説明

特に種子発芽および植物発生のための遅延性効果の農業処理剤

湿性基質(例えば、土壌)で支持される生きている植物の農業的な処理のための薬剤であって、前記薬剤は固形で分離した形態であり、農業的な処理のための少なくとも一つの活性な実体を含んでいる固形粒子を具備し、各粒子は以下を具備することを特徴とする薬剤:
前記基質に不活性な固形材料の粒子からなるコアであって、見かけ上の表面積よりも大きい内部の進展した表面積を含んでおり、結果的に吸着および/または吸収に適切であるコア、
粒子に吸収および/または前記粒子の表面に吸着した農業的な処理のための活性な実体、
活性な実体を含んでいるコアをカプセル化している膜であって、湿性基質と直接的または間接的に接触する場合に活性種に関して外向きに浸透性である少なくとも一つの親水性ポリマーからなる膜。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、一般に種子の発芽の刺激、植物の成長の促進、または植物の多様な病原体もしくは寄生虫からの防御などの特定の事項にかかわらず、異なる目的のための、植物の農業的な処理に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、非空気的な農業的な処理〔即ち、湿性基質を用いる(例えば、所望の植物が生きる又は栽培される土壌を用いる)処理〕に関する。例えば、本発明は、種子の処理に関連して説明および記載される(例えば、菜園、花および大規模農業の品種の種の種子、または木および低木の種子)。
【0003】
湿性の土壌などを用いて植物(特に種子)を処理する目的のために、固形で分離した形態で処理剤〔即ち、例えば、微生物を増強する、植物の栄養分であろうと、種子および植物の環境を消毒するための産物であろうと、処理のための個々の又は混合性の活性種を含んでいる固形粒子を含んでいる〕を得る、産生する、および供給することは既知の実施である。
【0004】
係る処理剤の二つの主な態様が、実際に提案され、記載される。
【0005】
第一のモードによると、各粒子は活性種;(cf.例えば、ピート基質における細菌)を吸着及び/又は吸収するミネラルまたは合成の固形の 材料によって構成される粒子を含む。
【0006】
本モードでは、一方で活性種の湿性基質への放出を制御すること、および他方で活性種の作用する段階の前の一時的な水和の間などに前記基質に存在する又は提供される水分に対してなるべく前記種を防御することが可能ではない。
【0007】
第二のモードによると、各粒子は、例えば、個々の又は混合性の活性種;(cf.例えば、マイクロカプセル化したエッセンシャルオイル)をカプセル化する天然起源のポリマーで得られる膜を含んでいるカプセル剤、マイクロカプセルまたはナノカプセルからなる。
【0008】
本モードでは、例えば、湿性相においてコーティングまたはフィルム処理される間の摩擦を発生する後処理、または基質における直接的な沈着(例えば、播種機中で種子との混合物として)に耐えるカプセルを許容する十分な機械的な強度を示さない。
【0009】
湿性または水和しやすい性質によって基質(例えば、土壌)との接触において取り込みに直接的に又は間接的に適切である固形で分離した形態で農業的な処理を得る目的のために、本発明の一つの対象物は、農業的な処理の活性種を条件づける又は形成するためのシステムであり、これによって同時に、一方で良好な機械的な強度(特に破砕する又は圧力をかけることに関する)および使用される最終的な産物の調製の間の一時的な水和に対する良好な抵抗性が、並びに、他方で正確に基質に利用可能な又は提供される湿度または水による活性種の時間に関して調節された又は制御可能な放出が許容される。
【0010】
本発明によると、各粒子は、以下を含む:
特に多孔性(外部および/または内部の空隙率)であり、従って活性種単独または液相などによって支持されるものの吸着および/または吸収に適切であり、その見かけ上の表面よりも大きい内側の表面を含んでいる不活性(即ち、基質に対して)な固形の材料の粒子によって構成されるコア、
粒子に吸収および/または粒子の又はその構成粒子の表面に吸着した農業的な処理の活性種(以前に規定した)、
以前に述べたとおりコアに吸収および/または吸着される活性種を含んでいるコアをカプセル化している膜(この膜は湿性基質と直接的または間接的に接触する場合に活性種に関して外向きに浸透性である少なくとも一つの親水性ポリマーによって構成される)。
【0011】
二つの態様を考える。
【0012】
本発明の第一の態様によると、以前に規定した処理剤は、種子と共におよび混合物として基質に直接的に使用される(例えば、土壌に供給される)。
【0013】
この第一の態様によると、以前に規定したシステムによって、幾分可溶性の及び/又は水相に水和される膜の構成親水性ポリマーの及びその厚さの適切な選択を介して、活性種に対して膜の外向きの透過性が修飾され(特に湿度の効果で)、全体として、任意の適切な時間的な計画(例えば、直ちに、または数日内、または数週内)により活性種を基質へ局所的(in situ)に放出することが可能となる。
【0014】
相互に不適合性であるか又は互いに中和する異なる活性種を植物に供給することが所望される場合、本発明によるシステムは、それぞれ異なり、時差的に放出する処理剤をえることが可能であり、土壌中(例えば、植物の根の領域中)に共に供給される。
【0015】
本発明によるシステムを条件付ける又は形成することによって、農業的な処理のための活性種の即席の適用に対して効果的および効率的な代替物が構成される。
【0016】
本システムは、特に酸化、蒸発などによる処理剤の貯蔵間のみならず、一時的な再加湿などによる適用間でさえも活性種の損失を回避することを可能とする。
【0017】
本発明による条件付けシステムは、植物または種子に、固形および分離形態で、および乾燥状態で、土壌中に析出させる現行の技術(例えば、粒子のサイズ, 流れ, 水和性 および 耐久性に関して)と適合する処理剤を得ることが可能である。
【0018】
特に好適な本発明の第二の態様によると、以前に規定した処理剤の各粒子は、以前に規定した膜(即ち、少なくとも一つの親水性ポリマーから構成される)で既にカプセル化された活性種を含んでいるコアをカプセル化している別の膜を具備し、この前記他の膜は湿性基質と接触することで壊れる少なくとも一つの疎水性ポリマーによって構成される。
【0019】
他の膜によって、処理剤を活性種の遊離または放出を生じやすいだろう任意の一時的な水和に対して防御することが可能である。処理剤が、湿性相に供給される糊タイプの崩壊材料で被覆またはフィルム処理され(例えば、種子の周り)、次に乾燥される場合、この保護は特に重要である。
【0020】
本発明による処理剤は、一旦湿性基質中にあれば持ちこたえる(即ち、実際に全ての活性種の放出に対しその特性が保存される)。
【0021】
また、本発明による条件付けシステムは、解放される又は放出される時間までの処理剤の貯蔵の間(前記薬剤のコーティングまたはフィルム処理される間においても)に活性種の活性(cf.微生物の生存度)を保存することを可能にする。
【0022】
このような一時的な防御は、土壌中に種子を配置した時間ではなく、例えば、一旦前記種子が水和された媒体(または水和された土壌でさえも)に配置されたら活性種の放出を許容することにより、基質における利点も有している。
【0023】
要約すると、本発明による条件付けシステムは、必要な場合に、必要な場所で、発芽の間の種子の領域において、次に植物の根のネットワークの又はその冠の成長領域において活性種が作用することを許容する(適用後のみ)。
【0024】
特に、本発明によると、播種前の貯蔵条件に対し、処理剤が適用されて種子自身に機能する形態で貯蔵されえる。
【0025】
それぞれ、一方で親水性および疎水性ポリマーの及び他方で不活性な固形材料の適切な選択により、本発明による条件付けシステムは分解性であり、環境へのリスクがない。
【0026】
「不活性」の用語は、考慮した材料が環境および/または栽培される植物にリスクがない特性を意味する。
【0027】
「崩壊性」の用語は、考慮した材料が崩壊し、全ての凝集が溶解によりなくなり、懸濁液, 腫脹, 化学的または酵素的加水分解, 化学的または生物学的な分解, 生分解, 生同化などを経る特性を意味する。
【0028】
本発明は、次の単独または組み合わせで考慮されえる実施態様を提供する。
【0029】
本発明の農業的な処理剤の固形粒子の平均径は、選択される適用プロセスに依存して、5 および 500 μmの間, 好ましくは5 および 50 μmの間(例えば、約 13 μm)である。
【0030】
固形粒子の膜の主の又は唯一の成分である親水性ポリマーは、もともとフィルム形成性および/または乳化性である。それはポリビニルピロリドン (PVP), ポリビニルアルコール(PVA), ワックス, アルギナート, キトサン, 修飾または無修飾の多糖類, 例えば、ポリサッカライド, 修飾または無修飾のデンプン, セルロース, デキストリン, マルトデキストリン, アラビアゴム, グアールゴム, アカシアゴム, ゼラチンおよびタンパク質(ダイズ, 乳清)などからなる群から選択される。
【0031】
本発明による処理剤の粒子の固形材料は、次の事項において不活性である;つまり、それの基質(例えば、土壌)への導入が、実質的に前記基質に関してのみならず、栽培の間の植物に関しても有害な影響(毒性を含む)がないことにおいて不活性である。それは優先的にゼオライト, モンモリロナイト, 炭酸カルシウム, シリカ, 珪藻土, 滴虫土またはキースラガー, および軽石からなる群から選択されるミネラル材料である。
【0032】
例示として、ミネラル材料は、珪藻, 消石灰, および水の間の熱水反応によって取得される修飾された珪藻土である。
【0033】
しかしながら、特定のケースにおいて、前記粒子の不活性な固形材料は、例えば、合成の有機物ポリマー, 例えば、マクロ孔質ポリスチレン, ポリアクリレート, 微孔質スチレンマトリックス, および熱収縮性ポリマー(例えば、ポリアクリルアミド)からなる群から選択される有機物材料などの非ミネラル材料である。
【0034】
本発明によると、「固形材料」の用語は、特に温度および相対湿度に関して、農業的な処理剤の使用の条件下でのサイズ安定性を有する任意の材料を意味する。
【0035】
優先的に、本発明による処理剤の粒子のコアを構成する不活性な固形材料の粒子は、ミクロスフェアの形態を有する。この形態は、特に以下に記載される生産方法による球状化工程によって得られる。
【0036】
この粒子は優先的にマクロ孔質構造を有し、この空隙率は等しく外部および/または内部の空隙率である(以下に説明される珪藻土のケースにおいて、一例を挙げる)。例示として、多孔性の不活性な固形材料の領域に対する比表面積(BET)は、少なくとも50と等しく、好ましくは50 および 200の間(例えば、約 140 m2/gと等しい)である。
【0037】
使用される活性種の性質に依存する適用または使用によると、不活性な固形材料の粒子に対する前記活性種の重量比は、少なくとも10-9と等しく、好ましくは10-6 および 1の間である(例えば、約 0.40と等しい)。
【0038】
親水性ポリマーを選択して、少なくとも30゜Cと等しい温度をこえる、例えば、45゜Cをこえる温度〔例えば、Klucel(登録商標)として販売されるヒドロキシプロピルセルロース〕、または70゜Cをこえる温度〔例えば、ポリアクリルアミド(HDC)〕で水に不溶性にしてもよい。カルシウムイオンに接触させて配置されるアルギナートであってもよい。
【0039】
以下に記載されるとおり、このような性質は、疎水性の性質の別の膜が水相で相対的に高温〔例えば、癒着によって〕を用いて粒子上に配置される場合に有利である;このような場合において、親水性ポリマー膜は、保存される。
【0040】
本発明によると、全ての種類の活性種は、使用される農業的な処理に依存して条件付け又は形成されてもよい。
【0041】
それらは最初に種子の発芽を刺激する産物(即ち、発芽に生理的に活性な分子)であってもよい。
【0042】
活性種は、次の産物であってもよい;つまり、植物の成長を促進する産物(例えば ホルモン)、または環境ストレスへの抵抗性を増加させる産物〔例えば、防御 刺激物〕、または基質及びその直接の周囲のもの、または代替的には栄養分のpHを安定化する産物であってもよい。
【0043】
また、若い植物の成長に都合悪い因子(これには接触, 摂取またはガス状の拡散により作用するウイルスおよび病原性の微生物が含まれる)を防御するための産物であってもよく、例えば、殺真菌性の, 殺菌性の, ヘマティサイダル, 殺虫性の又は除草性の産物などが含まれ;例えば、任意の適切な精油(例えば、タイムの抽出物)である。全てのこれらの産物は、植物の抵抗反応を強化する、及び/又は前記植物の環境を消毒する又は調節する。
【0044】
活性種は生きた生物学的材料であってもよく、例えば、非病原性の微生物、例えば、少なくとも一つの真菌, または細菌, またはウイルス(必要に応じて、生存を確かにする媒体とともに)であってもよく;この微生物〔例えば、シュードモナス属, 桿菌, トリコデルマ属, クロノスタキス(clonostachys), フザリウム, リゾクトニア(rhizoctonia), などのタイプ〕は、植物の成長を刺激する又は前に規定した病原体に対抗して防御する。
【0045】
本発明の農業的な処理剤が別の膜〔即ち、二つの膜、活性種を含んでいるコアをカプセル化している第一の膜、並びに第一の膜をコートしている第二の膜(それ自身は崩壊性の疎水性ポリマーによって構成される)〕を具備する場合、次の実施態様を考慮すべきである:
疎水性ポリマーは、合成ポリマー, ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート) (THO), ポリヒドロキシアルカノエート(THA), 異なる分子量のポリ乳酸(PLA), ポリ(3-ハイドロオキシブチレート-co-3-ヒドロバレレート) (PHVA), ポリ-ε-カプロラクトン(PCL), ブチルスチレンアクリレート, ポリエチレンテレフタラート(PET), グリコール-乳酸のコポリマー, アルキドレジン, 修飾デンプン, アルギナート, キトサンおよび ポリサッカライドからなる群から選択される;
好ましくは、疎水性ポリマーは、5000 および 100000の間のモル質量を有するポリ乳酸またはアルキド樹脂である。
【0046】
また、本発明は、例えば、前に規定した構造および/または形態を有している農業用の剤を得るための方法に関する。
【0047】
この方法により:
a) 固形で分離した形態で不活性な材料が提供される、
b) 液相での農業的な処理のために選択される活性種が提供される、
c) 水相での親水性ポリマーが提供される、
d) 見かけ上の表面積よりも大きい内部の進展した表面積を具備している分離した形態の固形の不活性な材料(例えば、多孔性の材料)によって、液相に活性種を浸透し、なおも活性種を含んでいる固形で分離した形態である中間材料がえられる、
e) この中間材料が、親水性ポリマーと水相でコートされて小球が得られる、
f) 水が前記小球から除去されて、所望の農業的な処理剤を構成しえる粉末が得られる。
【0048】
好ましくは、工程(f)の間に水が除去される〔特に、流動エアベッドにおいて又はネブライザー乾燥によって〕。
【0049】
例示として、工程(e) および (f)は、同時に、中間材料を流動することによって及び水相での親水性ポリマーを全体を空気の流れ(例えば、熱い空気の流れ)のなかで噴霧して前記ポリマーに癒着させることによって実施される。乾燥条件(特に、乾燥および気温の割合)を適応させて満足な膜がえられる。
【0050】
前に規定した工程 (d)の間、含浸条件は、固形で分離した形態での不活性材料に、液相中に活性種の初期質量の20%および200%の間、好ましくは30%および50%の間、および、例えば、約 43%に等しい液相中で多量の活性種で充填するために事前に規定される。
【0051】
代わりに、好ましくは、水相の親水性ポリマーは、前記水相の少なくとも 1% および好ましくは5%〜10%重量を提供して中間材料を浸透させるために適切な粘性をえる。
【0052】
例示として、親水性ポリマーがHPCである場合、このポリマーは水に水相の1%〜10% (m/m)の割合で溶解され、水溶液での中間材料の表面での工程 (e)による含浸の後に、工程 (f)による乾燥が続き、乾いたポリマーは前記中間材料の5%〜50%(m/m)を呈する。
【0053】
それが農業的な処理剤である場合、その粒子はそれぞれ親水性および疎水性の二重の膜を具備し、前に規定した方法の終わりに得られる粉末は更なる工程をへてもよく、これによって:
この粉末が、かように提供され、
水相で崩壊性の疎水性ポリマーが提供される、つまり:
g) この粉末が、疎水性ポリマーと水相でコートされて小球が得られ、
h) 水が前記小球から除去されて、所望の農業的な処理剤が得られる。
【0054】
好ましくは:
水相における疎水性ポリマーは、水中のラテックスまたは前記ポリマーのマイクロ懸濁液またはナノ懸濁液である、
前に規定した工程(g) および (h)は、全体を空気の流れのなかで、粉末を流動すること及び水相における疎水性ポリマーをそれに噴霧することにより同時に行われる。
【0055】
例えば、懸濁液は、水相に対して10%(m/m)の疎水性ポリマーを含み、同じ疎水性ポリマーを乾燥後、乾燥形態で工程(g) および (h)に供試された粉末の10%〜50% (m/m)を示す。
【0056】
必要であれば、前に記載した方法は、水の除去の工程の後に、処理剤の球状化の工程を具備してもよい。
【0057】
本発明の農業的な処理剤は、それを直接的に基質(例えば、土壌)に配置することによって使用しえる、又はそれを植物種(特に、植物品種)の生殖または増殖のための植物材料(例えば、種子)と分離した形態で混合してもよく、この材料は次に基質に配置される。後者のケースにおいて、上述の植物材料(例えば、種子)の各々別々の成分は、水浸透性および自由選択で崩壊材料のマトリックスでコートまたはフィルム処理され、前記マトリックスへと分配される本発明の農業的な処理剤が導入される。
【0058】
このような材料は、例えば、種、特に、菜園、花または大規模農業の品種の種子、又は木または低木の種子からなる。
【0059】
以前に述べたとおり、コートまたはフィルム処理された植物材料の完全な乾燥まで、農業的な処理剤の構造および活性が保存される間に、コートまたはフィルム処理作業が崩壊材料で行われる場合、湿性形態において又は水相において、農業的な処理剤の粒子の第二の膜または他の膜によって一時的な水和に耐える。
【0060】
要約すると、本発明は農業的な処理に関し、これによって種(特に、植物の植物品種)の生殖または増殖のための植物材料(例えば、種子)が湿性の又は水和された基質(例えば、土壌)に提供され、これによって以前に規定した処理剤が同じ基質に配置され、農業的な処理の活性種が発生または成長している対象の植物種の種子の直近で又は発根の又は冠の領域で放出または開放される。
【0061】
係る方法の二つの変種が考えられる:
第一の変種によると、例えば、直ちに、農業的な処理剤が、生殖または増殖のための植物材料と混合され、これは固形で分離した形態であり、このようになおも固形で分離した形態で得られた混合物が湿性基質に配置される。
【0062】
第二の変種によると、湿性基質に配置される前に、農業的な処理剤は、統合的に固形で分離した形態で生殖または増殖のための植物材料と前に記載したコーティングまたはフィルム処理などにより組み合わされる。
【0063】
以下の例によって、本発明が説明される。
【0064】
例1: 液相での固形で分離した形態での多孔性のミネラル材料および活性種からの固形で分離した形態での中間材料の生産
この例によると、農業的な処理のための活性種は、既知の様式で土壌中の病原体に対して消毒および保護の作用を有している精油からなる。この精油は、例えば、Hethyt 600Rの名称でFlore de Saintongeが製造および販売されたタイムの精油である。この精油は、以下でHEとして参照される。
【0065】
この例によると、固形で分離した形態での多孔性のミネラル材料は、修飾された珪藻土であり、即ち、珪藻, 消石灰, および水の間の反応によって取得されるものであり、例えば、Calflo C (登録商標)の商標のWorld Minerals社による製品である。このミネラルの粒子は、不規則で角ばっており、空気に対し140 m2 g-1 (BETポイント)の全体の比表面積を有している内部の空隙率および外部の空隙率を提供する形態を有する。前記粒子の直径は、約 5〜50 μmで平均サイズは13 μmである。
【0066】
以下の実験プロトコールが行われた。含浸前に、Calflo Cを、不純物を除去するために蒸留水で洗浄し、減圧下で80゜Cの温度で一日乾燥器に配置した。
【0067】
以下の実験プロトコールが次に行われた。
【0068】
1. Calflo C(以下、TdDという)が選抜された;
2. TdDは、以下に記載されるとおり、それぞれ20%, 33%, 43% および 50% m/mのHE (全体質量 TdD + HEに対するHEの質量)で多様な含浸の質量含有率が得られるように浸透された;これを行うために以下に記載される含浸の持続時間を変動させることで十分である。
【0069】
3. 次に、ガスの拡散によるHEの遊離/放出動態が、経時的な重量減少をモニターすることによって測定された。
【0070】
含浸に関して、HEおよびTdDが、HEがTdD中で均一に分布し、TdDの間の部位に到達可能であるためにメノウビーズと共に100 mlの薬瓶に導入された。薬瓶は、回転撹拌機中で20 分間撹拌された。この作業の後に、TdDは、HEが均一に浸透するようになった。走査顕微鏡観察イメージ(SEM)によって、混合の前後で次の事項が示された;その事項とは、撹拌機におけるブレンドによって、TdD粒子のサイズに影響しないことである。
【0071】
TdDに保持される及び浸透しているHEの量は、以下の操作プロトコールにより測定された:
ジクロロメタン (CH2Cl2)でのHEの抽出;
273 nmでの紫外線の範囲におけるジクロロメタン中でのHEのアッセイ。
【0072】
乾燥粉末の形態の中間材料を与えるために、43%の含浸の度合(TdD および HEの全体質量に対するHEの質量)が選択された。
【0073】
オープンエアでの放出動態が、単純な秤量または熱重量分析(TGA;thermogravimetric analysis)によってモニターされた。
【0074】
二つの連続的な放出の段階が観察された〔脱離による〕:
急速な脱離の第一段階(これはTdDのフラクタル表面をコートしているHEの多重層の欠損と一致しえる);
緩徐な脱離の第二段階(これはTdDの外部および/または内部の空隙に保持されるHEの欠損と一致しえる);
実質的に、TdDに保持される全てのHEは、そのため比較的急速に放出されえる。
【0075】
例2: 粉末を得るための例 1により得られた中間材料と親水性ポリマーのカプセル化
例 1により得られ、結果的に微小粒子の形態である中間材料(以下でMiとして参照される中間材料)は、かように提供される。
【0076】
それが選択され、これらの粒子が水相において親水性ポリマーでコートされた。選択された親水性ポリマーは、分解性である。
【0077】
研究室において、上述の中間材料は、以下の乾燥エマルジョンプロトコールによりカプセル化された:
1. 親水性ポリマーの水溶液が提供された;
2. Miは、この水溶液中で分散されて分散物が得られた;
水性の分散剤は、ガラスプレートに伝播する。水が制御される様式で蒸散して、Miの粒子の周りの親水性ポリマーの癒着またはコアセルベーションにより沈殿し、粉末が得られる。
【0078】
二つの親水性ポリマーを選択し、試験した、すなわち:
修飾デンプン、例えば、Cleargum(登録商標)としてRoquette社から販売された製品であり、図 1に提示される化学式に対応する;
ヒドロキシプロピルセルロース、例えば、Klucel(登録商標)としてAqualon 社から販売された製品であり、図 2に示される化学式に対応する;
Klucel(登録商標)に関して、次の事項に注意すべきである。その事項とは、それが水に45゜Cから不溶性であり、これによって引き続き以下の例 4に示されるとおり本例により得られた粉末を、疎水性ポリマー(ポリ乳酸またはアルキド樹脂)で、水相で温かい条件下で親水性ポリマーの膜(または第一の膜)の溶解又は膨潤を生じる危険性なく、コートすることが可能となる。
【0079】
Klucelの範囲において、多様なグレード(J および Mとして知られる)が使用され、これらは互いに分子量(即ち、それぞれ, 140000 および 850000)が異なる。
【0080】
以下の実験プロトコールが使用された。
【0081】
1. 43% (m/m)のHEを含有している例 1により得られたMiが、出発原料として使用された;
2. 以前の指摘のとおり選択された親水性ポリマーの水溶液(水の重量に対し該ポリマーの1重量%または2重量%)が提供された;
3. 1000 rpmで室温で解膠させるパドル回転を用いて、(2)からの水溶液が撹拌された。そして、Miが添加されMiの水性の分散剤が得られ、1 分間撹拌され、Miは以下で報告される全ての試験において水性の分散剤(即ち、全体の重量 Mi プラス 水性ポリマー溶液)の20重量%を示している;分散工程は、Miの質量を一定に維持している間に、及びMiの粒子をカプセル化している親水性ポリマーの質量を変動させている間に、およびMiの粒子をカプセル化している親水性ポリマーの質量を変動させている間に行われた;しかしながら、Miの粒子の周りに親水性ポリマーを最小の量で適用することが選択された。
【0082】
4. 例 1に記載された同じ乾燥エマルジョンプロトコールにより、得られた分散剤が沈殿され、多様なガラスプレートに薄層に広げられた。
【0083】
5. 前記プレートは、次にオープンエアでドラフトチャンバーで1〜2 時間配置された;表面湿度は、急速に減少した;湿度の度合が7%〜23%に達した場合に、得られたカプセル化膜は半透性である。即ち、HEの化合物の拡散を保持している又は緩徐にしている同じ時間に水の拡散が許容される。
【0084】
6. 一旦カプセルが乾燥されると、彼等は、必要に応じて、非常に微小な乳鉢粉砕により回収され、分離され、粉末がえられる。
【0085】
7. このように得られた粉末を用いて、HEの含浸の収率は、以前に指摘したとおり、粉末に保持されるHEの量を測定することによって計算された;オープンエア中のHEの拡散の動態が、換気したドラフトチャンバーで坩堝に配置した1 gの粉末の重量減少をモニターすることにより観察された。
【0086】
カプセル化試験の結果を表Iに示す。
【表I】

得られた粉末中のカプセル化されたHEの収率は正確である。水中での親水性ポリマーの濃度が増加する場合、前記収率は増加する。カプセル化が温かい条件(65゜C)で行われる場合、前記収率は減少する。
【0087】
放出に関して、以下の観察がなされた:
厚い膜壁によって、HEの拡散が減速する;
しかしながら、斜めの漸近線は、修飾デンプン(例えば、Cleargum)に関するよりも、HPCでカプセル化されたMiの粒子に関して緩徐に達する。そのうえ、漸近線はなお一層水平となり、長い保持時間のために、HPCのモル質量が高いほど、Mi粒子の周りに沈着した量は多くなる。
【0088】
従って、Klucel(登録商標)の範囲を変動させることによって、親水性ポリマーの粘性、質量または量がHEの放出に影響するかどうかを決定することができる。
【0089】
カプセル化の間、HPCのモル質量は、かように変動する。
【0090】
手順は、以前と同じである。カプセル化の収率は、以前のように計算された。
【0091】
結果は、以下の表IIで照合された:
【表II】

この表から、以下の議論がなされえる:
・ 得られた収率は、満足なものであり、66%よりも大きい。
【0092】
・ 同じモル質量に対して、ポリマーの量が増加し、粘性が増加する場合、カプセル化の収率が改善された。
【0093】
・ 溶液中で同じ量の沈着した親水性ポリマーに関して、同じ量のポリマー(および 約同じ乾燥時間)で、高いモル質量(850000 g.モル-1)のヒドロキシプロピルセルロースで得られた収率は、低いモル質量(140000 g モル-1)のヒドロキシプロピルセルロースでのカプセル化から生じたものよりも高い。この溶液の高い粘性によって、これらの観察が説明される。
【0094】
・ 全体として、HPCのモル質量と無関係に、拡散は親水性ポリマーの量が増加する場合に減速された。
【0095】
・ 動態に関して、全ての放出曲線は同じ形を有する、即ち:不十分にコートされた粒子に又は幾分裂けた膜壁に対応する相対的に急速な上昇(「バースト」効果が多くの拡散において観察された)、引き続く膜の厚さと比例して緩徐な水平漸近線への上昇である。
【0096】
例3: 固形で分離した形態で農業的な処理剤を得るための例 2にしたがって得た粉末の疎水性ポリマーでのカプセル化
一般的には、この例によると、例 2にしたがって得られた粉末が提供され、土壌中での良好なウォーターバリアおよび相対的に急速な分解の速度を有する疎水性ポリマーを用いて、前記ポリマーの水性の分散剤が形成された。次に、粉末が疎水性ポリマーでコートされて小球が得られ、水がこれらの小球から除去されて所望の処理剤が得られる。
【0097】
使用された疎水性ポリマーは、水中に分散されたナノ粒子の形態でのポリ(乳酸)またはPLAであり、PLAはフィルム形成性の性質およびモル質量に応じた制御された加水分解による分解性において特に有利である。
【0098】
使用された疎水性ポリマーは、水中に分散されたナノ粒子の形態でのフィルム形成性のアルキド樹脂であり、一般に図 3の化学式に対応し;例えば、DSM社によって製造および販売された樹脂 Uradil AZ 554-Z50であり、これは架橋に乾燥剤、すなわちDSM社によって販売されたNuodex Combi AQを必要とする。
【0099】
この樹脂のフィルム形成は、最初に癒着により、次に乾燥の力によって得られる。
【0100】
異なるPLAsで行った二つの系列の試験を、それぞれプレートで乾燥エマルジョン剤による研究的な条件下で及び流動エアベッドを適用するが、乾燥エマルジョン剤の技術による産業的な条件下で行った。
【0101】
コロイド性ナノ粒子としての多様なPLAの再分散性の水性ポリマーを得て、予備的に試験して最適な適用およびフィルム処理(膜の形成)の操作条件を決定するために肥料の顆粒をコートした。
【0102】
これらの操作条件を達成し、二つの異なるPLAsを試験した〔一つは低いモル質量(即ち、7000)で45゜CのTg、他は高いモル質量(即ち、35000)で55゜CのTg〕。
以下の操作プロトコールが次に行われた。
【0103】
1. 例 2にしたがって得られた粉末(マイクロ粒子)が提供された。二つのタイプの粉末を試験した:
マイクロ粒子が各々TdD + HE コア(TdD + HEの全体重量の43%重量を示すHE )および分子量80000でコア (TdD + HE)の5%または50% (m/m)のHPC膜を含有する第一の粉末、
マイクロ粒子が各々TdD + HE コア(TdD + HEの全体重量の43%重量を示すHE )および分子量850000でコア (TdD + HE)の5%または50% (m/m)のHPC膜を含有する第二の粉末、
2. 水性の基剤中のPLAラテックスが提供され、そのPLAは15% (m/v)の水相を示している;上記で同定した異なる分子量の二つのPLAsを試験した、
3. その粉末が、ラテックスにパドル回転を800 rpmで一分間45°で分散されて、水性の分散剤を得た、
4. 乾燥エマルジョン剤技術によって、水性の分散剤がガラスプレートに広げられ、次に乾燥器で58゜Cで30〜45 分間乾燥し、かように得られた粒子が回収される(任意で、乳鉢で分離した後に)。
【0104】
5. これらの粒子において、三つの決定が行われた:
二重膜によるカプセル化されたHEの収率が、以前に記載した方法にしたがって計算された、
オープンエア中での拡散の動態が、粒子の重量減少をモニターすることによって決定された、
拡散の動態が、同じ方法で、混合し、砂に粒子を導入することによって及び粒子中のHEの残留量を決定することによって決定された。
【0105】
研究室で乾燥エマルジョン剤で得られた検査結果は、以下の表IIIで照合された:
【表III】

「第二のカプセル化の収率」の用語は、粉末中に最初に存在するHEの量に対し、疎水性ポリマーでのカプセル化後に粒子に存在するHEの量を意味する。
【0106】
「全体の収率」の用語は、TdDを含浸させるために使用されたHEの最初の量に対し、疎水性ポリマーでのカプセル化後に粒子に残存しているHEの量を意味する。
【0107】
以下の観察が、次に行われた:
・ 乾燥エマルジョン剤による第二のカプセル化の収率は、41%〜73%の範囲であり;この工程の間に、HPCが拡散に対しHEを防御する、
・ 全体の収率は、粉末に沈着したPLAの質量で変化しない、
・ オープンエアにおける拡散は、第二のカプセル化の間に適用されるPLAの量を増加させることによってかなり遅延された、
砂に拡散によって、例えば、湿性基質における種子などのタイプの適用に関して、30日間の放出の遅延が達成されえることが示される。
【0108】
産業的なタイプの試験に関して、これらをGlatt社より製造および販売された「Mini-Glatt」機械を使用した流動ベッドで産業的な乾燥エマルジョン条件下で行った。
【0109】
この機械で例 2にしたがって得られた粉末が流動化されて流動ベッドが得られた。水性の分散剤として疎水性ポリマーが、全体を熱い空気の流れで粉末に噴霧されて流動化され、研究室でのように粉末が疎水性ポリマーでコートされて、ガス状の懸濁液において液滴が得られた。水がこれらの液滴から除去されて、所望の処理剤が得られた。
【0110】
以下で報告される試験に関して、上述の機械は、以下の様式で使用された:
プロセス空気がセットされ、温度を80゜C、圧力を0.8 barに制御された、
20 gの粉末が産物のタンクに導入された、
疎水性ポリマー分散剤は、10%の乾燥抽出物を含み、液体の流速2-3 ml/分、噴霧空気圧0.8 barで噴霧された。
【0111】
噴霧コーンにおける内部温度は、50゜Cに維持された。
【0112】
流動ベッドにおける乾燥エマルジョン剤タイプの第二のカプセル化の試験結果は、以下の表IVで照合された:
【表IV】

以下の観察をなしえる:
・ 良好な収率は、研究的な条件下よりも流動ベッドにおいて得られる、
・ オープンエアにおける拡散動態によって、オープンエアにおける放出が流動エアベッドにおいて行われた第二のカプセル化によってよりよく制御されたことが示される。
【0113】
以前に規定した同じ機械で以前に同定されたアルキド樹脂で産業的な流動ベッド条件下で、以下の結果が得られ、以下の表Vで照合された。
【表V】

この表から及びオープンエアにおける拡散動態から、オープンエアにおける拡散の停止が最初の脱気の後に観察された。
【0114】
さらに、砂への拡散から、湿性基質における沈着後、拡散は僅か十五日間の遅延の後に開始されたことが観察された。
【0115】
例4: 生物学的因子のカプセル化の試験
微生物タイプの農業的な処理の活性種に関して、細菌のマイクロカプセル化の試験を、以下に記載される研究室での乾燥エマルジョン剤タイプの実験プロトコールにしたがって蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)で行った。係る場合において、農業上の課題は、この細菌を播種後に急速に放出させることである。
【0116】
遠心分離で、脱水の間の生存および微生物の細菌学的な二次成長を促進させるために選択された標準培地での細菌の懸濁液は、5.86 x 1010 CFU/mlの懸濁液が達成されるまで調製された。
【0117】
TdDは、以前に得られた懸濁液(87 mlの懸濁液/1.7 gのTdD)で15 分間撹拌して維持して最大限まで浸透した。
【0118】
過剰な液体は除去されて固形物を得た(分離した中間材料)。この中間材料は、1 gの「接種された」中間材料に、2 gのKlucel (登録商標)(分子量140000)を水に10%に希釈された溶液の形態で添加することによってマイクロカプセル化された(即ち、100 gの溶液/100 gの粉末)。全体を、15 分間撹拌した。
【0119】
このように得られた粒子または小球は、オープンエアで2 時間 30 分25゜Cで、それから5 分間35゜Cで乾燥された。
【0120】
ここでは第二のカプセル化は存在しない。
【0121】
カプセル化形態で6゜Cで貯蔵する間の細菌集団がモニターされた。このために、各検査に関して、0.22 gの粉末が20 cm3 の水に分散された:
初期の懸濁液 5.86 x 1010 CFU/ml
カプセル化後の30 分間 = 4.6 x 108 CFU/ml
カプセル化後の24 時間 = 1.9 x 108 CFU/ml
カプセル化後の10 日間 = 1.35 x 108 CFU/ml
カプセル化後の29 日間 = 8.3 x 106 CFU/ml
シュードモナス属(Pseudomonas)の保存は特に困難であるので、本発明によるシステムによってこの微生物を脱水形態(35%〜60%の平衡相対湿度)で保存する及び分配することが可能であると認められる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】なし
【図2】なし
【図3】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿性基質(例えば、土壌)で支持される生きている植物のための農業的な処理剤であって、前記処理剤は固形で分離した形態であり、農業的な処理のための少なくとも一つの活性種を含んでいる固形粒子を具備し、各粒子は以下を具備することを特徴とする処理剤:
前記基質に不活性な固形材料の粒子により構成されたコアであって、見かけ上の表面積よりも大きい内部の進展した表面積を含んでおり、それゆえ吸着および/または吸収に適切であるコア、
粒子に吸収および/または前記粒子の表面に吸着した農業的な処理の活性種、
活性種を含んでいるコアをカプセル化している膜であって、湿性基質と直接的または間接的に接触する場合に活性種に関して外向きに浸透性である少なくとも一つの親水性ポリマーから構成された膜。
【請求項2】
請求項1に記載の剤であって、前記固形粒子の平均径は5 および 500 μmの間, 優先的には5 および 50 μmの間(例えば、約 13 μm)であることを特徴とする剤。
【請求項3】
請求項1に記載の剤であって、前記親水性ポリマーは、特にフィルム形成性および/または乳化性であり、ポリビニルピロリドン (PVP), ポリビニルアルコール(PVA), ワックス, アルギナート, キトサン, 修飾または無修飾の多糖類, ポリサッカライド, 修飾または無修飾のデンプン, セルロース, デキストリン, マルトデキストリン, アラビアゴム, グアールゴム, アカシアゴム, ゼラチンおよびタンパク質(ダイズ, 乳清)からなる群から選択されることを特徴とする剤。
【請求項4】
請求項1に記載の剤であって、前記不活性な固形材料は、ゼオライト, モンモリロナイト, 炭酸カルシウム, シリカ, 珪藻土, 滴虫土またはキースラガー, および軽石からなる群から選択されるミネラル材料であることを特徴とする剤。
【請求項5】
請求項4に記載の剤であって、前記ミネラル材料は、珪藻, 消石灰, および水の間の熱水反応によって取得される修飾された珪藻土であることを特徴とする剤。
【請求項6】
請求項1に記載の剤であって、前記不活性な固形材料は、マクロ孔質ポリスチレン, ポリアクリレート, 微孔質スチレンマトリックス, および熱収縮性ポリマー(例えば、ポリアクリルアミド)からなる群から選択される非ミネラルであることを特徴とする剤。
【請求項7】
請求項1に記載の剤であって、前記粒子はミクロスフェアの形態を有することを特徴とする剤。
【請求項8】
請求項1に記載の剤であって、前記粒子はマクロ孔質構造を有することを特徴とする剤。
【請求項9】
請求項1に記載の剤であって、前記不活性な固形材料の領域に対する比表面積(BET)は、少なくとも50と等しく、好ましくは50 および 200の間(例えば、140 m2/gと等しい)であることを特徴とする剤。
【請求項10】
請求項1に記載の剤であって、前記不活性な固形材料の粒子に対する農業的な処理の活性種の重量比は、少なくとも10-9と等しく、好ましくは10-6 および1の間(例えば、約0.40と等しい)であることを特徴とする剤。
【請求項11】
請求項1に記載の剤であって、前記親水性ポリマーは、少なくとも30゜Cに等しい温度以上で、例えば45゜C または70゜C以上で水に不溶性であることを特徴とする剤。
【請求項12】
請求項1に記載の剤であって、前記農業的な処理のための活性種は、種子の発芽を刺激する産物であることを特徴とする剤。
【請求項13】
請求項1に記載の剤であって、前記農業的な処理のための活性種は、例えば、環境ストレスへの抵抗性を増加させることによって又はpHもしくは栄養分を安定化することによって植物の成長を促進する産物であることを特徴とする剤。
【請求項14】
請求項1に記載の剤であって、前記農業的な処理のための活性種は、ウイルスおよび病原性の微生物を含む若い植物の成長に都合悪い因子を防御するための産物(例えば、精油)であることを特徴とする剤。
【請求項15】
請求項1に記載の剤であって、前記農業的な処理のための活性種は、植物の成長を刺激する又は植物を病原体に対抗して防御する微生物(例えば、少なくとも一つの真菌または細菌)であることを特徴とする剤。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか一項に記載の剤であって、各粒子は、自身が前記膜でカプセル化されている活性種を含んでいるコアをカプセル化している別の膜を具備し、前記他の膜は基質と接触することで壊れる少なくとも一つの疎水性ポリマーによって構成されることを特徴とする剤。
【請求項17】
請求項16に記載の剤であって、疎水性ポリマーは、合成ポリマー, ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート) (THO), ポリヒドロキシアルカノエート(THA), 異なる分子量のポリ乳酸(PLA), ポリ(3-ハイドロオキシブチレート-co-3-ヒドロバレレート) (PHVA), ポリ-ε-カプロラクトン(PCL), ブチルスチレンアクリレート, ポリエチレンテレフタラート(PET), グリコール-乳酸のコポリマー, アルキドレジン, 修飾デンプン, アルギナート, キトサンおよび ポリサッカライドからなる群から選択されることを特徴とする剤。
【請求項18】
請求項1に記載の剤であって、前記疎水性ポリマーは、5000 および 100000の間のモル質量を有するポリ乳酸またはアルキド樹脂であることを特徴とする剤。
【請求項19】
農業的な処理剤を得るための方法であって、これにより:
a) 固形で分離した形態で不活性な材料が提供され、
b) 液相での農業的な処理のために選択される活性種が提供され、
c) 水相での親水性ポリマーが提供され:
d) 見かけ上の表面積よりも大きい内部の進展した表面積を具備している分離した形態の固形の不活性な材料によって、液相に活性種を浸透し、活性種を含んでいる固形で分離した中間材料がえられ、
e) この固形で分離した形態の中間材料が、親水性ポリマーと水相でコートされて小球が得られる、
f) 水が前記小球から除去されて、前記処理剤を構成している粉末が得られる、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、特に、流動エアベッドにおいて又はネブライザー乾燥による「乾燥エマルジョン剤」技術により水が除去されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、含浸条件は、固形で分離した形態での不活性材料に、液相中に活性種の初期質量の20%および200%の間、好ましくは30%および50%の間、および、例えば、約 43%に等しい液相中で多量の活性種で充填するために事前に規定されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、工程(e) および (f)は、同時に、中間材料を流動することによって及び水相での親水性ポリマーを全体を空気の流れのなかで噴霧することによって実施されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、前記の水相のポリマーは、前記水相の少なくとも 1% および好ましくは5%〜10%重量であることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項19〜23の何れか一項に記載の方法であって、
粉末が提供され、
水相で崩壊性の疎水性ポリマーが提供される:
g) 前記粉末が、疎水性ポリマーと水相でコートされて小球が得られ、
h) 水が前記小球から除去されて、前記処理剤が得られる、
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、水相における疎水性ポリマーは、水中のラテックスまたはマイクロ懸濁液またはナノ懸濁液であることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、工程(g) および (h)は、同時に、前記粉末を流動すること及び水相での疎水性ポリマーを全体を空気の流れのなかで噴霧することによって実施されることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項19〜26の何れか一項に記載の方法であって、水の除去の工程の後に、処理剤の球状化の工程を具備することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項19〜27の何れか一項に記載の方法で得られる農業的な処理剤。
【請求項29】
植物種(特に、植物品種)の生殖または増殖のための植物材料(例えば、種子)であって、別々の成分が請求項1〜18および28の何れか一項に記載の処理剤を導入している崩壊材料のマトリックスでコートまたはフィルム処理されることを特徴とする別々の成分を含んでいる植物材料。
【請求項30】
請求項29に記載の材料であって、種、特に、菜園、花または大規模農業の品種の種子、又は木または低木の種子からなることを特徴とする材料。
【請求項31】
植物種(特に、植物品種)の生殖または増殖のための植物材料(例えば、種子)を湿性基質(例えば、土壌)に提供する農業的な処理の方法であって、請求項1〜18および28の何れか一項に記載の農業的な処理剤は、前記農業的な処理のための活性種が発生している植物種の発根の領域又は冠の領域に放出されるように同じ基質に提供されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、農業的な処理剤が、生殖または増殖のための植物材料と固形で分離した形態で混合され、このように固形で分離した形態で得られた混合物が湿性基質に配置されることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、湿性基質に配置される前に、農業的な処理剤は、統合的に固形で分離した形態で生殖または増殖のための植物材料と組み合わされることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−528832(P2009−528832A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557784(P2008−557784)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000517
【国際公開番号】WO2007/101917
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508270794)
【氏名又は名称原語表記】CLAUSE
【住所又は居所原語表記】rue Louis Saillant − Zone Industrielle, 26800 PORTES−LES−VALENCE, FRANCE
【Fターム(参考)】