特に虫歯、歯肉炎又は咽喉炎のような状態の予防及び治療において使用することができるクランベリー(ツルコケモモ)搾りかすの抽出物を得る方法
【課題】本発明は、プロアントシアニジン、特にA型のプロアントシアニジンの高い濃度によって、特に歯の治療及び予防、並びに口腔衛生の分野、またヒト及び動物の口腔咽頭のウイルス又は細菌感染の予防の分野に利用することができる多くの治療品質及び特性を有する、多様なガレノス形態又は他で提供される生成物を得ることを目的とした、ツルコケモモ(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)の搾りかすから調製される抽出物を得る方法に関する。
【解決手段】この抽出物及びその使用にも関する。
【解決手段】この抽出物及びその使用にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歯の治療及び予防、並びに口腔衛生の分野、また口腔咽頭のウイルス又は細菌感染の予防の分野に利用することができる多くの治療品質及び特性を有する、多様なガレノス又は他の形態で提供される生成物を得ることを目的とした、クランベリー(ツルコケモモ)(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)の搾りかすから調製される抽出物を得る方法に関する。この抽出物及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
クランベリー(ツルコケモモ)の治療品質は長い間知られてきた。最初は、果汁における有機酸の存在に起因する強い酸性のために、誤って、主に軽度の尿路感染症の予防及び治療に使用された。現在は、その治療品質は、むしろ漿果の果汁及び果皮におけるポリフェノール、より詳細には、AFSSA〔フランス食品安全局〕によると「尿路の壁への幾つかの大腸菌型病原性細菌の接着の低減を助ける」特性(したがって、抗接着効果)を有する、特にA型(Howell et al. 2005)のプロアントシアニジンに起因することが知られている。
【0003】
この種類の調製物は、幾つかの場合において欠点を有する可能性があるので、現在まで用途が見出されることはほとんどなく、したがって、苦味と酸味の両方が同時にあり(pH2〜3)、かなり甘味を付けなければならないツルコケモモの果汁は、エナメル質の侵食及び虫歯の発生に寄与する可能性があるので、歯科予防又は治療にそのまま使用することができない。
【0004】
本発明によると、多くの用途に使用可能でありうる基礎生成物を得る方法は、従来技術において存在していない。
【0005】
特許文献1及び2は、頬側壁への病原性細菌の接着に対抗する調製物に関し、ヴァシニアム属もツルコケモモも抽出物の記載のために記述されていない。
【0006】
特許文献3は、ポリフェノールが豊富であり、単糖を有さず、抗接着効果を有する、ツルコケモモから作製した調製物に関するが、抽出方法及び得られる原材料は本発明とかなり異なる。
【0007】
特許文献4は、細菌に対して抗接着作用を有する、チューイングガムスティックの製造に使用されるツルコケモモに基づいた調製物を記載する。この場合、使用される原材料は、搾りかすではなく、透析による精製に付される濃縮ツルコケモモ果汁である。本出願では、原材料はツルコケモモ搾りかすの完全に脱水された抽出物であり、透析技術はその調製に使用されない。
【0008】
特許文献5は、消化系障害を治療するためにヴァシニアムに基づいた調製物を使用する。ヴァシニアム・マクロカーポン種及びヴァシニアム・オクシコッカス種は使用されず、ヴァシニアム・ミルチラス、ヴァシニアム・ヴァイティス・イデア、サンブカス・ニグラ及びヴィティス・ビニフェラのみが引用されており、これらのうちプロアントシアニジンのA型を有するものはなく、B型のみである。使用されているツルコケモモ絞りかすは、果汁がなく、乾燥されて、調製物の中にそのまま含まれており、本発明では、この絞りかすから調製された抽出物が考慮される。
【0009】
特許文献6は、植物の果実、葉、根又は茎から調製した、プロアントシアニジンが豊富なツルコケモモ抽出物に関する。請求されている生理学的作用様式は、消化管及び尿路の細胞への大腸菌の接着の抑制のみを記述するが、本発明は、大腸菌に特異的ではない作用に関する。関与する細菌は、とりわけ虫歯、歯肉炎、歯周炎の原因であるストレプトコッカス・ミュータンス、ポルフィロモナス・ジンジバリス及びフソバクテリウム・ヌクレアタムであり、幾つかのウイルスも関与している(Lipson et al 2007)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5002759号明細書
【特許文献2】米国特許第5362480号明細書
【特許文献3】米国特許第5474774号明細書
【特許文献4】米国特許第0048611A1号公報
【特許文献5】米国特許第4857327A1号公報
【特許文献6】WO99/12541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの特許のうちで殺菌又は静菌作用を請求するものはない。
本発明の目的は、抗菌性、抗ウイルス性、抗酸化剤特性及び抗接着特性を有し、同時に、異なるガレノス又は他の形態で存在し、歯及び口腔咽頭の疾患の予防的又は治療的処置として使用される、特にA型のプロアントシアニジンを含む抽出物を容易に得るための、ツルコケモモ搾りかすを使用する新たな道筋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの実施態様において、生成方法は、従来の技術状態では使用されていない技術を使用し、それはツルコケモモ搾りかす抽出物を粉末形態で得ることを可能にし、その組成物は以前には知られておらず、通常得られるものよりも活性物質が豊富である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るツルコケモモ搾りかすを用いた場合の抗菌試験結果を表で示す図である。
【図2】Exocyan cran 1を生成物濃度2mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図3】Exocyan cran 1を生成物濃度5mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図4】Exocyan cran 1を生成物濃度10mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図5】Exocyan cran 2を生成物濃度5mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図6】Exocyan cran 2を生成物濃度10mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図7】Exocyan cran 10を生成物濃度2mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図8】Exocyan cran 10を生成物濃度5mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図9】Exocyan cran 10を生成物濃度10mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図10】2種類の濃度のツルコケモモ搾りかすの抗接着効果を示す写真及び説明図である。
【図11】2種類の濃度のツルコケモモ搾りかすの抗接着効果を示す写真及び説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[ツルコケモモ搾りかすからプロアントシアニジンを得る]
本発明によると、ツルコケモモからプロアントシアニジンを全て抽出する提案される技術は、幾つかの工程を含む。第1工程は、ヴァシニアム・マクロカーポン及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス漿果を圧搾してツルコケモモ搾りかすを得ることから構成され、このことは果汁に存在する大部分の炭水化物及び有機酸の除去を可能にし、したがって得られた調製物は、3.5〜4.5と異なるpHを有し、より良好に許容される。
【0015】
使用されるツルコケモモ搾りかすは、30%の平均固形分を有し、この比率は圧搾操作の際に適用された圧力に応じて25〜35%に変わりうる。分離漿果の形態となり、種はプロアントシアニジンを含有するので保存することができる。輸送及び保存が容易なように、この搾りかすは凍結される。
【0016】
第2工程では、プロアントシアニジンは、水溶液又は水アルコール溶液を使用して抽出される。吸着樹脂カラムの抽出経路は、より良好にプロアントシアニジンを単離することができ、したがって抽出収率を増加することができる。
【0017】
第1の場合:抽出は、周囲温度の水溶液を使用して又は予め50〜70℃に加熱しが水において実施される。最初に搾りかすを粉砕して固液交換表面、したがって抽出収率を増加し、使用される機器及び2mm未満の粒径によって10〜20%増加する。
【0018】
抽出自体は、水に対して約5〜20%の搾りかす濃度で実施することができ、理想的な割合は10%である。
【0019】
熱を用いて、水中で60℃により処理する場合、撹拌機構を備えたタンクに10%の割合で導入される搾りかすは、使用される羽根の種類に応じて200〜500rpmの一定撹拌速度に付される。抽出を2〜8時間続けることができるが、5時間の持続時間が、抽出物における活性物質の総濃度を損なう水溶性繊維の割合を増加しないので、最も適していることが経験によって示されている。5時間の終了時、懸濁液は、最終的に粗濾過及び2500〜6500rpmの速度範囲で稼働している水平流沈降タンクによる固液分離を受け、使用する機器により、最適な結果は3500rpmで得られた。このプロトコールは水の温度が何度であっても当てはまる。
【0020】
次に懸濁液の清澄化を、4000〜8000rpmの速度で実施した遠心分離により続ける。次の段階では、このようにして得られた液体抽出物を、活性物質が分解しないようにオーブンにおいて60℃未満の温度で真空乾燥すること又は凍結乾燥すること又は粉末状固相を得るために霧化する若しくは噴霧化もすることのいずれかにより乾燥に付す。吸着樹脂に通した後に遠心分離が続くと、最終生成物においてより高い割合の活性物質が得られる。
【0021】
本発明によると、そして使用される方法がどのようなものであっても、抽出収率は初期乾燥原材料の量に対して10%を超える。
【0022】
最終生成物における乾燥物の率は、90%を超え、通常94〜97%である。プロアントシアニジン用量は、バニリン酸法又はBath Smith法により達成することができ、両方とも良く知られている。
【0023】
粉砕した後、得られた微細均質粉末は、淡紅紫色である。
【0024】
第2の場合:この場合では、プロアントシアニジンは、エタノールの率が20〜80%に異なる水アルコール溶液を使用して、周囲温度で抽出される。最適条件は、70%のエタノールで得られる。選択される操作条件は、前の場合とほぼ同一であり、ツルコケモモ搾りかすは10%の割合で媒質に導入される。また、懸濁液の3〜5時間の撹拌時間が最も適しており、次にこの懸濁液を上記と同じ条件下でデカンテーションに付す。この段階で、生成物の品質の改善は、遠心分離、次に吸着樹脂に通すことにより得ることができる。このことは、より高い割合の活性物質を得ることを可能にするが、この場合アルコールは、「抽出物」を吸着樹脂に通す前に、完全に除去されなければならない。同様に、乾燥は、真空オーブンにより55℃を超えない温度で実施されるか又は凍結乾燥により実施される。粉末状固相の達成を可能にするこれらの方法の変形も、懸濁液を霧化に付すことから構成される。
【0025】
抽出収率も、初期乾燥物の約10%が乾燥粉末である。
【0026】
最終生成物における乾燥物の率は、90%を超え、通常94〜97%である。
【0027】
プロアントシアニジン用量も、バニリン酸法又はBath Smith法により達成される。
【0028】
粉砕した後、微細均質粉末は、淡紅紫色である。
【0029】
[吸着樹脂を通すことによるプロアントシアニジン収率の改善]
原則:この操作は、正確に制御されたとき、抽出収率の増加を可能にする。これは、水により60℃で又は水アルコール溶液によりツルコケモモ搾りかすを涸渇させた後に得られた液体抽出物に含有されている他の望ましくない物質から、アントラシアニンとプロアントシアニジンを分離することから構成される。粗濾過、デカンテーション、次に遠心分離による清澄化を受けた後、含有されている場合、アルコールを除去した後に液体抽出物に含有されているポリフェノールを、樹脂に吸着させ、残部を排除する。次に単に溶出させて活性物質を回収する。
【0030】
使用される吸着カラムは、FPX66グラフト化二酸化ケイ素型吸着樹脂又は同等の特性を有する他の任意の樹脂が充填された、316L型ステンレススチール製である。樹脂を96%エタノール浴で最低24時間活性化する。次にアルコールが全て溶出するまで水ですすぐ。
【0031】
活性物質の分離:この目的のために調製されたカラムは吸着樹脂のBV容量(床容量)を含有する。液体ツルコケモモ抽出物のBV容量を、カラムの底から2BV/時間の速度で流れに反して装填する。樹脂が吸い取る水を上部から除去する。同様に、直接溶出した非固定画分を回収する。液体抽出物のBV容量が装填されると、水によるすすぎを今回はカラムの上部から2BV/時間の速度で実施する。樹脂に未吸着の化合物、特に非フェノール性物質及び糖を溶出するように設計されている。このすすぎを、溶出液の固形分が0.5%未満になるまで続け、これはおよそ水の3BV容量に相当する。
【0032】
次に樹脂に吸着したポリフェノールの回収を、カラムの上部に2BV/時間の速度で導入した75%エタノールにより実施する。ポリフェノール性化合物の回収は、溶出液から紫色が完全に消滅するまで続ける。
【0033】
樹脂に吸着したポリフェノールを全て溶出するのに一般に必要な容量は、およそ2BVである。この時点で、ポリフェノールの用量は、少なくとも初期乾燥物の量の20%のオーダーであるポリフェノールが、全て溶出されたことを確実にすることが望ましい。
【0034】
次に回収されたアルコール性溶出液を55℃未満の温度で部分真空により濃縮し、同時に、この水アルコール媒質への定期的な水添加は、ポリフェノールの劣化の危険性を防止する。最終段階では、プロアントシアニジンは、100%水性の媒質中にある。既に記述したように、次に生成物はオーブンによる部分真空下での乾燥又は好ましくは凍結乾燥による乾燥を受ける。霧化を受ける可能性もある。
【0035】
この段階で、紫黒色の微細粉末は少なくとも20%の総プロアントシアニジンを含有する。使用する抽出方法及びアッセイ方法に応じて、最終乾燥抽出物において得られる総プロアントシアニジン(PAC)の率、すなわち平均純度は以下である:
−バニリン酸法:
●水性抽出では、乾燥物の1〜10%PAC、
●アルコール抽出では、乾燥物の10〜20%PAC、
●樹脂通過後の抽出では、乾燥物の20%超のPAC。
−Bath Smith法:
●水性抽出では、乾燥物の5〜20%PAC、
●アルコール抽出では、乾燥物の10〜30%PAC、
●樹脂通過後の抽出では、乾燥物の40%超、さらには50%超のPAC。
【0036】
[用途]
多様なpHで(したがって唾液において)可溶性であり、抗菌性、抗酸化剤特性及び抗接着特性を有する、特にA型のプロアントシアニジンが豊富なので、ツルコケモモ搾りかすの抽出物を、主に、ヒト及び動物において歯又は口腔咽頭の疾患に対して戦うために異なる濃度及びガレノス又は多様な他の形態で予防的又は治癒的に使用することができる。
【0037】
最終生成物は微細粉砕、顆粒化又はカプセル化された、特に錠剤、口腔分散性錠剤、カプセル剤、アラビアゴム製錠剤の形態で提示されうる。調合剤に使用される大部分の賦形剤と適合することを考えると、この種類の調製物は、特に、問題なく、果実風味剤又は精油により風味付けすること、アスパルテーム、アセスルファム、ステビア・レバウディアナにより甘味付けすること、認可食品着色剤により着色することができる。同様に、ペクチン、ガム(キサンタン、アラビアゴム、ジェラン)、デキストリン、乳化剤、多糖類、グルコマンナン、ソルビトールのようなポリオール、キシリトール、マルチロール、ラクチロールのようなゲル化剤とも適合性があるので、例えば、ポリオール及びグリセリンを含有するチューイングガム錠剤に含めること、カルボキシビニル樹脂を含有するペースト又はゲルの形態の練り歯磨きに組み込むこと、グリセリン処理水に溶解して口内洗浄剤に組み込むこと、一般に、経口投与されて口腔及び口腔咽頭への放出及び溶解を可能にする任意の固体、液体又はペーストの形態であることができる。
【0038】
口腔細菌に対するこれらのプロアントシアニジンの効果は、濃度がそれぞれ2mg/l、5mg/l及び10mg/lの3種類のツルコケモモ抽出物により実施した抗菌試験及び接着試験により証明されており、本実験では、Exocyan cran 1、Exocyan cran 2及びExocyan cran 10と呼ばれ、これらの抽出物は、それぞれ1%、2%及び10%に滴定したプロアントシアニジン固形物から調製され、このことは、例えば1%の固形分で調製されたExocyan cran 1シリーズは、3種類の抽出物をそれぞれ2mg/l、5mg/l及び10mg/lの濃度で生じたことを意味する。
【0039】
抗菌試験:
ツルコケモモ抽出物の効果をインビトロで評価することができる。生成物は、病原菌の数が少なくとも1/10(ログ対対照)に減少する場合に静菌性を有すると考慮されるか又は細菌培養の完全な抑制の場合に殺菌性があると考慮される。
【0040】
抽出物が、唾液媒質を再現した対照媒質と比較してインビトロで活性であると考慮される場合、インビボでも同じ活性を有すると予測され、口腔、咽頭及び消化系へのプロアントシアニジンの分散をもたらす唾液は、活性物質を粘膜細胞と接触させ、生物膜の形成を抑制することができると予測される。
【0041】
結果:3つの抽出物は10mg/mlの濃度でストレプトコッカス・ミュータンスに対して静菌活性を有することが見出され、それは、これらがより高い濃度で殺菌活性を有すること(用量依存性効果)を示唆している。
【0042】
抽出物Exocyan cran 10のみが、10mg/mlの濃度でポルフィロモナス・ジンジバリスに対して静菌活性を有する。
【0043】
フソバクテリウム・ヌクレアタムは、10mg/mlの濃度の3つの抽出物に対して最も感受性のある細菌であり、Exocyan cran 1及びExocyan cran 10が殺菌活性を有し、一方、Exocyan cran 2が静菌活性を示す。
【0044】
ラクトバチルス・ラムノサスの増殖は、いずれの抽出物によっても影響を受けず、このことは濃度と無関係である。
【0045】
抗接着効果の確認:
細菌は、互いに接着して、虫歯、歯肉炎及び歯周病を引き起こす微生物が繁殖する生物膜を形成する能力を有する。
【0046】
生物膜の完全な又は部分的抑制が生じる場合に肯定的な結果が生じると考慮され(0〜3のスコア)、最低の抑制が最高のスコアを得る。
【0047】
3つの抽出物は、5mg/mlの濃度でストレプトコッカス・ミュータンスの生物膜に対して効果を有し、同じことが、10mg/mlの濃度のExocyan cran 1及びExocyan cran 10にも当てはまるが(スコア=1)、Exocyan cran 1は、他の抽出物よりも低い抑制活性(スコア=3)を示したことが観察された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歯の治療及び予防、並びに口腔衛生の分野、また口腔咽頭のウイルス又は細菌感染の予防の分野に利用することができる多くの治療品質及び特性を有する、多様なガレノス又は他の形態で提供される生成物を得ることを目的とした、クランベリー(ツルコケモモ)(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)の搾りかすから調製される抽出物を得る方法に関する。この抽出物及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
クランベリー(ツルコケモモ)の治療品質は長い間知られてきた。最初は、果汁における有機酸の存在に起因する強い酸性のために、誤って、主に軽度の尿路感染症の予防及び治療に使用された。現在は、その治療品質は、むしろ漿果の果汁及び果皮におけるポリフェノール、より詳細には、AFSSA〔フランス食品安全局〕によると「尿路の壁への幾つかの大腸菌型病原性細菌の接着の低減を助ける」特性(したがって、抗接着効果)を有する、特にA型(Howell et al. 2005)のプロアントシアニジンに起因することが知られている。
【0003】
この種類の調製物は、幾つかの場合において欠点を有する可能性があるので、現在まで用途が見出されることはほとんどなく、したがって、苦味と酸味の両方が同時にあり(pH2〜3)、かなり甘味を付けなければならないツルコケモモの果汁は、エナメル質の侵食及び虫歯の発生に寄与する可能性があるので、歯科予防又は治療にそのまま使用することができない。
【0004】
本発明によると、多くの用途に使用可能でありうる基礎生成物を得る方法は、従来技術において存在していない。
【0005】
特許文献1及び2は、頬側壁への病原性細菌の接着に対抗する調製物に関し、ヴァシニアム属もツルコケモモも抽出物の記載のために記述されていない。
【0006】
特許文献3は、ポリフェノールが豊富であり、単糖を有さず、抗接着効果を有する、ツルコケモモから作製した調製物に関するが、抽出方法及び得られる原材料は本発明とかなり異なる。
【0007】
特許文献4は、細菌に対して抗接着作用を有する、チューイングガムスティックの製造に使用されるツルコケモモに基づいた調製物を記載する。この場合、使用される原材料は、搾りかすではなく、透析による精製に付される濃縮ツルコケモモ果汁である。本出願では、原材料はツルコケモモ搾りかすの完全に脱水された抽出物であり、透析技術はその調製に使用されない。
【0008】
特許文献5は、消化系障害を治療するためにヴァシニアムに基づいた調製物を使用する。ヴァシニアム・マクロカーポン種及びヴァシニアム・オクシコッカス種は使用されず、ヴァシニアム・ミルチラス、ヴァシニアム・ヴァイティス・イデア、サンブカス・ニグラ及びヴィティス・ビニフェラのみが引用されており、これらのうちプロアントシアニジンのA型を有するものはなく、B型のみである。使用されているツルコケモモ絞りかすは、果汁がなく、乾燥されて、調製物の中にそのまま含まれており、本発明では、この絞りかすから調製された抽出物が考慮される。
【0009】
特許文献6は、植物の果実、葉、根又は茎から調製した、プロアントシアニジンが豊富なツルコケモモ抽出物に関する。請求されている生理学的作用様式は、消化管及び尿路の細胞への大腸菌の接着の抑制のみを記述するが、本発明は、大腸菌に特異的ではない作用に関する。関与する細菌は、とりわけ虫歯、歯肉炎、歯周炎の原因であるストレプトコッカス・ミュータンス、ポルフィロモナス・ジンジバリス及びフソバクテリウム・ヌクレアタムであり、幾つかのウイルスも関与している(Lipson et al 2007)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5002759号明細書
【特許文献2】米国特許第5362480号明細書
【特許文献3】米国特許第5474774号明細書
【特許文献4】米国特許第0048611A1号公報
【特許文献5】米国特許第4857327A1号公報
【特許文献6】WO99/12541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの特許のうちで殺菌又は静菌作用を請求するものはない。
本発明の目的は、抗菌性、抗ウイルス性、抗酸化剤特性及び抗接着特性を有し、同時に、異なるガレノス又は他の形態で存在し、歯及び口腔咽頭の疾患の予防的又は治療的処置として使用される、特にA型のプロアントシアニジンを含む抽出物を容易に得るための、ツルコケモモ搾りかすを使用する新たな道筋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの実施態様において、生成方法は、従来の技術状態では使用されていない技術を使用し、それはツルコケモモ搾りかす抽出物を粉末形態で得ることを可能にし、その組成物は以前には知られておらず、通常得られるものよりも活性物質が豊富である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るツルコケモモ搾りかすを用いた場合の抗菌試験結果を表で示す図である。
【図2】Exocyan cran 1を生成物濃度2mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図3】Exocyan cran 1を生成物濃度5mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図4】Exocyan cran 1を生成物濃度10mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図5】Exocyan cran 2を生成物濃度5mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図6】Exocyan cran 2を生成物濃度10mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図7】Exocyan cran 10を生成物濃度2mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図8】Exocyan cran 10を生成物濃度5mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図9】Exocyan cran 10を生成物濃度10mg/mlの条件でそれぞれの菌について比較した写真である。
【図10】2種類の濃度のツルコケモモ搾りかすの抗接着効果を示す写真及び説明図である。
【図11】2種類の濃度のツルコケモモ搾りかすの抗接着効果を示す写真及び説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[ツルコケモモ搾りかすからプロアントシアニジンを得る]
本発明によると、ツルコケモモからプロアントシアニジンを全て抽出する提案される技術は、幾つかの工程を含む。第1工程は、ヴァシニアム・マクロカーポン及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス漿果を圧搾してツルコケモモ搾りかすを得ることから構成され、このことは果汁に存在する大部分の炭水化物及び有機酸の除去を可能にし、したがって得られた調製物は、3.5〜4.5と異なるpHを有し、より良好に許容される。
【0015】
使用されるツルコケモモ搾りかすは、30%の平均固形分を有し、この比率は圧搾操作の際に適用された圧力に応じて25〜35%に変わりうる。分離漿果の形態となり、種はプロアントシアニジンを含有するので保存することができる。輸送及び保存が容易なように、この搾りかすは凍結される。
【0016】
第2工程では、プロアントシアニジンは、水溶液又は水アルコール溶液を使用して抽出される。吸着樹脂カラムの抽出経路は、より良好にプロアントシアニジンを単離することができ、したがって抽出収率を増加することができる。
【0017】
第1の場合:抽出は、周囲温度の水溶液を使用して又は予め50〜70℃に加熱しが水において実施される。最初に搾りかすを粉砕して固液交換表面、したがって抽出収率を増加し、使用される機器及び2mm未満の粒径によって10〜20%増加する。
【0018】
抽出自体は、水に対して約5〜20%の搾りかす濃度で実施することができ、理想的な割合は10%である。
【0019】
熱を用いて、水中で60℃により処理する場合、撹拌機構を備えたタンクに10%の割合で導入される搾りかすは、使用される羽根の種類に応じて200〜500rpmの一定撹拌速度に付される。抽出を2〜8時間続けることができるが、5時間の持続時間が、抽出物における活性物質の総濃度を損なう水溶性繊維の割合を増加しないので、最も適していることが経験によって示されている。5時間の終了時、懸濁液は、最終的に粗濾過及び2500〜6500rpmの速度範囲で稼働している水平流沈降タンクによる固液分離を受け、使用する機器により、最適な結果は3500rpmで得られた。このプロトコールは水の温度が何度であっても当てはまる。
【0020】
次に懸濁液の清澄化を、4000〜8000rpmの速度で実施した遠心分離により続ける。次の段階では、このようにして得られた液体抽出物を、活性物質が分解しないようにオーブンにおいて60℃未満の温度で真空乾燥すること又は凍結乾燥すること又は粉末状固相を得るために霧化する若しくは噴霧化もすることのいずれかにより乾燥に付す。吸着樹脂に通した後に遠心分離が続くと、最終生成物においてより高い割合の活性物質が得られる。
【0021】
本発明によると、そして使用される方法がどのようなものであっても、抽出収率は初期乾燥原材料の量に対して10%を超える。
【0022】
最終生成物における乾燥物の率は、90%を超え、通常94〜97%である。プロアントシアニジン用量は、バニリン酸法又はBath Smith法により達成することができ、両方とも良く知られている。
【0023】
粉砕した後、得られた微細均質粉末は、淡紅紫色である。
【0024】
第2の場合:この場合では、プロアントシアニジンは、エタノールの率が20〜80%に異なる水アルコール溶液を使用して、周囲温度で抽出される。最適条件は、70%のエタノールで得られる。選択される操作条件は、前の場合とほぼ同一であり、ツルコケモモ搾りかすは10%の割合で媒質に導入される。また、懸濁液の3〜5時間の撹拌時間が最も適しており、次にこの懸濁液を上記と同じ条件下でデカンテーションに付す。この段階で、生成物の品質の改善は、遠心分離、次に吸着樹脂に通すことにより得ることができる。このことは、より高い割合の活性物質を得ることを可能にするが、この場合アルコールは、「抽出物」を吸着樹脂に通す前に、完全に除去されなければならない。同様に、乾燥は、真空オーブンにより55℃を超えない温度で実施されるか又は凍結乾燥により実施される。粉末状固相の達成を可能にするこれらの方法の変形も、懸濁液を霧化に付すことから構成される。
【0025】
抽出収率も、初期乾燥物の約10%が乾燥粉末である。
【0026】
最終生成物における乾燥物の率は、90%を超え、通常94〜97%である。
【0027】
プロアントシアニジン用量も、バニリン酸法又はBath Smith法により達成される。
【0028】
粉砕した後、微細均質粉末は、淡紅紫色である。
【0029】
[吸着樹脂を通すことによるプロアントシアニジン収率の改善]
原則:この操作は、正確に制御されたとき、抽出収率の増加を可能にする。これは、水により60℃で又は水アルコール溶液によりツルコケモモ搾りかすを涸渇させた後に得られた液体抽出物に含有されている他の望ましくない物質から、アントラシアニンとプロアントシアニジンを分離することから構成される。粗濾過、デカンテーション、次に遠心分離による清澄化を受けた後、含有されている場合、アルコールを除去した後に液体抽出物に含有されているポリフェノールを、樹脂に吸着させ、残部を排除する。次に単に溶出させて活性物質を回収する。
【0030】
使用される吸着カラムは、FPX66グラフト化二酸化ケイ素型吸着樹脂又は同等の特性を有する他の任意の樹脂が充填された、316L型ステンレススチール製である。樹脂を96%エタノール浴で最低24時間活性化する。次にアルコールが全て溶出するまで水ですすぐ。
【0031】
活性物質の分離:この目的のために調製されたカラムは吸着樹脂のBV容量(床容量)を含有する。液体ツルコケモモ抽出物のBV容量を、カラムの底から2BV/時間の速度で流れに反して装填する。樹脂が吸い取る水を上部から除去する。同様に、直接溶出した非固定画分を回収する。液体抽出物のBV容量が装填されると、水によるすすぎを今回はカラムの上部から2BV/時間の速度で実施する。樹脂に未吸着の化合物、特に非フェノール性物質及び糖を溶出するように設計されている。このすすぎを、溶出液の固形分が0.5%未満になるまで続け、これはおよそ水の3BV容量に相当する。
【0032】
次に樹脂に吸着したポリフェノールの回収を、カラムの上部に2BV/時間の速度で導入した75%エタノールにより実施する。ポリフェノール性化合物の回収は、溶出液から紫色が完全に消滅するまで続ける。
【0033】
樹脂に吸着したポリフェノールを全て溶出するのに一般に必要な容量は、およそ2BVである。この時点で、ポリフェノールの用量は、少なくとも初期乾燥物の量の20%のオーダーであるポリフェノールが、全て溶出されたことを確実にすることが望ましい。
【0034】
次に回収されたアルコール性溶出液を55℃未満の温度で部分真空により濃縮し、同時に、この水アルコール媒質への定期的な水添加は、ポリフェノールの劣化の危険性を防止する。最終段階では、プロアントシアニジンは、100%水性の媒質中にある。既に記述したように、次に生成物はオーブンによる部分真空下での乾燥又は好ましくは凍結乾燥による乾燥を受ける。霧化を受ける可能性もある。
【0035】
この段階で、紫黒色の微細粉末は少なくとも20%の総プロアントシアニジンを含有する。使用する抽出方法及びアッセイ方法に応じて、最終乾燥抽出物において得られる総プロアントシアニジン(PAC)の率、すなわち平均純度は以下である:
−バニリン酸法:
●水性抽出では、乾燥物の1〜10%PAC、
●アルコール抽出では、乾燥物の10〜20%PAC、
●樹脂通過後の抽出では、乾燥物の20%超のPAC。
−Bath Smith法:
●水性抽出では、乾燥物の5〜20%PAC、
●アルコール抽出では、乾燥物の10〜30%PAC、
●樹脂通過後の抽出では、乾燥物の40%超、さらには50%超のPAC。
【0036】
[用途]
多様なpHで(したがって唾液において)可溶性であり、抗菌性、抗酸化剤特性及び抗接着特性を有する、特にA型のプロアントシアニジンが豊富なので、ツルコケモモ搾りかすの抽出物を、主に、ヒト及び動物において歯又は口腔咽頭の疾患に対して戦うために異なる濃度及びガレノス又は多様な他の形態で予防的又は治癒的に使用することができる。
【0037】
最終生成物は微細粉砕、顆粒化又はカプセル化された、特に錠剤、口腔分散性錠剤、カプセル剤、アラビアゴム製錠剤の形態で提示されうる。調合剤に使用される大部分の賦形剤と適合することを考えると、この種類の調製物は、特に、問題なく、果実風味剤又は精油により風味付けすること、アスパルテーム、アセスルファム、ステビア・レバウディアナにより甘味付けすること、認可食品着色剤により着色することができる。同様に、ペクチン、ガム(キサンタン、アラビアゴム、ジェラン)、デキストリン、乳化剤、多糖類、グルコマンナン、ソルビトールのようなポリオール、キシリトール、マルチロール、ラクチロールのようなゲル化剤とも適合性があるので、例えば、ポリオール及びグリセリンを含有するチューイングガム錠剤に含めること、カルボキシビニル樹脂を含有するペースト又はゲルの形態の練り歯磨きに組み込むこと、グリセリン処理水に溶解して口内洗浄剤に組み込むこと、一般に、経口投与されて口腔及び口腔咽頭への放出及び溶解を可能にする任意の固体、液体又はペーストの形態であることができる。
【0038】
口腔細菌に対するこれらのプロアントシアニジンの効果は、濃度がそれぞれ2mg/l、5mg/l及び10mg/lの3種類のツルコケモモ抽出物により実施した抗菌試験及び接着試験により証明されており、本実験では、Exocyan cran 1、Exocyan cran 2及びExocyan cran 10と呼ばれ、これらの抽出物は、それぞれ1%、2%及び10%に滴定したプロアントシアニジン固形物から調製され、このことは、例えば1%の固形分で調製されたExocyan cran 1シリーズは、3種類の抽出物をそれぞれ2mg/l、5mg/l及び10mg/lの濃度で生じたことを意味する。
【0039】
抗菌試験:
ツルコケモモ抽出物の効果をインビトロで評価することができる。生成物は、病原菌の数が少なくとも1/10(ログ対対照)に減少する場合に静菌性を有すると考慮されるか又は細菌培養の完全な抑制の場合に殺菌性があると考慮される。
【0040】
抽出物が、唾液媒質を再現した対照媒質と比較してインビトロで活性であると考慮される場合、インビボでも同じ活性を有すると予測され、口腔、咽頭及び消化系へのプロアントシアニジンの分散をもたらす唾液は、活性物質を粘膜細胞と接触させ、生物膜の形成を抑制することができると予測される。
【0041】
結果:3つの抽出物は10mg/mlの濃度でストレプトコッカス・ミュータンスに対して静菌活性を有することが見出され、それは、これらがより高い濃度で殺菌活性を有すること(用量依存性効果)を示唆している。
【0042】
抽出物Exocyan cran 10のみが、10mg/mlの濃度でポルフィロモナス・ジンジバリスに対して静菌活性を有する。
【0043】
フソバクテリウム・ヌクレアタムは、10mg/mlの濃度の3つの抽出物に対して最も感受性のある細菌であり、Exocyan cran 1及びExocyan cran 10が殺菌活性を有し、一方、Exocyan cran 2が静菌活性を示す。
【0044】
ラクトバチルス・ラムノサスの増殖は、いずれの抽出物によっても影響を受けず、このことは濃度と無関係である。
【0045】
抗接着効果の確認:
細菌は、互いに接着して、虫歯、歯肉炎及び歯周病を引き起こす微生物が繁殖する生物膜を形成する能力を有する。
【0046】
生物膜の完全な又は部分的抑制が生じる場合に肯定的な結果が生じると考慮され(0〜3のスコア)、最低の抑制が最高のスコアを得る。
【0047】
3つの抽出物は、5mg/mlの濃度でストレプトコッカス・ミュータンスの生物膜に対して効果を有し、同じことが、10mg/mlの濃度のExocyan cran 1及びExocyan cran 10にも当てはまるが(スコア=1)、Exocyan cran 1は、他の抽出物よりも低い抑制活性(スコア=3)を示したことが観察された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツルコケモモの抽出物を得る方法であって、特に歯の治療及び予防、並びに口腔衛生の分野、またヒト及び動物の口腔咽頭のウイルス又は細菌感染の予防の分野に利用することができる抗菌性、抗ウイルス性及び抗接着特性を有し、変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含むツルコケモモ搾りかすの抽出物を、漿果を圧搾し、次にそのようにして得た搾りかすに含有されるプロアントシアニジンを高温若しくは周囲温度の水溶液又は周囲温度の水アルコール溶液を使用して抽出し、この操作の後に既知の固液分離技術を続け、次に吸着樹脂に通して、望ましくない物質からアントシアニンとプロアントシアニジンを分離し、この同じプロアントシアニジンを真空乾燥、凍結乾燥、霧化又は噴霧化により溶出液から乾燥粉末形態で回収することにより、ツルコケモモ漿果(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)から得る方法。
【請求項2】
変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含むツルコケモモ搾りかすの抽出物が、粉砕ツルコケモモ搾りかすからプロアントシアニジンを水性抽出し、次に周囲温度又は50〜70℃の温度(理想の温度は60℃)に加熱した水と5〜20%の割合(理想の割合は10%)で混合し、全体を200〜500rpmの一定速度で2〜8時間(理想の持続時間は5時間)連続して撹拌し、次にプロアントシアニジンを含有する水溶性物質を、粗濾過、2500〜6500rpmの回転速度(理想の速度は3500rpm)を有する水平流沈降タンクへの通過、遠心分離により不溶性物質から分離し、次に吸着樹脂に通して単離し、回収し、既知の適切な乾燥技術(真空乾燥、凍結乾燥、霧化又は噴霧化)により乾燥して粉末状固相を得ることによって得られることを特徴とする請求項1記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項3】
最終生成物における活性物質の率、したがってツルコケモモ搾りかすから抽出されるプロアントシアニジンの収率の増加が、遠心分離の後、吸着樹脂に通すことにより得られることを特徴とする請求項2記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項4】
変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含むツルコケモモ搾りかすの抽出物が、粉砕ツルコケモモ搾りかすからプロアントシアニジンを水アルコール抽出し、20〜80%のエタノール(70%が理想的な割合)を含有する水溶液と5〜20%の割合(理想的な割合は10%)で混合し、全体を200〜500rpmの一定速度により2〜8時間(持続時間の5時間が理想的)周囲温度で連続して撹拌し、次にプロアントシアニジンを含有する可溶性物質を、粗濾過、2500〜6500rpmの回転速度(3500rpmが理想的な回転速度)を有する水平流沈降タンクへの通過、遠心分離により不溶性物質から分離し、次に吸着樹脂に通して単離し、回収し、既知の適切な乾燥技術(真空乾燥、凍結乾燥、霧化又は噴霧化)により乾燥して粉末状固相を得ることによって得られることを特徴とする請求項1記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項5】
最終生成物における活性物質の率、したがってツルコケモモ搾りかすから抽出されるプロアントシアニジンの収率の増加が、遠心分離の後、吸着樹脂に通すことにより得られることを特徴とする請求項4記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項6】
水溶液を使用すること又は水アルコール溶液を使用することにより得られる抽出物の収率が、初期乾燥物の量に対して10%を超え、最終生成物における乾燥物の率が90%を超え、好ましくは94〜97%含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項1、2又は4記載のツルコケモモ搾りかすから得られ、変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに従い、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、抗菌性、抗ウイルス性及び抗接着特性を有する特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含み、ヒト及び動物において歯又は口腔咽頭の疾患の治療のために、医薬賦形剤に関連し、多様なガレノス又は他の形態により異なる濃度で予防的又は治癒的に使用することができることを特徴とするツルコケモモ抽出物。
【請求項8】
変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに従い、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含有し、前記プロアントシアニジンが請求項1及び請求項2又は4記載の方法によりツルコケモモ搾りかすから抽出され、ヒト及び動物において歯又は口腔咽頭の疾患の予防的又は治療的処置のために、経口投与されて口腔又は口腔咽頭への放出及び溶解を可能にする任意の固体、液体又はペースト形態により、異なる濃度及びの多様なガレノス又は他の形態で含まれることを特徴とするツルコケモモ抽出物を含有する調製物。
【請求項9】
ツルコケモモ漿果(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)を圧搾することにより得られ、抗菌性、抗ウイルス性及び抗接着特性を有し、変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含み、経口投与されて口腔及び口腔咽頭への放出及び溶解を可能にする任意の固体、液体若しくはペースト形態又はゲル形態により、ゲル化剤、ガム、デキストリン、乳化剤、多糖類、グルコマンナン、ポリオール、カルボキシビニル樹脂のような医薬賦形剤と関連して異なる濃度で含まれうるツルコケモモ搾りかすの抽出物が、ヒト及び動物において錠剤、チューイングガムスティック、練り歯磨き、口内洗浄剤のような多様なガレノス又は他の形態で歯及び口腔咽頭の疾患の予防的又は治療的処置に使用されることを特徴とするツルコケモモ抽出物の使用。
【請求項1】
ツルコケモモの抽出物を得る方法であって、特に歯の治療及び予防、並びに口腔衛生の分野、またヒト及び動物の口腔咽頭のウイルス又は細菌感染の予防の分野に利用することができる抗菌性、抗ウイルス性及び抗接着特性を有し、変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含むツルコケモモ搾りかすの抽出物を、漿果を圧搾し、次にそのようにして得た搾りかすに含有されるプロアントシアニジンを高温若しくは周囲温度の水溶液又は周囲温度の水アルコール溶液を使用して抽出し、この操作の後に既知の固液分離技術を続け、次に吸着樹脂に通して、望ましくない物質からアントシアニンとプロアントシアニジンを分離し、この同じプロアントシアニジンを真空乾燥、凍結乾燥、霧化又は噴霧化により溶出液から乾燥粉末形態で回収することにより、ツルコケモモ漿果(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)から得る方法。
【請求項2】
変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含むツルコケモモ搾りかすの抽出物が、粉砕ツルコケモモ搾りかすからプロアントシアニジンを水性抽出し、次に周囲温度又は50〜70℃の温度(理想の温度は60℃)に加熱した水と5〜20%の割合(理想の割合は10%)で混合し、全体を200〜500rpmの一定速度で2〜8時間(理想の持続時間は5時間)連続して撹拌し、次にプロアントシアニジンを含有する水溶性物質を、粗濾過、2500〜6500rpmの回転速度(理想の速度は3500rpm)を有する水平流沈降タンクへの通過、遠心分離により不溶性物質から分離し、次に吸着樹脂に通して単離し、回収し、既知の適切な乾燥技術(真空乾燥、凍結乾燥、霧化又は噴霧化)により乾燥して粉末状固相を得ることによって得られることを特徴とする請求項1記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項3】
最終生成物における活性物質の率、したがってツルコケモモ搾りかすから抽出されるプロアントシアニジンの収率の増加が、遠心分離の後、吸着樹脂に通すことにより得られることを特徴とする請求項2記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項4】
変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含むツルコケモモ搾りかすの抽出物が、粉砕ツルコケモモ搾りかすからプロアントシアニジンを水アルコール抽出し、20〜80%のエタノール(70%が理想的な割合)を含有する水溶液と5〜20%の割合(理想的な割合は10%)で混合し、全体を200〜500rpmの一定速度により2〜8時間(持続時間の5時間が理想的)周囲温度で連続して撹拌し、次にプロアントシアニジンを含有する可溶性物質を、粗濾過、2500〜6500rpmの回転速度(3500rpmが理想的な回転速度)を有する水平流沈降タンクへの通過、遠心分離により不溶性物質から分離し、次に吸着樹脂に通して単離し、回収し、既知の適切な乾燥技術(真空乾燥、凍結乾燥、霧化又は噴霧化)により乾燥して粉末状固相を得ることによって得られることを特徴とする請求項1記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項5】
最終生成物における活性物質の率、したがってツルコケモモ搾りかすから抽出されるプロアントシアニジンの収率の増加が、遠心分離の後、吸着樹脂に通すことにより得られることを特徴とする請求項4記載のツルコケモモの抽出物を得る方法。
【請求項6】
水溶液を使用すること又は水アルコール溶液を使用することにより得られる抽出物の収率が、初期乾燥物の量に対して10%を超え、最終生成物における乾燥物の率が90%を超え、好ましくは94〜97%含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項1、2又は4記載のツルコケモモ搾りかすから得られ、変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに従い、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、抗菌性、抗ウイルス性及び抗接着特性を有する特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含み、ヒト及び動物において歯又は口腔咽頭の疾患の治療のために、医薬賦形剤に関連し、多様なガレノス又は他の形態により異なる濃度で予防的又は治癒的に使用することができることを特徴とするツルコケモモ抽出物。
【請求項8】
変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに従い、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含有し、前記プロアントシアニジンが請求項1及び請求項2又は4記載の方法によりツルコケモモ搾りかすから抽出され、ヒト及び動物において歯又は口腔咽頭の疾患の予防的又は治療的処置のために、経口投与されて口腔又は口腔咽頭への放出及び溶解を可能にする任意の固体、液体又はペースト形態により、異なる濃度及びの多様なガレノス又は他の形態で含まれることを特徴とするツルコケモモ抽出物を含有する調製物。
【請求項9】
ツルコケモモ漿果(ヴァシニアム・マクロカーポン属及び/又はヴァシニアム・オクシコッカス属)を圧搾することにより得られ、抗菌性、抗ウイルス性及び抗接着特性を有し、変数が、使用される抽出及びアッセイ方法、並びに精製に付されるかに応じて、バニリン酸法では1%〜20%超であり、Base Smith法では5%〜50%超である、特にA型のプロアントシアニジンを高い率で含み、経口投与されて口腔及び口腔咽頭への放出及び溶解を可能にする任意の固体、液体若しくはペースト形態又はゲル形態により、ゲル化剤、ガム、デキストリン、乳化剤、多糖類、グルコマンナン、ポリオール、カルボキシビニル樹脂のような医薬賦形剤と関連して異なる濃度で含まれうるツルコケモモ搾りかすの抽出物が、ヒト及び動物において錠剤、チューイングガムスティック、練り歯磨き、口内洗浄剤のような多様なガレノス又は他の形態で歯及び口腔咽頭の疾患の予防的又は治療的処置に使用されることを特徴とするツルコケモモ抽出物の使用。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】




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【図3】


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【図11】


【公表番号】特表2011−519844(P2011−519844A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506745(P2011−506745)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000523
【国際公開番号】WO2009/141524
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510290186)トルネ.バイオテクノロジーズ.エスアエス (1)
【氏名又は名称原語表記】TOURNAY BIOTECHNOLOGIES, SAS
【住所又は居所原語表記】ZAE Le Noyer Brule, F−24230 Lamothe Montravel FRANCE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000523
【国際公開番号】WO2009/141524
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510290186)トルネ.バイオテクノロジーズ.エスアエス (1)
【氏名又は名称原語表記】TOURNAY BIOTECHNOLOGIES, SAS
【住所又は居所原語表記】ZAE Le Noyer Brule, F−24230 Lamothe Montravel FRANCE
【Fターム(参考)】
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