説明

特に塗料を計量するための、粘性流体を計量するためのバルブ

本発明は、一端に開口部3.1を有するシンブル3と、該シンブル3の内部に配置されていると共に、上記開口部3.1を閉鎖することが可能なストッパ4.1が設けられているプランジャ4とを備える、バルブに関する。上記開口部の通路面Soの直径Doと上記開口部の深さPとの比は1よりもはるかに大きく、上記ストッパは閉鎖位置では上記シンブルの上記開口部近傍の外表面9と面一となることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に塗料を計量する(dosing)ための、粘性流体を計量するためのバルブに関する。本発明によるバルブは、自動車塗装のための調色(color dosing)の分野において特に好適な用途を見出している。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の車体修理の分野では、車両の色は、一般的には、5乃至10色のベースの、多数のベース色の調合により得られる。かかる調合は一般に、規定の総調合量に対して混ぜる各ベースの量を特定する、塗装業者によって規定される配合式から作り出される。既知の計量システムでは、色に応じて少なくとも100乃至300gの総調合量を調製するには十分である0.1gの精度を達成することは可能である。
【0003】
塗料を計量するための、車体修理者に既知の技術的解決策は、例えば特許文献1に記載されているような、容器、一般には剛性ボックスに適合した計量蓋(dosing cover)の原理に基づいている。作業者は、蓋を備えたボックスを傾け、開放システムを作動させて塗料を重力下で流す。傾き及び開度を調整することによって、作業者は計量を一滴まで制御する。既知のシステムによっては半剛性又は可撓性の容器を使用するものもある。その場合、作業者は、塗料を容器の適合オリフィスから流出させるようにこの容器に印加する圧力に働きかけ、滴を制御することができる。
【0004】
かかるシステムの欠点の1つは、計量精度は一滴の塗料量、すなわち約0.03乃至0.1gが限界であることである。その一方、いかなるときも、この滴は調合容器に垂れ落ちて計量を変えるか、又はオリフィスに溜まった状態となり、オリフィスを汚す可能性がある。しかしながら、今日、ベースがますます濃縮し被覆性のあるものとなり、修理すべき表面がますます縮小しており、このため、30乃至50g程度の少量の塗料を調製する必要が生じている。現在、100乃至300gを調製するのに0.1gの計量を用いて得られるのと同じ測色精度を得るには、0.01gという高い計量精度が達成されなければならない。したがって、一滴の量よりもさらに低い量を制御する必要がある。塗料に特有の別の現象は、塗料の粘性がかなり著しい割合で変化する可能性があるということにある。実際、粘性は多くの要因、特に流体の温度、塗料に関しては溶媒の損失に左右される。特に、固形含量が高く、したがって溶媒含量が低い最近の塗料の場合、溶媒の低損失でも粘性の高い増加につながる。
【0005】
しかしながら、これらの粘性の変化は、粘性が乱流の特性に関して重要な要因となるため、特に塗料ジェット吐出(paint jet expelling)の際に発生する乱流により計量精度の非常な妨げとなる。
【0006】
特許文献2は、一端に開口部を有するシンブルと、該シンブルの内部に配置されていると共に、上記開口部を閉鎖することが可能なプランジャとを備える、液体を計量するためのバルブを記載している。かかるバルブは、高温液体及び腐食性液体を計量するようになっている。その一方、かかるバルブは、塗料等の或る特定の粘性を有し、迅速に乾燥する傾向にある液体を計量するには、あまり有用ではない。実際に、このバルブを通る粘性液体は該バルブの細長い管状の下方開口部にて著しく速度が低下する傾向にある。この速度低下は液体の粘性、したがって液体とバルブの管状の開口部の壁との間に生じる実質的な摩擦に起因する。したがって、粘性液体の一部が管状の開口部内に捕捉された状態で留まり、その内部で乾燥し、それゆえバルブを詰まらせて使用不可能にする可能性が高い。
【0007】
特許文献3は、一端に開口部を有すると共に、該開口部を閉鎖するプランジャが設けられているシンブルを備える別のタイプのバルブを記載している。かかるバルブは、飲料自動販売機用、したがって、高い計量精度を必要とせず乾燥及び摩耗を受けることがない非粘性液体用に設計されている。
【0008】
その一方で、特許文献4は、塗料等の液体を配分するようになっている同じタイプの(シンブル及び閉鎖用プランジャを備える)バルブを記載している。プランジャは円錐対円錐(cone-against-cone)プラグ(シンブルの開口部の周りに形成される円錐形座(conical seat)に係止するようになっている移動円錐プラグ(mobile conical plug))で終端しており、捕捉現象を回避してバルブヘッドの洗浄を容易にするために、プランジャの遠位端面を閉鎖位置で開口部と面一にしている。しかしながら、このバルブはその幾何学形状により、その開放位置で、特に吐出された液体の圧力の作用下で乱流を生じるという欠点を有し、かかる乱流は納得のゆく計量の妨げとなり、さらに、概して、閉鎖した直後に滴がバルブの先端に滞留したままとなる。このことから、使用後に洗浄することが容易な外形を設ける必要があることが明らかである。
【0009】
特許文献5は、先の文献の欠点及び限界と同じ欠点及び限界を有する、濃縮飲料等の食品液を配分する同様の構造を有するバルブを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2006/027450号
【特許文献2】英国特許第207,392号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0252421号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0283137号
【特許文献5】独国特許出願公開第3409142号
【発明の概要】
【0011】
本発明の一目的は、塗料等の粘性液体の非常に高精度な計量に特に適合した新規のバルブ構造を提供することによって上記欠点を改善することである。
【0012】
本発明の包括的な目的は、バルブを通る液体の強制吐出の時点で液体粘性に特有の困難を相殺するようなバルブを提供することである。
【0013】
より詳細には、本発明の目的は、以下の全ての利点を本質的に与えるようなバルブを提供することである:
計量精度が非常に高い;
配分される流体量の再現性が高い:
流体の粘性変化に対する感度が低い;
いかなる局部的な捕捉及び乾燥の危険性も回避するようにバルブの開口部での塗料の捕捉が全くない;
特に圧縮容器との使用の場合に高エネルギージェットとの適合性がある。
【0014】
最後に述べた態様、すなわち塗料ジェットを制御することは、塗料の調色に適用する場合に特に重要である。
【0015】
実際に、十分によく制御された流量を有することが必要であり、これには容器の加圧が必要であり、したがってバルブの開口部で局部的に流速が高くなる。
【0016】
その一方で、ジェットが層流のままであることが重要であり、そうでなければ乱流の発生により計量の終了時にバルブの先端のオリフィスの周りに滴の滞留が形成されることになる。
【0017】
さらに、重要なことは、温度変化、溶媒の損失、1つの製造バッチから別の製造バッチ又は1つの塗料色から別の塗料色への粘性変化等、流体の粘性に影響を及ぼす制御不可能な現象から解放されることができることである。
【0018】
上記の目的は、上記の特許文献4に開示されているタイプの、すなわち一端に開口部を有するシンブルと、該シンブルの内部に配置されていると共に、上記開口部を閉鎖することが可能なストッパが設けられているプランジャであって、該ストッパは閉鎖位置ではシンブルの上記開口部付近の外表面と面一となることが可能である、プランジャとを備える、計量バルブによって本発明に従って達成される。
【0019】
上記バルブは、本発明によれば、上記開口部の通路面の直径と上記開口部の深さとの比が1よりもさらに大きいことを特徴とする。
【0020】
本明細書で使用する場合、「通路面(surface passage)」とは、流体の流れ方向に対して横断方向の開口部の表面Soを意味する。この通路面は円形とすることができ、直径Doを提供し得る。この直径Doは、開口部の直径ともみなされ得る長さである。開口部の「深さ」は、開口部の「厚み」とも呼ばれ得る寸法である。これは流体の流れ方向の開口部の長さである。したがって、開口部の深さは開口部の通路面に対して垂直である。
【0021】
したがって、開口部は、バルブを通る流体ジェットを案内するのに可能な限り最も短い長さを与えるように設計されている。すなわち、開口部は厚みの薄い領域に形成され、開口部とジェットとの接触面積の長さは開口部の表面に対して小さい。
【0022】
特に、開口部はオリフィス近傍のジェット案内(jet-guiding)の長さが可能な限り最も短くなるように設計される(開口部が厚みの薄い領域に形成される)ため、開口部と流体ジェットとの接触面積の長さが短縮され、ジェット吐出(jet expulsion)の高い運動エネルギーにもかかわらず層状の流れが完全に保たれることを可能にする。
【0023】
したがって、流体の流量はバルブの幾何学形状に固有の特性、流体に加えられる圧力及び流体の密度にしか左右されず、また、実際には流体の粘性には左右されない。したがって、非常に正確且つ完全な再現性を有する計量を達成することができる。
【0024】
さらに、本発明によるバルブの特定の構成は、開口部での汚れ及び滴の形成が全くない、流体ジェットのシャープなカットオフ(cut-off)が好ましい。滴の抑制すなわち大幅なサイズ低減により、滴による分散をなくすと共にバルブの汚れを大幅に低減しつつ、計量精度をかなり高めることが可能となる。
【0025】
Doを通路面の直径とし、Pを深さとすると、上記の条件は以下のように記され得る:
Do/P ≫ 1 (方程式1)
【0026】
条件「1よりもはるかに大きい」とは、上記の比が3以上であることを意味する。この比は好ましくは5以上であり、以下のように記され得る:
Do/P ≧ 5 (方程式2)
【0027】
かかる上記の比を有する開口部の場合、バルブの通路はダイヤフラムの原理に従って非常に短い長さにわたって非常に急激に小さくなる。したがって、上記開口部を含むシンブルの領域は「ダイヤフラム」とみなされ得る。流体の流れはこのダイヤフラムの出口で直ちに大気に晒される。このダイヤフラムの絞りでは、流体は非常に短い長さにわたって非常に加速する。
【0028】
ベルヌーイの定理によれば、この加速は粘性のいかなる影響も受けることなく圧力のポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに非常に高速に変換することにあたる。ダイヤフラムは長さが非常に短く、そのため、絞りの下流での水頭損失を制限すると共に、流体が高速であるにもかかわらずレイノルズによって説明される乱流現象を回避するようになっている。
【0029】
こうして、流体の層流ジェットが達成され、この流量はダイヤフラム特性、バルブの入口で流体に加えられる圧力及び流体の密度にしか左右されない。流体の粘性はほとんど妨げとならない。この現象は計量制御にとって重要であり、その理由は、ダイヤフラム特性、加えられる圧力及び流体の密度は安定しており、制御が容易であるが、流体の粘性は多くの要因、特に流体の温度、塗料に関しては溶媒の損失に左右されるからである。固形含量が高く、したがって溶媒含量が低い最近の塗料の場合では、溶媒の低損失でも粘性の高い増加につながる。
【0030】
層流ジェットの別の利点は、ダイヤフラムの出口にて流体が高速であり、したがって運動エネルギーが大きいことによるものである。ダイヤフラムに、ダイヤフラムの上流に配置されていると共にダイヤフラムの絞りすなわちシンブルの上記開口部で直接流体の流量を遮断する閉鎖システムすなわちプランジャを連係させることによって、且つ、プランジャによって開口部を急激に閉鎖することによって、ジェットの非常にシャープなカットオフが達成される。
【0031】
このようなジェットのカットオフは、流体の速度が高く、したがって、開口部の上流の流体の流量が急激に阻止される領域に見られる。閉鎖領域のすぐ下流の流体に関しては、この流体は運動エネルギーが大きいため、その移動を続ける。流体をダイヤフラム及びプランジャの面の粘着力から解放し、したがって滴の形成を回避するのはこの運動エネルギーである。この滴の抑制すなわち大幅なサイズ低減により、バルブの汚れを大幅に減らしつつ、滴による分散なく、計量精度をかなり高めることが可能となる。
【0032】
ストッパは閉じると開口部近傍のシンブルの外表面と面一となり、したがって、捕捉領域なく完全に開口部を閉鎖することが可能であり、開口部での汚れ及び滴の形成の全くない、流体ジェットのシャープなカットオフが好ましい。さらに好ましくは、ストッパの閉鎖面は点状、面状、球の錐台状である。
【0033】
本明細書で使用する場合、「球の錐台(frustum of a sphere)」とは球の一部を意味する。球の錐台は一部がない切断球又は切頭球とも定義することができる。したがって、円錐の錐台が円錐の一部であるのと同様に「球の錐台」は球の一部である。好ましい実施の形態では、シンブルは、外側から見ると上記開口部付近では凸状領域又は平坦領域を有する。
【0034】
かかる平坦領域、又は外側が膨らんでいるすなわち弧状の領域には、流体捕捉領域として機能する可能性のある外部凹所又はくぼみが全くない。したがって、汚れ又は滴の形成が抑えられる。
【0035】
特に好適な方法では、凸状領域の形状は半球(semi-sphere)に対応し得る。
【0036】
さらに、凸状領域の場合では上記開口部は凸状領域の頂部に位置し得る。平坦領域の場合では上記開口部は平坦領域の中央に位置し得る。
【0037】
好ましくは、プランジャは磁性材料から成る。この場合、バルブは磁性材料から成るヨークをさらに備えることができ、ヨークとプランジャは、磁場の存在下においてヨークとプランジャとの間に引力を生成することが可能であるように作製される。磁場を印加することによって、プランジャは上記開口部が現れるようにヨークに引き付けられ得る。引き付けの段階中、プランジャはヨークに当接した位置にあるのが好ましい。
【0038】
さらに、上記開口部の通路面に対するシンブルの通路面の比は、好ましくは1よりもはるかに大きい。
【0039】
Sdをシンブルの通路面とし、Soを上記開口部の通路面とすると、この関係は以下のように記され得る:
Sd/So ≫ 1 (方程式3)
【0040】
条件「1よりもはるかに大きい」とは、上記の比が9(3×3)以上であることを意味する。この比は好ましくは50以上であり、以下のように記され得る:
Sd/So ≧ 50 (方程式4)
【0041】
シンブルの通路面は、流体の流れ方向に対して横断方向のシンブルによって画定されるチャンバの最大の長さとして定義される。
【0042】
2つの通路面間のかかる比では、バルブの閉鎖領域の上流の導管が比較的大きな通路を提供する。これにより、流速への流体粘性の影響を最大限に制限することが可能である。ゆえに、通路断面が大きく、したがって流速が低いため、ダイヤフラムの上流の水頭損失は非常に低い。バルブからシンブルの開口部に至る流体循環は、開口部に比して大きい通路断面により容易となる。その一方、重要なことは、粘性に応じて水頭損失を制限するだけでなく、閉鎖領域の上流でのいかなる乱流状態も回避することである。
【0043】
換言すれば、上記の比を考慮すると流体通路断面の非常に急激な縮小が強いられる。開口部から上流での領域は比較的広くフレア状になっており、開口部は、水圧式の流量コントローラとして用いられるダイヤフラムとして非常にシンプルな絞りを提供する。
【0044】
好ましい実施の形態では、計量バルブは、プランジャを閉鎖位置に押すようになっているばねをさらに備える。好ましくは、該ばねは上記プランジャの内部に少なくとも部分的に配置される。
【0045】
有利には、プランジャは流体をシンブルの到着領域からシンブルの上記開口部に通す少なくとも1つの開口部を含み得る。
【0046】
好ましくは、計量バルブは、上記プランジャを閉鎖位置と上記開口部が現れる位置との間で移動させることが可能な手段をさらに備える。好ましい実施の形態では、この手段はシンブルを覆う電気コイルを含む。
【0047】
流れが非層状である過渡状態の影響を制限するために、バルブの開閉動作は可能な限り最迅速であることが好ましい。
【0048】
さらに、バルブが「オンオフ(all or nothing)」モードで駆動される場合、その制御は容易に自動化され得る。
【0049】
本発明はまた、上記特徴を少なくとも部分的に含むバルブを備える流体容器に関する。
【0050】
かかる容器では、流体の加圧により流体変位が生じ得る。このような圧力による流体変位により、特許文献1に記載のもののような、容器の充填液位に大きく左右される重力方式の欠点が、もはやなくなる。流体の加圧により、容器の液位変化による影響がなくなる。実際に、容器の充填液位の影響をほとんどなくすのに十分大きな圧力を印加することは容易である。この場合、シンブルの到着領域の流体とバルブの外側の流体との間の相対圧力は好ましくは安定している。
【0051】
次に、本発明によるバルブの一実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるバルブの一実施形態の閉位置での長手方向断面図である。
【図2】図1のバルブのプランジャの正面図である。
【図3】図1のバルブを流体が通る際の開放位置での該バルブの図である。
【図4】図1のバルブのシンブルの下部の詳細図である。
【図5】図1の線V−Vに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明によるバルブの一実施形態を示す。図1では、バルブは閉位置で電磁気制御系を有さずに示されている。
【0054】
バルブは流体容器(不図示)に接続されるヨーク2から形成される。このヨークは磁気流透過性材料(magnetic-flow permeable material)から成る。シンブル3がヨーク2に固定される。シンブル3は非磁性材料から成る。シンブル3はその端部に開口部3.1を含む。シンブルの内部には磁束透過性材料(magnetic-flux permeable material)から成るプランジャ4が案内される。プランジャ4は、シンブル3の開口部3.1を閉鎖することが可能なストッパ4.1を備える。このストッパ4.1は弾性付加部品(elastometric added-part)とすることができ、閉鎖面11(図3参照)は点状、面状又は球の錐台状とすることができる。プランジャはばね5の作用により下方位置に維持される。
【0055】
流体は、任意の手段によって、単に重力作用によって又はバルブの外環境を減圧することによって生じ得る、或る特定の相対圧力下で到着領域1にもたらされる。流体はバルブの本体内、プランジャ4の内部及び周り、並びにばね5の内部及び周りを循環する。流体は、プランジャ4に形成された広い開口部4.2を通って閉鎖領域1.1まで容易に循環する。
【0056】
図2はプランジャ4の図を示し、流体を到着領域1から閉鎖領域1.1に循環させる開口4.2が強調されている。
【0057】
図3は作動構成及び開放位置でのバルブを示す。バルブは、シンブル3を介してヨーク2及びプランジャ4に磁場を誘導することが可能な円筒コイル6で覆われている。この磁場により、ヨーク2とプランジャ4との間に引力が生成される。この引力がばね5の強度を超えると、プランジャ4がストッパ4.1と共に持ち上がり、シンブル3の開口部3.1が現れる。流体は次いで、バルブから放出され、層流ジェット(laminar jet)1.2となり、バランスのプレート8に載置された容器7内に採られるようにすることができる。
【0058】
図4はシンブル3の下部を詳細に示す。開口部3.1の通路面Soの直径Do、開口部3.1の深さP、シンブル3の凸状領域10及びシンブル3の開口部3.1近傍の外表面9は、この図で十分に区別可能である。
【0059】
図5は図1の線V−Vに沿った断面図である。この断面図では、シンブル3の通路面Sd及び開口部3.1の通路面Soをよりはっきりと示すために、ばね5及びプランジャ4は省略してある。SoはSdよりもはるかに小さいことは明白であろう。図5では、Sdはシンブルの壁によって画定される面(特に面Soを含む)の全体に対応することに留意されたい。したがって、SoはSdの中央部分としてみなされ得る。
【0060】
本発明によるバルブにより、自動車修理のためのベース色を計量する特定の有利な用途を見出す計量システムが得られる。かかる計量システムは平均的な車体修理者にとって経済的に採用され、非常に正確で使用が容易であると共に、最小限度の洗浄しか必要としない。
【0061】
当然のことながら、本発明によるバルブの使用は自動車塗装の分野に限定されない。実際に、上記バルブは正確且つ確実な流体計量を必要とするいかなる用途にも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体を計量するためのバルブであって、
一端に開口部(3.1)を有するシンブル(3)と、
前記シンブル(3)の内部に配置されていると共に、前記開口部(3.1)を閉鎖することが可能なストッパ(4.1)が設けられているプランジャ(4)であって、該ストッパは閉鎖位置では前記シンブルの前記開口部近傍の外表面(9)と面一となることが可能である、プランジャ(4)と、
を備え、
前記開口部の通路面(So)の直径(Do)と前記開口部の深さ(P)との比は1よりもはるかに大きいことを特徴とする、粘性流体を計量するためのバルブ。
【請求項2】
前記ストッパの閉鎖面(11)は点状、面状又は球の錐台状である、請求項1に記載の計量バルブ。
【請求項3】
前記シンブルは外側から見ると前記開口部(3.1)近傍では凸状領域又は平坦領域(10)を有する、請求項1又は2に記載の計量バルブ。
【請求項4】
形状が半球に対応する凸状領域を含む、請求項3に記載の計量バルブ。
【請求項5】
前記開口部は凸状領域の場合では該凸状領域の頂部に位置し、平坦領域の場合では該平坦領域の中央に位置する、請求項3又は4に記載の計量バルブ。
【請求項6】
前記プランジャは、少なくとも部分的に磁性材料又は磁気流透過性材料から成る、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の計量バルブ。
【請求項7】
前記バルブは、磁性材料から成るヨーク(2)をさらに備え、該ヨーク及び前記プランジャは、磁場の存在下において該ヨークと該プランジャとの間に引力を生成することが可能であるように作製される、請求項6に記載の計量バルブ。
【請求項8】
前記シンブルの通路面(Sd)と前記開口部の前記通路面(So)との比は1よりもはるかに大きい、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の計量バルブ。
【請求項9】
前記プランジャを閉鎖位置に押すことが可能なばね(5)をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の計量バルブ。
【請求項10】
前記ばねは少なくとも部分的に前記プランジャの内部に配置される、請求項9に記載の計量バルブ。
【請求項11】
前記プランジャは、前記流体を前記シンブルの到着領域(1)から該シンブルの前記開口部に通す少なくとも1つの開口部(4.2)を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の計量バルブ。
【請求項12】
前記プランジャを前記閉鎖位置と前記開口部が現れる位置との間で移動させることが可能な手段(6)をさらに備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の計量バルブ。
【請求項13】
前記手段は前記シンブルを覆う電気コイル(6)を含む、請求項12に記載の計量バルブ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のバルブを備える、流体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−522672(P2010−522672A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500320(P2010−500320)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000425
【国際公開番号】WO2008/142237
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509268794)フィロン テクノロジース (2)
【Fターム(参考)】