以下のものを混合することによってブラインを調製する:
塩化ナトリウム:1%
グリセロール:30%
水:69%。
ヘキサノール1.5重量部、ドデシル硫酸ナトリウム0.6重量部及び保存剤としてメチルパラベン0.01重量部を、このブライン97.6重量部に加える。
【0101】
得られた混合物を10〜15分間撹拌した後、特に手触りが柔らかく、皮膚に関して保湿性を示す透明な組成物が得られる。
【0102】
図2は凍結割断することによって得られた写真であり、得られた組成物のスポンジ相型の構造を明らかに示している。
【0103】
保湿ローションの導電率は、25℃の温度で、Tacussel CD810導電率計及びTacussel白金電極(5×5mm、crystal XM200)を使用して、標準溶液を用いて測定する。
【0104】
上記調製の保湿ローションについて測定された導電率は、5.25mS/cmである。
【0105】
実施例2
エクトインを含むスポンジ相の形の保湿ローション
【0106】
水、グリセロール及び塩化ナトリウムをベースとしたブラインを調製する:
このブラインは、塩化ナトリウム0.5重量%及びグリセロール30重量%を含む。
【0107】
このブラインから始めて、以下の重量による割合で混合物を調製する。
エクトイン:0.2%
ドデシル硫酸ナトリウム:0.6%
ヘキサノール:1.5%
ブライン:97.7%
【0108】
10〜15分間撹拌した後、凍結割断することによって、図3に示した写真を観察する。
【0109】
この図において、矢印は溶媒の通路が存在することを示している。
【0110】
得られた透明な組成物は、とりわけ好ましい感触を示す。この組成物はまた、表皮に関して高い保湿力を示す。
【0111】
保湿ローションの導電率を、25℃の温度で、実施例1に記載されている装置を使用して測定する。
【0112】
実施例2の組成物について測定された導電率は、2.6mS/cmである。
【0113】
実施例3
芳香組成物を含むスポンジ相の形の芳香保湿ローション
実施例2で調製されたブラインから始めて、以下のものを含む組成物を調製する:
市販の芳香濃縮物(Takasago Europe Perfumery Laboratory、Franceによって、TPF1433という名称で販売されている)0.3重量%
ドデシル硫酸ナトリウム0.6重量%及び
ヘキサノール2%。
【0114】
上記調製の組成物から得られた凍結割断写真を図4に示す。矢印はスポンジ相の通路特性が存在することを示している。
【0115】
得られた透明な組成物は、とりわけ好ましい感触及びとりわけ好ましい芳香を示す。
【0116】
実施例4
着色剤を含むスポンジ相の形の保湿ローション
実施例1で調製されたブラインから始めて、以下のものを含む組成物を調製する:
青色色素FDC Blue1水溶液0.1重量%
ドデシル硫酸ナトリウム0.6重量%
ヘキサノール1.5重量%
ブライン98.2重量%。
【0117】
図5で明らかなように、このようにして得られ、凍結割断によって試験された組成物は、スポンジ相の構造特性を示しており、この構造の通路特性を矢印で示している。
【0118】
得られた透明な組成物は、とりわけ好ましい感触を示すだけでなく青色に着色されている。
【0119】
実施例5
蒸発による小胞の形成の実証
本発明による水性組成物は、スポンジ相に存在する水を蒸発させた後、しかも部分的に蒸発させた後でも小胞を自発的に形成することが、発明者らによって観察された。
【0120】
したがって、これらの組成物が特に皮膚又は外皮に適用される場合、本発明に従って化粧用に使用するという状況において、小胞は適用表面上で、組成物中に存在する水が蒸発する時に形成される。これらの小胞の壁は、初期のスポンジ相を構築している界面活性剤の1つ又は複数の二重層で形成されている。
【0121】
特にこれらの組成物が化粧用活性素を含む場合、後者はこれらの小胞によって作用部位にこのようにして媒介される。
【0122】
これらの小胞の形成を実証するために、実施例2の保湿ローションを減圧下で穏やかに加熱することによって、水が10%減量するまで蒸発させる。このようにして得られた組成物を凍結割断し、電子顕微鏡によって観察したものを図6に示す。図3に示した凍結割断写真に相当する初期のスポンジ相から形成された多数の小胞を、その中で見分けることは可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の界面活性剤を二重層の形で含み、スポンジ相型の構造を示す水性組成物の、化粧用組成物としての使用又は化粧用組成物を調製するための使用。
【請求項2】
前記水性組成物が化粧用組成物として使用される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記化粧用組成物が皮膚用の保湿組成物である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記水性組成物が、少なくとも1種の界面活性剤、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びC〜Cアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコール、並びに場合によって、少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記水性組成物が、25℃で測定される場合、2〜20mS/cm、好ましくは5〜20mS/cmの導電率を示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記水性組成物が、0.1〜2重量%の、C〜Cアルコール、特にヘキサノール、又はC〜Cアルコール混合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記水性組成物が、0.1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%のグリセロール及び/又はグリコール、特にグリセロールを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記水性組成物が、0.2〜2重量%の、アニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記水性組成物が、少なくとも1種のイオン性界面活性剤、好ましくはアニオン剤、特にドデシル硫酸ナトリウム又はドデシル硫酸カルシウムを含む、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記水性組成物が、0.1〜5重量%の、少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、好ましくは塩化ナトリウムを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記水性組成物が、
化粧用活性剤、特に、保湿、洗浄、ディープクレンジング、張り、調色、保護、特に紫外線又は寒冷及び大気汚染などの他の攻撃的な要因に対する保護、アンチエイジング、特に抗しわ及び/又は引き締め、及び痩身活性剤からなる群から選択される薬剤、並びに
化粧用活性剤、特に、酸化防止剤、着色剤、芳香剤、質感剤及び保存剤からなる群から選択される薬剤からなる群から選択される化粧用添加剤
からなる群から選択される追加成分と呼ばれる成分を追加的に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記化粧用組成物がローションの形で配合される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
水性組成物を請求項1〜10のいずれか一項に記載のスポンジ相の形で含み、前記スポンジ相が、化粧用活性剤及び化粧用添加剤から選択される追加成分と呼ばれる少なくとも1種の成分を含む水性化粧用組成物。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のスポンジ相の形の水性組成物からなり、前記スポンジ相が、化粧用活性剤及び化粧用添加剤から選択される追加成分と呼ばれる少なくとも1種の成分を含む、請求項13に記載の水性化粧用組成物。
【請求項15】
25℃で測定される場合、1〜20mS/cm、好ましくは5〜20mS/cmの導電率を示す、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
保湿、洗浄、ディープクレンジング、張り、調色、保護、特に紫外線又は寒冷及び大気汚染などの他の攻撃的な要因に対する保護、アンチエイジング、特に抗しわ及び/又は引き締め、及び痩身活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の化粧用活性剤を含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
エクトイン又は海水などの少なくとも1種の保湿剤、及び/又はコウジ酸又はアスコルビン酸又はそれらのエステルの1つなどの少なくとも1種の皮膚を明るくする薬剤、及び/又は日焼け止め剤などの少なくとも1種の保護剤、及び/又はフリーラジカルを捕捉する薬剤、ペプチド又はビタミンA若しくはそのエステルの1つなどの少なくとも1種のアンチエイジング剤を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
エクトインを含む、請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
酸化防止剤、着色剤、芳香剤、質感剤及び保存剤からなる群から選択される化粧用添加剤を含む、請求項13〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
色素を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
芳香又は芳香組成物を含む、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
粘性を調節することができる少なくとも1種の質感剤を含む、請求項19〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の保存剤を、前記組成物の重量に対して好ましくは0.05〜0.3重量%の濃度で含む、請求項19〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
0(を除いて)〜10重量%の前記追加成分(1種又は複数)を含む、請求項13〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記追加成分又は複数の前記追加成分のうちの少なくとも1種が、水溶性化合物又は水に可溶になるように配合された化合物である、請求項13〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
0.1〜5重量%の、少なくとも1種のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、好ましくは塩化ナトリウムを含む、請求項13〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
ローションの形で提供される、請求項13〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1種の界面活性剤、グリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びC〜Cアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコール、少なくとも1種の活性物質、並びに場合によって、少なくとも1種の塩を、前記組成物がスポンジ相の形で存在するような割合で混合することを含む、請求項13〜27のいずれか一項に記載の水性組成物の調製方法。
【請求項29】
100重量部当たり、20〜50重量部、好ましくは25〜45重量部のグリセロール、及び0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2.5重量部の塩化ナトリウムを含み、残りは水からなる水性ブラインが調製され、前記ブライン中に前記化粧用組成物の他の成分が、スポンジ相を得るように組み込まれる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化粧用組成物の構成成分が、前記スポンジ相が25℃で測定される場合、1〜20mS/cm、好ましくは5〜20mS/cmの導電率を示すような割合で組み込まれる、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の水性液体組成物又は請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法に従って得られるような水性液体組成物を、皮膚又は外皮に局所適用することを含む、皮膚又は外皮の化粧用ケア方法及び/又は皮膚又は外皮に芳香を与えることを意図した方法。
【請求項32】
皮膚の保湿を向上させることを意図した、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−537494(P2009−537494A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510516(P2009−510516)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051278
【国際公開番号】WO2007/132129
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】