説明

特に酸素に反応し易い製品を包装するための層構造材料

この発明は、層構造材料が少なくとも、(a) EVOHに基づいたガス隔絶層と;(b) 少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層と;(c) 少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層を隣接して連続的に含んでいて、接着剤層の合計層厚が少なくとも約10μmである層構造材料、ならびにその製造方法および適用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は層構造材料に係り、特に酸素に反応し易い製品を包装するための多層構造材料に関する。本発明に係る材料は、医薬品あるいはその他の製品のブリスタ包装材の製造に適している。本発明の別の側面は、この種の層構造材料の製造方法ならびにその適用方法に関するものである。
【0002】
酸素に対する隔絶および保護包装は従来市場において食品のためのもののみが知られている。従来の技術として記載されているものとしては酸素に反応し易い内容物を保護するために酸素吸収剤が配合された単層あるいは多層フィルムがあり、例えば米国特許第5350622号明細書、欧州特許第0888719号明細書、国際公開第95/11801号パンフレットならびに国際公開第02/44034号パンフレットが挙げられる。この酸素吸収剤は、多層のうちの1つの層内に配合するかあるいは多層のうちの独立した1つの層として形成することができる。前述した多層フィルムは主に食品業界において知られているものであり、鉄をベースにした酸素吸収剤を含んでいる。しかしながらこれは湿度が有る場合に初めて反応するものであり、しばしば変色し、酸素の吸収が遅速であり、また特に相対湿度が低い場合に低い吸収容量となる。さらに問題点は、既知の包装材の特に酸素に対しての隔絶特性が高反応性の医薬製品に対しては殆ど不充分なことである。さらに、既知の包装材はしばしば製造が高コストであるとともに、深絞り等の加工特性、個別層間の充分な吸着性、多層構造の透明性、あるいは酸素吸収剤の活性化容易性においても不充分である。
【0003】
多層フィルムは共有押出成形および/または積層法によって製造することができる。原則的に、高反応性の物品のための多層包装フィルムおよび包装材料は、定着剤層または積層接着層を介して表面層に結合することができる薄いガス隔絶層によって形成される。米国特許第6589384号B2明細書および米国特許第6462163号B2明細書は、特定の無溶剤ポリウレタン接着層に関するものであり、ここで記載されている塗付量は5μmを大幅に下回るものである。
【0004】
従って、本発明の目的は、従来の技術における問題点を克服し、極めて良好な隔絶特性を備えると同時に簡便かつ迅速に製造可能であり、特に効果的にブリスタ包装材加工することができる層構造材料を提供することである。本発明の別の目的は良好な酸素吸収特性を備える層構造材料を提供することである。
【0005】
前記の課題は、請求項1に記載された層構造材料によって解決される。従属請求項には好適な追加構成が示されている。
【0006】
本発明の枠内において意外なことに、層構造材料が少なくとも:
(a) EVOHに基づいたガス隔絶層と;
(b) 少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層と;
(c) 少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層;
を隣接して連続的に含んでいれば、卓越した隔絶特性、特に低い透湿性および酸素透過性ならびに能動的な酸素吸収性を備えた極めて好適な層構造材料が得られることが判明した。
【0007】
前記の層順列によって特に酸素に対するガス隔絶性が驚くほど改善されるが、二酸化炭素等のその他のガスまたは湿分に対する隔絶性も改善される。ここで、EVOHを含んだあるいは基本にしたガス隔絶層と少なくとも1つのポリマー性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層との間に無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層を配置することが重要である。ここで、本発明がその真偽によって限定されるものではないが、前記の層順列において層間の接続面上または層自体の内部に個別の層のものとは異なった材料特性が得られそれが隔絶特性を驚くほど高めるよう複合作用することが推定される。このことは、例えば国際特許公開第02/44034号A2パンフレットにおいてEVOH酸素隔絶層とエチレン性不飽和重合酸素吸収剤を含んだ酸素吸収層との直接結合が記載されているためさらに驚くべきである。
【0008】
意外なことに、前記接着剤層として上記において定義した材料とは異なった材料を使用した場合に層構造材料の隔絶特性における前記の各層の複合作用があまり効果的に達成されないことも判明した。
【0009】
従って本発明によれば、ガス隔絶層と酸素吸収剤層との間の接着剤層として無水改質されたポリマーの形式の定着剤に基づいた層が形成される。従って意外なことに、定着剤を特に無水改質されたポリエチレンあるいはポリプロピレン等の無水改質されたポリオレフィンから選択した場合に特に酸素および二酸化炭素等その他のガス状の物質に対して極めて良好な隔絶特性が得られることが判明した。この種の無水改質されたポリマーあるいはポリオレフィンは当業者において広く知られている。定着剤の例は、それらに限定はしないが、実施例において挙げられている。本発明に係る層構造材料にそれらの定着剤を使用することによって極めて良好な隔絶特性と接着強度が得られる。
【0010】
本明細書中において“〜に基づいた”という表現は、“〜から形成された”、“主に〜から形成された”、あるいは“〜を含んだ”のいずれの意味をも含み得るものとする。好適には、該当する層がそこで挙げられている成分を50%超、特に好適には少なくとも75%、さらに好適には少なくとも90%含有する。
【0011】
本発明の好適な構成形態によれば、接着剤層(定着剤層)は主に(すなわち50重量%超)少なくとも1つの定着剤から形成される。より好適には75重量%、特に好適には90重量%の割合とされる。すなわち、接着剤層中の定着剤(無水改質されたポリマー)含有率が高くなるほど隔絶特性が向上することが観察された。接着剤層が95重量%超、特に99重量%超前記の定着剤から形成された場合に極めて良好な効果が得られる。従って、本発明の極めて好適な構成形態によれば、定着剤層が実質的にあるいは専ら1つあるいは複数の無水改質されたポリマーからなる定着剤から形成される。
【0012】
接着剤層の片面に隣接したガス隔絶層は本発明に従ってEVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)を含む(あるいはそれに基づく)ものとなる。ここでガス隔絶層としてはガス隔絶層とは、特に酸素および二酸化炭素等のガス状の物質に対して顕著な隔絶作用を示す層であると理解される。この層は、当業者において知られている隔絶システムに従った100μmの厚みのフィルムにおいて10cm/m未満の透過性のものとされる。ここでも、特に隣接する定着剤層および酸素吸収剤層との関連においてEVOHの含有率が増加すると隔絶特性が向上することが判明した。本発明の好適な構成形態において、ガス隔絶層は主に(すなわち50重量%超)EVOHから形成される。より好適には75重量%、特に好適には90重量%の割合とされる。ガス隔絶層が95重量%超、特に99重量%超EVOHから形成された場合に極めて良好な効果が得られる。従って、本発明の極めて好適な構成形態によれば、定着剤層が実質的にあるいは専らEVOHから形成される。
【0013】
しかしながら本発明の別の好適な構成形態によれば、EVOHに加えてさらにポリアミドをガス隔絶層内に含有させることができる。特にEVOHからなる層の片面あるいは両面上にポリアミドからなる独立した層を設けることができる。この方式によって純粋にEVOHから形成されたガス隔絶層に比べて低コストであるが多くの場合において実質的に同等な効果を示すフィルム/層が製造され得ることが判明した。従って本発明の一構成形態によれば、接着剤層とは反対側の面上に隣接したポリアミドの層を有するEVOH層がガス隔絶層として設けられる。
【0014】
他方の面上(通常後に被包装品側となる面)で接着剤層に隣接している酸素吸収剤層は、本発明に従って少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいている。すなわち、非重合酸素吸収剤においては同等な効果が得られないことが判明した。ここで“重合”としては、単独重合、共重合および三元共重合化合物、ならびに高位の重合化合物を理解することができる。また“重合”という表現から、“モノマー状”または“ポリマーとして存在していない”ものを理解することができる。本発明がその真偽に限定されるものではないが、重合性酸素吸収剤が隣接する少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層との間で好適な相互作用を可能にすることが推測される。また粒子状の酸素吸収剤によれば、この隣接する接着剤層との間の好適な相互作用が妨害されることが明確である。従って好適には、酸素吸収剤層は粒子状の成分を含まないものとなる。
【0015】
ここにおいても、特に隣接する定着剤層およびガス隔絶層との関連において酸素吸収剤の含有率が増加すると隔絶特性が向上することが判明した。本発明の好適な構成形態において、酸素吸収剤層は主に(すなわち50重量%超)前記の酸素吸収剤から形成される。より好適には75重量%、特に好適には90重量%の割合とされる。酸素吸収剤層が95重量%超、特に99重量%超前記の酸素吸収剤から形成された場合に極めて良好な効果が得られる。従って、本発明の極めて好適な構成形態によれば、酸素吸収剤層が実質的にあるいは専ら前記の酸素吸収剤から形成される。追加的な選択肢として、酸素吸収剤を還元するために触媒、特に例えば国際公開第02/44034号パンフレットによって当業者において知られている遷移金属触媒、ならびに光重合開始剤、および必要に応じて抗酸化剤を含むこともできる。
【0016】
本発明においてエチレン性不飽和重合酸素吸収剤が特に好適である。好適な酸素吸収剤としては、例えば国際公開第99/15433号Aパンフレットに記載されているポリブタジエンオリゴマーあるいはポリブタジエンジオール等の低分子エチレン性不飽和化合物、国際公開第96/34070号パンフレットおよび国際公開第94/12590号パンフレットに記載されているキノン、光還元性色素およびカルボニル化合物、特にアントラキノン等の無触媒吸収剤、少なくとも1つの非飽和基および/または少なくとも1つの非飽和脂肪酸化合物を有する脂肪族炭化水素、ならびに欧州特許第0835685号明細書および欧州特許第0965381号明細書に記載されているポリジエンあるいはポリエチレンブチレンコポリマーからなるシステム、および国際公開第01/83318号パンフレットに記載されている酸化性ポリジエンあるいはポリエーテルが挙げられる。ここで引用した文献は本明細書において参照に組み込まれている。
【0017】
意外なことに国際公開第02/44034号パンフレットに記載された重合性酸素吸収剤あるいは“酸素浄化層”によって最良の結果が得られた。これに関しての国際公開第02/44034号パンフレットの記載は本明細書において参照に組み込まれている。従って簡単に述べると、好適な酸素吸収剤層は次の構造I:
【0018】
【化1】

からなるエチレン性主鎖およびシクロアルケニル基を有するポリマーを含み、ここでq,q,q,qおよびrは互いに依存せずに水素、メチルあるいはエチルから選択され;mは−(CH−(ここでnは0ないし4の整数)を示し、またrが水素を示す場合q,q,q,qのうちの少なくとも1つも水素を示す。酸素吸収剤はエチレン−ビニルシクロヘキセン共重合体(EVCH)とすることが好適である。酸素吸収剤ポリマーはエチレン性主鎖を環状オレフィン基と結合する結合基を含むことが好適である。この結合基は、
−O−(CHR)−;−(C=O)−O−(CHR)−;−NH−(CHR)−;−O−(C=O)−(CHR)−;−(C=O)−NH−(CHR)−;または−(C=O)−O−CHOH−CH−O−
の一群の中から選択される。
【0019】
好適には環状オレフィン基は上記の構造Iを有するシクロアルケニル基である。構造Iにおいてnが1となりq,q,q,qおよびrがいずれも水素であればさらに好適である。より好適には、酸素吸収剤ポリマーがシクロヘキセニルアクリル酸メチルホモポリマー(CHAA)、シクロヘキセニルアクリル酸メチルコポリマー、シクロヘキセニルメタクリル酸メチルホモポリマー(CHMA)、シクロヘキセニルメタクリル酸メチルコポリマーのいずれか、あるいは前記の成分のうちの複数のものの混合物からなる。最も好適には酸素吸収剤ポリマーはエチレン/アクリル酸メチル/シクロヘキセニルアクリル酸メチルコポリマー(EMCM)である。当業者において知られておりまた国際公開第02/44034号A2パンフレットに記載されているように、酸素吸収剤層は前述した触媒に加えて少なくとも1つの光重合開始剤および必要に応じて少なくとも1つの抗酸化剤を含むことができる。これに関しての国際公開第02/44034号パンフレットの記載も本明細書において参照に組み込まれている。
【0020】
本発明の枠内において前述した層順列との関連において、層構造材料内に含まれている接着剤層の合計層厚が少なくとも約10μmである場合に極めて良好なガスまたは湿分隔絶特性を有する層構造材料が得られることが判明した。これと同時に本発明に係る層構造材料においては、ブリスタ包装材等の多くの包装材を製造する際に使用される深絞り工程等に際して極めて良好な加工性が示された。
【0021】
本発明に係る層構造材料内には1つあるいは複数の定着剤層を含むことができる。複数の定着剤層を含む場合、定着剤層の合計の厚みが少なくとも約10μmとなることが好適である。
【0022】
本発明の好適な構成形態によれば、定着剤層の合計の厚みは少なくとも約15μm、特に少なくとも約20μmとなる。多くの場合、特に本発明に係る層構造材料を深絞り可能な多層フィルムとして使用する場合において、定着剤層の合計の厚みを約20ないし40μm、特に約20μmとすることが好適である。
【0023】
本発明の特に好適な構成形態において、少なくとも1つの定着剤層が少なくとも約5μm、好適には少なくとも約6μm、特に好適には少なくとも約8μmの厚みを有して存在する。幾つかの場合においては少なくとも1つの定着剤層が少なくとも約10μmの厚みを有し、それどころか特殊な場合においては少なくとも約15μmの厚みを有することが好適である。好適には、層構造材料全体はそれに含まれているその他の層の数に応じて1つないし3つの定着剤層を含んでいる。すなわち、本発明の好適な構成形態において、ガス隔絶層(a)と酸素吸収剤層(c)との間に配置された定着剤層(b)が少なくとも5μm、好適には少なくとも10μm、より好適には少なくとも15μm、さらに好適には少なくとも20μmの厚みを有していれば極めて高いガスおよび湿分隔絶特性が得られる。
【0024】
ガス隔絶層と酸素吸収剤層との間に配置された定着剤層に関して記述したように、一般的に定着剤層は主に(すなわち50重量%超)少なくとも1つの定着剤から形成することが好適である。その比率が75重量%超、特に好適には90重量%超である際に極めて良好な効果が得られる。すなわち定着剤層は主にあるいは専ら少なくとも1つの定着剤から形成することが好適である。
【0025】
しかしながら本発明の別の構成形態によれば、少なくとも1つの定着剤層、特にガス隔絶層と酸素吸収剤層との間には配置されていない定着剤層(存在する場合)が少なくとも1つの別の成分を有する定着剤の混合物を含むことも可能であり、ここで混合物中の定着剤の割合を約50重量%未満とすることもできる。通常は、混合物中の定着剤の比率が約10重量%となる。
【0026】
定着剤層内の別の成分は、例えばガスおよび湿分隔絶あるいは酸素吸収等の層構造材料内における別の機能を達成するように選択することができる(後述参照)。
【0027】
前述したように本発明の枠内において、定着剤を無水改質されたポリオレフィン、特に無水改質されたポリエチレンあるいはポリプロピレンから選択した場合に特に酸素または二酸化炭素等のその他のガス状物質に対して極めて良好な隔絶特性が得られることが判明した。この主の無水改質されたポリオレフィンは当業者において既知である。好適な定着剤の例は、それに限定されることはないが、実施例において挙げられている。本発明に係る層構造材料にそれらの定着剤を使用することによって極めて良好な加工性と接着強度が確認された。ガス隔絶層と酸素吸収剤層との間には配置されていない定着剤層が存在する場合、基本的にはそれに対して当業者において知られている別の定着剤を使用することもできる。しかしながら、それにおいても無水改質されたポリマーが好適である。
【0028】
従って共有押出成形に際して多様なポリマーと共に押出成形機内で溶融可能な定着剤が使用される。好適には本発明において使用される定着剤は熱可塑性に加工し得るポリマー、例えばイオノマー性コポリマー、塩化ビニルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、または無水グラフトされたポリマーとされる。例えば、クォンタムケミカル社製のプレクサシリーズ等の無水マレイン酸あるいはゴム改質されたポリマーが例として挙げられる。積層化に際しては2つあるいはそれ以上の層が積層化樹脂あるいは積層接着剤によって結合される。積層化樹脂は通常液体であり、“乾燥工程”に際して初めて重合化する。本発明において使用される積層接着剤は重合化可能なポリエステル、例えばデュポン社製のフェノール樹脂、または好適には無溶媒であって食品包装に適しているポリウレタン類とすることが好適である。
【0029】
上述において定義したガス隔絶層に加えて、本発明に係る層構造材料内に必要に応じて少なくとも1つの別のガス隔絶層を含めることが可能である。ここで一般的に、ガス隔絶層の成分は当業者において知られている任意の材料から選択することができる。ガス隔絶層は、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、PVC、PVDC、PVF、PVDF等のポリエチレンハロゲン化合物、ハロゲン含有コポリマー、シクロオレフィンポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート(PC)、EVOH、ポリエチレンナフタレン(PEN)、液晶ポリマーあるいはコポリマー(LCP)、または無機−有機ハイブリッドポリマーあるいはその混合物もしくはコポリマーに基づくものとすることが好適である。特に好適には、EVOHに基づくか、主にEVOHから形成されるか、あるいは専らEVOHから形成された少なくとも1つのガス隔絶層が存在する。
【0030】
本発明の好適な構成形態によれば、層構造材料内に存在する(1つあるいは複数の)ガス隔絶層が単独あるいは全体として100μm未満、好適には80μm未満、特に好適には50μm未満の層厚を有している。
【0031】
本発明の好適な構成形態によれば、ガス隔絶層の両側に隣接して定着剤層が設けられる。
【0032】
本発明の別の好適な構成形態によれば、層構造材料は好適には水蒸気遮断材として作用する少なくとも1つの被覆層を有している。ここで水蒸気遮断材とは、一般的に10g/m(ISO15106−3)未満の透水性を有する材料を示すものとする。好適には、この種の被覆層は充填ポリマーあるいは非充填ポリマーに基づくものであり、特にポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、PVC、PVDC、PVF、PVDF等のポリエチレンハロゲン化合物、ハロゲン含有コポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィンコポリマー、液晶ポリマー(LCP)、PAN、PEN、COCまたはそれらの混合物あるいはコポリマーの中から選択される。
【0033】
前述において定義した酸素吸収剤層に加えて、本発明に係る層構造材料内に必要に応じて少なくとも1つの別の酸素吸収剤層を含めることが可能である。ここで原則的に任意の酸素吸収剤を使用することができる。これに適応する材料は当業者において知られている。一般的な定義は、例えば1995年ブラッキーアカデミック&プロフェッショナル社発刊のM.L.ルーニー著“アクティブ食品包装”第4章に記載されている。
【0034】
国際公開第99/47596号パンフレットに記載されているように、サッシェまたはラベルに対しては一般的に特に鉄等の金属粉および吸湿性の塩から形成された酸素吸収剤が使用される。それに対して国際公開第97/22469号パンフレットには亜麻仁油、スクアレンまたはアスコルビン酸誘導体の使用が記載されている。最新の開発は、例えば欧州特許第888719号明細書に記載されているように、低分子エチレン性非飽和物質に基づいたものである。金属粉ならびにアスコルビン酸誘導体のいずれもが湿分の存在下において活性化されるものである。低分子エチレン性非飽和物質等の最新の開発技術は通常自律的に活性化するものであり、乾燥した包装材にも適用可能である。
【0035】
サッシェおよびラベルとともに酸素吸収剤を包装材内すなわち樹脂自体に内蔵させることがしきりに試みられている。ここで、適宜な樹脂内に混合された、あるいは多層構造中の1つの層として形成された酸素吸収剤が記述されている(米国特許第5529833号明細書および国際公開第97/22469号パンフレット)。適用例としては飲料容器の王冠コルクまたは酸素吸収性隔絶層を有するPETボトルが挙げられる。
【0036】
特に好適な重合性酸素吸収剤は、例えば国際公開第99/48963号パンフレット、国際公開第00/00538号パンフレット、国際公開第94/12590号パンフレット、国際公開第99/15433号パンフレット、国際公開第01/83318号パンフレット、および特に上記の国際公開第02/44034号パンフレットに記載されており、それらの関連する開示が本明細書において参照に組み込まれている。
【0037】
極めて好適な実施形態によれば、本発明に係る層構造材料内に形成された酸素吸収剤層内に自律活性化可能あるいはUV線、VIS光線、X線あるいはγ線の照射、水分あるいは湿分、または熱によって活性化することができるO吸収剤が使用される。
【0038】
低い相対湿度(20%未満の相対湿度)においても酸素を除去する、特にUV線照射によって開始(活性化)されるO吸収剤が極めて好適であり;これは特に湿度に敏感な医薬製品に対して好適である。
【0039】
本発明の枠内において意外なことに、前記の層構造材料の構成および成分によって従来の材料のものを上回る極めて効果的な湿分および酸素隔絶特性が提供され得ることが判明した。本発明に係る包装材料は、隔絶特性が“高い”(DIN(ドイツ工業規格)53380第3部(例1参照)によって測定して1.0cm/(m 日 バール))と評価されている従来のフィルム製品に比べてより高い隔絶特性を有している。極めて好適な本発明の構成形態によれば、例1に記載されるように0.1cm/(m 日 バール)未満の特定の酸素透過性が層構造材料において達成される。意外なことに本発明によってCO透過性も驚くほど低下することが判明した。すなわち極めて好適な本発明の構成形態によれば、例1に記載されるように測定(DIN53380第2部、温度23℃)してCO透過性が50cm/(m 日 バール)未満、好適には25cm/(m 日 バール)未満、より好適には10cm/(m 日 バール)未満、さらに好適には5cm/(m 日 バール)未満、極めて好適には2cm/(m 日 バール)未満となる。
【0040】
ここで、本発明に従った多層構造の包装材料の個別の成分は、特に医薬製品のブリスタ包装材等の製造において要望されるように、高い透明度および良好な深絞り成形性を有するフィルムを製造することができるように選択される。
【0041】
本発明の好適な構成形態によれば、層構造材料は:
(a) 好適には水蒸気遮断材として作用し(前述参照)、特にポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、PVC、PVDC、PVF、PVDF等のポリエチレンハロゲン化合物、ハロゲン含有コポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィンコポリマー、液晶ポリマー(LCP)、PAN、PEN、COCまたはそれらの混合物の中から選択され、好適にはポリオレフィン、特にポリエチレンである充填ポリマーあるいは非充填ポリマーから形成される被覆層(後の表皮面)と;
(b) 前述において定義したように、定着剤が好適には:イオノマー性コポリマー、塩化ビニルコポリマー、改質されたエチレン酢酸ビニル、重合化可能なポリエステル、フェノール樹脂、ポリスチレンコポリマー、あるいは無水改質されたポリマー、2成分からなる接着剤、単一成分あるいは2成分からなる積層化樹脂;PU類および/またはエポキシ樹脂;または前記の物質の混合物から選択され、好適には無水改質されたポリマー、無溶媒の単一成分樹脂あるいはイソシアン酸塩を含まない2成分接着剤、特に無水グラフトされたポリオレフィンおよびポリウレタン類である、接着剤層(定着剤層)と;
(c) 前述において定義したように、EVOHに基づいたガス遮断層(ガス隔絶層)と;
(d) 前述において定義したように、無水改質されたポリマーに基づいた第2の接着剤層と;
(e) 前述において定義したように、少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層を、
連続的に含んでいる。得られる多層構造包装材の特性が良好であるため、特に国際公開第02/44034号パンフレット、国際公開第99/48963号パンフレット、および国際公開第00/00538号パンフレットに記載された酸素吸収性材料が使用される。
【0042】
前述したように、本発明の好適な構成形態によれば、ガス隔絶層はエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)の他にポリアミドを含むことができる。それによる好適な特徴は、EVOHから形成された中核層が片側、あるいはより好適には両側からポリアミドに基づいた層によって被包されることである。
【0043】
本発明に係る層構造材料は透明あるいは半透明の多層フィルムであることが好適である。層構造材料の全体的な厚みは多くの場合少なくとも100μmとなる。
【0044】
従って本発明の枠内において意外なことに、定着剤層およびその厚みが、ガス遮断層(c)とこれに隣接する層(b)および(d)等の隣接する層間の接着に関して決定的な意味を有するのみでなく、層構造材料の隔絶特性および加工性に対しても驚くほど高い影響を及ぼすことが判明した。無水改質されたポリマー、無溶媒の単一成分樹脂あるいはイソシアン酸塩を含まない2成分接着剤、特に無水グラフトされたポリオレフィンが極めて好適である。意外なことに、本発明に係る層構成を使用すれば極少量のUV線によって酸素吸収剤を含んだ層構造材料を反応開始させることが容易に可能になる。
【0045】
さらに意外なことに、本発明に係る層構成内に内蔵された酸素吸収剤は少量のUV線によって容易に酸素吸収の活性化を行うことができる。理論的に到達可能な酸素吸収容量と比較しても本発明に係る包装材の容量は驚くほど高いものとなり(理論値の60ないし99%に相当)、特に相対湿度が低い(例えば約50%未満、特に約25%未満の相対湿度)場合に特に無水改質された定着剤を使用すると高い容量が得られる。また酸素吸収力も理論値に近いものとなり、これは多層システムにおいて期待し得ないものであった。
【0046】
前述したように、好適な実施形態において本発明に係る層構造材料は包装内部側(被包装物)に向かってさらに別の層(f)、特に例えば包装される製品と接触する被覆層(接触層)を備えることが好適である。この被覆層あるいは接触層はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、またはポリプロピレンから選択することが好適である。また比較的安価なBOPPフィルムも、その他の層と共に本発明に係る多層包装材に加工することができる。意外なことに本発明の好適な構成形態によれば、一般的な単一成分接着剤を使用することなく、高い酸素吸収を保持しながら極めて良好なPVCフィルムと重合性酸素吸収剤層との間の接着が示された。
【0047】
前述したように、本発明に係る層構造材料は、従来の多層材料において生じた層剥離または層境界面の剥離等の問題を伴うことなく、特に医薬製品用のブリスタフィルムまたはブリスタ包装材の形式で極めて良好に加工することができる。ここで、多層フィルムは一般的な深絞り装置によって極めて良好に深絞り成形することができる。顕微鏡断面観察によって示されるように、結合部が完全に保持される。深絞り成形されたフィルムは卓越した隔絶特性を保持しながら極めて良好な透明性および安定性を備えるものとなる。
【0048】
本発明に係る材料の各層の膜厚は要求性能に応じて任意に選択することができる。好適には製造後の個別(部分)層の厚みは約100μmとなる。この層厚によって一定の範囲で例えば酸素吸収剤の容量等の層の機能性を調節することができる。好適には、熱成形前において20ないし200μmの被覆層厚、特に定着剤を含めて30ないし150μmの(PE)層が形成される。好適には0ないし80μm、特に好適には5ないし70μmのガス隔絶厚に調節される。ガス隔絶材と酸素吸収剤との間の接着剤層(HV)は3ないし20μm、酸素吸収剤と被包装物側の接触層との間では0ないし20μm、特に5ないし15μmとなる。吸収剤層は5ないし100μm、好適には5ないし70μmとなり、被包装物側の接触層(被覆層)の厚みは0ないし100μm、特に10ないし80μmとなる。
【0049】
本発明の好適な構成形態によれば、包装材が以下に記す層順列のうちのいずれかを有する。
−選択肢1: PE/定着剤/EVOH/定着剤/吸収剤/PE
−選択肢2: PE/定着剤/EVOH/定着剤/吸収剤/定着剤/PVC
−選択肢3: PE/定着剤/EVOH/定着剤/吸収剤/定着剤/PP
【0050】
前記の各選択肢において、(酸素)吸収剤とPVC、PEあるいはPPからなる被覆層あるいは被覆フィルムとの間の定着剤の存在は任意のものである。好適には、本発明に係る方式において、特にPVCから形成された被覆層の場合に、定着剤層は使用されない。
【0051】
別の側面において、本発明はさらに複合フィルムの製造方法に関する。
【0052】
前述したように、繊細な製品の包装材を深絞り成形可能なフィルムによって製造するために、互いに粘着し難い複数の材料を複合システムに加工する必要がある。同種あるいは異種の樹脂からなる層を製造するために適した方法は当業者において知られており、上記の層の製造に適用することができる(ハンザー出版発行のザエヒトリング著“樹脂ハンドブック”第26版、第246頁以降参照)。一般的に共有押出成形または多層押出成形、ならびに積層化または塗布加工で相異するものとなる。例えば、5ないし7機の押出機を有する押出し成形装置、または乾燥機を備えた積層化装置を使用することができる。薄膜押出成形において吹き込みフィルム工法ならびに流延フィルム工法の両方が久しい以前から確立しており、基本的に略全ての熱可塑性樹脂に適用可能である(例えば、2003年のVDIデュッセルドルフ“樹脂技術”における“フィルム押出成形”(ISBN3−18−234251−7)の特に第69ないし74頁参照)。
【0053】
前記の多層押出成形または共有押出成形によって、単一の樹脂によっては達成不可能な特性を備えたフィルムが製造される。
【0054】
共有押出成形において複数の異なったポリマーが押出機内で溶融され、得られたポリマーストランドがアダプタ内で合成される。流延フィルム工法においては樹脂溶融材が幅広の射出ノズルおよびそれに接続したカレンダを介して複合フィルムに加工される。フィルムはノズルから射出された後単一軸状に指向している。これに対して、吹き込みフィルム工法においては樹脂溶融材は冷却送風リングを使用してフィルムブリスタに加工され、これは冷却後に部分的に固定され、巻き取り機によって重ね合わせて巻き上げられる。このフィルムは二軸状に指向することが好適であり、それによってフィルムの機械的特性に影響が与えられる。層間の接着が弱い場合は定着剤上の中間層によって持続的な結合を形成する必要がある。得られるフィルムの厚みは10ないし500μmの間で可変のものとなる。
【0055】
積層化に際しては2つの平板状の材料(フィルム)が全面的に接合される。結果として複合フィルム等の複合ワークピースが得られる。そのため結合する材料に分散あるいは積層化接着剤が塗布され、積層化工具内で結合される。接着性を高めるために適用方式に応じて結合する材料を前処理(例えばコロナ処理)する。接着剤を硬化させるために、複合体に乾燥処理あるいはUV硬化を施す。積層化されたフィルムの層厚は60ないし600μmとなる。
【0056】
化学的に異なった材料間で充分な接着性を達成し100μm未満の膜厚を達成することは容易ではない。このことは特に共有押出成形または積層化によって製造された多層フィルムをその後の工程において深絞り成形する必要がある場合に該当する。
【0057】
本発明に係る複合フィルムの製造に際して少なくとも1つのガス隔絶層が構造体内に内蔵される。この層の接着は定着剤、特に無水機能改質された定着剤ポリマーの使用によって達成される。
【0058】
複合フィルムの構造体は少なくとも1つの酸素吸収剤を有する少なくとも1つの酸素吸収剤層を含む。
【0059】
例えばPVC等の非相容性の被覆層あるいは接触層と非極性ポリオレフィン等の一般的なシーリング媒体を持続的に結合するために、今日の技術においては定着剤を用いなければならない。一般的にこの種の複合体は、第1の工程において定着剤を含んだ隣接する層を共有押出成形によって製造することによって、PVCを用いて製造することができる。PVC接触層は一般的に第2の工程において積層化接着剤あるいは積層化樹脂を用いた積層化によって複合体上に着合される。
【0060】
意外なことに、本発明に係る多層構造の好適な構成形態によれば、定着剤を使用せずにロール体から供給されるPVC層あるいはポリオレフィン層を(f)を1つの工程において押出成形被覆によって隣接する共有押出成形された層(e)と結合し得ることが判明した。共有押出成形の樹脂溶融材は押出機に後続している幅広なスリット状ノズルから射出され、これに対して供給される基板層と合流する。この合流はローラ間隙中で行われる。この工程においてカレンダおよび圧接ローラが加熱される。互いに逆方向に回転しているローラが溶融材を基板層に圧接してそれらを圧力によって相互に結合する。従って、互いに逆方向に回転しているローラは溶融材を基板層に圧接して例えば約4バールの圧力で多層システムに合成する。
【0061】
別の観点において本発明は、前述において説明あるいは定義された、層構造材料、深絞り成形可能なフィルム、またはブリスタ包装材の製造方法に係り:
(a) EVOHに基づいたガス隔絶層を形成し;
(b) 少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層を形成し;
(c) 少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層を形成し;
(d) 前記のガス隔絶層、接着剤層、および酸素吸収剤層を上下に相互結合あるいは着合する、
各ステップからなる。
【0062】
さらに、別の観点によれば本発明は、層(a)ないし(e)を有する多層フィルムが1回の供給押出成形工程のみによって製造される、前述において定義された層構造材料あるいは包装材の製造方法に関する。好適には、層(f)がポリオレフィンに基づいていれば、同一の工程において共有押出成形によって層(e)に隣接する層(f)が共有押出成形される。
【0063】
また意外なことに、層(f)がポリ塩化ビニル(PVC)に基づいている場合、これを層(a)ないし(e)の共有押出成形と同一の工程において押出被覆によって、すなわち定着剤を使用することなく塗工することができる。このことはポリオレフィン製のフィルムにも適用することができる。
【0064】
従って、本発明の好適な構成形態によれば、PVCを被包装物側への接触層として使用することによって安価な圧延PVCフィルムを共有押出成形(PE−HV−EVOH−HV−吸収剤)と押出被覆(PVC)の組み合わせによって1回の工程で塗工することができる。
【0065】
本発明のさらに別の好適な構成形態によれば、PEを被包装物側への接触層として使用することによって多層フィルム(=包装材)をPE−HV−ガス隔絶材−HV−吸収剤−PE層を複合フィルムに共有押出成形することによって製造することができる。特に多層構造体と同程度の加工性を有する同タイプの無水改質されたポリオレフィンをHVとして使用することによって、多層フィルムを共有押出成形によって1回の工程で製造することができる。しかしながら、追加供給されたPEフィルムの押出被覆を組み合わせて製造することも可能である。
【0066】
本発明のさらに別の好適な構成形態によれば、PPを被包装物側への接触層として使用することによって安価なBOPPフィルムを共有押出成形と押出被覆の組み合わせによって1回の工程で塗工することができる。
【0067】
後述する例において意外なことに、特に無水機能改質されたHVポリマーを使用することによって、一回の工程で特にPEあるいはPPおよびPVC等のポリオレフィンを高隔絶性材料と共に深絞り成形可能で酸素吸収性の高隔絶材料に合成し得ることが示された。多層構造包装材料を製造するために、例えば3機の単スクリュー押出機と給入されるPVCあるいはポリオレフィンフィルムとからなるダイヤモンド製のフラットフィルムプラント、または4機の単スクリュー押出機と給入されるPVCあるいはポリオレフィンフィルムとからなるドクターコリン有限会社社製のフラットフィルムプラント(5層共有押出成形ボックス、チル−ロールCR136/350)を使用することができる。
【0068】
完成した本発明に係る多層フィルムの酸素吸収測定結果によって、使用された吸収剤システムのUV活性化が被包装物への接触層を介して可能であることが示され、ここで活性化のために極少量の出力(0.5ないし1.5J/cm)のみが必要とされる。
【0069】
意外なことに、酸素吸収剤の活性化は多層複合体の両側から可能であることが判明した。
【0070】
本発明に係る包装材の著しい利点が後述する例によって明らかとなっている。
【0071】
すなわち、本発明に係るフィルム製品により周囲湿度と関係なく酸素に対する保護が達成される。加えて、好適には50%未満の相対湿度、特に25%未満の相対湿度からなる低い湿度において、空気中の酸素濃度から始めて2ないし7日内に測定隔室内の酸素濃度が2%未満になるよう酸素濃度を削減することが可能になった。包装品の貯蔵期間中の空気中酸素に対する隔絶性の尺度となる、照射前の酸素透過性は0.5ないし0.03cm/m 日 バールであり、高い酸素隔絶性を有するとされている従来の材料(1)に比べて良好なものとなる。
【0072】
酸素除去後にはガスクロマトグラフィの測定によって酸化物あるいは移動性分解産物が全く観察されなかった。製薬業界の美観的な性能要求に応じて、深絞り架工後にいわゆる“ポップ・エフェクト”を示す透明なフィルムが提供された。好適な定着剤のため、隔絶複合体を製造することが可能になる。PVC等のポリマーまたはPE/PP等のポリオレフィンからなる被包装物への接触層は押出被覆によって達成することができる。それによってFDA(食品および薬品管理)認可が大幅に簡略化される。
【0073】
本発明の別の側面は、本発明に係る層構造材料を含んだ材料からの深絞り成形可能なフィルムの製造に関する。層構造材料およびフィルムの両方が一般的に任意の大きさおよび形状を有することができる。適用分野に応じて任意の寸法で製造し使用することができる。多くの場合において本発明に係る層構造材料は長い軌道上で製造される。
【0074】
好適な構成形態によれば、深絞り成形可能なフィルムはシーリング材が塗布されたアルミ箔等の金属箔によってシーリングすることができる。
【0075】
本発明の別の側面は、特に深絞り成形された形状の、本発明に係る層構造材料と、必要に応じてそれによってシーリングされた金属箔を含んだブリスタ包装材に関する。
【0076】
本発明のさらに別の側面は、本発明に係る材料、フィルム、またはブリスタ包装材の適用方法に関する。1つの好適な適用方法は、1cm /m 日 バール未満、特に0.1cm /m 日 バール以下の酸素透過性を備えたガス隔絶層内への適用である。
【0077】
本発明の1つの重要な適用方法は、医薬品および非医薬品の包装である。好適な適用方法には、例えば容器内あるいは酸素に対して敏感な製品用の包装内の酸素濃度の低減、または固形、液状、あるいはガス状製品の包装が含まれる。製品としては、特に例えば錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末剤、または座薬等の固形状医薬品、または液状医薬品が挙げられる。包装材は、例えば複数の(医薬)製品包装ユニットを内包する外側包装材とすることもできる。包装材は、例えば袋体、ビン、トレイ、分包体、ブリスタ包装材、または容器とすることができる。
【0078】
しかしながら、包装される製品は、非医薬用化学製品、食品、特に電気電子部品等の工業用部品、化粧品、特に酵素または蛋白質等の非医薬用生物工学製品等とすることもできる。
【0079】

次にまず本発明に係る定着剤を使用した際の二酸化炭素および酸素に対する高い隔絶性を示す例を詳細に示す。層配列(外側から被包装物側へ)はいずれも見出し部分に簡単に示す。
【0080】
比較例1:(PE/HV/EVOH/吸収剤/PE)
3機の単スクリュー押出機(直径45/30/30mm、工程長32D/28D/28D、180℃)とダイヤモンド社製のカレンダからなるフラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、医薬品に使用可能な75μmPEフィルム(コロナ処理された)を2m/分の引き出し速度で、30μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と8μmの定着剤(三井社製のアドマーPE−タイプグレード)と100μmのPE(バセル社製のLDPE)の層によって押出被覆した。
【0081】
例1:(PE/HV/EVOH/HV/吸収剤/PE)
30mmの直径および25ないし30Dの加工長を有する2機の単スクリュー押出機と25mmの直径および25ないし30Dの加工長を有する2機の単スクリュー押出機とタイプ136のカレンダユニットを有する2ないし9層用フィードブロックシステムとからなるドクターコリン有限会社製の共有押出成形装置上で、医薬品に使用可能な20μmPEフィルム(バセル社製のLDPE)を180ないし210℃の温度下および5ないし6m/分の引き出し速度で、30μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と10μmの定着剤(三井社製のアドマーPRE−タイプグレード、あるいはデュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と10μmの定着剤(三井社製のアドマーPE−タイプグレード)と100μmのPE(バセル社製のLDPE)の層によって押出被覆した。デュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200を使用した際にも同等(表1参照)な結果が得られた。
【0082】
複合構成体のガス透過性(O)をDIN53380第3部に従ってMOCON(モダンコントロール社製)を使用して23℃で検査した。酸素透過性(OTR、cm/m 日 バール)の結果は表1にまとめた。COのガス透過性をDIN53380第2部に従ってマノメータ測定法によって23℃で検査した。比較例1のフラットフィルムシステム上で本発明の例1を繰り返した場合にも同様な結果が得られた。
【0083】
【表1】

【0084】
本発明の例1の複合フィルムの卓越した隔絶数値すなわち極めて低いガス透過性はさらに驚くべきものであり、それはPE/EVOH/吸収剤/PEあるいはPVCの隔絶値の理論計算値によってもガス透過性(O、CO)は0.2cm/m 日 バール以上と期待されるためである。期待される合計ガス透過性は使用される材料の個々のガス透過性と層厚の合計から推定することができる(2000年ウィリィ−VCH発行、O.−G.ピリンガーおよびA.L.バナー著“食品用プラスチック包装材料”)。加えて、当業者においては、複合体内の期待される隔絶特性は通常隔絶材料の層厚によって決定されることが知られている。CO透過性については、CO透過性がO透過性の約4倍の値に相当することが経験則として知られている。定着層をいずれも2μmの厚みとしたことを除いて例1の検査を繰り返すと、大幅に高いガス透過性(O、CO)が観察された。
【0085】
例2: (PE/HV/EVOH/HV/吸収剤/PVC)
ドクターコリン有限会社製の共有押出成形装置(例1参照)上で、医薬品に使用可能な50μmPVCフィルム(コロナ処理された)を180ないし210℃の温度下および5ないし6m/分の引き出し速度で、30μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と10μmの定着剤(三井社製のアドマーPRE−タイプグレード、あるいはデュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と10μmの定着剤(三井社製のアドマーPE−タイプグレード、あるいはデュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200)と100μmのPE(バセル社製のLDPE)の層によって押出被覆した。
【0086】
例3: (PE/HV/EVOH/HV/吸収剤/KK/PP)
ドクターコリン有限会社製の共有押出成形装置(例1参照)上で、医薬品に使用可能な50μmPVCフィルム(コロナ処理された)を180ないし210℃の温度下および5ないし6m/分の引き出し速度で、30μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と10μmの定着剤(デュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と10μmの定着剤(デュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200)と100μmのPE(バセル社製のLDPE)の層によって押出被覆した。第2の工程において50μmのPVCフィルムをフラウンホファーIVVの積層化装置上で除去し、共有押出成形フィルムを100μmのPPフィルムと積層化接着剤(ロームアンドハース社製のラマルタイプ)によって積層化した。積層化接着剤を硬化させるために、フィルムロールをアルミ箔内で巻き付け、窒素ガス中で溶封し、7日間23℃で貯蔵した。
【0087】
複合構成体の酸素透過性をDIN53380第3部に従ってMOCON(モダンコントロール社製)を使用して23℃で検査した。酸素透過性およびCO透過性の結果(cm/m 日 バール)は表2にまとめた。
【0088】
【表2】

【0089】
表2の結果により、本発明に係る材料の卓越したOおよびCO隔絶性が示された。試験結果(表記しない)により、本発明に係る共有押出成形方式によって積層化接着剤あるいは定着剤を使用しなくてもPVCフィルムと吸収剤フィルムの間の極めて良好な接着が達成されることが示され、それによって複合フィルム全体における極めて良好な接着ならびにガス隔絶性のさらなる向上がもたらされる。
【0090】
(低コストな)共有押出成形による本発明に係るフィルムの製造
以下に本発明に係るポリマーフィルム、特にPVC接触層を有するフィルムの製造例が示される。多層構造包装材を製造するために、3機の単スクリュー押出機と給入されるPVCあるいはポリオレフィンフィルムとからなるダイヤモンド製のフラットフィルムプラント(DE45/30/30/800)、または4機の単スクリュー押出機と給入されるPVCあるいはポリオレフィンフィルムとからなるドクターコリン有限会社社製のフラットフィルムプラント(5層共有押出成形ボックス、チル−ロールCR136/350)をした。多層複合材料(層構造材料)を単一工程で低コストに製造する、吹き込みフィルム装置も適している。そのため、3機の単スクリュー押出機と吹き込みヘッドとからなるドイツ国キーフェル株式会社製のチューブ状フィルム製造用吹き込みフィルム装置が使用された。
【0091】
比較例2: (PVC/O吸収剤/積層化接着剤/(KK)/PVC);PVC積層化の標準工法
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、医薬品に使用可能な150μmPVCフィルムを3m/分の引き出し速度で、100μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)の層によって押出被覆した。第2の工程においてフラウンホファーIVV研究所の積層化装置上で吸収剤面を20μmのPVCフィルムと積層化接着剤(層厚:8μm)(ロームアンドハース社製のラマルタイプ)によって積層化した。積層化接着剤を硬化させるために、フィルムロールをアルミ箔内で巻き付け、窒素ガス中でアルミニウム袋容器内に溶封し、7日間23℃で貯蔵した。PVCフィルムの表面エネルギーは38ダインとなり、吸収剤層の表面エネルギーは36ダインとなった。
【0092】
例4: (PE/HV/EVOH/HV/吸収剤/KK/PP)
ドクターコリン有限会社製の共有押出成形装置上で、医薬品に使用可能な50μmPVCフィルム(コロナ処理された)を180ないし210℃の温度下および5ないし6m/分の引き出し速度で、30μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と10μmの定着剤(三井社製のアドマーPE−タイプグレード)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と10μmの定着剤(三井社製のアドマーPE−タイプグレード)と100μmのPE(バセル社製のLDPE)の層によって押出被覆した。第2の工程において50μmのPVCフィルムをフラウンホファーIVVの積層化装置上で除去し、共有押出成形フィルムを50μmのコロナ処理されたPVCフィルムと積層化接着剤(ロームアンドハース社製のラマルタイプ)によって積層化した。積層化接着剤を硬化させるために、フィルムロールをアルミ箔内で巻き付け、窒素ガス中で樹脂袋容器内に溶封し、7日間5℃で貯蔵した。デュポン社製ビネル(登録商標)シリーズ4200を定着剤として使用した際にも同等な結果が得られた。
【0093】
例5: (PE/HV/EVOH/HV/吸収剤/PE)
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、先に共有押出成形によって製造されたPE/HV/EVOH−複合体を2m/分の引き出し速度で、10μmのPE定着剤(デュポン社製ビネルシリーズ)と20μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と30μmのPE(バセル社製のルポレン)の層によって押出被覆した。
【0094】
例6: (PE/HV/EVOH/HV/PE/吸収剤/PE)
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、100μmのPE(バセル社製のLDPE)と10μmのPE定着剤(デュポン社製ビネルシリーズ)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と10μmのPE定着剤(デュポン社製ビネルシリーズ)と20μmのPE(バセル社製のルポレン)と20μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と30μmのPE(バセル社製のルポレン)の層からなるフィルムを2m/分の引き出し速度で共有押出成形した。
【0095】
例9: (PE/HV/PA/EVOH/HV/吸収剤/PE)
キーフェル株式会社製(上記参照)の多層構造加工装置上で、50μmのPE(バセル社製のLDPE)と30μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と10μmの定着剤(アドマーPE−タイプグレード、デュポン社製ビネルシリーズ)と30μmのEVOH(三井社製のエヴァルF101B)と20μmのPA(医薬品用品質)と10μmの定着剤(アドマーPE−タイプグレード、デュポン社製ビネルシリーズ)と50μmのPE(バセル社製のルポレン)の層からなる医薬品に使用可能なブリスタフィルムを180ないし210℃の温度下で30m/分の引き出し速度で共有押出成形した。
【0096】
結合接着性試験の結果は下記の表3にまとめた。結合接着性試験のために試料を手動で分離した。測定は電気機械式多用途検査装置上で100mm/分の引き出し速度で縦および横方向に実施した。引き離し角度は90°とした。当業者においては、深絞り成形に適した結合接着力は1.5N/15mm超であるべきことが知られている。
【0097】
【表3】

【0098】
能動的な酸素除去のために好適な複合フィルム
以下に、能動的な酸素除去のための本発明に係る複合体の好適な適用を裏付ける例を記述する。フィルムは前述した方法で製造された。酸素吸収を活性化するためにヘーレ社製のUVA乾燥装置(UVA−プリント200;照射量1.0ないし2.5J/cm)によってフィルムの照射を行った。フィルムの酸素吸収試験は、クラーク電極を使用して、23℃の温度および50ないし60%の相対湿度下においてUV−反応始動した後21%の測定隔室内酸素濃度下で実施した。その結果から、多層複合体の両側の酸素吸収の活性化が達成されたことが示された。特に、反応開始はUV吸収性PVC層によって1.0J/cmの比較的小さい照射量で達成された。特に記述がない場合、複合フィルムの両方の面の反応開始によって同等な吸収数値が得られている。
【0099】
比較例3: (PE/吸収剤/PE)
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、医薬品に使用可能な27μmのLDPEフィルム(バセル社製のルポレン)を25μmのLDPEと3.8m/分の引き出し速度で共有押出成形した。
【0100】
【表4】

【0101】
例7: (PE−HV/EVOH/吸収剤−HV/PVC)
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、医薬品に使用可能な50μmのPVCフィルムを2m/分の引き出し速度で、50μmの吸収剤−定着剤混合物(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム、三井社製のアドマー、混合比3:1)と35μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と80μmのPE−定着剤混合物(バセル社製のルポレン、三井社製のアドマー、混合比1:1)の層によって押出被覆した。
【0102】
【表5】

【0103】
例3: (PE/HV/EVOH/HV/吸収剤/KK/PP)
製造方法は前述した通りである。
【0104】
【表6】

【0105】
例5: (PE/HV/EVOH//HV/O吸収剤/PE)
製造方法は前述した通りである。
【0106】
【表7】

【0107】
例8: (PE/HV/EVOH/KK/PE/吸収剤/PE)
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、100μmのPE(バセル社製のLDPE)と10μmのPE定着剤(デュポン社製ビネルシリーズ)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)の層からなるフィルムと、20μmのPE(バセル社製のルポレン)と20μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と30μmのPE(バセル社製のルポレン)の層からなるフィルムを2m/分の引き出し速度で共有押出成形した。両方の共有押出成形複合体をフラウンホファーIVVの積層化装置上で積層化接着剤(ロームアンドハース社製のラマルタイプ)によって積層化した。積層化接着剤を硬化させるために、フィルムロールを窒素ガス中でアルミ箔内に溶封し、7日間23℃で貯蔵した。
【0108】
【表8】

【0109】
例6: (PE/HV/EVOH/HV/PE/吸収剤/PE)
製造方法は前述した通りである。
【0110】
フラウンホファーIVV研究所(フライジング)のフラットフィルムプラント上で、100μmのPE(バセル社製のLDPE)と10μmのPE定着剤(デュポン社製ビネルシリーズ)と50μmのEVOH(三井社製のエヴァル)と10μmのPE定着剤(デュポン社製ビネルシリーズ)と20μmのPE(バセル社製のルポレン)と20μmの吸収剤(シェブロンフィリップスケミカル社製のOSP(商標)システム)と30μmのPE(バセル社製のルポレン)の層からなるフィルムを2m/分の引き出し速度で共有押出成形した。
【0111】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも:
(a) EVOHに基づいたガス隔絶層と;
(b) 少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層と;
(c) 少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層を連続的に含んでいる層構造材料。
【請求項2】
酸素吸収剤層が少なくとも1つのエチレン性不飽和重合酸素吸収剤に基づいていることを特徴とする請求項1記載の層構造材料。
【請求項3】
請求項1に従った接着剤層(b)が少なくとも約5μm、好適には少なくとも約6μm、より好適には少なくとも約8μm、さらに好適には少なくとも約10μmの層厚を有することを特徴とする請求項1または2記載の層構造材料。
【請求項4】
含まれている接着剤層の合計層厚が少なくとも約10μmとなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項5】
接着剤層の合計層厚が少なくとも約15μm、特に少なくとも約20μmとなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項6】
接着剤層の合計層厚を約20ないし40μm、特に約20μmとすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項7】
少なくとも1つの接着剤層が少なくとも約5μm、好適には少なくとも約6μm、より好適には少なくとも約8μmの層厚を有し、1ないし3層の接着剤層が存在することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項8】
少なくとも1つのガス隔絶層が100μm未満、好適には80μm未満、特に好適には50μm未満の層厚を有ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項9】
ガス隔絶層の両側に隣接して接着剤層が設けられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項10】
0.1cm/(m 日 バール)以下の酸素透過性を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項11】
50cm/(m 日 バール)未満、好適には25cm/(m 日 バール)未満、より好適には10cm/(m 日 バール)未満、さらに好適には5cm/(m 日 バール)未満、極めて好適には2cm/(m 日 バール)未満のCO透過性を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項12】
ガス隔絶層の両側において接着剤層が略同じ層厚を有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項13】
好適には水蒸気遮断材として作用し、充填ポリマーあるいは非充填ポリマーに基づくものであって、特にポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、PVC、PVDC、PVF、PVDF等のポリエチレンハロゲン化合物、ハロゲン含有コポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィンコポリマー、液晶ポリマー(LCP)、PAN、PEN、COCまたはそれらの混合物の中から選択される、少なくとも1つの被覆層を追加的に有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項14】
酸素吸収剤は自律活性化可能であるか、UV線、VIS光線、X線あるいはγ線の照射、または水分あるいは湿分、または熱によって活性化可能であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項15】
酸素吸収剤がUV線照射によって活性化可能であり、20%未満の低い相対湿度において酸素を除去することを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項16】
少なくとも1つの接着剤層が少なくとも1つの別の成分を有する定着剤の混合物を含み、ここで混合物中の定着剤の割合が約50重量%未満かつ約10重量%超であることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項17】
接着剤層が50重量%超、好適には75重量%超、特に好適には90重量%の比率で少なくとも1つの定着剤を含有することを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項18】
接着剤層が実質的にあるいは専ら定着剤から形成されることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項19】
定着剤はポリプロピレンあるいはポリエチレン等の無水改質されたポリオレフィン、またはEVAあるいはアクリル酸エチル等の無水改質されたエチレンコポリマーから選択することを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項20】
定着剤は無水改質されたポリオレフィン、特に無水改質されたポリエチレンから選択することを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項21】
外側面と被包装物側面とを有する包装材の形式のものであり、少なくとも1つの接着剤層が酸素吸収剤層と外側面との間に配置されるか、または、複数の接着剤層が存在する場合それらの接着剤層が主にあるいは全て酸素吸収剤層と外側面との間に配置されることを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項22】
少なくとも:
(a) 水蒸気遮断材として作用し、特にポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、PVC、PVDC、PVF、PVDF等のポリエチレンハロゲン化合物、ハロゲン含有コポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィンコポリマー、液晶ポリマー(LCP)、PAN、PEN、COCまたはそれらの混合物の中から選択され、好適にはポリオレフィン、特にポリエチレンである、充填ポリマーあるいは非充填ポリマーから形成される被覆層と;
(b) 定着剤が:イオノマー性コポリマー、塩化ビニルコポリマー、改質されたエチレン酢酸ビニル、重合化可能なポリエステル、フェノール樹脂、ポリスチレンコポリマー、あるいは無水改質されたポリマー、2成分からなる接着剤、単一成分あるいは2成分からなる積層化樹脂;PU類および/またはエポキシ樹脂;または前記の物質の混合物から選択され、好適には無水改質されたポリマー、無溶媒の単一成分樹脂あるいはイソシアン酸塩を含まない2成分接着剤、特に無水グラフトされたポリオレフィンおよびポリウレタン類である、接着剤層と;
(c) EVOHに基づいたガス遮断層と;
(d) 少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層と;
(e) 少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層;
を連続的に含んでいて、
(f) 好適にはPE、PP、PVC、PVDCあるいはフッ化物類に基づいたものである追加的な層(f)を特に被覆あるいは接触層として必要に応じて含むことを特徴とする請求項1ないし21のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項23】
透明あるいは半透明の材料であることを特徴とする請求項1ないし22のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項24】
層構造材料の合計層厚が少なくとも100μmとなることを特徴とする請求項1ないし23のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項25】
酸素吸収剤がUV線によって活性化可能であることを特徴とする請求項1ないし24のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項26】
酸素吸収剤が層構造材料の両側から活性化可能であることを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項27】
酸素吸収剤が0.5ないし2.5J/cm、好適には0.5ないし2.0J/cm、特に好適には1.0ないし2.0J/cmのUV線量によって活性化可能であることを特徴とする請求項1ないし26のいずれかに記載の層構造材料。
【請求項28】
請求項1ないし27のいずれかに記載の層構造材料を含んだ材料から形成された深絞り成形可能なフィルム。
【請求項29】
金属箔によってシーリングすることができることを特徴とする請求項28記載の深絞り成形可能なフィルム。
【請求項30】
請求項1ないし29のいずれかに記載の、特に深絞り成形された形状の層構造材料と、必要に応じて、それによってシーリングされた金属箔を含んだブリスタ包装材。
【請求項31】
請求項1ないし30のいずれかに記載の、層構造材料、深絞り成形可能なフィルム、またはブリスタ包装材の製造方法であり:
(a) EVOHに基づいたガス遮断層を形成し;
(b) 少なくとも1つの無水改質されたポリマーに基づいた接着剤層を形成し;
(c) 少なくとも1つの重合性の非粒子状酸素吸収剤に基づいた酸素吸収剤層を形成し;
(d) 前記のガス遮断層、接着剤層、および酸素吸収剤層を上下に相互結合あるいは着合する、
各ステップからなる方法。
【請求項32】
請求項19に定義された追加的な層を形成し、同時にあるいは逐次的に着合することを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの接着剤層が少なくとも10μmの合計接着剤層厚をもって形成されるか、あるいは前記合計層厚を有することを特徴とする請求項28または29記載の方法。
【請求項34】
層構造材料の製造は1つの工程として共有押出成形および/または押出被覆によって実施されることを特徴とする請求項31ないし33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
酸素吸収剤に隣接している層、特に請求項19に定義された層(f)は共有押出成形または押出被覆によって積層化接着剤あるいは定着剤を使用せずに製造され、好適には1つの工程において層構造材料のその他の層の形成と同時に製造されることを特徴とする請求項31ないし34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
酸素吸収剤に隣接している層はPE、PPまたはPVCから選択することを特徴とする請求項31ないし35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
酸素吸収剤に隣接している層はポリプロピレン、特にBOPPに基づくことを特徴とする請求項31ないし36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
酸素吸収剤に隣接している層はポリプロピレンに基づくことを特徴とする請求項31ないし37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
1cm/(m 日 バール)以下、特に0.1cm/(m 日 バール)以下の酸素透過性を備えたガス遮断層を形成するための請求項1ないし38のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項40】
特に酸素に対して敏感な製品用の容器あるいは包装材内における酸素濃度の低減あるいは酸素に対する防護のための請求項1ないし39のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項41】
固形、液状、あるいはガス状製品の包装のための請求項1ないし40のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項42】
特に固形状の医薬品用であることを特徴とする請求項1ないし41のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項43】
固形状の医薬品が錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末剤、または座薬であることを特徴とする請求項1ないし42のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項44】
液体状の医薬品用であることを特徴とする請求項1ないし43のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項45】
包装材は複数の医薬製品包装ユニットを内包する外側包装材であることを特徴とする請求項1ないし44のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項46】
包装材は袋体、ビン、トレイ、分包体、ブリスタ包装材、または容器の形状であることを特徴とする請求項1ないし45のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。
【請求項47】
包装される製品は非医薬用化学製品、食品、特に電気電子部品等の工業用部品、化粧品、特に酵素または蛋白質等の非医薬用生物工学製品等であることを特徴とする請求項1ないし46のいずれかに記載の層構造材料の適用方法。

【公表番号】特表2007−536129(P2007−536129A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511999(P2007−511999)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004784
【国際公開番号】WO2005/108063
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591056237)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (33)
【氏名又は名称原語表記】Sued−Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Lenbachplatz 6, D−80333 Muenchen,Germany
【Fターム(参考)】